JP2005258001A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 定着装置のニップ部における局所的な気圧の上昇を抑え、白抜け状の斑点模様の発生を抑制して高品質な画像を形成する。
【解決手段】 用紙Pに担持されたトナー像を定着する定着装置60であって、用紙Pを加熱する回動可能な定着ロール61と、定着ロール61に接触しながら移動可能なエンドレスベルト62とを備え、定着ロール61は、気圧を緩和する細孔を有する離型層(気圧緩和層)613が表面に形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 用紙Pに担持されたトナー像を定着する定着装置60であって、用紙Pを加熱する回動可能な定着ロール61と、定着ロール61に接触しながら移動可能なエンドレスベルト62とを備え、定着ロール61は、気圧を緩和する細孔を有する離型層(気圧緩和層)613が表面に形成されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、定着装置等に関し、より詳しくは例えば電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置等に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)を一様に帯電し、この感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体ドラム上から記録紙に転写した後、定着装置によってこのトナー像を記録紙に定着する。このようなプロセスによって画像形成が行なわれる。
かかる画像形成装置に用いられる定着装置は、図6に示したように、円筒状の芯金111の内部に発熱源113を備え、その芯金111の外周面に離型層112が形成された定着ロール110と、この定着ロール110に対して圧接配置され、芯金121の外周面に耐熱性弾性体層122、および耐熱性樹脂被膜あるいは耐熱性ゴム被膜による離型層123が形成された加圧ロール120とで構成されている。そして、定着ロール110と加圧ロール120との間に、未定着トナー像を担持した記録紙を通過させて、未定着トナー像に対して加熱と加圧とを行うことによって、記録紙にトナー像を定着する。このような定着装置は、加熱ロール方式と呼ばれて、一般に広く利用されている。
ところで、加熱ロール方式の定着装置において高速化を図ろうとする場合には、トナーと記録紙に充分な熱量が供給できるように、ニップ幅を定着速度に比例して広くすることが必要となる。ニップ幅を広くする方法として、定着ロールと加圧ロールとの間の荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法、さらにはロール径を大きくする方法がある。
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが生じる等といった画像品質上の問題が発生する。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
しかし、荷重を大きくする方法や、弾性体層の厚さを厚くする方法では、ロールの撓みに起因するニップ幅の形状がロール軸に沿って不均一になることから、定着むらや紙しわが生じる等といった画像品質上の問題が発生する。また、ロール径を大きくする方法では、装置の大型化を招くとともに、ロールを室温から定着可能温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなるという問題がある。
そこで、これらの問題を解消して、画像形成装置の高速化に対応した定着装置を実現するべく、本出願人は、表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内側に非回転状態で配置された圧力パッドとを具備し、圧力パッドによって、定着ロールとの接触面が形成されるようにエンドレスベルトを定着ロールに圧接させ、エンドレスベルトと定着ロールとの間にシートを通過させることができるようにベルトニップを設けるとともに、定着ロールの表面のうち、シートの出口側を局部的に弾性変形させるように構成した定着装置に関する技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。
かかる特許文献1に記載した定着装置(「ベルトニップ方式」という。)では、従来の加熱ロール方式の定着装置における加圧ロールに代え、圧力パッドを用いてエンドレスベルトを定着ロールに圧接させている。このような構成を採用することにより、定着ロールとエンドレスベルトとによって形成されるベルトニップの幅が従来の定着ロールと加圧ロールとのロールニップの幅よりも容易に大きくすることができるとともに、ニップ部において均一で高いニップ圧を付与することができるので、高速化への対応が可能となり、しかも装置の小型化を図ることも容易である。
さらには、定着ロールに圧接させるエンドレスベルトの熱容量は小さく、加えて圧力パッドが非回転状態で配置されているので、定着ロールから伝わる熱が外部に発散され難い構成を実現している。そのため、定着ロールの回転が開始されても、定着ロールからエンドレスベルト側に奪われる熱量は少なく、トナーの溶融に際しての熱効率を高めることができるとともに、ベルトニップでの温度低下も小さいことから、トナーの定着性の向上を図ることができるという利点も有している。
ところで、特にカラー画像形成装置においては、高品質で、光沢性の高い画像が要求されることから、記録紙として塗工紙が用いられる場合も多い。この塗工紙は、コート紙、アート紙等と呼ばれ、紙繊維層の上に樹脂剤が塗布されて形成されている。そして、このような塗工紙は、表面が凹凸の少ない平滑性の高い面で構成され、塗布された樹脂剤により熱溶融したトナーの浸潤も少ないことから、優れた色再現性を発揮するとともに、少ないトナーで色表現が可能であるのでトナー消費を少なく抑えることができる。また、表面平滑性の高いトナー像を形成できるので、光沢性の高いトナー像を形成することもできる。
しかしながら、記録紙に対して加熱と加圧とを行なう定着装置では、ニップ部において記録紙が熱を受けた際に、記録紙またはトナーから水蒸気が発生したり、トナー像周辺に存在する空気が膨張して、ニップ部内において気圧が局所的に高くなる場合があった。そのため、特に、上記したベルトニップ方式の定着装置のように、例えば圧力パッドを用いて、定着ロールとエンドレスベルトとによって形成されるニップ部の幅を大きく設定している定着装置においては、表面が平滑な塗工紙を用いた場合に、幅の広いニップ部の全域において定着ロールと塗工紙との密着性が高くなることから、ニップ部内における局所的に気圧が高くなった水蒸気等が逃げ場を失うという現象が生じ易い。その結果、逃げ場を失った水蒸気等が周囲のトナー像を押し退けて、トナー像に白く抜けた斑点状の模様を発生させ、画像品質を低下させるおそれがあった。
そこで本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、定着装置のニップ部における局所的な気圧の上昇を抑え、白抜け状の斑点模様の発生を抑制して高品質な画像を形成することにある。
かかる目的のもと、本発明の定着装置は、記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、記録材を加熱する回動可能な定着部材と、定着部材に接触しながら移動可能な加圧部材とを備え、定着部材は、気圧を緩和する細孔を有する気圧緩和層が表面に形成されたことを特徴としている。
ここで、気圧緩和層は、細孔の平均孔径が0.1〜10.0μmに形成されたことを特徴とすることができる。さらには、細孔の平均孔径が0.1〜3.0μmに形成されたことを特徴とすることもできる。
また、定着部材は、発熱源が設けられた定着ロールである構成とすることができる。さらに、定着部材は、発熱源が設けられた定着ベルトである構成とすることができる。
また、気圧緩和層は、フッ素樹脂が繊維状に形成されて構成されたことを特徴とすることができる。
ここで、気圧緩和層は、細孔の平均孔径が0.1〜10.0μmに形成されたことを特徴とすることができる。さらには、細孔の平均孔径が0.1〜3.0μmに形成されたことを特徴とすることもできる。
また、定着部材は、発熱源が設けられた定着ロールである構成とすることができる。さらに、定着部材は、発熱源が設けられた定着ベルトである構成とすることができる。
また、気圧緩和層は、フッ素樹脂が繊維状に形成されて構成されたことを特徴とすることができる。
また、本発明を画像形成装置として捉え、本発明の画像形成装置は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、定着手段は、気圧を緩和する細孔を有する気圧緩和層が表面に形成され、記録材を加熱する回動可能な定着部材と、定着部材に接触しながら移動可能な加圧部材とを備えたことを特徴としている。
本発明の効果として、定着装置のニップ部における局所的な気圧の上昇を抑え、白抜け状の斑点模様の発生を抑制して高品質な画像を形成することが可能となった。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17、等の電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、各種ロールによって図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回動させる駆動ロール31、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33、二次転写部20に設けられるバックアップロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とによって構成される。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。図1に示すような画像形成装置では、図示しない画像読取装置(IIT)や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置(IPS)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Pを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。図2は本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。定着装置60は、回動部材の一例としての定着ロール61、エンドレスベルト62、エンドレスベルト62を介して定着ロール61から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド64により主要部が構成されている。
定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612、および離型層613を積層して構成されたものである。
定着ロール61の内部には、発熱源としてのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、150℃)を維持するように調整している。
また、定着ロール61の表面に接触するように離型剤塗布供給部材75が配置されている。離型剤塗布供給部材75からは、定着ロール61の表面にアミノ変性シリコーンオイル等の離型剤が塗布され、定着ロール61表面へのトナーの付着を抑えている。
定着ロール61の内部には、発熱源としてのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、150℃)を維持するように調整している。
また、定着ロール61の表面に接触するように離型剤塗布供給部材75が配置されている。離型剤塗布供給部材75からは、定着ロール61の表面にアミノ変性シリコーンオイル等の離型剤が塗布され、定着ロール61表面へのトナーの付着を抑えている。
エンドレスベルト62は、内部に配置された圧力パッド64とベルト走行ガイド63、さらには両端部に配置されたエッジガイド(不図示)によって回動自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて定着ロール61に対して圧接されて配置されている。
ここで、エッジガイドは、エンドレスベルト62の両端部において対向するように配置された両エッジガイドの内側面が、エンドレスベルト62の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際には、エンドレスベルト62の端部が両エッジガイドの内側面に当接することによって、エンドレスベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が規制されている。このように、エンドレスベルト62は、エッジガイドによって片寄りが規制されるように設定されている。
ここで、エッジガイドは、エンドレスベルト62の両端部において対向するように配置された両エッジガイドの内側面が、エンドレスベルト62の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際には、エンドレスベルト62の端部が両エッジガイドの内側面に当接することによって、エンドレスベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が規制されている。このように、エンドレスベルト62は、エッジガイドによって片寄りが規制されるように設定されている。
圧力パッド64は、エンドレスベルト62の内側において、エンドレスベルト62を介して定着ロール61に押圧される状態で配置され、定着ロール61との間でニップ部Nを形成している。圧力パッド64は、幅の広いニップ部Nを確保するためのプレニップ部材64aをニップ部Nの入口側に配置し、定着ロール61に歪みを与えるための剥離ニップ部材64bをニップ部Nの出口側に配置している。さらに、エンドレスベルト62の内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために、プレニップ部材64aおよび剥離ニップ部材64bのエンドレスベルト62と接する面に低摩擦シート68が設けられている。そして、圧力パッド64と低摩擦シート68とは、金属製のホルダ65に保持されている。
さらに、ホルダ65には、ベルト走行ガイド63が取り付けられ、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように構成されている。すなわち、ベルト走行ガイド63は、エンドレスベルト62内周面と摺擦するため、静止摩擦係数の小さな材質で形成されている。また、ベルト走行ガイド63は、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
そして定着ロール61は、図示しない駆動モータにより矢印C方向に回転し、この回転に従動してエンドレスベルト62も定着ロール61と同じ方向に回動する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送される。そして、用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像はニップ部Nに作用する圧力と、定着ロール61から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置60では、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状のプレニップ部材64aによりニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
加えて、本実施の形態の定着装置60では、定着ロール61の外周面に対し突出させて剥離ニップ部材64bを配置することにより、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成している。このように剥離ニップ部材64bを配置すれば、定着後の用紙Pは、剥離ニップ部を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、定着ロール61に巻き付くことのない用紙Pの剥離を効果的に行うことができる。
特に、定着ロール61の歪みを局所的に大きくすることによって、小さい歪み量で高い剥離性能を得ることが可能となる。そのため、定着ロール61の離型層613として、薄膜の耐熱性樹脂を用いた場合においても、用紙Pにおける紙しわの発生を抑制することができる。また、耐熱性弾性体層612と離型層613との間の剥がれ等も発生し難く、剥離性能の維持と併せて長期に亘る部品性能の信頼性を向上させることができる。
特に、定着ロール61の歪みを局所的に大きくすることによって、小さい歪み量で高い剥離性能を得ることが可能となる。そのため、定着ロール61の離型層613として、薄膜の耐熱性樹脂を用いた場合においても、用紙Pにおける紙しわの発生を抑制することができる。また、耐熱性弾性体層612と離型層613との間の剥がれ等も発生し難く、剥離性能の維持と併せて長期に亘る部品性能の信頼性を向上させることができる。
さらには、定着ロール61の歪み量を小さく形成できるので、定着ロール61の耐熱性弾性体層612を薄肉化することができる。そのため、定着ロール61の熱容量を小さく構成できるので、ウォームアップタイムを短くするとともに、消費電力の低減を図ることもできる。また、熱伝導率の低い耐熱性弾性体層612を薄肉化できるため、定着ロール61の内面と外面との間の熱抵抗が小さくなって熱応答性の向上を図れるため、画像形成装置の高速化にも適している。
なお、剥離の補助手段として、定着ロール61のニップ部Nの下流側に、剥離部材70を配設することも可能である。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
なお、剥離の補助手段として、定着ロール61のニップ部Nの下流側に、剥離部材70を配設することも可能である。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
次に、定着装置60を構成する各部材について詳細に述べる。まず定着ロール61では、コア611は、鉄、アルミニウム、SUS等の熱伝導率の高い金属で形成された外径26mm、長さ350mmの円筒体で構成されている。コア611の外径および肉厚は、本実施の形態の定着装置60では、圧力パッド64の押圧力が小さいため、小径化、薄肉化を図ることができる。
耐熱性弾性体層612としては、耐熱性の高い弾性体であればどのような材料を用いることも可能である。特に、ゴム硬度が25〜40°(JIS−A)程度のゴム、エラストマ等の弾性体を用いるのが好ましく、具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。
耐熱性弾性体層612としては、耐熱性の高い弾性体であればどのような材料を用いることも可能である。特に、ゴム硬度が25〜40°(JIS−A)程度のゴム、エラストマ等の弾性体を用いるのが好ましく、具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。
離型層613は、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂で形成されるが、離型層613のトナーに対する離型性や耐摩耗性の観点から、フッ素樹脂が適している。フッ素樹脂としては、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等が使用できる。離型層613の厚みとしては、好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜20μmである。離型層613の厚みが5μm未満であると、定着ロール61の歪みに基づき用紙Pにしわが生じ易くなり、一方、30μmを超えると、離型層613が硬くなり、画像に光沢むら等の欠陥が生じる可能性が増え、ともに好ましくないからである。
エンドレスベルト62は、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が直径30mmの円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルトであり、ベース層と、このベース層の定着ロール61側の面または両面に被覆された離型層とから構成されている。ベース層は、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のポリマーにより形成され、その厚みは、30〜200μm、好ましくは50〜125μm、より好ましくは75〜100μm程度である。ベース層の表面に被覆される離型層としては、フッ素樹脂、例えばPFA、PTFE、FEPで形成され、その厚みは5〜100μm、好ましくは10〜30μm程度である。
圧力パッド64は、上述したように、プレニップ部材64a、剥離ニップ部材64bで構成され、ホルダ65に支持されている。プレニップ部材64aには、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体や板バネ等を用いることができ、定着ロール61側の面は、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状で形成されている。
剥離ニップ部材64bは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸曲面状に形成されている。
剥離ニップ部材64bは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸曲面状に形成されている。
低摩擦シート68は、エンドレスベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減するために設けられ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性・耐熱性に優れた材質が適している。具体的には、シンタード成型したPTFE樹脂シート、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、またガラス繊維にフッ素樹脂からなるスカイブフィルムシートを加熱融着サンドした積層シート等を用いることができる。なお、低摩擦シート68は、プレニップ部材64aや剥離ニップ部材64bと別体に構成しても、プレニップ部材64aや剥離ニップ部材64bと一体的に構成しても、いずれでもよい。
また、ベルト走行ガイド63は、上述したように、エンドレスベルト62の内周面と摺擦するため、摩擦係数が低く、かつ、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質が適しており、PFAやPPS等の耐熱性樹脂が用いられる。
ベルト走行ガイド63には、定着装置60の長手方向に亘って、潤滑剤塗布部材67が配設されている。潤滑剤塗布部材67は、エンドレスベルト62内周面に対して接触するように配置され、アミノ変性シリコーンオイル等の潤滑剤を適量供給する。これにより、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介したエンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗をさらに低減して、エンドレスベルト62の円滑な回動を図っている。
ベルト走行ガイド63には、定着装置60の長手方向に亘って、潤滑剤塗布部材67が配設されている。潤滑剤塗布部材67は、エンドレスベルト62内周面に対して接触するように配置され、アミノ変性シリコーンオイル等の潤滑剤を適量供給する。これにより、エンドレスベルト62と低摩擦シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、低摩擦シート68を介したエンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗をさらに低減して、エンドレスベルト62の円滑な回動を図っている。
ここで、本実施の形態の定着ロール61の表面構造について説明する。図3は、定着ロール61と、トナー像を担持した用紙Pとが接触した状態を示した断面図である。図3に示すように、定着ロール61の表面には離型層613として厚さ15μmのPTFEが被覆されており、この離型層613には孔径が0.1〜10μmの細孔が形成されている。この細孔は、それぞれが独立した孔で形成されたものや、例えば繊維が絡み合うようにして形成され、その隙間が連続した孔となっているもの等の形態を有している。また細孔の長さまたは深さは、離型層613の厚さ程度で形成されている。
本実施の形態の離型層613では、PTFEチューブに平均孔径が0.1〜10.0μmの細孔を形成したものを被覆して形成している。また、離型層613として、PTFEが繊維状に形成されたゴアテックス(登録商標)を用いることもできる。この場合の離型層613に用いるゴアテックス(登録商標)は、繊維径が細かく均一であって平均孔径も0.1〜10.0μmと小さく構成されたものが適している。
本実施の形態の離型層613では、PTFEチューブに平均孔径が0.1〜10.0μmの細孔を形成したものを被覆して形成している。また、離型層613として、PTFEが繊維状に形成されたゴアテックス(登録商標)を用いることもできる。この場合の離型層613に用いるゴアテックス(登録商標)は、繊維径が細かく均一であって平均孔径も0.1〜10.0μmと小さく構成されたものが適している。
本実施の形態の定着装置60では、図3に示したように、定着ロール61の表面の離型層613に細孔が形成されることによって、ニップ部Nにおいて用紙Pが熱を受けた際に、用紙Pや、用紙Pに担持されたトナー像から水蒸気が発生したり、またはこのトナー像周辺に存在する空気が膨張して、ニップ部N内において局所的に気圧が高くなった場合に、その水蒸気または膨張した空気を細孔に逃がすことができ(図中矢印)、それによって局所的に高くなった気圧を低下させることができる。そのため、用紙Pとして表面が平滑であって定着ロール61との密着性が高い塗工紙を用いた場合であっても、細孔が局所的に高くなった気圧を緩和するので、水蒸気等の気圧によるトナー像を押し退ける力を弱めることとなり、トナー像に白く抜けた斑点状の模様が発生するのを抑制することができる。さらには、塗工紙内において発生した水蒸気によって局所的に塗工紙内の気圧が高くなって、塗工紙自体に「火脹れ状」に部分的な膨らみが発生することも抑えることもできる。
したがって、本実施の形態の定着装置60では、細孔が形成された離型層613は、用紙Pや用紙Pに担持されたトナー像における局所的に気圧の高くなった部分に対して、気圧を緩和する気圧緩和層として機能している。
したがって、本実施の形態の定着装置60では、細孔が形成された離型層613は、用紙Pや用紙Pに担持されたトナー像における局所的に気圧の高くなった部分に対して、気圧を緩和する気圧緩和層として機能している。
離型層613に形成する細孔の平均孔径に関しては、特に、細孔の平均孔径を0.1〜3.0μmに形成すれば、例えば平均粒径が数μmの重合トナーのように微細なトナーを使用した場合においても、離型層613に設けた細孔の孔径はトナー粒子の粒径よりも小さいので、トナーが細孔を目詰まりさせることがなく、長期に亘って気圧を緩和する効果を維持させることができる。したがって、離型層613に形成する細孔の孔径はトナー粒径よりも小さく形成するのが好ましく、例えば、使用するトナーが平均粒径10〜12μm程度の通常の粉砕トナーである場合には、細孔の平均孔径として0.1〜10.0μmに設定することができる。
加えて、離型層613の細孔は、平均孔径が0.1〜3.0μmと細かく設定されれば、トナー像と直接接触する離型層613表面の高い平滑性を保つことができるので、細孔がトナー像の表面に凹凸状の定着むらを発生させることを防ぎ、光沢むらとなることを抑制することもできる。
加えて、離型層613の細孔は、平均孔径が0.1〜3.0μmと細かく設定されれば、トナー像と直接接触する離型層613表面の高い平滑性を保つことができるので、細孔がトナー像の表面に凹凸状の定着むらを発生させることを防ぎ、光沢むらとなることを抑制することもできる。
ところで、離型層613に形成される細孔の形態は、上記したような独立した孔や連続した孔として、図4に示したように、例えば離型層613の表面に散点状に形成された円形の孔(図4(a))、円周方向に連続的、または断続的に形成された溝状の複数の円環孔(図4(b))、さらには、螺旋状に形成された連続的、または断続的な溝状の螺旋孔(図4(c))等を用いることもできる。この場合においても、円環孔や螺旋孔の溝の幅は、0.1〜10.0μmに形成するが、例えば重合トナーを用いる場合において、トナーが溝を目詰まりさせることがなく、また溝がトナー像の表面において凹凸状の定着むらを発生させることを抑えるように、溝の幅は0.1〜3.0μmに形成するのが好ましい。
このように、定着ロール61の表面に形成された離型層613に細孔を形成することによって、離型層613が気圧緩和層として機能し、ニップ部Nにおいて用紙Pが熱を受けた際に、局所的に高くなった気圧を低下させることができる。そのため、気圧によるトナー像を押し退ける力を弱めることとなり、トナー像に白く抜けた斑点状の模様が発生するのを抑制することができる。特に、表面が平滑であって定着ロール61との密着性が高い塗工紙を用いた場合において、顕著な効果を発揮することができる。
なお、本実施の形態の定着装置60では、定着ロール61の表面に形成された離型層613に細孔を形成したが、定着ロール61と用紙Pとが接触する定着ロール61の表面において細孔が形成されていればよい。したがって、細孔を形成するのは離型層613に限定されず、例えば、離型層613を通常の形態で構成し、離型層613の表面に細孔が形成された気圧緩和層をさらに設けた構成とすることもできる。
以上説明したように、本実施の形態の定着装置60によれば、定着ロール61の表面に細孔が形成された気圧緩和層を設けることによって、ニップ部Nにおいて用紙Pが熱を受けた際に、局所的に高くなった気圧を低下させることができる。そのため、用紙Pや、用紙Pに担持されたトナーから水蒸気が発生したり、またはこのトナー像周辺に存在する空気が膨張して、ニップ部N内において局所的に気圧が高くなった場合に、その水蒸気または膨張した空気を気圧緩和層によって緩和することができ、気圧によるトナー像を押し退ける力を弱めることとなって、トナー像に白く抜けた斑点状の模様が発生するのを抑制することができる。特に、表面が平滑であって定着ロール61との密着性が高い塗工紙を用いた場合においても、効果的に画像不良の発生を抑えることができる。
なお、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62は、内部に配置された圧力パッド64とベルト走行ガイド63、さらには両端部に配置されたエッジガイド(不図示)によって回動自在に支持された構成のものを用いたが、エンドレスベルト62を複数のロールで張架された構成とすることもできる。
また、定着ロール61に当接する加圧部材として、エンドレスベルト62の他に、従来の加圧ロールを用いる場合に対しても、本発明は同様に適用することができる。
また、定着ロール61に当接する加圧部材として、エンドレスベルト62の他に、従来の加圧ロールを用いる場合に対しても、本発明は同様に適用することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
実施の形態1では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。実施の形態2では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図5は、本実施の形態における定着装置90の構成を示す側断面図である。図5に示すように、本実施の形態の定着装置90は、定着ベルト92、回動部材の一例としての加圧ロール91により主要部が構成されている。そして、定着ベルト92が用紙Pのトナー像担持面側に配置されるとともに、定着ベルト92の内側には発熱源の一例としての抵抗発熱体であるセラミックヒータ82が配設され、セラミックヒータ82からニップ部Nに熱を供給するように構成している。
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト92を介して加圧ロール91に押圧される状態で配置され、ニップ部Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト92の曲率の変化によって定着ベルト92から剥離される。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
一方、加圧ロール91は定着ベルト92に対向するように配置され、図示しない駆動モータにより矢印D方向に回転し、この回転に従動して定着ベルト92が回動するように構成されている。加圧ロール91は、コア (円柱状芯金)911と、コア911の外周面に被覆した耐熱性弾性体層912と、さらに耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層913とが積層されて構成されている。
さらに、本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92は、原形が円筒形状に形成された無端ベルトであり、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のポリマーやSUS、ニッケル等の金属で形成されたベース層921と、このベース層の加圧ロール91側の面または両面に被覆されたフッ素樹脂等からなる離型層922とから構成されている。
また、剥離の補助手段として、定着ベルト92のニップ部Nの下流側に、剥離部材70を配設することも可能である。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
さらに、本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92は、原形が円筒形状に形成された無端ベルトであり、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のポリマーやSUS、ニッケル等の金属で形成されたベース層921と、このベース層の加圧ロール91側の面または両面に被覆されたフッ素樹脂等からなる離型層922とから構成されている。
また、剥離の補助手段として、定着ベルト92のニップ部Nの下流側に、剥離部材70を配設することも可能である。剥離部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でホルダ72によって保持されている。
加えて、ホルダ65の両端部にはエッジガイド(不図示)が配設されている。エッジガイドは、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両エッジガイドの内側面が、定着ベルト92の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、定着ベルト92が回動する際には、定着ベルト92の端部が両エッジガイドの内側面に当接することによって、定着ベルト92の幅方向への移動(ベルトウォーク)が規制されている。このように、定着ベルト92は、エッジガイドによって片寄りが規制されるように設定されている。
そして、図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって定着装置90のニップ部Nに導かれる。用紙Pがニップ部Nを通過する際には、用紙P上のトナー像は、ニップ部Nに作用する圧力と、定着ベルト92側のセラミックヒータ82から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置90でも、加圧ロール91とセラミックヒータ82との間でニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
本実施の形態の定着装置90では、定着ベルト92の加圧ロール91側の面に被覆された離型層922に平均孔径が0.1〜10.0μmの細孔が形成されている。このような構成によって、ニップ部Nにおいて用紙Pが熱を受けた際に、用紙Pや、用紙Pに担持されたトナー像から水蒸気が発生したり、またはこのトナー像周辺に存在する空気が膨張して、ニップ部N内において局所的に気圧が高くなった場合に、その水蒸気または膨張した空気を細孔に逃がすことができ、それによって局所的に高くなった気圧を低下させることができる。そのため、用紙Pとして表面が平滑であって定着ベルト92との密着性が高い塗工紙を用いた場合であっても、細孔が局所的に高くなった気圧を緩和するので、水蒸気等の気圧によるトナー像を押し退ける力を弱めることとなり、トナー像に白く抜けた斑点状の模様が発生するのを抑制することができる。さらには、塗工紙内において発生した水蒸気によって局所的に塗工紙内の気圧が高くなって、塗工紙自体に「火脹れ状」に部分的な膨らみが発生することも抑えることもできる。
したがって、本実施の形態の定着装置90では、細孔が形成された離型層922は、用紙Pや用紙Pに担持されたトナー像における局所的に気圧の高くなった部分に対して、気圧を緩和する気圧緩和層として機能している。
したがって、本実施の形態の定着装置90では、細孔が形成された離型層922は、用紙Pや用紙Pに担持されたトナー像における局所的に気圧の高くなった部分に対して、気圧を緩和する気圧緩和層として機能している。
なお、この場合、離型層922に形成された細孔は、定着ベルト92のベース層921を貫通して定着ベルト92の内側に通じる構成とすることもできる。また、離型層922に形成する細孔の平均孔径としては、例えば平均粒径が数μmの重合トナーのように微細なトナーを使用した場合には、0.1〜3.0μmに形成するのが好ましい。
本発明の活用例として、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未定着トナー像を定着する定着装置への適用、さらには転写ベルト、感光体ベルト、帯電ベルトへの適用がある。また、インクジェト方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置への適用、例えば記録紙(用紙)上に担持された未乾燥インク像を乾燥する定着装置への適用がある。
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、11…感光体ドラム、12…帯電器、13…レーザ露光器、14…現像器、15…中間転写ベルト、16…一次転写ロール、17…ドラムクリーナ、20…二次転写部、60,90…定着装置、61…定着ロール、612…耐熱性弾性体層、613,922…離型層(気圧緩和層)、62…エンドレスベルト、63…ベルト走行ガイド、64…圧力パッド、64a…プレニップ部材、64b…剥離ニップ部材、65…ホルダ、66…ハロゲンヒータ、67…潤滑剤塗布部材、68…低摩擦シート、69…温度センサ、70…剥離部材、75…離型剤塗布供給部材、82…セラミックヒータ、91…加圧ロール、92…定着ベルト
Claims (7)
- 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
前記記録材を加熱する回動可能な定着部材と、
前記定着部材に接触しながら移動可能な加圧部材とを備え、
前記定着部材は、気圧を緩和する細孔を有する気圧緩和層が表面に形成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記気圧緩和層は、前記細孔の平均孔径が0.1〜10.0μmに形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記気圧緩和層は、前記細孔の平均孔径が0.1〜3.0μmに形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記定着部材は、発熱源が設けられた定着ロールであることを特徴とする請求項3記載の定着装置。
- 前記定着部材は、発熱源が設けられた定着ベルトであることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記気圧緩和層は、フッ素樹脂が繊維状に形成されて構成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
前記定着手段は、
気圧を緩和する細孔を有する気圧緩和層が表面に形成され、前記記録材を加熱する回動可能な定着部材と、
前記定着部材に接触しながら移動可能な加圧部材と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
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JP2004068737A JP2005258001A (ja) | 2004-03-11 | 2004-03-11 | 定着装置および画像形成装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009180785A (ja) * | 2008-01-29 | 2009-08-13 | Canon Inc | 加熱用回転体、及びその加熱用回転体を有する像加熱装置 |
JP2010140003A (ja) * | 2008-11-13 | 2010-06-24 | Ricoh Co Ltd | 定着部材及びその製造方法、並びに定着装置及び画像形成装置 |
-
2004
- 2004-03-11 JP JP2004068737A patent/JP2005258001A/ja active Pending
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