JP2005257918A - パターン形成体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、特性の大きく異なるパターンが効率的に形成されたパターン形成体や、その製造方法等を提供することを主目的としている。
【解決手段】 上記目的を達成するために、本発明は、基材と、前記基材上に形成され、少なくとも光触媒、金属化合物微粒子、および特性付与剤を含有し、かつエネルギー照射により特性が変化する特性変化層とを有し、前記特性変化層は前記特性変化層の特性がパターン状に変化した特性変化パターンを有することを特徴とするパターン形成体を提供する。
【選択図】 図1



Description

本発明は、カラーフィルタをはじめとして各種の用途に使用可能な、表面に特性の異なるパターンを有するパターン形成体、およびその製造方法等に関するものである。
従来より、基材上に図案、画像、文字、回路等の種々のパターンを形成するパターン形成体の製造方法としては、各種のものが製造されている。
例えば、印刷を例に挙げて説明すると、印刷方法の一種である平版印刷に使用する平版印刷版は、インクを受容する親油性部位と、印刷インクを受容しない部位とからなるパターンを有する平版を製造し、この平版を用いて親油性部位に印刷すべきインクの画像を形成し、形成した画像を紙等に転写して印刷している。こうした印刷では、このように印刷版原版に、文字、図形等のパターンを形成してパターン形成体である印刷版を製造し、印刷機に装着して使用している。代表的な平版印刷版であるオフセット印刷用の印刷版原版には、数多くのものが提案されている。
オフセット印刷用の印刷版は、印刷版原版にパターンを描いたマスクを介して露光して現像する方法、あるいは電子写真方式によって直接に露光して印刷版原版上に直接に製版する方法等によって作製することができる。電子写真式のオフセット印刷版原版は、導電性基材上に酸化亜鉛等の光導電性粒子および結着樹脂を主成分とした光導電層を設け、これを感光体として電子写真方式によって露光し、感光体表面に親油性の高い画像を形成させ、続いて不感脂化液で処理し非画像部分を親水化することによってオフセット原版、すなわちパターン形成体を得る方法によって作製されている。親水性部分は水等によって浸漬して疎油性とされ、親油性の画像部分に印刷インクが受容されて紙等に転写される。しかしながら、パターン形成に当たっては不感脂化液での処理等の種々の露光後の処理が必要となる。
また、レーザーの照射によって、インクに対して受容性の高い部位と撥インク性の部位からなるパターンを形成することが可能なヒートモード記録材料を用いた平版印刷原版を作製する方法も提案されている。ヒートモード記録材料は、現像等の工程が不要で、単にレーザー光によって画像を形成するのみで印刷版を製造することができるという特徴を有しているが、レーザーの強度の調整、レーザーにより変質した固体状物質など残留物等の処理の問題、耐刷性などに課題があった。
また、高精細なパターンを形成する方法として、基材上に塗布したフォトレジスト層にパターン露光を行い、露光後、フォトレジストを現像し、さらにエッチングを行ったり、フォトレジストに機能性を有する物質を用いて、フォトレジストの露光によって目的とするパターンを直接形成する等のフォトリソグラフィーによるパターン形成体の製造方法が知られている。
フォトリソグラフィーによる高精細パターンの形成は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの着色パターンの形成、マイクロレンズの形成、精細な電気回路基板の製造、パターンの露光に使用するクロムマスクの製造等に用いられているが、これらの方法によっては、フォトレジストを用いると共に、露光後に液体現像液によって現像を行ったり、エッチングを行う必要があるので、廃液を処理する必要が生じる等の問題点があり、またフォトレジストとして機能性の物質を用いた場合には、現像の際に使用されるアルカリ液等によって劣化する等の問題点もあった。
カラーフィルタ等の高精細なパターンを印刷等によって形成することも行われているが、印刷で形成されるパターンには、位置精度等の問題があり、高精度なパターンの形成は困難であった。
そこで、基材上に、光触媒と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する材料とを含有する特性変化パターン形成用塗工液を用いて層を形成し、パターン状に露光することにより、特性が変化したパターンを形成するパターン形成体の製造方法が本発明者等において検討されてきた(特許文献1)。この方法によれば、上記特性変化層の特性を利用して、容易に着色層等の機能性部を形成することを可能とすることができる。
しかしながら、上述したパターン形成体は、エネルギーの照射によりエネルギーが照射された部分の特性を光触媒の作用を利用することにより変化させて、特性の異なるパターンを形成するものであるので、特性の差を生じさせるのに所定の時間がかかる。この時間を短縮することができれば、さらなる効率化を図ることが可能である。
また、精度の良い機能性素子を得るためには、パターン形成体上に大きな特性の差を形成することが好ましいのであるが、効率上許される所定の時間内にこのような大きな特性の差を形成するためには、パターン形成体表面における露光による特性の変化の速度を向上させる必要がある。
特開平11−344804号公報
そこで、特性の大きく異なるパターンが効率的に形成されたパターン形成体や、その製造方法等の提供が望まれている。
本発明は、基材と、上記基材上に形成され、少なくとも光触媒、金属化合物微粒子、および特性付与剤を含有し、かつエネルギー照射により特性が変化する特性変化層とを有し、上記特性変化層は上記特性変化層の特性がパターン状に変化した特性変化パターンを有することを特徴とするパターン形成体を提供する。
本発明によれば、上記特性変化層中に金属化合物微粒子が含有されていることから、特性変化層にエネルギー照射された際の光触媒の感度を向上させることができる。これにより、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって効率よく上記特性付与剤を分解または変性等することができ、大きな特性の差を有する上記特性変化パターンが、短時間で形成されたパターン形成体とすることができる。また、本発明においては上記金属化合物微粒子の作用によって、上記特性変化パターンの色が変化したものとすることができる。したがって、本発明によれば、上記特性変化パターン上に、特性変化層の特性の差を利用して機能性部を形成する際、特性変化パターンの識別が容易となり、アライメントを容易にとること等もできる、という利点も有する。
上記発明においては、上記金属化合物微粒子の粒径が、1nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。このような粒径の金属化合物微粒子が上記特性変化層中に含有されることによって、光触媒の感度を向上させることができ、短時間で特性の差が大きな特性変化パターンを形成することが可能となるからである。
また、上記金属化合物微粒子中に含有される金属が、パラジウム、銀、銅、白金、鉛、スズ、ニッケル、コバルト、およびカドミウムから選択される1種または2種以上の物質であることが好ましい。このような金属の金属化合物微粒子が、特性変化パターン中に含有されることにより、上記特性変化層の感度を良好なものとすることができるからである。
また、上記発明においては、上記金属化合物微粒子が、金属酸化物微粒子であることが好ましい。より特性変化層の特性変化を大きなものとすることができるからである。
上記発明においては、上記特性付与剤が、上記特性変化層のバインダとして用いられることが好ましい。本発明においては、上記金属化合物微粒子が特性変化層におけるバインダとしての機能を果たすものとすることもできるが、特性付与剤がバインダとしての機能も果たすものとすることにより、特性変化層の強度をより高いものとすることができるからである。
また、この際上記特性付与剤が、オルガノポリシロキサンであることが好ましい。オルガノポリシロキサンは、上述したような特性付与剤、およびバインダとしての機能も果たすことができるからである。
またさらに、上記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基、クロロアルキル基、イソシアネート基、もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンを用いることにより、上述したような特性の差をより発揮することができるからである。
上記発明においては、上記特性付与剤が、撥液性を有する撥液性付与剤であり、上記特性変化層がエネルギー照射により、液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層とすることができる。この場合、上記特性変化層上のエネルギーが照射されていない領域を撥液性領域、エネルギーが照射された領域を親液性領域とすることができ、これらの濡れ性の差を利用して、例えばインクジェット法等によって容易に親液性領域のみに機能性部を形成することができる。
また、本発明は上述したいずれかのパターン形成体の上記特性変化パターン上に機能性部が形成されていることを特徴とする機能性素子を提供する。
本発明によれば、機能性部が、上記パターン形成体の特性変化パターンの特性の差を利用して、容易に形成された機能性素子とすることができる。また、本発明においては、機能性部を形成する際に、上記特性変化パターンの色の差を利用してアライメントをとること等ができることから、精確な位置に機能性部が形成されたものとすることができ、高品質な機能性素子とすることができる。
また、本発明は上記機能性素子の機能性部が、画素部であることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
本発明によれば、上記特性変化層の特性の差や色の変化等を利用して、例えばインクジェット法等によって高精細に画素部が形成されたものとすることができ、高品質なカラーフィルタとすることができる。
また、本発明は、上記機能性素子の機能性部が金属配線であることを特徴とする導電性パターンを提供する。
本発明によれば、上記特性変化層の特性の差等を利用して、例えば電解ジェット法等によって、目的とするパターン状に高精細な金属配線を形成されたものとすることができ、高品質な導電性パターンとすることができる。
本発明は、上記機能性素子の上記機能性部が有機エレクトロルミネッセント(以下、有機ELともいう。)層であることを特徴とする有機EL素子を提供する。
本発明によれば、上記特性変化層の特性の差を利用して、高精細なパターン状に有機EL層を形成されたものとすることができ、高品質な有機EL素子とすることができる。
またさらに、本発明は、上記機能性素子の上記機能性部が生体物質と付着性を有することを特徴とするバイオチップ用基材を提供する。
本発明によれば、生体物質と付着性を有する機能性部を高精細なパターン状に形成されたものとすることができ、高品質なバイオチップ用基材とすることができる。
また、本発明は光触媒、金属化合物微粒子、および特性付与剤を含有することを特徴とするパターン形成体用塗工液を提供する。
本発明によれば、光触媒とともに、上記金属化合物微粒子が含有されていることから、上記パターン形成体用塗工液を塗布してパターン形成体を形成した際、光触媒の感度を向上させることができ、エネルギーが照射された領域の上記特性付与剤を、短時間で効率よく分解または変性等させることができる。またこの際、上記金属化合物微粒子の作用によって、エネルギー照射された領域の色が変化したものとすることもできる。
上記発明においては、上記金属化合物微粒子の平均粒径が1nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。上記金属化合物微粒子の平均粒径が上記範囲内であることにより、光触媒の感度を向上させることができるからである。
また、上記発明においては、上記金属化合物微粒子に含有される金属が、パラジウム、銀、銅、白金、鉛、スズ、ニッケル、コバルト、およびカドミウムから選択される1種または2種以上の物質であることが好ましい。このような金属の金属化合物がパターン形成体用塗工液中に含有されることによって、上記光触媒の感度を向上させることができるからである。
上記発明においては、上記金属化合物微粒子が、金属酸化物であることが好ましい。金属酸化物微粒子がパターン形成体用塗工液中に含有されることにより、より光触媒の感度を向上させることができるからである。
またさらに、上記発明においては、上記特性付与剤が、オルガノポリシロキサンであることが好ましい。オルガノポリシロキサンは、上記特性付与剤としての機能の他に、バインダとしての機能も果たすことができる、形成された層を強度の高い層とすることができるからである。
また、上記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基、クロロアルキル基、イソシアネート基、もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンを用いることにより、上述したような特性の差を大きなものとすることができるからである。
またさらに、上記発明においては、上記特性付与剤が、撥液性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される撥液性付与剤とすることができる。これにより、上記パターン形成体用塗工液を塗布して層を形成した際、エネルギー照射されていない領域を撥液性領域、エネルギー照射された領域を親液性領域とすることができるからである。
また、上記発明においては、上記金属化合物微粒子が、金属化合物コロイド液として添加されたものであることが好ましい。これにより、上記金属化合物微粒子をパターン形成体用塗工液中で安定して分散しているものとすることができるからである。
また本発明は、光触媒と、金属微粒子または金属化合物微粒子と、特性付与剤とを混合してパターン形成体用塗工液を調整する塗工液調整工程と、
基材上に、上記パターン形成体用塗工液を塗布する塗工液塗布工程と、
上記塗工液塗布工程により塗布されたパターン形成体用塗工液を乾燥させて、上記光触媒と、金属化合物微粒子と、上記特性付与剤とを含有する特性変化層を形成する乾燥工程と、
上記特性変化層にエネルギーを照射して、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成する特性変化パターン形成工程と
を有することを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
本発明においては、光触媒の作用によって形成された特性変化層中に、金属化合物微粒子が含有されるものとすることができ、この金属化合物微粒子によって特性変化層中の光触媒の感度を向上させることができる。これにより、上記特性変化パターン形成工程において形成される特性変化パターンの特性の差を、短時間で大きいものとすることができ、効率よくパターン形成体を製造することができるのである。
上記発明においては、上記塗工液調整工程の上記金属微粒子または金属化合物微粒子が、金属コロイド液または金属化合物コロイド液として添加されることが好ましい。これにより、特性変化層中での金属化合物微粒子の分散を良好なものとすることができるからである。
本発明によれば、特性変化層にエネルギー照射された際の光触媒の感度を向上させることができ、大きな特性の差を有する上記特性変化パターンが、短時間で形成されたパターン形成体とすることができる。また、本発明においては、特性変化層の特性の差を利用して機能性部を形成する際、特性変化パターンを容易に識別して、アライメントを容易にとること等もできる、という利点も有する。
本発明は、カラーフィルタをはじめとして各種の用途に使用可能な、表面に特性の異なるパターンを有するパターン形成体、そのパターン形成体の製造方法、そのパターン形成体に用いられるパターン形成体用塗工液、およびそのパターン形成体を利用したカラーフィルタ等に関するものである。
以下、それぞれについて説明する。
A.パターン形成体用塗工液
まず、本発明のパターン形成体用塗工液について説明する。本発明のパターン形成体用塗工液は、光触媒、金属化合物微粒子、および特性付与剤を含有するものである。
本発明のパターン形成体用塗工液中には、光触媒および特性付与剤が含有されていることから、このパターン形成体用塗工液を塗布して層を形成した際に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって、上記特性付与剤を分解または変性させて、特性が変化する層として用いることができる。ここで、本発明においては、上記光触媒とともに金属化合物微粒子が含有されていることから、この金属化合物微粒子の作用によって光触媒の感度を向上させることができる。これにより、パターン形成体用塗工液が塗布されて形成された層を、短時間で高精細なパターン状に特性を変化させることが可能な層とすることができ、様々な用途に用いることが可能なものとすることができる。
また、本発明においては、上記パターン形成体用塗工液を塗布して形成された層にエネルギーを照射した場合、金属化合物微粒子の種類によっては、金属化合物が還元等されて特性変化層の光の透過率が変化し、エネルギー照射された領域の色が変化するものとすることができる。これにより、エネルギーが照射されて特性が変化した領域を視認することができることから、例えばその層上に上記特性の差を利用して機能性部等を形成する際、アライメントを容易にとること等ができ、より簡易な工程で、高精細な機能性部を形成することができるのである。
このような作用機構は、必ずしも明確なものではないが、含有されている金属化合物が微粒子であるため、金属化合物微粒子が光触媒とハイブリッド化して、層中に含有されることとなる。このような光触媒にエネルギーが照射された場合、金属化合物微粒子中の金属イオンが電子のアクセプターとして働き、光触媒の感度を向上させると考えられる。またこの際、金属イオンが還元されて、金属となることによって、特性変化層の光の透過率が変化し、特性変化層の色が変化すると考えられる。
以下、本発明のパターン形成体用塗工液を構成する各材料について、それぞれ詳しく説明する。
1.金属化合物微粒子
まず、本発明のパターン形成体用塗工液中に含有される金属化合物微粒子について説明する。本発明のパターン形成体用塗工液中に含有される金属化合物微粒子としては、後述する光触媒の感度を向上させることが可能なものであれば、その種類は特に限定されるものではなく、例えば金属塩化物や金属の硝酸化合物、金属酸化物、金属の過酸化物、金属の炭酸化合物、金属の酢酸化合物、金属の過塩素酸化合物等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる金属化合物微粒子に含有される金属も特に限定されるものではなく、例えばパラジウム、銀、銅、白金、鉛、スズ、ニッケル、コバルト、カドミウム等が挙げられ、これらの化合物を1種類または2種類以上混合して用いることができる。これらの金属化合物がパターン形成体用塗工液中に含有されることによって、後述する光触媒の感度を向上させることが可能となるからである。本発明においては、上記の中でも銀、銅であることが好ましい。この場合、金属イオンが電子アクセプタとして働き、光触媒の還元サイトで生じた電子を補足し電荷の再結合を抑制した結果、酸化チタンの酸化サイトの活性を向上させることができると考えられる。よって、より還元されやすい金属イオンである方が望ましいと考えられるからである。
まさらに、本発明においては、上記金属化合物微粒子の中でも特に金属酸化物であることが好ましく、特に酸化銀、酸化銅であることが好ましい。この場合、金属イオンのカウンターイオンが酸素イオンであることから、光触媒の還元サイトでスーパーオキサイドアニオンとして消費され、還元反応を促進すると考えられるからである。
本発明においては、上記パターン形成体用塗工液中に含有される光触媒の重量%を1とした場合に、上記金属化合物微粒子の重量%が0.0001〜0.1の範囲内であることが好ましい。また、上記金属化合物微粒子は、パターン形成体用塗工液の固形分中に、0.001重量%〜10重量%含有されていることが好ましい。このような範囲内金属化合物微粒子が含有されていることによって、光触媒の感度を向上させることができるからである。
また、本発明のパターン形成体用塗工液中における上記金属化合物微粒子の平均粒径は、1nm〜100nmの範囲内、中でも5nm〜80nmの範囲内、特に10nm〜50nmの範囲内であることが好ましい。粒径がこのような範囲内であることにより、後述する光触媒の感度をより向上させることが可能となるからである。
2.光触媒
次に、本発明に用いられる光触媒について説明する。本発明に用いられる光触媒は、エネルギー照射されることにより励起されて、後述する特性付与剤を分解または変性等させることが可能なものであれば、特に限定されるものではない。後述するような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本発明においては、このキャリアが後述する特性付与剤に作用を及ぼすものであると考えられる。
本発明に用いられる光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下であることが好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
また、上記酸化チタンとして可視光応答型のものを用いてもよい。可視光応答型の酸化チタンとは、可視光のエネルギーによっても励起されるものであり、このような可視光応答化の方法としては、酸化チタンを窒化処理する方法等が挙げられる。
酸化チタン(TiO)は、窒化処理をすることにより、酸化チタン(TiO)のバンドギャップの内側に新しいエネルギー準位が形成され、バンドギャップが狭くなる。その結果、通常酸化チタン(TiO)の励起波長は380nmであるが、その励起波長より長波長の可視光によっても、励起されることが可能となるのである。これにより、種々の光源によるエネルギー照射の可視光領域の波長も酸化チタン(TiO)の励起に寄与させることが可能となることから、さらに酸化チタンを高感度化させることが可能となるのである。
ここで、本発明でいう酸化チタンの窒化処理とは、酸化チタン(TiO)の結晶の酸素サイトの一部を窒素原子での置換する処理や、酸化チタン(TiO)結晶の格子間に窒素原子をドーピングする処理、または酸化チタン(TiO)結晶の多結晶集合体の粒界に窒素原子を配する処理等をいう。
酸化チタン(TiO)の窒化処理方法は、特に限定されるものではなく、例えば、結晶性酸化チタンの微粒子をアンモニア雰囲気下で700℃の熱処理により、窒素をドーピングし、この窒素のドーピングされた微粒子と、無機バインダや溶媒等を用いて、分散液とする方法等が挙げられる。
このような光触媒は、本発明のパターン形成体用塗工液における固形分中に、0.01重量%〜50重量%、中でも0.1重量%〜10重量%含有されることが好ましい。これにより、パターン形成体用塗工液が塗布された層にエネルギーが照射された場合、後述する特性付与剤を分解または変性等することができ、層の表面の特性を変化させることが可能となるからである。
3.特性付与剤
次に、本発明のパターン形成体用塗工液に用いられる特性付与剤について説明する。本発明のパターン形成体用塗工液に用いられる特性付与剤とは、パターン形成体用塗工液が塗布されて層が形成された際に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、例えば分解または変性等されて、層表面の特性を変化させるものであり、このように特性を変化させることが可能なものであれば、特にその種類等は限定されるものではない。例えば、撥液性の官能基を有する材料であり、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって表面の官能基が分解や置換等されることによって、表面の濡れ性が変化するものであってもよく、また感光性保護基で保護された官能基を有する分子であり、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により脱保護されて細胞との接着性が変化するもの等であってもよい。
本発明においては、上記特性付与剤がバインダとしても用いられるものであることが好ましい。本発明においては、上記金属化合物微粒子の含有量等によっては、金属化合物微粒子が層を形成する際のバインダとしての機能を果たすことも可能であるが、上記のようなバインダとしての機能を有する特性付与剤が用いられた場合には、パターン形成体用塗工液を塗布して層を形成した際に、さらに強度の高い層とすることができるからである。
このようなバインダとしても用いられる特性付与剤としては、光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであれば、特に限定されるものではないが、特にオルガノポリシロキサンが用いられることが好ましい。パターン形成体用塗工液中に、オルガノポリシロキサンが含有されることにより、上述したような特性変化を生じる層を形成することが可能となるからである。
本発明に用いられるオルガノポリシロキサンとしては、例えば、(a)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(b)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
上記の(a)の場合、一般式:
SiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基、クロロアルキル基、イソシアネート基、もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでXで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。また、Yで示される有機基全体の炭素数は1〜20の範囲内、中でも5〜10の範囲内であることが好ましい。
これにより、パターン形成体用塗工液を塗布して層を形成した際、例えばYとして撥液性を有するフルオロアルキル基等を有するものを用いた場合にはそのYによって表面を撥液性とすることができ、またエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、そのYが分解等され、親液性とすることが可能となるからである。また、例えばYとして、細胞との接着性を有するアミノ基等を有するものを用いた場合には、そのYによって表面を細胞との接着性を有するものとすることができ、またエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、そのYが分解等され、細胞との接着性を有しないもの等とすることができるからである。
また、上記の(b)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
Figure 2005257918
ただし、nは2以上の整数であり、R1,R2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1、R2がメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコン化合物を混合してもよい。
このような特性付与剤は、パターン形成体用塗工液の固形分中に、0.01重量%〜50重量%、中でも0.1重量%〜10重量%程度含有されることが好ましい。
ここで、本発明に用いられる上記特性付与剤としては、特に撥液性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される撥液性付与剤であることが好ましい。このような撥液性付与剤を用いることにより、パターン形成体用塗工液が塗布された層の、エネルギーが未照射の領域を撥液性を有する撥液性領域、エネルギーが照射された領域を撥液性付与剤が分解または変性されて親液性を有する親液性領域とすることができる。これにより、エネルギーが照射された領域とエネルギーが未照射の領域との濡れ性の差を利用して、容易に機能性部を形成することが可能となるからである。以下、このような撥液性付与剤について説明する。
本発明に用いられる撥液性付与剤としては、上述したように、撥液性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性されるものであれば、特に限定されるものではなく、例えばパターン形成体用塗工液を塗布して層を形成する際に、上述したようなバインダとしての機能を果たすものであってもよく、またバインダとしての機能を果たさないものであってもよい。また、これらを混合して用いてもよい。
ここで、撥液性を有するとは、上記パターン形成体用塗工液が塗布されて層とされた際に、この層と機能性部を形成するために塗布される機能性部形成用塗工液との濡れ性を低いものとすることができることをいう。具体的には、エネルギーが未照射の領域において、上記機能性部形成用塗工液に対する接触角が30°以上、中でも40°以上、特に50°以上とすることが可能なものであること好ましい。エネルギーが未照射の領域において機能性部形成用塗工液との接触角が小さい場合には、撥液性が十分でなく、上記機能性部形成用塗工液が残存する可能性が生じるからである。
一方、エネルギー照射された場合においては、上記機能性部形成用塗工液との濡れ性を良好なものとすることができることが好ましい。具体的には、上記機能性部形成用塗工液に対する接触角が20°以下、特に、10°以下とすることが可能なものであることが好ましい。エネルギー照射された部分における機能性部形成用塗工液との接触角が高いと、この部分での機能性部形成用塗工液の広がりが劣る可能性があり、機能性部の欠け等の問題が生じる可能性があるからである。
なお、ここでいう機能性部形成用塗工液との接触角は、パターン形成体用塗工液が塗布された層と機能性部形成用塗工液との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。
ここで、本発明に用いられる撥液性付与剤のうち、バインダとしての機能を有しないものとしては、撥液性の官能基を有しており、パターン形成体用塗工液を塗布した際に、表面に配向して撥液性を発現する界面活性剤等が挙げられ、このような界面活性剤としては、例えば日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤等を挙げることができる。また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
このようなバインダとしての機能を有しない撥液性付与剤は、パターン形成体用塗工液の固形分中に、0.01重量%〜10重量%、中でも0.1重量%〜1重量%程度含有されることが好ましい。
一方、バインダとしての機能を有する撥液性付与剤としては、上述したようなオルガノポリシロキサン等を用いることができる。特にフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを用いた場合には、エネルギー照射前の層を、特に撥液性の高いものとすることができることから、高い撥液性が要求される場合等には、これらのフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを用いることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンとして、具体的には、フルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られた、例えば特開2003−195029号公報に記載されているもの等を使用することができる。
このようなバインダとしての機能を有する撥液性付与剤は、パターン形成体用塗工液の固形分中に、0.01重量%〜50重量%、中でも0.1重量%〜10重量%程度含有されることが好ましい。
4.パターン形成体用塗工液
本発明のパターン形成体用塗工液は、上述した金属化合物微粒子、光触媒、および特性付与剤を含有しているものであれば、特に限定されるものではなく、例えば必要に応じて適宜添加剤等を有するもの等であってもよい。
例えばポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることもできる。
また本発明のパターン形成体用塗工液は、必要に応じて種々の溶剤等を含有するものであってもよい。沸点の高い溶剤を用いて光触媒を含有する層を形成した際、光触媒の感度が低下する場合等があるが、本発明においては、上記金属化合物微粒子が含有されていることによって、このような場合にも感度を良好なものとすることができる。
ここで、本発明のパターン形成体用塗工液の製造方法としては、上記パターン形成体用塗工液を製造することが可能な方法であれば、特に限定されるものではないが、本発明においては、上述したように上記金属化合物微粒子が金属化合物コロイド液として添加されることにより製造されることが好ましい。これにより、上記金属化合物微粒子がパターン形成体用塗工液中で凝集等することなく、安定して分散されたものとすることができ、パターン形成体用塗工液が塗布されて層が形成された際にも、光触媒の感度を安定して向上させることが可能となるからである。このような金属化合物コロイド液を用いたパターン形成体用塗工液の製造方法としては、例えば上記光触媒と、上記特性付与剤とを混合した溶液中に金属化合物コロイド液を添加し、混合する方法等が挙げられる。なお、上記金属化合物コロイド液として金属化合物微粒子が添加される場合、金属化合物微粒子は、その表面に有機成分が付着しているものであってもよく、また表面を有機成分で被覆されているもの等であってもよい。これにより、溶液中での粒子の分散安定性が高く、金属化合物コロイド粒子が凝集しにくいものとすることができるからである。
また、上記金属化合物微粒子が、金属酸化物微粒子である場合には、パターン形成体用塗工液に、金属酸化物微粒子が金属微粒子として添加されて、光触媒の作用により金属酸化物微粒子とされたものであることが好ましい。本発明によれば、金属微粒子を添加することによって、光触媒の作用により金属酸化物微粒子とすることができるため、金属酸化物の状態で不安定な金属等であっても、上記パターン形成体用塗工液を容易に製造することができるからである。なお、この場合粒径を上記範囲内とするために、金属微粒子が、金属コロイド液として添加されたものであることが好ましい。これにより、パターン形成体用塗工液中における金属酸化物微粒子の分散安定性を良好なものとすることができるからである。
また、本発明においては上記光触媒についても、上述した酸化チタンのゾル液等のように、ゾル液の状態で用いられることが好ましい。これにより、光触媒もパターン形成体用塗工液中で安定して分散されたものとすることができるからである。
B.パターン形成体
次に、本発明のパターン形成体について説明する。本発明のパターン形成体は、基材と、上記基材上に形成され、少なくとも光触媒、金属化合物微粒子、および特性付与剤を含有し、エネルギー照射により特性が変化する特性変化層とを有し、上記特性変化層は、上記特性変化層の特性がパターン状に変化した特性変化パターンを有するものである。
本発明のパターン形成体は、例えば図1に示すように、基材1と、その基材1上に形成された特性変化層2と、その特性変化層2の特性が変化した特性変化パターン3とを有するものである。
本発明によれば、上記特性変化層中に、光触媒および特性付与剤が含有されていることから、この特性変化層にエネルギーを照射することによって、上記光触媒の作用により特性付与剤を分解や変性等することができ、特性が変化した特性変化パターンが容易に形成されたものとすることができる。ここで、本発明においては上記特性変化層中に金属化合物微粒子が含有されていることから、光触媒の感度を向上させることができ、短時間で効率よく、特性の差が大きな特性変化パターンが形成されたパターン形成体とすることができる。
またさらに、本発明に用いられる上記特性変化層には、上記金属化合物微粒子が含有されていることから、この金属化合物微粒子の作用によって、エネルギー照射された領域の色が変化したものとすることができる。これにより、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンと、それ以外の領域との識別を容易に行うことが可能となり、上記特性変化パターン上に機能性部を形成する際、アライメントを容易にとること等ができる。したがって、本発明によれば、より簡易な工程で高精細な機能性部を形成することが可能なパターン形成体とすることができるのである。
以下、本発明のパターン形成体の各構成ごとに詳しく説明する。
1.特性変化層
まず、本発明のパターン形成体に用いられる特性変化層について説明する。本発明のパターン形成体に用いられる特性変化層は、後述する基材上に形成され、少なくとも光触媒、金属化合物微粒子、および特性付与剤を含有し、エネルギー照射により特性が変化するものであれば特性の変化の種類は特に限定されるものではない。本発明においては、特性変化層の特性の変化は、上記特性付与剤により決定されるものである。本発明に用いられる特性変化層を、例えば撥液性の官能基を有する材料を特性付与剤として用い、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって表面の官能基を分解や置換等することによって、表面の濡れ性が変化する濡れ性変化層としてもよく、また感光性保護基で保護された官能基を有する分子を特性付与剤として用い、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により脱保護して細胞との接着性が変化する細胞接着性変化層等としてもよい。
本発明においては、上記特性変化層に特性付与剤としてオルガノポリシロキサンが用いられることが好ましい。上記金属化合物微粒子の含有量等によっては、金属化合物微粒子が層を形成する際のバインダとしての機能を果たすことも可能であるが、オルガノポリシロキサンは、上記のような特性を有するだけでなく、バインダとしての機能も果たすことができ、特性変化層をさらに強度の高い層とすることができるからである。
本発明においては、上記の中でも特に、撥液性を有する撥液性付与剤を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、この撥液性付与剤が分解または変性等されることによって、表面の液体との接触角が低下するような濡れ性変化層を用いることが好ましい。これにより、エネルギー照射されていない撥液性領域と、エネルギー照射された親液性領域とを容易に形成することができ、この濡れ性の差を利用して、例えばインクジェット法等によって容易に機能性部を形成することが可能となるからである。
ここで撥液性を有するとは、後述する特性変化パターン上に機能性部を形成する際に塗布される機能性部形成用塗工液等との濡れ性が低いことをいう。具体的には、エネルギー照射される前の濡れ性変化層の上記機能性部形成用塗工液に対する接触角が30°以上、中でも40°以上、特に50°以上の濡れ性を示すことが好ましい。液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、上記機能性部形成用塗工液が残存する可能性が生じるからである。
一方、上記濡れ性変化層がエネルギー照射された領域においては、上記機能性部形成用塗工液との濡れ性が良好なことが好ましい。具体的には、塗布される機能性部形成用塗工液に対する接触角が20°以下、特に、10°以下となるような層であることが好ましい。エネルギー照射された部分における液体との接触角が高いと、この部分での機能性部形成用塗工液の広がりが劣る可能性があり、機能性部の欠け等の問題が生じる可能性があるからである。
なお、ここでいう機能性部形成用塗工液との接触角は、上述した方法により測定されたものである。
ここで、上述したような特性変化層の形成方法としては、上記特性変化層を形成することが可能な方法であれば、特に限定されるものではないが、例えば上記「A.パターン形成体用塗工液」で説明したパターン形成体用塗工液を後述する基材上に塗布し、焼成等することにより、形成することができる。この際の塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。また、焼成等によりパターン形成体用塗工液を乾燥させる方法としては、例えばホットプレート、赤外線ヒーターやオーブン等を用いて行うこと等ができる。なお、上記特性変化層の膜厚は、0.05〜10μmの範囲内とされることが好ましい。
また、上記特性変化層中における、上記光触媒に含有される金属原子の数を1とした場合に、上記金属化合物微粒子に含有される金属原子の数が0.0001〜10の範囲内であることが好ましい。これにより、上記金属化合物微粒子が光触媒の感度を向上させたり、エネルギー照射された領域の色を変化させる等の機能を発揮することができるからである。上記光触媒に含有される金属原子の数に対する金属化合物微粒子の金属原子の数の測定は、XPS等により行うことができる。
ここで、本発明に用いられる特性変化層中に含有される光触媒、金属化合物微粒子、および特性付与剤については、上述した「A.パターン形成体用塗工液」で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.特性変化パターン
次に、本発明の特性変化パターンについて説明する。本発明における特性変化パターンとは、上記特性変化層の特性が変化したものである。
本発明においては、この特性変化パターンがパターン形成体上に形成されることによって、特性変化層の特性が変化した領域と、特性が変化していない領域との特性の差を利用して、容易に機能性部等を形成することが可能なものとすることができるのである。また、本発明においては、特性変化層中に上記金属化合物微粒子が含有されていることから、金属化合物微粒子の種類によっては、エネルギーが照射された領域である特性変化パターンの色が変化したものとすることができる。これにより、例えば本発明のパターン形成体上に機能性部を形成する際、特性変化パターンが容易に識別できることから、アライメントを容易にとること等ができ、より高精細な機能性部を形成できるのである。なお、上記特性変化パターンの色の変化は、金属化合物微粒子の種類等にもよるが、数日で元の色に戻るものとすることも可能である。
このような特性変化パターンは、例えば図2(a)に示すように、上記特性変化層2に例えばフォトマスク4等を用いてエネルギー5を照射することによって、エネルギー照射された領域の特性付与剤を分解または変性させて、図2(b)に示すように特性の変化した特性変化パターン3を特性変化層2上に形成することができるのである。
ここで、本発明における特性変化パターンの形成方法については、上記特性変化層の特性を変化させることが可能なエネルギーを照射する方法であれば、その方法は特に限定されるものではない。本発明でいうエネルギー照射(露光)とは、特性変化層表面の特性を変化させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
通常このようなエネルギー照射に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは150nm〜380nmの範囲から設定される。これは、上述したように特性変化層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。また、上述したような光源を用い、フォトマスクを介したパターン照射により行う方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることも可能である。
なお、エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、特性変化層中の光触媒の作用により特性変化層表面の特性の変化が行われるのに必要な照射量とする。
この際、特性変化層を加熱しながらエネルギー照射することにより、より感度を上昇させることが可能となり、効率的な特性の変化を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
本発明におけるエネルギー照射方向は、後述する基材が透明である場合は、基材側および特性変化層側のいずれの方向からフォトマスクを介したパターンエネルギー照射もしくはレーザの描画照射を行っても良い。一方、基材が不透明な場合は、特性変化層側からエネルギー照射を行なう必要があり、また例えば基材上に遮光部を形成した場合は、基材側からエネルギー照射を行う必要がある。
3.基材
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、上記特性変化層が形成可能であれば、特に限定されるものではなく、パターン形成体の用途や種類等によって適宜選択されるものである。また、透明性や可撓性についても適宜選択される。
なお、本発明においては、基材表面と上記特性変化層等との密着性を向上させるために、基材上にアンカー層を形成するようにしてもよい。このようなアンカー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
4.パターン形成体
次に、本発明のパターン形成体について説明する。本発明のパターン形成体は、上述した基材上に特性変化層が形成されており、その特性変化層の特性が変化した特性変化パターンが形成されているものであれば、特に限定されるものではなく、例えば必要に応じて基材上に遮光部等が形成されていてもよい。
このような遮光部が形成されている場合には、上記特性変化パターンを形成する際に、マスクやレーザーによる描画等を用いることなく、基材側からエネルギーを照射することにより、遮光部の設けられていない特性変化層表面の特性を変化させることが可能となる。したがって、フォトマスク等との位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利となるという利点を有する。
このような遮光部の形成位置としては、基材上に遮光部を形成し、その上から特性変化層を形成する場合、すなわち基材と特性変化層との間に形成する場合と、基材の特性変化層が形成されていない側の表面にパターン状に形成する場合とがある。
このような遮光部の形成方法は、特に限定されるものではなく、遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。
例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成されてもよい。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターン状に形成する方法であってもよい。用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このような樹脂製遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
また、上記基材と特性変化層との間に遮光部を形成した場合には、上記特性変化層と遮光部との間にプライマー層を形成してもよい。このプライマー層の作用・機能は必ずしも明確なものではないが、プライマー層を形成することにより、特性変化層の特性変化を阻害する要因となる遮光部および遮光部間に存在する開口部からの不純物、特に、遮光部をパターニングする際に生じる残渣や、不純物の拡散を防止する機能を示すものと考えられる。したがって、プライマー層を形成することにより、高感度で特性変化層の特性を変化させることができ、その結果、高解像度のパターンを得ることが可能となるのである。
なお、本発明においてプライマー層は、遮光部のみならず遮光部間に形成された開口部に存在する不純物が光触媒の作用に影響することを防止するものであるので、プライマー層は開口部を含めた遮光部全面にわたって形成されていることが好ましい。
本発明におけるプライマー層は、上記遮光部と上記特性変化層とが接触しないようにプライマー層が形成された構造であれば特に限定されるものではない。
このプライマー層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、光触媒の作用により分解されにくい無機材料が好ましい。具体的には無定形シリカを挙げることができる。このような無定形シリカを用いる場合には、この無定形シリカの前駆体は、一般式SiXで示され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物であり、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
また、プライマー層の膜厚は、0.001μmから1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.001μmから0.1μmの範囲内であることが好ましい。
C.機能性素子
次に、本発明の機能性素子について説明する。本発明の機能性素子は、上述したパターン形成体の上記特性変化パターン上に機能性部が形成されたものである。
本発明によれば、上記パターン形成体の特性変化パターンの特性の差を利用して機能性部を形成することから、高精細に機能性部を形成することができ、高品質な機能性素子とすることができるのである。また、本発明においては、上記特性変化パターンの色が変化していることから、特性の変化した領域と特性が未変化の領域とを視認することができ、機能性部を形成する際のアライメントをとること等が容易となることから、より簡便な工程で効率よく機能性部が形成されたものとすることもできる。
ここで機能性とは、光学的(光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、電気・電子的(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、化学的(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的(耐摩耗性等)、熱的(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体機能的(生体適合性、抗血栓性等)のような各種の機能を意味するものである。
本発明における機能性部を形成する機能性部形成用塗工液としては、上述したように機能性素子の機能、機能性素子の形成方法等によって大きく異なるものであるが、例えば、紫外線硬化型モノマー等に代表される溶剤で希釈されていない組成物や、溶剤で希釈した液体状の組成物等を用いることができる。また、機能性部形成用塗工液としては粘度が低いほど短時間にパターンが形成できることから特に好ましい。ただし、溶剤で希釈した液体状組成物の場合には、パターン形成時に溶剤の揮発による粘度の上昇、表面張力の変化が起こるため、溶剤が低揮発性であることが望ましい。
本発明に用いられる機能性部形成用塗工液としては、上記特性変化パターンに付着等させて配置されることにより機能性部となるものであってもよく、また特性変化パターン上に配置された後、薬剤により処理され、もしくは紫外線、熱等により処理された後に機能性部となるものであってもよい。この場合、機能性部形成用塗工液の結着剤として、紫外線、熱、電子線等で効果する成分を含有している場合には、硬化処理を行うことにより素早く機能性部が形成できることから好ましい。
本発明においては、上記機能性部を形成する方法としては、ディップコート、ロールコート、ブレードコート、スピンコート等の塗布手段、インクジェット、電界ジェット、ディスペンサーを用いる方法等を含むノズル吐出手段等の手段を用いることが好ましい。これらの方法を用いることにより、機能性部を均一かつ高精細に形成することが、可能となるからである。
ここで、本発明においては、上記機能性素子の中でも、特に後述する機能性部が画素部であるカラーフィルタ、機能性部が金属配線である導電性パターン、機能性部が生体物質と付着性を有するバイオチップ用基材、機能性部が有機EL層である有機EL素子であることが好ましい。これらの機能性素子の機能性部は、上述したパターン形成体の特性の差を利用して、容易に形成することが可能となるからである。
D.カラーフィルタ
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した機能性素子の機能性部が画素部であることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記特性変化層が例えば濡れ性変化層である場合、インクジェット法等によって容易に表面の濡れ性の差を利用して画素部を形成することが可能となり、高精細な画素部を形成することができるのである。また、本発明においては、上記特性変化パターンの色が変化したものとすることができることから、画素部を形成する位置の識別が容易であり、アライメントを取ること等を容易に行うことができる。したがって、製造効率よく、さらに高精細な画素部が形成された高品質なカラーフィルタとすることができるのである。
なお、本発明におけるカラーフィルタの各部材の材料や製造方法等については、一般的なカラーフィルタにおけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
E.導電性パターン
次に、本発明の導電性パターンについて説明する。本発明の導電性パターンは、上述した機能性素子の機能性部が金属配線であることを特徴とするものである。本発明によれば、金属配線を、上述した特性変化パターンに沿って、例えば電界ジェット法等を用いて金属ペースト等を塗布することにより、高精細な金属配線が形成された導電性パターンとすることができる。また、本発明においては、上述した特性変化パターンの色が変化しているものとすることができることから、金属配線を形成する位置の識別が容易となり、高精細な金属配線を形成することができ、高品質な導電性パターンとすることができるのである。
なお本発明においては、上記特性変化層上に金属配線が形成されることから、特性変化層の電気抵抗が、1×10Ω・cm〜1×1018Ω・cm、中でも1×1012Ω・cm〜1×1018Ω・cmの範囲内とすることが好ましい。これにより、優れた導電性パターンとすることが可能となるからである。
ここで、本発明における導電性パターンの各部材の材料や製造方法等については、一般的な導電性パターンにおけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
F.有機EL素子
次に、本発明の有機EL素子について説明する。本発明の有機EL素子は、上述した機能性素子における機能性部が有機EL層であることを特徴とするものである。本発明によれば、上記機能性部が有機EL層であることにより、上述した特性変化パターンを利用して、容易に有機EL層の塗り分け等を行うことが容易であり、高精細な有機EL素子を製造することが可能となる。またこの塗りわけの際、目的とするパターン状に特性変化層の色が変化しているものとすることができることから、より高精細に有機EL層を形成することができるのである。
本発明の有機EL素子は、この有機EL層上に第2電極層を形成すること等により得ることができる。なお、本発明における有機EL素子の各部材の材料や製造方法等については、一般的な有機EL素子におけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
G.バイオチップ用基材
次に、本発明におけるバイオチップ用基材について説明する。本発明のバイオチップ用基材は、上述した機能性素子における機能性部が、生体物質と付着性を有することを特徴とするものである。本発明においては、例えば上述した特性変化パターン上に生体物質と付着性を有する材料を付着等させることにより、得ることができる。
このようなバイオチップ用基材上に、生体物質を固定化させることにより、バイオチップを得ることができる。このようなバイオチップ表面では、上記機能性薄膜が固定化層として働き、ここにDNAやタンパク質等の生体物質が固定化されて種々の用途に用いられるのである。
このような生体物質の固定化技術は、酵素を不溶性担体に固定化したバイオリアクターの研究開発において盛んに研究された固定化技術を応用することができる。その技術内容については、例えば、千畑一郎編、“固定化酵素”、講談社サイエンティフィック、1975及び、その参考文献に詳しい。
なお、バイオチップには、電気的読み取り法を用いる場合があり、このような場合は上記バイオチップ用基材表面に電極を形成する必要がある。この際には、上述した導電性パターンの欄で説明した方法により電極を形成してもよく、また一般的なフォトレジスト法等により形成するようにしてもよい。
ここで、本発明においては、上記特性変化層の特性付与剤として、感光性保護基で保護された官能基を有する分子を用い、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により脱保護して細胞との接着性を有するようなものとし、この細胞との接着性を有するパターン状に細胞を接着させてバイオチップとしたもの等とすることも可能である。
なお、本発明におけるバイオチップ用基板の各部材の材料や製造方法等については、一般的なバイオチップ用基板におけるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
H.パターン形成体の製造方法
次に、本発明のパターン形成体の製造方法について説明する。
本発明のパターン形成体の製造方法は、光触媒と、金属微粒子または金属化合物微粒子と、特性付与剤とを混合してパターン形成体用塗工液を調整する塗工液調整工程と、
基材上に、上記パターン形成体用塗工液を塗布する塗工液塗布工程と、
上記塗工液塗布工程により塗布されたパターン形成体用塗工液を乾燥させて、上記光触媒と、金属化合物微粒子と、上記特性付与剤とを含有する特性変化層を形成する乾燥工程と、
上記特性変化層にエネルギーを照射して、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成する特性変化パターン形成工程と
を有するものである。
本発明においては、上記塗工液調整工程により金属微粒子または金属化合物微粒子を含有するパターン形成体用塗工液を調製することから、そのパターン形成体用塗工液が塗布された特性変化層中に金属化合物微粒子が含有されるものとすることができる。これは本発明においては、パターン形成体用塗工液中において、金属が添加された場合であっても、パターン形成体用塗工液中に含有される光触媒の作用によって、金属微粒子が酸化されて、金属酸化物微粒子の状態で安定とすることができるからである。
また本発明においては、例えば金属酸化物微粒子のような金属化合物微粒子を含有する特性変化層に、上記特性変化パターン形成工程においてエネルギーが照射された場合、上記金属化合物の作用によって、光触媒の感度を向上させることができ、短時間で効率よく特性変化層中に含有される特性付与剤を分解または変性等させることができる。したがって、本発明によれば、特性の差が大きな特性変化パターンが形成されたパターン形成体を、効率よく短時間で製造することができるのである。
またさらに、本発明によれば、特性変化層に含有される金属化合物微粒子が金属酸化物微粒子である場合には、特性変化パターン形成工程において照射されるエネルギーによって、金属酸化物微粒子が還元等されて特性変化層の光の透過率が変化することから、上記特性変化パターンの色が変化したものとすることもできる。したがってこの色の変化を利用して、容易にアライメント等をとることができ、このパターン形成体上に容易に高精細な機能性部を形成することが可能とすることができるのである。
以下、本発明のパターン形成体の製造方法の各工程ごとに詳しく説明する。
1.塗工液調整工程
まず、本発明のパターン形成体の製造方法における塗工液調整工程について説明する。本発明における塗工液調整工程は、光触媒と、金属微粒子または金属化合物微粒子と、特性付与剤とを混合してパターン形成体用塗工液を調整する工程であり、上記光触媒と、金属微粒子または金属化合物微粒子と、特性付与剤とを安定に混合して調整することが可能であって、後述する乾燥工程において最終的に得られる特性変化層が、光触媒、特性付与剤、および金属化合物微粒子を含有するようものとすることが可能なものであれば、その方法等は特に限定されるものではない。
本工程において添加される金属微粒子または金属化合物微粒子は、コロイドの状態で添加されてもよく、また塩の状態で添加されてもよい。ここで、本発明においては、上記金属微粒子または金属化合物微粒子は、金属コロイド液または金属化合物コロイド液として添加されることが好ましい。これにより、後述する特性変化層形成工程により形成される特性変化層中での金属化合物微粒子の分散性を良好なものとすることができるからである。
本発明に用いられる金属コロイド液または金属化合物コロイド液としては、金属成分または金属化合物成分と有機成分とからなる粒子を主成分とする固形分と、溶媒とからなるもの等とすることができる。これにより、溶液中での粒子の分散安定性が高く、金属コロイド粒子または金属化合物コロイド粒子が凝集しにくいものとすることができ、特性変化層が形成された際に、金属化合物微粒子が良好に分散されたものとすることができるからである。このような金属成分としては、例えば銀、銅等が挙げられる。
また、本発明においては上記光触媒についても、例えば酸化チタンのゾル液等のように、ゾル液の状態で用いられることが好ましい。これにより、光触媒もパターン形成体用塗工液中で安定して分散されたものとすることができるからである。
なお、本工程に用いられる光触媒、特性付与剤等の種類や添加量については、上述した「A.パターン形成体用塗工液」の項で説明したものと同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
また、本工程により調整されるパターン形成体用塗工液中には、上記材料の他に必要に応じて、例えば溶剤や添加剤等を含有するものであってもよい。本発明によれば、例えば後述する特性変化パターン形成工程において、光触媒の感度が低下する高沸点溶剤等を用いた場合であっても、特性変化層中に金属化合物微粒子が含有されることとなるから、光触媒の感度を良好なものとすることができ、材料の選択の幅が広がる、という利点も有する。
2.塗工液塗布工程
次に、本発明のパターン形成体の製造方法における塗工液塗布工程について説明する。本工程は、上記塗工液調整工程により調整されたパターン形成体用塗工液を、基材等の上に塗布する工程である。
本工程におけるパターン形成体用塗工液の塗布は、パターン形成体用塗工液を塗布することが可能な方法であれば、特に限定されるものではないが、本発明においては、特にスピンコート法、スリットコート法、ビードコート法、スプレーコート法、ディップコート法、またはスリットコート法およびスピンコート法を組み合わせて塗布する方法等が挙げられる。これにより、大面積の特性変化層も形成可能であり、かつ均一な特性変化層を形成することが可能となるからである。
また、本発明によれば、特性変化層中に金属化合物微粒子が含有されることとなることから、上述したように例えば高沸点の溶剤等も用いることが可能となり、パターン形成体用塗工液を塗布する機器の選択の幅も広がる、という利点も有する。
3.乾燥工程
次に、本発明のパターン形成体の製造方法における乾燥工程について説明する。本発明における乾燥工程は、上述した塗工液塗布工程により塗布されたパターン形成体用塗工液を乾燥させて、上記光触媒、金属化合物微粒子、および特性付与剤を含有する特性変化層を形成する工程である。
本工程においては、上記パターン形成用塗工液を乾燥または硬化させることにより、特性変化層を形成可能な方法であれば、特に限定されるものではなく、例えばホットプレート、赤外線ヒーター、またはオーブン等を用いて行うことができる。
本発明においては、特にパターン形成体用塗工液が50℃〜400℃、中でも100℃〜300℃の範囲内となるように加熱して乾燥工程を行うことが好ましい。これにより、特性変化層中の金属化合物微粒子の作用によって、光触媒の感度をより向上させることが可能となるからである。
4.特性変化パターン形成工程
次に、本発明のパターン形成体の製造方法における特性変化パターン形成工程について説明する。本発明のパターン形成体の製造方法における特性変化パターン形成工程は、上記特性変化層上にパターン状にエネルギーを照射することにより、上記特性変化層上に特性の変化した特性変化パターンを形成する工程である。
本工程においては、上記特性変化層が、層中に金属化合物微粒子を含有していることから、エネルギー照射に対する光触媒の感度を向上させることができ、短時間で特性付与剤を分解または変性等させることができ、製造効率よくパターン形成体を製造することができるのである。また、上記金属化合物微粒子が金属酸化物微粒子である場合には、この金属酸化物微粒子の作用によって、エネルギー照射された領域の色が変化することから、特性変化パターン上に機能性部を形成する際、アライメント等をとることが容易となり、高精細な機能性素子を形成することが可能なパターン形成体を製造することができるのである。
ここで、本工程におけるエネルギーの照射方法は、目的とするパターン状に特性変化層の特性を変化させることが可能な方法であれば、特に限定されるものではない。
なお、本工程により照射されるエネルギーの種類や、照射方法等については、上述した「B.パターン形成体」の特性変化パターンの項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
5.その他
本発明のパターン形成体の製造方法においては、上述した工程以外にも必要に応じて、例えばパターン形成体用塗工液をろ過する工程や、遮光部を形成する工程等を有するものであってもよい。このような工程については、一般的にパターン形成体を製造する際に用いられる方法と同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
<パターン形成体用塗工液調整方法>
フルオロアルキルシラン(TSL8233 GE東芝シリコーン製)1.5g、テトラメトキシシラン(TSL8114 GE東芝シリコーン製)5.0g、及び0.01N塩酸2.5gを24時間常温にて攪拌して撥液性付与剤を作製した。
次に、チタニアゾル(STS‐01 石原産業製)を水とイソプロパノールとの混合液(重量比=1:1)にてTiO濃度が0.5wt%となるように希釈した。この希釈液45gに酸化銅コロイド水分散液(平均粒径が50nm、酸化銅固形分0.2wt%)を5g添加し、10分間攪拌した。
この液に上記撥液性付与剤を0.2g添加して、10分間攪拌しパターン形成体用塗工液とした。
<パターン形成体作製方法>
パターン形成体塗工液をガラス基板上に塗布後、200℃で乾燥し、厚さ0.15μmの特性変化層を形成した。
この特性変化層の水との接触角を測定したところ、102°であった。次に、超高圧水銀ランプ(365nm、37mW/cm)を用いて露光すると30秒で水の接触角が10°以下になった。
[比較例1]
実施例1と同様に撥液性付与剤を作製した。
次に、チタニアゾル(STS‐01 石原産業製)を水とイソプロパノールとの混合液(重量比=1:1)にてTiO濃度が0.5wt%となるように希釈した。
この液に撥液性付与剤を2gと水5gとを添加して、10分間攪拌しパターン形成体用塗工液とした。
実施例1と同様にガラス基板上に特性変化層を形成し、この特性変化層と水の接触角を測定したところ105°であった。次に、超高圧水銀ランプ(365nm 37mW/cm2)を用いて露光すると30秒で水の接触角が80°であり、70秒で水との接触角が10°以下になった。
[実施例2]
実施例1と同様に撥水液性付与剤を作製した。
次にチタニアゾル(STS-01 石原産業製)を水とイソプロパノールとの混合液(重量比1:1)にてTiO濃度が0.5wt%となるように希釈した。この希釈液48gに酸化銅水分散液(平均粒径130nm、酸化銅固形分0.2wt%)を0.2g添加し、10分間攪拌した。この液に撥液性付与剤を0.2g添加して、10分間攪拌しパターン形成体用塗工液とした。
実施例1と同様にガラス基板上に特性変化性層を形成し、この特性変化層の水との接触角を測定したところ、72°であった。次に超高圧水銀ランプ(365nm、37mW/cm)を用いて露光すると、40秒で水との接触角が10°以下になった。
ここで、上記酸化銅水分散液を用いた場合、添加しない場合と比較すると、感度は向上したが、粒径が100nm以上であったため、光触媒の感度は100nm以下の金属化合物を添加した場合と比較すると、感度の向上が少なく、また分散液の分散安定性も低下するため、24時間後に酸化銅が沈殿した。
[実施例3]
<パターン形成体用塗工液調整方法>
フルオロアルキルシラン(TSL8233 GE東芝シリコーン製)1.5g、テトラメトキシシラン(TSL8114 GE東芝シリコーン製)5.0g、及び0.01N塩酸2.5gを24時間常温にて攪拌して撥液付与剤を作製した。
次に、酸化チタン無機コーティング剤(ST―K03 石原産業製)を水とイソプロパノールとの混合液(重量比=1:1)にてTiO濃度が0.5wt%となるように希釈した。この希釈液45gに銀コロイド水分散液(平均粒径が30nm、銀固形分0.5wt%)を5g添加し、10分間攪拌した。
この液に撥液性付与剤を0.15g添加して、10分間攪拌しパターン形成体用塗工液とした。
<パターン形成体作製方法>
パターン形成体塗工液をガラス基板状に塗布後、200℃で乾燥し、厚さ0.15μmの特性変化層を形成した。
この特性変化層の水との接触角を測定したところ、98°であった。また、XPS(ESCALAB 220I−XL)を用いて特性変化層に含有される銀の存在状態を解析した。その結果、銀の光電子ピーク(Ag 3d 5/2)の結合エネルギー値は、酸化銀に帰属される367.8eV(割合:72%)と銀に帰属される368.4eV(割合:28%)の2つのピークが検出され、銀コロイドの一部は酸化銀として膜中に存在していた。
次に、超高圧水銀ランプ(365nm、37mW/cm)を用いて露光すると18秒で水の接触角が10°以下になった。XPS(ESCALAB 220I−XL)を用いて露光後の特性変化層に含有される銀の存在状態を解析した。その結果、銀の光電子ピーク(Ag 3d 5/2)の結合エネルギー値は銀に帰属される368.4eVのみで、露光により酸化銀は銀に還元された。
[比較例2]
実施例3と同様に撥液性付与剤を作製した。
次に、酸化チタン無機コーティング剤(ST―K03 石原産業製)を水とイソプロパノールとの混合液(重量比=1:1)にてTiO濃度が0.5wt%となるように希釈した。この液に撥液性付与剤を0.15gと水5gとを添加して、10分間攪拌しパターン形成体用塗工液とした。
実施例2と同様にガラス基板上に特性変化層を形成し、この特性変化層の水との接触角を測定したところ、98°であった。次に、超高圧水銀ランプ(365nm、37mW/cm)を用いて露光すると18秒では水の接触角は75°であり、57秒で水との接触角が10°以下になった。
[実施例4]
実施例3と同様にガラス基板上に特性変化層を形成した。次にフォトマスク(20μmのライン、80μmのスペース)を介して超高圧水銀ランプ(365nm、37mW/cm)を用いて18秒露光することにより、フォトマスクに順じた濡れ性パターンを得た。
この際、カラーフィルタ用赤色顔料分散熱硬化型樹脂組成物との接触角を測定したところ、未露光部は60°であり、露光部は10°以下であった。
この濡れ性が変化した部位にインクジェット法により赤色顔料分散熱硬化型樹脂組成物を塗出することにより濡れ性が変化した部位に濡れ広がった。緑、青色顔料分散熱硬化型樹脂組成物を同様に吐出し、200℃、30分加熱することによりカラーフィルタを得た。
本発明のパターン形成体の一例を示す概略断面図である。 本発明のパターン形成体の特性変化パターンの形成方法一例を示す説明図である。
符号の説明
1…基材
2…特性変化層
3…特性変化パターン

Claims (23)

  1. 基材と、前記基材上に形成され、少なくとも光触媒、金属化合物微粒子、および特性付与剤を含有し、かつエネルギー照射により特性が変化する特性変化層とを有し、前記特性変化層は前記特性変化層の特性がパターン状に変化した特性変化パターンを有することを特徴とするパターン形成体。
  2. 前記金属化合物微粒子の粒径が、1nm〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成体。
  3. 前記金属化合物微粒子中に含有される金属が、パラジウム、銀、銅、白金、鉛、スズ、ニッケル、コバルト、およびカドミウムから選択される1種または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成体。
  4. 前記金属化合物微粒子が、金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  5. 前記特性付与剤が、前記特性変化層のバインダとして用いられることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  6. 前記特性付与剤が、オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  7. 前記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基、クロロアルキル基、イソシアネート基、もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項6に記載のパターン形成体。
  8. 前記特性付与剤が、撥液性を有する撥液性付与剤であり、前記特性変化層がエネルギー照射により、液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の前記特性変化パターン上に機能性部が形成されていることを特徴とする機能性素子。
  10. 請求項9に記載の機能性素子の前記機能性部が画素部であることを特徴とするカラーフィルタ。
  11. 請求項9に記載の機能性素子の前記機能性部が金属配線であることを特徴とする導電性パターン。
  12. 請求項9に記載の機能性素子の前記機能性部が有機エレクトロルミネッセント層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子。
  13. 請求項9に記載の機能性素子の前記機能性部が生体物質と付着性を有することを特徴とするバイオチップ用基材。
  14. 光触媒、金属化合物微粒子、および特性付与剤を含有することを特徴とするパターン形成体用塗工液。
  15. 前記金属化合物微粒子の平均粒径が1nm〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項14に記載のパターン形成体用塗工液。
  16. 前記金属化合物微粒子に含有される金属が、パラジウム、銀、銅、白金、鉛、スズ、ニッケル、コバルト、およびカドミウムから選択される1種または2種以上の物質であることを特徴とする請求項14または請求項15に記載のパターン形成体用塗工液。
  17. 前記金属化合物微粒子が、金属酸化物であることを特徴とする請求項14から請求項16までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体用塗工液。
  18. 前記特性付与剤が、オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項14から請求項17までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体用塗工液。
  19. 前記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基、クロロアルキル基、イソシアネート基、もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項18に記載のパターン形成体用塗工液。
  20. 前記特性付与剤が、撥液性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される撥液性付与剤であることを特徴とする請求項14から請求項19までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体用塗工液。
  21. 前記金属化合物微粒子が、金属化合物コロイド液として添加されたものであることを特徴とする請求項14から請求項20までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体用塗工液。
  22. 光触媒と、金属微粒子または金属化合物微粒子と、特性付与剤とを混合してパターン形成体用塗工液を調整する塗工液調整工程と、
    基材上に、前記パターン形成体用塗工液を塗布する塗工液塗布工程と、
    前記塗工液塗布工程により塗布されたパターン形成体用塗工液を乾燥させて、前記光触媒と、金属化合物微粒子と、前記特性付与剤とを含有する特性変化層を形成する乾燥工程と、
    前記特性変化層にエネルギーを照射して、前記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成する特性変化パターン形成工程と
    を有することを特徴とするパターン形成体の製造方法。
  23. 前記塗工液調整工程の前記金属微粒子または金属化合物微粒子が、金属コロイド液または金属化合物コロイド液として添加されることを特徴とする請求項22に記載のパターン形成体の製造方法。
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