JP2005260601A - 高ヒステリシス幅入力回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】
従来のヒステリシス入力回路は等価的にP型MOSFETとN型MOSFETのインバータ回路のβ比を変えて、ロジックレベルのヒステリシスを作っていたが、この方式では電源電圧が低下するとヒステリシス幅が極端に小さくなった。また、ロジックレベルを形成するのにP型とN型MOSFETを用いるので形状比の設定にやや無理があり、また製造工程でのバラツキの影響を受けやすかった。
【解決手段】
入力回路2個と正極の電源にN型MOSFET、負極の電源にP型MOSFETとラッチ回路を設け、前状態により、前記MOSFETをオン・オフすることにより、ヒステリシス特性を得る。これにより、前述の課題が解消できた。
【選択図】 図1


Description

本発明は絶縁ゲート電界効果型トランジスタ(以下MOSFETと略す)を用いた半導体集積回路装置において、入力回路の入力信号が高電位から低電位へ、あるいは低電位から高電位へ遷移する際に、ノイズによる誤動作や不安定さを除去するためにロジックレベルにヒステリシス特性を設けた回路方式であって、電源電圧が低下した場合においてもヒステリシス幅を充分に大きく確保する回路の構成に関する。
従来から、集積回路、殊にデジタル回路の入力信号端子にはノイズによる誤動作や不安定さを除去する為に信号変化を判定するロジックレベルに入力信号の立ち上がりと立ち下がりで差を持たせる、つまりヒステリシス特性を持たせたヒステリシス入力回路を用いることが広く行われている。しかしながら近年、集積回路が微細化し、耐圧の低下とともに低い電源電圧が用いられるようになると充分なヒステリシス幅を確保できないようになって来た。
以下に従来回路について説明する。 従来のMOS集積回路における一般的なヒステリシスを有する入力回路は、インバータ回路と等価な回路を構成し、入力信号に必ず支配され、かつそのロジックレベルを決定する大きな要因であるP型MOSFETのコンダクタンス定数βとN型MOSFETのコンダクタンス定数βの比を2種設け、該2種のβとβの比を前の状態によって変える回路構成をとっていた。
例えば図6は第1の従来回路例であり、P型MOSFET601と603およびN型MOSFET602によって決定される第1のロジックレベルと、N型MOSFET602と604およびP型MOSFET601によって決定される第2のロジックレベルとを持ち、インバータ回路607とP型MOSFET605とN型MOSFET606により、前の状態によって、前述の第1のロジックレベルと第2のロジックレベルとを使い分け、ヒステリシス特性を作り出していた。
また、図7は第2の従来回路例であり、特許文献1に示されたものである。図7ではP型MOSFET701、703、705およびN型MOSFET702、704によって決定される第1のロジックレベルと、N型MOSFET702、704、706およびP型MOSFET701、703によって決定される第2のロジックレベルとを持ち、インバータ回路707とP型MOSFET705とN型MOSFET706により、前の状態によって、前述の第1のロジックレベルと第2のロジックレベルとを使い分け、ヒステリシス特性を作り出していた。
また、図8は第3の従来回路例であり、特許文献2に示されたものである。図8ではP型MOSFET801、803、805およびN型MOSFET802、804によって決定される第1のロジックレベルと、N型MOSFET802、804、806およびP型MOSFET801、803によって決定される第2のロジックレベルとを持ち、インバータ回路807とP型MOSFET805とN型MOSFET806により、前の状態によって、前述の第1のロジックレベルと第2のロジックレベルとを使い分け、ヒステリシス特性を作り出していた。
また、図9は第4の従来回路例であり、特許文献3に示されたものである。図9ではP型MOSFET911、915およびN型MOSFET912によって決定される第1のロジックレベルと、N型MOSFET914、916およびP型MOSFET913によって決定される第2のロジックレベルとを持ち、NAND回路917と919とインバータ回路919によって構成されるラッチ回路924とP型MOSFET915とN型MOSFET916により、前の状態によって、前述の第1のロジックレベルと第2のロジックレベルとを使い分け、ヒステリシス特性を作り出していた。
特許公開昭58−182914(代表図)
特許公開平10−154924(代表図) 特許公開平11−27114(代表図)
しかしながら、上記従来のヒステリシス入力回路では以下に述べる問題点を有していた。前述した従来のヒステリシスを有する入力回路である図6、図7、図8の回路の第1、第2のロジックレベルを形成する際の等価回路としてはP型MOSFETとN型MOSFETによる図5のようなインバータ回路に帰結される。
さて、インバータ回路のロジックレベルは図5のように、P型MOSFETとN型MOSFETのコンダクタンス定数をそれぞれβ、βとし、またスレッショルド電圧をそれぞれVTP、VTNとする。また電源電圧をVDD、基準の接地電位0、ロジックレベルをVGLとすると、このとき、
1/2・β(VDD−VGL−VTP = 1/2・β(VGL−VTN
が成立ち、これを解くことにより、ロックレベルVGL
GL={VDD−VTP+(β/β1/2・VTN}/{1+(β/β1/2
となる。したがって、P型MOSFETとN型MOSFETの形状を様々にとり、コンダクタンス定数比(β/β)を0から無限大まで変えればロジックレベルが以下の範囲で変わる。
TN < VGL < VDD−VTP
このとき、高い方のロジックレベルVIHは(β/β)が0のときで
IH = VDD−VTP
となり、また低い方のロジックレベルVILは(β/β)が無限大のときで
IL = VTN
である。したがってヒステリシス幅VWHL
WHL = VDD−VTP−VTN
となる。ただし、(β/β)を0や無限大にすることは実態として無理があるため、実際にはこれより更にヒステリシス幅は小さくなる。したがって電源電圧VDDが低い電圧、例えば1.5V程度になるとVTPやVTNは0.5Vから0.7V程度であるのでヒステリシス幅は非常に小さくなり、当初の目的を果たさなくなる。なお、この様子を示したのが図4である。図4において、0≦VIN≦VTNではN型MOSFETが動作せず、またVDD−VTP≦VIN≦VDDではP型MOSFETが動作しないので、インバータ回路のロジックレベルはVTN < VIN < VDD−VTPの範囲に限定される。スレッショルド電圧VTP、VTNは動作時には変動しないので電源電圧VDDが低下するとロジックレベルのとれる範囲(VDD−VTP−VTN)が狭くなり、ヒステリシスの幅は電源電圧の低下とともに非常に小さくなる。
したがって従来の図6、図7、図8のような等価回路がインバータ回路に帰着されるヒステリシス入力回路は低電圧になるとヒステリシス幅が充分にとれないという問題点があった。
また、低電圧動作時において、少しでもヒステリシス幅を確保しようとして(β/β)を設定しようとすると、P型MOSFETあるいはN型MOSFETの形状を不自然な程、変える必要が生じ、その結果、大きなチップ面積を占有したり、駆動能力を小さくして応答性が低下したりする問題点があった。
また、図9の第4の従来例ではP型MOSFET915とN型MOSFET916のゲート電極には入力端子920は接続されていないので、図5のインバータ回路の等価回路とはならず、図5におけるロジックレベルの制約はない。しかしながら、ヒステリシス幅を確保したい設計条件のもとでは第1のロジックレベルは事実上、N型MOSFET912とP型MOSFET915によって決まることになり、以下の問題が生ずる。図9においてP型MOSFET915とN型MOSFET912のコンダクタンス定数をそれぞれβ、βとし、またスレッショルド電圧をそれぞれVTP、VTNとする。また電源電圧VDD、基準の接地電位0、ロジックレベルをVGLとすると、このとき近似的に
IL ≒ (VDD−VTP)−(β/β1/2・(VDD−VTN
となる。ここで (β/β)の値を0から無限大まで変化させると
−∞ ≦ VIL ≦ VDD−VTP
の電源電位を越えての範囲まで設定できる。また、このとき仮に
(β/β1/2 = (VDD−VTP)/(VDD−VTN
に設定すると
IL ≒ 0
となり、前述したインバータ回路のVILの下限がVTNまでしかないのに比較して広がる方式である。しかし、このとき、第2のロジックレベルVILを設定する条件として、
(β/β1/2 と(VDD−VTP)/(VDD−VTN)との比の設定がポイントとなるが、P型MOSFETとN型MOSFETといった性質の異なる間の設定となるので、製造上のバラツキも考慮すると限界ぎりぎりまでヒステリシスを伸ばすのはやや無理がある。また、−∞ ≦ VIL ≦ VDD−VTPの式からも解るようにあまり無理してVILを低く設定して、量産製造時のバラツキでVILが0を下回るようになると入力端子920の信号電位を電源電圧の範囲を振ってもラッチしたままで動作の回復が不能となる危険性もはらんでいるという問題点があった。なお、第1のロジックレベルのVIH設定時でも同様にヒステリシス幅を確保する為に無理をした設定をするとVIHがVDDを越え、ラッチしたままで動作の回復が不能となる危険性もはらんでいるという問題点があった。
そこで本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的とするところは
低電圧においても比較的に大きなヒステリシス幅を有するヒステリシス入力回路を提供することである。
また、比較的に大きなヒステリシス幅を有する入力回路を妥当なチップ面積で具現化できる回路を提供することを目的とする。
また、ヒステリシス特性を決定する第1のロジックレベルと第2のロジックレベルを設定する際に、同じ型のMOSFETどうしのβ比による設定となるようにして、限界ぎりぎりの設定を可能にし、大きなヒステリシス幅を確保し、かつ製造上のバラツキによる動作不能状況を生じさせないヒステリシス入力回路を提供することを目的とする。
本発明の高ヒステリシス幅入力回路は、入力信号によって制御される第1のインバータ回路と前の状態を記憶したラッチ回路によって制御されるN型MOSFETとによって高い方のロジックレベルVIHを持つ第1の入力回路と、入力信号によって制御される第2のインバータ回路と前の状態を記憶したラッチ回路によって制御されるP型MOSFETとによって低い方のロジックレベルVILを持つ第2の入力回路と、前の状態を記憶しているラッチ回路からなることを特徴とする。
上記の構成によれば、ロジックレベルは入力信号によってのみ制御されるインバータ回路の(β/β)比だけではなく前の状態を記憶したラッチ回路の信号によってのみ制御されるMOSFETのβ比との総合効果によって決定されるので前述したインバータ回路のロジックレベルの制限が解除されることとなり、ロジックレベルを設定できる範囲が増す。またN型MOSFETを付加した第1の入力回路とP型MOSFETを付加した第2の入力回路を設けることにより、それぞれ独立に2つのロジックレベルを設定できるのでβ比の設定の自由度が増し、設計が容易になると同時にヒステリシス幅を大きく出来る。
また2つの入力回路とラッチ回路を設けたことにより、過渡状態においても不安定さが少なくなるという効果がある。
また、ロジックレベルを設定する主要素は同型どうしのMOSFETのβ比、つまりは形状比となり、確実に条件設定ができるので、製造プロセス上での変動やバラツキの影響が少なくなるという効果がある。
またβ比の設定が同型のMOSFETとなり、確実に設定されるので、設計と実際のプロセスによる差違によって永遠にラッチ状態に入り込むといった状況に落ち込む危険性が排除できるという効果がある。
また(β/β)を無理に極端な値に設定しなくともロジックレベルの値の設定が容易であるので、極端なMOSFETの形状が不要となり、妥当なチップ面積の回路が実現する効果がある。
以上より、低電圧になってもヒステリシス幅の大きく、ノイズに強いヒステリシス入力回路を安定して提供できるという効果がある。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施例を示す回路図である。図1において11はP型MOSFETであり、ソース電極は正極の電源+VDDに接続されている。12はN型MOSFETであり、ソース電極は負極の電源−VSSに接続されている。P型MOSFET11とN型MOSFET12のそれぞれのゲート電極は互いに接続され、またそれぞれのドレイン電極も互いに接続されインバータ回路22を構成している。また13はP型MOSFETであり、ソース電極は正極の電源+VDDに接続されている。14はN型MOSFETであり、ソース電極は負極の電源−VSSに接続されている。P型MOSFET13とN型MOSFET14のそれぞれのゲート電極は互いに接続され、またそれぞれのドレイン電極も互いに接続されインバータ回路23を構成している。17、18はNAND回路(非論理積回路)である。NAND回路17の出力はNAND回路18の第2ゲートに入力し、NAND回路18の出力はNAND回路17の第2ゲートに入力している。また、インバータ回路22の出力はNAND回路17の第1ゲートに入力している。19はインバータ回路である。インバータ回路23の出力はインバータ回路19のゲートに入力し、インバータ回路19の出力はNAND回路18の第1ゲートに入力している。NAND回路17、18およびインバータ回路19によって図の破線24に囲まれたラッチ回路を構成している。ラッチ回路24の出力端子21はNAND回路18の出力に接続されている。16はN型MOSFETであり、ドレイン電極は正極の電源+VDDに接続され、ソース電極はインバータ回路22の出力に接続され、ゲート電極はラッチ回路24の出力端子21に接続されている。15はP型MOSFETであり、ドレイン電極は負極の電源−VSSに接続され、ソース電極はインバータ回路23の出力に接続され、ゲート電極はラッチ回路24の出力端子21に接続されている。インバータ回路22とインバータ回路23のそれぞれの入力は互いに接続され、ヒステリシス入力回路としての入力端子20となっている。
さて、入力端子20が初め低電位であるとする。このときラッチ回路24の出力21は高電位であり、N型MOSFET16はオン(ON)、P型MOSFET15はオフ(OFF)している。
つぎに入力端子20の信号電位が除々に高くなっていくと、インバータ回路22とインバータ回路23の単独のロジックレベルがほぼ同レベルであった場合、インバータ回路22にはN型MOSFET16がオンしていて出力が高電位を保とうとしていて、低電位になるのを阻害しているのに対し、インバータ回路23に並列のP型MOSFET15はオフしているので作用していない。したがって、まずインバータ回路23の出力が高電位から低電位に変わり、インバータ回路19の出力は高電位となってNAND回路18の第1ゲートに入力する。しかし、NAND回路17の出力は低電位であるのでNAND回路18の出力は高電位のままでラッチ回路24としての出力は変化しない。
そして更に入力端子20の信号電位が高くなって行き、N型MOSFET12の駆動能力がP型MOSFET11とN型MOSFET16の駆動能力の合計を上回ったとき、インバータ回路22の出力は高電位から低電位に変わり、NAND回路17の出力は低電位から高電位に変わって、NAND回路18の第1ゲート、第2ゲートがともに高電位となるので、NAND回路18の出力は高電位から低電位に変わり、ラッチ回路24の出力21は高電位から低電位に変わる。これによりN型MOSFET16がオフし、またP型MOSFET15がオンする。
この結果、インバータ回路22とN型MOSFET16から決まるロジックレベルは変化するとともに、インバータ回路23とP型MOSFET15から決まるロジックレベルも変化する。
さて、つぎに入力端子20の信号電位が高電位から低電位になっていくと、N型MOSFET16がオフ状態であって、P型MOSFET15がオン状態であるため、まずインバータ回路22の出力が低電位から高電位に変わるがNAND回路18の出力は低電位であるのでNAND回路17の出力は高電位のまま変わらず、ラッチ回路24としての出力は変化しない。そして更に入力端子20の信号電位が低くなって行き、P型MOSFET15の駆動能力がN型MOSFET14とP型MOSFET15の駆動能力の合計を上回ったとき、インバータ回路23の出力は低電位から高電位に変わり、インバータ回路15を経て、NAND18の第1ゲートに低電位が入力するので、NAND回路18の出力は高電位となって、ラッチ回路24の出力21は低電位から高電位に変わり、N型MOSFET16がオンし、またP型MOSFET15がオフする。この結果、インバータ回路22とN型MOSFET16から決まるロジックレベルは再度変化するとともに、インバータ回路23とP型MOSFET15から決まるロジックレベルも再び変化する。このN型MOSFET16とP型MOSFET15のオン、オフによる相違分がヒステリシスを生じる要因である。
さて、P型MOSFET11とN型MOSFET12と16のそれぞれのコンダクタンス定数をβ、βN1、βNSとし、またそれぞれのスレッショルド電圧をVTP、VTN、VTNとし、また電源電圧をVDD、基準の接地電位を0とする。N型MOSFET16のゲート電極は高電位(VDD)が加わりオンしていて、かつソース電極はロジックレベルにおいて遷移する時点には電源電圧のちょうど半分である(1/2・VDD)になっているときの、前記3個のMOSFETによるロジックレベルVGLは以下に示す方程式1を満たす。
1/2・β(VDD−VGL−VTP +1/2・βNS(1/2・VDD−VTN
= 1/2・βN1(VGL−VTN
が成立ち、ロックレベルVGL(VIH)は 本来の目的であるヒステリシス幅を確保する為と、分かりやすさの観点からまず、以下の条件式2
DD−VTP < VGL < VDD
とすると、P型MOSFET11はオフする領域に入り、
1/2・βNS(1/2・VDD−VTN = 1/2・βN1(VGL−VTN
となり、これを解くと、以下の方程式3が得られる。
GL= VTN + (βNS/βN11/2・(1/2・VDD−VTN
前記方程式3を前記条件式2に代入して解くと、以下の条件式4が得られる。
(VDD−VTP−VTN/(1/2・VDD−VTN< (βNS/βN1
かつ、
(βNS/βN1)<(VDD−VTN/(1/2・VDD−VTN
ここで、
(VDD−VTP−VTN/(1/2・VDD−VTN< (βNS/βN1
であることによりヒステリシス幅を大きく確保でき、以下の条件式5
(βNS/βN1)<(VDD−VTN/(1/2・VDD−VTN
であればロジックレベルVIHを電源電圧VDDの範囲内でおさまるので、ラッチ回路でロックしたことによる動作の回復不能に陥ることはない。
条件式5の不等式の右辺をF5と表現すると、
F5=(VDD−VTN/(1/2・VDD−VTN
は現実的な 0< VTN < 1/2・VDD のでは、
4 < F5 < ∞
の範囲の値をなる。
また、条件式4の不等式の左辺をF4と表現すると、
F4=(VDD−VTP−VTN/(1/2・VDD−VTN
は、現実的な
0< VTN < 1/2・VDD および、0< VTP < 1/2・VDD
のでは
1 < F4 < 4
の範囲となる。
以上より、(βNS/βN1)を1〜4程度に設定すればヒステリシス幅を極限にまで大きくとれるヒステリシス入力回路が実現する。また、あまりにもヒステリシス幅を大きくとると入力信号が電源電圧まで振り切れずに、ロック状態に落ち込むことを避ける為に、ヒステリシス幅よりも安全性を優先する場合には、(βNS/βN1)を1程度、あるいはそれ以下に設定すればよいことも解る。
さて、(βNS/βN1)を1〜4程度、あるいは1程度に設定することはN型MOSFETのコンダクタンス定数比、つまり形状比であるので容易に設定できる。より具体的にはN型MOSFET16とN型MOSFET12のトランジスタのチャネル長を同じとすればN型MOSFET16のトランジスタ幅をN型MOSFET12のトランジスタ幅を前記比率に設定すればよい。
なお、前記方程式1
1/2・β(VDD−VGL−VTP + 1/2・βNS(VDD−VTN
= 1/2・βN1(VGL−VTN
において、ラッチ回路24の信号により、N型MOSFET16がオフしている場合には、
1/2・β(VDD−VGL−VTP = 1/2・βN1(VGL−VTN
となって、通常のインバータのロジックレベル
GL={VDD−VTP+(βN1/β1/2・VTN}/{1+(βN1/β1/2
となり、βN1≒β 、かつ、VTP≒VTN であれば、ほぼ電源電圧の半分の中間電位をロジックレベルとして持つことになる。
さて、次にP型MOSFET13と15、N型MOSFET14それぞれのコンダクタンス定数をβP1、βPS、βとし、またそれぞれのスレッショルド電圧をVTP、VTP、VTNとし、また電源電圧をVDD、基準の接地電位を0とする。P型MOSFET15のゲート電極は低電位(0)が加わりオンしていて、かつソース電極はロジックレベルにおいて遷移する時点には電源電圧のちょうど半分である(1/2・VDD)になっているときの、前記3個のMOSFETによるロジックレベルVGLは以下に示す方程式6を満たす。
1/2・βP1(VDD−VGL−VTP = 1/2・β(VGL−VTN
+ 1/2・βPS(1/2・VDD−VTP
が成立ち、ロックレベルVGL(VIL)は 本来の目的であるヒステリシス幅を確保する為と、分かりやすさの観点からまず、以下の条件式7
0 < VGL < VTN
とするとN型MOSFET14はオフする領域に入り、
1/2・βP1(VDD−VGL−VTP=1/2・βPS(1/2・VDD−VTP
となり、これを解くと、以下の方程式8が得られる。
GL= (VDD−VTP)−(βPS/βP11/2・(1/2・VDD−VTP
前記方程式8を前記条件式7に代入して解くと、以下の条件式9が得られる。
(VDD−VTP−VTN/(1/2・VDD−VTP< (βPS/βP1
かつ、
(βPS/βP1)< (VDD−VTP/(1/2・VDD−VTP
ここで、
(VDD−VTP−VTN/(1/2・VDD−VTP < (βPS/β
であることによりヒステリシス幅を大きく確保でき、以下の条件式10
(βPS/βP1)< (VDD−VTP/(1/2・VDD−VTP
であればロジックレベルVILを電源電圧0の範囲内でラッチ回路でロックしたことによる動作の回復不能に陥ることはない。
また、条件式10の不等式の右辺をF10と表現すると、
F10=(VDD−VTP/(1/2・VDD−VTP
は現実的な 0< VTP < 1/2・VDD のでは、
4 < F10 < ∞
の範囲の値をなる。
また、条件式9の不等式の左辺をF9と表現すると、
F9=(VDD−VTP−VTN/(1/2・VDD−VTP
は、現実的な
0< VTP < 1/2・VDD および、0< VTN < 1/2・VDD
のでは
1 < F9 < 4
の範囲となる。
以上より、(βPS/βP1)を1〜4程度に設定すればヒステリシス幅を極限にまで大きくとれるヒステリシス入力回路が実現する。また、あまりにもヒステリシス幅を大きくとると入力信号が電源電圧まで振り切れずに、ロック状態に落ち込むことを避ける為に、ヒステリシス幅よりも安全性を優先する場合には、(βPS/βP1)を1程度、あるいはそれ以下に設定すればよいことも解る。
さて、(βPS/βP1)を1〜4程度、あるいは1程度に設定することはP型MOSFETのコンダクタンス定数比、つまり形状比であるので容易に設定できる。より具体的にはP型MOSFET15とP型MOSFET13のトランジスタのチャネル長を同じとすればP型MOSFET15のトランジスタ幅をP型MOSFET13のトランジスタ幅を前記比率に設定すればよい。
なお、前記方程式6
1/2・βP1(VDD−VGL−VTP = 1/2・β(VGL−VTN
+ 1/2・βPS(VDD−VTP
において、ラッチ回路24の信号により、P型MOSFET16がオフしている場合には、
1/2・βP1(VDD−VGL−VTP = 1/2・β(VGL−VTN
となって、通常のインバータのロジックレベル
GL={VDD−VTP+(β/βP11/2・VTN}/{1+(β/βP11/2
となり、β≒βP1 、かつ、VTP≒VTN であれば、ほぼ電源電圧の半分の中間電位をロジックレベルとして持つことになる。
さて、以上のN型MOSFET12、16およびP型MOSFET11間のコンダクタンス定数β比の設定、およびP型MOSFET13、15およびN型MOSFET14間のコンダクタンス定数β比の設定はほぼ1〜4に近いものであり、従来のように極端に大きい値や、小さな値を用いる必要がない。したがって、レイアウトパターンの設計においても自然なものであるので、チップ面積の増大や応答性の低下などの問題を引き起こさないことも解る。
なお、以上によりVILがVTNより低く、またVIHが(VDD−VTP)より高い値を持った様子を図示したのが図3である。図3では図4より、大きなヒステリシス幅が確保されていることが解る。
本発明は前述の実施例の形態に限定されるものではない。例えば図1ではNAND回路17、18およびインバータ回路15からなるラッチ回路24の例を示したが、これは単なる一例であって図2に示すようなNOR回路25、26とインバータ回路27によるラッチ回路28でもよい。
また、条件式5の(βNS/βN1)や条件式10の(βPS/βP1) の設定において、MOSFETのトランジスタのチャネル幅を変えることによって設定する方法を説明したが、トランジスタのチャネル長を変更する方法でもよい。なお、チャネル幅の場合は大きくすればβは大きくなるが、チャネル長の場合は大きくすればβは小さくなる。
また、ヒステリシス幅を大きくとる為に主眼をおいた設定をしたが、ヒステリシス幅が前記方法で得られるまで必要としない場合や、電源電圧を越えたロジックレベルを設定する場合には前記条件式に必ずしも拘る必要はない。その場合においても図1の本発明の回路であればMOSFETのβ比の設定が容易になり、効率的なレイアウトパターン設計や応答速度の確保に効果があって適用できる。
本発明の第1の実施例を示す回路図である。 本発明の中に用いるラッチ回路の第2の実施例を示す回路図である。 本発明の回路のヒステリシスを持つ様子を図示した電気特性図である。 従来の回路のヒステリシスを持つ様子を図示した電気特性図である。 本発明の回路および従来回路において用いるインバータ回路の構成を示す回路図で ある。 従来のヒステリシス入力回路の第1の例を示す回路図である。 従来のヒステリシス入力回路の第2の例を示す回路図である。 従来のヒステリシス入力回路の第3の例を示す回路図である。 従来のヒステリシス入力回路の第4の例を示す回路図である。
符号の説明
11、13、15、501、601、603、605、701、703、705、801、803、805、911、913、915 ・・・ P型MOSFET
12、14、16、502、602、604、606、702、704、706、802、804、806、912、914、916 ・・・ N型MOSFET
17、18、917、918 ・・・ NAND回路
19、22、23、27、607、707、807、919、922、923 ・・・ インバータ回路
20、510、610、710、810、920 ・・・ 入力端子
21、29、511、611、711、811、921 ・・・ 出力端子
24、28、924 ・・・ ラッチ回路
25、26 ・・・ NOR回路

Claims (3)

  1. 絶縁ゲート電界効果型トランジスタ(以下MOSFETと略す)を用いた 半導体集積回路装置のヒステリシス入力回路において、
    ソース電極が正極の電源+VDDに接続された第1のP型MOSFETとソース電極が負極の電源−VSSに接続された第1のN型MOSFETとからなり、かつ前記第1のP型MOSFETと第1のN型MOSFETの各ゲート電極は互いに接続され、かつ各ドレイン電極も互いに接続された構成による第1のインバータ回路と、
    ソース電極が正極の電源+VDDに接続された第2のP型MOSFETとソース電極が負極の電源−VSSに接続された第2のN型MOSFETとからなり、かつ前記第2のP型MOSFETと第2のN型MOSFETの各ゲート電極は互いに接続され、かつ各ドレイン電極も互いに接続された構成による第2のインバータ回路と、
    ドレイン電極が正極の電源+VDDに接続され、ソース電極は前記第1のN型MOSFETのドレイン電極に接続された第3のN型MOSFETと、
    ドレイン電極が負極の電源−VSSに接続され、ソース電極は前記第2のP型MOSFETのドレイン電極に接続された第3のP型MOSFETと、
    前記第1のインバータ回路と第2のインバータ回路の出力信号を入力し、前記第1、第2のインバータ回路の入力信号が高電位から低電位へ、あるいは低電位から高電位へ遷移する際に第1、第2のインバータ回路の出力がともに変化するまで前の状態を記憶しておくラッチ回路からなり、
    前記ラッチ回路の出力信号は前記第3のN型MOSFETのゲート電極と、前記第3のP型MOSFETのゲート電極とに接続され、かつヒステリシス入力回路としての出力端子となり、
    前記第1のインバータ回路と第2のインバータ回路の各入力端子は互いに接続され、かつヒステリシス入力回路の入力端子となっていることを特徴とする高ヒステリシス幅入力回路。
  2. 請求項1記載の第1、第3のN型MOSFETおよび第1、第3のP型MOSFETにおいて、第3のN型MOSFETのコンダクタンス定数βは第1のN型MOSFETのコンダクタンス定数βの1倍から4倍であり、かつ第3のP型MOSFETのコンダクタンス定数βは第1のP型MOSFETのコンダクタンス定数βの1倍から4倍であることを特徴とする高ヒステリシス幅入力回路。
  3. 請求項1記載の第1、第3のN型MOSFETおよび第1、第3のP型MOSFETにおいて、第1のN型MOSFETのコンダクタンス定数βは第3のN型MOSFETのコンダクタンス定数βより大きく、かつ第1のP型MOSFETのコンダクタンス定数βは第3のP型MOSFETのコンダクタンス定数βより大きいことを特徴とする高ヒステリシス幅入力回路。











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