JP2005261558A - 血液透析装置の脱血圧測定システム - Google Patents

血液透析装置の脱血圧測定システム Download PDF

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尚之 加藤
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Abstract

【課題】血液ポンプ一次側の脱血圧を容易にかつ迅速にしかも精度良く測定できるようにした血液透析装置の脱血圧測定システムを提供する。
【解決手段】血液ポンプの上流側の血液流路内に補液を注入する補液注入手段を有するとともに、血液透析要素の上流側または下流側の血液流路の圧力を検出する圧力検出手段を有し、かつ、血液ポンプの設定血流量と、補液注入手段による血液流路内への補液の注入前後の、圧力検出手段による検出圧力とから、血液透析における実血流量を算出する実血流量演算手段と、該実血流量演算手段により算出された実血流量に基づいて、予め求められた実血流量またはそれから導出される値と脱血圧との関係から、脱血圧を求める脱血圧導出手段を有する、血液透析装置の脱血圧測定システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、血液透析装置の脱血圧測定システムに関し、とくに、実際に血液透析を行う際の脱血圧を迅速にかつ容易に然も精度良く求めることができるようにしたシステムに関する。
血液透析においては、患者の動脈側から採血され、体外の血液透析装置で透析した後の浄化された血液が静脈側に戻される。血液透析装置は既に広く実用化されており、代表的なものとして、たとえば特許文献1や特許文献2等に記載されたものが知られている。血液透析装置では、血液透析を行うための血液透析要素として、透析膜を内在させた血液透析要素(ダイアライザー)が用いられ、患者の動脈側から送られてきた血液中から、血液透析要素内で血液流路側と透析液流路側との間で透析膜を介して尿成分等が除去され、また、余剰水分が除水されて、透析後の血液が患者の静脈側へと戻される。この患者の体内との間の血液の送液・循環には、通常、血液流路中の血液透析要素の上流側に設けられたチューブポンプからなる血液ポンプが用いられている。
この体外循環用のチューブポンプからなる血液ポンプの吐出量の調整、設定は、通常、血液ポンプの一次側(吸入側)を大気開放した状態で行われ、たとえば、200mL/分程度に設定される。
ところが、実際に血液透析を行っている場合には、患者の動脈側から、比較的粘度の高い血液を、血液ポンプの一次側を通して血液ポンプに吸入し、所定の設定血流量に設定されている血液ポンプを介して吐出し、その血液を血液透析要素へと供給し、透析後の血液を静脈側に戻すようにしている。したがって、実際の血液透析中には、血液ポンプの一次側は、たとえば−200〜−300mmHg程度の陰圧状態になっていることが多い。とくに、患者からの採血用に、細い動脈側穿刺針を使う場合には、必然的に陰圧状態になる。このように血液ポンプの一次側が陰圧状態になると、実際の血液ポンプの吐出量(実血流量)は、上記設定血流量よりも少なくなっていることが多い。
血液透析要素(ダイアライザー)の透析効率や発揮すべき性能は、通常、時間当たりの総血流量で透析効率を判断するようにしているので、上記のように血液ポンプの設定血流量と実血流量との間にずれが生じた場合、設定血流量で判断したのでは、最適な透析時間の設定や血液透析要素の最適設定を、正確に行うことができなくなる。
一方、血液透析中には、血液流路内の血液ポンプの一次側の圧力、すなわち脱血圧は、上述の如く、陰圧になっていることが多い。この陰圧の程度が大きくなりすぎると、血液中の赤血球の溶血が生じるおそれがあるので、陰圧の程度が大きくなりすぎないように、脱血圧を測定、監視する必要がある。なお、この点に関して、陰圧が−90mmHg以下になると、血液中の赤血球の溶血が生じるとの報告もある。
従来、血液透析中の血液ポンプ一次側の脱血圧を測定、検出するには、血液透析用血液回路内のピローを用いた陰圧監視モニタや、特殊な血液ポンプ一次側脱血圧測定用の回路を有する血液透析用血液回路と、検出器を血液透析装置に追加して使用している。
上記ピローによる脱血圧監視は、動脈側穿刺部と動脈側血液ポンプとの間にピローを設け、その膨らみを監視する方法である。血流が良好な場合はピローが十分な膨らみを示し、不十分な場合は回路内が陰圧になるためピローの膨らみが無くなる。このピローを陰圧監視部のセンサーにセットすることにより、血流状態(脱血圧)を監視している。しかしながら、この方法では、ピローの膨らみの有無あるいは膨らみの程度により脱血圧を測定するものであり、血液透析中の血液ポンプー次側の正確な脱血圧を精度良く測定することはできない。
また、特殊な血液透析用血液回路を用いる方法では、現在使用されている血液透析用血液回路については脱血圧測定用の検出部を追加したり、血液透析装置に検出器を追加する必要があり、現在の血液透析装置をそのまま使用して脱血圧を測定することは不可能である。
特公昭56−82号公報 特公昭61−25382号公報
上記のような実情に鑑み、本出願人により、先に、簡単な方式により、血液透析における実血流量を容易にかつ精度良くしかも迅速に測定できるようにした、血液透析装置の実血流量測定システムが提案されている(特願2003−132959号)。本発明者らは、この先の提案システムの検討をさらに進めた結果、求められた実血流量と脱血圧との間に密接な相関があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の課題は、前述のような実情に鑑み、実血流量測定から脱血圧を求めることを可能ならしめ、実質的に、既存の血液透析用血液回路に変更を加えることなく、また、血液透析装置に検出器を追加することなく、血液ポンプ一次側の脱血圧を容易にかつ迅速にしかも精度良く測定できるようにした血液透析装置の脱血圧測定システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る血液透析装置の脱血圧測定システムは、患者の体内との間で血液を循環させる血液流路と透析液流路との間で血液透析を行う血液透析要素と、血液流路の血液透析要素の上流側に設けられた血液ポンプとを有する血液透析装置において、前記血液ポンプの上流側の血液流路内に補液を注入する補液注入手段を有するとともに、前記血液透析要素の上流側または下流側の血液流路の圧力を検出する圧力検出手段を有し、かつ、前記血液ポンプの設定血流量と、前記補液注入手段による血液流路内への補液の注入前後の、前記圧力検出手段による検出圧力とから、血液透析における実血流量を算出する実血流量演算手段と、該実血流量演算手段により算出された実血流量に基づいて、予め求められた実血流量またはそれから導出される値と脱血圧との関係から、脱血圧を求める脱血圧導出手段を有することを特徴とするものからなる。
血液ポンプとしては、チューブポンプを用いることができる。チューブポンプからなる血液ポンプとしては、定量性のあるものであればよく、一般的に用いられている複数のローラを備えたチューブポンプを使用できる。この血液ポンプを構成するチューブポンプは、一対のローラを有するポンプ、3つあるいはそれ以上のローラを有するポンプのいずれであってもよい。
このシステムにおいては、上記実血流量演算手段は、血液ポンプの大気圧下で設定された設定血流量をQb、上記補液注入手段により血液流路内に補液が注入される前の圧力値をP0、注入された後の圧力の最大値をPmaxとするとき、実血流量Qbtを、
Qbt=(P0/Pmax)×Qb
として算出する。
すなわち、血液流路に血液が流れている場合、前述の如く血液ポンプの一次側は陰圧になっていることが多く、そのため、血液ポンプの吐出量は大気圧下で設定された設定血流量よりも低くなっていることが多い。補液が注入されることにより、血液ポンプの一次側の流量が増加し陰圧状態が大気開放状態に近づき、血液ポンプの吐出量が増大して動脈圧も増加する圧力挙動を示す。したがってこの圧力挙動における、補液注入直後の最大圧力Pmaxと、補液注入前の初期圧力値P0との比が、設定血流量と実血流量との比に相当するとみなすことができ、上式によって実血流量を容易に、かつ迅速に精度良く求めることができるようにしたものである。
上記補液注入手段による血液流路内への補液の注入は、予め定められた一定時間または/および一定量行えばよい。上記のような圧力挙動を測定できれば、上式によって即座に実血流量を算出できるから、この圧力挙動を得るに足る時間、量だけ補液を注入すれば十分である。たとえば、100mL以下の補液注入で十分である。また、上記補液としては、たとえば、通常使用されている生理食塩液を用いればよい。
このシステムにおいては、上記脱血圧導出手段により求められる脱血圧の陰圧の程度が、予め定められた値を越えないように、血液ポンプの速度が制御されることが好ましい。すなわち、脱血圧測定において、脱血圧が所定の範囲から外れたの場合は、血液ポンプの設定値を最適な値に変更し、脱血圧が所定の範囲内に入るように制御するのである。特に血液ポンプー次側の陰圧状態を監視することで、陰圧による赤血球の溶血を防ぐことができる。このように、血液ポンプの速度制御と連動させることで、一定以上の陰圧状態になれば、血液ポンプの速度を変更し、極度の陰圧がかからないように制御できるようになる。
また、透析液流路に除水手段が設けられている場合、上記血液ポンプの速度制御により過除水が生じないように除水手段による除水速度が制御されることが好ましい。つまり、、血液ポンプ速度変更によって過除水が生じるようであれば、除水速度を適切に変更するのである。
さらに、上記除水手段による除水速度の変更に応じて透析時間が制御されることも好ましい。つまり、除水速度の変更による透析時間の延長、短縮を透析装置で適切に制御するのである。
本発明に係る血液透析装置の脱血圧測定システムによれば、きわめて簡単な回路構成でありながら、補液注入前後の血液回路の圧力挙動を測定するだけで、実血流量を求め、その実血流量から脱血圧を容易にかつ精度良く迅速に測定することができる。これによって、血液透析要素が最適な仕様に設定されているかどうかの判断や、その血液透析要素を用いた透析の効率や透析設定時間の判断を的確に行うことができるようになる。
また、血液透析において血液回路内の血液ポンプ゜一次側の脱血圧を測定することによって、血液回路の陰圧が原因の血液中の赤血球溶血を防ぐことができる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る血液透析装置の概略構成図を示しており、図2は、その装置に補液を注入した際の動脈側の圧力挙動の例を示している。
図1において、1は、患者の動脈側2からの血液を血液透析後に静脈側3へと戻すように循環させる血液流路を示している。血液流路1中の血液は、一対のローラ4aを備えたチューブポンプからなる血液ポンプ4によって定量送液され、血液透析要素としての血液透析フィルター5(ダイアライザー)内で、血液流路1と透析液流路6との間で透析膜7を介して血液透析される。透析膜7は、実際には、たとえば多数の中空糸膜からなるが、図1では模式的に示してある。
透析液は、たとえば図1に示したように、調製済透析液供給装置8から供給された透析液を、計量チャンバー9の一方の室9aから膜10の押圧を介して吐出し、フィルター11を介して血液透析フィルター5に供給される。血液透析済みの透析液は、循環ポンプ12によって計量チャンバー9の他方の室9bに戻されるとともに、除水ポンプ13を介して一部が除水される。
本実施態様においては、血液流路1の血液透析フィルター5の上流側の位置でかつ、血液ポンプ4と血液透析フィルター5との間の位置には、血液流路1中の圧力を検知する圧力センサ14が設けられており、血液透析フィルター5の下流側の位置には圧力センサ15が設けられている。圧力センサ14は患者の動脈側に対応する圧力を検知し、圧力センサ15は静脈側に対応する圧力を検知し、その差圧はそのときの患者の血液粘度に対応している。つまり、血液透析フィルター5は、血液流路1中の圧力損失に関して、いわゆる粘度計と同じ機能を有し、そのときの血液の状態に対応した圧力損失を生じさせ、その圧力損失、つまり圧力センサ14、15の差圧は患者の血液粘度に対応している。
本発明における実血流量の算出には、血液透析フィルター5の上流側に設けられている圧力センサ14によって検出された圧力検出信号、下流側に設けられている圧力センサ15によって検出された圧力検出信号のいずれを用いてもよい。本実施態様では、図2に示すように、血液透析フィルター5の上流側に設けられている圧力センサ14によって検出された圧力検出信号、つまり、動脈側の圧力検出値である動脈圧Paが、実血流量の算出に用いられている。
圧力センサ14、15による圧力検出信号、とくに圧力センサ14による圧力検出信号は制御装置16に送られる。そして、実血流量を測定する際には、補液注入手段17によって、血液ポンプ4の上流側の血液流路内に補液が注入され、その際に生じる、図2に示すような圧力挙動(圧力センサ14によって検出される動脈圧Paの挙動)から、制御装置16により実血流量が算出される。したがって、制御装置16は、本発明における実血流量演算手段も構成しており、さらに、後述の如く、脱血圧導出手段も構成している。補液注入手段17としては、チューブポンプやシリンジポンプなどの定量注入可能なポンプを用いればよい。注入補液としては、本実施態様ではとくに生理食塩液18が用いられている。
補液として生理食塩液を注入した場合(図2に「生食注入」と表記)の動脈圧Paの挙動は、たとえば図2に示すようになる。血液透析中は、前述の如く、血液ポンプ4の一次側の圧力は−200〜−300mmHg程度の陰圧になっていることが多く、それに対応した、生理食塩液注入前の初期動脈圧Pa0が検出される。血液ポンプ4の一次側から一定時間または/および一定量生理食塩液が注入されると、血液ポンプ4により吸入、吐出される流量が生理食塩液で増加し、図2に示すように瞬間的に血液ポンプ4一次側の陰圧状態が解放されて大気圧状態に近づき、血液ポンプ4の吐出量が上昇し動脈圧Paも増加する。増加する動脈圧Paは、生理食塩液の注入量に応じてやがて最大値Pamaxに至り、生理食塩液注入が終わると、再び血液ポンプ4一次側は陰圧状態に戻されるので、血液ポンプ4の吐出量が低下し、動脈圧Paも低下し、アンダーシュートしたのち、再び初期動脈圧Pa0に落ち着く。
上記のような挙動においては、血液ポンプ4周りの配管等の抵抗は同じであるから、血液ポンプ4の吐出量(流速)と吐出圧(動脈圧Pa)とは実質的に比例する。したがって、血液ポンプ4の大気圧下で設定された設定血流量をQbとしたとき、上記生理食塩液が注入される前の圧力値Pa0、注入された後の圧力の最大値Pamaxから、実血流量Qbtは次式で算出することができる。
Qbt=(Pa0/Pamax)×Qb
ここで、
Qbt:実血流量(mL/分)
Pa0:生理食塩液注入前の初期動脈圧(mmHg)
Pamax:生理食塩液注入後の最大動脈圧(mmHg)
Qb:血液ポンプの一次側が大気開放の状態で調整、設定された設定血流量(mL/分)である。
このように、まず、上記演算により、生理食塩液注入前後の動脈圧Paの挙動を測定するという、極めて簡単な手法により、迅速に精度良く実血流量Qbtが求められることになる。
本発明においては、上記のように実血流量演算手段により算出された実血流量に基づいて、予め求められた実血流量またはそれから導出される値と脱血圧との関係から、脱血圧が求められる。脱血圧は、制御装置16に予め記録されている、上記関係に基づいて導出される。
この予め求められるべき、実血流量またはそれから導出される値(例えば、実血流量と血液ポンプ設定流量との関係〔割合等〕を表す値)と脱血圧との関係を求めるために、図3に示すような試験装置を用いた。
図3において、21は、血液透析装置(東レ・メディカル(株)製、TR−7000S)を示しており、血液透析装置21には、チューブポンプからなる血液ポンプ22(試験における流量制御範囲:50〜400mL/min.)が設けられているとともに、血液流路におけるダイアライザー23(東レ・メディカル(株)製、BS−1.6UL)の前後の圧力(動脈圧、静脈圧)の表示部24、25が設けられている。
試験液貯留タンク26に、血液と同等の粘度を有する試験液(キサンタンガム(XG)溶液(Ht40%相当))を貯留し、循環ポンプ27、リリーフ弁28、流量調整弁29(流調弁と表示)を介して、血液ポンプ22でその設定流量に応じた量だけ血液流路30に送り、ダイアライザー23による透析に供した(透析液温度:36℃、透析液流量:500mL/min.、除水速度:0L/hr)。このとき、血液ポンプ22の一次側(動脈側)に、補液として生理食塩液をシリンジを用いて注入ライン31から注入するとともに、血液ポンプ22の一次側における脱血圧を圧力計32にて測定した。ダイアライザー23からの返血圧は、リリーフ弁33で、血液ポンプ22の設定流量変更毎に150mmHgに調節し、返血側(静脈側)の試験液は試験液回収タンク34に回収した。このように構成したフローにて、脱血圧−50mmHg、−100mmHg、−150mmHg、−200mmHg、−250mmHg、−300mmHg、−350mmHg、−400mmHgについて、血液ポンプ22の設定流量を50mL/min.、100mL/min.、150mL/min.、200mL/min.、250mL/min.、300mL/min.、350mL/min.、400mL/min.と変更したときの、血液ポンプ22の設定流量、前記補液注入時の圧力挙動から算出した実血流量(以下、表示補正と言うこともある。)、試験液貯留タンク26の減量等から求めた流量実測値との関係を求めた。
実際の測定は次のように行った。測定開始スイッチを押した後、約1分間の動脈圧の平均値を取得する(初期値とする)。次に、動脈側に補液として生理食塩液を注入し、初期値取得後役4分間動脈圧を監視し、最大値を取得する。前述の、実血流量=(初期値/最大動脈圧値)×血液ポンプ設定速度の式により、実血流量を算出し、表示させる(表示補正値)。この測定を、各脱血圧(例えば、−200mmHg)ごとに実施した。つまり、血液ポンプ22の設定流量(設定速度)を上述の如く変更し、速度変更ごとに各脱血圧がそのときの試験値(例えば、−200mmHg)になるように設定した。
各脱血圧ごとの試験結果を図4〜図11に示す。各図において、「表示」は血液ポンプ設定流量、「表示補正」は上記実血流量=(初期値/最大動脈圧値)×血液ポンプ設定速度の式による演算値、「実測値」は試験液貯留タンク26の減量等から求めた流量実測値を、それぞれ表している。図4〜図11に示すように、各脱血圧において、表示補正値と実測値はよく一致していることが分かり、この表示補正値(本発明における実血流量演算値)が十分に高い信頼性を有する値であることが分かる。
そして本発明では、この実血流量演算値またはそれから導出される値(例えば、実血流量と血液ポンプ設定流量との関係〔割合等〕を表す値)と、脱血圧との関係を求められる。本実施態様では、実血流量演算値(実血流量の測定結果)から、各脱血圧における流量比を以下のように求めた。
流量比=表示補正値/血液ポンプ速度設定値
この流量比を、図4〜図11に示した結果から求めると、図12に示すような流量比と脱血圧との関係が求められる。この関係を予め求めて制御装置16に記録しておくことにより、実血流量の測定結果に基づいて求めた流量比から、脱血圧が簡単にかつ迅速にしかも精度良く導出されることになる。
この脱血圧の導出においては、実質的に、既存の血液透析用血液回路に変更を加えることなく、また、血液透析装置に検出器を追加することなく、血液ポンプ一次側の脱血圧を容易にかつ迅速にしかも精度良く測定することが可能である。その結果、脱血圧を適切に監視するとともに、脱血圧の陰圧の程度が大きくなりすぎないようにし、過大な陰圧による赤血球の溶血を防ぐことが可能となる。
このように脱血圧を精度良く測定することが可能な本発明に係るシステムにおいては、上記のような脱血圧導出手段により求められる脱血圧の陰圧の程度が、予め定められた値を越えないように、つまり、脱血圧の陰圧の程度が大きくなりすぎないように、血液ポンプの速度を制御することも可能である。脱血圧測定において、脱血圧が所定の範囲から外れた場合は、血液ポンプの設定値を最適な値に変更し、脱血圧が所定の範囲内に入るように制御する。すなわち、血液ポンプの速度制御と連動させることで、一定以上の陰圧状態になれば、血液ポンプの速度を変更し、極度の陰圧がかからないように制御する。これにより、より確実に過大な陰圧による赤血球の溶血を防ぐことができる。
また、透析液流路に除水手段(図1に示したような除水ポンプ13)が設けられている場合、上記血液ポンプの速度制御により過除水が生じないように除水手段による除水速度を制御することもできる。これによって、除水速度を適切に制御でき、より最適な血液透析を実施できる。さらに、例えば、除水手段による除水速度の変更に応じて透析時間を制御することもできる。つまり、除水速度の変更による透析時間の延長、短縮を透析装置で適切に制御することができるようになる。
本発明は、脱血圧の測定が求められるあらゆる血液透析装置に適用でき、とくに既存の血液透析装置に対しても簡単に適用することができる。
本発明の一実施態様に係る血液透析装置の概略構成図である。 図1の装置において補液(生理食塩液)を注入した場合の動脈圧の挙動例を示す特性図である。 実血流量および脱血圧を求めるための試験装置の機器系統図である。 脱血圧−50mm/Hgにおける血液ポンプ設定速度(表示速度)と流量(表示補正値および実測値)との関係図である。 脱血圧−100mm/Hgにおける血液ポンプ設定速度(表示速度)と流量(表示補正値および実測値)との関係図である。 脱血圧−150mm/Hgにおける血液ポンプ設定速度(表示速度)と流量(表示補正値および実測値)との関係図である。 脱血圧−200mm/Hgにおける血液ポンプ設定速度(表示速度)と流量(表示補正値および実測値)との関係図である。 脱血圧−250mm/Hgにおける血液ポンプ設定速度(表示速度)と流量(表示補正値および実測値)との関係図である。 脱血圧−300mm/Hgにおける血液ポンプ設定速度(表示速度)と流量(表示補正値および実測値)との関係図である。 脱血圧−350mm/Hgにおける血液ポンプ設定速度(表示速度)と流量(表示補正値および実測値)との関係図である。 脱血圧−400mm/Hgにおける血液ポンプ設定速度(表示速度)と流量(表示補正値および実測値)との関係図である。 図4〜図11の試験結果に基づいた流量比と脱血圧との関係図である。
符号の説明
1 血液流路
2 動脈側
3 静脈側
4 血液ポンプ
4a 血液ポンプのローラ
5 血液透析要素としての血液透析フィルター(ダイアライザー)
6 透析液流路
7 透析膜
8 調製済透析液供給装置
9 計量チャンバー
10 膜
11 フィルター
12 循環ポンプ
13 除水ポンプ
14、15 圧力センサ
16 実血流量測定手段および脱血圧導出手段を構成する制御装置
17 補液注入手段
18 補液としての生理食塩液
21 血液透析装置
22 血液ポンプ
23 ダイアライザー
24、25 圧力表示部
26 試験液貯留タンク
27 循環ポンプ
28 リリーフ弁
29 流量調整弁
30 血液流路
31 補液としての生理食塩液注入ライン
32 脱血圧測定用圧力計
33 リリーフ弁
34 試験液回収タンク

Claims (7)

  1. 患者の体内との間で血液を循環させる血液流路と透析液流路との間で血液透析を行う血液透析要素と、血液流路の血液透析要素の上流側に設けられた血液ポンプとを有する血液透析装置において、前記血液ポンプの上流側の血液流路内に補液を注入する補液注入手段を有するとともに、前記血液透析要素の上流側または下流側の血液流路の圧力を検出する圧力検出手段を有し、かつ、前記血液ポンプの設定血流量と、前記補液注入手段による血液流路内への補液の注入前後の、前記圧力検出手段による検出圧力とから、血液透析における実血流量を算出する実血流量演算手段と、該実血流量演算手段により算出された実血流量に基づいて、予め求められた実血流量またはそれから導出される値と脱血圧との関係から、脱血圧を求める脱血圧導出手段を有することを特徴とする、血液透析装置の脱血圧測定システム。
  2. 前記実血流量演算手段は、前記血液ポンプの大気圧下で設定された設定血流量をQb、前記補液注入手段により血液流路内に補液が注入される前の圧力値をP0、注入された後の圧力の最大値をPmaxとするとき、実血流量Qbtを、
    Qbt=(P0/Pmax)×Qb
    として算出する、請求項1の血液透析装置の脱血圧測定システム。
  3. 前記補液注入手段により血液流路内に補液が予め定められた一定時間または/および一定量注入される、請求項1または2の血液透析装置の脱血圧測定システム。
  4. 前記脱血圧導出手段により求められる脱血圧の陰圧の程度が、予め定められた値を越えないように、前記血液ポンプの速度が制御される、請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析装置の脱血圧測定システム。
  5. 前記透析液流路に除水手段が設けられており、前記血液ポンプの速度制御により過除水が生じないように除水手段による除水速度が制御される、請求項4の血液透析装置の脱血圧測定システム。
  6. 前記除水手段による除水速度の変更に応じて透析時間が制御される、請求項5の血液透析装置の脱血圧測定システム。
  7. 前記補液が生理食塩液からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の血液透析装置の脱血圧測定システム。
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