JP4418787B2 - 脱血圧測定システム - Google Patents

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Description

本発明は、脱血圧測定システに関し、とくに、血液透析装置や血液浄化装置等の血液体外循環装置において、実質的に既存の設備を用いて脱血圧を迅速にかつ精度良く求めることができるようにした脱血圧測定システに関する。
血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液回路を有する血液体外循環装置、とくに血液透析装置や血液浄化装置は広く知られている。たとえば、血液透析においては、患者の動脈側から採血され、体外の血液透析装置で透析した後の浄化された血液が静脈側に戻される。このような血液透析装置は、広く実用化されており、代表的なものとして、特許文献1や特許文献2等に記載されたものが知られている。
血液透析装置では、血液透析を行うための血液透析要素として、透析膜を内在させた血液透析要素が用いられ、患者の動脈側から送られてきた血液中から、血液透析要素内で血液回路側と透析液回路との間で透析膜を介して尿成分などが除去され、また余剰水分が除水されて、透析後の血液が患者の静脈側へと戻される。この患者の体内との間の血液の送液・循環には、通常血液回路中の血液透析要素の上流側に設けられたチューブポンプからなる血液ポンプが用いられる。このチューブポンプは、円弧状に湾曲されたチューブに対し、通常2個のローラをチューブをしごくように回転させてチューブ内の血液を押し出すようにしたものであり、回転数に応じて精度良く流量が設定できるようになっている。
血液透析を行う際には、血液ポンプによりシャントから血液を脱血するが、このときシャント穿刺部が抵抗となるため、血液ポンプ一次側の脱血圧は通常陰圧になる。この脱血圧の陰圧値が過大になると、患者への負担が大きくなるとともに、過大な脱血圧が穿刺ミスがあることを示している場合もある。したがって、脱血圧測定はこのような患者への負担を軽減するために、極力迅速にかつ精度良く測定されることが望まれる。
従来、血液透析中の血液ポンプ一次側の脱血圧を測定・検出するには、血液透析用血液回路内に内部圧力に応じて膨縮するピローを設け、このピローを用いて陰圧監視モニタで監視する方法や、血液ポンプ一次側に脱血圧測定用の専用回路部を設けた特殊な血液透析用血液回路構成とし、そこに圧力検出器を追加して脱血圧を測定する方法がある。
上記ピローによる脱血圧監視は、動脈側穿刺部と血液ポンプ入口側との間にピローを設け、そのピローの膨らみを監視するものである。血流が良好な場合は十分な膨らみを示し、不十分な場合は回路内が陰圧になるためピローの膨らみが無くなる。このピローを陰圧監視部のセンサーにセットすることにより、血流状態を監視している。しかしこの方法では、おおまかな監視はできるものの、ピローの膨縮度と脱血圧とを精度良く関係付けることが困難であるため、血液透析中の血液ポンプ一次側の正確な脱血圧を測定することはできない。
また、上記の特殊な血液透析用血液回路を用いる場合には、既存の血液透析用血液回路に対しては脱血圧測定用の検出部を追加したり、血液透析装置に圧力検出器を追加設置する必要があり、元々このような部位を持たない既存の血液透析装置をそのまま使用して測定することは不可能な場合が多い。
特公昭56−82号公報 特公昭61−25382号公報
上記のような実情に鑑み、既存の血液回路に変更を加えることなく、かつ、血液透析装置に圧力検出器を追加せず既存の圧力検出器からの圧力検出値を利用して、血液ポンプ一次側の脱血圧を迅速にかつ精度良く測定できるようにした脱血圧測定システムおよび方法として、未だ出願未公開の段階にあるが、先に本出願人により、血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液回路を有する血液体外循環装置における、脱血圧測定システムであって、前記血液ポンプ以降の前記血液回路内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段による検出圧力と該検出圧力の変動の振幅とに基づいて脱血圧を算出する脱血圧算出手段とを有することを特徴とする脱血圧測定システムおよび方法が提案されている(特願2005−127709号)。
ところが、この度、上記提案には次のような問題が残されていることが判明し、その問題を解消すれば、さらに精度良く脱血圧を測定できることが分かった。すなわち、上記先の提案では、既存の圧力検出手段による検出圧力と該検出圧力の変動の振幅とに基づいて、予め求めた前記振幅と脱血圧との関係を参照して、そのときの脱血圧を求めるようにしている。しかし実際には、透析等に使用する血液回路には、動脈側、静脈側にエアトラップとして、ドリップチャンバが設けられている。また、上記圧力検出手段における圧力測定用チューブは、このドリップチャンバの空気存在部分に接続されることが多い。したがって、透析中、正常に透析が行われていれば、この2つの部分内(つまり、ドリップチャンバ内と圧力測定用チューブ内)には、常に空気が存在することになる。そして、上記空気は、圧力伝達を鈍らせる効果がある。この効果により、血液回路の状態(例えば、圧力測定用チューブの長さや径、およびドリップチャンバの液面レベル)によって検出圧力の変動の振幅に影響を与えることが判明した。この影響を除去あるいは極力抑えるためには、取得された検出圧力の変動の振幅を、脱血圧の算出に最適な値に補正することが望ましく、このように補正すれば、より精度良く脱血圧の測定を行うことが可能になることが判明した。
そこで本発明の課題は、このような知見に基づき、既存の血液回路に変更を加えることなく、かつ、血液透析装置に圧力検出器を追加せず既存の圧力検出器からの圧力検出値を利用して、より的確にかつ高精度に、血液ポンプ一次側の脱血圧を測定できるようにした脱血圧測定システを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る脱血圧測定システムは、血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液回路を有する血液体外循環装置における、脱血圧測定システムであって、前記血液ポンプ以降の前記血液回路内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段による検出圧力の変動の振幅を取得する振幅取得手段と、少なくとも、前記血液回路内および前記圧力検出手段による圧力検出経路内で空気が存在する部分の容積に基づいて前記取得振幅を補正する振幅補正手段と、前記圧力検出手段による検出圧力と前記振幅補正手段により補正された検出圧力の変動の振幅とに基づいて脱血圧を算出する脱血圧算出手段とを有することを特徴とするものからなる。
この脱血圧測定システムにおいては、上記血液回路内および上記圧力検出手段による圧力検出経路内で空気が存在する部分の容積に基づくとともに、前記血液ポンプの個体特性(つまり、用いられている血液ポンプ個々の特性差〔例えば、血液ポンプ内におけるローラとケーシング間の隙間の微妙な差など〕)を考慮し、この差に基づく補正も加味して、上記振幅補正手段により上記取得振幅が補正されることが、より好ましい。
また、上記振幅補正手段は、予め求めた、基準となる上記空気が存在する部分の容積に対する補正係数と、そのときの上記空気が存在する部分の容積に対する補正係数との関係に基づいて求めた補正係数を用いて補正振幅を算出する手段として構成できる。
また、上記脱血圧算出手段としては、上記圧力検出手段による検出圧力について、予め求めた上記振幅と脱血圧との関係を表す特性曲線に基づいて脱血圧を算出する手段から構成できる。
また、上記血液ポンプとしては、チューブとローラを備えたチューブポンプを用いることができる。このようなチューブポンプは、通常2つのローラを備えたものからなり、ローター1回転で2回の圧力の変動を生じ、それに応じた振幅を生じる。
本発明に係る脱血圧測定システムは、上記のような血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液回路を有する血液体外循環装置であれば、いかなる種類の血液体外循環装置にも適用できる。代表的には、血液体外循環装置として、上記血液回路と透析液回路との間で血液透析を行う血液透析装置が挙げられる。また、上記血液回路中の血液を、透析は行わずに浄化するだけの血液浄化装置にも本発明は適用できる。
このような本発明に係る脱血圧測定システは、次のような技術思想に基づいて完成されたものである。すなわち、血液ポンプを有し、かつ動脈側または/および静脈側に(たとえば、血液透析装置における血液透析要素(ダイアライザー)の前後に)圧力検出部を有する血液体外循環装置においては、とくに動脈側圧力検出部より検出された圧力は、2ローター(2ローラ)の血液ポンプでは1回転で2回の圧力変動の振幅を生じる。静脈側においても、対応する振幅を生じる。この振幅の大きさは上記血液ポンプ以降の圧力や、血液ポンプ一次側の圧力(つまり、脱血圧)により変化する。上記血液ポンプ以降の圧力が高いほど振幅は大きくなる。陰圧となる血液ポンプ一次側圧力が低いほど動脈側圧力検出部で検出される圧力は低くなり、振幅は大きくなる。振幅の絶対値としては、上記血液ポンプ以降の圧力が高いほど、血液ポンプ一次側の圧力が低いほど、振幅は大きくなる。このように、とくに動脈側圧力検出部での検出圧力は、上記血液ポンプ以降の圧力(つまり、動脈圧)と血液ポンプ一次側圧力(つまり、脱血圧)に依存し、その最大値と最小値との差である振幅も、上記血液ポンプ以降の圧力と脱血圧とに依存して変化することになる。したがって、ある血液ポンプ以降の圧力値における上記検出圧力の変動の振幅の大きさを把握できれば、その時の血液ポンプ一次側の圧力(脱血圧)が測定可能になる。そして、この検出圧力の変動の振幅は、前述の如く、この圧力検出経路内に存在する空気により影響を受ける。したがって、この影響を除去あるいは抑制するための補正を取得振幅に加えることにより、補正振幅から、より的確に、より精度良く、脱血圧を求めることが可能になる。本発明は、このような技術思想に基づき完成されたものである。
なお、実際の脱血圧測定方法としては、例えば、後述の実験例に示すように、血液ポンプ以降で動脈圧とその動脈圧変動の振幅を測定し、その振幅を本発明に基づいて補正し、検出動脈圧と補正振幅とから脱血圧を求めることができる。
本発明に係る脱血圧測定システによれば、極めて簡単な回路構成でありながら、とくに、既存の機械的構成を利用して動脈圧とその変動振幅を測定し、取得振幅を補正して、検出動脈圧と補正振幅とから、脱血圧を容易に、かつ迅速に、しかも実用上十分に精度良く測定することができる。
たとえば血液透析を行う時には、血液ポンプによりシャントから血液を脱血するが、このとき血液ポンプ一次側の脱血圧が過大な陰圧になることは、患者への負担が大きいことや穿刺ミスを示す。本発明による脱血圧測定は、このような患者への負担の軽減に極めて有効である。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、血液透析装置について、図面を参照しながら説明する。なお、前述したように、本発明は、血液透析装置以外に、血液浄化装置等の体外血液循環装置にも適用できる。
図1は、本発明の一実施態様に係る脱血圧測定システムを示している。図1において、1は、血液体外循環装置としての血液透析装置を示しており、血液ポンプ2を用いて患者3の体内との間で血液を循環させる血液回路4を有している。血液は、シャント動脈側5から採血され、シャント静脈側6を介して患者3の体内に戻される。血液は、チューブとローラ(たとえば、2ローラ)を備えたチューブポンプからなる血液ポンプ2により血液回路4を送られるが、シャント動脈側5の抵抗により、血液ポンプ2の一次側は一般に陰圧になる。本発明では、この血液ポンプ2の一次側の圧力を、脱血圧と言う。
血液ポンプ2から吐出された血液は、密閉型のドリップ装置7を介して、血液透析要素(ダイアライザー)8の血液流路9側に送られる。血液透析要素8は、透析膜10により血液流路9側と透析液流路11側とに画成されている。血液透析要素8の透析液流路11側には、透析液回路12の透析液送液路13と透析液排液路14が接続されており、透析膜10を介して、循環されている血液に対し透析が行われ、血液の浄化、必要に応じた除水が行われるようになっている。透析後の血液は、血液透析要素8の血液流路9から、密閉型のドリップ装置15を介して、患者3の静脈側へ戻される。
上記血液ポンプ2以降の血液回路4内の圧力を検出する手段として、本実施態様では、ドリップ装置7部分に圧力センサー16が設けられており、血液透析要素8の入口側の圧力が検出されるようになっている。本発明では、この部分の圧力を動脈圧と呼ぶ。そして、圧力センサー16による検出圧力の変動の振幅が、制御装置17に組み込まれた脱血圧算出手段18により算出される。算出した動脈圧の変動の振幅が、とくに本発明により補正した振幅の値が、後述の脱血圧の算出に用いられる。本実施態様では、この動脈圧の変動は、血液ポンプ2の回転により、より正確には、2ローラの回転により、1回転で2回生じ、それぞれ振幅を生じる。この動脈圧の変動に対応する変動は、血液透析要素8通過後の静脈側でも検出可能であるため、ドリップ装置15に設けた静脈側の圧力センサー19による検出値の振幅を用いて、後述の脱血圧を算出することも可能である。
制御装置17からの信号に基づいて、血液ポンプ2の速度が設定され、血液ポンプ2の流量が設定される。この血液ポンプ2の回転に伴う上記圧力センサー16で検出される検出圧力と、該検出圧力の変動の振幅の補正値とに基づいて、血液ポンプ2の一次側圧力である脱血圧が、脱血圧算出手段18により算出される。
このように、本実施態様においては、圧力センサー16による検出圧力と該検出圧力の変動の振幅の補正値から、脱血圧が脱血圧算出手段18により算出されるが、この算出は、基本的に、圧力センサー16による検出圧力毎に行われる。したがって、圧力センサー16による検出圧力毎に、上記振幅と脱血圧との関係を表す特性曲線を予め試験により求めておけば、そのときの脱血圧は脱血圧算出手段18により迅速にかつ容易に算出されることになる。また、圧力センサー16による検出圧力が、予め行った試験における圧力センサー16による検出圧力間の中間領域にある場合には、その両側の実際に試験した圧力センサー16による検出圧力における両特性曲線に基づいて補正する(たとえば、補正係数を加入する)ことで、簡単に、その中間領域にある圧力センサー16による検出圧力における特性曲線を算出することができ、その特性曲線に基づいて、検出圧力の変動の振幅から、脱血圧を脱血圧算出手段18により算出することができる。
上記検出圧力の変動の振幅と脱血圧との関係を表す特性曲線を求めるために、以下のような試験を行った。試験に用いた装置を図2に示す。
図2において、21は、血液透析装置(東レ・メディカル(株)製、TR−7000S)を示しており、血液透析装置21には、チューブポンプからなる血液ポンプ22(試験における流量制御範囲:50〜400mL/min)が設けられているとともに、血液流路におけるダイアライザー23(東レ・メディカル(株)製、BS−1.6UL)の前後の圧力のセンサーおよび表示部(動脈圧センサーおよび表示部24、静脈圧センサーおよび表示部25)が設けられている。
試験液貯留タンク26に、血液と同等の粘度を有する試験液(キサンタンガム(XG)溶液(ヘマトクリット値〔Ht〕20%、30%、40%相当のもの))を各試験において貯留し、血液ポンプ22で吸入、圧送するとともに、流量調整弁27で流路抵抗を変えながら、血液ポンプ22の各設定流量毎に、血液ポンプ22の一次側圧力、すなわち、脱血圧を圧力計28で計測した。同時に、上記動脈圧センサー24による検出圧力を記録計29で記録し、そのときの検出圧力と該検出圧力の変動の振幅を算出できるようにした。ダイアライザー23における血液回路30側に対する透析液回路31側には、透析液を供給した(透析液温度:36℃、透析液流量:500mL/min)。ダイアライザー23からの返血圧は、圧力計32で計測し、返血側(静脈側)の試験液はリリーフ弁33を介して試験液貯留タンク26に回収した。このように構成したフローにて動脈圧を-100、0、100、200、300、400mmHgと変更した。そのときの、脱血圧と動脈圧振幅との関係を求めた。動脈圧振幅は、記録計29に示された動脈圧電圧変動の最大値、最小値の目盛りを読み取り、動脈圧に置き換えて、そのときのと動脈圧における、動脈圧の最大値と最小値の差(振幅)を計算した。結果を図3に示す。
図3においては、各動脈圧(-100、0、100、200、300、400 mmHg)について、上記で得られたデータをy=ax2 +bx+cの形の多項式で近似して特性線を求め、そのときの相関係数をR2 で表してある(このy=ax2 +bx+cの形の多項式および相関係数R2 を表1に示す)。
Figure 0004418787
図3から明らかなように、各動脈圧において、動脈圧振幅と脱血圧との関係は、十分に高い相関をもって特定の特性曲線で表せることが確認できた。したがって、そのときの動脈圧と動脈圧振幅とに基づいて、脱血圧を算出することができる。なお、図3においては、Ht(ヘマトクリット)値、血液ポンプ設定流量の違いによる影響がなかったため、Ht値、血液ポンプ設定流量の特性曲線を一つに代表し、動脈圧毎の特性曲線とした。
また、そのときの動脈圧が上記試験で特性曲線を求めた動脈圧間にある場合には(たとえば、そのときの動脈圧が120mmHgで、試験で特性曲線を求めた動脈圧が100mmHgと150mmHgである場合には)、試験で求めた両特性曲線により、補正係数等を用いて、そのときの動脈圧における特性曲線を算出することが可能であり、その算出した特性曲線に基づいて、そのときの動脈圧振幅から脱血圧を算出することができる。
そして、本発明ではとくに、上記脱血圧の算出に用いる検出圧力(例えば、動脈圧)の変動の振幅が、圧力検出経路内に存在する空気の影響を除去あるいは抑制するために、次のように補正され、この補正振幅を用いることで、より精度良く脱血圧を算出することができる。
上記補正のため補正係数を求めるために、以下のような実験を行った。図4に示すように、血液の代わりに試験液(キサンタンガム溶液(ヘマトクリット 30 %相当))を用い、キサンタンガム溶液を収容した生理食塩液パック41(生食バックと表記)からキサンタンガム溶液を血液ポンプ42により、動脈側ドリップチャンバ43をかいしてダイアライザー44に送り、そこから静脈側ドリップチャンバ45を介して生食パック41に戻すようにした。このような系において、動脈側ドリップチャンバ43内の空気存在部分である上部空間46および空気存在部分である圧力測定検出用チューブ47を介して、動脈圧とその変動を圧力センサー48により測定し、その測定値を補正演算に、とくに補正係数を求めるために使用した。
上記のような系においては、検出した動脈圧の変動の振幅は、動脈側ドリップチャンバ43内の空気存在部分の容積および圧力検出用チューブ47内の空気存在部分の容積によって、その値に影響を受ける。そのため空気存在部分の容積で補正を行うこととし、そのための補正係数を実験により求めた。結果を図5に示す。図5において「液面レベル」と表記してあるのは、動脈側ドリップチャンバ43内の空気存在部分の容積を示しており。「チューブ」と表記してあるのは、圧力検出用チューブ47内の空気存在部分の容積を示している。図5の結果を得るために用いた実験条件のうち、基準条件と、基準条件から各種変更した実験条件を、表2に示す。また、図5の結果から得られた、空気の影響を補正するための補正係数を得るための近似式を表3に示す。
Figure 0004418787
Figure 0004418787
検出圧力の変動の振幅を補正する方法を下記に例示する。このとき、空気の容積を知る必要があるが、そのために圧力測定チューブの長さ、径、およびドリップチャンバの液面の位置から空気の容積を算出する空気容積算出手段を有する。さらにこれらの情報から空気容積を算出するための値を、入力する入力手段を有する。これら算出、入力手段は、例えば、前述の制御装置17あるいは脱血圧算出手段18に組み込まれている。
また、血液ポンプの隙間は各血液透析装置(血液浄化装置など)で微妙に異なると考えられる。その微妙な差が検出圧力に影響を与えることも考えられる。そこで、血液ポンプの隙間の微妙な差を補正するできるようにしておくことが好ましい。例えば、血液ポンプの微妙な隙間(血液ポンプのローターとケーシングの間)の差を補正する値を入力する入力手段を有し、この入力された値を血液ポンプ補正値とし、検出圧力の変動の振幅の補正に加味できるようにする。ただし、同一の血液ポンプを使用した場合の補正は不要と考えられ、異なる血液ポンプを使用した場合の血液ポンプ個体間の特性差を補正すればよいと考えられる。
上記のような補正方法を具体的に例示すると、例えば次のようになる(本例では、血液ポンプは同一のものを使用する場合とし、血液ポンプ補正係数は、1.00としている)。
図5に示したような空気存在部分の容積と補正係数との関係(基準:チューブ内径1.8 mm、チューブ長100 cm、ドリップチャンバの上部から液面までの高さ20 mm)についての特性図を得た後、例えば実際に使用した血液回路が下記のような条件であった場合、次のように補正を行う。
使用した血液回路の条件:
・血液回路の圧力測定チューブ内径(直径):3.2 mm(ID)
・血液回路の圧力測定チューブ長:1200 mm(L)
・ドリップチャンバ液面:-40 mm(LV)
・取得振幅(検出した振幅):44 mmHg
1.表3の近似式から補正係数を算出する。
(1)圧力測定用チューブ補正係数の算出(近似式:y = 0.0868x + 0.2941 + 0.0186) 近似式のxは以下のように計算して求める。
x = 液面レベル容積(ml)+ チューブ容積(ml)
x = 〔(8.92 × 3.14 × 20)+ ((ID/2)2 ×3.14×L)〕/ 1000
= [4974.39 +(3.2/2)2 × 3.14 × 1200] / 1000
= 14.62(ml)
xを求めてから、近似式:y = 0.0868x + 0.2941 + 0.0186に代入する。
y(補正係数)= 0.0868×14.62 + 0.3127 = 1.58
(2)液面レベル補正係数の算出(近似式:y = 0.0426x + 0.6575)
近似式のxは以下のように計算して求める。
x = 液面レベル容積(ml)+ チューブ容積(ml)
= 〔(8.92 × 3.14 × LV)+(0.92 × 3.14 × 1000)]/1000
= 〔(248.72× 40)+(2543.4)]/1000
= 12.49(ml)
xを求めてから、近似式:y = 0.0426x + 0.6575に代入する。
y(補正係数) = 0.0426 × 12.49 + 0.6575 = 1.19
2.取得振幅から補正振幅を計算する。
圧力測定用チューブ補正値、液面レベル補正値、血液ポンプ補正値のそれぞれ下記のように使用する。
取得振幅:44 mmHg
補正振幅 =取得振幅×圧力測定チューブ補正係数×液面レベル補正係数×血液ポンプ補正値
= 44 mmHg× 1.58 × 1.19 × 1.00= 82.7 mmHg
上記のように計算した補正振幅を、前述の脱血圧の計算に実際に使用する。これにより、より的確に、かつ高精度に脱血圧が算出されることになる。
このように、本発明によれば、血液ポンプ以降の血液回路内の検出圧力と検出圧力の変動の振幅の補正値とに基づいて脱血圧を迅速にかつ精度良くしかも容易に算出することができ、圧力計を新たに付加することなく、既存の装置にも容易に本発明を適用することができる。
なお、上記実施態様および試験装置では、ダイアライザー前の動脈圧振幅から脱血圧を算出するようにしたが、ダイアライザー後の静脈圧でも、血液ポンプ回転による圧力変動が生じ、その振幅を算出できることから、この振幅と脱血圧との関係を各動脈圧毎に求めておくことにより、前記同様の脱血圧算出が可能になる。
本発明に係る脱血圧測定システは、血液透析装置の他に、単に血液の浄化を行うだけの血液浄化装置等の血液体外循環装置にも適用することができる。
本発明の一実施態様に係る脱血圧測定システムの概略構成図である。 動脈圧振幅と脱血圧との特性曲線を求めるための試験装置の概略構成図である。 図2の試験装置における試験結果を示す特性図である。 本発明における補正係数を求めるための実験装置の概略構成図である。 図4の実験装置により求めた空気存在部分の容積と補正係数との関係を示す特性図である。
符号の説明
1 血液体外循環装置としての血液透析装置
2 血液ポンプ
3 患者
4 血液回路
5 シャント動脈側
6 シャント静脈側
7、15 密閉型ドリップ装置
8 血液透析要素(ダイアライザー)
9 血液透析要素の血液流路
10 透析膜
11 透析液流路
12 透析液回路
13 透析液送液路
14 透析液排液路
16 動脈側の圧力センサー
17 制御装置
18 脱血圧算出手段
19 静脈側の圧力センサー
21 血液透析装置
22 血液ポンプ
23 ダイアライザー
24 動脈圧センサーおよび表示部
25 静脈圧センサーおよび表示部
26 試験液貯留タンク
27 流量調整弁
28 脱血圧用圧力計
29 記録計
30 血液回路
31 透析液回路
32 返血圧用圧力計
33 リリーフ弁
41 生理食塩液パック(生食パック)
42 血液ポンプ
43 動脈側ドリップチャンバ
44 ダイアライザー
45 静脈側ドリップチャンバ
46 動脈側ドリップチャンバ内の上部空間
47 圧力検出用チューブ
48 動脈圧とその変動を検出する圧力センサー

Claims (7)

  1. 血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液回路を有する血液体外循環装置における、脱血圧測定システムであって、前記血液ポンプ以降の前記血液回路内の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段による検出圧力の変動の振幅を取得する振幅取得手段と、少なくとも、前記血液回路内および前記圧力検出手段による圧力検出経路内で空気が存在する部分の容積に基づいて前記取得振幅を補正する振幅補正手段と、前記圧力検出手段による検出圧力と前記振幅補正手段により補正された検出圧力の変動の振幅とに基づいて脱血圧を算出する脱血圧算出手段とを有することを特徴とする脱血圧測定システム。
  2. 前記血液回路内および前記圧力検出手段による圧力検出経路内で空気が存在する部分の容積に基づくとともに、前記血液ポンプの個体特性を考慮して、前記振幅補正手段により前記取得振幅が補正される、請求項1の脱血圧測定システム。
  3. 前記振幅補正手段が、予め求めた、基準となる前記空気が存在する部分の容積に対する補正係数と、そのときの前記空気が存在する部分の容積に対する補正係数との関係に基づいて求めた補正係数を用いて補正振幅を算出する手段からなる、請求項1または2の脱血圧測定システム。
  4. 前記脱血圧算出手段が、各検出圧力について、予め求めた検出圧力の変動の振幅と脱血圧との関係を表す特性曲線に基づいて脱血圧を算出する手段からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の脱血圧測定システム。
  5. 前記血液ポンプがチューブとローラーを備えたチューブポンプからなる、請求項1〜4のいずれかに記載の脱血圧測定システム。
  6. 前記血液体外循環装置が、前記血液回路と透析液回路との間で血液透析を行う血液透析装置からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の脱血圧測定システム。
  7. 前記血液体外循環装置が、前記血液回路中の血液を浄化する血液浄化装置からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の脱血圧測定システム。
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