JP2005255756A - ジアリルフタレート樹脂成形材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のジアリルフタレート樹脂の優れた機械的特性、電気的特性等を損なうことなくハロゲン系難燃剤を使用せずに高度に難燃化されたジアリルフタレート樹脂成形材料を提供する。
【解決手段】 ジアリルフタレート樹脂(a)、無機基材(b)、及びモリブデン化合物(c)を必須成分として含有することを特徴とするジアリルフタレート樹脂成形材料であり、好ましくは成形材料全体に対して、ジアリルフタレート樹脂(a)20〜60重量%、無機基材(b)20〜70重量%を含有し、かつ、ジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対してモリブデン化合物(c)1〜6量部を含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ジアリルフタレート樹脂成形材料に関するものである。
ジアリルフタレート樹脂成形材料は、その優れた諸特性から様々な分野に多く使用されてきた。その理由の一つには寸法安定性に優れていることがあげられ、コネクタ、スイッチギヤ等の精密電機部品に使用されている。また、高温、高湿度等の条件下での絶縁性、耐アーク性、耐トラッキング性といった電気的特性に優れるのに加え、成形性にも優れることから種々の金属インサートを持つ電気部品の分野にも広く使用されている。このような部品を成形する場合には、金属インサートを曲げたり、変形させたりしないために成形材料は大きな流動性を必要とし、ジアリルフタレート樹脂成形材料はこのような部品を成形するのに適している。また、高周波特性、固有抵抗にも優れることからレーダー・ドーム等へも応用されている。電気、電子部品用には高強度、高耐熱性を有することからアンモニアフリータイプのフェノール樹脂も使用されているが、ジアリルフタレート樹脂に比較して電気的特性が劣るためその用途は限定されている。
一方、成形品に難燃性を付与する場合には、成形材料にハロゲン系難燃剤と難燃助剤として三酸化アンチモンとを配合する方法があり(例えば、特許文献1、2参照。)、難燃グレードのジアリルフタレート樹脂成形材料にもこのような難燃剤を配合することができるが、ダイオキシン類の発生など環境に対する負荷が大きいハロゲン系化合物の使用については制限があり、ハロゲン系化合物を使用しないで難燃性を付与したジアリルフタレート樹脂成形材料が求められている。
特開平7−268191号公報 特開平8−302160号公報
本発明は、環境問題等を有するハロゲン系難燃剤を使用せずに高度の難燃性を有し、かつ機械的特性、電気的特性等に優れたジアリルフタレート樹脂成形材料を提供するものである。
このような目的は、下記(1)〜(2)記載の本発明により達成される。
(1)ジアリルフタレート樹脂(a)、無機基材(b)、及びモリブデン化合物(c)を必須成分として含有することを特徴とするジアリルフタレート樹脂成形材料。
(2)成形材料全体に対して、ジアリルフタレート樹脂(a)20〜60重量%、無機基材(b)20〜70重量%を含有し、かつ、ジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対してモリブデン化合物(c)1〜6重量部を含有する上記(1)に記載のジアリルフタレート樹脂成形材料。
本発明は、ジアリルフタレート樹脂、無機基材、及びモリブデン化合物を必須成分として含有することを特徴とするジアリルフタレート樹脂成形材料であり、本発明に従うと、環境負荷が少なく難燃性、機械的特性、電気的特性等に優れた成形品を効率よく得ることができる。従って本発明のジアリルフタレート樹脂成形材料は、それらの特性を必要とする電気、電子部品の成形品を容易に製造することができるため、工業的なジアリルフタレート樹脂成形材料として好適である。
本発明は、ジアリルフタレート樹脂成形材料(以下、単に「成形材料」ということがある)に関するものである。本発明の成形材料は、ジアリルフタレート樹脂(a)、無機基材(b)、モリブデン化合物(c)を必須成分として含有し、好ましくはモリブデン化合物が微粉末のものである。以下、本発明の成形材料について詳細に説明する。
本発明の成形材料に用いられるジアリルフタレート樹脂(a)としては特に限定されないが、例えば、オルソタイプ、イソタイプ、パラタイプのものがあり、また、これらのプレポリマーも含まれる。これらの1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、成形品に高い耐熱性が要求される場合は、イソタイプまたはパラタイプのものを使用することが好ましい。
また、ジアリルフタレート樹脂の性状については特に限定されないが、GPC測定による重量平均分子量15000〜50000、ヨウ素価55〜90、軟化点50〜85℃のものが好ましい。かかる性状のジアリルフタレート樹脂は、粘度特性等が本成形材料用途に適しており、成形品の電気的特性、寸法安定性が優れた成形材料を製造することができる。
また、成形時の樹脂の流動性を保つことや原料コストダウンためにジアリルフタレート樹脂の0〜70w%を不飽和ポリエステル樹脂に置換することができる。
本発明の成形材料には、無機基材(b)を配合する。これにより、成形品に機械的特性や難燃性等を付与することができる。本発明で用いられる無機基材としては特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。また、必要に応じて水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛等の難燃性無機基材を併用してもよい。これらの中でも、ガラス繊維を用いた場合は、耐熱性を維持したまま機械的強度を向上できるので好ましい。
前記ジアリルフタレート樹脂(a)及び前記無機基材(b)の含有量は特に限定されないが、成形材料全体に対して、ジアリルフタレート樹脂(a)20〜60重量%、無機基材(b)20〜70重量%であることが好ましく、さらに好ましくはジアリルフタレート樹脂(a)30〜50重量%、無機基材(b)40〜60重量%である。
ジアリルフタレート樹脂(a)が前記下限値未満の場合、あるいは無機基材(b)が前記上限値を越える場合は、成形性が低下することにより、成形品の電気的特性、機械的特性に影響を与えることがある。一方、ジアリルフタレート樹脂(a)が前記上限値を超える場合、あるいは無機基材(b)が前記下限値未満の場合は、成形材料製造時の材料粘度が低下し成形材料化が困難になり、成形品の機械的特性が低下することがある。
また、前記無機基材(b)としてガラス繊維を用いる場合は、無機基材全体に対し60〜100重量%使用することが好ましい。前記下限値未満であると機械的特性の向上が十分でないことがある。ガラス繊維としては特に限定されないが、例えば、チョップドストランドが使用できる。チョップドストランドは平均繊維径3〜15μm,繊維長1.5〜6.0mmのものが好ましく用いられる。更に好ましくは繊維径が10〜13μm、繊維長が1.5〜3.0である。平均繊維径及び繊維長が前記下限値未満では機械特性低下することがあり、前記上限値を超えると作業性低下することがある。
本発明の成形材料には、上記材料に加えて、モリブデン化合物(c)を配合することを特徴とする。本発明の成形材料で用いられるモリブデン化合物(c)としては、ハロゲンを含有しないものを用いる。これにより、成形材料にハロゲン系化合物を配合することなく、成形品に難燃性を付与することができる。
このようなモリブデン化合物(c)としては特に限定されないが、例えば、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸リンなどを挙げることができ、これらの混合物、あるいは、これらのモリブデン化合物と他の無機化合物等との混合物を用いることもできる。
本発明の成形材料で用いられるモリブデン化合物の性状としては特に限定されないが、常温で固体であり、粒径が250μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは150μm以下である。このような性状を有するものを用いることにより、材料の予備混合の段階から、モリブデン化合物を成形材料中により均一に分散させることができる。
モリブデン化合物(c)の含有量としては特に限定されないが、前記ジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対して、1〜6重量部であることが好ましく、さらに好ましくは2〜5重量部である。これにより、成形材料製造時の作業性に優れ、かつ成形品の他の特性を低下させることなく環境負荷が少なく難燃性を向上させることができる。モリブデン化合物の含有量が前記下限値未満では難燃性を付与する効果が十分でないことがあり、一方前記上限値を超えると成形品外観を低下させることがある。
なお、モリブデン化合物(c)として、他の無機化合物等との混合物を用いる場合は、混合物中のモリブデン化合物の含有量が、ジアリルフタレート樹脂に対して上記範囲内となるように調整する。
本発明の成形材料では、ジアリルフタレート樹脂と無機基材とを必須成分とする成形材料組成に、モリブデン化合物を配合することにより、環境負荷が少なく難燃性に優れた成形品を効率よく得ることができることを特徴とする。
さらに、粒径が150μm以下のモリブデン化合物を用いると、成形材料化する際に均一に分散させることができ、前記の作用をより効果的なものにできる。
本発明の成形材料には、これまで説明した原料の他にも、通常、ジアリルフタレート樹脂の反応開始剤を用いる。反応開始剤としては特に限定されないが、例えば、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイドなどの過酸化物が一般的に用いられる。
さらにこのほかにも、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、必要に応じて難燃剤、難燃助剤、離型剤、顔料、シランカップリング剤等の原料を配合することができる。
本発明の成形材料は、通常の方法により製造することができる。すなわち、前記の材料を所定量配合し、リボンブレンダーやプラネタリミキサーなどを用いて予備混合する。さらにこれを加熱ロール、二軸押出混練機などを使用して溶融混練し、混練後のものを造粒し、冷却後に粉砕・分級することにより得られる。
以下実施例により本発明を説明する
(実施例1)
ジアリルフタレート樹脂を38重量%、モリブデン化合物を含有する混合物4重量%、無機基材(1)としてガラス繊維を36重量%、無機基材(2)として焼成クレーを13重量%、反応開始剤を1重量%、離型剤を1重量%、難燃助剤(1)として三酸化アンチモンを6重量%、着色剤を1重量%配合して組成物を得た。
得られた組成物を予備混合後、90℃の加熱ロールで5分間溶融混練し、冷却後粉砕して成形材料を得た。
(実施例2)
モリブデン化合物を含有する混合物を6重量%に増量し、焼成クレーを11重量%に減量した以外は実施例1と同様にして成形材料を得た。
(実施例3)
モリブデン化合物を含有する混合物を8重量%に増量し、焼成クレーを9重量%に減量した以外は実施例1と同様にして成形材料を得た。
(実施例4)
モリブデン化合物を含有する混合物を10重量%に増量し、焼成クレーを7重量%に減量した以外は実施例1と同様にして成形材料を得た。
(実施例5)
モリブデン化合物を含有する混合物を12重量%に増量し、焼成クレーを5重量%に減量した以外は実施例1と同様にして成形材料を得た。
(実施例6)
モリブデン化合物を含有する混合物を14重量%に増量し、焼成クレーを3重量%に減量した以外は実施例1と同様にして成形材料を得た。
(実施例7)
モリブデン化合物を含有する混合物を16重量%に増量し、焼成クレーを1重量%に減量した以外は実施例1と同様にして成形材料を得た。
(比較例1)
ジアリルフタレート樹脂を38重量%、モリブデン化合物を含有する混合物を配合せず、無機基材(1)としてガラス繊維を36重量%、無機基材(2)として焼成クレーを11重量%、反応開始剤を1重量%、離型剤を1重量%、難燃助剤(1)として三酸化アンチモンを6重量%、難燃助剤(2)としてハロゲン系難燃剤であるデクロランプラスを6重量%、着色剤を1重量%配合して組成物を得た。
得られた組成物を予備混合後、90℃の加熱ロールで5分間溶融混練し、冷却後粉砕して成形材料を得た。
得られた成形材料を用いて、JIS−K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠してトランスファー成形機(成形条件:金型温度165℃;硬化時間4分間)によりテストピースを作製した。この特性を測定し、表2に示す結果を得た。
Figure 2005255756
(表の注)
*1 ジアリルフタレート樹脂(イソタイプ):ダイソー社製「ダイソーイソダップ」
*2 モリブデン化合物を含有する混合物:キクチカラー社製「ボーエンSKN−301」(モリブデン酸カルシウム6.7重量%、モリブデン酸亜鉛7.6重量%、炭酸カルシウム75.6重量%、酸化亜鉛10.1重量%から構成される混合物)を粒径250μm以下に調整して使用した。
*3 ガラス繊維(チョップドストランド):日本板硝子社製「RES015−BM42」(平均繊維径11μm、繊維長1.5mm)
*4 焼成クレー:エンゲル・ハート社製「SP−33」
*5 反応開始剤:ジクミルパーオキサイド
*6 離型剤:ステアリン酸カルシウム
*7 難燃助剤(1):三酸化アンチモン
*8 難燃助剤(2):オキシデンタル・ケミカル社製「デクロランプラス」
*9 着色剤:カーボンブラック
Figure 2005255756
(表の注)
*11 曲げ強さ、絶縁抵抗、難燃性:JIS−K6911「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定した。
表1、2に示すように、実施例1〜8はいずれも、ジアリルフタレート樹脂、無機基材としてガラス繊維、焼成クレー、およびモリブデン化合物を配合した成形材料である。これらの成形材料による成形品は、モリブデン化合物を含まない比較例と比べて、曲げ強度及び絶縁抵抗には実質的に差は見られず、難燃性も同等である。
本発明は、ジアリルフタレート樹脂の優れた機械的特性、電気的特性を損なうことなくハロゲン系難燃剤を使用せずに高度に難燃化されたジアリルフタレート樹脂成形材料に関するものである。本発明の成形材料は、例えば、トランスコイルボビン、スイッチケース、端子板、コネクタ、マグネットスイッチ等の電子部品、電気部品等に好適に用いられる。

Claims (2)

  1. ジアリルフタレート樹脂(a)、無機基材(b)、及びモリブデン化合物(c)を必須成分として含有することを特徴とするジアリルフタレート樹脂成形材料。
  2. 成形材料全体に対して、ジアリルフタレート樹脂(a)20〜60重量%、無機基材(b)20〜70重量%を含有し、かつ、ジアリルフタレート樹脂(a)100重量部に対してモリブデン化合物(c)1〜6重量部を含有する請求項1に記載のジアリルフタレート樹脂成形材料。
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