JP2005259439A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 安定した駆動力をエアコンプレッサ又は水素循環ポンプに供給できる燃料電池システムを提案する。
【解決手段】 本発明の燃料電池システム(10)は、燃料電池(20)のカソード極(23)に加圧エアを供給するエアコンプレッサ(40)と、水素オフガスをアノード極(22)に還流させるための水素循環ポンプ(50)と、燃料電池(20)のアノード極(22)に水素ガスを供給する水素タンク(30)を備える。エアコンプレッサ(40)及び水素循環ポンプ(50)は水素タンク(30)からアノード極(22)へ供給される水素ガスで駆動されるガス駆動式ポンプである。この構成により、エアコンプレッサ(40)及び水素循環ポンプ(50)に安定した駆動力を供給できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は燃料電池システムに関し、特に、エアコンプレッサ又は水素循環ポンプ等の駆動方式に関する。
特開2000−268837号公報には、燃料電池のアノード極から排出された水素オフガスをアノード極に還流させるための水素循環ポンプとして、圧縮空気駆動式のポンプを選定し、エアコンプレッサから供給される加圧エアで水素循環ポンプを駆動する構成が提案されている。燃料電池のカソード極に加圧エアを供給するものとして従来から用いられているエアコンプレッサを水素循環ポンプの駆動源とすることにより、水素循環ポンプを電動式にした場合と比較して燃費向上や軽量化等の点においてメリットがある。
特開2000−268837号公報
しかし、エアコンプレッサから供給される加圧エアで水素循環ポンプを駆動すると、加圧エアによる駆動力が不足して要求駆動力を得ることができない虞があった。また、エアコンプレッサを電動駆動式にすると、消費電力量は大きくなり重量も増大するため燃費低下の要因になる。更に、電動駆動式のエアコンプレッサでは断熱圧縮で発生する熱の他に機械運動による熱によって吐出ガスが高温になるため、冷却機構(インタークーラ等)が必要になる。
そこで、本発明は上述の問題を解決し、安定した駆動力をガス供給装置に供給できる燃料電池システムを提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の燃料電池システムは、燃料電池にガス(水素オフガス又はエア)を供給するガス供給装置(水素循環ポンプ又はエアコンプレッサ)と、燃料電池のアノード極に水素ガスを供給する水素タンクを備える。ガス供給装置として水素タンクからアノード極へ供給される水素ガスで駆動されるガス駆動式ポンプを採用する。水素タンクから放出される水素ガスは高圧であるため、ガス供給装置の駆動力が不足することなく、安定して駆動することができる。水素タンクとしては水素ガスを高圧に充填した高圧水素タンクが好ましい。
ここで、ガス駆動式ポンプとしては、例えば、燃料電池のカソード極に加圧エアを供給するエアコンプレッサ、又はアノード極から排出された水素オフガスをアノード極に還流させるための水素循環ポンプであるのが好適である。水素タンクから放出される水素ガスは高圧であるため、エアコンプレッサ又は水素循環ポンプの駆動力が不足することなく、安定して駆動することができる。
また、燃料電池のカソード極に加圧エアを供給するエアコンプレッサと、燃料電池のアノード極から排出された水素オフガスをアノード極に還流させるための水素循環ポンプをガス駆動式ポンプとして構成し、水素循環ポンプは水素タンクからアノード極へ供給される水素ガスに加えて、エアコンプレッサからカソード極に供給される加圧エアによって駆動されるように構成してもよい。水素循環ポンプの駆動力が不足することなく、安定して駆動することができる。
本発明の燃料電池システムは上述の構成に加えて、燃料電池のカソード極に加圧エアを供給するための電動エアコンプレッサを更に備え、ガス供給装置はアノード極から排出された水素オフガスをアノード極に還流させるための水素循環ポンプであり、水素循環ポンプは水素タンクからアノード極へ供給される水素ガスに加えて、電動エアコンプレッサからカソード極に供給される加圧エアによって駆動されるように構成してもよい。水素タンクの残圧が低下した場合でも、電動エアコンプレッサによって水素ガスの駆動力不足を補うことができる。
本発明の燃料電池システムは上述の構成に加えて、水素タンクからアノード極に供給される水素ガスを所定圧に減圧する減圧弁が配設された水素ガス供給路を更に備え、ガス駆動式ポンプは減圧弁の上流側の水素ガス供給路に配設してもよい。ガス駆動式ポンプを減圧弁の上流側に配設することで、ガス駆動式ポンプの駆動に適度な水素ガス圧を供給できる。但し、水素ガス供給路に減圧弁が複数配設されている場合は、全ての減圧弁の上流側にガス駆動式ポンプが配設されている必要はなく、ガス駆動式ポンプに適度な水素ガス圧が供給されるようにガス駆動式ポンプと減圧弁の配置関係を選定すればよい。
本発明によれば、エアコンプレッサ又は水素循環ポンプ等のガス供給装置を水素タンクから放出される高圧の水素ガスで駆動する構成であるため、ガス供給装置の駆動力を安定して供給できる。
以下、各図を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は実施例1に係わる燃料電池システム10の概略構成を示している。同システム10は燃料電池電気自動車搭載用の発電システムとして構成されており、反応ガス(水素ガス、エア)の供給を受けて電力発電を行う燃料電池(セルスタック)20を備えている。燃料電池20はフッ素系樹脂等により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜等から成る高分子電解質膜21の両面にアノード極22とカソード極23をスクリーン印刷等で形成した膜・電極接合体24を備えている。膜・電極接合体24の両面は図示しないリブ付セパレータによってサンドイッチされ、このセパレータとアノード極22及びカソード極23との間にそれぞれ溝状のアノードガスチャンネル25及びカソードガスチャンネル26を形成している。
燃料電池システム10には、燃料電池20のアノード極22に水素ガス(燃料ガス)を供給するための水素タンク30と、燃料電池20のカソード極23に加圧エア(酸化ガス)を供給するためのエアコンプレッサ(空気圧縮機)40と、アノード極22から排出された水素オフガスをアノード極22に還流させるための水素循環ポンプ50が設置されている。水素タンク30としては、高圧(例えば、300〜700気圧)に圧縮された水素ガスを充填する高圧水素タンクが好ましい。上述したエアコンプレッサ40、水素循環ポンプ50は燃料電池20に水素ガスを供給するための水素ガス供給路61上に配設されている。エアコンプレッサ40、及び水素循環ポンプ50は何れもガス駆動式ポンプによって構成されており、水素タンク30から放出される高圧水素ガスによって駆動される。ガス駆動式ポンプとしては、例えば、ピストンポンプ又はダイアフラムポンプ等のレシプロポンプが好適であるが、これに限らず各種のガス駆動式ポンプを利用できる。但し、エジェクタは気体の混合が生じるので好ましくない。
ここで、図2を参照してダイアフラムポンプの構成について簡単に説明する。ここでは高圧水素ガスを作動媒体とする。ダイアフラムポンプ80の室内空間は2つのダイアフラム81a,81bによって3つのエア室82a〜82cに区画されている。ダイアフラム81a,81bはシャフト83によって連結されており、これらのエア室82a〜82c内を往復動可能に構成されている。入力ポート87からポンプ内に取り込まれた高圧水素ガスは切り替え弁85の切り替え操作によって、二股分岐している流路84a又は流路84bのうち何れか一方に案内される。流路84aと流路84bには高圧水素ガスの逆流を抑制するための逆止弁86が複数設置されている。ここでは、高圧水素ガスを流路84aに案内するように切り替え弁85が操作されている状態が図示されており、流路84aを流れる高圧水素ガスはエア室82aに導かれる。エア室82aに導かれた高圧水素ガスはダイアフラム81aを図示右方向に向って押圧し、エア室82c内の被圧縮ガスを圧縮する。ダイアフラム81aを押圧した高圧水素ガスは出力ポート88からポンプ外に流出する。すると、高圧水素ガスが流路84bに導かれるように切り替え弁85が切り替えられる。エア室82bに導かれた高圧水素ガスはダイアフラム81bを図示左方向に向って押圧し、エア室82c内の被圧縮ガスを圧縮する。このように切り替え弁85の切り替え操作に同期してダイアフラム81a,81bを往復動させることによって、被圧縮ガスを圧縮することができる。
ここで、図1の説明に戻る。水素タンク30から放出される高圧水素ガスによって駆動されるエアコンプレッサ40は大気から取り込んだエアを圧縮し、エア供給路71を介して燃料電池20のカソード極23に加圧エアを供給する。カソード極23での還元反応に供した後の酸素オフガスは酸素オフガス流路72を経由してシステム外に排気される。エアコンプレッサ40を駆動した高圧水素ガスは水素供給路61の下流に設置されている水素循環ポンプ50を駆動し、燃料電池20のアノード極22に流入する。水素循環ポンプ50は水素オフガス流路62を流れる水素オフガスを循環流路63に還流させ、アノード極22に導く。アノード極22に導入された水素オフガスは酸化反応に再利用される。このように、エアコンプレッサ40、及び水素循環ポンプ50を水素供給路61上に直列に配設することで、高圧水素ガスの圧力を利用してエアコンプレッサ40、及び水素循環ポンプ50を駆動すること可能となる。
尚、エア供給路71から分岐して水素循環ポンプ50に連通する分岐流路73を分岐配管し、燃料電池20のカソード極23に導入される加圧エアの一部を水素循環ポンプ50の駆動力として利用してもよい。水素循環ポンプ50を駆動した加圧エアは合流路74を経由してエア供給路71に合流し、カソード極23に流入する。また、エアコンプレッサ40と水素循環ポンプ50を水素供給路61上に直列に設置する場合は、相対的に大流量を必要とするエアコンプレッサ40を前段に設置し、相対的に小流量で足りる水素循環ポンプ50を後段に設置するのが望ましい。また、エアコンプレッサ40と水素循環ポンプ50は必ずしも水素供給路61上に直列に設置する必要はなく、両者を並列に接続してそれぞれを駆動してもよい。また、エアコンプレッサ40のみを高圧水素ガスで駆動し、エアコンプレッサ40から吐出される圧縮エアで水素循環ポンプ50を駆動するように構成してもよい。また、エアコンプレッサ40と水素循環ポンプ50は必ずしも同一の水素タンク30から放出される高圧水素ガスで駆動する必要はなく、別々の水素タンク30から放出される高圧水素ガスで別個に駆動してもよい。また、水素タンク30の残留水素が少量になった場合を想定して、エアコンプレッサ40をガス駆動式ポンプと電動ポンプのハイブリッド構成とし、残留水素が少量になった時点で電動駆動に切り替えるように構成してもよい。
本実施例によれば、エアコンプレッサ40又は水素循環ポンプ50をガス駆動式ポンプとして構成しているため、水素タンク30から放出される高圧水素ガスを利用してエアコンプレッサ40又は水素循環ポンプ50を駆動することが可能となり、安定した駆動力を確保できる。また、エアコンプレッサ40又は水素循環ポンプ50を電動モータで構成する必要がなくなるため、消費電力の削減、軽量化、吐出ガスの低温化、冷却水の不要化を実現できる。また、エアコンプレッサ40又は水素循環ポンプ50を構成するガス駆動式ポンプは樹脂などで成形することが可能であるため、燃料電池20から漏出する強酸性の液体などで腐食する虞はなく、金属性の電動式ポンプに比べて耐久性に優れている。また、エアコンプレッサ40又は水素循環ポンプ50を樹脂製にすることで、軽量化を実現でき、燃費向上にも資する。
図3は実施例2に係わる燃料電池システム11の概略構成を示している。図1に付した符号と同一符号の装置等については同一の装置等を示すものとし、その詳細な説明は省略する。本実施例においては上述したガス駆動式ポンプのエアコンプレッサ40に替えて、モータ駆動式の電動エアコンプレッサ41を備えている。電動エアコンプレッサ41はエア供給路71を介してカソード極23に加圧エアを供給するとともに、分岐流路73を介して水素循環ポンプ50に加圧エアの一部を供給する。水素循環ポンプ50は水素タンク30からアノード極22に供給される高圧水素ガスに加えて、電動エアコンプレッサ41から供給される加圧エアによっても駆動される。この方式により、水素循環ポンプ50の駆動力を高圧水素ガスによって賄うことができない場合には、電動エアコンプレッサ41から供給される加圧エアによって補うことができるため、水素循環ポンプ50の安定動作を維持できる。
図4は実施例3に係わる燃料電池システム12の概略構成を示している。図1に付した符号と同一符号の装置等については同一の装置等を示すものとし、その詳細な説明は省略する。本実施例においては、実施例1の構成に加えて更に、水素ガス供給路61上に減圧弁A1,A2を多段設置し、水素タンク30から放出される水素ガスを段階的に減圧している。前段(上流側)に配設された減圧弁(一次レギュレータ)A1は水素タンク30から放出された高圧水素ガス(例えば、35MPa)を第1の所定圧(例えば、5MPa程度)に減圧する。続いて、後段(下流側)に配設された減圧弁(二次レギュレータ)A2は第1の所定圧に減圧された水素ガスを更に第2の所定圧(例えば、数kPa)に減圧する。第2の所定圧に減圧された水素ガスは水素ガス供給路61を通過してアノード極22に供給される。このように、水素ガス供給路61上に複数の減圧弁A1,A2が配設されている場合には、ガス駆動式ポンプ(エアコンプレッサ40、水素循環ポンプ50)に適度な水素ガス圧(作動圧)が過不足なく供給されるように水素ガス供給路61上のガス駆動式ポンプと、減圧弁A1,A2の配設位置を選定するのが望ましい。例えば、本実施例では、減圧弁A1の2次圧力は5MPa程度であるため、少なくとも減圧弁A2よりも上流側にガス駆動式ポンプを配設するのが望ましい。
ガス駆動式ポンプを減圧弁A1の上流側に配設して、水素タンク30から放出されるガス圧をポンプ駆動に直接利用することも可能であるが、ガス駆動式ポンプを減圧弁A1の下流側に配設し、ガス駆動式ポンプの駆動に適する圧力範囲に減圧された水素ガスを利用してガス駆動式ポンプを駆動するのが望ましい。また、減圧弁A1,A2を電磁制御式の電磁弁として構成し、ガス駆動式ポンプの吐出圧力が目標圧力に一致するように減圧弁A1,A2の減圧度合いを適宜調整してもよい。減圧弁A1,A2の制御は制御部90によって以下のように行われる。
(1)燃料電池を搭載した車両の場合、運転者の加速要求を加速操作部材(アクセルペダル)の操作量から判断し、加速要求に対応する車輪駆動用モータの駆動力を演算する。次に、この駆動力を発生するために必要な要求電力を算出する。
(2)燃料電池20の発電量が要求電力に一致するための目標水素ガス圧(又は目標水素流量)と、目標エア圧(目標エア流量)を求める。
(3)アノード極22に供給される水素ガス圧(又は水素ガス流量)と、カソード極23に供給されるエア圧(又はエア流量)がそれぞれ目標水素ガス圧(又は目標水素流量)、目標エア圧(又は目標エア流量)に一致するためのガス駆動式ポンプ(エアコンプレッサ40、水素循環ポンプ50)の駆動量(例えば、目標吐出圧、目標回転数など)を求める。
(4)ガス駆動式ポンプの駆動量が目標値に一致するための作動媒体(水素ガス)の目標圧力(又は目標流量)を求める。
(5)作動媒体(水素ガス)の圧力(又は流量)が目標圧力(又は目標流量)に一致するように減圧弁A1,A2の開度(減圧度合い)を調整する。
尚、ガス駆動式ポンプに供給される水素ガスとしては、水素ガス供給路(メイン流路)61からバイパスするバイパス流路(図示せず)を介して供給してもよい。更にこのバイパス流路を経てガス駆動式ポンプを駆動した後の水素ガスを減圧弁A2にて所定圧に減圧した後に水素ガス供給路61に合流させてもよく、又は、アノード極22に供給してもよい。
実施例1の燃料電池システムの構成図である。 ダイアフラムポンプの構成図である。 実施例2の燃料電池システムの構成図である。 実施例3の燃料電池システムの構成図である。
符号の説明
10,11,12…燃料電池システム 20…燃料電池 30…水素タンク 40…エアコンプレッサ 50…水素循環ポンプ A1,A2…減圧弁

Claims (6)

  1. 燃料電池にガスを供給するガス供給装置と、前記燃料電池のアノード極に水素ガスを供給する水素タンクを備え、前記ガス供給装置は前記水素タンクから前記アノード極へ供給される水素ガスで駆動されるガス駆動式ポンプである、燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、前記ガス駆動式ポンプは前記燃料電池のカソード極に加圧エアを供給するエアコンプレッサである、燃料電池システム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システムであって、前記ガス駆動式ポンプは前記アノード極から排出された水素オフガスを前記アノード極に還流させるための水素循環ポンプである、燃料電池システム。
  4. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、前記ガス駆動式ポンプは前記燃料電池のカソード極に加圧エアを供給するエアコンプレッサと、前記アノード極から排出された水素オフガスを前記アノード極に還流させるための水素循環ポンプであって、前記水素循環ポンプは前記水素タンクから前記アノード極へ供給される水素ガスに加えて、前記エアコンプレッサから前記カソード極に供給される加圧エアによって駆動される、燃料電池システム。
  5. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池のカソード極に加圧エアを供給するための電動エアコンプレッサを更に備え、前記ガス供給装置は前記アノード極から排出された水素オフガスを前記アノード極に還流させるための水素循環ポンプであり、前記水素循環ポンプは前記水素タンクから前記アノード極へ供給される水素ガスに加えて、前記電動エアコンプレッサから前記カソード極に供給される加圧エアによって駆動される、燃料電池システム。
  6. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、前記水素タンクから前記アノード極に供給される水素ガスを所定圧に減圧する減圧弁が配設された水素ガス供給路を更に備え、前記ガス駆動式ポンプは前記減圧弁の上流側の前記水素ガス供給路に配設されている、燃料電池システム。

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