JP2005256243A - 中空ポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い空孔形成率を有し、風合い的に柔らかい高軽量性のあるポリエステル中空繊維を供給し、その繊維の製造方法を提供すること。
【解決手段】繊維横断面に10ケ以上の空隙を有する中空ポリエステル繊維、及び下記式(I)及び/又は(II)で表されるスルホン酸ナトリウム化合物を0.3〜5.0重量%並びにポリスチレン及び/又はポリメチルメタアクリレートを0.5〜5.0重量%含有するポリエステルを溶融紡糸することを特徴とするにより得られる請求項1記載の中空ポリエステル繊維の製造方法によって解決できる。
【化1】
Figure 2005256243

[上記式において、Phはフェニレン基を表わし、nは12以上の整数を表わす。]
【選択図】図1

Description

本発明は風合い的に柔らかく、且つ軽量感に優れた中空ポリエステル繊維及びその製造方法に関するものである。
ポリエステル繊維は機械的特性をはじめ様々な優れた特性を有しており衣料用途をはじめ各種用途・分野に利用されている。しかしながら天然繊維に比べて風合い的に硬く感じられたり、吸水性がない、及び触感の点で好ましくないといわれてきた。そのため、最近ではポリエステル繊維の機能性を向上させるべく、ポリエステル繊維の断面形状を変更させ、吸水性を向上させたり、又はポリマーを改質させることにより、軽量性を高めたり、フィブリル性を向上させたり、深色性を向上させたりしてきた。特にスポーツ衣料用途としては、軽量性及び布帛の強度が必要とされてきている。その軽量性を発現させるため紡糸口金を中空形状にして、高中空率を保つことで、その軽量性を謳ったり、複合繊維(通常コンジュゲート紡糸と呼ばれている。)により、中心部にポリビニールアルコール系の樹脂を添加し、紡糸捲取後に、その樹脂を溶出させ、実質のポリエステル繊維の中空率を高め、軽量性を発現させる方法が各種提案されてきている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら中空繊維の製糸方法として、口金形状を高中空率達成するように変更することによる製糸方法では、口金吐出孔から溶融吐出されるポリマーの貼り合せの技術(口金設計そのもの)が必要である。この製糸方法の場合その貼りあわせを安定に行うのが困難になるので、高中空率を達成し、紡糸断糸の発生を抑制した安定して生産を行うことが難しい。また複合繊維に関しては、確かに中空を形成する剤を溶出した後の中空形成率は高いが、そのコストは著しく高い。また長繊維ではその溶出が完全に行われるのが難しい。また上述のように風合いの点でも良好な繊維が得られていない。
特開2002−173824号公報
本発明は、上記欠点を解決し、高中空形成を有し、風合い的に柔らかい高軽量性のあるポリエステル中空繊維を供給し、その繊維の製造方法を提供するものである。
本発明は、上記従来技術に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明の目的は、繊維横断面に10ケ以上の空隙を有する中空ポリエステル繊維、並びに下記式(I)及び/又は(II)で表されるスルホン酸ナトリウム化合物を0.3〜5.0重量%並びにポリスチレン及び/又はポリメチルメタアクリレートを0.5〜5.0重量%含有するポリエステルを溶融紡糸することを特徴とする上述の中空ポリエステル繊維の製造方法により達成できる。
Figure 2005256243
[上記式において、Phはフェニレン基を表わし、nは12以上の整数を表わす。]
本発明により、繊維横断面中に空隙が多く形成させることができ、その結果繊維の見かけ比重が下がり、繊維・布帛として非常に軽量で尚且つ柔らかい風合いのある繊維を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明で用いられるポリエステルは、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルを主たる対象とする。しかしながら、テレフタル酸成分及び/又はエチレングリコール成分以外の第3成分を少量(通常はテレフタル酸成分に対して20モル%以下)共重合したものであっても良い。
尚、該ポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、又は艶消剤等を含んでも良い。
ここで、中空ポリエステル繊維とは、丸断面又は三以上の多角形断面形状の中空部を形成しているポリエステル繊維をあらわす。また中空部は1つに限定されず、2つ以上の中空部を有する中空繊維であってもよい。また繊維全体の形状も丸断面に限定されることはなく、三以上の多角形断面形状であっても良く、中空を形成するのに影響がない範囲内で断面形状に凹部を有するような異形断面であっても良い。また中空繊維の繊度は、通常の衣料用ポリエステル糸の範囲であれば良く、総繊度は30〜320dtex、より好ましくは44〜167dtex、単糸繊度は0.5〜8dtex、より好ましくは1〜5dtexの範囲であれば良い。
本発明の中空ポリエステル繊維は、通常断面中心部に大きく形成されている中空部の他に、図1に示すようにポリエステル繊維横断面に10ケ以上の空隙を有することを特徴とする。中空部を有するポリエステル中空繊維の空孔形成率は5〜45%程度で、生産が容易という点においては、5〜35%程度が通常の空孔形成率として好ましい。ここで空孔形成率とは繊維軸方向に長く形成されている中空部と上述の空隙部が繊維横断面全体に占める面積の割合として表したものをいう。すなわち空孔形成率は、単糸1本の繊維横断面全体の面積をA1とした場合に、中空及び形成された空隙部分の総面積A2を求め、その面積比ARをA2/A1で求めたものである。中空部や空隙部の形状が複雑な場合には、例えば必要に応じて内接円等の面積で置き換えることもできる。このAR値が多くなればなるほど繊維の軽量化が期待できるといえる。
この本発明の中空ポリエステル繊維の繊維横断面に10ケ以上の空隙を有しているとは、ポリエステル繊維の繊維横断面を観察した場合に、ポリエステルから構成されている実質部に中空部よりも小さい空隙がその断面に10ケ以上有することをいう。数の上限に特に限定はないが、多すぎると紡糸・延伸が困難である又は繊維強度が著しく低下するので、そのような悪影響が現れない限り特に限定されない。繊維強度等の物性、軽量化及び風合いのバランスを考慮すると好ましくは500ヶ以下、より好ましくは100ヶ以下である。この小さい空隙その大きさは約0.01〜5μmであり、繊維軸方向への長さも約0.1〜300μm以下であるものをいう。また空隙は繊維横断面に対してランダムに存在する場合又は1箇所若しくは複数箇所に集中して存在している場合のいずれにも限定されない。またこの空隙は繊維表面及び繊維中空部の表面のいずれにも連通していない。いわば破泡していない独立気泡のような状態で中空繊維を形成するポリエステル部分に存在している。
中空部は繊維軸方向に連続的にしかも均一であるが、該空隙はポリエステルの実質部の横断面に不連続的に有している。この空隙を有することで、繊維全体の軽量化につながる。また中空率を落として、空隙部分の数・比率を高めることでもその軽量化を維持できる。一方軽量化するために中空率を高めると、ポリエステル繊維の実質部分の肉厚が薄くなるため、製造工程を安定化させるのが困難になる。たとえ製造できても風合いを良好なものにするために、アルカリ減量処理や機械的衝撃を与える加工を行うと、中空繊維が割れて繊維・布帛にしたときの外観が悪く、また染色の際にその割れ部分が濃染になりやすく好ましくない。一方本発明の中空繊維では上述のように軽量化が図れる上に、アルカリ処理による減量率を抑えても十分良好な風合いを発現させることができるので好ましい。
次に、上述された本発明の中空繊維を得るための一般的な製造方法について記すがこの製造方法に限定されるものではない。ベースポリマーであるポリエステルについては、上記式(I)及び/又は(II)で表されるスルホン酸ナトリウム化合物が実質的にポリエステルに0.3〜5.0重量%となるよう重合工程で添加し、先ずチップ化を施す。そのチップ化されたポリエステルを乾燥し、押出機で溶融し、その溶融されたポリマーにPS及び/又はPMMAを溶融させ、ポリエステルに添加・混練し、計量後、中空形状となる溶融紡糸口金から溶融吐出し、冷却風で冷却し、引き続いて捲取り延伸を行うことで、これらの化合物が含まれる中空ポリエステル繊維が得られる。また上述のスルホン酸ナトリウム化合物とPS及び/又はPMMAのポリエステルへの添加順序を逆にしても構わない。これらのスルホン酸ナトリウム化合物、PS及び/又はPMMAに関しては上述の物を用いることが必要となる。
本発明のように中空繊維でなくても、中実繊維でも本発明によるポリエステルをベースポリマーに、PS及び/又はPMMAを0.5〜5.0重量%添加することで、十分な軽量化につながるが、本来の目的である中空部を有する中空繊維に使用することで、中実繊維を基準にした時の実質的な軽量化の程度が大きく、尚且つ風合いにおいて柔らかい繊維が得られる。
本発明においてスルホン酸ナトリウム化合物は下記式(I)及び/又は(II)式で表される化合物を用いることが必要である。
Figure 2005256243
[上記式において、Phはフェニレン基を表わし、nは12以上の整数を表わす。]
好ましくはnが12〜18であることであり、より好ましくはnが12〜16である。添加量は0.3〜5.0重量%であることが必要であるが、好ましくは0.5〜3.0重量%である。0.3重量%未満では十分な空隙が形成されず、5.0重量%を超えると非常に空隙の数が多く、しかも、大きな空隙が出来てアルカリ減量を施した際に糸斑(U%斑)が発生したり、紡糸工程での糸切れが増えたり、後工程での延伸・仮撚工程での糸切れが増えることになり、生産上好ましくない。また染め上がりの品位も斑になり、商品化が難しくなる点においても好ましくない。
また、用いるポリスチレン(以降PSと略する。)としては、出来るだけ高分子量であり、しかもガラス転移温度が高いものほど空隙ができやすい点で好ましい。構造規則性の面でアタクチック型、シンジオタクチック型、アイソタクチック型のいずれのものでも本発明の中空ポリエステル繊維を得ることが出来る。より好ましくはガラス転移温度が90℃以上、数平均分子量が10万以上、MI(メルトインデックス)が10以下、シンジオタクチック構造のものの中で少なくとも1つ以上の物性・構造特性を満たすポリマーである。またポリメチルメタアクリレート(以降PMMAと略する。)としてはガラス転移温度が90℃以上、数平均分子量が10万以上のものの中で少なくとも1つ以上の物性を満たすものが好ましい。またPSとPMMAを比較するとPSのほうがより好ましい。これらの添加量は0.5〜5.0重量%であることが必要であるが、好ましくは0.5〜2.0重量%である。0.5重量%未満では軽量化を達成するに十分な空隙が出来ず、5.0重量%を超えると製造工程の紡糸段階において口金から吐出された際に糸が五月雨状に切れ、回転ローラーに達するまでに至らない状態となり好ましくない。これらのポリマーについてはポリエステルと同等の溶融温度(280〜305℃)で最終的に混練されるため、その際の温度、滞留時間において分解せずに安定に保持できることが好ましい。溶融温度が高くなるとポリエステルとの粘度差が発現しないため、PS及び/又はPMMAとの冷却時の伸長粘度差が少なくなり、空隙ができづらくなる。また後述するような現象により空隙が形成されるものと考えられるのであれば、用いるポリエステルに対して非相溶性のポリマーであることが好ましいと考えられる。
更には連続重合直接紡糸方法でも、重合工程において上述のスルホン酸ナトリウム化合物が実質的にポリエステルに0.3〜5.0重量%を重合工程で添加したのち、連続して紡糸工程にポリマーを流入させ、その後計量押出前にPS及び/又はPMMAを溶融添加させ、静的混練装置若しくは動的混練装置で均一に混練されるように施される。
またベースポリマーのポリエステルが、上記式(I)及び/又は(II)で表されるスルホン酸ナトリウム化合物が含まれていても、PS及び/又はPMMAを添加しない限り十分な空隙を有する繊維が得られない。また逆に、ベースポリマーが上記式(I)及び/又は(II)で表されるスルホン酸ナトリウム化合物が含まれていないポリエステルポリマーからなる場合は、PS及び/又はPMMAを添加しても、十分な大きさと数の空隙を有する中空繊維は得られない。これについての明確な理由は今のところないが、このスルホン酸ナトリウム化合物を添加するとベースポリマーであるポリエステルの溶融粘度が上昇し、それに伴い伸長粘度も上昇することが確認されている。この粘度上昇されたポリエステルに、PS及び/又はPMMAを添加することで界面での分離状態が著しくなる。そして溶融状態から冷却されていく際に、紡糸張力が高くなっていく場合、又は紡糸引取速度が高くなっていく場合に、部分的な応力集中が著しくなり、PS及び/又はPMMAがポリエステル内に分散されて点在されている部分で、その分離状態がより激しくなる。その後さらに延伸等の機械・物理的な加工を施され、繊維内部に空隙が形成されるものと推定される。
従って、上記式(I)及び/又は(II)で表されるスルホン酸ナトリウム化合物がポリエステルに0.3〜5.0重量%含まれているベースポリマーに、PS及び/又はPMMAを0.5〜5.0重量%添加することで、空隙が形成され、その空隙によりスルホン酸ナトリウム化合物のみを含有し、PS及び/又はPMMAを含まないポリエステル繊維に比べると軽量化が出来る。
これらのスルホン酸ナトリウム化合物並びにPS及び/又はPMMAの添加方法は、上述に記載している通りに、一旦ペレット状になったPS、PMMAをベースポリマーであるポリエステルとは別の溶融押出機で必要量を計量し、溶融させ、ベースポリマー側の配管に流入させて混練を施すことが望ましい。しかし、ベースポリマー側の押出機にベースポリマーを流入させ溶融吐出させる際に、同時にペレット状のままで計量し、ベースポリマーと溶融混練押出し、導管部で混練を施す方法でも構わない。また、上述した通りに本発明の中空ポリエステル繊維は、より軽量化を達成するために、所望のポリエステルポリマーにスルホン酸ナトリウム化合物を重合段階で添加し、そのポリマーを再溶融したり、重合工程から直接紡糸工程を経て糸を得る工程の直紡紡糸の状態の溶融体にPS及び/又はPMMAを溶融添加することにより空隙が得られることになる。この時、紡糸口金から吐出されるか又は溶融吐出され貼り合わされる場合、ドラフトが大きくなるような条件で紡糸条件を選ぶと、そのドラフトの大きさにほぼ比例して空隙も大きくなり軽量化が大きくなり好ましい。ドラフトを大きくする条件とは例えば紡糸張力が高まる条件又は紡糸速度を上げることである。
また、中空形成させるためには、通常、口金の吐出部の孔の形状は円形でスリットからなり、部分的に離合させる部分が2個以上ないしは5個程度有し、そのスリット幅は0.05〜0.15mm程度で吐出孔を形成する。その吐出孔から所望の溶融条件で溶融されたポリマーが張り合わされて中空繊維を形成させることになる。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で求めた。
(1)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用として35℃で測定した。
(2)空隙形成数
空隙形成数は、紡糸捲取したポリエステルマルチフィラメントのセクションを切り、単糸1本の繊維横断面写真(560倍以上35000倍以下)を撮った。そして単糸1本の中心部にある大きな中空部以外であって、繊維横断面に存在する空隙の数を数えてその個数を記録した。更に、繊維長さ方向で他の箇所についても、1cmおきに5点測定しその数を平均した。
(3)空孔形成率(%)
空孔形成率は、空隙形成数と同様に紡糸捲取したポリエステルマルチフィラメントのセクションを切り、単糸1本の繊維横断面写真(560倍以上35000倍以下)を撮った。そして各単糸の繊維横断面全体の総面積をA1とした場合に、中空及び形成された空隙部分の総面積A2を求め、その面積比ARをA2/A1で求めたものである。更に、繊維長さ方向で他の箇所についても、1cmおきに5点測定しその値を平均して空孔形成率を算出した。
(4)風合い
常法による織物を得て、アルカリ減量率20%を施して、人による手触りの触感による判断で、風合い的に柔らかい順に◎、○、△、×とした。比較としては、通常の中実の断面で構成されるタフタ(使用銘柄は、二酸化チタン含有量0.3重量%のポリエステル繊維であり84dtexの36フィラメントから構成されている原糸を利用。)を使用した◎は非常に軽く風合い的にも柔らかく製品としての価値も高いものであった。×は、通常のタフタ織物のような感じを与え、しかも軽さはあるが、それほど変わらない印象を与えるものである。
(5)スルホン酸ナトリウム化合物及びPSの含有量
得られた中空ポリエステル繊維を作成する前のチップを溶融成型し、作成した成型片に対して蛍光X線分析を行い、硫黄の含有量からスルホン酸ナトリウム化合物の含有量を定量した。また繊維サンプルを重水素化トリフルオロ酢酸/重水素化クロロホルム=1/1混合溶媒に溶解後、核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定した。そのスペクトルパターンから常法に従って、スルホン酸ナトリウム化合物及びポリスチレンの含有量を定量した。
[実施例1]
テトラデシルスルホン酸ナトリウムが実質的にポリエステルに表1に示す通りの量を含ませているポリエチレンテレフタレートをバッチ方式による重合工程で作製し、チップ化を施し、固有粘度0.64dL/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。これを140℃で予備乾燥し、引き続き連続して160℃で本乾燥を行った。
一方ガラス転移温度90℃、数平均分子量10万のポリスチレン(PS)を、PETを溶融する押出機とは別の小型1軸スクリュー押出機を用いて290℃で溶融させた。さらに縦型1軸スクリュー押出機で乾燥したPETを溶融させポリマー導管を通して溶融吐出させる際に、ベースポリマー導管に少なくとも5段以上の静的混練器を設置させたポリマー導管に、溶融したPSを0.5wt%になるような添加量にて流入させ、静的混練器を通してベースポリマーに溶融添加し混練を施した。
混練後のポリマーを計量後、吐出孔幅0.12mmで円周配置直径1.50mmからなる36孔を有する丸断面形状の中空形成紡糸口金を用いて、溶融温度295℃、吐出量42g/分で溶融吐出し、捲取速度3200m/分で一旦捲取り未延伸糸を得た。この未延伸原糸を延伸倍率1.6倍で延伸を施し、84dtexの中空ポリエステル繊維を得た。この繊維での評価結果と、この繊維から織物を作成した時の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
PSを0.5重量%となるように用いる代わりに、1.5重量%となるよう用いる以外は実施例1と同様にして溶融混練を行い、繊維及び織物製品を得た。結果を表1に示す。
[実施例3]
テトラデシルスルホン酸ナトリウムを0.5重量%含むポリエチレンテレフタレートのベースポリマーを用いる代わりに、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.0重量%含むPETのベースポリマーを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
[比較例1〜2]
比較例1は、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.0重量%添加されたPETベースポリマーにPSを添加しない場合で実施例1と同様に紡糸引取後延伸を施されて、繊維・織物を得た。得られた繊維・織物について空隙形成数、空孔形成率及び風合いを評価した。比較例2は、テトラデシルスルホン酸ナトリウムを0.3重量%添加されたPETベースポリマーにPSを0.3重量%添加・混練させ、実施例1と同様に紡糸引取後延伸を施されて、繊維・織物を得た。これらの例について実施例1〜3と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1、2は、式(I)で表されるスルホン酸ナトリウム化合物を0.5重量%添加されたポリエステルからなるベースポリマーにPSをそれぞれ0.5重量%及び1.5重量%を溶融添加させ混練後、上述された口金から吐出し、紡糸引取後延伸を施されて繊維を得たものである。この繊維のセクションを切り写真で空隙形成数及び空孔形成率を求めた。それによると、PS添加量を多くしていくと空隙形成数が多くなり、しかも空孔形成率も高くなっていく。実施例1は空隙形成数が11ケ有し、空孔形成率が25%と高く、空隙の大きさは0.05〜1μm、長さは100〜200μmであり、繊維表面及び中空部表面に連通していなかった。それに伴い、織物の風合い・手触りも良く軽量感を与えるものであった。また、実施例2は、PS添加量の効果として、空隙の大きさ・長さはほとんど変わらなかったものの、空隙形成数が飛躍的に多くなった。しかも、空孔形成率も30%に達し、織物とした際に非常に軽量かつ柔らかい風合いを持つ繊維が得られた。また空隙は繊維表面及び中空部表面に連通していなかった。
実施例3については、式(II)で表されるスルホン酸ナトリウム化合物を1.0重量%添加させ、バッチ方式による重合工程で作製し、得られたポリエステルからなるベースポリマーを1軸押出機で溶融輸送させ、更にPSを0.5重量%添加させ、上述された口金から吐出し、紡糸引取後延伸を施されて、繊維を得たものである。この繊維のセクションを切り写真で空隙形成数及び空孔形成率を求めた。その結果空隙形成数は17ケであり、実施例1同様に空隙が形成されており、空孔形成率も25%と高く、風合いも柔らかい織物であった。
比較例1は、式(II)で表されるスルホン酸ナトリウム化合物を1.0重量%添加されたベースポリマーにポリエステルとPSを添加しない場合での製糸された結果である。その結果としては、確かに空孔形成率は向上するものの、それほど軽量感を与えず、風合いも良くなかった。比較例2は、式(I)で表されるスルホン酸ナトリウム化合物を0.3重量%添加されたベースポリマーにPSを0.3重量%添加させ、上述された口金から吐出し、紡糸引取後延伸を施されて、中空繊維を得た。その後、得られた中空繊維のセクションを切り写真で空隙形成数及び空孔形成率を求めた。その結果として、風合いの評価で十分な柔らかさが得られなかった。
Figure 2005256243
本発明により、繊維横断面中に空隙が多く形成させることができ、その結果繊維の見かけ比重が下がり、繊維・布帛として非常に軽量で尚且つ柔らかい風合いのある繊維を提供することができる。さらに中実繊維同様の減量率までアルカリ減量を実施することができ、しかも中実繊維との混繊の布帛としてアルカリ減量加工を実施することができる。それゆえこの中空繊維を用いて幅広いバリエーションのある織編物を作成することができる。
本発明の空隙を有する中空ポリエステル繊維の繊維横断面の模式図である。
符号の説明
1 中空部
2 空隙部

Claims (2)

  1. 繊維横断面に10ケ以上の空隙を有する中空ポリエステル繊維。
  2. 下記式(I)及び/又は(II)で表されるスルホン酸ナトリウム化合物を0.3〜5.0重量%並びにポリスチレン及び/又はポリメチルメタアクリレートを0.5〜5.0重量%含有するポリエステルを溶融紡糸することを特徴とするにより得られる請求項1記載の中空ポリエステル繊維の製造方法。
    Figure 2005256243
    [上記式において、Phはフェニレン基を表わし、nは12以上の整数を表わす。]
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