JP2005263900A - マレイミド系重合体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、有機発光素子の電荷輸送層のように電荷輸送性が要求される様々な分野における機能性材料として用いられるマレイミド系重合体に関する。
近年、大きな占有面積と大きな重量を有するCRT(Cathode-Ray-Tube)ディスプレイに代わるディスプレイとして、フラットパネルディスプレイ(FPD)が実用化されている。FPDとしては、現在、液晶ディスプレイ(LCD)が各種携帯型電子機器やノート型パソコンや小型テレビのディスプレイとして一般に広く普及しているとともに、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のLCD以外のFPDも実用化されている。
そのようなFPDの一つとして、エレクトロルミネッセント(以下、ELということがある)ディスプレイがある。ELディスプレイは、比較的古くから開発が進められているが、フルカラー化や輝度や寿命などの点に課題があり、未だあまり普及していない。
そのようなFPDの一つとして、エレクトロルミネッセント(以下、ELということがある)ディスプレイがある。ELディスプレイは、比較的古くから開発が進められているが、フルカラー化や輝度や寿命などの点に課題があり、未だあまり普及していない。
また、ELディスプレイの主要部分であるEL素子の発光層としては、従来、無機化合物薄膜が用いられていたが、無機化合物薄膜を用いたEL素子は、駆動電圧が高いと共に発光効率が低く、低輝度の表示しかできなかった。それに対して、近年、EL素子の発光層として、駆動電圧が低く、且つ、発光効率が高い有機化合物薄膜を用いたものが使われるようになった。また、有機化合物薄膜を用いた有機EL素子は、寿命の点で問題があったが、長寿命化が可能な発光材料の開発が進められ、LCDに対抗可能なレベルでの実用化も可能となった。
有機EL素子は、少なくとも一層の有機層が2つの電極層の間に挟まれた構造を基本構造としている。上記有機層が一層の単層型の場合、この単層を形成する有機化合物が電荷の輸送、発光等の機能を有する必要があり、高い発光効率を得ることが困難であることが多い。そこで、発光効率を向上させるため、この有機層を、要求される各機能を有する層を複数形成した多層構造、例えば、電荷輸送性を有する材料から形成される電子輸送層及び正孔輸送層等の電荷輸送層で発光層を挟んだ多層構造等とすることも行われている。
このような有機EL素子の有機層は、低分子量の有機化合物を真空蒸着法により支持体に堆積させて形成することが一般的であった。しかしながら、低分子有機化合物を用いた有機EL素子においては、経時的に有機層の結晶化や凝集が起こり、素子が劣化して素子寿命に多大な影響を与えるといった問題がある。さらに、真空蒸着等の気相成膜法による場合は、大掛かりな蒸着装置が必要でコストが高いという問題があり、さらに、基材の大面積化が困難であるという問題がある。また、低分子有機化合物を溶剤に溶解又は分散させて塗工液を調製しようとしても溶解性、分散性が悪いため、均一で安定な塗工液が得られず、低分子有機化合物を湿式成膜法により利用することは困難である。
一方で、発光性や電荷輸送性等を有する高分子有機化合物を溶剤に溶解又は分散させて基材に塗布する湿式成膜法(スピンコーティング法、印刷法、インクジェット法等)によって上記発光層や電荷輸送層等を形成した有機EL素子が提案されている。溶媒を用いて基材に塗布する湿式成膜法は、真空蒸着法に比べてコストが安価で、基材の大面積化が可能というメリットがある。
このような湿式成膜法において用いられる電荷輸送性材料としては、有機溶剤や水に可溶又は分散可能な導電性高分子材料や、電荷輸送性を有する低分子有機化合物を高分子鎖の主鎖又は側鎖に置換した材料が用いられることが多い。しかしながら、これらの電荷輸送性材料は、耐熱性等の安定性や電荷輸送性能等が不十分であり、これらの改善が課題として残っている。
特許文献1では、電荷輸送性低分子有機化合物にビニル基を導入し重合することで高分子化を行うことが提案されている。この高分子材料は、電荷輸送性有機化合物の濃度を変えたり、高分子中に異なった電荷輸送性低分子有機化合物を組み合わせることにより、電荷輸送性能を変えることができるというメリットがあるが、ビニル基を重合した高分子は耐熱性が低いという問題がある。有機電界発光素子や発光パネルは作製する途中で高温に加熱する工程を経る場合があったり、表示装置の使用中に温度上昇の影響を受けるため、素子材料は、充分な耐熱性を有していないと、変色して色調を変えたり、輝度を低下させたりして表示品質を劣化させるという問題がある。
一方、マレイミド共重合体は、耐熱性、熱安定性、透明性が高い樹脂として知られており、従来から耐熱向上剤や、耐熱性と透明性を必要とするフィルム又は成形体に用いられている。また、マレイミド共重合体をカラーフィルターの着色層、保護膜等を形成する樹脂組成物のバインダー成分として用いることが、例えば、特許文献2や特許文献3等において提案されている。
本発明は、かかる事情を考慮して成し遂げられたものであり、その目的は、電荷輸送性を有し、且つ、耐熱性の高いマレイミド系重合体を提供することにある。
本発明において、上記目的を達成するためのマレイミド系重合体は、少なくとも下記式(1)
(式中、R1は、電圧の印加によって電荷輸送機能を発揮する基を示す。)
で表される構成単位1を含む主鎖骨格を有することを特徴とする。
で表される構成単位1を含む主鎖骨格を有することを特徴とする。
上記マレイミド系重合体は、重合体の主要な主鎖構成単位であるマレイミド構造を有する繰り返し単位のN−置換位に、電圧印加によって電荷輸送機能を発揮する基(以下、電荷輸送性基ということがある。)が共有結合した構造を有する。
このマレイミド系重合体は、電荷輸送性基を任意に選択し、及び組み合わせ、さらにはマレイミド構造を有する繰り返し単位の共重合割合を自由に設計することが可能なので、上記電荷輸送性基単独では不可能又は実現困難であった特性(例えば、電荷輸送性能を調節する、溶剤への溶解・分散性、塗布適性を向上させたり、層の形態及び電気的性質を最適化する等)を得ることができる。
上記マレイミド系重合体としては、上記構成単位1が下記式(2)
このマレイミド系重合体は、電荷輸送性基を任意に選択し、及び組み合わせ、さらにはマレイミド構造を有する繰り返し単位の共重合割合を自由に設計することが可能なので、上記電荷輸送性基単独では不可能又は実現困難であった特性(例えば、電荷輸送性能を調節する、溶剤への溶解・分散性、塗布適性を向上させたり、層の形態及び電気的性質を最適化する等)を得ることができる。
上記マレイミド系重合体としては、上記構成単位1が下記式(2)
(式中、R1aは単結合又は二価の基であり、R1bは電圧の印加によって電荷輸送機能を発揮する有機化合物の残基である。)
で表されるマレイミド系重合体が挙げられる。
また、本発明のマレイミド系重合体は、溶剤への溶解又は分散性に優れ、塗布適正に優れたインキを調製することができるので、湿式成膜法によって安価な製造コストで、大面積の基材に容易に塗布することが可能となる。
前記マレイミド系重合体は、それ自体に塗布成膜適性があり、別にバインダー材料を添加したりすることなく、求める電荷輸送性能を発現する電荷輸送層を容易に形成することができ、製造プロセスを単純化することができる。
さらに、このマレイミド系重合体は、主鎖骨格がマレイミド構造を有するので耐熱性が高く、高温環境に曝されても黄変等の変色を起こし難い。
で表されるマレイミド系重合体が挙げられる。
また、本発明のマレイミド系重合体は、溶剤への溶解又は分散性に優れ、塗布適正に優れたインキを調製することができるので、湿式成膜法によって安価な製造コストで、大面積の基材に容易に塗布することが可能となる。
前記マレイミド系重合体は、それ自体に塗布成膜適性があり、別にバインダー材料を添加したりすることなく、求める電荷輸送性能を発現する電荷輸送層を容易に形成することができ、製造プロセスを単純化することができる。
さらに、このマレイミド系重合体は、主鎖骨格がマレイミド構造を有するので耐熱性が高く、高温環境に曝されても黄変等の変色を起こし難い。
前記式(2)においてR1bが、カルバゾール又はその誘導体、ビスカルバゾールビフェニル又はその誘導体、トリアリールアミン又はその誘導体、オキサジアゾール又はその誘導体、トリアジン又はその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物の残基である場合、電荷輸送性能が高く、且つ、耐熱性も高い電荷輸送性材料が得られるので、好ましい。
さらに、上記マレイミド系重合体が、下記式(3)
さらに、上記マレイミド系重合体が、下記式(3)
(式中、R2は電圧の印加によって発光する基を示す。)
で表される構成単位2を主鎖骨格に含む場合、電荷輸送性と発光性を同時に有する電荷輸送性材料が得られるため好ましい。具体的には、前記構成単位2が、下記式(4)
で表される構成単位2を主鎖骨格に含む場合、電荷輸送性と発光性を同時に有する電荷輸送性材料が得られるため好ましい。具体的には、前記構成単位2が、下記式(4)
(式中、R2aは単結合又は二価の基であり、R2bは電圧の印加によって発光する有機化合物の残基である。)
で表されるマレイミド系重合体が挙げられる。
で表されるマレイミド系重合体が挙げられる。
R2bとしては、蛍光又はりん光発光性基を導入することできる。R2bが、ピレン系化合物、ペリレン系化合物、ナフタレン系化合物、フェナントレン系化合物、テトラセン系化合物、キナクリドン系化合物、ジオキサジン系化合物、コロネン系化合物、フルオレセイン系化合物、クマリン系化合物、キノリン金属錯体化合物、希土類金属配位化合物、イリジウム配位化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物の残基からなる蛍光又はりん光発光性基である場合、それ自体の発光能力が高い電荷輸送性材料が得られるため好ましい。
以上説明したように、本発明に係るマレイミド系重合体は、重合体の主要な主鎖構成単位であるマレイミド構造を有する繰り返し単位のN−置換位に、電圧の印加によって電荷輸送機能を発揮する基が共有結合した構造を有しているので、電圧の印加によって他の化合物に電荷を輸送することが可能である。
このマレイミド系重合体は、求められている電荷輸送性等の特性に合わせて、電荷輸送性基を任意に選択し、及び組み合わせ、さらにはマレイミド構造を有する繰り返し単位の共重合割合を自由に設計することが可能なので、電荷輸送性基単独では不可能又は実現困難であった特性(例えば、電荷輸送性能を調節する、溶剤への溶解・分散性、塗布適性を向上させたり、層の形態及び電気的性質を最適化する等)を得ることができる。
このマレイミド系重合体は、求められている電荷輸送性等の特性に合わせて、電荷輸送性基を任意に選択し、及び組み合わせ、さらにはマレイミド構造を有する繰り返し単位の共重合割合を自由に設計することが可能なので、電荷輸送性基単独では不可能又は実現困難であった特性(例えば、電荷輸送性能を調節する、溶剤への溶解・分散性、塗布適性を向上させたり、層の形態及び電気的性質を最適化する等)を得ることができる。
また、本発明のマレイミド系重合体は、溶剤への溶解又は分散性に優れ、塗布適正に優れたインキを調製することができるので、湿式成膜法によって安価な製造コストで、大面積の基材に容易に塗布することが可能となる。
さらに、このマレイミド系重合体は、主鎖骨格がマレイミド構造を有するので耐熱性が高く、高温環境に曝されても黄変等の変色を起こし難い。
しかも、本発明に係るマレイミド系重重合体が、主要な主鎖構成単位であるマレイミド構造を有する繰り返し単位のN−置換位に、電圧の印加によって発光する基を共有結合した構成単位をさらに含む場合には、電荷輸送性のみならず、発光性も有する電荷輸送性材料を得ることができる。
さらに、このマレイミド系重合体は、主鎖骨格がマレイミド構造を有するので耐熱性が高く、高温環境に曝されても黄変等の変色を起こし難い。
しかも、本発明に係るマレイミド系重重合体が、主要な主鎖構成単位であるマレイミド構造を有する繰り返し単位のN−置換位に、電圧の印加によって発光する基を共有結合した構成単位をさらに含む場合には、電荷輸送性のみならず、発光性も有する電荷輸送性材料を得ることができる。
上記本発明に係るマレイミド系重合体は、電圧の印加によって他の化合物に電荷を受け渡す特性を必要とする機能性材料として用いることができ、主として電界発光を目的として有機電界発光素子を作製するために好適に用いられるほか、電界発光以外を目的とする場合でも、電圧の印加によって電荷を受け渡す特性を有する材料を利用可能な分野において広く用いることができる。
特に、本発明に係るマレイミド系重合体に、従来真空蒸着法等の乾式成膜法でしか有機層の形成に用いることができなかった正孔電荷輸送性、電子電荷輸送性又は両電荷輸送性を有する低分子化合物を電荷輸送機能を有する化合物として導入することによって、これら低分子化合物の特性を有したまま湿式成膜法を用いることができるようになり、又、これら低分子化合物同士の組合せも自在に可能になるというメリットがある。
さらに、本発明に係るマレイミド系重合体を用いることによって、大面積で且つ表示品質の熱的劣化を起こし難い有機発光素子を、低コストで製造することができるという利点がある。
特に、本発明に係るマレイミド系重合体に、従来真空蒸着法等の乾式成膜法でしか有機層の形成に用いることができなかった正孔電荷輸送性、電子電荷輸送性又は両電荷輸送性を有する低分子化合物を電荷輸送機能を有する化合物として導入することによって、これら低分子化合物の特性を有したまま湿式成膜法を用いることができるようになり、又、これら低分子化合物同士の組合せも自在に可能になるというメリットがある。
さらに、本発明に係るマレイミド系重合体を用いることによって、大面積で且つ表示品質の熱的劣化を起こし難い有機発光素子を、低コストで製造することができるという利点がある。
(1)マレイミド系重合体
本発明において用いられるマレイミド系重合体は、少なくとも下記式(1)
本発明において用いられるマレイミド系重合体は、少なくとも下記式(1)
(式中、R1は、電圧の印加によって電荷輸送機能を発揮する基を示す。)
で表される構成単位1を含む主鎖骨格を有することを特徴としている。
で表される構成単位1を含む主鎖骨格を有することを特徴としている。
ここで、本発明において、電圧の印加によって電荷輸送機能を発揮する基(電荷輸送性基)とは、電圧の印加によって、他の化合物に電荷を受け渡す機能を発揮する基である。
本発明における電荷輸送性基は、典型的な正孔輸送性、電子輸送性のほか、正孔輸送性及び電子輸送性の両方を有するバイポーラ性のものであっても構わない。
さらに、本発明において電荷輸送とは、電荷輸送性を有する化合物に電圧を作用させることによって得られる正孔輸送、電子輸送又はその両方の電荷輸送を意味し、バイポーラ性の電荷輸送形態を含む。
さらに、本発明において「塗布」とは特に断らない限り、典型的なコーティング法のほかにも、印刷法、インクジェット法等のように、支持体上に液体の層を形成できる方法を広く包含する。
本発明における電荷輸送性基は、典型的な正孔輸送性、電子輸送性のほか、正孔輸送性及び電子輸送性の両方を有するバイポーラ性のものであっても構わない。
さらに、本発明において電荷輸送とは、電荷輸送性を有する化合物に電圧を作用させることによって得られる正孔輸送、電子輸送又はその両方の電荷輸送を意味し、バイポーラ性の電荷輸送形態を含む。
さらに、本発明において「塗布」とは特に断らない限り、典型的なコーティング法のほかにも、印刷法、インクジェット法等のように、支持体上に液体の層を形成できる方法を広く包含する。
上記マレイミド系重合体は、重合体の主要な主鎖構成単位であるマレイミド構造を有する繰り返し単位のN−置換位に、上記電荷輸送性基が共有結合した構造を有しているので、電圧の印加によって電荷の輸送が可能である。
このマレイミド系重合体は、式(1)で表される構成単位のN−置換位に共有結合する電荷輸送性基を任意に選択することができるうえに、基の種類が互いに異なる式(1)の構成単位を2種以上任意に組み合わせた連結構造とすることができるので、求められているEL特性に合わせて上記電荷輸送性基の種類及び組み合わせを自由に設計することが可能である。また、式(1)で表される構成単位に、該式(1)で表される構成単位と同じマレイミド骨格のN−置換位に、それ自体は電荷輸送性を持たないが、得られる電荷輸送性材料の特性を改善又は改変する機能を持つ化合物の残基(例えばドーピング性基)を置換した構成単位を組み合わせた連結構造とすることも可能である。従って、上記電荷輸送性基単独では不可能又は実現困難であった特性を得ることができる。
このマレイミド系重合体は、式(1)で表される構成単位のN−置換位に共有結合する電荷輸送性基を任意に選択することができるうえに、基の種類が互いに異なる式(1)の構成単位を2種以上任意に組み合わせた連結構造とすることができるので、求められているEL特性に合わせて上記電荷輸送性基の種類及び組み合わせを自由に設計することが可能である。また、式(1)で表される構成単位に、該式(1)で表される構成単位と同じマレイミド骨格のN−置換位に、それ自体は電荷輸送性を持たないが、得られる電荷輸送性材料の特性を改善又は改変する機能を持つ化合物の残基(例えばドーピング性基)を置換した構成単位を組み合わせた連結構造とすることも可能である。従って、上記電荷輸送性基単独では不可能又は実現困難であった特性を得ることができる。
また、このマレイミド系重合体は、マレイミドと重合可能なその他のモノマーとも共重合することができる。これにより、式(1)の構成単位の濃度を変えることができるため、例えば、有機電界発光素子の層形成に使用した場合に、目的に応じて電荷輸送性能を調節したり、溶剤への溶解・分散性、塗布適性を向上させたり、層の形態及び電気的性質を最適化することができる。
本発明のマレイミド系重合体は、溶剤への溶解又は分散性に優れ、塗布適正に優れたインキを調製することができるので、湿式成膜法によって有機電界発光素子又はその他の機能層を形成することが可能である。塗布適性に関しては特に、本発明に係るマレイミド系重合体に、従来真空蒸着法等の乾式成膜法でしか有機層の形成に用いることができなかった正孔輸送性、電子輸送性又は両電荷輸送性を有する低分子化合物を、電荷輸送機能を有する化合物として導入することによって、これら低分子化合物の特性を有したまま湿式成膜法を用いることができるようになり、又、これら低分子化合物同士の組合せも自在に可能になるというメリットがある。
さらに、このマレイミド系重合体は、主鎖骨格がマレイミド構造を有するので耐熱性が高く、高温環境に曝されても黄変等の変色を起こし難い。
上記マレイミド系重合体としては、具体的には、上記構成単位1が下記式(2)
上記マレイミド系重合体としては、具体的には、上記構成単位1が下記式(2)
(式中、R1aは単結合又は二価の基であり、R1bは電圧の印加によって電荷輸送機能を発揮する有機化合物の残基である。)
で表されるマレイミド系重合体が挙げられる。
で表されるマレイミド系重合体が挙げられる。
ここで、本発明において、電圧の印加によって電荷輸送機能を発揮する有機化合物(以下において「有機電荷輸送化合物」と称する)とは、電圧の印加によって電荷輸送機能を発揮する化学構造を有する有機化合物である。有機電荷輸送化合物としては、電荷輸送機能を有する有機EL素子用材料が挙げられ、例えば、従来真空蒸着法において用いられている典型的な低分子系電子輸送材料及び低分子系正孔輸送材料や、特許文献1に記載されているような高分子系電子輸送材料、高分子系正孔輸送材料等が含まれるが、これらは代表例であって特に限定されず、これらの典型的な有機電荷輸送化合物をホスト材料とする、各種ドーピング化合物のような補助的材料も有機電荷輸送性化合物として用いられる。本発明における有機電荷輸送化合物は、典型的な正孔輸送性、電子輸送性のいずれでもよく、正孔輸送性及び電子輸送性の両方を有するバイポーラ性のものであっても構わない。
また、本発明における有機電荷輸送化合物の残基とは、当該有機電荷輸送化合物から一つの原子又は原子団を取り除いた構造を有する一価の有機基であって、その電荷輸送に関する機能が消失せずに保持されているものをいう。
また、本発明における有機電荷輸送化合物の残基とは、当該有機電荷輸送化合物から一つの原子又は原子団を取り除いた構造を有する一価の有機基であって、その電荷輸送に関する機能が消失せずに保持されているものをいう。
式(2)において、有機電荷輸送化合物の残基であるR1bが、カルバゾール又はその誘導体、ビスカルバゾールビフェニル又はその誘導体、トリアリールアミン又はその誘導体、オキサジアゾール又はその誘導体、トリアジン又はその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物の残基である場合、電荷輸送性能が高く、且つ、耐熱性も高い電荷輸送性材料が得られるので、好ましい。
カルバゾール又はその誘導体としては、カルバゾール、N位アルキル置換カルバゾール、N位フェニル置換カルバゾール、アルキル置換カルバゾール、アルキルエーテル置換カルバゾール等が挙げられ、ビスカルバゾールビフェニル又はその誘導体としては、ビスカルバゾールビフェニル(CBP)、アルキル置換ビスカルバゾールビフェニル、アルキルエーテル置換ビスカルバゾールビフェニル等が挙げられ、トリアリールアミン又はその誘導体としては、トリフェニルアミン、4,4,4−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン、N,N−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N−ビス(フェニル)ベンジジン、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N−ジフェニルベンジジン等が挙げられ、オキサジアゾール又はその誘導体としては、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、2,2−(1,3−フェニレン)ビス−5−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]等が挙げられ、トリアジン又はその誘導体としては、トリアジン又はその誘導体としては、2,4,6−トリフェニル−トリアジン、2,4,6−トリフェニル−トリアジンアルキル置換体等が挙げられる。
これらの中でも、正孔輸送性基としてはカルバゾール又はその誘導体の残基、電子輸送性基としてはオキサジアゾール又はその誘導体の残基、バイポーラ性基としてはビスカルバゾールビフェニル又はその誘導体の残基がそれぞれ好ましく、優れた電荷輸送性能が得られる。
電荷輸送性を有するR1bは、式(2)で表される構成単位のマレイミド基のN位に直接結合していてもよいが、得られる重合体の溶剤溶解性や重合体の合成効率を考慮すると、有機電荷輸送化合物の残基R1bは、二価の基を介して上記N位に結合していることが好ましい。
二価の基としては、二価のアルキル基(アルキレン基)、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、エステル基、チオエステル基、カルバメート基、ウレア基、チオウレア基等のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族基や、二価のフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、アリーレン基、チオフェン基、ピロール基、フラン基、キノリン基、キノキサリン基等のヘテロ原子を含んでいてもよい環状官能基、又は芳香族基等の有機基、或いは、珪素等のへテロ原子そのものを選択することができる。高い電荷輸送性を得るためには、上記脂肪族基の炭素数は2〜4程度、上記芳香族基としては、通常1〜2程度のベンゼン環を含むものが好ましい。
二価の基としては、二価のアルキル基(アルキレン基)、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、エステル基、チオエステル基、カルバメート基、ウレア基、チオウレア基等のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族基や、二価のフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、アリーレン基、チオフェン基、ピロール基、フラン基、キノリン基、キノキサリン基等のヘテロ原子を含んでいてもよい環状官能基、又は芳香族基等の有機基、或いは、珪素等のへテロ原子そのものを選択することができる。高い電荷輸送性を得るためには、上記脂肪族基の炭素数は2〜4程度、上記芳香族基としては、通常1〜2程度のベンゼン環を含むものが好ましい。
なおドーピング性基としては、ドーピング機能を有する低分子化合物の残基等を用いることができ、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体等よりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物の残基等が挙げられる。
本発明に係るマレイミド系重合体が、さらに、下記式(3)
(式中、R2は電圧の印加によって発光する基を示す。)
で表される構成単位2を主鎖骨格に含む場合、電圧の印加によって電荷を輸送することができ、さらには自ら発光することができるため、電圧の印加により電荷を輸送し、且つ自ら発光する特性を必要とする機能性材料として用いることが可能である。
式(3)の化合物として、具体的には、前記構成単位2が、下記式(4)
で表される構成単位2を主鎖骨格に含む場合、電圧の印加によって電荷を輸送することができ、さらには自ら発光することができるため、電圧の印加により電荷を輸送し、且つ自ら発光する特性を必要とする機能性材料として用いることが可能である。
式(3)の化合物として、具体的には、前記構成単位2が、下記式(4)
(式中、R2aは単結合又は二価の基であり、R2bは電圧の印加によって発光する有機化合物の残基である。)
で表されるマレイミド系重合体が挙げられる。
で表されるマレイミド系重合体が挙げられる。
ここで本発明において、電圧の印加によって発光する基とは、電圧の印加によって、それ自体が発光する基である。このような電圧の印加によって発光する基には、例えば、有機EL材料として用いられる各種の蛍光発光性材料が含まれるが特に限定されず、りん光のような他の発光形式のものであってもよい。
また、本発明における電圧の印加によって発光する有機化合物(以下において、有機発光化合物と称する)とは、電圧の印加によって発光する化学構造を含有する有機化合物である。また、有機発光化合物の残基とは、当該有機発光化合物から一つの原子又は原子団を取り除いた構造を有する一価の有機基であって、その有機電界発光に関する機能が消失せずに保持されているものをいう。
さらに、本発明において電界発光とは、上記有機発光化合物に電界を作用させることによって得られる発光を意味し、例えば、典型的な電界発光(Electroluminescence)による蛍光が含まれるが、これのみに限定されず、りん光のような他の発光形式のものであってもよい。
また、本発明における電圧の印加によって発光する有機化合物(以下において、有機発光化合物と称する)とは、電圧の印加によって発光する化学構造を含有する有機化合物である。また、有機発光化合物の残基とは、当該有機発光化合物から一つの原子又は原子団を取り除いた構造を有する一価の有機基であって、その有機電界発光に関する機能が消失せずに保持されているものをいう。
さらに、本発明において電界発光とは、上記有機発光化合物に電界を作用させることによって得られる発光を意味し、例えば、典型的な電界発光(Electroluminescence)による蛍光が含まれるが、これのみに限定されず、りん光のような他の発光形式のものであってもよい。
R2bとしては、様々な有機発光化合物の残基、例えば蛍光又はりん光発光性基を導入することが可能である。
蛍光又はりん光発光性基としては、有機EL蛍光性材料として知られている蛍光染料を始め、その他にも蛍光又はりん光発光性を有する様々な低分子化合物の残基等を用いることができる。蛍光発光性基としては、例えば、ピレン系化合物、ペリレン系化合物、ナフタレン系化合物、フェナントレン系化合物、テトラセン系化合物、キナクリドン系化合物、ジオキサジン系化合物、コロネン系化合物、フルオレセイン系化合物、クマリン系化合物、キノリン金属錯体化合物、スチリル系化合物、シロール系化合物、オキサジアゾール化合物等よりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物の残基等が挙げられる。りん光発光性基としては、例えば、希土類金属配位化合物、イリジウム配位化合物等の残基等が挙げられる。
蛍光又はりん光発光性基としては、有機EL蛍光性材料として知られている蛍光染料を始め、その他にも蛍光又はりん光発光性を有する様々な低分子化合物の残基等を用いることができる。蛍光発光性基としては、例えば、ピレン系化合物、ペリレン系化合物、ナフタレン系化合物、フェナントレン系化合物、テトラセン系化合物、キナクリドン系化合物、ジオキサジン系化合物、コロネン系化合物、フルオレセイン系化合物、クマリン系化合物、キノリン金属錯体化合物、スチリル系化合物、シロール系化合物、オキサジアゾール化合物等よりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物の残基等が挙げられる。りん光発光性基としては、例えば、希土類金属配位化合物、イリジウム配位化合物等の残基等が挙げられる。
これらの中でも、ピレン系化合物、ペリレン系化合物、ナフタレン系化合物、フェナントレン系化合物、テトラセン系化合物、キナクリドン系化合物、ジオキサジン系化合物、コロネン系化合物、フルオレセイン系化合物、クマリン系化合物、キノリン金属錯体化合物、希土類金属配位化合物、イリジウム配位化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物の残基は、発光能力が高く、且つ、耐熱性が高い発光層が得られるので、好ましい。
ピレン系化合物としては、ピレン、アミノピレン、ブロモピレン、クロロメチルピレン、ピレンブチルカルボン酸、ピレンメタノール等が挙げられ;ペリレン系化合物としては、ペリレン、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等が挙げられ;ナフタレン系化合物としては、ナフタレン、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ナフタルイミド、アミノナフタレン等が挙げられ;フェナントレン系化合物としては、フェナンスレン、フェナントロリン、フェナンスレンキノン等が挙げられ;テトラセン系化合物としては、テトラセン、テトラセンキノン、アミノテトラセンルブレン等が挙げられ;キナクリドン系化合物としては、キナクリドン、ジクロロキナクリドン、N、N'−ジメチルキナクリドン、キナクリジン、ジベンゾキナクリドン等が挙げられ;ジオキサジン系化合物としては、ジオキサジン、N、N'−ジメチルジオキサジン、ジベンゾジオキサジンが挙げられ;コロネン系化合物としては、コロネン、コロネンジイミド、アミノコロネン等が挙げられ;フルオレセイン系化合物としては、フルオレセイン、フルオレセインクロリド、フルオレシン等が挙げられ;クマリン系化合物としては、クマリン、ベンゾチアゾイルジエチルアミノクマリン、クマロン等が挙げられ;キノリン金属錯体化合物としては、アルミニウム−トリキノリノール錯体、亜鉛−ジキノリノール錯体、リチウムボロン−テトラキノリノール錯体等が挙げられ;スチリル系化合物としては、ジスチリルベンゼン、ジスチリルアリーレン、ビスカルバゾールベンジジン等が挙げられ;希土類金属配位化合物としては、ユーロピウム−アセチルアセトン錯体、ユーロピウム−ジフェニルフェナントロリン錯体、ユーロピウム−ジベンゾイルメタン錯体等が挙げられ;イリジウム配位化合物としては、イリジウム−フェニルピリジン錯体、イリジウム−アセチルアセトン錯体、イリジウム−フェナントロリン錯体等が挙げられる。
この中でも、本発明に係るマレイミド系重合体を用いて電荷輸送性を有する発光層を形成する場合には、熱的安定性、発光特性の点から、ピレン、ペリレン、キナクリドン、クマリン、イリジウム配位化合物が特に好ましい。特にりん光発光性基であるイリジウム化合物は、蛍光発光性基よりも発光効率が良く、好ましい。
なお、有機発光化合物の残基は、前記マレイミド系重合体の溶解性及び発光波長の調節、発光効率の増加等を目的として、置換基を有していてもよい。有機発光化合物の残基に導入する置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
発光性を有するR2bは、式(4)で表される構成単位のマレイミド基のN位に直接結合していてもよいが、得られる重合体の溶剤溶解性や重合体の合成効率を考慮すると、有機発光性化合物の残基R2bは、二価の基を介して上記N位に結合していることが好ましい。
二価の基としては、二価のアルキル基(アルキレン基)、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、エステル基、チオエステル基、カルバメート基、ウレア基、チオウレア基等のヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族基や、二価のフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、アリーレン基、チオフェン基、ピロール基、フラン基、キノリン基、キノキサリン基等のヘテロ原子を含んでいてもよい環状官能基、又は芳香族基等の有機基、或いは、珪素等のへテロ原子そのものを選択することができる。高い発光性を得るためには、上記脂肪族基の炭素数は2〜4程度、上記芳香族基としては、通常1〜2程度のベンゼン環を含むものが好ましい。
本発明のマレイミド系重合体は、それ自体に塗布成膜適性があり、別にバインダー材料を添加したりすることなく、求める電荷輸送性能を発現する電荷輸送層や電荷輸送性を有する発光層等を容易に形成することができ、製造プロセスを単純化することができる。
マレイミド系重合体には、上記式(1)の必須構成単位や上記式(3)の発光性を有する構成単位の他に、電荷輸送性基の濃度を変えて光の強度を調節するためや、溶解性等の塗布適性を向上させたりするため等に、マレイミドと共重合可能なその他の共重合成分を含むことができる。その他の共重合成分としては、例えば、N−置換マレイミドモノマーや、エチレン性二重結合やその他の二重結合を有する化合物等が挙げられる。N−置換マレイミドモノマーとしては、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド等の芳香族置換マレイミドのほか、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のアルキル置換マレイミドが挙げられる。エチレン性二重結合やその他二重結合を有する化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、p−クロルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、インデン、p−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等の芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルアクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、メトキシトリエチレングルコールアクリレート、メトキシトリエチレングルコールメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、エタクリル酸、けい皮酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート、2−アクリロイロキシエチルこはく酸、2−メタクリロイロキシエチルこはく酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類;2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド等の不飽和アミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルアクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類;ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール等を挙げることができる。
この中でも、本発明におけるマレイミド共重合体の他の共重合成分としては、耐熱性、透明性、反応性の点から、スチレン系モノマーや(メタ)アクリレート系モノマー、ビニルカルバゾールが好ましく、特に、スチレン、メチルメタクリレート、ビニルカルバゾールが好ましい。前記その他の共重合成分は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
マレイミド系重合体は、要求される特性に合わせて最適な構成単位を選択した上で、構成単位の割合を調節する。構成単位の種類は何種類含まれても良く、また、各構成単位の割合は任意で含有することができる。
本発明のマレイミド系重合体に充分な電荷輸送性能と耐熱性を付与するためには、マレイミド系重合体に含まれる式(1)で表される構成単位の共重合割合が0.1モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることが更に好ましく、30モル%以上であることが特に好ましい。
本発明のマレイミド系重合体に充分な電荷輸送性能と耐熱性を付与するためには、マレイミド系重合体に含まれる式(1)で表される構成単位の共重合割合が0.1モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることが更に好ましく、30モル%以上であることが特に好ましい。
本発明のマレイミド系重合体は、上記式(1)で表される構成単位1と、その他の共重合成分としてのN−置換マレイミドモノマー単位の共重合割合の和が30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上が更に好ましい。N−置換マレイミドモノマー単位の共重合割合の和が30モル%を下回る場合には耐熱性が低下する恐れがあるため、必要とされる耐熱性に合わせて、上記式(1)及びその他のN−置換マレイミドモノマー単位の割合を調節する必要がある。
本発明に係るマレイミド系重合体が、電荷輸送性を有する式(1)で表される構成単位1と共に、発光性を有する式(3)で表される構成単位2を含有する場合には、十分な電荷輸送性能と発光性能を付与するために、構成単位2を50〜10モル%、構成単位1を含む他成分を50〜90モル%の割合で含有する共重合体とすることが好ましい。
本発明のマレイミド系重合体を、有機電界発光素子における単層構造の形成に用いる場合、すなわち、正孔輸送性及び電子輸送性の両方の電荷輸送性を有する発光層の形成に用いる場合には、正孔と電子の両方を十分に輸送でき、且つ発光する性質を付与する必要がある。このような場合、本発明のマレイミド系重合体は、例えば、上記式(4)で表される構成単位2において、R2bとしてピレン系化合物の残基を用いた場合には、当該構成単位2を50〜10モル%、構成単位1を含む他成分を50〜90モル%の割合で含有することが好ましく、R2bとしてキナクリドン系化合物の残基を用いた場合には、当該構成単位2を50〜10モル%、構成単位1を含む他成分を50〜90モル%の割合で含有することが好ましく、或いは、R2bとして希土類金属配位化合物の残基を用いた場合には、当該構成単位2を20〜10モル%、構成単位1を含む他成分を80〜90モル%の割合で含有することが好ましい。
本発明のマレイミド系重合体を、有機電界発光素子における単層構造の形成に用いる場合、すなわち、正孔輸送性及び電子輸送性の両方の電荷輸送性を有する発光層の形成に用いる場合には、正孔と電子の両方を十分に輸送でき、且つ発光する性質を付与する必要がある。このような場合、本発明のマレイミド系重合体は、例えば、上記式(4)で表される構成単位2において、R2bとしてピレン系化合物の残基を用いた場合には、当該構成単位2を50〜10モル%、構成単位1を含む他成分を50〜90モル%の割合で含有することが好ましく、R2bとしてキナクリドン系化合物の残基を用いた場合には、当該構成単位2を50〜10モル%、構成単位1を含む他成分を50〜90モル%の割合で含有することが好ましく、或いは、R2bとして希土類金属配位化合物の残基を用いた場合には、当該構成単位2を20〜10モル%、構成単位1を含む他成分を80〜90モル%の割合で含有することが好ましい。
マレイミド系重合体の分子量は、溶剤溶解性と均一な成膜性を保持するために、重量平均分子量で10,000〜100,000が好ましく、10,000〜50,000が最も好ましい。重量平均分子量が上記範囲であれば、溶剤溶解性、成膜性、耐熱性や熱安定性が好ましく保持される。
また、マレイミド系重合体は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が3以下であることが好ましく、2.5以下が更に好ましく、2以下が最も好ましい。上記範囲であれば、耐熱性や熱安定性、電荷輸送特性等が好ましく保持される。
また、マレイミド系重合体は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が3以下であることが好ましく、2.5以下が更に好ましく、2以下が最も好ましい。上記範囲であれば、耐熱性や熱安定性、電荷輸送特性等が好ましく保持される。
本発明に係るマレイミド系重合体は、式(1)で表される構成単位に対応する1種又は2種以上のN−置換マレイミドモノマーを、必要に応じて他のモノマーと(共)重合させることによって合成することができる。
マレイミド系重合体の合成方法としては、公知の溶液重合、懸濁重合、乳化重合などを採用できるが、懸濁重合や乳化重合では懸濁剤や乳化剤が混入するため、透明性低下の原因となる恐れがあるほか、電荷輸送特性の低下を招く可能性があるため、溶剤存在下で共重合を行う溶液重合法によって得られたものを用いるのが好ましい。
マレイミド系重合体の合成方法としては、公知の溶液重合、懸濁重合、乳化重合などを採用できるが、懸濁重合や乳化重合では懸濁剤や乳化剤が混入するため、透明性低下の原因となる恐れがあるほか、電荷輸送特性の低下を招く可能性があるため、溶剤存在下で共重合を行う溶液重合法によって得られたものを用いるのが好ましい。
重合反応における重合温度は、使用する重合開始剤に合わせて設定すれば良く、特に限定されないが、50〜150℃が好ましく、70〜120℃が更に好ましい。重合温度が上記範囲を下回ると、分解温度の低い開始剤を用いる必要があり、開始剤を冷却保存する設備が必要となるなど、工業的製造に不利である。一方、重合温度が上記範囲を上回ると、開始剤の分解温度に達する前に重合成分が熱重合し始めるため好ましくない。
上記の溶液重合で使用する溶剤は、溶液重合反応に支障なく、また、原料である重合成分と、生成したマレイミド系重合体の両方を溶解し得る液体であれば特に制限はなく、例えば、メタノール、エタノール、グリコール等の炭素原子数1〜3個の脂肪族アルコール;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;酢酸セロソルブ、酢酸カルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル;シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;或いは、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の極性を有する有機溶剤を用いることができる。非水系の分散重合に用いられる溶剤は、原料である重合成分が溶解可能で、且つ、生成したマレイミド系重合体が不溶である液体であれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサンのような液状の炭化水素、或いは、その他の非極性の有機溶剤を用いることができる。上記の溶液重合や非水系の分散重合に用いられる溶剤の量は、重合成分の合計重量に対して70〜95重量%が好ましく、85〜95重量%がより好ましい。溶剤の量が上記範囲であれば、重合終了時に増粘のため攪拌が不充分となる恐れがなく、生成するマレイミド系重合体の分子量が小さすぎる恐れもない。
マレイミド系重合体を製造するための重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤である過酸化物、アゾ開始剤が好適に用いられる。重合開始剤は、重合温度に応じて適宜選択し、共重合成分の合計量に対して、通常、0.001〜5.0重量%の割合で使用される。
マレイミド系重合体の分子量を調節するために、重合時に連鎖移動剤を用いることができ、例えば、α−メチルスチレンやメルカプタン系の連鎖移動剤を例示することができる。
マレイミド系重合体の分子量を調節するために、重合時に連鎖移動剤を用いることができ、例えば、α−メチルスチレンやメルカプタン系の連鎖移動剤を例示することができる。
重合反応の終了後に反応液から揮発分を除去してマレイミド系重合体を分離する方法としては、反応液を真空下で加熱する方法、反応液を貧溶媒中に投入して沈殿させ濾別する方法などを採用できる。
マレイミド系重合体は、重合成分或いは溶剤などの残存する揮発分が2000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがさらに好ましく、500ppm以下であることが特に好ましい。残存揮発分が多いと熱安定性が低下したり、着色の原因となるため好ましくない。
マレイミド系重合体は、重合成分或いは溶剤などの残存する揮発分が2000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがさらに好ましく、500ppm以下であることが特に好ましい。残存揮発分が多いと熱安定性が低下したり、着色の原因となるため好ましくない。
本発明に係るマレイミド系重合体は、電圧の印加によって電荷を輸送する特性を必要とする機能性材料として用いることができ、例えば、有機電界発光素子に設けられる各種の機能層、例えば、正孔輸送層、電子輸送層といった電荷輸送層、さらに、電荷輸送層に電荷注入の機能を付与した電荷注入層と一体化された電荷輸送層、発光層に電荷輸送の機能を付与した電荷輸送層と一体化された発光層等を作製するのに適している。
また、本発明のマレイミド系重合体は、主鎖骨格がマレイミド構造を有するので耐熱性が高く、高温環境に曝されても黄変等の変色を起こし難い。従って、本発明に係るマレイミド系重合体を用いて、製造時の耐熱性及び製造後の耐久性に優れた機能層又は機能部材を形成することができる。
例えば、本発明に係るマレイミド系重合体を用いて表示素子を作製した場合には、表示素子の製造時に高温に加熱する工程を経たとしても、黄変等の変色や輝度の低下を起こし難い。さらに、表示素子を製造するための加熱工程に曝される場合だけでなく、製造後に表示装置を日当たりの良い屋外に放置したり、使用中に表示装置の温度が上昇する等の理由で高温環境に曝される場合でも、黄変等の変色や輝度の低下が起こり難く、表示品質の劣化を防止することができる。従って、本発明のマレイミド系重合体を使用すると、耐熱性が高く変色や輝度低下等の表示品質の劣化を起こさない高品質で且つ耐久性に優れた有機電界発光素子等を得ることができる。
また、本発明に係るマレイミド系重合体は、溶剤への溶解又は分散性、及び、塗布適性に優れているため、溶媒を用いて基材に塗布する湿式成膜法によって有機電界発光素子等の層を形成することが可能である。従って、本発明に係るマレイミド系重合体を用いて有機発光素子等の層を形成した場合には、真空蒸着法を用いて有機発光素子等の層を形成する場合に比べて製造コストが安価で、大面積の基材に容易に塗布することが可能となる。
以下において、本発明に係るマレイミド系重合体を用いて有機電界発光素子の各種機能層を形成するためのインキを調製する方法、及び、当該インキを用いる湿式法により有機電界発光素子を作製する方法について説明する。
以下において、本発明に係るマレイミド系重合体を用いて有機電界発光素子の各種機能層を形成するためのインキを調製する方法、及び、当該インキを用いる湿式法により有機電界発光素子を作製する方法について説明する。
(2)有機電界発光素子用インキ
上記本発明に係るマレイミド系重合体を、適宜選択した溶剤に溶解又は分散し、必要に応じて他の成分を配合することによって、有機電界発光素子用インキが得られる。
なお、上記マレイミド系重合体の合成によって得られた反応液は、そのまま有機電界発光素子用インキとして用いてもよいし、或いは、上記マレイミド系重合体を含有する反応液又は当該反応液から分離したマレイミド系重合体を溶剤に溶解又は分散させて塗布可能な濃度に調節し、さらに必要に応じて他の成分を加えることによって、有機電界発光素子用インキを調製してもよい。
上記本発明に係るマレイミド系重合体を、適宜選択した溶剤に溶解又は分散し、必要に応じて他の成分を配合することによって、有機電界発光素子用インキが得られる。
なお、上記マレイミド系重合体の合成によって得られた反応液は、そのまま有機電界発光素子用インキとして用いてもよいし、或いは、上記マレイミド系重合体を含有する反応液又は当該反応液から分離したマレイミド系重合体を溶剤に溶解又は分散させて塗布可能な濃度に調節し、さらに必要に応じて他の成分を加えることによって、有機電界発光素子用インキを調製してもよい。
有機電界発光素子用インキに配合される他の成分は、当該インキの用途により様々であるが、例えば、電荷輸送機能を有する有機化合物の残基を導入したマレイミド系重合体を用いた電荷輸送層用インキの場合には、電荷輸送性能を向上させる等の目的でドーピング剤を添加してもよい。このようなドーピング剤としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体等を挙げることができる。
さらに、本発明の有機電界発光素子用インキには、各種添加剤も必要に応じて配合することができる。例えば、例えば、ポリシロキサンを配合して、レベリング性を向上させることが可能である。
さらに、本発明の有機電界発光素子用インキには、各種添加剤も必要に応じて配合することができる。例えば、例えば、ポリシロキサンを配合して、レベリング性を向上させることが可能である。
本発明の有機電界発光素子用インキを調製するための溶剤としては、マレイミド系重合体を溶解し、高沸点であり、塗布性が良いことが望まれる。使用可能な溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤などの有機溶剤、又は、それらの混合溶剤を例示することができる。
これらの溶剤の中では、溶解性の観点から乳酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等が、成膜性の観点からトルエン、キシレン等が各々好ましく、実際にはこれらの混合溶剤を使用するのが好ましい。
特に、後述するような回転処理工程を経て層を形成する場合には、塗布工程の後に回転処理工程を行うので、直ぐに揮発してしまっては回転処理工程の際の平滑度を確保することができないため、なるべく揮発性の低い溶媒を用いることが好ましい。具体的には、トリクロロエタン、キシレン、トルエン、エタノール、水、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、モノクロロベンゼン、メシチレン、シメン、フェネトール、アニソール、ドデシルベンゼン、テトラリン等を挙げることができる。
特に、後述するような回転処理工程を経て層を形成する場合には、塗布工程の後に回転処理工程を行うので、直ぐに揮発してしまっては回転処理工程の際の平滑度を確保することができないため、なるべく揮発性の低い溶媒を用いることが好ましい。具体的には、トリクロロエタン、キシレン、トルエン、エタノール、水、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテル、モノクロロベンゼン、メシチレン、シメン、フェネトール、アニソール、ドデシルベンゼン、テトラリン等を挙げることができる。
溶剤の使用量は、配合成分の溶解状態や塗布性を考慮して適宜調節するが、通常は、固形分濃度が0.5%〜5%程度となるように調節される。特に、後述するような回転処理工程を経て層を形成する場合には、このようなインキの濃度としては、形成する層の所望の膜厚、溶解もしくは分散させる材料、さらには溶媒の種類等によって大きく異なるものであるが、濃度が高すぎる場合は層を所望の薄さの膜厚とすることができず、低すぎる場合は平滑度を確保することが困難である。したがって、固形分濃度が、通常0.01重量%〜20重量%の範囲内、中でも0.1重量%〜10重量%の範囲内、特に0.2重量%〜5.0重量%の範囲内の濃度が好適に用いられる。
このようにして得られた有機電界発光素子用インキは、正孔輸送層、電子輸送層といった電荷輸送層、さらに、電荷輸送層に電荷注入の機能を付与した電荷注入層と一体化された電荷輸送層、発光層に電荷輸送の機能を付与した電荷輸送層と一体化された発光層等を形成することができる。
(3)有機電界発光素子
適宜選択した基材上に、上記本発明に係るマレイミド系重合体を含有するインキを湿式法により塗布し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化させることにより電荷輸送層、電荷輸送の機能を有する発光層等の機能層を形成し、有機電界発光素子を作製することができる。
適宜選択した基材上に、上記本発明に係るマレイミド系重合体を含有するインキを湿式法により塗布し、必要に応じて乾燥及び/又は硬化させることにより電荷輸送層、電荷輸送の機能を有する発光層等の機能層を形成し、有機電界発光素子を作製することができる。
以下、EL素子を例に挙げて本発明に係る有機電界発光素子の作製方法を説明する。
EL素子の基材は特に限定されるものではなく、電極層に必要な強度があれば電極層を兼ねるように形成されたものであってもよい。基材の材質としては、用途に応じて、例えばフレキシブルな材質であっても、硬質な材質であってもよい。具体的に用いることができる材料としては、例えば、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等を挙げることができる。これらの基材の材料は、発光層で発光された光が基材側を透過して取り出される場合は、透明な材質である必要があるが、基材と反対側に取り出される場合は、透明な材料に限定されるものではない。
また、基材の形状としては、枚葉状でも連続状でもよく、具体的な形状としては、例えば、カード状、フィルム状、ディスク状、チップ状等を挙げることができる。
EL素子の基材は特に限定されるものではなく、電極層に必要な強度があれば電極層を兼ねるように形成されたものであってもよい。基材の材質としては、用途に応じて、例えばフレキシブルな材質であっても、硬質な材質であってもよい。具体的に用いることができる材料としては、例えば、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等を挙げることができる。これらの基材の材料は、発光層で発光された光が基材側を透過して取り出される場合は、透明な材質である必要があるが、基材と反対側に取り出される場合は、透明な材料に限定されるものではない。
また、基材の形状としては、枚葉状でも連続状でもよく、具体的な形状としては、例えば、カード状、フィルム状、ディスク状、チップ状等を挙げることができる。
上述したような基材上に形成される電極層は、例えば真空スパッタリング、真空蒸着といった方法や、塗工液を塗布することにより形成する方法等により形成され、その製造方法は特に限定されるものではない。
また、この電極層は上記基材と同様に、発光層から発光された光の取り出し方向により、その透明性が要求されるか否かが異なり、基材側から光を取り出す場合は、透明な材料で形成される必要があり、また基材と反対側から取り出す場合は透明である必要はない。
また、この電極層は上記基材と同様に、発光層から発光された光の取り出し方向により、その透明性が要求されるか否かが異なり、基材側から光を取り出す場合は、透明な材料で形成される必要があり、また基材と反対側から取り出す場合は透明である必要はない。
さらに、上記電極層は、陽極であっても陰極であってもよいが、通常は陽極として形成される。このような陽極として形成される場合の電極層の材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、金のような仕事関数の大きな金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を挙げることができる。一方、この電極層が陰極として形成される場合に用いられる材料としては、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Caをはじめとするアルカリ金属類、それらアルカリ金属類の合金のような仕事関数の小さな金属等を挙げることができる。
このような電極層が形成された基材の電極層が形成された面上にEL素子が形成される。ここで、EL素子とは、発光層を含む1層もしくは複数層の有機層と電極から形成されるものである。すなわち、EL素子とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の有機素子をいう。通常、塗布による湿式法でEL素子を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、1層もしくは2層の有機層で形成される場合が多いが、有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
発光層以外にEL素子内に形成される層としては、正孔注入層や電子注入層といった電荷注入層、さらに、正孔輸送層、電子輸送層といった電荷輸送層、電荷注入層と一体化された電荷輸送層、その他、正孔ブロック層、電子ブロック層等のキャリアのつきぬけを防止し、効率よくキャリアの再結合させるための層等の様々な機能層を挙げることができる。
上記EL素子形成用機能層のうち、電荷輸送性が要求される少なくとも一層を、本発明に係るマレイミド系重合体を含有する有機電界発光素子用インキを用いて形成することができる。具体的には、電極層が形成された基材の電極層が形成された面上、又はすでに形成された機能層上に、本発明に係る有機電界発光素子用インキを塗布して、電子電荷輸送層、正孔電荷輸送層、バイポーラ性電荷輸送層等の電荷輸送層、電荷輸送性を有する発光層等の機能層を形成する。
上記EL素子形成用機能層のうち、電荷輸送性が要求される少なくとも一層を、本発明に係るマレイミド系重合体を含有する有機電界発光素子用インキを用いて形成することができる。具体的には、電極層が形成された基材の電極層が形成された面上、又はすでに形成された機能層上に、本発明に係る有機電界発光素子用インキを塗布して、電子電荷輸送層、正孔電荷輸送層、バイポーラ性電荷輸送層等の電荷輸送層、電荷輸送性を有する発光層等の機能層を形成する。
塗布方法は、特に限定されるものではなく、前記有機電界発光素子用インキを基材上に塗布することができる方法であればいかなる方法であっても用いることができる。具体的には、スピンコート法、ダイコート法、ビードコート法、もしくはブレードコート法等を挙げることができる。大面積であっても表面の平滑度が高く膜の均一性の高い層を得るためには、特開2001−351780に開示されているような、ビードコート法等による塗布工程を経た後に、塗布した基材を回転させることにより有機層表面を平滑にする回転処理工程を経る製造方法を採用することが好ましい。
上記有機電界発光素子用インキを用いて電界発光に関与する機能層を形成する場合には、有機電界発光素子の種類、形成する層の種類によっても異なるが、例えば発光層又は電荷輸送性発光層を形成する場合には、膜厚は10〜100nmが好ましく、更に50〜90nmが好ましい。
前記インキを基材上に塗布した後、インキの性質に応じた硬化処理等が施されて、層が形成される。具体的には、自然乾燥や真空乾燥、さらには加熱することにより溶媒を除去する方法や、光等を照射して硬化させる方法等により処理されて層が形成される。
前記インキを基材上に塗布した後、インキの性質に応じた硬化処理等が施されて、層が形成される。具体的には、自然乾燥や真空乾燥、さらには加熱することにより溶媒を除去する方法や、光等を照射して硬化させる方法等により処理されて層が形成される。
本発明において有機電界発光素子、例えば有機EL素子を作製する場合には、上記EL素子形成用機能層のうち、電荷輸送性が要求される少なくとも一層を、上記有機電界発光素子用インキを用いて形成し、さらに必要であれば他の方法により別の機能層を形成する。そして、この1層もしくは複数の機能層上に例えば第2の電極層を形成し、さらに保護層を形成し、封止する等、有機EL素子に必要な種々の部材を形成することにより、有機EL素子を得ることができる。
他の有機電界発光素子についても、上記方法に必要に応じて変更を加えた上で上記有機EL素子と同様に得ることができる。
他の有機電界発光素子についても、上記方法に必要に応じて変更を加えた上で上記有機EL素子と同様に得ることができる。
このようにして、耐熱性が高く変色や輝度低下等の表示品質の劣化を起こさず高品質であり、高発光効率、高輝度の発光特性を有する有機電界発光素子を得ることができる。上記湿式法によれば、大面積の表示領域を有する有機電界発光素子とすることも可能である。
このようにして製造された有機電界発光素子は、モジュール工程を経て得られたモジュールと異方性導電膜(ACF)等で熱圧着等され、これにより、発光パネルが得られる。
このようにして製造された有機電界発光素子は、モジュール工程を経て得られたモジュールと異方性導電膜(ACF)等で熱圧着等され、これにより、発光パネルが得られる。
(実施例1)
<N−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体の合成>
20ml反応容器に、N−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド5.0重量部、ビニルカルバゾール5.0重量部、溶媒としてメチルエチルケトン90重量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」日本油脂(株)製)0.2重量部を入れ、気相部を窒素置換したのち、80℃のオイルバスで加熱して、5時間重合反応を行った。その後、反応物を室温にまで冷却したのち大量のメタノール中に投入することによりポリマーを析出させ、析出したポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、100℃の真空乾燥機で乾燥し、下記式(5)で表されるN−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体(50/50重量比)を得た。得られた共重合体の重量から算出される収率は80%であった。
<N−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体の合成>
20ml反応容器に、N−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド5.0重量部、ビニルカルバゾール5.0重量部、溶媒としてメチルエチルケトン90重量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」日本油脂(株)製)0.2重量部を入れ、気相部を窒素置換したのち、80℃のオイルバスで加熱して、5時間重合反応を行った。その後、反応物を室温にまで冷却したのち大量のメタノール中に投入することによりポリマーを析出させ、析出したポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、100℃の真空乾燥機で乾燥し、下記式(5)で表されるN−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体(50/50重量比)を得た。得られた共重合体の重量から算出される収率は80%であった。
(ランダム共重合体である。式中、l及びmは各々整数である。)
得られた共重合体について、示差走査熱量計(DSC)(理学電気製「DSC8230」)にて測定したガラス転移点は220℃であり、示差熱熱重量同時測定装置(TG−DTA)(理学電気製「TG8120」)にて窒素気流下10℃/分の昇温速度で測定した熱分解温度(5%重量減温度)は310℃であった。
得られた共重合体について、示差走査熱量計(DSC)(理学電気製「DSC8230」)にて測定したガラス転移点は220℃であり、示差熱熱重量同時測定装置(TG−DTA)(理学電気製「TG8120」)にて窒素気流下10℃/分の昇温速度で測定した熱分解温度(5%重量減温度)は310℃であった。
(実施例2)
<N−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/N−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体のイリジウムアセチルアセトナート錯体>
(前駆共重合体の合成)
20ml反応容器に、N−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド3.0重量部、N−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド3.0重量部、ビニルカルバゾール4.0重量部、溶媒としてメチルエチルケトン90重量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」日本油脂(株)製)0.2重量部を入れ、気相部を窒素置換したのち、80℃のオイルバスで加熱して、5時間重合反応を行った。その後、反応物を室温にまで冷却したのち大量のメタノール中に投入することによりポリマーを析出させ、析出したポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、100℃の真空乾燥機で乾燥して、N−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/N−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体(30/30/40重量比)を得た。得られた共重合体の重量から算出される収率は80%であった。
<N−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/N−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体のイリジウムアセチルアセトナート錯体>
(前駆共重合体の合成)
20ml反応容器に、N−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド3.0重量部、N−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド3.0重量部、ビニルカルバゾール4.0重量部、溶媒としてメチルエチルケトン90重量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(「パーブチルO」日本油脂(株)製)0.2重量部を入れ、気相部を窒素置換したのち、80℃のオイルバスで加熱して、5時間重合反応を行った。その後、反応物を室温にまで冷却したのち大量のメタノール中に投入することによりポリマーを析出させ、析出したポリマーを濾過しメタノールで洗浄後、100℃の真空乾燥機で乾燥して、N−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/N−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体(30/30/40重量比)を得た。得られた共重合体の重量から算出される収率は80%であった。
(イリジウム錯体による発光性マレイミド共重合体の合成)
30ml反応容器に、上記で得られたN−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/N−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体0.5g、イリジウムアセチルアセトナート錯体(Ir(acac)3)0.5g、溶媒としてグリセリン20gを入れ、窒素気流下に180℃で12時間反応させた。更に一旦室温に冷却したあとクロロホルム10gを加え、クロロホルムの還流下に24時間反応させた。
その後、反応混合物をクロロホルム20gで希釈し、希塩酸水溶液で洗浄した。更にイオン交換水で5回洗浄したのち、有機層から溶媒を留去し、再度2gのクロロホルムに溶解させ、大量のメタノール中に投入して沈殿した黄色粉末を濾過した。100℃の真空乾燥器にて乾燥し、下記式(6)で表されるN−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/N−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体のイリジウムアセチルアセトナート錯体0.5gを得た。
30ml反応容器に、上記で得られたN−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/N−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体0.5g、イリジウムアセチルアセトナート錯体(Ir(acac)3)0.5g、溶媒としてグリセリン20gを入れ、窒素気流下に180℃で12時間反応させた。更に一旦室温に冷却したあとクロロホルム10gを加え、クロロホルムの還流下に24時間反応させた。
その後、反応混合物をクロロホルム20gで希釈し、希塩酸水溶液で洗浄した。更にイオン交換水で5回洗浄したのち、有機層から溶媒を留去し、再度2gのクロロホルムに溶解させ、大量のメタノール中に投入して沈殿した黄色粉末を濾過した。100℃の真空乾燥器にて乾燥し、下記式(6)で表されるN−3−(9−エチルカルバゾイル)マレイミド/N−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド/ビニルカルバゾール共重合体のイリジウムアセチルアセトナート錯体0.5gを得た。
(ランダム共重合体である。式中、l、m及びnは各々整数である。)
イリジウムの元素分析から求めたN−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド単量体単位の錯体化率は60%であった。ポリスチレンを標準物質とするゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で求めた重量平均分子量は22000であった。
イリジウムの元素分析から求めたN−3−(2−フェニルピリジル)マレイミド単量体単位の錯体化率は60%であった。ポリスチレンを標準物質とするゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で求めた重量平均分子量は22000であった。
(1)成膜性の評価
実施例1で得られたマレイミド共重合体のジクロロエタン1重量%溶液、実施例2で得られたマレイミド重合体のジクロロエタン1重量%溶液を、それぞれ無アルカリガラス基板上にスピンコーティング法により塗布した結果、いずれも析出物の無い、均一な透明塗布膜が形成された。
実施例1で得られたマレイミド共重合体のジクロロエタン1重量%溶液、実施例2で得られたマレイミド重合体のジクロロエタン1重量%溶液を、それぞれ無アルカリガラス基板上にスピンコーティング法により塗布した結果、いずれも析出物の無い、均一な透明塗布膜が形成された。
(2)発光特性の評価
実施例2で得られたマレイミド共重合体のジクロロエタン1重量%溶液を検体として、分光蛍光光度計((株)日立製作所製F−4500)により、発光特性を評価した。その結果、ブロードなカルバゾール成分由来の発光(極大波長440nm)の他に、520nmに発光基由来の良好な発光を確認した。
実施例2で得られたマレイミド共重合体のジクロロエタン1重量%溶液を検体として、分光蛍光光度計((株)日立製作所製F−4500)により、発光特性を評価した。その結果、ブロードなカルバゾール成分由来の発光(極大波長440nm)の他に、520nmに発光基由来の良好な発光を確認した。
(3)耐熱性の評価
成膜性の評価で得られた各塗布膜サンプルを、150℃のオーブン中で1時間加熱した後、膜表面の観察、重量減少率の調査(パーキンエルマー社製TGA熱分析装置使用)を行った。その結果、膜に変色や変質がなく、加熱前後の重量変化率も5%以下であり、実施例1及び実施例2で得られたマレイミド共重合体が、十分な耐熱性を有することが確認された。
成膜性の評価で得られた各塗布膜サンプルを、150℃のオーブン中で1時間加熱した後、膜表面の観察、重量減少率の調査(パーキンエルマー社製TGA熱分析装置使用)を行った。その結果、膜に変色や変質がなく、加熱前後の重量変化率も5%以下であり、実施例1及び実施例2で得られたマレイミド共重合体が、十分な耐熱性を有することが確認された。
(4)有機EL素子の作製及び動作確認
<有機EL素子1>
ガラス基板上にITOの透明導電性膜が成膜された基板に、洗浄及びUV/オゾン処理を施した。次いで、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート水分散液(略称PEDOT/PSS、商品名Baytron PTP AI4083、バイエル社製)を上記基板上に滴下し、スピンコートした。その後140℃のホットプレート上で30分間加熱乾燥することにより、膜厚50nmの正孔注入層を形成した。
続いて、実施例1で得られたマレイミド重合体のジクロロエタン1重量%溶液(マレイミド重合体のインキ)を上記正孔注入層上にスピンコートした。その後100℃のホットプレート上で加熱乾燥することにより、膜厚50nmの正孔輸送層を形成した。さらに、赤色発光層用インキ(商品名ADS100TS、American Dye Source社製)を上記正孔輸送層上に滴下してスピンコートし、同様に100℃のホットプレート上で加熱乾燥することにより、膜厚80nmの赤色発光層を形成した。続いて、0.2nm/sの成膜速度で膜厚10nmのカルシウム薄膜を真空蒸着し、更にその上に2nm/sの成膜速度で膜厚80nmの銀薄膜を真空蒸着し電極を形成して有機EL素子1を得た。
<有機EL素子1>
ガラス基板上にITOの透明導電性膜が成膜された基板に、洗浄及びUV/オゾン処理を施した。次いで、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート水分散液(略称PEDOT/PSS、商品名Baytron PTP AI4083、バイエル社製)を上記基板上に滴下し、スピンコートした。その後140℃のホットプレート上で30分間加熱乾燥することにより、膜厚50nmの正孔注入層を形成した。
続いて、実施例1で得られたマレイミド重合体のジクロロエタン1重量%溶液(マレイミド重合体のインキ)を上記正孔注入層上にスピンコートした。その後100℃のホットプレート上で加熱乾燥することにより、膜厚50nmの正孔輸送層を形成した。さらに、赤色発光層用インキ(商品名ADS100TS、American Dye Source社製)を上記正孔輸送層上に滴下してスピンコートし、同様に100℃のホットプレート上で加熱乾燥することにより、膜厚80nmの赤色発光層を形成した。続いて、0.2nm/sの成膜速度で膜厚10nmのカルシウム薄膜を真空蒸着し、更にその上に2nm/sの成膜速度で膜厚80nmの銀薄膜を真空蒸着し電極を形成して有機EL素子1を得た。
得られた有機EL素子1のITOの電極を可変直流電源の正極に、銀の電極を負極にそれぞれ接続し、直流電圧を印加したところ、発光層から最高発光効率0.7cd/Aの良好な赤色EL発光が確認された。
<有機EL素子2>
ガラス基板上にITOの透明導電性膜が成膜された基板に、洗浄及びUV/オゾン処理を施した。次いで、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート水分散液(略称PEDOT/PSS、商品名Baytron PTP AI4083、バイエル社製)を上述基板上に滴下し、スピンコートした。その後140℃のホットプレート上で30分間加熱乾燥することにより、膜厚50nmの正孔注入層を形成した。
続いて、実施例2で得られたマレイミド重合体のジクロロエタン1重量%溶液(マレイミド重合体のインキ)を上記正孔注入層上にスピンコートした。その後100℃のホットプレート上で加熱乾燥することにより、膜厚100nmの正孔輸送層兼りん光発光層を形成した。続いて、0.2nm/sの成膜速度で膜厚10nmのカルシウム薄膜を真空蒸着し、更にその上に2nm/sの成膜速度で膜厚80nmの銀薄膜を真空蒸着し電極を形成して有機EL素子2を得た。
ガラス基板上にITOの透明導電性膜が成膜された基板に、洗浄及びUV/オゾン処理を施した。次いで、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート水分散液(略称PEDOT/PSS、商品名Baytron PTP AI4083、バイエル社製)を上述基板上に滴下し、スピンコートした。その後140℃のホットプレート上で30分間加熱乾燥することにより、膜厚50nmの正孔注入層を形成した。
続いて、実施例2で得られたマレイミド重合体のジクロロエタン1重量%溶液(マレイミド重合体のインキ)を上記正孔注入層上にスピンコートした。その後100℃のホットプレート上で加熱乾燥することにより、膜厚100nmの正孔輸送層兼りん光発光層を形成した。続いて、0.2nm/sの成膜速度で膜厚10nmのカルシウム薄膜を真空蒸着し、更にその上に2nm/sの成膜速度で膜厚80nmの銀薄膜を真空蒸着し電極を形成して有機EL素子2を得た。
得られた有機EL素子2の発光特性を、上記有機EL素子1と同様の方法により評価したところ、正孔輸送層兼りん光発光層から最高発光効率10cd/Aの良好な緑色EL発光が確認された。
<有機EL素子3>
上記有機EL素子1の作製において、実施例1で得られたマレイミド重合体を、一般的な正孔輸送材料であるポリビニルカルバゾール(東京化成工業(株)製試薬)に置き換えて、全く同様に有機EL素子3を作製した。
得られた有機EL素子3の発光特性を、上記有機EL素子2と同様の方法により評価したところ、発光層から最高発光効率0.3cd/Aの赤色発光が確認された。
上記有機EL素子1の作製において、実施例1で得られたマレイミド重合体を、一般的な正孔輸送材料であるポリビニルカルバゾール(東京化成工業(株)製試薬)に置き換えて、全く同様に有機EL素子3を作製した。
得られた有機EL素子3の発光特性を、上記有機EL素子2と同様の方法により評価したところ、発光層から最高発光効率0.3cd/Aの赤色発光が確認された。
Claims (7)
- 前記式(2)においてR1bが、カルバゾール又はその誘導体、ビスカルバゾールビフェニル又はその誘導体、トリアリールアミン又はその誘導体、オキサジアゾール又はその誘導体、トリアジン又はその誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物の残基である、請求項2に記載のマレイミド系重合体。
- 前記式(4)においてR2bが、蛍光又はりん光発光性基である、請求項5に記載のマレイミド系重合体。
- 前記式(4)においてR2bが、ピレン系化合物、ペリレン系化合物、ナフタレン系化合物、フェナントレン系化合物、テトラセン系化合物、キナクリドン系化合物、ジオキサジン系化合物、コロネン系化合物、フルオレセイン系化合物、クマリン系化合物、キノリン金属錯体化合物、希土類金属配位化合物、イリジウム配位化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物の残基からなる蛍光又はりん光発光性基である、請求項6に記載のマレイミド系重合体。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007060826A1 (ja) * | 2005-11-24 | 2007-05-31 | Konica Minolta Holdings, Inc. | 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 |
CN115819786A (zh) * | 2022-11-08 | 2023-03-21 | 江苏科技大学 | 一种基于铕基发光金属有机骨架材料及其制备方法和应用 |
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2004
- 2004-03-17 JP JP2004075921A patent/JP2005263900A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007060826A1 (ja) * | 2005-11-24 | 2007-05-31 | Konica Minolta Holdings, Inc. | 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 |
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