JP2010053398A - ブレーキディスク用材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱き裂性に優れたブレーキディスク用材料を提供することである。
【解決手段】ブレーキディスク1を形成する材料として、重量%で、Cを0.06〜0.26%含有し、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、Vのうちの少なくとも1種を、
Ceq=C+Mn/6+Si/24 +Ni/40 +Cr/5+Mo/4+V/14
で定義される炭素当量Ceqが0.31〜0.66%となり、かつMnとNiの含有量の合計が0.63%以下となる範囲で含有し、残部が実質的にFeからなるものを採用した。すなわち、焼入れ性を高める元素の含有量を抑えることにより、ブレーキディスク1のブレーキパッド4との摺動部におけるマルテンサイト組織の生成を抑えて、マルテンサイト組織の部分的な焼戻しに起因する熱き裂の発生を防止できるようにしたのである。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道車両等のブレーキディスクの素材として使用される鋼系材料に関する。
鉄道車両等のディスクブレーキは、車軸に固定したブレーキディスクにブレーキパッドを押し付けて車両の制動を行うものである。従って、そのブレーキディスクは、車両用構造部材としての強度や靭性を有しているだけでなく、耐摩耗性、耐熱き裂性に優れていることが求められる。これに対して、ブレーキディスク用の鋼系材料として、前記のような特性をバランスよく満足するように多くの元素を添加したものが種々提案されてきた(例えば、特許文献1、2参照。)。
特公平5−59977号公報 特開平7−233439号公報
ところで、上記のような従来のブレーキディスク用の鋼系材料には、MnやNiを多く添加して強じん化を図ったものが多かった。しかしながら、特にMnやNiを多く含有する材料で形成したブレーキディスクでは、車両速度の上昇等、使用条件の厳しさが増すにつれて、熱き裂の発生やそれによる破損が問題となってきている。
本発明の課題は、耐熱き裂性に優れたブレーキディスク用材料を提供することである。
ここで、本願の発明者は、ブレーキディスクにおける熱き裂発生のメカニズムについて検討した結果、次のような知見を得た。すなわち、ブレーキディスクのブレーキパッドとの摺動部は、ブレーキ作動時に生じる摩擦熱によって高温に加熱され、加熱温度がディスクを形成する材料の変態点以上になると、ブレーキ解除後の空冷によって焼入れされてマルテンサイト組織になる。そして、次回の制動時の加熱により一旦オーステナイト組織となった後に冷却されて再びマルテンサイト組織に戻る挙動を繰り返すことになる。ところが、この挙動の途中で、摺動部に熱ひずみが生じてブレーキパッドとの接触が不均一となると、摩擦熱の発生が少ない部分は変態点まで加熱されずに焼き戻され、この焼き戻しを受けた部位とマルテンサイト組織に戻った部位との間で引張応力が作用することにより、硬くて脆いマルテンサイト組織の部位が割れて熱き裂が発生すると考えられる。
そこで、上記の課題を解決するために、本発明のブレーキディスク用材料は、第一の手段として、重量%で、Cを0.06〜0.26%含有し、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、Vのうちの少なくとも1種を、
Ceq=C+Mn/6+Si/24 +Ni/40 +Cr/5+Mo/4+V/14
で定義される炭素当量Ceqが0.31〜0.66%となり、かつMnとNiの含有量の合計が0.63%以下となる範囲で含有し、残部が実質的にFeからなる構成とした。
すなわち、C含有量、炭素当量CeqおよびMn含有量とNi含有量の合計(以下、「Mn+Ni」とも記す。)に上限を設けて、これらの焼入れ性を高める作用のある元素の含有量を抑えることにより、ブレーキディスクの摺動部でマルテンサイト組織を生成しにくくして、マルテンサイト組織の部分的な焼戻しによる引張応力の作用を抑え、熱き裂を発生しにくくしたのである。
ここで、C、CeqおよびMn+Niの範囲は次のようにして設定した。すなわち、後述する摺動実験において、材料のマルテンサイト組織の生成しやすさを評価するパラメータとして硬化率(=摺動部の硬度/母材硬度)を用いた場合、硬化率が1.6以下であればマルテンサイト組織が生成しにくいことから、この条件を満たすように、C、CeqおよびMn+Niのそれぞれの上限値を設定したのである。
一方、ブレーキディスク用材料では、その用途から一般に500MPa以上(好ましくは750MPa以上)の引張強度が必要とされ、これを換算式(引張強度=ビッカース硬さ×10/3)により母材硬度に換算するとHv167以上(好ましくはHv225以上)が必要となる。そこで、Hv167以上の母材硬度を確保できるように、母材硬度を高める要因となるCおよびCeqのそれぞれの下限値を設定した。なお、母材硬度をHv225以上にしようとする場合は、Cの下限値を0.19%、Ceqの下限値を0.50%にそれぞれ引き上げればよい。
また、本発明のブレーキディスク用材料は、第二の手段として、重量%で、Cを0.06〜0.26%含有し、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、Vのうちの少なくとも1種を、
Ceq=C+Mn/6+Si/24 +Ni/40 +Cr/5+Mo/4+V/14
で定義される炭素当量Ceqが0.31〜0.66%となり、かつMnとNiの含有量の合計が0.63%以下となる範囲で含有し、さらにCuとNbのうちの少なくとも1種をCu:0.44%以下、Nb:0.19%以下の範囲で含有し、残部が実質的にFeからなる構成を採用した。
すなわち、前記第一の手段に対して、CuとNbのうちの少なくとも1種を適度な範囲で含有する構成とすることにより、マルテンサイト組織の生成を抑えつつ、必要な母材硬度(引張強度)を確保しやすくしたのである。
本発明は、上述したように、ブレーキディスク用材料の焼入れ性を高める元素の含有量を抑えるようにしたので、ブレーキディスクの摺動部におけるマルテンサイト組織の生成を抑えることができる。従って、ブレーキディスクの摺動部におけるマルテンサイト組織の部分的な焼戻しに起因する熱き裂の発生やそれによる破損を防止することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は、この実施形態のブレーキディスク用材料で形成された鉄道車両用ブレーキディスク1を示す。このブレーキディスク1は、中央の取付孔1aに鉄道車両の車軸2が嵌め込まれ、取付孔1aの周囲の複数のボルト孔1bで車輪3にボルト締めされた状態で使用されるもので、ブレーキ作動時には側面にブレーキパッド4が押し付けられる。
前記ブレーキディスク1を形成する材料の組成と後述する摺動試験の結果を、比較例の組成および摺動試験結果とともに表1に示す。
Figure 2010053398
ここで、表1の実施例1〜6は、重量%で、Cを0.06〜0.26%含有し、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、Vのうちの少なくとも1種を、
Ceq=C+Mn/6+Si/24 +Ni/40 +Cr/5+Mo/4+V/14
で定義される炭素当量Ceqが0.31〜0.66%となり、かつMnとNiの含有量の合計が0.63%以下となる範囲で含有し、残部が実質的にFeからなるものである。また、実施例7〜18は、CおよびMn、Si、Ni、Cr、Mo、Vのうちの少なくとも1種を、実施例1〜6と同じ条件で含有し、さらにCuとNbのうちの少なくとも1種をCu:0.44%以下、Nb:0.19%以下の範囲で含有し、残部が実質的にFeからなるものである。なお、各実施例および各比較例には、表1に示した成分のほかに、不可避的不純物としてPが0.03%以下、Sが0.01%以下それぞれ含有され、脱酸材としてAlが0.02〜0.06%含有されている。
また、摺動試験は、各実施例および各比較例の成分を有する材料を円柱形に鋳造して熱処理後に直径25mm×高さ50mmに加工した試験片を用い、各試験片の一端面を下記の条件で回転する円柱形相手材の一端面に押し付けて、空冷後の摺動面(一端面)近傍の深さ方向の硬度分布を測定した。このとき、試験片は摺動面に近いほど高温となり焼入れされて硬化しやすいので、摺動面近傍の硬度の最大値を母材(非熱影響部)の硬度の平均値で除したものを硬化率と定義し、この硬化率を用いてマルテンサイト組織の生成しやすさを評価することにした。
(摺動条件)
・相手材材質 :WC−Co超硬合金
・相手材回転速度:900rpm
・押付力 :1.0MPa
・押付時間 :15sec
本発明では、摺動加熱後の空冷においてマルテンサイト組織を生成しにくくして、熱き裂を発生しにくくする条件として硬化率の上限値を1.6とし、この条件に該当するようにC含有量、炭素当量CeqおよびMn含有量とNi含有量の合計のそれぞれの上限値を設定している。まず、硬化率が高いものの例として比較例6(硬化率2.03)を、低いものの例として実施例14(硬化率1.33)をそれぞれ取り上げ、これらの両者に対して、実際の摺動面近傍の組織の構成をXRD(X線回折法)により同定した。その結果、表2に示すように、比較例6では全体の約7割がマルテンサイト組織になっているのに対し、実施例14ではマルテンサイト組織が全く生成していないという結果が得られた。次に、比較例6と実施例14について、市販されているシミュレータ(鋼材組織推定計算プログラム)を用いて組織の推定を行った。図2(a)、(b)は、そのシミュレータで作成した模擬的なCCT曲線(連続冷却変態曲線)を示す。これらのCCT曲線から、摺動試験後の空冷の条件(冷却速度:5〜10℃)では、比較例6と比べて、実施例14ではフェライトが析出してマルテンサイトが生成しにくいという結果が得られた。
Figure 2010053398
また、各実施例では、母材平均硬度がHv170以上となっており、ブレーキディスクに必要な強度レベルを有している。なお、材料がCuやNbを含まない場合は、Cの下限値を0.19%、Ceqの下限値を0.50%とすることにより(実施例3参照)、確実に望ましい母材硬度(Hv225)が得られる。一方、CuやNbを含有する場合は、CやCeqが低くても望ましい母材硬度を確保しやすくなっている。
一般的な鉄道車両用のブレーキディスクの正面図 a、bは、それぞれ比較例および実施例の材料の推定CCT曲線の一例を示すグラフ
符号の説明
1 ブレーキディスク
1a 取付孔
1b ボルト孔
2 車軸
3 車輪
4 ブレーキパッド

Claims (2)

  1. 重量%で、Cを0.06〜0.26%含有し、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、Vのうちの少なくとも1種を、
    Ceq=C+Mn/6+Si/24 +Ni/40 +Cr/5+Mo/4+V/14
    で定義される炭素当量Ceqが0.31〜0.66%となり、かつMnとNiの含有量の合計が0.63%以下となる範囲で含有し、残部が実質的にFeからなるブレーキディスク用材料。
  2. 重量%で、Cを0.06〜0.26%含有し、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、Vのうちの少なくとも1種を、
    Ceq=C+Mn/6+Si/24 +Ni/40 +Cr/5+Mo/4+V/14
    で定義される炭素当量Ceqが0.31〜0.66%となり、かつMnとNiの含有量の合計が0.63%以下となる範囲で含有し、さらにCuとNbのうちの少なくとも1種をCu:0.44%以下、Nb:0.19%以下の範囲で含有し、残部が実質的にFeからなるブレーキディスク用材料。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013108114A (ja) * 2011-11-18 2013-06-06 Kurimoto Ltd ブレーキディスク用材料及びブレーキディスク
JP2016125099A (ja) * 2015-01-05 2016-07-11 セイコーエプソン株式会社 粉末冶金用金属粉末、コンパウンド、造粒粉末および焼結体

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