JP2005263678A - 歯のコーティング剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 持続的にむし歯予防効果の得られる組成物の提供。
【解決手段】 次の成分(A)及び(B):
(A)リン系酸残基、カルボキシル基又はカルボニルオキシカルボニル基を有する被膜形成性ポリマー
(B)フッ化カルシウム及び/又はフッ化カルシウム−モノフルオロリン酸複合粒子
を含有する歯のコーティング剤組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は歯牙表面に持続的にフッ化カルシウムを供給し、長期間むし歯予防効果の得られる歯のコーティング剤組成物に関する。
むし歯を予防する方法として、(1)歯に耐酸性を与えることにより、歯を構成する成分を、むし歯の直接的原因になる酸に溶けにくくすること、(2)歯への再石灰化作用を促進することにより、溶け出した歯の成分をより多く補うことが挙げられる。
フッ化物は、歯の成分であるハイドロキシアパタイトをフルオロアパタイトに変え、酸に溶けにくくすることができると共に、ハイドロキシアパタイトの生成を促進することにより再石灰化を促進する効果が高いため、歯科の医療現場ではむし歯を予防するための処置としてフッ化物を歯に塗布する処置をしていた。この場合、最も一般的に用いられるフッ化物製剤は、リン酸酸性フッ素溶液(以下、APFという。)である。
APFによる処置は、酸により歯の複分解を促進し歯に含まれるカルシウムを利用してフッ化カルシウムを形成させフッ素を取り込ませるという処理をしていたため、フッ化カルシウムを形成させるために時間がかかった。具体的には、APFをヒトの歯に塗布し、塗布された状態で4分間放置し、その後更に30分以上の飲食を禁止することが必要であった。この場合、治療・処置を受ける者は、塗布後口を開けたまま4分間我慢する必要があり、さらに、APFは酸味が強く味の点から好ましくなく、前記処置を受ける患者に対して負担になる。特に、患者が小児である場合にはさらに負担増になる。
一方、特許文献1、2及び3には、むし歯の予防又は美容の目的で容易に塗布でき、適度な付着強度を有するポリマーを含有する歯のコーティング剤組成物が記載されている。そしてこれらの特許文献には、これらのコーティング剤組成物にはフッ化ナトリウムなどの歯質強化剤を配合できることも記載されている。
国際公開98/36749号公報 特開平11−335251号公報 特開2000−191983号公報
前記歯のコーティング剤組成物により得られる被膜の耐久性は高いが、硬い食べ物によりキズが生じたり、強いブラッシング等により一部の被膜が剥離した場合には、急激にむし歯予防効果が低下することが判明した。また、コーティング剤組成物中にフッ化ナトリウム等を配合した場合も十分とはいえず、イオン性カルシウムの配合もポリマーが自己凝集するため好ましくない。
従って、本発明の目的は、簡便な手段により、長期間むし歯予防効果を発揮する口腔用剤を提供することにある。
そこで本発明者は、前記コーティング剤組成物にフッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムなどではなく、フッ化カルシウム又はフッ化カルシウム−モノフルオロリン酸複合体を含有せしめれば、これを用いて形成された被膜からフッ素イオンが持続的に歯牙表面に供給され、被膜の一部が剥離した場合でもその断面から剥離部分にフッ素イオンが持続的に供給されること、さらには全面剥離された場合でも被膜形成期間中に持続的に歯牙表面にフッ素イオンが供給されている結果、歯質が顕著に強化され脱灰が生じにくくなっていることを見出した。
すなわち、本発明は次の成分(A)及び(B):
(A)リン系酸残基、カルボキシル基又はカルボニルオキシカルボニル基を有する被膜形成性ポリマー
(B)フッ化カルシウム及び/又はフッ化カルシウム−モノフルオロリン酸複合粒子
を含有する歯のコーティング剤組成物を提供するものである。
本発明組成物を用いれば、歯表面が歯の隙間や溝の部分に塗布することにより、長期間むし歯の発生を防止することができる。本発明組成物により形成された被膜にキズがついた場合でも、その断面からフッ素イオンを持続的に歯牙に供給するため、むし歯予防が可能である。さらに、形成された被膜の内側で、継続的に歯牙にフッ素イオンが供給されるので、歯質が強化され、優れたむし歯予防効果が得られる。
本発明に用いる(A)被膜形成性ポリマーは、分子内にリン系酸残基、カルボキシル基又はカルボニルオキシカルボニル基を有するポリマーである。ここでリン系酸残基としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、これらのハロゲン化物及びこれらの塩からなる群より選ばれる1若しくは2以上のリン系酸残基が挙げられる。
上記リン系酸残基を有するポリマーとしては、例えば、本出願人のWO98/26749号記載のポリマー(以下「ポリマー(A−1)」という)が挙げられる。このポリマー(A−1)に含まれるリン酸残基としては、リン酸残基(1)、リン酸モノエステル残基(2)、ジリン酸残基(3)、ジリン酸モノエステル残基(4)、ジリン酸ジエステル残基(5)等の少なくとも1個の水酸基を有するホスフェート基又はジホスフェート基が挙げられる。また、ホスホン酸残基としては、ホスホン酸残基(6)、ホスホン酸モノエステル残基(7)、ジホスホン酸残基(8)、ジホスホン酸モノエステル残基(9)等の少なくとも1個の水酸基を有するホスホネート基又はジホスホネート基が挙げられる。またホスフィン酸残基としては、ホスフィン酸残基(ホスフィネート基)(10)が挙げられる。上記(1)〜(10)で示される基のうち、付着強度の適切さ及び安全性の点からリン酸残基〔(1)〜(5)〕又はその塩がより好ましい。また、ポリマー(A−1)においては、重合性ビニル基が重合してなる鎖を主鎖とし、側鎖に前記のリン系酸残基を有するものが特に好ましい。また、ポリマー(A−1)の側鎖には前記リン系酸残基以外の基を有していてもよい。すなわち、例えばカルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、水酸基、アミド基、フッ素で置換されていてもよい飽和又は不飽和の炭化水素基等の1種又は2種以上の側鎖を有していてもよい。前記ポリマー(A−1)中のリン原子含有量は、コーティング剤の歯への付着強度の点から、0.0001〜35質量%、特には0.1〜15質量%であることが好ましい。
一方、前記のカルボキシル基又はカルボニルオキシカルボニル基を有するポリマー(以下、「ポリマー(A−2)」という)としては、重合性ビニル基が重合してなる鎖を主鎖とし、側鎖に1個以上のカルボキシル基又はカルボニルオキシカルボニル基を有するものが好ましい。また、ポリマー(A−2)の側鎖にはカルボキシル基又はカルボニルオキシカルボニル基以外の基を有していてもよく、リン系酸残基以外の基、例えばスルホン酸基、水酸基、アミド基等を有していてもよい。
また、ポリマー(A−2)の酸価は、0.1以上、特に0.1〜700であることが、歯に対する接着性及び被膜の耐久性の点から好ましい。
これらの被膜形成性ポリマーは、前記ポリマー(A−1)、(A−2)に相当するモノマーと他のモノマーとの共重合体であるのが好ましく、当該他のモノマーとしては、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、カルボン酸ビニル、スチレン系モノマー、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、マレイミド系モノマー等が挙げられる。
ポリマー(A−1)の例としては、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェートとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体、2−メタクリロイルオキシエチルフェニルホスフェートとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体が好ましい。ポリマー(A−2)の例としては、11−メタクリロイルオキシ−ウンデシル−1,1−ジカルボン酸とアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体、4−メタクリロイルオキシエチルトリメット酸無水物とアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体が好ましい。ここで、アルキル(メタ)アクリレートとしてはC1−C10アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明に用いるポリマー(A)の重量平均分子量は被膜の耐久性及び溶媒への溶解性の点から、1万〜1000万程度が好ましく、特に1万〜500万、更に2万〜100万が好ましい。
更に前記ポリマー(A)は、20℃における無水エタノール100gに溶解する量が1g以上であることが好ましく、より好ましくは5g以上、特には10g以上であることが好ましい。本発明に用いるポリマー(A)は、被膜の耐久性の点から20℃の水100gに対する溶解度が10g以下であることが好ましく、水不溶性であってもよい。なお、ポリマーの無水エタノールに対する溶解性は、無水エタノール100gにポリマー10gを加え20℃で1時間攪拌する。その後残留したポリマーを濾別し重量を測定しその差分から溶解量を求めたものである。
また前記ポリマー(A)は、そのカルシウム塩の20℃の水100gに対する溶解度が2g以下(より好ましくは0.5g以下)であり、20℃の無水エタノール100gに対する溶解度が1g以上(より好ましくは2g以上)であるのが好ましい。ポリマーのカルシウム塩の無水エタノールに対する溶解性は、上記の方法で調製したポリマー溶液に、ポリマーのカルボキシル基やリン酸基に対し等モルの塩化カルシウムを加える。その後20℃にて1時間攪拌後、沈澱してきたポリマーを濾別し重量を測定しその差分から溶解量を求める。本ポリマーを口腔に塗布した後長時間経過すると、唾液等のカルシウムと反応しポリマー中のリン酸基やカルボキシル基はカルシウム塩になる、カルシウム塩になることによりエタノールに対する溶解性が低下した場合は、容易に除去できるという性質が得られないことになる。よって、カルシウム塩になってもエタノールに溶解することは、容易な除去性を確保する上で重要である。
上記の本発明に用いるポリマー(A)は通常、沸点200℃以下の残留モノマー、重合開始剤及びこれら以外の反応性分子を含んでいるのでこれらをポリマー中500ppm以下、さらに200ppm以下にするのが好ましい。ここで沸点200℃以下の残留モノマーとしては、前記ポリマー(A)の必須の構成モノマーと共重合させるために用いたモノマー、例えばC1−C10アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ポリマー(A)の必須の構成モノマーは通常沸点200℃を超えるので残留していても特に臭気等の問題はないが、その残留量は少ないほうが好ましい。なお、
このための処理としては、1)セラミック膜による濾過、2)再沈澱法、3)活性炭、ゼオライト、モレキュラーシーブ等の吸着剤処理、4)イオン交換膜電気透析、5)ゲル濾過等が挙げられる。このうちセラミック膜による濾過が特に好ましい。
本発明に用いるポリマー(A)は、組成物中に、1〜70質量%(以下、単に「%」で示す)、特に5〜40%含有するのが好ましい。
本発明に用いる(B)フッ化カルシウム及びフッ化カルシウム−モノフルオロリン酸複合粒子は、水に対して難溶性であり、歯牙表面に形成されるポリマー(A)の被膜中から、徐々に歯牙表面に放出される結果、持続的に歯質が強化される。ここでフッ化カルシウム−モノフルオロリン酸複合粒子は、フッ化カルシウムとモノフルオロリン酸塩(例えば、モノフルオロリン酸カルシウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウムなど)の複合粒子であり、例えばフッ化ナトリウム及びモノフルオロリン酸ナトリウム含有液に塩化カルシウムを反応させ、生じた沈殿を採取することにより得られる。
成分(B)におけるフッ化カルシウムの結晶子径は、0.3〜20nmであることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜15nmであり、特に好ましくは0.3nm〜10nmである。
これら成分(B)は、組成物中に0.001〜20%、さらに0.01〜10%、特に0.05〜5%含有するのが、歯質強化効果の点で好ましい。
また、本発明組成物は、前記ポリマー(A)及び成分(B)に水又は低級アルコールを配合して分散液とすることが好ましい。ここで、低級アルコールとしては、炭素数2〜5のアルコール、例えばエタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、エタノールが特に好ましい。水又はこれらの低級アルコールは、全組成中に30〜98%、特に50〜95%含有するのが好ましい。また、本発明組成物には、歯に審美性及び光沢(つや)を付与する目的で、雲母チタン、酸化チタン、貝の粉末等の無機顔料や魚鱗箔等の有機顔料を配合することもできる。
さらに本発明組成物は、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化ナトリウム等の成分(B)以外のフッ素イオン供給化合物を配合することが好ましい。このフッ素イオン供給化合物を配合することによりコーティング剤剥離直後により迅速に、フッ素イオンを歯牙に供給するため、むし歯予防の点で有利である。
本発明組成物には、更に口腔用に使用できる各種の公知成分、例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー等の増粘剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のpH調整剤を配合できる。しかし、本発明においては、組成物中に、香料及び分子量が2000以下の低分子化合物(水及び上記アルコールを除く)を含まないか、5%以下とすることが本発明の効果を奏するために好ましい。ここで分子量2000以下の低分子化合物としては、界面活性剤、油剤、湿潤剤、色素等が例示される。
本発明組成物は常法により歯に塗布し、溶媒成分を蒸発させることにより、歯に付着させることができる。歯に付着した歯のコーティング剤組成物はエタノール等を用いて容易に除去することができる。本発明組成物の、歯に塗布する際の粘度は、2〜500mPa・s、特には5〜200mPa・sであることが好ましい。ここで組成物の粘度とは、20℃にてB型粘度計にて測定したものである。
製造例1(フッ化カルシウムMFP複合体の作成)
1液:1M塩化カルシウム、1Mモノフルオロリン酸ナトリウム溶液
2液:1Mフッ化ナトリウム溶液
1液と2液を当量混合し、生じた沈殿を濾過、乾燥することによりフッ化カルシウム−MFP複合粒子を得た。
製造例2
エタノール750g、エチルメタクリレート(以下、EMAと称す)300g、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート(以下、MDPと称す)100g、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65)6.0gの混合溶液を窒素ガスで30分間バブリングし(窒素ガス流量:1.5L/分)、モノマー溶液を脱気する。このモノマー溶液の20重量%を、攪拌機、冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を接続した2000mLの4つ口セパラブルフラスコに投入し、窒素雰囲気下、62℃で10分間重合した。その後、残りのモノマー溶液を2時間かけて重合槽に滴下し、滴下終了後更に6時間、62℃で重合させた。その後75℃に昇温し、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65)6gをエタノール125gに溶かしたものを1時間かけて滴下し、1時間熟成し、冷却した。42.7%ポリマー溶液が840g(収率95%)得られた。得られたポリマーの重量平均分子量は65000であった。このポリマー溶液中にはEMAが7000ppm、MDPが5000ppm残留していた。
実施例1〜6及び比較例1〜3
表1の組成で歯のコーティング剤組成物を製造した。これらの組成物を用いて以下の脱灰抑制実験1、2及び3を行った。得られた結果を表1に示す。
(1)脱灰抑制実験1(被膜剥離なし)
被検歯として抜去したヒト臼歯を用いた。3×3mmのウインドウを形成した被検歯エナメル質に各種コーティング剤を筆にて2回塗布したものと、対照としてコーティング剤を塗布しない試料を作成した。試料をpH4.5の0.1M乳酸緩衝液に37℃、3日間浸漬し脱灰した。
顕微X線法(Contact Microradiography(CMR))による歯の脱灰抑制効果の定量
脱灰処理後、各試料を切断し、厚さ約150μmの研磨切片を作製しCMRを撮影した。得られたCMR像(軟X線写真)を画像解析し、ミネラル喪失量(ΔZ)を測定した。ここで、ΔZは脱灰部位の濃度と表層からの脱灰深さの積(vol%・μm)である。
脱灰抑制率は以下の式によって求めた。
(対照試料ΔZ−被検試料ΔZ)/対照試料ΔZ×100=脱灰抑制率(%)
この値が高いほど脱灰が抑制されたことを意味する。
(2)脱灰抑制実験2(被膜一部剥離)
被検菌として抜去したヒト臼歯を用いた。3×3mmのウインドウを形成した被検歯エナメル質に各種コーティング剤を筆にて2回塗布した試料を作成した。対照として、透明なネイルエナメルを塗布した試料を作成した。各試料は人工唾液(サリベート 帝人製)に3日間浸漬した。その後、塗膜に刃物で傷を付け、幅が約0.5mmになるように剥離させた。塗膜の剥離後、試料をpH4.5の0.1M乳酸緩衝液に37℃、3日間浸漬し脱灰した。
脱灰抑制効果の定量は、ネイルエナメルを塗布した試料を対照とし、実験1と同様の方法にて脱灰抑制率を算出した。
(3)脱灰抑制実験3(被膜全面除去)
被検歯として抜去したヒト臼歯を用いた。3×3mmのウインドウを形成した被検歯エナメル質に各種コーティング剤を筆にて2回塗布した試料を作成した。対照として、透明なネイルエナメルを塗布した試料を作成した。各試料は人工唾液(サリベート 帝人製)に3日間浸漬した。その後、塗膜を全て除去した。塗膜を除去した試料は、pH4.5の0.1M乳酸緩衝液に37℃、3日間浸漬し脱灰した。
脱灰抑制効果の定量は、ネイルエナメルを塗布した試料を対照とし、実験1と同様の方法にて脱灰抑制率を算出した。
Figure 2005263678
表1から明らかなように、脱灰抑制実験1、すなわちコーティング剤を剥離しない実験では、ポリマー(A)が含まれていれば、100%脱灰が抑制できることがわかる。
しかし、脱灰抑制実験2、すなわち、コーティング剤を塗布後被膜に一部キズが生じた実験では、ポリマー(A)だけを配合した場合(比較例1)、またポリマー(A)にフッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムを配合した場合(比較例2及び3)にはほとんど脱灰が抑制できなかった。これに対し、ポリマー(A)に成分(B)を配合した本発明組成物では、脱灰がほぼ完全に抑制された。このことから、本発明組成物を用いた場合には、被膜が一部剥離した場合でも、その断面からフッ素イオンを持続的に歯牙表面に供給できるため優れたむし歯予防効果が得られることがわかる。
また、脱灰抑制実験3、すなわち、一定期間コーティング剤を塗布した後、全面的に被膜を除去した実験では、ポリマー(A)だけを配合した場合(比較例1)、またポリマー(A)にフッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムを配合した場合(比較例2及び3)には、ほとんど脱灰が抑制できなかった。これに対し、ポリマー(A)に成分(B)を配合した本発明組成物では、脱灰が45〜60%抑制された。このことから、本発明組成物を用いた場合には、被膜が形成されていた期間中に歯牙表面にフッ素イオンが継続的に供給されていた結果、歯質が強化されており、被膜剥離後の脱灰に対して予防効果が得られたことがわかる。

Claims (4)

  1. 次の成分(A)及び(B):
    (A)リン系酸残基、カルボキシル基又はカルボニルオキシカルボニル基を有する被膜形成性ポリマー
    (B)フッ化カルシウム及び/又はフッ化カルシウム−モノフルオロリン酸複合粒子
    を含有する歯のコーティング剤組成物。
  2. さらに(C)水及び/又は低級アルコールを含有するものである請求項1記載の歯のコーティング剤組成物。
  3. 成分(A)の被膜形成性ポリマーが、20℃の無水エタノール100gに対する溶解度が1g以上である請求項1又は2記載の歯のコーティング剤組成物。
  4. 成分(A)の被膜形成性ポリマー中の沸点200℃以下の残留モノマー、重合開始剤及びこれら以外の反応性分子が合計で500ppm以下であり、かつ香料及び分子量が2000以下の低分子化合物(水及び低級アルコールを除く)の組成物中の含有量が0〜5質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の歯のコーティング剤組成物。
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