以下に本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。尚、後述する説明では本願出願人が特開平09−151856号公報において提案したペリスタリックフィンガー方式であって、各フィンガーで輸液チューブを上流側と下流側のみ完全に潰し途中部位を完全に潰さないようにすることで輸液チューブの肉厚の影響をなくし精度良く送液する方式を前提にして述べる。また、これに限定されず完全に潰すことで輸液チューブの蠕動運動を行うように構成された従来からのペリスタリックフィンガー方式の輸液ポンプにも適宜適用可能なことも言うまでもない。
図1は輸液ポンプ1の正面図であり操作スイッチパネルを図示している。本図において、輸液チューブ2を装填した後にドア手段であるドアベース4を閉じてドアロックレバー7の操作により輸液が開始できるようにした状態が示されており、また表示部は所謂7セグメント数字表示部が全て「8」となる表示となっているが、これは数値及びエラー、「−」などが表示されることを示している。
さて、本図において、輸液ポンプ1の基部となるとともに本体外周縁部形状部を形成した本体ベース3はアルミダイキャスト製であり必要な強度と精度を確保する一方、この本体ベース3の左側を回動中心としたドアベース4上に操作スイッチを図示のようにドア化粧カバー12bに配設したキーパネル部9と、表示部8とが枠印刷により大別するように設けられている。これらキーパネル部9と表示部8は透明樹脂フィルムの裏面において所定項目が印刷されるとともに、エンボス加工により前方に円形に突起するように加工された樹脂フィルムが不図示の各キーを覆うように接着により設けられており、薬液などが内部に進入することを防止している。
また、上記の各スイッチキーは共通の基板上に実装したものを使用し、また表示部8の液晶表示装置を実装した基板にはバックライトが設けられており、表示が見え易いようにしている。各スイッチキーと表示装置及びランプ類は後述する制御部200に対してフレキシブルケーブルを介して接続されており、このケーブルから電力供給及び駆動信号等を伝達するようにして、ドア化粧カバー12bを設けたドアベース4の開閉にともなう電力供給が支障なく行えるように構成されている。また、このドアベース4に設けられるキーパネル部9と表示部8はTTLレベルの電気信号のみ扱うようにしている。
次に、各スイッチの機能について述べると、図示の左下隅に配設される電源スイッチ15はメイン電源の入/切に使用されるものであり、所定秒(およそ1秒以上)押し続けることで、電源オンとなり、再度所定秒(約2秒以上)押しつづけることで電源オフとなるように制御されており、不用意に電源オン、オフができないように配慮されている。この右隣りのバッテリランプ16は図示のように3段階に表示する緑色発光ダイオードを設けており、電源のオン、オフに関係なく交流または専用の直流電源を接続しているときに点灯して、充電中であることを知らせるようにしており、充電中には充電量をまた内蔵バッテリー使用中には残量を3段階レベルで表示するようにしている。
このバッテリーランプ16の上方には、商用電源か直流電源を使用しているときで、電源がオンの時のみ、常時点灯する交流直流ランプ17が設けられている。
続いて、この上には輸液中に押すことで内蔵のブザーが鳴り、輸液を強制停止するための停止消音スイッチ18が設けられている。この停止消音スイッチ18は警報音が鳴っているときに押すと消音させることができ、また輸液の準備が整い開始可能な状態から所定秒(約2秒以上)押圧しつづけると後述する「スタンバイモード」となり、開始忘れを注意するアラーム状態が解除される状態になるので、例えば手術室内において患者への刺針が完了した状態で待機するときに、輸液開始までの時間中にアラーム発生を行わないようにできるようにしている。この停止消音スイッチ18の左隣りには停止中に橙色で発光するダイオードが点滅するようにした停止表示ランプ21が停止消音スイッチ18と同じ枠で囲むようにして関連付けされて設けられている。
また、停止消音スイッチ18の右隣りには開始表示ランプ20とともに同じ枠で囲むことで関連付けされた開始スイッチ19が設けられており、開始スイッチ19を押すことで内蔵のブザーが鳴り、輸液動作を開始し、開始表示ランプ20の緑色発光ダイオードが点滅して動作状態であることを表示する。
これら各スイッチの上方には、表示部8で囲まれた下方に位置する流量予定量表示部33の表示桁に対応する位置になるように設定手段であるアップダウンスイッチ22が図示のように合計で6個配設されており、これらアップダウンスイッチ22の各桁数に対応した上下ボタンを停止状態で夫々押すことで流量と予定量の設定を設定できるようにしている。このときアップダウンスイッチ22を押すことで0.1mL/h、又は1mL/h単位で表示が変化し、流量設定範囲が最小の0.1〜最大の1200mL/hに設定できるようにプログラムされている。
また、予定量設定範囲は同じくアップダウンスイッチ22の各桁数に対応した上下ボタンを押すことで、1〜9999mLの範囲で設定可能であり、1mL単位で設定するかまたはフリーに設定できるようにプログラムされており、その設定値を記憶するように構成されている。
この流量予定量表示部33の上方には別枠印刷で囲まれた積算量残時間表示部23が配設されており、輸液された積算量または輸液完了までの残り時間を、積算量表示範囲が0.0〜9999mLの範囲となるように0.1mL、又は1mL単位で表示するようにプログラムされている。これらの流量予定量表示部33はLED表示であるが、積算量残時間表示部23は上述のように液晶表示装置から構成されているので自己発光できないので、夜間乃至暗い部屋では照明なしでは見ることができないので照明手段であるバックライト58が背後に設けられている。
また、積算量残時間表示部23の上方には各種のアラーム文字を設けたアラーム表示部が別枠印刷で囲まれるように配設されている。このアラーム表示部は、「完了」の文字を点滅で表示する完了表示部24と、図27に示す点滴プローブ302の接続時において設定された滴数である「15」と「60」のいずれかの数字を表示するようにした滴数表示部25と、点滴プローブを使用したときの流量異常のときに「流量異常」の文字が点滅するようにした流量異常表示部37と、輸液チューブ2の閉塞異常が検出されて正常な輸液ができないときに「閉塞」の文字が点滅するようにして処置を促す閉塞異常表示部26と、ドアベース4が本体ベース3に対して完全に閉じていないときにその状態をドアスイッチで検出されたときに、「ドア」の文字を点滅させるドア開き表示部27と、輸液チューブ2中に所定長(5mm)以上の長さの気泡が混入したときに「気泡」の印刷文字を点滅表示するようにした気泡異常表示部28と、内蔵バッテリーの電圧が低下したときに「バッテリ」を点滅表示するようにしたバッテリ異常表示部29とが図示のように同じ印刷枠で囲まれるようにして設けられている。
このアラーム表示部の左隣り側には、輸液チューブ2の閉塞検出警報圧力レベルを「H」の高い、「M」の中間、「L」の低いの3段階で緑色表示する発光ダイオードを図示のように上下方向に配設した閉塞圧設定表示部30が設けられており、予め設定された閉塞検出警報圧力レベルを常時点灯表示するようにしている。これら発光ダイオードは同じ実装基板上に発光ダイオードが実装されており、上記のフレキシブルケーブルを介して電力供給を受けるようにしている。
上記の流量予定量表示部33の上方に設けられた流量ランプ31と予定量ランプ32は、設定時に点灯する。
また、流量予定量表示部33の下方に設けられた流量設定手段である流量予定量スイッチ34は、流量設定モードと予定量設定モードの切換を行うときに押される。また、流量予定量スイッチ34の下方の積算残時間スイッチ35は、このスイッチを押して離すたびに積算量と残り時間が切換えられて積算量残時間表示部23で表示される。そして、所定秒(約2秒間)以上押しつづけるとブザーが鳴り、積算量が「0」にクリアされ、残り時間は初期値に戻る。 この積算残時間スイッチ35の下方には早送りスイッチ36が設けられており、停止状態でこのスイッチを押している間、断続的にブザーが鳴り500mL/h以上での流量で輸液する。
また、ドアベース4は本体べース3と同様にアルミダイキャスト製であり、デザイン上のポイントとなる曲面を側面と前面の間に形成するとともに、上面において凸状の動作インジケータ6を保護するように設けられている。この動作インジケータ6の内部には緑色と赤色に発光する発光ダイオードが内蔵されており、動作状態に応じて点灯する。すなわち、送液中と早送り中は緑色に点滅する。また、警報時は赤色点滅し、後述するスタンバイ機能が働いている時は、緑色と赤色に交互に点滅することで、輸液を即座に開始できる状態であることをナース他に知らせる。
次に、図2は輸液ポンプ1を背後から見た外観斜視図である。本図において、輸液ポンプ1は所定材質の樹脂材料からヒケや樹脂流れ痕などがないように特殊射出成形される本体化粧カバー12aを上記の本体ベース3(図3)の四隅を覆うようにして固定するように構成されており、この本体化粧カバー12aを取り外すことで内部にアクセス可能になるようにして、保守組み立ての容易化を考慮している。また、この本体化粧カバー12aの上からは持ち運びの際に把持するためのハンドル5の後端側が図示のように1本のネジ110で固定されている。
この輸液ポンプ1の背面において、本体化粧カバー12aは裏面において開口部12a-1を図示のように形成しており、図中の破線図示の裏面基板13上に実装された外部通信接続コネクタ48とヒューズホルダ39と交流電源コネクタ(レセプタクル)49とメイン実装基板14上に実装されたヒストリースイッチ50と直流コネクタ51とナースコールコネクタ52と点滴プローブ接続コネクタ53と輸液セットスイッチ54と表示明るさスイッチ55とがこの開口部を介して外部に出るように構成されている。また、図示のようにエラストマ製の防滴キャップ56がさらに設けられており、使用されない各コネクタにカバーを被せるようにして薬液等が装置内部に進入することを防止している。
外部通信接続コネクタ48は外部通信機能を使うときに所定ケーブルが接続され、輸液ポンプ1と外部コンピュータとの間で流量設定、警報、動作状態等を送受信できるようにしている。表示明るさスイッチ55は、上記の表示部8のバックライトと動作インジケータ6等の明るさを連続的または段階的に変えるときに押されるものである。ヒストリースイッチ50は、通常モードとヒストリーモードを交互に切り換えるときに押される。また、輸液セットスイッチ54は、その下の点滴プローブ接続コネクタ53に対して点滴プローブが接続された状態で操作されることで15または60滴/mLの滴数(滴/mL)を切り換えて、表示部8の輸液セットの滴数表示部25に表示する。
また、ナースコールコネクタ52は所定ケーブルをナースセンタとの間で接続するためのものであり、何らかの原因で警報が発生すると、ナースコール端子のリレー接点がオンして、ナースを呼び出すようにしたナースコール機能を行えるようにしている。
次に、図3はドアベース4を開いた状態を示した正面図であって、輸液チューブ2を装填する前の様子を示している。図4は輸液ポンプの断面図、図5は輸液ポンプの立体分解図である。
図3から図5において、本体ベース3は図示のように略中央部において上下方向に形成される溝部3mを一体形成しており、この溝部3m内に輸液チューブ2をセットするようにしている。また、この溝部3mの略中間部位には合計で6個のネジ110をプラスドライバーで取り外すことで着脱可能に構成されたポンプ機構100が設けられており、このポンプ機構100が薬液などで汚染されて、フィンガ10−nの動きが悪くなったときに、ポンプ機構100を本体ベース3から取り出し、所定洗剤で洗浄することで薬液を洗い流し、動きが正常に復帰できるように構成されている。このためにポンプ機構100に設けられる各フィンガ10-nは、耐薬液、薬品性に優れる、例えばポリアセタール樹脂材料から射出成形されている。
また、本体ベース3の下方部位には紙面前方に突出する一対の顎部3aが溝部3mを挟むように一体形成されており、ドア化粧カバー12bを設けたドアベース4を閉じたときにこれらの凸状部である顎部3aの上にドア化粧カバー12bの下方側面が位置するようにすることで、何らかの衝撃的な外力が加わったときに、これらの顎部3aで受けるようにしてドア化粧カバー12bとドアベース4には外力が加わらないように配慮されている。同様に、本体ベース3の両側側面部位には左右に突出する凸部3fが一体形成されており、また、この凸部3fはドアベース4よりも10%程度幅中広となっており、ドアベース4を閉じたときにこれらの凸部3fより内側にドア化粧カバー12bの左右側面が位置するようにすることで、何らかの衝撃的な外力が左右から加わったときに、これら凸部3fで受け留めるようにしてドア化粧カバー12bとドアベース4を保護するようにしている。また、左右の凸部3fは本体ベース3と同じ比較的に目立つ色で塗装されており、これらの凸部3fに連続した側面を有する上記の本体化粧カバー12aとともに外観上の重要な形状部位を形成している。
溝部3mの下方側には、ドアベース4が開かれると自動的に輸液チューブ2を圧閉するとともに、右隣りの解除レバー46の操作で任意に圧閉を解除できるチューブクランプ部47が配設されている。また、押すように操作される解除レバー46は、押圧によりクランプ部47による輸液チューブ2のクランプが解除される。したがって、チューブクランプ部47によるクランプを解除し、輸液セットの装着、取り外しの時に使用される。また、本体ベース3に固定されるフック59は、ドアベース4のレバー7の係止部7aが係止されるために設けられている。
溝部3mの最上流側に対向するドアベース4側にはエラストマーから形成されるドアシールゴム66が配設されており、ドアベース4を閉じたときに接合シール面をドアシールゴム66が変形することで内部に薬液が進入することを防止している。また、本体ベース3は図示の形状部3jとドアベース4の形状部4jとが夫々潜入する関係となるように形成されており、この部位でも内部に薬液が進入することを防止するようにしている。
形状部3jの下方には気泡センサ60が配設されている。この気泡センサ60は、輸液チューブ2内部に混入する気泡の内、チューブ内における長さが所定長さ(例えば、約5mm)となる所定量(約0.04cc)以上のものが検出されたときに、それ以降の動作を強制的に停止するためのものであり、この気泡検出部である気泡センサ60に対向する位置となるドアベース4側にはチューブ押え板67が配設されており、ドアベース4を閉じたときに輸液チューブ2を不動状態にすることで正確な気泡検出を行えるようにしている。
この気泡センサ60の下流側となる下方には上流閉塞センサ61が配設されており、これに対向するようにドアベース4に配設された上流閉塞押え板68とともに輸液チューブ2を紙面の前後方向に挟持するようにしている。この上流閉塞センサ61は永久磁石とこの永久磁石の移動位置をアナログ的に検出するピックアップとから構成されており、輸液チューブ2の閉塞状態にともなう内圧変化に応じて移動される永久磁石の位置を検出することから、上流閉塞押え板68は輸液チューブ2のあらゆる方向の内圧変化を規制しないようにする必要があるので図示の円盤はバネ板(弾性部材)の端部において自由に可動できるように保持されている。
また、ポンプ機構100の下方には下流閉塞センサ62が配設されており、これに対向するようにドアベース4に配設された下流閉塞押え板69とともに輸液チューブ2を紙面の前後方向に挟持するようにしている。この下流閉塞センサ62は上述した上流閉塞センサ61と同じである。また、下流閉塞押え板69も上流閉塞押え板68と同じものを使用して共通部品化している。
ポンプ機構100の動作原理は、装着された輸液チューブ2をフィンガー10-nで押圧して、設定された時間あたりの流量で持続的に輸液するものであって、マイクロコンピュータ(CPU)に記憶した情報によりモーター回転信号を生成し、この回転信号によってモーターを回転させ、ポンプを駆動し、輸液の流量を調節するようにしている。
また、フインガー10-nは上流側から第1フィンガー10-1、第2フィンガー10-2a、2b、第3フィンガー10-3a、3b、第4フィンガー10-4、第5フィンガー10-5の夫々が図示のようにポンプベース101内において紙面前後方向に往復駆動されるように内蔵されている。図示のように第1フィンガー10-1と第4フィンガー10-4の形状は他の第2フィンガー10-2a、2b、第3フィンガー10-3a、3b、第5フィンガー10-5とは異なり、第1フィンガー10-1と第4フィンガー10-4の幅寸法W1は他のフィンガーの幅寸法W2より大きく設定されている。また、第1フィンガー10-1と第4フィンガー10-4の押圧面には凸部が形成されている。
このように、全て同じ形状にしないことで、上述したように本願出願人が特開平09−151856号公報において提案したペリスタリックフィンガー方式を理想的なものにしている。
すなわち、第1フィンガー10-1と第4フィンガー10-4の押圧面に形成された凸部で輸液チューブ2を上流側と下流側のみ完全に圧閉し、他のフィンガー第2フィンガー10-2a、2b、第3フィンガー10-3a、3bで途中部位を完全に潰さないようにすることで、輸液チューブの肉厚の影響をなくした高い精度の送液を可能にしている。第1フィンガー10-1と第4フィンガー10-4は輸液チューブ2を完全圧閉するときに輸液チューブ2が左右に広がる状態になるので第1フィンガー10-1と第4フィンガー10-4の幅寸法W1は他のフィンガーの幅寸法W2より大きくしている。尚、第5フィンガー10-5は脈動を補正するためのものであるが、機能については後述する。
また、通常の蠕動運動方式の場合には、全てのフィンガー10-nを第2フィンガー10-2aと同じものにして完全に輸液チューブを潰すことで輸液チューブの蠕動運動を行うことができる。尚、後述するように第2フィンガー10-2a、2bと第3フィンガー10-3a、3bの組はそれぞれ同じストロークで駆動されることから同じ符号を添付してあるが、個別に駆動するようにしても良い。
次に、ドアベース4は、本体ベース3に対してヒンジブロック65と後述するピンにより左側に開くように構成されており、上述した表示部8、キーパネル部9、動作インジケータ6と回動位置近くに図示のように配設されたドアライト64への通電などを繰返し曲げに強いフレキシブルケーブル63により行うようにしている。ドアベース4の略中央部位には上記のポンプ機構100に対向するようにしてバックプレート機構130が配設される。
第1の受け板部材であるバックプレート機構130はポンプ機構100の各フィンガー10−nに対向するように設けられることで、フィンガーによる押圧受け面を形成するものであるが、後述するように紙面の前後方向に移動するように設けられており、何らかの過剰負荷が発生したときに後退するようにして輸液チューブの損傷を防止するようにしている。また、上記の第1フィンガー10-1と第4フィンガー10-4は輸液チューブを完全に圧閉するので、これらのフィンガーに対向するようにして第2の受け板部材であるバックプレート部材131がバックプレートベース132とは個別に紙面の前後方向に移動するように設けられている。
次に、図1のX-X線矢視断面図である図4において各機構及び基板の配置について、図5を参照しながら述べる。まず、本体ベース3は上記のようにアルミダイキャスト製であって、図中の破線図示のポンプ機構100を着脱可能に収容するための形状部3tを上記の顎部3aとともに一体形成している。この顎部3aはドアベース4と同じかやや高く成形されており、ドアベースを保護している。また、本体ベース3は各部材の取り付け基部となっており、アルミダイキャスト製の上板部材である上プレート111を図示のように固定することで装置の上面フレーム部分を形成している。また、この上プレート111の背面部分には厚さ1〜2mm前後の鉄板から加工される背面部材である背面プレート112が、上プレート111のネジ孔を設けた取付け部111dにおいて2本のネジ110で固定されており装置背面側の背面フレーム部分を形成している。また、本体ベース3の下方部分と背面プレート112の間には下板部材である下プレート113がネジ110により固定されており、装置の底面フレーム部分を形成している。こうして、本体ベース3と上プレート111と背面プレート112と下プレート113により頑丈な閉構造の本体フレームが形成されている。
以上のように、十分な強度を有する本体ベース3を基準として上下と背面のプレートおよび、後述する保護板118とで、内蔵される機構と基板とを取り囲むように構成することで、十分な剛性を確保してあることから、万が一の落下時において機構と回路基板他を保護できるとともに、電磁波などの影響を最小にできるようにしている。
本体ベース3の形状部3tの上下面部位にはカムシャフト102を回転自在に支持するベアリングを内蔵したベアリングブロック103が固定される。このカムシャフト102の上端の軸体には歯付きプーリ104が不図示のネジで固定される。また、上プレート111には出力軸において上記の歯付きプーリ104よりも小径の歯付きプーリ107を不図示のネジにより固定したステッピングモータ106が固定されており、各プーリ間で張設される歯付きベルト105によりステッピングモータ106の回転力をカムシャフト102に伝達するように構成されている。また、各プーリのフランジは図示のように片側のみ設けるようにして歯付きベルト105を組み付けるか交換するときにステッピングモータ106を取り外さずに着脱ができるようにしている。
また、カムシャフト102の外周面には上記のフィンガー10-nに相当する偏芯カム形状部が一体加工されており、精度を確保することで、寸法精度の良い輸液チューブを用いれば、例えば流量精度±5%以内を保証している。この一体型カムシャフト102は、SUS304などのステンレス鋼で形成されている。
さらに回転検出センサ108は歯付きプーリ104の上側面に取り付けられた不図示のタイミングディスクを光学的に読み取ることで上記のカムシャフト102の回転位置と回転数を読み取るためのものであり、上プレート111において一体形成された取付け部111cに固定されている。また、化粧カバー12aの裏面にはブラケット117が固定されており、このブラケット117の両側に形成されたネジ孔に対してネジ110で上プレート111bに、化粧カバー12aと共締めすることで本体の化粧カバー12aの背面側の固定を行うようにしている。また、化粧カバー12aの裏面にはブラケット109がネジ110を用いてハンドル5のネジ孔に固定されているが、このブラケット109の左右端部は本体ベース3の裏面に形成された保持穴部に潜入するようにして化粧カバー12を本体ベース3に固定するようにしている。この結果、ハンドル5を把持して装置を運搬するときに加わる荷重はこのブラケット109を介して本体ベース3に伝えられる。
上記の背面プレート112は、図示のようにモータ106の背後に配設されるとともに電源コネクタ等を実装した裏面基板13の取り付け基部となっている。また、バッテリユニット116はモータ106の下方において上記の下プレート113に形成された開口部113aを介して電池が交換可能になるように配置されている。このために、本体化粧カバー12aの底部を塞ぐための裏蓋308が下プレート113に対してネジ止めされるように設けられている。また、この裏蓋308には装置全体をスタンドに固定するための固定ネジ孔部材307が固定されている。
ドアベース4側の構成については、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛するが、バックライト58(図4を参照)は上記の表示部8の背後に配設されており、またドアベース4の下側は顎部3aで保護される位置関係となっている。
図5において、ドアベース4を省略して示している。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛して、未説明部分についてのみ述べる。まず、本体ベース3の左右縁部にはドアベース4の左右縁部を保護するためドアベースより幅広とするための凸部3fが一体形成されている。また、左側の顎部3aにはヒンジピン115が植設されており、ドアベース4側に穿設された穴部をこのヒンジピン115中に挿入し、ヒンジブロック65を本体ベース3にネジ110で固定することでドアベースを開閉自在に組み立てるようにしている。
また、上記のポンプ機構100は形状部3tに対して6本のネジ110で固定された後には、後述するフィンガーの小型ラジアルベアリング120がカムシャフト102のカム面102aに当接する状態になるように構成されている。また、上プレート111は図示のように歯付きプーリ104を逃げる形状となっており、カムシャフトを固定した状態で上プレート111を固定できるようにして組み立て時においてカムシャフト102を組み立て後でも固定できるようにして、順番の不整合が生じないようにしている。バッテリーユニット116は図示のような形状であり下プレート113に固定される。一方、フレキシブルケーブル63は後述するメイン実装基板14から延設されており、本体ベース3の開口部を通過して接点部が図示のように現れるように構成されている。
以上のようにして、ネジ110を用いて組み立てられて図6に図示の外観斜視図のように組み立てられる。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛して説明すると、図示のように大型の開口孔部118aが多数穿設された保護板118が上プレート111の側面と、下プレート113の側面に形成されたネジ穴に対してネジ110を螺合するように固定される。
また、後述するプログラムを記憶するとともに所定制御を司るメイン実装基板14は図示のように上方に向かうように配設された複数のコネクタを設けており、このメイン実装基板14をネジ110により上プレート111の側面に形成されたネジ穴にネジ110を螺合するようにして固定するように構成されている。また、このメイン実装基板14は、接地パターンを広く設定したり、各電子部品の実装パターンを配慮することで外部ノイズに対して強くなるように配慮されており、ノイズ発生のともなう機器が多数使用される手術室内での使用を可能にしている。
次に、図7はポンプ機構100を構成するフィンガー組み立て部を示した外観斜視図である。本図において、ポンプベース101は耐薬品性を配慮した所定材質の樹脂材料から図示のような形状に一体成形される。このポンプベース101には図示のように7個所の案内孔部101cが貫通して形成されており、これら案内孔部101cに対して、予め小型ベアリング120をフィンガー孔部10cに嵌合されるピン119により回動軸支したフィンガーを装填する。これらフィンガーは、上流側から前述した第1フィンガー10-1、第2フィンガー10-2a、2b、第3フィンガー10-3a、3b、第4フィンガー10-4、第5フィンガー10-5として準備される。この装填のときに、第1フィンガー10-1と第4フィンガー10-4hの形状は上記のように凸部10aを上面10bに形成する関係から他のフィンガーの形状と異なっているので、ポンプベース101に間違いなく組み付けることができる。
このようにして、各フィンガーがポンプベース101に装填された後に、各フィンガを付勢するための付勢部材である圧縮コイルバネ121を装填し、止め輪122を溝部10dに矢印方向にセットすることで、各フィンガーは上記のカムシャフト102側に移動する。
一方、ポンプベース101は図示のようにフィンガーの摺接面101dから連続形成される山部101bが左右に一体形成されており、バックプレート機構130のバックプレートベース132がこれらの山部101bに対して当接する状態で輸液チューブ2を保持するようにしている。また、第1フィンガ10−1、第4フィンガ10−4に対応するフィンガ案内部101fは、他のフィンガ案内部101eの幅寸法より大きく設定されている。
次に、図8(a)は、バックプレート機構130の立体分解図である。図8(b)は上記のポンブベース101とともに示した横断面図である。
まず、図8(a)において、バックプレートベース132は耐薬品性を配慮した所定材質の樹脂材料から図示のような形状に一体成形される。このバックプレートベース132の山部132bは図8(b)に図示のようにポンプベース101の山部101bの間に潜入する位置関係となるように形成することで、常時同じ蠕動運動が輸液チューブ2に伝達できるようにしている。また、このバックプレートベース132には、上記の第1フィンガー10-1と第4フィンガー10-4に対向するようにして設けられるバックプレート部材131を図示のように背後からセットするとともにバックプレート部材131の凸部131aのみが露出するようにした孔部132aが一体形成されいる。以上のように形成されるバックプレート132を上述のようにドアベース4に固定するためには、まず一対の小圧縮コイルバネ(第2の付勢部材)135をバックプレート部材131の有底孔部131bに夫々セットし、4個の大圧縮コイルバネ(第1の付勢部材)136をドアベース4のバネ座とバックプレートベース132との間にセットし、4個のカラー137をドアベース4のネジ穴部4kとの間に介在させ、ネジ110をネジ孔132cに挿通して螺合するように固定する。同様に、バックプレート部材131の凸部131aは、何らかの原因で輸液チューブ2が過剰に圧塞されることにより過負荷がかかったときに、後退するようにして損傷を防止するように構成されている。
次に、図9はカムシャフト102の正面図であって、各カム面のXn−Xn線矢視断面図とともに示した図である。本図において、このカムシャフト102の最大の特徴点は、従来のようにカム部材を共通の軸体に角度を違えて固定するようにして構成するのではなく、例えば数値制御旋盤加工装置によりSUS304などのステンレス鋼を図示の形状に一体切削または一体研削加工する点である。このように一体加工することにより、部品ごとのバラツキを防止することができるので上記の高い精度の輸液を実施することが可能となる。
また、上記の第1フィンガー10-1は第1カム面102−1に対して小型ベアリングが当接し、第2フィンガー10-2a、2bは第2カム面102−2に対して当接し、第3フィンガー10-3a、3bは第3カム面102−3に対して当接し、第4フィンガー10-4は第4カム面102−4に対して当接し、第5フィンガー10-5は第5カム面102−5に対して当接するように構成されており、各フィンガーが上死点と下死点との間で往復運動するようにしている。各カム面には適宜グリースが塗布される。
図10は、フインガー10-nと輸液チューブ2の圧閉状態の関係を示した動作説明図であり、図1111は第1フィンガー10-1、第2フィンガー10-2a、2b、第3フィンガー10-3a、3b、第4フィンガー10-4、第5フィンガー10-5の夫々を往復移動させるカム面のカムシャフト102の回転中心からの距離(ストローク)であって、1回転分を示した図である。
両図において、開始スイッチ19(図1参照)が押圧されて送液が開始すると、流量設定に応じて回転駆動されるステッピングモータ106(図6参照)の起動が行われ、状態(A)において、第4フィンガー10-4のみで輸液チューブ2を完全閉塞することで、薬液バッグ内の薬液を流入させる。次に、状態(B)で第1フィンガー10-1により完全閉塞して、上流と下流側の間で薬液を閉じ込める。
続いて、状態(C)では、第4フィンガー10-4が待避し、第2フィンガー10-2a、2bにより輸液チュ−ブ2を途中まで押圧することで薬液を送り出す。これに続く、状態(D)では第3フィンガー10-3a、3bの移動により輸液チュ−ブ2を途中まで押圧することで薬液を送り出す。続く、状態(E)では第4フィンガー10-4が完全閉塞するように動き出すとともに、第5フィンガー10-5が状態(F)になるように急速に動き出す。以上の一連の動作を繰返し行うことで、完全圧閉しない蠕動運動による送液を行う。ここで、第5フィンガー10-5が急速に動き出すようにすることで、状態(A)から状態(E)に至る動作により発生した脈動であって特に高い流量が設定された場合に発生する脈動を整流に近づけるようにしている。
図12は、落下などにより衝撃的な加重がポンプ装置に作用したときに衝撃力を内蔵の圧電素子により検出するショックセンサ140の取り付け状態を示した外観斜視図であって、1個のショックセンサ140を上記のメイン実装基板14に図示のように実装することでXYZ方向全ての加重検出が行えることを示している。
すなわち、ショックセンサ140がその長手方向に感度を有する場合であって、圧力を電信号の変化として捕らえる圧電センサを、ポンプ装置1の左右の横方向に沿うX軸と、前後方向に沿うZ方向と、上下方向に沿うY方向に対して図示のように角度、θ1、θ2となる傾斜状態でショックセンサ140を実装固定することで、1個のショックセンサ140で上下左右前後方向に加わった荷重検出を行うことができるようになる。
このように1個のショックセンサ140により全ての方向の加重検出すると各方向の感度は傾斜角度分少なくなるが、ショックセンサ140に接続される増幅回路なども1個でよいのでコストダウンに貢献できるので、θ1、θ2が夫々所定角度(例えば45度)となるように設ければ、コストダウンに十分に採用することができる。このショクセンサ140では衝撃検知信号が入力したときに、ショックを認識するようにしており、検出方法はポート入力(ショックセンサ信号)として認識され、ショック警告は制御部200の記憶部にヒストリ(履歴)に保存(記憶)する。ヒストリに保存した時点でショック検知のラッチを解除するとともに、ヒストリモード時にショックセンサ警告表示を行なうが、その詳細はヒストリー機能とともに後述するが、ヒストリースイッチ50を押すとヒストリーモードに切り換わり、運転動作履歴とともにショック履歴を日時とともに表示する。
次に、図13(a)は気泡センサ60の構成を示すブロック図である。また、図13(b)は従来の気泡検出原理の説明のための検出波形図である。
まず、図13(b)において、従来は超音波発信振動子と受信振動子とが対向して輸液チューブを挟むように設けられる。そして、気泡Kが輸液チューブ2内に混入していると送受信振動子で実線図示のような検出波形150を得るとともに、送受信振動子で破線図示の検出波形150を得ることで、図示の斜線で示した所定レベルV1以下となる双方の波形が重なる範囲における時間T1を得るようにして、この時間T1が設定時間以上であると、所定長(大きさ)の気泡が混入したことを初めて判断し、制御部に知らせるようにしている。
しかし、このように検出することは一定流量制御の場合には、なるほど有効であるが、上記のように流量設定範囲が最小の0.1〜最大の1200mL/hの場合には、採用できない。
そこで、図13(a)に図示のように超音波送信を行う送信回路142に送信側振動子(送信部)143を接続し、上流受信振動子(受信部)144と下流受信振動子(受信部)145とを気泡Kの許容長さL分となる距離Lとなるように所定間隔離間するように配設し、信号切換回路147を中継して受信回路146に接続し気泡検出回路236に接続し、共通の送信側振動子143から発生する超音波を上流受信振動子144と下流受信振動子145とで同時に検出したときのみ、気泡検出回路236で気泡有りを検出(判断)するようにして、流量設定範囲の大幅な変動に適用できるようにしている。
すなわち、図16の気泡センサの動作説明のフローチャートにおいて、ステップS21では上流受信振動子144が基準値より大きいオン状態となっているか否かが判断されて、オン状態であると判断されるとステップS22に進み下流受信振動子145が基準値より大きいオン状態となっているか否かが判断されて、オンであると判断されるとステップS23において気泡有りが判断されてフラグが立ち、ステップS24においてモータを強制駆動停止することで、気泡が気泡センサ60の下流に送られることを防止する。その後に、ステップS25に進み「気泡」の文字表示を気泡異常表示部28により行うことで終了する(ステップS26)。また、ステップS21、22でオン状態でないと判断されるとそれぞれステップS27に進みリターンする。
このようにして気泡有りが検出されると気泡混入警報をブザーを鳴らすことで知らせるとともに、図1の気泡異常表示部28の表示を点滅させる。
以上説明の気泡センサにはチューブ内を所定長(長さ約5mm)以上の気泡が通過した時、気泡警報と認識(検出気泡長は、自己診断モードにて変更可能)する気泡感度切換機能が備わっている。このために、上記のオン状態となる気泡検出感度の調整を行うために、検出方法にAD(アナログ・デジタル変換)入力を採用している。警報状態の認識は2チャンネル(A、B)の受信信号を交互に切り換えて監視するようにして、警報発生を上記のAD値≦基準値の状態が気泡長に応じた時間連続した時に発生するようにしている。また、警報解除を基準値<AD値のときに行うようにしている。さらに、気泡検出警報の判定はセンサ出力電圧が基準値以下の状態(2チャンネルとも)が、所定計算式により求められた時間(S[sec])以上継続した場合において、気泡警報を発生させるようにしている。
このときの信号検出周期は2.5msであって、気泡警報表示が点滅し、ブザーが断続音(連続音)にて鳴り、輸液を強制停止する。この後に、警報要因が取り除かれ、かつ、ドアの開閉操作を1度は行わない限り、開始できないようにしている。また、警報要因が取り除かれても、開始スイッチ19或いは早送りスイッチ36が押されないと、警報表示は継続されるようにして気泡混入を解消しないと再開できないようにしている。上記の基準値と所定プログラムはROMデータとして記憶されている。
次に、図14は輸液ポンプのブロック図である。本図において、上記のメイン実装基板14には中央処理部201となる専用LSIからなるメイン中央制御部201aとサブ中央制御部201bが実装されており、この中央制御部201に対して図示のような各回路構成を接続することで制御部(制御手段)200の全体を構成している。
図14の左上からポンプ装置の電源とは独立したリチウム電池204によるバックアップ用の電力供給を受けるようにした時計部203が中央制御部201に接続されており、外部電源、内蔵バッテリのいずれかも電力供給されない場合でも、計時を行うようにしている。また、上述したように裏面に配設されるヒストリースイッチ50と表示明るさスイッチ55とはメイン中央制御部201aに直に接続されている。
メイン中央制御部201aに直に接続されるSRAM記憶部205は、設定された輸液量と予定量を記憶する記憶部206と、使用履歴を記憶する使用ヒストリ部207と、上記のショックセンサ140による衝撃の発生年月日及び時間を記憶するショックヒストリ部208と、閉塞状態が発生したときに閉塞を記憶する閉塞記憶部209と、ガンマ量や時間を記憶するその他の記憶部210とから構成されており、記憶を行えるようにしている。
破線で囲うように示した外部通信端子と外部通信回路から構成される外部通信部211はメイン中央制御部201aに直に接続されることで、パソコンを用いたデータ収集を可能にしている。
EEPROM213は輸液ポンプの動作に必要となる設定値を記憶しており、スイッチを後述のように切換えるようにして設定できるようにしたディップスイッチ214と同じにサブ中央制御部201bに接続されている。ナースコールコネクタ52はナースコール回路215に接続されており、制御部201において発生される各種アラームに応じて、ナースへの呼び出しを行うようにしている。
また、装置の背面に配設される交流電源コネクタ49はヒューズホルダ39に装填自在に設けられたヒューズを介してノイズ成分と脈動を整流するためのフィルター216と電源部217及び充電回路218を介して図示のようにバッテリユニット116に接続される。このバッテリユニット116は、図4で示したように8個のニッカドバッテリセルから構成される繰り返し充電可能な二次電池であるので、サブ制御部201bに接続されるとともに所定レベル以下になる状態をモニターする電圧検出回路221に図示のように接続されるバッテリ監視回路222により電圧が監視されており、電圧が低下すると上記のように表示及び警報を発生する。また、電源スイッチ15には電源回路220に接続される電源スイッチオンオフ回路219が上記の電源部217からの電源供給を受けるように接続されている。
ショック回路225はショックセンサ140に接続されており、輸液ポンプ1の落下ないし乱暴な取り扱いなどで衝撃力が作用したときに制御部201に対してショックセンサ140で発生した落下などによる衝撃の衝撃発生信号を送るようにして、衝撃力発生の発生年月日時間を記憶するようにしている。
次に、輸液量と輸液予定量および輸液累積値など、輸液動作に関する表示を表示部8において行うための表示制御回路230が中央制御部201に接続されており、後述のように発生するコードに基づき表示を行うようにしている。上記の回転検出センサ108には中央制御部201に接続されるモータ回転検出回路231が接続されており、ステッピングモータ106の回転数、回転速度に応じた出力を制御部201に送るようにしている。上記のステッピングモータ106と中央制御部201の間にはモータ駆動回路232が接続されており、ポンプ機構100の駆動を行うようにしている。装置1に内蔵されるブザー70と中央制御部201の間にはブザー駆動回路233が接続されており、動作状態に応じて音を変化させるようにするために中央制御装置201による制御で所定音色、音量を発生するブザー音量可変回路234により制御されるようにしている。
上流側と下流側の閉塞を検出するセンサ61、62から構成される閉塞検出部には中央制御部201に接続される閉塞検出回路235が接続されており、閉塞に応じて検出出力を送るようにしている。また、上述の送信側振動子143と上流受信振動子144と下流受信振動子145と受信回路146と信号切換回路147とから構成される気泡センサ60には、中央制御部201に接続される気泡検出回路236が接続されており、基準以上の長さの気泡混入を中央制御部201に知らせるようにしている。また、ドアロックレバー7と本体ベース3にはドアセンサ90が設けられており、ドアの開閉状態を検出するとともに、中央制御部201との間に接続されたドア開閉検出回路237にドアセンサ90が接続されており、ドア開閉状態を制御部201に知らせるようにしている。
また、特に輸液チューブ2の動作温度として周辺温度を重点に検出するための温度センサ(温度検出部)95は輸液ポンプ1において輸液チューブ2から所定距離離間されて内蔵されており、中央制御部201に接続される温度検出回路238に検出温度を知らせることで後述のモータ制御補正を行えるようにしている。
そして、上記キーパネル部9を構成するための各キースイッチをマトリクッス状に配線した操作スイッチが中央制御部201に接続されており、各キーの操作に基づく制御を行うように構成されている。
次に、図15は、使用手順を示したフローチャートである。本図において、上述した輸液ポンプ1を通常の輸液に用いる場合について図1を参照しながら述べる。ガンマ注入の場合については、後述する。
輸液が行われる患者のカルテ、ないし健康状態を確認した後に、ステップS1において後述する所定薬剤入りの輸液バッグをスタンドに吊設するとともに、輸液チューブ2を輸液バックに接続する。また、流量異常やフリーフローを検出したい場合は、点滴プローブ302を点滴プローブ接続コネクタ53に接続した後、輸液セットスイッチ54を輸液チューブ2の滴数に合わせて切り替えて、点滴プローブ302を点滴筒301に装着する。 次に、ステップS2では、ドアベース4を開いたままで、電源スイッチ15を所定秒(約1秒間)オンするように押す。これに続き、ステップS3では全ての表示が3回点滅する。また、同時にブザーが鳴り、フィンガー10−nが少し動くことを確認する。これらが実行されない場合は、故障と判断して、それ以降の操作は行わない。ステップS3に続いて、ステップS4では、気泡、閉塞、ドア、の表示文字が点滅するので、これを確認する。
以上のステップS1から4で上記の中央制御部の所謂初期化が行なわれる。
続く、ステップS5では、交流直流ランプ17が点灯される。また、プローブを使用する場合には輸液セットの滴数表示部25の「15」または「60」のいずれかの文字を表示することで、点滴プローブが正常に接続されたことを知らせる。
次のステップS6では、解除レバー46を押して、チューブクランプ部47を解除した後に、輸液チューブ2のプラインミングを行い、輸液チューブ2の輸液バッグからの途中部位をチューブホルダ5aに固定し本体ベース3の溝部3m内に曲がらないようにまっすぐにセットして、予め非係止状態に移動しているドアロックレバー7を設けたドア化粧カバー12bを固定したドアベース4を本体ベース3側に回動するようにして、レバー7を下方に移動してドアをベース側に固定する。以上で輸液チューブ2のセットが終了したので、続いて閉塞圧を3段階のいずれかに設定するために流量予定量スイッチ33を押し続けながら、同時にアップダウンスイッチ22の右下側のキーを押すと、流量予定量表示部33に「PrES」と表示されて、閉塞圧の設定モードになるので、そのまま流量予定量スイッチ33を押し続けながら、同時にアップダウンスイッチ22の下側中央のキーを押すたびに、圧力レベルが3段階に切り換わるので、所望の閉塞圧の点灯により閉塞圧を設定する。
ここで、閉塞検出圧の検出範囲は例えば13.3〜133.3kPa(0.1〜1.4kgf/平方cm)であって、複数の所定段階で設定でき、例えば3段階に設定が可能な設定値は、「H」のとき約90kPa(約0.9kgf/平方cm)、「M」のとき約60kPa(約0.6kgf/平方cm)、「L」のとき約30kPa(約0.3kgf/平方cm)である。尚、この設定段階は2〜5段階またはそれ以上に設定できる。
また、アラーム音の音量を3段階に切換えるために、流量予定量スイッチ34を押し続けながら、同時にアップダウンスイッチ22の上右側のキーを押すたびに、流量予定量表示部33に音量が小の「b−1」、中の「b−2」、大の「b−3」と音量レベルが3段階に切り換わるので、大中小の所望の音量に設定する。
次に、ステップS7に進み、流量予定量表示部33の各表示桁に対応したアップダウンスイッチ22の上下いずれかのキーを押すことで、流量の設定を行ない、流量予定量スイッチ34を押して流量の設定が終了するとともに、予定量設定モードに切り換わる。
このステップS7に続き、ステップS8では流量予定量表示部33の各表示桁に対応したアップダウンスイッチ22の上下いずれかのキーを押すことで、予定量の設定を行う。 以上の設定の後に、ステップS9においてクレンメを開いて、ステップS10で患者の静脈に静脈針を穿刺する。
この後に、ステップS11において開始スイッチ19を押すことで輸液が開始されて、ステップS12において動作インジケータ6の緑色の点滅が行われる。そして、続くステップS13では、予定量の輸液が完了すると「完了」の文字が点滅表示される。これに続きステップS14では、ブザーがオンされて輸液終了を知らせる。このときキープベインオープン機能が働き時間当たり1mLで輸液が継続される。ただし、これ以下の流量の場合にはその設定流量で輸液が継続される。
その後、ステップS15で停止消音スイッチ18を押すことでステップS16でアラームがオフされるが、このときキープベインオープン機能が継続する。次に、ステップS17で停止消音スイッチ18をもう一度押すと動作インジケータ6が消灯し、停止表示ランプ21が橙色に点滅し、同時にキープベインオープン機能が解除された停止状態になる(ステップS18)。以上が基本操作の手順であって、後述する機能はステップS11の開始スイッチ19オンをトリガーにして各プログラムが起動する。
次に、図17の閉塞検出のフローチャートに基づき、閉塞検出の動作説明を行う。本図において、図16のステップS11で輸液ポンプ1が起動されるとこのプログラムが起動し、先ずステップS30で予め設定されている閉塞設定圧の大中小を確認することで閉塞設定圧を一時記憶する。この後に、ステップS31に進み上記の上流閉塞センサ61からアナログ・デジタル変換されて送られる最初のデータを上記閉塞設定圧と比較して設定圧よりも高い値であると判断されると上流閉塞センサ61が「オン」であって、閉塞状態であることを判断し、続くステップS32に進む。
このステップS32では、所定周期(例えば100ms)の周期で上流閉塞センサ61から送られるアナログ・デジタル変換データを所定回数(例えば3回)検出して移動平均を得ることで、上記の閉塞設定圧との比較を行い、移動平均が閉塞設定値よりも大きいことが判断されると初めて閉塞検出回路235で閉塞有りを判断する。
ここで、この移動平均とは送られてくる3個のデータを100msの周期で次々とアップデートして平均を得ることを言う。このステップS32で閉塞有りが判断されるとモータ強制停止のフラグが立ちステップS33において、ステッピングモータ106を強制停止する。これに前後して、ステップS34では閉塞異常表示部26の「閉塞」の文字を点滅させて閉塞が発生したことを知らせることで終了する(ステップS35)。
また、ステップS32で移動平均が閉塞設定値よりも小さいことが判断されるとステップS37に進みリターンする。
一方、ステップS31で上流閉塞センサ61から送られるアナログ・デジタル変換データは閉塞設定圧以下である場合には、ステップS36に進み次に下流閉塞センサ62からアナログ・デジタル変換されて送られる最初のデータを上記の閉塞設定圧と比較して設定圧よりも高い値であると判断されると下流閉塞センサ61が「オン」であって、閉塞状態であることを判断して、続くステップS32に進むことで、上流閉塞センサ61と同様に移動平均が閉塞設定値よりも大きいことが判断されると初めて閉塞有りを判断する。
また、ステップS36で移動平均が閉塞設定値よりも小さいことが判断されると突発的な閉塞であったと判断されてステップS37に進みリターンする。
このように、ポンプ機構100を間にして上流側と下流側で輸液チューブ2の閉塞を常にモニターすることにより、より安全な送液を行うことができるようになり、特にポンプ機構100を間にして上流側と下流側で輸液チューブ2の閉塞を常にモニターすることが必要な場合に対応することもできる。
次に、図18(a)は上記のショック回路225に接続されるショックセンサ140による衝撃力発生の発生年月日時間を記憶する動作説明のフローチャートであって、図16のステップS11で輸液ポンプ1が起動されるとこのプログラムが起動する。また、図18(b)は、電源スイッチがオフ状態におけるショックセンサ140による衝撃力発生の発生年月日時間を記憶する動作説明のフローチャートである。
先ず、図18(a)において、ステップS41において電源オンによる信号を受けることで、ステップS42の現在の年月日時間が更新される。このステップS42は常時繰返し実行されて一時記憶され、ステップS43の実行を待つようにしてステップS42に戻り現在の年月日時間が更新される。このようにして更新しつつ待機して、ステップS43で、上記のようにXYZ方向に1つのセンサで感度を有するように固定されたショクセンサ140により、輸液ポンプ1の落下ないし不当な取り扱いにより所定以上の衝撃力(G)により衝撃検知信号が発生して、ショックセンサ信号として認識されると、ステップS44において、衝撃発生の年月日時間が記憶されヒストリに保存される。
その後、ステップS45で、ヒストリースイッチ50が押されると、ヒストリーモードに切り換わり、運転動作履歴とともにショック履歴の衝撃発生の年月日時間が表示部8に表示される。
一方、図18(b)において、電源スイッチがオフ状態では、ステップS47において輸液ポンプ1の落下ないし不当な取り扱いにより衝撃検知信号が発生して、ショックセンサ信号として認識されると、衝撃力発生があったことのみが記憶されて、ステップS49に進み終了し、電源スイッチがオンとなったときに、図18(a)と同様に衝撃発生が記憶される。
以上のように衝撃力発生を電源オンのみならず、電源オフの場合にも常時監視することにより、輸液ポンプ1の動作に不具合が発生したときに、その原因究明の助けとなるようにすることができる。尚、ショクセンサ140は設定された高低差以上の落下またはこれに相当する所定以上の外力により衝撃発生を検出するように設定されている。
続いて、図19は上記のスタンバイ機能の説明のためのフローチャートである。輸液ポンプ1には輸液開始の準備が整い所定時間経過後の約2分経過後においても輸液が開始されないと、動作インジケータ6が赤色点滅し、ブザーがオンすることで開始を促す開始忘れ警報があるが、この警報は邪魔になる場合がある。例えば、手術室において手術開始前に輸液ポンプを患者にセットして執刀医師の執刀を待つような場合には、通常は所定時間(例えば2分間)以上待機することが多い。このような事情から、スタンバイ機能が必要となる。また、この他にも、事前に分かっている何らかの事情で輸液ポンプ1による輸液開始の準備が整った後に2分以内に輸液が開始できない場合もあり、このようなときにスタンバイ機能をセットすることで警報を解除できる。
この機能のセットは図19において、輸液開始の準備が整い2分以上経過するとステップS51でブザーが鳴り同時に動作インジケータ6が赤色点滅する。そこで、ステップS52に進みアラーム音の発生を禁止するための操作入力として、停止消音スイッチ18を所定秒(例えば、2秒)以上押し続けることにより、ブザーが鳴り止み、アラーム発生を禁止するための状態であることを明示するための手段として、動作インジケータ6が赤色点滅から緑色と赤色に交互に点滅する。以上でステップS55のスタンバイモードになり、この状態が保持されて、ステップS56でアラーム発生禁止を解除する解除手段として開始スイッチ19がオンされるのを待ち、続くステップS57ではスタンバイモードが解除されて、ステップS58に進み輸液が開始される。
以上のようにスタンバイ機能を設けることにより、所定時間(2分)毎に鳴るブザーによる、わずらわしさから開放される。
流量設定範囲が0.1mL/h〜最大の1200mL/hと広範囲であると、図20のように流量によって、流量精度が変化する傾向が現れる。
このような傾向は、再現性を有することから、これら増減傾向を補正するようにステッピングモータ106の回転数を段階的に補正すれば増減がゼロに近い輸液が可能になる。図21は、このようにステッピングモータ106の回転数を段階的に補正して駆動するためのプログラムのフローチャートである。本図において、図15のステップS11で輸液ポンプ1が起動されるとこのプログラムが起動して、ステップS61では設定された流量設定値を確認して、次のステップS62に進み25mL/hでの輸液であるか、または25mL/h以下での輸液であるか、あるいは25mL/h以上での輸液であるかを判断して、図示のようにEEPROM213にステップ的に予め記憶されているグラフの実線で示す特性値であって、上記の測定結果に基づく、補正値を反転した破線図示の補正値Hに基づき、補正値を夫々選択する。
これに続き、ステップS63において、上記のように選択された補正値をステッピングモータ駆動のためのプログラムに入力することで、モータ回転の補正を行う。
以上で、流量設定範囲が最小の0.1〜最大の1200mL/hにおける流量変化を考慮に入れた精度の高い輸液を行うことができる。また、より理想的には上記のようにステップ的な補正ではなく、曲線的に補正を行うことが記憶容量さえ確保できればより良いことは言うまでもない。
輸液チューブは低温では硬化して変形しずらくなり、高温では軟化して変形しやすくなる。このために、同じ輸液チューブ2をセットしても温度変化にともない実際の流量が変化することになり、低温では硬化するのでフィンガー押圧に十分に追従して変形できず、流量が減少する一方、高温では輸液チューブが軟化し過剰に変形することで流量が増加する。
図22は輸液チューブの温度依存性の流量変化を示した測定結果であって、図示のように略直線的に温度上昇に略比例して流量が変化する。
したがって、この略直線的な特性を反転したモータ回転補正を行うことで、温度変化にともなう流量変化を略ゼロに補正できるようになる。
図23は、温度補正を考慮したステッピングモータ駆動の制御フローチャートであって、図15のステップS11で輸液ポンプ1が起動されるとこのプログラムが起動して、ステップS65で温度検出部95で周辺温度(動作温度)の検出を行い一時記憶する。その後、ステップS66に進み、基準温度25度C以上であるか、以下であるかの判断が行われて25度C以下である場合にはステップS67でその検出された動作温度(検出温度)に応じて予め記憶されている補正テーブルを参照して補正データを得ることでモータ回転数(回転速度)を高めに補正する。また、ステップS66で検出温度が25度C以上であると判断されると、ステップS68において、その検出温度に応じて予め記憶されている補正テーブルを参照して補正データを得ることでモータ回転数を低めに補正する。
以上のように図20から図23に基づいて夫々説明した設定流量と温度依存を個別または双方を同時に行うことでモータ回転数を補正することで、設定流量が大きな範囲で設定され、かつ使用される温度差が大きな場合であっても、輸液精度誤差を低減することができる。
輸液ポンプ1は24時間使用される場合が多いことから、上記のようにドアを開くと昼夜を問わず自動点灯するドアライト64が、ドアのヒンジ部の近くに設けられており、夜間において室内灯を点灯することなく輸液チューブ2のセット状態の確認を行えるようにしている。
図24は表示部8に設けられるバックライト58の動作説明のフローチャートである。 本図において、上記の図15の動作説明フローチャートのステップS11において開始スイッチ19がオンされることで輸液が開始されると本フローチャートのステップS71が同じに起動されて、ステップS72でスリープモード設定手段の表示明るさスイッチ55が押されるとバックライト58の光量をおとして、照明が患者は就寝するときの妨げにならないようにする。これと同時に、緑に点滅していた動作インジケータ6が消灯される。ステップS74において気泡、閉塞、気泡発生の異常状態が上記のように検出されるとステップS75に進み、バックライト58の光量を元に戻すとともに動作インジケータ6が赤く点滅してアラーム状態が発生したことを患者ないしナースに知らせる。このように、表示器8のバックライト58の明るさを変更できるので、深夜において就寝している他の患者への迷惑をかけることがなくなる。
このステップS75の後に、ステップS76に進みナースなどが輸液チューブ2の閉塞を解消するために再度セットするなどの処置を行うためにドア4を開くとドアライト64が点灯され、処置が終了してドア4が閉じられると、ステップS77においてバックライト58が自動的に減光され、動作インジケータ6は緑色に点滅する。これ以降、輸液が再開される。
以上のように、夜間での使用を考慮して設けられる表示明るさスイッチ55の操作により表示部8に設けられるバックライト58が減光した状態で運転される場合であっても、アラーム発生時にバックライトが自動的に元の光量に戻されるので、安全である。また、このバックライト58は表示明さスイッチ55の操作により連続的または段階的に明るさを可変できるようになっている。
図25は、輸液ポンプ1の別実施形態の正面図であり、上記の各機能に加えてガンマ注入モードが設定できる輸液ポンプの操作スイッチパネルを図示している。本図において、図1で既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、図25において、アップダウンスイッチ22の下方には表示オンオフスイッチ44と項目切換スイッチ45が設けられている。
また、上記の各アラーム表示部の下方にはガンマ量表示部43、体重表示部42、薬剤量表示部41、溶液量表示部40が配設されており、設定パラメータとしてガンマ量(μg/kg/min)、体重(kg)、薬剤量(mg)、溶液量(mL)を図示のように数字で表示するようにしている。
以上のように構成される輸液ポンプにおいて、ガンマ注入を行うためには、図15のフローチャートのステップS6に続いて、設定モード変更スイッチとしての表示オンオフスイッチ44を所定秒(例えば、約2秒間)以上押し続けると内蔵のプログラム起動してガンマ注入モードに移行する。この後に、設定項目変更手段としての項目切換スイッチ45を押すたびに、ガンマ量、体重、薬剤量、溶液量がガンマ量表示部43、体重表示部42、薬剤量表示部41、溶液量表示部40において順次点滅して表示される。このように点滅表示される部分が設定可能であるのでガンマ注入設定手段としてのアップダウンスイッチ22を押して各項目を設定する。
このときのガンマ注入設定可能な範囲は図2626(a)にまとめたように、ガンマ量が0.01〜99.99μg/kg/min(0.01μg/kg/minステップ)であり、体重が0.1〜300.0kg(0.1kgステップ)、薬剤量が0.1〜999.9mg(0.1mgステップ)であり溶液量が0.1〜999.9mL(0.1mLステップ)となっている。また、流量の計算結果が1200mL/hとなると、輸液ポンプの能力を超えるので流量表示が「−−−−」と表示されて、再設定を促すようにしている。
また、ガンマ注入を中止するときは、停止消音スイッチ18を押すことで停止状態にした後に、表示オンオフスイッチ44を所定秒(約2秒間)以上押し続けると、ガンマ量表示部43、体重表示部42、薬剤量表示部41、溶液量表示部40が消灯して、流量の設定が可能な状態になる。
図26(b)は、ガンマ注入モード時の流量計算式であって、上記のように表示オンオフスイッチ44が所定秒(約2秒間)以上押し続けられて起動されるプログラムに記憶されており、ガンマ量(μg/kg/min)、体重(kg)、薬剤量(mg)、溶液量(mL)をこの流量計算式に入力することにより、中央制御部で流量が演算され流量予定量表示部33に表示される。尚、流量計算式において、*1は時間単位をminからhに換算するための係数、*2は重量単位をmgからμgに換算するための係数である。これに続いて図1515のステップS8以降の動作を行うことでガンマ注入が行われる。
ガンマ設定値は記憶可能であって、これまでに使用されたガンマ注入の各設定値を自動的に記憶更新し、順次呼び出すことができる。このためには、ガンマ注入設定表示部が点灯した状態で、表示オンオフスイッチ44を押し続けながら、項目切換スイッチ45を押すと、そのたびにガンマ量、体重、薬剤量、溶液量の各設定値の例えば5つのパターンを最新パターンから順次読み出され表示される。そして、所望の設定値が表示されたら表示オン、オフスイッチ44と項目切換スイッチ45の両方から指先を離すと現在表示されている設定値が確定される。このようにして、特に同じ患者への再使用の際における設定を簡略にしている。尚、ガンマ注入は精度を確保して注入しなければならないことから、従来はシリンジポンプ式の輸液ポンプに限られていたが、上記のように各フィンガーで輸液チューブを上流側と下流側のみ完全に潰し途中部位を完全に潰さないようにすることで輸液チューブの肉厚の影響をなくし精度良く送液する方式を採用することで、蠕動式の輸液ポンプによるガンマ注入が可能となった。
点滴プローブを使用した場合のフリーフロー検出時は、警報を発すると同時にカムを原点復帰させ、第1、第4フィンガー両者でチューブを圧迫させる。また、警報要因が取り除かれても、開始キー或いは早送りキーが押されないと、警報表示は継続される。図2727は、輸液ポンプ1患者が輸液を行う様子を示した外観図である。
本図において、図示のように、輸液ポンプ1は少なくとも3個以上より好ましくは安定を図るために5個のキャスターを設けたスタンド足の中央から起立状態に固定されたスタンドポール310の途中部位において固定された置き台305上に固定される。また、輸液バック300に形成された係止孔に対して係止する係止部を端部に形成したフック311がスタンドポール310の上端から水平方向になるように固定されており、図示のように輸液バック300を着脱自在に固定できるようにしている。尚、移動式の輸液スタンド以外にベッド脇に固定する構成であっても良い。
この輸液バッグ300の出口には途中において点滴筒301を接続した輸液チューブ2が接続されており、この輸液チューブ2を上述のように輸液ポンプ1にセットするとともに、輸液チューブ2のさらに下流側のクレンメ303を介して接続される静脈刺針304を患者の静脈に図示のように刺針する。
また、点滴筒301の透明筒の外周部に対して着脱自在にセットされる点滴セットの点滴プローブ302は図示のように固定されて、より精度の高い輸液を可能にしている。以上のような使用状態にすることで、患者は移動できるようになり、術後の回復を早めることができるようになる。 尚、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。