JP2005257000A - クランク軸の軸受構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】トンネル式軸受装置において、軸受箱のクランクケースへの組付後に、全てのジャーナル枢支軸心を一致させる手段を、従来よりもコスト安に実現させる。
【解決手段】多気筒エンジンのクランクケース2内に設けた軸受壁21に形成されたトンネル孔22に軸受箱11を内嵌固定し、軸受箱11中央の軸受孔12に、クランク軸のジャーナルを枢支し、軸受箱11は、軸受壁21を下から上えと貫通する上向きボルトで軸受壁21に締結固定してあるクランク軸の軸受構造において、軸受箱11のジャーナル枢支軸心Zを、軸受箱11の中心位置Pに対して上方へ僅かにずらす位置ズレ手段Aを装備する。位置ズレ手段Aは、軸受箱11に内嵌されてジャーナルを支承する中間軸受メタル13の内周面13nの中心Zを、中間軸受メタル13の外周面13gの中心位置Pに対して上方へ僅かにずらす構成である。
【選択図】図2
【解決手段】多気筒エンジンのクランクケース2内に設けた軸受壁21に形成されたトンネル孔22に軸受箱11を内嵌固定し、軸受箱11中央の軸受孔12に、クランク軸のジャーナルを枢支し、軸受箱11は、軸受壁21を下から上えと貫通する上向きボルトで軸受壁21に締結固定してあるクランク軸の軸受構造において、軸受箱11のジャーナル枢支軸心Zを、軸受箱11の中心位置Pに対して上方へ僅かにずらす位置ズレ手段Aを装備する。位置ズレ手段Aは、軸受箱11に内嵌されてジャーナルを支承する中間軸受メタル13の内周面13nの中心Zを、中間軸受メタル13の外周面13gの中心位置Pに対して上方へ僅かにずらす構成である。
【選択図】図2
Description
本発明は、複数気筒エンジンにおけるクランク軸を、そのジャーナルを枢支する軸受箱と一体でケースの一方から差し込んでクランクケースに組付け自在とした構造、即ち、トンネル式のクランク軸の軸受構造に関するものである。
クランク軸心とクランク軸の中間ジャーナルを枢支する中間軸受箱の軸心を位置整合して組付ける技術においては、中間ジャーナルを枢支する軸受箱を隙間嵌めによって軸受壁に嵌入するとともに、軸受壁を貫通するボルトで軸受箱を締結固定する構造上、クランクケースの外壁部分で枢支されるクランク軸の軸心に対して、軸受箱の枢支軸心が下方(ボルト存在方向)へずれ、軸受メタルの早期摩耗や、軸受摩擦によるエンジン騒音が大きくなるといった問題がある。
これを解決する手段として、特許文献1において開示されたように、中間軸受箱に形成される軸受孔の中心を、中間軸受箱の外周円の中心位置に対して、軸受壁のトンネル孔と軸受箱との挿通隙間の略半分だけ上方へ偏位させることにより、軸受箱のジャーナル枢支軸心を、クランクケースにおけるジャーナルの基準枢支軸心よりも、クランク軸の軸心に対するボルト存在側と反対側の方向へ僅かにずらす技術が知られている。
即ち、中間軸受箱を軸受壁に固定した状態では、クランクケース前壁の軸受孔の中心、後部軸受箱の軸受孔の中心、中間軸受箱の軸受孔の中心を全て略一致させた状態とすることができ、それらの軸受孔に挿通されるクランク軸の軸心を略一致させることができる。従って、クランク軸心に対する中間軸受箱の軸心のずれを抑制でき、軸受メタルの早期摩耗や軸受摩擦によるエンジン騒音を低減することができる、というものである。
特開2001−271708号公報
しかしながら、前記従来技術によるクランク軸の軸受構造では、中間軸受箱に形成される軸受孔の中心を極僅かにずらす偏心加工は、非常に精度が要求される困難な切削加工であり、コスト的には不利なものであった。
本発明の目的は、トンネル式のクランク軸の軸受構造において、軸受箱のクランクケースへの組付け後に、クランク軸の全てのジャーナル枢支軸心を一致させるようにする手段を、従来よりもコスト安に実現させる点にある。
請求項1の構成は、複数気筒エンジン(E)のクランクケース(2)内に設けた軸受壁(21)にトンネル孔(22)をあけ、そのトンネル孔(22)に軸受箱(11)を内嵌固定し、前記軸受箱(11)の中央に設けた軸受孔(12)に、クランク軸(8)のジャーナル(8c)を枢支するとともに、前記軸受箱(11)は、前記軸受壁(21)を前記クランク軸(8)の軸心に直交する方向に貫通するボルト(18)によって前記軸受壁(21)に締結固定されているクランク軸の軸受構造において、
前記軸受箱(11)のジャーナル枢支軸心(Z)を、前記軸受箱(11)の中心位置(P)に対して、前記ボルト(18)存在側と反対側の方向へ僅かにずらす位置ズレ手段(A)が装備されるとともに、この位置ズレ手段(A)は、前記軸受箱(11)に内嵌されて前記ジャーナル(8c)を支承する中間軸受メタル(13)の内周面(13n)の中心を、前記中間軸受メタル(13)の外周面(13g)の中心位置に対して、前記ボルト(18)存在側と反対側の方向へ僅かにずらす構成であることを特徴とする。
前記軸受箱(11)のジャーナル枢支軸心(Z)を、前記軸受箱(11)の中心位置(P)に対して、前記ボルト(18)存在側と反対側の方向へ僅かにずらす位置ズレ手段(A)が装備されるとともに、この位置ズレ手段(A)は、前記軸受箱(11)に内嵌されて前記ジャーナル(8c)を支承する中間軸受メタル(13)の内周面(13n)の中心を、前記中間軸受メタル(13)の外周面(13g)の中心位置に対して、前記ボルト(18)存在側と反対側の方向へ僅かにずらす構成であることを特徴とする。
請求項2の構成は、複数気筒エンジン(E)のクランクケース(2)内に設けた軸受壁(21)にトンネル孔(22)をあけ、そのトンネル孔(22)に軸受箱(11)を内嵌固定し、前記軸受箱(11)の中央に設けた軸受孔(12)に、クランク軸(8)のジャーナル(8a)〜(8c)を枢支するとともに、前記軸受箱(11)は、前記軸受壁(21)を前記クランク軸(8)の軸心に直交する方向に貫通するボルト(18)によって前記軸受壁(21)に締結固定されているクランク軸の軸受構造において、
前記ジャーナル(8a)〜(8c)のうちの両端に位置する端部ジャーナル(8a),(8b)を枢支すべく前記クランクケース(2)の外壁部分(2a),(2b)に形成される軸受部(16),(30)のジャーナル枢支軸心(X)を、前記軸受部(16),(30)の中心位置(Q)に対して、前記ボルト(18)存在側の方向へ僅かにずらす位置ズレ手段(B)が装備されるとともに、この位置ズレ手段(B)は、前記軸受部(16),(30)に内嵌されて前記端部ジャーナル(8a),(8b)を支承する端部軸受メタル(33),(43)の内周面(33n),(43n)の中心を、前記端部軸受メタル(33),(43)の外周面(33g),(43g)の中心位置に対して、前記ボルト(18)存在側の方向へ僅かにずらす構成であることを特徴とする。
前記ジャーナル(8a)〜(8c)のうちの両端に位置する端部ジャーナル(8a),(8b)を枢支すべく前記クランクケース(2)の外壁部分(2a),(2b)に形成される軸受部(16),(30)のジャーナル枢支軸心(X)を、前記軸受部(16),(30)の中心位置(Q)に対して、前記ボルト(18)存在側の方向へ僅かにずらす位置ズレ手段(B)が装備されるとともに、この位置ズレ手段(B)は、前記軸受部(16),(30)に内嵌されて前記端部ジャーナル(8a),(8b)を支承する端部軸受メタル(33),(43)の内周面(33n),(43n)の中心を、前記端部軸受メタル(33),(43)の外周面(33g),(43g)の中心位置に対して、前記ボルト(18)存在側の方向へ僅かにずらす構成であることを特徴とする。
請求項3の構成は、請求項1又は2に記載のクランク軸の軸受構造において、前記複数気筒エンジン(E)が縦型であり、前記ボルト(18)は、軸受壁(21)にその下方側から上方に向けて貫通装備される上向きボルトであることを特徴とする。
請求項1の構成による位置ズレ手段は、中間軸受メタルを偏心させることにより、軸受壁のジャーナル枢支軸心を、軸受壁の中心位置に対してボルト存在側と反対側の方向へ僅かにずらす構成である。中間軸受箱の軸受孔の中心を、中間軸受箱の外周円の中心に比べて上方向へ偏位させる従来の位置ズレ手段では、中間軸受箱の偏心加工が面倒で、かつ、加工時間及び加工コストが大きくなるに対して、本請求項1の手段では、中間軸受箱に比べて小さい部品である中間軸受メタルの偏心加工が簡単(例:プレス加工)で、かつ、コストもさほど掛からないようになるという利点がある。そして、請求項3のように、縦型の複数気筒エンジンにおいて上向きボルトを用いる構成では、下死点においてピストンから伝達される爆発圧力による強烈な下向き力を受ける中間軸受メタルの下部の径方向の厚みが、中間軸受メタルの上部の径方向の厚みよりも厚くなるので、耐久性が増す等、中間軸受メタルを強度上で有利なものに構成することができる。
請求項2の構成によれば、端部軸受メタルを偏心させることにより、クランクケースの外壁部分に形成される軸受部のジャーナル枢支軸心を、軸受部の中心位置に対してボルト存在側の方向へ僅かにずらす構成である。中間軸受箱の軸受孔の中心を、中間軸受箱の外周円の中心に比べて上方向へ偏位させる従来の位置ズレ手段では、中間軸受箱の偏心加工が面倒で、かつ、加工時間及び加工コストが大きくなるに対して、本請求項2の手段では、中間軸受箱に比べて小さい部品である端部軸受メタルの偏心加工が簡単(例:プレス加工)で、かつ、コストもさほど掛からないようになるという利点がある。加えて、端部軸受メタルは偏心リング形状となるので、クランクケースの外壁や後部軸受箱に内嵌装備された状態では、その偏心形状によってクランク軸との連れ回りが生じない回り止め機能が得られ、別途に回り止め手段を装備しなくて済み、構造の簡素化やコストダウンが可能となる利点がある。
請求項3の構成によれば、縦型の複数気筒エンジンにおいては、上向きボルトによる軸受箱の軸受壁への締結固定構造が多用されるので、その構成に好適でなクランク軸の軸受構造が提供できる。
以下、本発明によるクランク軸の軸受構造の実施の形態を図面に基づき説明する。図1、図2は、実施例1による位置ズレ手段を示し、図3、図4は縦型多気筒エンジンの縦断面図、一部切欠の側面図、図5、図6は実施例2による位置ズレ手段を示している。
複数気筒エンジンEに採用されたトンネル式軸受装置10は、図3及び図4に示すように、縦型多気筒(4気筒)エンジンEのクランク軸8の軸受壁21をクランクケース2と一体に三箇所に形成し、軸受壁21にクランク軸8を挿通して支持する中間トンネル孔22を開口し、この中間トンネル孔22内にクランク軸8の中間ジャーナル8cを枢支する割り形の中間軸受箱11を内嵌固定するように構成されている。
中間軸受箱11は、図3に示すように、逆T字状の上箱11aと半円状の下箱11bとを左右一対の連結ボルト14で一体に連結固定し、中間軸受メタル13を介してクランク軸8の中間ジャーナル8cを枢支するように構成されている。中間軸受箱11は、軸受壁21にその下方側から上方に向けて貫通装備される上向きボルト(「軸受壁をクランク軸の軸心に直交する方向に貫通するボルト」の一例)18により、軸受壁21に締結固定される。
クランク軸8の先端ジャーナル8aを、クランクケース2の前壁2aに形成された軸受孔16に先端軸受メタル(端部軸受メタルMの一例)33を介して挿入するように構成し、クランクケース2の後壁2bにあけた後部トンネル孔30に後部軸受箱25を内嵌できるように構成する。後部軸受箱25には軸受孔28が開口されるとともに、この軸受孔28にクランク軸10の後端ジャーナル8bが、後端軸受メタル(端部軸受メタルMの一例)43を介して挿入されるようにしてある。後部軸受箱25は、クランク軸8の軸心(実施例1ではQ、実施例2ではP)に沿う方向を向く固定ボルト27を用いて抜止板部26を介して後壁2bに固定される。
次に、実施例1によるクランク軸8の軸受構造を、図1及び図2を参照して説明する。図2に示すように、クランクケース前壁2aの軸受孔16の中心と、中間トンネル孔22の中心と、後部トンネル孔30の中心は全て、例えば軸心Qに一致するようにクランクケース2が形成されている。そして、後部軸受箱25に形成される軸受孔28の中心は、後部軸受箱25の中心Qに合致するように形成されている。また、リング状の先端及び後端軸受メタル33,43は、同一のものとすることが可能である。
これに対して、中間ジャーナル8cを支承する中間軸受メタル13は、図1に示すように、軸受孔12に内嵌される外周面13gの中心位置P(軸受箱11の中心位置P)に対して、中間ジャーナル8cが枢支される内周面13nの中心Zを僅かに上方にずらして(偏位させて)高くしてある。その偏位量は、中間トンネル孔22と中間軸受箱11の挿通隙間dの半分、即ちd/2に設定してある。尚、中間軸受メタル13は、内周面13nの軸心Zを通る水平面を境として、上メタル13aと下メタル13bとに分割されている。中間軸受メタル13、即ち、上下のメタル13a,13bは、夫々プレス成形(精密プレス成形)か、或いは精密鍛造(又は精密鋳造)により、比較的廉価に製造することができる。
つまり、中間軸受箱11のジャーナル枢支軸心Zを、中間軸受箱11の中心位置Pに対して上方向(「上向きボルト18存在側と反対側の方向」の一例)へ僅かにずらす位置ズレ手段Aが装備されるとともに、この位置ズレ手段Aは、中間軸受箱11に内嵌されて中間ジャーナル8cを支承する中間軸受メタル13の内周面13nの中心Zを、中間軸受メタル13の外周面13gの中心Pよりも上方向(「上向きボルト18存在側と反対側の方向」の一例)へ僅かにずらす構成である。
このように構成することにより、図2に示すように、上向きボルト18を締付けて中間軸受箱11を軸受壁21に固定した状態では、クランクケース前壁2aに内嵌される先端軸受メタル33の中心Q、後部軸受箱25に内嵌される後端軸受メタル43の中心Q、中間軸受箱11に内嵌される中間軸受メタル13の中心Zが、互いに同一の軸心に合致するようになる。その結果、それらの軸受メタル33,13,43に挿通されるクランク軸8(図4参照)の軸心も位置Q(軸心Z)に一致できることになる。
中間軸受メタル13の内周面13nの中心を高める位置ズレ手段Aによれば、下死点においてピストンから伝達される爆発圧力による強烈な下向き力を受ける下メタル13bの径方向の厚みが、上メタル13aの径方向の厚みよりも厚くなるので、中間軸受メタル13を強度上で有利なものに構成することができる。また、中間軸受箱11の軸受孔12の中心を、中間軸受箱11の外周円31の中心に比べて上方向へ偏位させる従来の位置ズレ手段では、中間軸受箱11の偏心加工が面倒で、かつ、加工時間及び加工コストが大きくなるが、軸受箱11に比べて小さい部品である中間軸受メタル13では、その偏心加工が簡単で、かつ、コストもさほど掛からないようになるという利点もある。
次に、このトンネル式軸受装置10の一取付方法について説明する。まず、クランクケース前壁2aの軸受孔16、中間トンネル孔22、クランクケース後壁2bの後部トンネル孔30の中心Qを一致させるように、クランクケース2を精密鋳造するか、又は鋳造後のクランクケース2にそれら孔16,22,30の同心精度を高める孔加工を行う。
それから、クランク軸8の組み付けを行う。クランク軸8の組み付けは次の手順により行われる。クランク軸8の三箇所の中間ジャーナル8cの夫々に、割り形の上下メタル13a,13b及び割り形の中間軸受箱11を組付け、かつ、後端ジャーナル8bに後端軸受メタル43及び後部軸受箱25を組み付ける。また、先端軸受メタル33を、クランクケース前壁2aの軸受孔16に内嵌装備させておく。なお、後部軸受箱25は必ずしも割り形である必要はない。クランク軸8に中間軸受箱11と後部軸受箱25を組み付けた状態でそのクランク軸8をクランクケース2の後部(フライホイル7)側のトンネル孔30より、各軸受壁21の中間トンネル孔22を挿通してクランクケース2内に挿入する。
次いで、各軸受壁21の中間トンネル孔22内に各中間軸受箱11を内嵌合させ、かつ、上向きボルト18で締結固定するともに、図4に示す抜止板部26により後部軸受箱25を後部トンネル孔30に内嵌固定して、クランク軸8の組み付け作業が終了する。
実施例2によるクランク軸8の軸受構造を図5、図6に示す。各軸受メタル33,13,43のジャーナル枢支軸心を、クランク軸8のクランクケース2への組付け後において一致させる手段は、実施例2においては、先端及び後端のジャーナル枢支軸心Xを予めd/2だけ下げる位置ズレ手段Bが採用されている。即ち、三箇所の中間軸受メタル13は、上下のメタル13a,13bが同一部品であって、外周面13gの中心Pと内周面13nの軸心Pとが一致した同心円状のものに構成されている。
これに対して、先端及び後端軸受メタル33,43は、図5(A),(B)には位置ズレ手段Bが採用されている。先端軸受メタル33について説明すると、図5(A)に示すように、位置ズレ手段Bは、前壁2aの軸受孔(軸受部の一例)16に内嵌される先端軸受メタル33の外周面33gの中心Qに対して、先端ジャーナル8aを枢支する先端軸受メタル33の内周面33nの中心Xを、前述したd/2だけ低い位置に設定する構成である。後端軸受箱28に内嵌装備される後端軸受メタル43は、図5(B)に示すように、先端軸受メタル33と同じものであり、対応する箇所には対応する符号(33を43に置き換えたもの)を付してある。
つまり、5箇所のジャーナル8a,8c,8bのうちの両端に位置する先端及び後端ジャーナル(端部ジャーナルの一例)8a,8bを枢支すべくクランクケース2の前壁(外壁部分の一例)2a、及び後壁(外壁部分の一例)2bに形成される軸受孔16及び後部トンネル孔(軸受部の一例)30のジャーナル枢支軸心Xを、これら軸受部16,30の中心位置Qに対して下方向(「上向きボルト18存在側の方向」の一例)へ僅かにずらす位置ズレ手段Bが装備されている。この位置ズレ手段Bは、軸受部16,30に内嵌されて端部ジャーナル8a,8bを支承する端部軸受メタル33,43の内周面33n,43nの中心Pを、端部軸受メタル33,43の外周面33g,43gの中心Q(軸受部16,30の中心位置Q)に対して、上向きボルト18存在側の方向へ僅かにずらす構成である。
従って、図6に示すように、上向きボルト18を締付けて中間軸受箱11を軸受壁21に固定した状態では、クランクケース前壁2aに内嵌される先端軸受メタル33の中心X、後部軸受箱25に内嵌される後端軸受メタル43の中心X、中間軸受箱11に内嵌される中間軸受メタル13の中心Pが、互いに同一の軸心に合致するようになる。その軸心Xは、前壁2aの軸受孔16の中心で、かつ、中間トンネル孔22の中心で、かつ、後部トンネル孔30の中心である位置Qからd/2だけ下方に寄った高さ位置Pとなる。その結果、それらの軸受メタル33,13,43に挿通されるクランク軸8(図4参照)の軸心も位置Pに一致できることになる。
つまり、中間トンネル孔22の軸心である設計枢支軸心Qに対して、装備状態のクランク軸8の実際の中心Xはd/2下がってしまうので、この実施例2による位置ズレ手段Bを採用する場合には、設計時には軸心X(P)を真のクランク軸心としてレイアウトすることが必要である。従って、図6に示すクランクケース2としての軸心Qは、見かけの軸心として定義されるものであり、クランク軸8の回転中心となる設計中心は、真の軸心Xを用いることとなる。
端部軸受メタル33,43の内周面33n,43nの中心を低める位置ズレ手段Bによれば、これら端部軸受メタル33,43は偏心リング形状となるので、クランクケース2の前壁2aや後部軸受箱28に内嵌装備された状態では、その偏心形状によってクランク軸8との連れ回りが生じない回り止め機能が得られることとなる。その結果、別途に回り止め手段を装備しなくて済み、構造の簡素化やコストダウンが可能となる利点がある。また、実施例1の場合と同様に、軸受箱11に比べて小さい部品である端部軸受メタル33,43では、その偏心加工が簡単で、かつ、コストもさほど掛からないようになるという利点もある。
〔別実施例〕
〔別実施例〕
軸受箱11を軸受壁21に締結固定するボルト18の向きは、図3に示すように垂直の上向きに限らず、斜め上向きや、横向きでも良く、その場合には位置ズレ手段A,Bによる位置ずらし方向も、斜め上方や斜め下方、或いは横方向と変化することになる。
2 クランクケース
2a,2b 外壁部分
8 クランク軸
8a ジャーナル(端部ジャーナル)
8b ジャーナル(端部ジャーナル)
8c ジャーナル(中間ジャーナル)
11 軸受箱
12 軸受孔
13 中間軸受メタル
13g 外周面
13n 内周面
16,30 軸受部
18 ボルト
21 軸受壁
22 トンネル孔
33,43 端部軸受メタル
33n,43n 内周面
33g,43g 外周面
A,B 位置ズレ手段
E 複数気筒エンジン
P 軸受箱の中心位置
Q 軸受部の中心位置
X ジャーナル枢支軸心(実施例2)
Z ジャーナル枢支軸心(実施例1)
2a,2b 外壁部分
8 クランク軸
8a ジャーナル(端部ジャーナル)
8b ジャーナル(端部ジャーナル)
8c ジャーナル(中間ジャーナル)
11 軸受箱
12 軸受孔
13 中間軸受メタル
13g 外周面
13n 内周面
16,30 軸受部
18 ボルト
21 軸受壁
22 トンネル孔
33,43 端部軸受メタル
33n,43n 内周面
33g,43g 外周面
A,B 位置ズレ手段
E 複数気筒エンジン
P 軸受箱の中心位置
Q 軸受部の中心位置
X ジャーナル枢支軸心(実施例2)
Z ジャーナル枢支軸心(実施例1)
Claims (3)
- 複数気筒エンジン(E)のクランクケース(2)内に設けた軸受壁(21)にトンネル孔(22)をあけ、そのトンネル孔(22)に軸受箱(11)を内嵌固定し、前記軸受箱(11)の中央に設けた軸受孔(12)に、クランク軸(8)のジャーナル(8c)を枢支するとともに、前記軸受箱(11)は、前記軸受壁(21)を前記クランク軸(8)の軸心に直交する方向に貫通するボルト(18)によって前記軸受壁(21)に締結固定されているクランク軸の軸受構造であって、
前記軸受箱(11)のジャーナル枢支軸心(Z)を、前記軸受箱(11)の中心位置(P)に対して、前記ボルト(18)存在側と反対側の方向へ僅かにずらす位置ズレ手段(A)が装備されるとともに、この位置ズレ手段(A)は、前記軸受箱(11)に内嵌されて前記ジャーナル(8c)を支承する中間軸受メタル(13)の内周面(13n)の中心を、前記中間軸受メタル(13)の外周面(13g)の中心位置に対して、前記ボルト(18)存在側と反対側の方向へ僅かにずらす構成であるクランク軸の軸受構造。 - 複数気筒エンジン(E)のクランクケース(2)内に設けた軸受壁(21)にトンネル孔(22)をあけ、そのトンネル孔(22)に軸受箱(11)を内嵌固定し、前記軸受箱(11)の中央に設けた軸受孔(12)に、クランク軸(8)のジャーナル(8a)〜(8c)を枢支するとともに、前記軸受箱(11)は、前記軸受壁(21)を前記クランク軸(8)の軸心に直交する方向に貫通するボルト(18)によって前記軸受壁(21)に締結固定されているクランク軸の軸受構造であって、
前記ジャーナル(8a)〜(8c)のうちの両端に位置する端部ジャーナル(8a),(8b)を枢支すべく前記クランクケース(2)の外壁部分(2a),(2b)に形成される軸受部(16),(30)のジャーナル枢支軸心(X)を、前記軸受部(16),(30)の中心位置(Q)に対して、前記ボルト(18)存在側の方向へ僅かにずらす位置ズレ手段(B)が装備されるとともに、この位置ズレ手段(B)は、前記軸受部(16),(30)に内嵌されて前記端部ジャーナル(8a),(8b)を支承する端部軸受メタル(33),(43)の内周面(33n),(43n)の中心を、前記端部軸受メタル(33),(43)の外周面(33g),(43g)の中心位置に対して、前記ボルト(18)存在側の方向へ僅かにずらす構成であるクランク軸の軸受構造。 - 前記複数気筒エンジン(E)が縦型であり、前記ボルト(18)は、軸受壁(21)にその下方側から上方に向けて貫通装備される上向きボルトである請求項1又は2に記載のクランク軸の軸受構造。
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2004
- 2004-03-12 JP JP2004070964A patent/JP2005257000A/ja active Pending
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