JP2005255908A - 有機顔料および感熱記録紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】 印字発色性に優れ、サーマルヘッドへのカス付着が極めて少ない感熱記録紙、該感熱記録紙のアンダーコートに好適な紙塗工用組成物、および該紙塗工用組成物の顔料成分として好適な有機顔料を提供する。
【解決手段】 水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られる、ガラス転移温度が60℃以上の重合体からなる有機顔料、および、基紙上に、該有機顔料を含む顔料およびバインダーからなる紙塗工用組成物を塗工し、次いで感熱記録層用組成物を塗工してなる感熱記録紙。
【選択図】 なし
【解決手段】 水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られる、ガラス転移温度が60℃以上の重合体からなる有機顔料、および、基紙上に、該有機顔料を含む顔料およびバインダーからなる紙塗工用組成物を塗工し、次いで感熱記録層用組成物を塗工してなる感熱記録紙。
【選択図】 なし
Description
本発明は、有機顔料および感熱記録紙に関し、さらに詳しくは、印字発色性に優れ、サーマルヘッドへのカス付着が極めて少ない感熱記録紙、該感熱記録紙のアンダーコートに好適な紙塗工用組成物、および該紙塗工用組成物の顔料成分として好適な有機顔料に関するものである。
感熱記録紙は、基紙上に、ロイコ染料に代表される染料およびフェノール系化合物に代表される顕色剤からなる感熱記録層を形成したものである。この感熱記録層にプリンターのサーマルヘッドなどを接触させ、加熱することにより、感熱記録層中の染料と顕色剤を溶融反応させて発色印字する。
感熱記録紙には、小さな熱エネルギーでも高濃度の印字が得られること(印字発色性に優れること。)やサーマルヘッドへのカス付着が少なく(耐カス付着性に優れること。)、長時間に亘り高品位の印字が得られることが求められる。
感熱記録紙には、小さな熱エネルギーでも高濃度の印字が得られること(印字発色性に優れること。)やサーマルヘッドへのカス付着が少なく(耐カス付着性に優れること。)、長時間に亘り高品位の印字が得られることが求められる。
感熱記録紙の高感度化のため、基紙と感熱記録層との間に、顔料とバインダーとからなるアンダーコート層を設けることが知られている。アンダーコート層を設けることにより、感熱記録層の表面平滑性を向上してサーマルヘッドに接触し易くして加熱効率を高めたり、アンダーコート層を断熱層として作用させ、加えられた熱エネルギーが染料と顕色剤の溶融に有効に働くようにしたりして、高感度化することが可能となる。
しかしながら、アンダーコート層を設けた感熱記録紙は、サーマルヘッドへカスが付着し易くなる場合があり、サーマルヘッドへのカス付着を抑制しながら、印字発色性を向上することが困難であった。
しかしながら、アンダーコート層を設けた感熱記録紙は、サーマルヘッドへカスが付着し易くなる場合があり、サーマルヘッドへのカス付着を抑制しながら、印字発色性を向上することが困難であった。
例えば、特許文献1には、感熱記録紙のアンダーコート用組成物の顔料として、粒子径0.2〜5μmの架橋スチレン系樹脂粒子と特定の吸油量の無機顔料とを特定割合で使用した感熱記録紙が提案されている。しかしながら、このような感熱記録紙は、耐カス付着性および印字発色性は不十分なものであった。
また、特許文献2には、感熱記録紙のアンダーコート用組成物の顔料として、焼成カオリンと中空重合体粒子とを用いた感熱記録紙が提案されている。しかしながら、このような感熱記録紙は、印字発色性に比較的優れるものの、耐カス付着性は不十分なものであった。
また、特許文献2には、感熱記録紙のアンダーコート用組成物の顔料として、焼成カオリンと中空重合体粒子とを用いた感熱記録紙が提案されている。しかしながら、このような感熱記録紙は、印字発色性に比較的優れるものの、耐カス付着性は不十分なものであった。
さらに、特許文献3には、感熱記録紙のアンダーコート用組成物の顔料として、貫通孔または開口部を有する有機顔料と珪酸アルミニウム化合物とを用いた感熱記録紙が提案されている。しかしながら、このような感熱記録紙は、耐カス付着性は比較的優れるものの、印字発色性は不十分なものであった。
本発明の目的は、上記事情に鑑み、印字発色性に優れ、サーマルヘッドへのカス付着が極めて少ない感熱記録紙、該感熱記録紙のアンダーコートに好適な紙塗工用組成物、および該紙塗工用組成物の顔料成分として好適な有機顔料を提供することにある。
本発明者らは、この目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られる、ガラス転移温度が特定温度以上の重合体からなる有機顔料が新規なものであり、かつ、これを含む紙塗工用組成物を感熱記録紙のアンダーコートに用いると、印字発色性に優れ、サーマルヘッドへのカス付着が極めて少ない感熱記録紙が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られる、ガラス転移温度が60℃以上の重合体からなる有機顔料が提供される。
また、本発明によれば、上記の有機顔料を含む顔料およびバインダーからなる紙塗工用組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、基紙上に、上記の紙塗工用組成物を塗工し、次いで感熱記録層用組成物を塗工してなる感熱記録紙が提供される。
また、本発明によれば、上記の有機顔料を含む顔料およびバインダーからなる紙塗工用組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、基紙上に、上記の紙塗工用組成物を塗工し、次いで感熱記録層用組成物を塗工してなる感熱記録紙が提供される。
本発明によれば、印字発色性に優れ、サーマルヘッドへのカス付着が極めて少ない感熱記録紙、該感熱記録紙のアンダーコートに好適な紙塗工用組成物、および該紙塗工用組成物の顔料成分として好適な有機顔料が提供される。
(有機顔料)
本発明の有機顔料は、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られる、ガラス転移温度が60℃以上、好ましくは70℃以上、の重合体からなるものである。ガラス転移温度が低い有機顔料を用いると、得られた感熱記録紙の耐カス付着性が悪化する。
前記重合体のガラス転移温度の上限は、特に限定されないが、120℃、好ましくは110℃である。ガラス転移温度が120℃を著しく超える重合体の製造が困難になる傾向があると共に、そのような重合体からなる有機顔料を含む紙塗工用組成物を用いると、基紙への接着強度が低下する傾向がある。
本発明の有機顔料は、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られる、ガラス転移温度が60℃以上、好ましくは70℃以上、の重合体からなるものである。ガラス転移温度が低い有機顔料を用いると、得られた感熱記録紙の耐カス付着性が悪化する。
前記重合体のガラス転移温度の上限は、特に限定されないが、120℃、好ましくは110℃である。ガラス転移温度が120℃を著しく超える重合体の製造が困難になる傾向があると共に、そのような重合体からなる有機顔料を含む紙塗工用組成物を用いると、基紙への接着強度が低下する傾向がある。
本発明で使用する単量体としては、結果的に上記のガラス転移温度を満足する重合体を形成し得る1種以上の単量体であれば特に制限されないが、例えば、以下の単量体が挙げられる。
共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。なかでも、1,3−ブタジエンが好ましく使用できる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどが挙げられる。なかでも、スチレンが好ましく使用できる。
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−クロロプロペンニトリル、2−ブテンニトリルなどが挙げられる。なかでも、アクリロニトリルが好ましく使用できる。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体及びその無水物;フマル酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体の部分エステル化物;などが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。
上記の単量体以外にも、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのモノオレフィン単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドンなどを使用することができる。
上記の単量体は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の単量体は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合で得られる重合体のガラス転移温度を上記範囲にするには、常法に基づき、重合で使用する単量体の組成を適宜選択すればよい。
上記の単量体のうち、共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体が好ましく使用できる。
印字発色性と耐カス付着性のバランスにより優れる感熱記録紙が得られる点で、芳香族ビニル単量体を必須成分として使用することが好ましく、その好ましい使用量は、重合に使用する単量体全量に対して、70重量%以上である。
また、有機顔料を含有するラテックスの機械的安定性および配合安定性に優れる点で、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を必須成分として使用することが好ましく、その使用量は、重合に使用する単量体全量に対して、好ましくは0.5〜20重量%である。
また、有機顔料を含有するラテックスの機械的安定性および配合安定性に優れる点で、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を必須成分として使用することが好ましく、その使用量は、重合に使用する単量体全量に対して、好ましくは0.5〜20重量%である。
単量体の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合反応と並行して、単量体を連続的または断続的に反応容器に添加する方法、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合安定性に優れる点で、重合反応と並行して、単量体を連続的に反応容器に添加する方法が好ましく採用できる。
単量体を連続的に反応容器に添加する場合の単量体の添加速度は、特に制限はないが、重合系内の重合転化率が10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上を保つように制御するのが好ましい。この添加速度が速すぎると、重合安定性が低下して、粗大凝集物が発生しやすい傾向があり、逆に遅すぎると、重合系の粘度が上昇して重合反応熱の除去が困難になる傾向がある。
本発明で用いるアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子(以下、「アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物」と略する場合がある。)としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその各種変性物などのビニルアルコール系重合体;アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;アルキル澱粉、カルボキシルメチル澱粉、酸化澱粉などの澱粉誘導体;アラビアゴム、トラガントゴム、ポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。なかでも、工業的に品質が安定したものを入手しやすい点から、ビニルアルコール系重合体が好ましく使用できる。
前記ビニルアルコール系重合体は、実質的に水溶性であって安定なラテックスが得られるものであれば、その他の条件には制限はなく、カルボン酸ビニルエステル単量体を主体とするエチレン性不飽和単量体を従来公知の方法で重合して得たカルボン酸ビニルエステル重合体(即ち、カルボン酸ビニルエステル単量体の単独重合体、2種以上のカルボン酸ビニルエステル単量体の共重合体、並びにカルボン酸ビニルエステル単量体およびこれと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体の共重合体)を常法によりけん化して得られる。また、分子の主鎖、側鎖又は末端にメルカプト基などの変性基を導入したものを使用することもできる。
前記カルボン酸ビニルエステル単量体としては、ラジカル重合可能なものであればいずれも使用でき、その具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどを挙げることができる。なかでも工業的に製造され安価な酢酸ビニルが一般的である。
また、カルボン酸ビニルエステル単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体を1種以上共存させ、共重合することも可能である。これら共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのモノオレフィン単量体;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸モノエチル、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル単量体;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;及び3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム基含有単量体;ビニルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
前記カルボン酸ビニルエステル重合体のけん化度は、変性基の有無及びその種類に依存して変るが、得られるビニルアルコール系重合体の水溶性などの観点から、40〜99.99モル%であることが好ましく、50〜99.9モル%がより好ましく、60〜99.5モル%が更に好ましい。けん化度が40モル%未満の場合には重合体粒子の分散安定性が低下する。前記カルボン酸ビニルエステル重合体の粘度平均重合度は、通常、50〜8,000、好ましくは100〜6,000、より好ましくは100〜5,000である。
アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の使用量は、重合に使用する単量体100重量部当たり、好ましくは0.5〜100重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。この使用量が少なすぎると、重合時の安定性が悪く凝集物が多量に発生したり、有機顔料を含有するラテックスの機械的安定性及び化学的安定性が低下したりする傾向があり、逆に多すぎると、重合系の粘度上昇による反応熱除去が困難になったり、有機顔料を含有するラテックスの粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難となったりする傾向がある。
アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合反応と並行して、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を連続的または断続的に反応容器に添加する方法、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合安定性に優れる点で、重合反応と並行して、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を連続的に反応容器に添加する方法が好ましく採用できる。
単量体およびアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の添加方法としては、両者を別々に反応容器に添加しても、両者を混合して反応容器に添加してもよい。なかでも、重合安定性に優れる点で、両者を混合して反応容器に添加する方法が好ましく、単量体、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物および水性媒体を混合して得られる単量体乳化物を反応容器に添加する方法がより好ましく採用できる。
本発明の重合においては、乳化重合において通常使用される、ノニオン性、アニオン性、カチオン性又は両性界面活性剤などの各種の界面活性剤を使用しないことが特に好ましいが、本発明の効果を実質的に損なわない範囲であれば、併用してもよい。
アニオン性界面活性剤の例としては、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルホン酸塩、ポリリン酸塩など、ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型又はアルキルエーテル型のものなど、カチオン性界面活性剤の例としては、脂肪族アミン塩及びその4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩など、両性界面活性剤の例としては、カルボキシベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などを挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの界面活性剤を使用する場合の使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、通常、2重量部以下、好ましくは0.5重量部以下である。
アニオン性界面活性剤の例としては、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルホン酸塩、ポリリン酸塩など、ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型又はアルキルエーテル型のものなど、カチオン性界面活性剤の例としては、脂肪族アミン塩及びその4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩など、両性界面活性剤の例としては、カルボキシベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などを挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの界面活性剤を使用する場合の使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、通常、2重量部以下、好ましくは0.5重量部以下である。
本発明で用いる水性媒体としては、通常、水が使用でき、メタノール、エタノールなどのアルコール;アセトン、テトラヒドロフランなどの水溶性有機溶媒を含有する水溶液を使用することもできる。
水性媒体の使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは90〜900重量部、より好ましくは100〜500重量部である。
水性媒体の使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは90〜900重量部、より好ましくは100〜500重量部である。
本発明における重合は、アルコールの存在下に行なうことが好ましい。アルコールの存在下に重合することにより、粗大凝集物の発生を抑制しながら、安定的に重合反応を行なうことができる。
ここで使用できるアルコールは、格別限定されることはなく、1価及び多価のいずれでもよいが、水溶性のものが好ましい。このようなアルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどを挙げることができる。アルコールの使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部である。
ここで使用できるアルコールは、格別限定されることはなく、1価及び多価のいずれでもよいが、水溶性のものが好ましい。このようなアルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどを挙げることができる。アルコールの使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部である。
アルコールの添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法が好ましく採用できる。
本発明においては、重合開始剤として、過酸化物ラジカルを発生するものを使用することが好ましい。過酸化物ラジカルを発生する重合開始剤の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの水溶性過酸化物;t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの油溶性過酸化物;過酸化物と重亜硫酸水素ナトリウムなどの各種還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤などを挙げることができるが、なかでも水溶性過酸化物が好適であり、過硫酸塩が特に好適である。
重合開始剤の使用量は、単量体100重量部に対して、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部である。
重合開始剤の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。
重合開始剤の使用量は、単量体100重量部に対して、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部である。
重合開始剤の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。
重合に際しては、必要に応じて、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、連鎖移動が起こるものであれば特に制限はなく、例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどのメルカプト基を有する化合物;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンなどのα−メチルスチレンダイマー類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノールなどのフェノール系化合物;アリルアルコール、アクロレイン、メタクロレインなどのアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド、ターピノレン、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタンなどを挙げることができる。これらの連鎖移動剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、単量体100重量部に対して、通常、5重量部以下である。連鎖移動剤の添加方法は、特に限定されず、一括添加しても、断続的に又は連続的に重合系に添加してもよい。
重合においては、上記したもの以外に、乳化重合において通常使用される、粒子径調整剤、キレート剤、脱酸素剤、分散剤、pH調整剤、無機塩などの重合副資材を適宜用いることができる。
重合温度は、特に制限はないが、通常、0〜100℃、好ましくは50〜95℃である。
以上のようにして重合反応を行い、所定の重合転化率に達した時点で、重合停止剤を添加したり、重合系を冷却したりして、重合反応を停止する。重合反応を停止する際の重合転化率は、好ましくは92重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。重合反応を停止した後、所望により、未反応単量体を除去し、pHや固形分濃度を調整して有機顔料を含有するラテックスが得られる。
本発明の有機顔料を構成する重合体は、重合に使用した単量体に由来する重合体と、重合に使用したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の一部とが結合したものであることが好ましい。
重合に使用した単量体に由来する重合体に結合したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の割合(以下、「グラフト率」という場合がある。)は、重合に使用した単量体に由来する重合体に対して、好ましくは0.5〜50重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%である。この結合量が少なすぎると感熱記録紙において印字発色性に劣る傾向があり、逆に多すぎると、ラテックス粘度が上昇して取り扱い難くなったり、感熱記録紙において耐カス付着性が悪化したりする傾向がある。
重合に使用した単量体に由来する重合体に結合したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の割合(以下、「グラフト率」という場合がある。)は、重合に使用した単量体に由来する重合体に対して、好ましくは0.5〜50重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%である。この結合量が少なすぎると感熱記録紙において印字発色性に劣る傾向があり、逆に多すぎると、ラテックス粘度が上昇して取り扱い難くなったり、感熱記録紙において耐カス付着性が悪化したりする傾向がある。
本発明の有機顔料を構成する重合体粒子の体積平均粒子径は、好ましくは60〜800nm、より好ましくは70〜600nmである。体積平均粒子径が小さすぎると、ラテックス粘度が高くなりすぎて取り扱い難い傾向があり、逆に大きすぎると感熱記録紙において印字発色性に劣る傾向がある。
本発明の有機顔料を含有するラテックスには、所望により、例えば、分散剤、可塑剤、消泡剤、pH調整剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、流動性改良剤などの添加剤を適宜添加することができる。
本発明の有機顔料は、例えば、紙塗工用組成物、カーペットバッキング用組成物、塗料組成物、接着剤組成物などの用途において、顔料成分として用いることができる。なかでも、紙塗工用組成物の顔料成分として好適に使用できる。
(紙塗工用組成物)
本発明の紙塗工用組成物は、前記の有機顔料を含む顔料およびバインダーからなるものである。
本発明の紙塗工用組成物は、前記の有機顔料を含む顔料およびバインダーからなるものである。
本発明の有機顔料の含有量は、全顔料中、0.1〜40重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましい。この含有量が少なすぎると、感熱記録紙において印字発色性が低下する傾向があり、逆に多すぎると感熱記録紙において印字発色性が低下すると共に耐カス付着性が悪化する傾向がある。
本発明の有機顔料以外の顔料成分としては、本発明の有機顔料以外の有機顔料および無機顔料を用いることができる。なかでも、無機顔料が好ましく使用できる。
本発明の有機顔料以外の有機顔料としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、尿素−ホルマリン樹脂等からなる中実重合体粒子;ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等からなる中空重合体粒子またはお椀型重合体粒子;などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、クレー、タルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、焼成カオリン、水酸化アルミニウム、無定形シリカ、無定形ケイ酸カルシウム、結晶性シリカなどが挙げられる。
本発明の有機顔料以外の有機顔料としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、尿素−ホルマリン樹脂等からなる中実重合体粒子;ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等からなる中空重合体粒子またはお椀型重合体粒子;などが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、クレー、タルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、焼成カオリン、水酸化アルミニウム、無定形シリカ、無定形ケイ酸カルシウム、結晶性シリカなどが挙げられる。
バインダーとしては、紙塗工の分野で用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールなどの水溶性バインダー;スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル酸エステル重合体ラテックスなどの水不溶性の重合体からなる重合体ラテックスバインダー;が挙げられる。
バインダーの使用量は、全顔料100重量部に対して、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは7〜25重量部である。この使用量が少なすぎると、基紙と紙塗工用組成物との接着強度が低下する傾向にあり、逆に多すぎると感熱記録紙において印字発色性が低下する傾向にある。
本発明の紙塗工用組成物には、必要に応じて、更に、顔料分散剤、耐水化剤、消泡剤、防腐剤、抗菌剤、流動性改良剤などを配合することができる。
本発明の紙塗工用組成物は、常法により調製でき、その固形分濃度、pHおよび粘度は、基紙の種類や塗工方法に応じて、適宜選択すればよい。
本発明の紙塗工用組成物は、種々の用途の塗工紙に用いることができるが、多層塗工紙におけるアンダーコート用に好適に用いることができる。なかでも、感熱記録紙のアンダーコート用に特に好適である。
(感熱記録紙)
本発明の感熱記録紙は、基紙上に前記の紙塗工用組成物を塗工し、次いで感熱記録層用組成物を塗工してなるものである。
本発明の感熱記録紙は、基紙上に前記の紙塗工用組成物を塗工し、次いで感熱記録層用組成物を塗工してなるものである。
基紙としては、通常、紙または合成紙が用いられる。これら以外にも、例えば、不織布、プラスチックフィルム、金属箔などを用いることもできる。
紙塗工用組成物を基紙上に塗工するには、従来公知の方法を採用でき、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ショートドウェルコーター、ロッドコーター、ゲートロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、サイズプレス、チャンピオンコーター、シムサイザーなどの塗工装置を用いて塗工する。
前記の紙塗工用組成物の塗工量としては、片面あたり、乾燥後の固形分として4〜20g/m2の範囲であることが好ましい。
基紙上に、前記の紙塗工用組成物を塗工した後、所望により乾燥してアンダーコート層を形成し、次いで該塗工層上に、感熱記録層用組成物を塗工する。
感熱記録層用組成物の成分や構成は、従来公知の如何なるものでもよいが、電子供与性の通常無色ないし淡色の染料、顕色剤として作用する電子受容性化合物、およびバインダ−を主成分として含有するものである。他に、増感剤、顔料、スティッキング防止剤、分散剤などが必要に応じて添加される。
染料としては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピランなどを挙げることができ、これらは単独もしくは2つ以上混合して使うことができる。
顕色剤としては、例えば、4−フェニルフェノール、4−t−ブチルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、2,2’−ジヒドロキシジフェニル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−エチレンビス(2−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2−イソプロピルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸エステル類、没食子酸アルキルエステル類、ノボラック型フェノール樹脂などのフェノール性化合物;サリチル酸(亜鉛)、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(亜鉛)、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸(亜鉛)、3−イソプロピルサリチル酸(亜鉛)、3−シクロヘキシルサリチル酸(亜鉛)、安息香酸、酒石酸、ショウ酸、ホウ酸、クエン酸、ステアリン酸などの有機酸またはこれらの金属塩;p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルなどのヒドロキシ安息香酸エステル;などが挙げられる。
感熱記録層用組成物のバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩などの水溶性バインダーが一般的であるが、上記した水不溶性の重合体からなる重合体ラテックスバインダーを使用することができる。
また、上記バインダーの架橋剤として、メラミン、エポキシ化合物、ジメチロールウレア、ポリアルデヒド化合物、ジルコニウム塩などを添加することもできる。
また、上記バインダーの架橋剤として、メラミン、エポキシ化合物、ジメチロールウレア、ポリアルデヒド化合物、ジルコニウム塩などを添加することもできる。
増感剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、N−ステアリル尿素、β−ナフチルベンジルエーテル、4−ベンジルビフェニル、2,2’−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル、アジピン酸ジフェニル、蓚酸ジベンジル、蓚酸ジ(4−クロルベンジル)、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、ビス(4−アリルオキシフェニル)スルホン、4−アセチルアセトフェノン、アセト酢酸アニリド類、脂肪酸アニリド類、などの熱可融性物質が挙げられ、これらの化合物は単独或いは2種以上併用してもよい。
感熱記録層用組成物に用いる顔料としては、例えば、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカなどの無機顔料;メラミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂などからなる有機重合体粒子;が挙げられる。勿論、本発明の有機顔料を用いることもできる。
感熱記録層用組成物には、スティッキング防止剤として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド、パラフィン、カスターワックスなどのワックス類といった滑剤を使用することができる。
また、必要に応じて、消泡剤、紫外線吸収剤、蛍光染料などを添加できる。
また、必要に応じて、消泡剤、紫外線吸収剤、蛍光染料などを添加できる。
感熱記録層用組成物中の各配合成分の割合は、周知の範囲で適宜選択できる。
感熱記録層用組成物は、常法により調製でき、その固形分濃度、pHおよび粘度は、基紙の種類や塗工方法に応じて、適宜選択すればよい。
感熱記録層用組成物は、常法により調製でき、その固形分濃度、pHおよび粘度は、基紙の種類や塗工方法に応じて、適宜選択すればよい。
感熱記録層用組成物のアンダーコート層上への塗工には、従来公知の方法を採用でき、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ショートドウェルコーター、ロッドコーター、ゲートロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、サイズプレス、チャンピオンコーター、シムサイザーなどの塗工装置を用いて塗工する。
感熱記録層用組成物の塗工量は、通常、染料の量で0.1〜1g/m2となる範囲の量である。
感熱記録層用組成物の塗工量は、通常、染料の量で0.1〜1g/m2となる範囲の量である。
以上のようにして得られた感熱記録紙は、感熱記録層用組成物を塗工した後、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ブラッシング等の装置を利用して、さらに表面平滑性を改良することができる。
また、感熱記録層上に感熱記録層を保護するためにオーバーコート層を設けたり、基材の裏面にバックコート層を設けたり、粘着層を設けたりなど、感熱記録紙製造における各種の公知技術を用いることができる。
また、感熱記録層上に感熱記録層を保護するためにオーバーコート層を設けたり、基材の裏面にバックコート層を設けたり、粘着層を設けたりなど、感熱記録紙製造における各種の公知技術を用いることができる。
本発明の感熱記録紙は、印字発色性に優れるので、各種用途に使用でき、サーマルヘッドへのカス付着が極めて少ないので、長時間に亘り、高品位の印字が得られるものである。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、%及び部はすべて重量基準である。
[ラテックスの評価]
(有機顔料のガラス転移温度)
有機顔料を含有するラテックスをガラスモールドに流延し、厚みが0.3mm程度の乾燥物を作成した。この乾燥物について、示差走査熱量計を用いて、昇温速度10℃/分で、−100〜150℃の測定温度範囲で測定した。
(有機顔料の体積平均粒子径)
光散乱粒子径測定器(コールターLS230:コールター社製)を用いて測定した。
(有機顔料のガラス転移温度)
有機顔料を含有するラテックスをガラスモールドに流延し、厚みが0.3mm程度の乾燥物を作成した。この乾燥物について、示差走査熱量計を用いて、昇温速度10℃/分で、−100〜150℃の測定温度範囲で測定した。
(有機顔料の体積平均粒子径)
光散乱粒子径測定器(コールターLS230:コールター社製)を用いて測定した。
(有機顔料におけるグラフト率)
有機顔料を含有するラテックスの固形分濃度を10%に調整して、その60gを試料とする。試料を、5℃で、13,000rpm、60分間の条件で遠心分離し、上澄み液を40g回収する。沈降層(20g)に蒸留水40gを添加して均一にした後、同一条件で再度遠心分離して、上澄み液40gを回収し、沈降層について再度同一操作を繰り返す。3回の遠心分離で得られた上澄み液合計120gの固形分を測定し、上澄み液中の固形分量を計算する。これが、重合で生成した重合体に結合しなかったポリビニルアルコールの量(A)である。試料中における仕込みから計算される全ポリビニルアルコールの重量(B)より(A)を減じて、重合で生成した重合体に結合したポリビニルアルコールの量(C)とする。これらの値から、下記式によりグラフト率(重合に使用した単量体に由来する重合体に対して、該重合体に結合したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の割合(%))を計算する。
グラフト率=〔C/(6−B)〕×100(%)
有機顔料を含有するラテックスの固形分濃度を10%に調整して、その60gを試料とする。試料を、5℃で、13,000rpm、60分間の条件で遠心分離し、上澄み液を40g回収する。沈降層(20g)に蒸留水40gを添加して均一にした後、同一条件で再度遠心分離して、上澄み液40gを回収し、沈降層について再度同一操作を繰り返す。3回の遠心分離で得られた上澄み液合計120gの固形分を測定し、上澄み液中の固形分量を計算する。これが、重合で生成した重合体に結合しなかったポリビニルアルコールの量(A)である。試料中における仕込みから計算される全ポリビニルアルコールの重量(B)より(A)を減じて、重合で生成した重合体に結合したポリビニルアルコールの量(C)とする。これらの値から、下記式によりグラフト率(重合に使用した単量体に由来する重合体に対して、該重合体に結合したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の割合(%))を計算する。
グラフト率=〔C/(6−B)〕×100(%)
[感熱記録紙の評価]
(印字発色性:動的発色感度)
松下電送システム(株)製感熱ファクシミリUF−1000Bを用いて、電圧14.7V、抵抗値360Ω、パルス幅0.82ms、印加エネルギー0.37mJ/ドットで記録した画像濃度を、マクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した。数値の大きい方が印字発色性に優れる。
(耐カス付着性)
松下電送社製感熱ファクシミリUF−60コピーモード、縦縞原稿(B4)200枚を記録し、サーマルヘッドに付着したカスの量を目視により観察し、以下の基準で判定した。
○:カスはほとんど付着していない。
△:カスが若干付着している。
×:カスの付着量が多い。
(印字発色性:動的発色感度)
松下電送システム(株)製感熱ファクシミリUF−1000Bを用いて、電圧14.7V、抵抗値360Ω、パルス幅0.82ms、印加エネルギー0.37mJ/ドットで記録した画像濃度を、マクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定した。数値の大きい方が印字発色性に優れる。
(耐カス付着性)
松下電送社製感熱ファクシミリUF−60コピーモード、縦縞原稿(B4)200枚を記録し、サーマルヘッドに付着したカスの量を目視により観察し、以下の基準で判定した。
○:カスはほとんど付着していない。
△:カスが若干付着している。
×:カスの付着量が多い。
(実施例1)
[有機顔料の製造]
耐圧容器に、脱イオン水130部、スチレン89部、メタクリル酸1部、1,3−ブタジエン10部及びポリビニルアルコール(重合度500、けん化度88モル%;PVA−205、クラレ社製)12部を仕込み、撹拌して単量体乳化物を得た。
耐圧反応器に、脱イオン水62部、エタノール8部を仕込んだ後、80℃に昇温した。80℃を保持しながら、脱イオン水20部に過硫酸カリウム1部を溶解した水溶液を添加した後、前記の単量体乳化物を4時間30分間に亘り、反応器に連続的に添加した。単量体乳化物の添加を完了した後、更に3時間反応し、冷却して重合反応を停止した。この時の重合転化率は96%であった。
得られた反応物から未反応の単量体を除去した後、固形分濃度を30%に、pHを7に調整して、有機顔料Aを含有するラテックスを得た。
有機顔料Aのガラス転移温度、体積平均粒子径およびグラフト率を測定し、その結果を表1に示す。
[有機顔料の製造]
耐圧容器に、脱イオン水130部、スチレン89部、メタクリル酸1部、1,3−ブタジエン10部及びポリビニルアルコール(重合度500、けん化度88モル%;PVA−205、クラレ社製)12部を仕込み、撹拌して単量体乳化物を得た。
耐圧反応器に、脱イオン水62部、エタノール8部を仕込んだ後、80℃に昇温した。80℃を保持しながら、脱イオン水20部に過硫酸カリウム1部を溶解した水溶液を添加した後、前記の単量体乳化物を4時間30分間に亘り、反応器に連続的に添加した。単量体乳化物の添加を完了した後、更に3時間反応し、冷却して重合反応を停止した。この時の重合転化率は96%であった。
得られた反応物から未反応の単量体を除去した後、固形分濃度を30%に、pHを7に調整して、有機顔料Aを含有するラテックスを得た。
有機顔料Aのガラス転移温度、体積平均粒子径およびグラフト率を測定し、その結果を表1に示す。
[感熱記録紙の製造及び評価]
<アンダーコート用紙塗工用組成物の調製及び塗工>
以下の配合からなる配合物を攪拌分散して、アンダーコート用紙塗工用組成物[A液]を調製した。
[A液]
焼成カオリン 80部
有機顔料A(固形分) 20部
重合体ラテックスバインダー*1(固形分) 11部
10%ポリビニルアルコール水溶液 40部
水 120部
*1:ニポールラテックスLX407F8B(日本ゼオン(株)製)
次に[A液]を坪量50g/m2の上質紙に、乾燥後の塗工量が10g/m2となるように塗工・乾燥してアンダーコート層塗工紙を得た。
<アンダーコート用紙塗工用組成物の調製及び塗工>
以下の配合からなる配合物を攪拌分散して、アンダーコート用紙塗工用組成物[A液]を調製した。
[A液]
焼成カオリン 80部
有機顔料A(固形分) 20部
重合体ラテックスバインダー*1(固形分) 11部
10%ポリビニルアルコール水溶液 40部
水 120部
*1:ニポールラテックスLX407F8B(日本ゼオン(株)製)
次に[A液]を坪量50g/m2の上質紙に、乾燥後の塗工量が10g/m2となるように塗工・乾燥してアンダーコート層塗工紙を得た。
<感熱記録層用組成物の調製及び塗工>
次の配合からなる各配合物を、それぞれ、平均粒径が1μm以下となるようにサンドグラインダーで粉砕分散して、B液、C液およびD液を調製した。
[B液](顕色剤分散液)
2,2’−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
[C液](染料分散液)
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 2.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 4.6部
水 2.6部
[D液](増感剤分散液)
β―ナフチルベンジルエーテル 4.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 5.0部
水 3.0部
次の配合からなる各配合物を、それぞれ、平均粒径が1μm以下となるようにサンドグラインダーで粉砕分散して、B液、C液およびD液を調製した。
[B液](顕色剤分散液)
2,2’−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン 6.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 18.8部
水 11.2部
[C液](染料分散液)
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 2.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 4.6部
水 2.6部
[D液](増感剤分散液)
β―ナフチルベンジルエーテル 4.0部
10%ポリビニルアルコール水溶液 5.0部
水 3.0部
次に、上記B液、C液およびD液をカオリンクレー分散液とともに下記の割合で混合して、感熱記録層用組成物を調製した。
[感熱記録層用組成物]
B液 36.0部
C液 9.2部
D液 12.0部
カオリンクレー(50%分散液) 12.0部
上記感熱記録層用組成物を、上記アンダーコート層塗工紙上に、乾燥後の塗工量が7g/m2となるように塗工・乾燥し、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が700〜800秒になるように処理し、感熱記録紙を作成した。
得られた感熱記録紙の印字発色性及び耐カス付着性を測定し、その結果を表1に示す。
[感熱記録層用組成物]
B液 36.0部
C液 9.2部
D液 12.0部
カオリンクレー(50%分散液) 12.0部
上記感熱記録層用組成物を、上記アンダーコート層塗工紙上に、乾燥後の塗工量が7g/m2となるように塗工・乾燥し、このシートをスーパーカレンダーで平滑度が700〜800秒になるように処理し、感熱記録紙を作成した。
得られた感熱記録紙の印字発色性及び耐カス付着性を測定し、その結果を表1に示す。
(実施例2〜4)
表1に示す、単量体組成およびポリビニルアルコールの使用量に変更する以外は、実施例1と同様に重合して、有機顔料B〜Dを得た。これらの物性を測定し、その結果を表1に示す。
有機顔料Aに代えて、有機顔料B〜Dを用いる以外は、実施例1と同様にして、アンダーコート用紙塗工用組成物の調製及び塗工、並びに、感熱記録層用組成物の調製及び塗工を行い、それぞれ、感熱記録紙を得た。得られた感熱記録紙の印字発色性及び耐カス付着性を測定し、それらの結果を表1に示す。
表1に示す、単量体組成およびポリビニルアルコールの使用量に変更する以外は、実施例1と同様に重合して、有機顔料B〜Dを得た。これらの物性を測定し、その結果を表1に示す。
有機顔料Aに代えて、有機顔料B〜Dを用いる以外は、実施例1と同様にして、アンダーコート用紙塗工用組成物の調製及び塗工、並びに、感熱記録層用組成物の調製及び塗工を行い、それぞれ、感熱記録紙を得た。得られた感熱記録紙の印字発色性及び耐カス付着性を測定し、それらの結果を表1に示す。
(比較例1)
耐圧容器に、脱イオン水50部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部、スチレン99部およびメタクリル酸1部を仕込み、撹拌して単量体乳化物を得た。
耐圧反応器に、脱イオン水60部及びラウリル硫酸ナトリウム0.6部を仕込んだ後、80℃に昇温した。80℃を保持しながら、脱イオン水10部に過硫酸カリウム0.5部を溶解した水溶液を添加した後、前記の単量体乳化物を4時間30分間に亘り、反応器に連続的に添加した。なお、脱イオン水15部に過硫酸カリウム0.5部を溶解した水溶液の添加を、前記の単量体乳化物の添加を開始すると同時に開始して、4時間30分間に亘り反応器に連続的に添加した。
前記の単量体乳化物の添加を完了した後、更に3時間反応を継続し、冷却して重合反応を停止した。この時の重合転化率は97%であった。
得られた反応物から未反応の単量体を除去した後、固形分濃度を40%に、pHを8に調整して、有機顔料Eを得た。有機顔料Eのガラス転移温度および体積平均粒子径を測定し、その結果を表1に示す。
有機顔料Aに代えて、有機顔料Eを用いる以外は、実施例1と同様にして、アンダーコート用紙塗工用組成物の調製及び塗工、並びに、感熱記録層用組成物の調製及び塗工を行い、感熱記録紙を得た。
得られた感熱記録紙の印字発色性及び耐カス付着性を測定し、その結果を表1に示す。
耐圧容器に、脱イオン水50部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部、スチレン99部およびメタクリル酸1部を仕込み、撹拌して単量体乳化物を得た。
耐圧反応器に、脱イオン水60部及びラウリル硫酸ナトリウム0.6部を仕込んだ後、80℃に昇温した。80℃を保持しながら、脱イオン水10部に過硫酸カリウム0.5部を溶解した水溶液を添加した後、前記の単量体乳化物を4時間30分間に亘り、反応器に連続的に添加した。なお、脱イオン水15部に過硫酸カリウム0.5部を溶解した水溶液の添加を、前記の単量体乳化物の添加を開始すると同時に開始して、4時間30分間に亘り反応器に連続的に添加した。
前記の単量体乳化物の添加を完了した後、更に3時間反応を継続し、冷却して重合反応を停止した。この時の重合転化率は97%であった。
得られた反応物から未反応の単量体を除去した後、固形分濃度を40%に、pHを8に調整して、有機顔料Eを得た。有機顔料Eのガラス転移温度および体積平均粒子径を測定し、その結果を表1に示す。
有機顔料Aに代えて、有機顔料Eを用いる以外は、実施例1と同様にして、アンダーコート用紙塗工用組成物の調製及び塗工、並びに、感熱記録層用組成物の調製及び塗工を行い、感熱記録紙を得た。
得られた感熱記録紙の印字発色性及び耐カス付着性を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例2)
表1に示す、単量体組成およびポリビニルアルコールの使用量に変更する以外は、実施例1と同様に重合して、有機顔料Fを得た。この物性を測定し、その結果を表1に示す。
有機顔料Aに代えて、有機顔料Fを用いる以外は、実施例1と同様にして、アンダーコート用紙塗工用組成物の調製及び塗工、並びに、感熱記録層用組成物の調製及び塗工を行い、それぞれ、感熱記録紙を得た。
得られた感熱記録紙の印字発色性及び耐カス付着性を測定し、その結果を表1に示す。
表1に示す、単量体組成およびポリビニルアルコールの使用量に変更する以外は、実施例1と同様に重合して、有機顔料Fを得た。この物性を測定し、その結果を表1に示す。
有機顔料Aに代えて、有機顔料Fを用いる以外は、実施例1と同様にして、アンダーコート用紙塗工用組成物の調製及び塗工、並びに、感熱記録層用組成物の調製及び塗工を行い、それぞれ、感熱記録紙を得た。
得られた感熱記録紙の印字発色性及び耐カス付着性を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例3)
有機顔料Aに代えて、中空重合体粒子(ローペイク HP−1055(ローム アンド ハース社製):平均粒子径1,000nm、空隙率55%)を固形分で20部用いた以外は、実施例1と同様にして、アンダーコート用紙塗工用組成物の調製及び塗工、並びに、感熱記録層用組成物の調製及び塗工を行い、それぞれ、感熱記録紙を得た。
得られた感熱記録紙の印字発色性及び耐カス付着性を測定した。印字発色性は1.25であり、耐カス付着性は△であった。
有機顔料Aに代えて、中空重合体粒子(ローペイク HP−1055(ローム アンド ハース社製):平均粒子径1,000nm、空隙率55%)を固形分で20部用いた以外は、実施例1と同様にして、アンダーコート用紙塗工用組成物の調製及び塗工、並びに、感熱記録層用組成物の調製及び塗工を行い、それぞれ、感熱記録紙を得た。
得られた感熱記録紙の印字発色性及び耐カス付着性を測定した。印字発色性は1.25であり、耐カス付着性は△であった。
上記の実施例および比較例から次のようなことがわかる。
乳化重合において通常使用されるラウリル硫酸ナトリウムを用いて、単量体を重合して得られた有機顔料Eを用いると、感熱記録紙の発色印字性が著しく低下し、耐カス付着性が悪化する(比較例1)。
ポリビニルアルコールの存在下に、単量体を重合して得られ、ガラス転移温度が本発明で規定する範囲より低い有機顔料Fを用いると、感熱記録紙の耐カス付着性が著しく悪化する(比較例2)。
中空重合体粒子を含有するアンダーコート用紙塗工用組成物を用いると、感熱記録紙の発色印字性が低下し、耐カス付着性が悪化する(比較例3)。
これらの比較例に比べ、本発明の有機顔料A〜Dを用いると、印字発色性に優れ、サーマルヘッドへのカス付着が極めて少ない感熱記録紙が得られている(実施例1〜4)。
乳化重合において通常使用されるラウリル硫酸ナトリウムを用いて、単量体を重合して得られた有機顔料Eを用いると、感熱記録紙の発色印字性が著しく低下し、耐カス付着性が悪化する(比較例1)。
ポリビニルアルコールの存在下に、単量体を重合して得られ、ガラス転移温度が本発明で規定する範囲より低い有機顔料Fを用いると、感熱記録紙の耐カス付着性が著しく悪化する(比較例2)。
中空重合体粒子を含有するアンダーコート用紙塗工用組成物を用いると、感熱記録紙の発色印字性が低下し、耐カス付着性が悪化する(比較例3)。
これらの比較例に比べ、本発明の有機顔料A〜Dを用いると、印字発色性に優れ、サーマルヘッドへのカス付着が極めて少ない感熱記録紙が得られている(実施例1〜4)。
Claims (9)
- 水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られる、ガラス転移温度が60℃以上の重合体からなる有機顔料。
- アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の使用量が、単量体100重量部に対して、0.5〜100重量部である請求項1記載の有機顔料。
- 重合体が、重合に使用した単量体に由来する重合体と、重合に使用したアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の一部が結合したものである請求項1記載の有機顔料。
- 重合に使用した単量体に由来する重合体に対して、該重合体に結合したアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の割合が0.5〜50重量%である請求項3に記載の有機顔料。
- 請求項1〜4のいずれか一に記載の有機顔料を含む顔料およびバインダーからなる紙塗工用組成物。
- 有機顔料の含有量が、全顔料中、0.1〜40重量%である請求項5に記載の紙塗工用組成物。
- バインダーの使用量が、全顔料100重量部に対して、5〜30重量部である請求項5または6に記載の紙塗工用組成物。
- 感熱記録紙用アンダーコート用である請求項5〜7のいずれか一に記載の紙塗工用組成物。
- 基紙上に、請求項8記載の紙塗工用組成物を塗工し、次いで感熱記録層用組成物を塗工してなる感熱記録紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004071274A JP2005255908A (ja) | 2004-03-12 | 2004-03-12 | 有機顔料および感熱記録紙 |
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JP2004071274A JP2005255908A (ja) | 2004-03-12 | 2004-03-12 | 有機顔料および感熱記録紙 |
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