JP2005262006A - 液体処理モジュール、及び液体処理モジュールの製造方法 - Google Patents

液体処理モジュール、及び液体処理モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 膜基材の内部にも親水化剤を簡素な処理で付着させ、膜基材の透過能を迅速に発揮し易い液体処理モジュール、及び液体処理モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】 親水化剤18は、第1親水化剤18aと第2親水化剤18bとを含んで構成され、該第1親水化剤18aと第2親水化剤18bとが互いに同じ成分であって、且つ第2親水化剤18bの平均分子量が第1親水化剤18aの平均分子量よりも小さく設定され、膜基材17を内部に装填したケーシングに対し、前記親水化剤18を含有した処理液を血液注入ポートおよび血液排出ポートを通じて膜基材17の内側空間に注入し、膜基材17の内側空間と外側空間との間に圧力差を生じさせ、該圧力差により処理液の溶媒成分を前記内側空間から外側空間に移動させることで第1親水化剤18aを膜基材17のうち内側空間側の表面に、第2親水化剤18bを膜基材17の内部にそれぞれ保持した。
【選択図】 図4

Description

本発明は、体液処理や水処理などに使用される液体処理モジュール、及び、液体処理モジュールの製造方法に関し、特に、ケーシング内に備えた半透膜の親水化処理に関する。
液体処理モジュールは、医療分野や工業分野を始めとする幅広い分野で用いられている。例えば、医療分野においては血液浄化器として腎臓や肝臓に疾患を持つ患者の血液浄化などに使用され、工業分野においては水処理装置としてジュースなど飲料物の濃縮や精製等に使用されている。そして、この液体処理モジュールに用いられる半透膜には、表面処理(表面からの処理を意味し、表面そのものの処理に加えて膜内部の処理も含まれる。以下同様。)が施されたものがある。表面処理が施された半透膜の一種に親水化膜がある。この親水化膜は、疎水性の膜基材に対して親水性を付与したものである。ここで、疎水性の膜基材を用いているのは、この膜基材の紡糸が容易で、一部のものは強度が高く、耐熱性、及び耐薬品性に優れているからである。しかし、膜基材が疎水性のままでは、本来の透過能を直ちに発揮することが困難である。また、血液浄化機器の材料として使用する前に賦活処理を行わなければならず、煩雑である。このため、膜基材本来の透過能を直ちに発揮させるべく、さらには、治療の準備段階での操作性や生体適合性を改善すべく、膜基材に表面処理を行って親水性を付与している。
膜基材に対する表面処理方法は種々あるが、その一種に、処理剤を含有する処理液を膜基材における一方の膜表面に流した後、この処理液を洗浄液にて洗浄除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、処理剤(例えば、親水化剤)と膜基材表面の吸着力を利用して処理剤を膜基材表面に付着保持させているので、特別な不溶化処理を用いる必要がなく簡便であり、設備の簡素化が図れると共に処理の簡素化が図れる。また、膜基材における一方の表面を選択的に処理できるので、特定用途において好適に用いることができる。例えば、疎水性膜基材の一方の表面を表面処理した親水化膜を用いて血液浄化器を構成すると、血液中の余剰水分を透析開始直後から透析液側に排出できると共に、エンドトキシン等の発熱物質を疎水性面に吸着させることができる。
特開平10−151196号公報(第5−6頁,第1図)
ところで、液体処理時に膜の液体処理能力(透過能)をより迅速に引き出すためには、膜基材の表面だけでなく内部も水溶液等の液体に十分馴染ませる必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の処理方法では、親水化剤の不溶化処理が不要で簡便ではあるが、処理した膜基材の内部に親水性が付与され難い。したがって、膜基材の内部に液体が馴染むのに時間が掛かってしまう。
そして、例えば、膜基材の内側表面が親水性で、膜内部が疎水性である血液浄化器であって、血液浄化器内に予め充填水が封入されていないもの(所謂ドライタイプ)には、膜基材にグリセリン等の膜透過能維持剤を付着させている。しかしながら、使用前準備の賦活処理時に、この膜透過能維持剤を生理食塩水等でよく洗い流すとともに、生理食塩水等を膜基材の内部に十分馴染ませなければ、血液浄化器を透析に使用可能な状態にできず、透析作業(すなわち液体処理作業)を開始するまでに時間が掛かってしまう。したがって、透析作業全体の効率を向上させる点では、改善の余地がある。
また、液体処理モジュールの製造において、同じ膜基材を用いながらも、特定物質に対しての透過能を簡単に異ならせて、液体処理モジュールの処理能力を制御したいという要望もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、膜基材の内部にも親水化剤を簡素な処理で付着させ、膜基材の透過能を迅速に発揮し易い液体処理モジュール、及び液体処理モジュールの製造方法を提供することを目的とする。そして、処理能力を簡単に変化させて製造できる液体処理モジュール、および液体処理モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、疎水性膜基材に親水化剤を保持させた半透膜をケーシング内に備え、該半透膜によりケーシング内を一方の膜表面側の第1通液空間と他方の膜表面側の第2通液空間とに区画し、前記ケーシングには、第1通液空間に連通する第1ポートと、第2通液空間に連通する第2ポートとを設けた液体処理モジュールにおいて、
前記親水化剤は、少なくとも第1親水化剤と第2親水化剤とを含んで構成され、該第1親水化剤と第2親水化剤とが互いに同じ成分であって、且つ第2親水化剤の平均分子量が第1親水化剤の平均分子量よりも小さく設定され、
前記膜基材を内部に装填したケーシングに対し、前記親水化剤を含有した処理液を第1ポートを通じて前記第1通液空間に注入し、
前記第1通液空間と第2通液空間との間に圧力差を生じさせ、該圧力差により該処理液の溶媒成分を第1通液空間から第2通液空間に移動させることで第1親水化剤を膜基材のうち第1通液空間側の表面に、第2親水化剤を膜基材の内部にそれぞれ保持したことを特徴とする液体処理モジュールである。
請求項2に記載のものは、疎水性膜基材に親水化剤を保持させた半透膜をケーシング内に備え、該半透膜によりケーシング内を一方の膜表面側の第1通液空間と他方の膜表面側の第2通液空間とに区画し、前記ケーシングには、第1通液空間に連通する第1ポートと、第2通液空間に連通する第2ポートとを設けた液体処理モジュールにおいて、
前記親水化剤は、少なくとも第1親水化剤と第2親水化剤とを含んで構成され、該第1親水化剤と第2親水化剤とが互いに同じ成分であって、且つ第2親水化剤の平均分子量が第1親水化剤の平均分子量よりも小さく設定され、
前記第1親水化剤は、主として、一方の膜表面または他方の膜表面のいずれか、もしくは両方の膜表面に保持され、
前記膜基材の内部には、主として第2親水化剤が保持されていることを特徴とする液体処理モジュールである。
請求項3に記載のものは、前記親水化剤がポリビニルピロリドンであり、第1親水化剤の平均分子量が500×10以上であり、第2親水化剤の平均分子量が100×10未満であり、前記疎水性膜基材がポリエステル系ポリマーアロイを主たる膜素材としていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体処理モジュールである。
請求項4に記載のものは、前記第1親水化剤と第2親水化剤との混合比率が、1:9〜9:1であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の液体処理モジュールである。
請求項5に記載のものは、疎水性膜基材に親水化剤を保持させた半透膜をケーシング内に備え、該半透膜によりケーシング内を一方の膜表面側の第1通液空間と他方の膜表面側の第2通液空間とに区画し、前記ケーシングには、第1通液空間に連通する第1ポートと、第2通液空間に連通する第2ポートとを設けた液体処理モジュールの製造方法において、
前記親水化剤は、少なくとも第1親水化剤と第2親水化剤とを含んで構成され、該第1親水化剤と第2親水化剤とが互いに同じ成分であって、且つ第2親水化剤の平均分子量が第1親水化剤の平均分子量よりも小さく設定され、
前記膜基材を内部に装填したケーシングに対し、前記親水化剤を含有した処理液を第1ポートを通じて前記第1通液空間に注入する処理液注入工程と、
前記第1通液空間と第2通液空間との間に圧力差を生じさせ、該圧力差により該処理液の溶媒成分を第1通液空間から第2通液空間に移動させることで第1親水化剤を膜基材のうち第1通液空間側の表面に、第2親水化剤を膜基材の内部にそれぞれ保持させる膜通液工程と、
を経て製造されることを特徴とする液体処理モジュールの製造方法である。
請求項6に記載のものは、少なくとも第2通液空間を減圧する減圧工程を前記処理液注入工程よりも前に行い、
前記膜通液工程は、減圧工程により減圧状態となった第2通液空間と、処理液注入工程により処理液が注入された第1通液空間との圧力差により行われることを特徴とする請求項5に記載の液体処理モジュールの製造方法である。
請求項7に記載のものは、前記第1ポートを、第1注入ポートと第1排出ポートとから構成し、
前記第2ポートを、第2注入ポートと第2排出ポートとから構成し、
前記膜通液工程の後に、第1通液空間内に残った処理液を排出する第1パージ工程と、第2通液空間内に残った処理液を排出する第2パージ工程を行い、
前記第1パージ工程では、前記第1注入ポート及び第1排出ポートを開放するとともに、前記第2注入ポートおよび第2排出ポートを閉塞した状態で、第1通液空間内に気体を導入し、
前記第2パージ工程では、前記第2注入ポート及び第2排出ポートを開放するとともに、前記第1注入ポートおよび第1排出ポートを閉塞した状態で、第2通液空間内に気体を導入することを特徴とする請求項6に記載の液体処理モジュールの製造方法である。
請求項8に記載のものは、前記親水化剤がポリビニルピロリドンであり、第1親水化剤の平均分子量が500×10以上であり、第2親水化剤の平均分子量が100×10未満であり、前記疎水性膜基材がポリエステル系ポリマーアロイを主たる膜素材としていることを特徴とする請求項5から請求項7の何れかに記載の液体処理モジュールの製造方法である。
請求項9に記載のものは、前記第1親水化剤と第2親水化剤との混合比率が、1:9〜9:1であることを特徴とする請求項5から請求項8の何れかに記載の液体処理モジュールの製造方法である。
上記構成を採ったことにより、本発明は次の効果を奏する。すなわち、親水化剤は、少なくとも第1親水化剤と第2親水化剤とを含んで構成され、該第1親水化剤と第2親水化剤とが互いに同じ成分であって、且つ第2親水化剤の平均分子量が第1親水化剤の平均分子量よりも小さく設定され、膜基材を内部に装填したケーシングに対し、親水化剤を含有した処理液を第1ポートを通じて第1通液空間に注入し、第1通液空間と第2通液空間との間に圧力差を生じさせ、該圧力差により該処理液の溶媒成分を第1通液空間から第2通液空間に移動させることで第1親水化剤を膜基材のうち第1通液空間側の表面に、第2親水化剤を膜基材の内部にそれぞれ保持したので、膜基材の表面だけでなく内部にも親水化剤を簡素な処理で付着することができ、膜基材の透過能を迅速に発揮できる。したがって、液体処理の準備時間を短縮することができ、液体処理作業の効率を向上させることができる。
また、第1親水化剤と第2親水化剤との混合比率を1:9〜9:1の間で調整することで、膜基材を変えることなく半透膜の透過能を調整でき、液体処理モジュールの処理能力を簡単に変化させて製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下は、液体処理モジュールの一種である透析器、具体的には血液浄化器を例に挙げることとし、疎水性半透膜の膜基材に対して親水化処理を行う場合について説明する。まず、図1及び図2に基づいて血液浄化器1の構成について説明する。例示した血液浄化器1は、ケーシング2の内部に中空糸束3を備えた構成である。
ケーシング2は、前記中空糸束3を収納可能な筒状のケーシング本体4と、このケーシング本体4の筒長手方向一端(図1の上側)に接続される排出側キャップ部材5と、ケーシング本体4の筒長手方向他端(図1の下側)に接続される注入側キャップ部材6とを備えている。ケーシング本体4は、筒長手方向の両端部に拡径部7を設けた円筒状部材であり、例えばポリカーボネイトにより構成される。そして、筒長手方向の一端側に位置する拡径部7には、ケーシング本体4の内部空間に連通した透析液注入ポート8(本発明の第2ポートの一部であって、第2注入ポートに相当)を、筒の側方に向けて突設している。一方、筒長手方向の他端側に位置する拡径部7には、ケーシング本体4の内部空間に連通した透析液排出ポート9(本発明の第2ポートの一部であって、第2排出ポートに相当)を、筒の側方に向けて突設している。なお、透析液注入ポート8は第2の液体(例えば透析液)を注入するための第2注入ポートとして機能し、透析液排出ポート9は第2の液体を排出するための第2排出ポートとして機能する。
このケーシング本体4における筒長手方向の両端部には封止部10を設けている。この封止部10は、中空糸束3の端部をケーシング本体4に接着固定するための部分であり、例えば、シーリング材11によって構成される。このシーリング材11としては例えばウレタン系の接着剤が用いられている。そして、シーリング材11は、中空糸束3とケーシング本体4との間、及び、中空糸束3を構成する中空糸膜12同士の間に充填されている。これにより、ケーシング本体4の両端面は、端部が開口した複数の中空糸膜12…が密集した状態となるとともに、シーリング材11が中空糸膜12同士の間隙を塞いだ封止状態となっている。
そして、図1に示すように、この封止部10は、透析液注入ポート8や透析液排出ポート9の開口位置よりも筒長手方向の端部側に設けられる。このため、中空糸膜12及び封止部10によってケーシング本体4の内部空間は、中空糸膜12の内側空間と外側空間とに区画される。さらに、中空糸膜12の外側空間は、透析液注入ポート8及び透析液排出ポート9を通じてケーシング4の外部に連通される。そして、中空糸膜12の内側空間は、第1の液体(例えば血液)を通じるための第1通液空間として機能し、中空糸膜12の外側空間は、第2の液体を通じるための第2通液空間として機能する。
排出側キャップ部材5は、血液排出ポート13を有する略漏斗形状のキャップ部材であり、筒長手方向他端側に螺着される。そして、この排出側キャップ部材5には、封止部外表面の外周部分に密着可能なOリング14を配設している。このOリング14は、封止部外表面に密着することで、ケーシング本体4と排出側キャップ部材5との境界部分を液密にシールしている。また、注入側キャップ部材6は、排出側キャップ部材5と同様な構造であり、血液注入ポート15を設けた略漏斗形状のキャップ部材である。そして、この注入側キャップ部材6は、ケーシング本体4の筒長手方向一端側に螺着され、螺着状態においてOリング16が封止部外表面に密着し、ケーシング本体4と注入側キャップ部材6との境界部分を液密にシールする。
ここで、血液排出ポート13は第1の液体を排出するための第1排出ポート(本発明の第1ポートの一部)として機能し、血液注入ポート15は第1の液体を注入するための第1注入ポート(本発明の第1ポートの一部)として機能する。そして、キャップ部材5,6の螺着状態において、排出側キャップ部材5の内部空間、及び、注入側キャップ部材6の内部空間は、各中空糸膜12…の内側空間と共に血液が通る血液流路を構成する。本実施形態では、この血液流路が第1の液体を通じるための第1通液空間として機能する。
上記の中空糸膜12は、本発明における親水化膜の一種であり、図2(b)および図4に示すように、中空糸状の膜基材17に親水化剤18を保持させた半透膜である。そして、この中空糸膜12は、膜厚が5〜50マイクロメートル、内径が100〜500マイクロメートル程度の極めて細いものである。
上記の膜基材17は、ポリエステル系樹脂とポリスルホン系樹脂を主たる膜素材とした疎水性高分子製の半透膜である。ここで、前記ポリエステル系樹脂は、例えば、次式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂である。
Figure 2005262006
また、前記ポリスルホン系樹脂は、例えば、次式(2)で表される繰り返し単位、及び、次式(3)で表される繰り返し単位の少なくとも何れかを有するポリスルホン樹脂である。
Figure 2005262006
Figure 2005262006
この疎水性膜基材17を紡糸するための製膜原液は、ポリエステル系樹脂(A)とポリスルホン系樹脂(B)との混合重量比(A/B)を0.1〜10の範囲で定めると共に、両樹脂の合計量(A+B)が10重量%〜25重量%の割合となるように有機溶媒に溶解することで調製される。このように調製された製膜原液を、二重管紡糸口金を用いて芯液とともに凝固液中に吐出すると、ポリエステル系ポリマーアロイを膜素材とした中空糸状の膜基材17が得られる。そして、この膜基材17は3000〜15000本程度を一単位として束ねられる。
この中空糸状の膜基材17は、その内側表面に緻密層が形成されていると共に、この緻密層の外側を覆うように多孔質層が形成されている。緻密層は、この膜基材17において、物質の選択透過性並びに透過速度を規定する部分であり、例えば、500オングストローム未満の平均孔径を有する孔、具体的には、孔半径30〜200オングストロームの孔が形成されている。また、多孔質層は緻密層を支持し膜の強度を保つ支持層として機能しており、緻密層よりもかなり粗い孔が形成される。
そして、この膜基材17は、図3に示す分子量分画特性を有している。この図に示すように、例えば、分子量35,000の物質については、篩係数(SC)が約0.5、即ち、全体量の約50%がこの膜基材17を透過し(具体的には、緻密層に形成された孔を通過してしまい)、分子量70,000の物質については、篩係数が約0.05、即ち全体量の約5%がこの膜基材17を透過し、残りの約95%が透過できないことが判る。さらに、分子量100,000以上の物質については、ほぼ全量(100%)が膜基材17を透過できない。
また、膜基材17に保持される親水化剤18は、親水性を有する親水性高分子が用いられる。そして、この親水化剤18としては、使用時において膜基材17から容易に離脱しない物質が選択される。したがって、この親水化剤18としては、上記の条件を充足する限りにおいて種々の物質が選択できる。そして、本発明者等の研究により、上述の条件を満足する親水化剤18(親水性高分子)として、ポリビニルピロリドン(PVP)が最も適しているこという知見を得た。これは、ポリビニルピロリドンの生体適合性が良好であることに因るところが大きい。
但し、このポリビニルピロリドンも分子量に応じて複数の種類がある。そして、平均分子量が500×10以上のポリビニルピロリドン、例えば平均分子量1,200,000(1200×10)のK−90では、膜基材17の透過を防止でき、一旦付着保持されると膜表面から容易に離脱し難い。したがって、平均分子量が500×10以上のポリビニルピロリドンであれば、膜基材17の一方の表面に選択的に親水性を付与する際において好適に使用できる。これに対し、平均分子量が100×10未満のもの、例えば平均分子量が40,000(40×10)のK−30では、多くのポリビニルピロリドンが膜基材17の内部に浸入する。このため、平均分子量が100×10未満のポリビニルピロリドンであれば、膜基材17の厚さ方向に浸入させて親水性を付与する際において好適に使用できる。
本実施形態の中空糸膜12では、図4に示すように、膜基材17の一方の表面、詳しくは内側表面に、主に第1親水化剤18aとして平均分子量が約1200×10のポリビニルピロリドン(K−90)を付着している。また、膜基材17の厚さ方向には、主に第2親水化剤18bとして平均分子量が約40×10のポリビニルピロリドン(K−30)が付着されている。このようにして、中空糸膜12は、膜基材17の内側表面だけではなく、膜基材の内部にも親水性が付与されている。なお、親水化剤としてのポリビニルピロリドンは、上記したK−90あるいはK−30に限定されず、膜基材17の表面あるいは膜内部に付着保持できればどのようなものでもよいが、内側表面では平均分子量が500×10以上、膜内部では平均分子量が100×10未満のものを付着保持させるのが好適である。
また、本実施形態では、K−90およびK−30という、平均分子量で区別される2種類のポリビニルピロリドンを適用したが、本発明はこれに限定されず、混合するポリビニルピロリドンの平均分子量別種類は、何種類でもよい。そして、1種類の平均分子量で仕様表記されるポリビニルピロリドンであっても、その分子量分布においてピークが2箇所以上存在するものであればよい。また、例えばそのピークの一つが500×10以上に示され、他のピークのいずれかが100×10未満に示されるものが好適である。
膜基材17の内側表面や細孔に付着可能な親水化剤であれば、上記した平均分子量に限定されず、好適に使用できると考えられる。なお、膜基材17の細孔よりも小さな分子量の親水化剤は全てが膜基材17を透過するわけではない。これは、細孔には広狭の分布があり、細孔の狭い部分では分子量の小さな親水化剤が通過し難くて保持され易い。そのために細孔がさらに狭くなり、より小さな分子量の親水化剤も保持され易くなるためである。そして、後述の親水化処理液が多量に膜基材の内側から外側へ移動すれば、小さな親水化剤であっても細孔に保持され易くなり、膜基材に付着保持され易くなる。また、膜基材17に親水化剤18を付着させる方法については、後で詳細に説明する。
そして、この血液浄化器1では、透析治療時において、注入側キャップ部材6の血液注入ポート15には流入側血液チューブが接続され、排出側キャップ部材5の血液排出ポート13には排出側血液チューブが接続される(何れも図示せず)。ここで、流入側血液チューブは、患者の体内から導出された血液が通る合成樹脂製の可撓性チューブであり、排出側血液チューブは、患者の体内へ戻す血液(処理後の血液)が通る合成樹脂製の可撓性チューブである。また、ケーシング本体4の透析液注入ポート8には供給側透析液チューブが接続され、透析液排出ポート9には排出側透析液チューブが接続される(何れも図示せず)。ここで、供給側透析液チューブは、透析液貯留部から供給される新しい透析液が通る合成樹脂製の可撓性チューブであり、排出側透析液チューブは、処理後の透析液が通る合成樹脂製の可撓性チューブである。この場合において、上記の血液は液体処理モジュールにおける第1液の一種であり、透析液は液体処理モジュールにおける第2液の一種である。
次に、膜基材17に親水化剤18を保持させる親水化膜の製造方法について詳細に説明する。ここで、図5は、この製造方法に用いられる処理装置(即ち、液体処理モジュールの製造装置の一種)を説明する模式図である。なお、親水化膜の製造は、束ねられた膜基材17(便宜上、膜基材束という。)をケーシング2内に装填した後に行う。言い換えれば、膜基材束の状態で組み立てた血液浄化器1に対して親水化処理を行う。
例示した処理装置19は、所謂陰圧法による処理を行う装置であり、処理液注入前にあらかじめ血液浄化器1のケーシング2内、すなわち中空糸膜12の内側空間および外側空間を減圧しておき、その後、膜基材17の内側表面に処理液を注入することで内側表面と外側表面との間に圧力差を付与し、この圧力差によって限外濾過を行う。この処理装置19は、廃液貯留部20と、気体供給源21と、処理液貯留部22と、浄化器装着部23と、減圧ポンプ43と、気体供給管44と、排出管45と、処理液供給管46と、吸気管47と、制御部(図示せず)とを備えている。
廃液貯留部20は、排出された親水化処理液を貯留可能な部分(室)である。気体供給源21は、圧縮空気等の圧縮気体を供給する部分であり、例えば、コンプレッサによって構成される。処理液貯留部22は、親水化処理液(本発明の処理液の一種)を貯留する部分である。浄化器装着部23は、処理対象となる血液浄化器1がセットされる部分であり、本実施形態では、血液排出ポート13及び血液注入ポート15を上下方向(縦方向)に向けた状態で血液浄化器1がセットされる。制御部は、CPU,ROM,RAM等を備えており、後述する開閉弁等の動作を制御する。
減圧ポンプ43は、浄化器装着部23にセットされたケーシング本体4の内部を減圧するものであり、処理装置19の稼動中、常時運転している。
気体供給管44は、気体供給源21と浄化器装着部23との間を連通する管であり、浄化器装着部23側(下流側)を第1気体供給枝管44aと第2気体供給枝管44bとに分岐して構成されている。第1気体供給枝管44aは、下流側端部を浄化器装着部23のうち、セットされた血液浄化器1の血液排出ポート13と血液注入ポート15の一方(図5では、血液排出ポート13)へ接続している。したがって、この第1気体供給枝管44aによって、血液浄化器1内のうち、中空糸膜12の内側空間と気体供給源21とが連通される。なお、第1気体供給枝管44aは、途中で処理液供給管46と合流しているが、詳細については後述する。
また、第2気体供給枝管44bは、下流側端部を浄化器装着部23のうち、セットされた血液浄化器1の透析液注入ポート8と透析液排出ポート9の一方(図5では、透析液注入ポート8)へ接続している。したがって、この第2気体供給枝管44bによって、血液浄化器1内のうち、中空糸膜12の外側空間と気体供給源21とが連通される。なお、第2気体供給枝管44bは、途中で吸気管47と合流しているが、詳細については後述する。
そして、気体供給管44の分岐点Hよりも気体供給源21側(上流側)には第1開閉弁51が設けられている。また、第1気体供給枝管44aの途中には第2開閉弁52が、および第2気体供給枝管44bの途中には第3開閉弁53がそれぞれ設けられている。
排出管45は、浄化器装着部23と廃液貯留部20との間を連通する管であり、浄化器装着部23側(上流側)を第1排出枝管45aと第2排出枝管45bとに分岐して構成されている。第1排出枝管45aは、上流側端部を血液排出ポート13と血液注入ポート15の他方(図5では血液注入ポート15)へ接続している。したがって、この第1排出枝管45aによって、血液浄化器1内のうち、中空糸膜12の内側空間と廃液貯留部20とが連通される。なお、第1排出枝管45aの途中には第5開閉弁55が設けられている。また、第1排出枝管45aは、途中で処理液供給管46と合流しているが、詳細については後述する。
また、第2排出枝管45bは、上流側端部を透析液注入ポート8と透析液排出ポート9の他方(図5では、透析液排出ポート9)へ接続している。したがって、この第2排出枝管45bによって、血液浄化器1内のうち、中空糸膜12の外側空間と廃液貯留部20とが連通される。
処理液供給管46は、処理液貯留部22と浄化器装着部23との間を連通する管であり、浄化器装着部23側(下流側)を第1処理液供給枝管46aと第2処理液供給枝管46bとに分岐して構成されている。第1処理液供給枝管46aは、下流側端部を血液排出ポート13と血液注入ポート15の一方(図5では、血液排出ポート13)へ接続している。したがって、この第1処理液供給枝管46aによって、中空糸膜12の内側空間と処理液貯留部22とが連通される。
また、第2処理液供給枝管46bは、下流側端部を血液排出ポート13と血液注入ポート15の他方(図5では血液注入ポート15)へ接続している。したがって、この第2処理液供給枝管46bによって、血液浄化器1内のうち、中空糸膜12の内側空間と処理液貯留部22とが連通される。
なお、本実施形態では、第1処理液供給枝管46aと第1気体供給枝管44aとを、浄化器装着部23側の途中で合流させている。このため、第1処理液供給枝管46aと第1気体供給枝管44aとの合流箇所Cから浄化器装着部23側の端部までの配管(第1共通管)60は、処理液供給管46の一部として機能すると共に気体供給管44の一部としても機能する。そして、第1共通管60の浄化器装着23側の端部は、血液注入ポート15と血液排出ポート13の一方に接続される第1接続部29として構成される。
さらに、第2処理液供給枝管46bと第1排出枝管45aとを、浄化器装着部23側の途中で合流させている。このため、第2処理液供給枝管46bと第1排出枝管45aとの合流箇所Dから浄化器装着部23側の端部までの配管(第2共通管)61は、処理液供給管46の一部として機能するとともに、排出管45の一部としても機能する。そして、第2共通管61の浄化器装着部23側の端部は、血液注入ポート15と血液排出ポート13の他方に接続される第2接続部30として構成される。
そして、処理液供給管46のうち処理液貯留部22と分岐点との間には送液ポンプ35が設けられている。また、第1処理液供給枝管46aの途中であって第1共通管60よりも上流側(分岐点側)には第7開閉弁62が、第2処理液供給枝管46bの途中であって第2共通管61よりも上流側(分岐点側)には第8開閉弁63が、第1共通管60の途中には第9開閉弁64が、第2共通管61の途中には第10開閉弁65がそれぞれ設けられている。
なお、第1処理液供給枝管46aの途中であって、第7開閉弁62よりも上流側には第1手動弁66が設けられ、また、第2処理液供給枝管46bの途中であって、第8開閉弁63よりも上流側には第2手動弁67が設けられている。この第1手動弁66,第2手動弁67は、血液注入ポート15および血液排出ポート13から流入する処理液の流量バランスが取れるように、あらかじめ開度を調整して常時開状態にしてある。
吸気管47は、減圧ポンプ43と浄化器装着部23との間を連通する管であり、第2気体供給枝管44bの途中であって第3開閉弁53よりも浄化器装着部23側の合流箇所Eに接続されている。そして、この吸気管47は、第2気体供給枝管44bのうち接続箇所Eから上流側の部分、気体供給管44の分岐箇所H、第1気体供給枝管44aおよび第1共通管60を介して、血液排出ポート13と血液注入ポート15の一方(図5では血液排出ポート13)に連通している。さらには、第2気体供給枝管44bのうち接続箇所Eから下流側の部分を介して、透析液注入ポート8と透析液排出ポート9の一方(図5では、透析液注入ポート8)へも接続している。したがって、この吸気管47によって、血液浄化器1内(すなわち中空糸膜12の内側空間および外側空間)と減圧ポンプ43とが連通される。
そして、吸気管47の途中には第11開閉弁71が設けられている。また、第2気体供給枝管44bのうち接続箇所Eから浄化液装着部23側(下流側)の部分の途中には第12開閉弁72が設けられている。
さらに、処理装置19は、第2気体供給枝管44bと第2排出枝管45bとの間を接続管73により接続している。具体的に説明すると、この接続管73は、一端を第2気体供給枝管44bのうち接続箇所Eと第12開閉弁72との間の合流箇所Fに、他端を第2排出枝管45bの途中の合流箇所Gにそれぞれ接続している。そして、接続管73の途中には、第13開閉弁74が設けられている。なお、この第13開閉弁74が後述の親水化処理において常時閉状態であるので、接続管73および第13開閉弁74は設けなくてもよい。
そして、接続管73の途中には第13開閉弁74が、また、第2排出枝管45bの途中であって、接続管73と第2排出枝管45bとの合流箇所Gよりも浄化器装着部23側には第14開閉弁75がそれぞれ設けられている。
なお、上記第1開閉弁51〜第14開閉弁75は、制御部によって電気的に制御され、それぞれ独立して閉状態と開状態とに変換される。
そして、気体供給源21からは圧縮された空気が供給されるが、これに限定されるものではない。例えば、圧縮気体として圧縮窒素を供給してもよい。また、上記の浄化器装着部23は、膜基材束を内部に装填したケーシング2がセットされるケーシング装着部として機能する。
さらに、処理液貯留部22には親水化処理液としてポリビニルピロリドン水溶液を貯留している。この処理液は、平均分子量が大きい第1親水化剤18aとしてのK−90と、平均分子量が第1親水化剤18aよりも小さい第2親水化剤18bとしてのK−30とを混合し、この混合状態のポリビニルピロリドンを例えば0.3〜3.0wt%の濃度で含有している。親水化処理液が上記濃度に設定されるのは、0.3wt%未満であると、後述する親水化処理において所定量の親水化剤を膜基材17に保持させるのに多量の処理液と長い処理時間を要するためである。一方、3.0wt%以上の高濃度であると、処理液が膜基材17に浸透し難くなるためである。なお、K−90とK−30との混合比率は、1:9〜9:1であり、好ましくは、3:7〜7:3である。これは、K−90を多く混合しすぎると、内部への親水化剤の浸透が少なくなって、賦活不十分となる虞があり、また、K−30を多く混合しすぎると、膜表面での所要の分画特性が得られ難くなるためである。すなわち、膜基材17の表面と内部(厚さ方向)との両方に親水性を同時に付与するためには、膜基材17の細孔分布と、所望する血液浄化器1の性能とに従って、適切な混合比率が存在する。
また、処理液貯留部22は、ヒータ等の温度調整手段(図示せず)を備えて、この温度調整手段により処理液温度を約20〜80℃の間、好ましくは50℃前後に調整している。これは、温度を調整することで処理液粘度を制御し、処理液を膜基材17に浸透し易くするためである。
次に、処理装置19による陰圧法の親水化処理について説明する。まず、セット工程にて、親水化処理対象となる血液浄化器1を浄化器装着部23にセットし、例えば、ロボットアーム(図示せず)によってケーシング本体4を掴み、このロボットアームを移動させることで、血液排出ポート13を第1接続部29側に、血液注入ポート15を第2接続部30側にそれぞれ向けた状態に位置付ける。血液浄化器1がセットされると、制御部はそれを認識し、第1接続部29を血液排出ポート13に、第2接続部30を血液注入ポート15にそれぞれ接続して液密状態とする。
血液浄化器1が浄化器装着部23にセットされたならば、減圧工程に移行する。減圧工程では制御部は、減圧ポンプ43を作動させた状態で、図6に示すように、第11開閉弁71、第2開閉弁52、第3開閉弁53、第9開閉弁64、第12開閉弁72、第10開閉弁65を開状態に制御すると共に、その他の開閉弁を閉状態に制御する。これにより、図中太線で示すように、血液浄化器1内の気体(空気)が各ポート8,13から吸引される。具体的には、中空糸膜12の内側空間の空気が、血液排出ポート13から第1共通管60、第1気体供給枝管44aおよび吸気管47を通じて吸引される。そして、中空糸膜12の外側空間の空気が、透析液注入ポート8から第2気体供給枝管44bおよび吸気管47を通じて吸引される。これにより、中空糸膜12の外側空間および内側空間が減圧する。なお、血液浄化器1の内部は、−80kPa以下に減圧するのが好ましい。これは、減圧度合(真空度)が高いと、親水化処理が中空糸膜12の全体に亘って均一に行われるため、また、親水化処理の進み具合が早くなり、作業効率が向上するためである。
また、減圧工程では、血液排出ポート13と血液注入ポート15の両方より中空糸膜12の内側空間の空気を吸引するようにしてもよい。さらに、透析液注入ポート8と透析液排出ポート9の両方より中空糸膜12の外側空間の空気を吸引するようにしてもよい。
血液浄化器1内を十分に減圧したならば、処理液注入工程に移行する。処理液注入工程では、親水化処理液を血液浄化器1内に注入する。このため、制御部は、送液ポンプ35を作動させ、図7に示すように、第1開閉弁51、第2開閉弁52、第3開閉弁53、第11開閉弁71、第12開閉弁72、第14開閉弁75、第5開閉弁55を閉状態に制御すると共に、第7開閉弁62、第9開閉弁64、第8開閉弁63、第10開閉弁65を開状態に制御する。すると、処理液貯留部22に貯留された親水化処理液が送液ポンプ35により加圧され、親水化処理液と血液浄化器1の内部との圧力差が大きくなる。これにより、図中太線で示すように、処理液貯留部22に貯留された親水化処理液は、処理液供給管46(第1処理液供給枝管46aおよび第2処理液供給枝管46b)を通って血液浄化器1内(第1通液空間としての血液流路)に上下両側から注入される。注入された親水化処理液は、排出側キャップ部材5および注入側キャップ部材6の内部空間を満たした後、中空糸膜12の内側空間を満たす。なお、このとき減圧ポンプ43を作動させたままで第11開閉弁71および第12開閉弁72を開状態にし、中空糸膜12の外側空間を減圧し続けてもよい。
そして、親水化処理液が中空糸膜12の内側空間に通液されると、膜通液工程に移行する。すなわち、中空糸膜12の内側空間(あるいは、内側空間内に満たされた親水化処理液)と減圧状態の外側空間との間に圧力差が生じる。この圧力差により親水化処理液の溶媒成分は、膜基材17を透過して膜基材17の外側へ移動することになる。このようにして、親水化処理液の濾過が開始される。そして、親水化処理液中の親水化剤のうち、分子量が膜基材17の細孔よりも大きなもの(例えばK−90)は、細孔へは入らずに膜基材17の内側表面に付着し易い。一方、膜基材17の細孔よりも小さな分子量の親水化剤(例えばK−30)については、親水化処理液の溶媒成分とともに細孔内に入り、そのまま膜基材17の外側空間へ抜け出てしまうものもあるが、多くは細孔の狭い部分等に付着保持される。
血液浄化器1の血液流路側に存在する親水化処理液を規定量濾過したならば、制御部は、各開閉弁を閉状態にして親水化処理液の通液を止め、第1パージ工程に移行する。この第1パージ工程では、血液浄化器1の血液流路内(中空糸膜12の内側空間)に空気を通すことで、血液流路内に余剰した親水化処理液を除去すると共に、不安定な保持状態(保持力が弱く容易に離脱し得る状態)の親水性高分子も除去する。具体的に説明すると、第1パージ工程において、制御部は、図8に示すように、第1開閉弁51、第2開閉弁52、第9開閉弁64、第10開閉弁65、第5開閉弁55を開状態に制御すると共に、その他の開閉弁を閉状態に制御する。その後、気体供給源21から気体、例えば圧縮空気を供給する。すると、図中太線で示すように、圧縮空気が第1気体供給枝管44a、第1共通管60を通って中空糸膜12の内側空間に流入し、第1排出枝管45aから廃液貯留部20へ流出する。したがって、余剰の親水化処理液は、圧縮空気により血液浄化器1から押し出され、第1排出枝管45aを通って廃液貯留部20に排出される。
第1パージ工程が終了したならば、第2パージ工程に移行する。この第2パージ工程では、中空糸膜12の外側空間に空気を通すことで、中空糸膜12の内側空間から移動してきたものを除去する。具体的に説明すると、第2パージ工程において、制御部は、図9に示すように、第1開閉弁51、第3開閉弁53、第12開閉弁72、第14開閉弁75を開状態に制御すると共に、その他の開閉弁を閉状態に制御する。その後、気体供給源21から圧縮空気を供給する。すると、図中太線で示すように、圧縮空気が第2気体供給枝管44bを通って中空糸膜12の外側空間に流入し、第2排出枝管45bから廃液貯留部20へ流出する。したがって、上記親水化処理液の溶媒成分は、圧縮空気により中空糸膜12の外側空間から押し出され、第2排出枝管45bを通って廃液貯留部20に排出される。
第2パージ工程の終了により、この陰圧法による親水化処理が終了する。そして、ロボットアームを移動させる等して、処理が終了した血液浄化器1を浄化器装着部23から離脱させる。その後、次の血液浄化器1を浄化器装着部23にセットして上記と同様の処理を繰り返し行う。
このように、処理装置19により親水化処理が施された血液浄化器1は、膜基材17の内側表面だけでなく、膜厚内部にも親水化剤を付着保持することができる。したがって、膜基材の透過能を迅速に発揮でき、透析前準備の賦活処理時間を短縮することができる。このことから、透析作業全体の効率を向上させることができる。
また、上記した処理装置19による親水化処理では、処理液を濾過する過程で親水化剤18が保持されるので、親水化処理液中の親水化剤18を効率よく保持させることができる。さらに、不溶化処理をすることなく簡素な処理で膜基材の内側表面及び内部に親水化剤を保持することができる。
また、処理装置19では、予め血液浄化器1内の空気を抜いてから親水化処理液を注入するので、処理液注入時に気泡が膜基材17の表面に残ることがない。したがって、気泡により処理液と膜表面との接触が邪魔されず、中空糸膜12の全体に亘って親水化処理が均一に行われる。このことから、膜基材17の親水化処理を効率よく行うことができる。また、過度な機械的ストレスを膜基材17に付与することなく親水化処理を行うことができる。なお、減圧工程においては、中空糸膜12の外側空間および内側空間を減圧したが、本発明はこれに限定されない。例えば、外側空間のみを減圧してもよく、この場合も、膜通液工程において中空糸膜12の外側空間と内側空間との間に圧力差を設定することができ、親水化処理液の溶媒成分を内側空間から外側空間へ移動することができる。
そして、上記した実施形態では、第1パージ工程の後に第2パージ工程を行ったが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2パージ工程の後に第1パージ工程を行い、まず中空糸膜12の外側に移動したものを血液浄化器1の外へ排出し、その後血液流路に残った親水化処理液を排出するようにしてもよい。これらのパージ工程を行う順序は、中空糸膜12の強度によって変えるのが好ましい。すなわち、中空糸膜12が内圧により伸び易く、細孔の大きさが変わり易いものである場合には、第2パージ工程(膜外パージ工程)を行う前に第1パージ工程(膜内パージ工程)を行うのが好適である。この順にすると、中空糸膜12の内部に空気圧がかかる時は、外側空間の処理液で中空糸膜12が伸びて細孔の大きさが変わってしまうのを抑えることができる。なお、中空糸膜12の強度が高ければ、どちらのパージ工程を先に行ってもよい。
上記した透析器の一例である血液浄化器1は、ケーシング本体4に透析液注入ポート8および透析液排出ポート9を備え、キャップ部材5,6に血液排出ポート13および血液注入ポート15を備えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、処理装置にセットされる透析器は、キャップ部材に血液用ポートおよび透析用ポートを設けたものでもよい。
また、上記実施形態では、膜基材17の外側表面に面する空間を減圧状態にして親水化処理液を移動していたが、膜基材17の内側表面に面する空間を加圧状態にして親水化処理液を移動してもよい。そして、上記実施形態では、中空糸膜12の内側空間から外側空間へ親水化処理液の溶媒成分を移動させて、膜基材17の内側表面に主として第1親水化剤18aを付着保持させたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、中空糸膜の外側空間に親水化処理液を注入し、この親水化処理液の溶媒成分を中空糸膜の外側空間から内側空間へ移動させることで、膜基材の外側表面に主として第1親水化剤18aを付着保持させてもよい。要するに、膜表面の一方と他方との間に圧力差を付与し、親水化処理液を注入する空間の圧力が高ければよい。
さらに、中空糸膜12に対して、内側空間から外側空間へ親水化処理液の溶媒成分を移動させる操作と、内側空間から外側空間へ親水化処理液の溶媒成分を移動させる操作とを施して、膜基材17の内外両側表面に主として第1親水化剤18aを付着保持させ、膜基材17の内部に主として第2親水化剤18bを付着保持させてもよい。
ところで、従来の血液浄化器は、グリセリン等の膜透過能維持剤で予め処理した中空糸束を、端部がケーシング本体から突出した状態でシーリング材(例えばウレタン系接着剤)によりケーシング本体の端部に接着固定し、その後中空糸束の端部をシーリング材とともに切断除去して各中空糸膜の端部を開口している。そして、この切断面は平滑な状態で形成されることが望ましい。これは、液体処理作業において処理対象液体中の成分、例えば血液中の血球成分が切断面で傷つくのを避けるためである。
ところが、従来の中空糸膜は、膜透過能維持剤が細孔内に浸透しているためにシーリング材が細孔内まで入り込めない。したがって、中空糸膜と硬化後(接着固定後)のシーリング材層との硬度が異なってしまう。そのため、ケーシング端部の仕上がり具合を液体処理に適した状態(平滑な状態)にするためには切断加工速度の設定を厳格に行う必要があり面倒であった。例えば、シーリング材の切断条件に偏って加工速度に設定してしまうと、シーリング材の切り口は平滑な仕上がり面となるが、中空糸膜の端部の切り口は粗くなってバリが生じ易い。
しかしながら、上記した実施形態では、ケーシング本体に疎水性膜基材からなる中空糸束を接着した後で膜基材の内側表面および膜厚内部に親水化処理を行うことができ、その結果、膜基材の透過能を迅速に発揮し易いので、中空糸膜を膜透過能維持剤で予め処理しておく必要がない。したがって、中空糸束の端部をケーシング本体の端部に接着すると、シーリング材が中空糸束の端部における外側表面および細孔内に浸透し易い。そして、ケーシング本体端部の中空糸膜の硬さをシーリング材層の硬さに近づけることができる。このことから、シーリング材に適した条件に合わせて切断加工を行っても、中空糸膜の切り口にバリ等が生じ難くなり、ケーシング本体の端部を平滑な状態に仕上げることができる。したがって、切断加工の設定条件を緩めることができ、液体処理モジュール製作の作業効率を向上させることができる。また、血液成分への悪影響を抑制できる。
なお、上記実施形態では、中空糸束3を装填した血液浄化器1を例示したが、本発明は、平膜を層状に重ねた積層型の血液浄化器にも適用できる。
さらに、上記した親水化膜の製造方法は、例示した透析用の液体処理モジュールだけでなく、他の液体処理モジュールにも応用できる。例えば、第2注入ポートがない液体処理モジュールであって、中空糸の半透膜を透過して第1通液空間内の第1の液体から抽出される所定の成分を、第2通液空間から第2排出ポートを通じて取り出すものに応用してもよい。具体的には、第1注入ポートとしての血液入口ポートと第1排出ポート血液出口ポートとを第1通液空間に連通した状態で設け、第2ポートとしての血漿出口ポートを第2通液空間に連通した状態で設けた血漿分離用フィルタに応用してもよい。
また、第1注入ポートと第2排出ポートのみを備えた液体処理モジュールであって、第1注入ポートから流入した液体を半透膜で濾過して第2排出ポートから流出させ、液体中の異物を濾し取るタイプ(例えば、除菌フィルタ)に対しても、第1通液空間と第2通液空間との間に圧力差を付与して、処理液中の親水化剤を膜基材に保持させることで、半透膜の処理を施すことができる。
ところで、上記実施形態では、ケーシング本体に装填された膜基材に対して親水化処理を行ったが、本発明はこれに限定されず、ケーシング本体に装填する前の膜基材単体に対して処理を行うようにしてもよい。すなわち、疎水性膜基材に親水化剤を保持させた半透膜の製造方法において、親水化剤は、少なくとも第1親水化剤と第2親水化剤とを含んで構成され、該第1親水化剤と第2親水化剤とが互いに同じ成分であって、且つ第2親水化剤の平均分子量が第1親水化剤の平均分子量よりも小さく設定され、この親水化剤を含有した処理液を膜基材の一方の表面に浸し、膜基材の一方の表面側と他方の表面側との間に圧力差を付与することで、処理液の溶媒成分を膜基材の一方の表面から他方の表面に移動させて、第1親水化剤を膜基材の一方の表面に、第2親水化剤を膜基材の内部にそれぞれ保持させるようにしてもよい。
具体的には、例えば、膜基材の紡糸後に、少なくとも第1親水化剤と第2親水化剤とを含有した処理液を中空糸膜の内側空間に通液し、中空糸膜の外側空間を減圧および/または処理液を加圧して、第1親水化剤を膜基材の内側表面に、第2親水化剤を膜基材の内部にそれぞれ保持させるようにしてもよい。
このように膜基材単体に対して上記親水化処理を施せば、ケーシングを準備することなく、簡単に膜基材の内側表面および膜厚内部に親水化剤を付着保持することができる。したがって、透過能を迅速に発揮できる膜基材を効率よく製造することができる。
次に、実施例および比較例を示して、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例および比較例で用いた血液浄化器の膜基材は、いずれもポリエステル系ポリマーアロイを膜素材とした疎水性膜基材であり、図3に示す分子量分画特性を有するものである。また、比較例における膜基材については、予めグリセリン(水溶性膜透過能維持剤)で表面処理を行ったものを使用している。
(実施例1)K−90とK−30との混合比率を5:5、処理液濃度を0.6wt%に設定したポリビニルピロリドン水溶液(親水化処理液)を用いて、上記処理装置19により血液浄化器の膜基材に親水化処理を施した。
(実施例2)K−90とK−30との混合比率を7:3、処理液濃度を1.0wt%に設定したポリビニルピロリドン水溶液を用いて、上記処理装置19により血液浄化器の膜基材に親水化処理を施した。
(比較例1)K−90のみを含有し、処理液濃度を0.5wt%に設定したポリビニルピロリドン水溶液を用いて、上記処理装置19により血液浄化器の膜基材に親水化処理を施した。
(比較例2)K−30のみを含有し、処理液濃度を0.5wt%に設定したポリビニルピロリドン水溶液を用いて、上記処理装置により血液浄化器の膜基材に親水化処理を施した。
(評価)
上記実施例および比較例に基づいて親水化処理を施した血液浄化器に対して、分画性能が変化したか否かを調べるため、アルブミン(分子量:66,000)のリーク量(中空糸膜を透過する量)を調べた。その結果を表1に示す。
Figure 2005262006
上記結果より、K−30のみを疎水性膜基材に付着させた血液浄化器(比較例2)では、アルブミンリーク量が実施例および比較例の中で最も多いことが判る。そして、K−90の割合の増加(実施例1→実施例2)に伴ってアルブミンのリーク量も徐々に減少した。さらに、K−90のみを含有した親水化処理液で親水化処理した血液浄化器(比較例1)では、アルブミンがリークしなかった。このことから、親水化処理液中に含まれるK−90の量を加減することにより、アルブミンのリーク量を変化できることが判る。すなわち、膜基材そのものの状態、具体的には膜基材に形成される細孔の状態(孔径や長さ等)を変えることなく、上記処理装置19へ供給する親水化処理液に対して高分子量の親水化剤(K−90)の含有率を調整するだけで、特定物質(ここではアルブミン)に対する分画性能を制御でき、特定物質が中空糸膜を透過する量を簡単に調整することができる。
長手方向の途中を部分的に切断して示した中空糸型血液浄化器の断面図である。 (a)及び(b)は、ケーシングの端部における中空糸束の切断面を説明する図である。 製膜した膜基材の分子量分画特性を説明する図である。 中空糸膜の断面図である。 処理装置を説明する模式図である。 処理装置の減圧工程を説明する模式図である。 処理装置の処理液注入工程および膜通液工程を説明する模式図である。 処理装置の第1パージ工程を説明する模式図である。 処理装置の第2パージ工程を説明する模式図である。
符号の説明
1 血液浄化器
2 ケーシング
3 中空糸束
4 ケーシング本体
5 排出側キャップ部材
6 注入側キャップ部材
7 拡径部
8 透析液注入ポート
9 透析液排出ポート
10 封止部
11 シーリング材
12 中空糸膜
13 血液排出ポート
14 Oリング
15 血液注入ポート
16 Oリング
17 膜基材
18 親水化剤
18a 第1親水化剤
18b 第2親水化剤
19 処理装置
20 廃液貯留部
21 気体供給源
22 処理液貯留部
23 浄化器装着部
43 減圧ポンプ
44 気体供給管
44a 第1気体供給枝管
44b 第2気体供給枝管
45 排出管
45a 第1排出枝管
45b 第2排出枝管
46 処理液供給管
46a 第1処理液供給管
46b 第2処理液供給管
47 吸気管
51 第1開閉弁
52 第2開閉弁
53 第3開閉弁
55 第5開閉弁
60 第1共通管
61 第2共通管
62 第7開閉弁
63 第8開閉弁
64 第9開閉弁
65 第10開閉弁
71 第11開閉弁
72 第12開閉弁
73 接続管
74 第13開閉弁
75 第14開閉弁

Claims (9)

  1. 疎水性膜基材に親水化剤を保持させた半透膜をケーシング内に備え、該半透膜によりケーシング内を一方の膜表面側の第1通液空間と他方の膜表面側の第2通液空間とに区画し、前記ケーシングには、第1通液空間に連通する第1ポートと、第2通液空間に連通する第2ポートとを設けた液体処理モジュールにおいて、
    前記親水化剤は、少なくとも第1親水化剤と第2親水化剤とを含んで構成され、該第1親水化剤と第2親水化剤とが互いに同じ成分であって、且つ第2親水化剤の平均分子量が第1親水化剤の平均分子量よりも小さく設定され、
    前記膜基材を内部に装填したケーシングに対し、前記親水化剤を含有した処理液を第1ポートを通じて前記第1通液空間に注入し、
    前記第1通液空間と第2通液空間との間に圧力差を生じさせ、該圧力差により該処理液の溶媒成分を第1通液空間から第2通液空間に移動させることで第1親水化剤を膜基材のうち第1通液空間側の表面に、第2親水化剤を膜基材の内部にそれぞれ保持したことを特徴とする液体処理モジュール。
  2. 疎水性膜基材に親水化剤を保持させた半透膜をケーシング内に備え、該半透膜によりケーシング内を一方の膜表面側の第1通液空間と他方の膜表面側の第2通液空間とに区画し、前記ケーシングには、第1通液空間に連通する第1ポートと、第2通液空間に連通する第2ポートとを設けた液体処理モジュールにおいて、
    前記親水化剤は、少なくとも第1親水化剤と第2親水化剤とを含んで構成され、該第1親水化剤と第2親水化剤とが互いに同じ成分であって、且つ第2親水化剤の平均分子量が第1親水化剤の平均分子量よりも小さく設定され、
    前記第1親水化剤は、主として、一方の膜表面または他方の膜表面のいずれか、もしくは両方の膜表面に保持され、
    前記膜基材の内部には、主として第2親水化剤が保持されていることを特徴とする液体処理モジュール。
  3. 前記親水化剤がポリビニルピロリドンであり、第1親水化剤の平均分子量が500×10以上であり、第2親水化剤の平均分子量が100×10未満であり、前記疎水性膜基材がポリエステル系ポリマーアロイを主たる膜素材としていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体処理モジュール。
  4. 前記第1親水化剤と第2親水化剤との混合比率が、1:9〜9:1であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の液体処理モジュール。
  5. 疎水性膜基材に親水化剤を保持させた半透膜をケーシング内に備え、該半透膜によりケーシング内を一方の膜表面側の第1通液空間と他方の膜表面側の第2通液空間とに区画し、前記ケーシングには、第1通液空間に連通する第1ポートと、第2通液空間に連通する第2ポートとを設けた液体処理モジュールの製造方法において、
    前記親水化剤は、少なくとも第1親水化剤と第2親水化剤とを含んで構成され、該第1親水化剤と第2親水化剤とが互いに同じ成分であって、且つ第2親水化剤の平均分子量が第1親水化剤の平均分子量よりも小さく設定され、
    前記膜基材を内部に装填したケーシングに対し、前記親水化剤を含有した処理液を第1ポートを通じて前記第1通液空間に注入する処理液注入工程と、
    前記第1通液空間と第2通液空間との間に圧力差を生じさせ、該圧力差により該処理液の溶媒成分を第1通液空間から第2通液空間に移動させることで第1親水化剤を膜基材のうち第1通液空間側の表面に、第2親水化剤を膜基材の内部にそれぞれ保持させる膜通液工程と、
    を経て製造されることを特徴とする液体処理モジュールの製造方法。
  6. 少なくとも第2通液空間を減圧する減圧工程を前記処理液注入工程よりも前に行い、
    前記膜通液工程は、減圧工程により減圧状態となった第2通液空間と、処理液注入工程により処理液が注入された第1通液空間との圧力差により行われることを特徴とする請求項5に記載の液体処理モジュールの製造方法。
  7. 前記第1ポートを、第1注入ポートと第1排出ポートとから構成し、
    前記第2ポートを、第2注入ポートと第2排出ポートとから構成し、
    前記膜通液工程の後に、第1通液空間内に残った処理液を排出する第1パージ工程と、第2通液空間内に残った処理液を排出する第2パージ工程を行い、
    前記第1パージ工程では、前記第1注入ポート及び第1排出ポートを開放するとともに、前記第2注入ポートおよび第2排出ポートを閉塞した状態で、第1通液空間内に気体を導入し、
    前記第2パージ工程では、前記第2注入ポート及び第2排出ポートを開放するとともに、前記第1注入ポートおよび第1排出ポートを閉塞した状態で、第2通液空間内に気体を導入することを特徴とする請求項6に記載の液体処理モジュールの製造方法。
  8. 前記親水化剤がポリビニルピロリドンであり、第1親水化剤の平均分子量が500×10以上であり、第2親水化剤の平均分子量が100×10未満であり、前記疎水性膜基材がポリエステル系ポリマーアロイを主たる膜素材としていることを特徴とする請求項5から請求項7の何れかに記載の液体処理モジュールの製造方法。
  9. 前記第1親水化剤と第2親水化剤との混合比率が、1:9〜9:1であることを特徴とする請求項5から請求項8の何れかに記載の液体処理モジュールの製造方法。
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