<1.第1実施形態>
<1−1:スロットマシンの外観構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係るスロットマシン1の外観を示す斜視図である。スロットマシン1の筐体は、本体2と本体2の前面に取り付けられたフロントドア3とを備えている。
フロントドア3中段のパネル表示部Dには、縦長長方形の3つの表示窓4a、4b、4cが設けられている。表示窓4a、4b、4cは、例えばアクリル樹脂等の透明な材料により形成されている。また、表示窓4a、4b、4c上には水平に3本、斜めに2本の入賞ラインL1〜L5が設けられている。
くわえて、表示窓4aの左側には補助表示部20が設けられている。補助表示部20は、各入賞ラインL1〜L5にそれぞれ対応する5個のLEDからなる。プレイヤーがメダルを投入したり、あるいは、後述するベット操作を行うと、ベット数に応じた数の入賞ラインL1〜L5が有効となる。このスロットマシン1では、ベット数が1枚の場合に入賞ラインL1が有効となり、ベット数が2枚の場合に入賞ラインL1〜L3が有効となり、ベット数が3枚の場合に入賞ラインL1〜L5が有効となる。補助表示部20を構成する各LEDは、対応する入賞ラインL1〜L5が有効である場合に点灯し、無効である場合に消灯する。これによって、プレイヤーは、どの入賞ラインL1〜L5が有効であるかを知ることができる。
パネル表示部Dの内側には、各々の外周面に複数種類の図柄が描かれた3列の左・中・右リールR1、R2、R3が回転自在に設けられている。図2に、左・中・右リールR1、R2、R3の構造を示し、図3に、右リールR3の詳細な構造を示す。各リールR1〜R3は、環状の形状をしており、その表面(表示窓4a〜4cから視認可能な面)には各種の図柄が印刷されている。また、右リールR3の裏面には、一部を除いて、光を遮光する遮光膜Sが形成されている。遮光膜Sが形成された部分では、裏面側から光を照射しても光が透過しない。一方、各図柄部分は、遮光膜Sが形成されておらず、光を散乱させるための凹凸部材Pが右リールR3の裏面に形成されている。くわえて、各図柄部分は、リール自体が白色半透明になっている。図3に示す例では、図柄「7」の輪郭部分の内部に凹凸部材Pが形成されている。
また、右リールR3の内周面側には、右リール用照明ユニット670が配置されている。右リール用照明ユニット670は壁によって仕切られた上段・中段・下段シェードを備える。各上段・中段・下段シェードには光源67が設けられている。光源67としては、冷陰極管、LED、あるいは電球を用いることができる。
さらに、右リールR3の一部には、遮光片491がリール本体から突出して設けられており、右リールR3が回転するとその遮光片491はフォトカプラ492を横切る。なお、左リールR1および中リールR2の構造およびその周辺構成は、図3を用いて説明した右リールR3の構造およびその周辺構成と同様である。
図1に戻り、説明を続ける。表示窓4a、4b、4cの下方には、プレイヤーが遊技を実行するための各種操作部材が配置された操作部OPが設けられている。操作部OPは、メダル投入口5、スタートレバー6、停止操作手段としての左・中・右リールストップボタン7a,7b,7c、クレジットボタン8、およびBETボタン15を備える。
メダル投入口5は、表示窓4cの下方に設けられており、メダルを投入できるようになっている。上述したように、メダルを1枚投入すると入賞ラインL1が有効となり、メダルを2枚投入すると入賞ラインL1〜L3が有効となり、メダルを3枚投入すると入賞ラインL1〜L5が有効となる。さらに、プレイヤーが3枚を超えてメダルを投入すると、スロットマシン1は4枚以上のメダル数をクレジットとして貯留する。
BETボタン15は、表示窓4aの左斜下に設けられている。BETボタン15は、プレイヤーが一回のゲームでベットするメダル数を指定するために用いられる。このBETボタン15をプレイヤーが操作することで、メダル投入口5からメダルを投入しなくても、貯留されたメダルをベットすることができる。このため、BETボタン15の操作によって指定されたメダル数に応じて、入賞ラインL1〜L5が適宜有効となる。BETボタン15の操作によって指定されたメダル数と有効となる入賞ラインL1〜L5との関係は、メダルを直接投入する場合と同じである。
スタートレバー6は、BETボタン15の下方に設けられている。スタートレバー6は、プレイヤーがゲームの開始を指示するために用いられる。プレイヤーがスタートレバー6を押し下げると、リールR1、R2、R3が一斉に回転を開始し、表示窓4a、4b、4c内の図柄が可変表示となる。
左・中・右リールストップボタン7a、7b、7cは、スタートレバー6の右横に設けられている。左・中・右リールストップボタン7a、7b、7cは、表示窓4a、4b、4c内で回転する3列の左・中・右リールR1、R2、R3をそれぞれ停止させるために用いられる。
リールストップボタン7cの右側には、メダルをスロットマシン1に貯留するか否かを決定するためのクレジットボタン8が設けられている。プレイヤーがクレジットボタン8を操作することによりクレジットを有効とするか、または無効とするかを変更することができる。所定の場合、メダル払出口10aからメダルがプレイヤーに払い出され、メダル受皿10に貯留される。
<1−2:役>
図4に、左・中・右リールR1、R2、R3に表示される図柄の一例を示す。この図に示すように各リールR1、R2、R3には、21個・6種類の図柄が表示されており、各図柄には図柄番号PN=1〜21が図柄の並び順に沿って一つずつ割り当てられている。
スロットマシン1によるゲームでは、メダルの投入等によって有効にした入賞ラインL1〜L5に予め定められた図柄の組合せが揃うと、揃った図柄に対応した枚数のメダル払い出しが行われる。なお、必要に応じ、以後の説明において、役としてあらかじめ設定された図柄の組合せが有効化された入賞ラインL1〜L5のいずれかに揃うことを、役の「成立」ないし「入賞」と称する。図柄の並び(組合せ)は、ゲームによりプレイヤーが得る利益(遊技価値)を与える「役」と無価値な「入賞無し」とに大別される。本実施形態の役には次のものがある。
1)赤7役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=21、16、または5の図柄、中リールR2における図柄番号PN=21または13の図柄、右リールR3における図柄番号PN=21の図柄の並びである。
2)BAR役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=19または10の図柄、中リールR2における図柄番号PN=12の図柄、右リールR3における図柄番号PN=19または4の図柄の並びである。
3)ベル1役(特定役) この役は、左リールR1における図柄番号PN=17、11、8、または4の図柄、中リールR2における図柄番号PN=19、14、8または2の図柄、右リールR3における図柄番号PN=18、12、9、6または3の図柄の並びである。
4)ベル2役(特定役) この役は、左リールR1における図柄番号PN=17、11、8、または4の図柄、中リールR2における図柄番号PN=19、14、8または2の図柄、右リールR3における図柄番号PN=17、14、10、5、または1の図柄の並びである。このベル2役の図柄の並びは右リールR3の図柄を除いてベル1役のそれと共通である。
5)スイカ役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=15、13、7、3、または2、中リールR2における図柄番号PN=18、16、9、または5の図柄、右リールR3における図柄番号PN=20、16、13、または7の図柄の並びである。
6)チェリー役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=20または12の図柄が入賞ラインL1〜L5のうち有効化されたものに停止すればよく、他のリールの停止位置とは無関係である。
7)リプレイ役 この役は、左リールR1における図柄番号PN=18、14、9、6または1の図柄、中リールR2における図柄番号PN=20、15、11、6または4の図柄、右リールR3における図柄番号PN=17、14、10、5、または1の図柄の並びである。リプレイ役が成立してもメダルの払い出しはないが、再遊技ができる。再遊技とは、新たにメダルを投入することなく再びゲームを行うことをいう。
これらの役には、1枚から15枚の払い出しが付与される役、入賞による払い出しの有無にかかわらずビッグボーナスやレギュラーボーナス等の有利な遊技状態が付与される役、払い出しはないがメダルを投入することなく再度、同数のメダル投入条件で遊技が行える再遊技を付与される役がある。また、これらの役の成否及び役に対するメダルの払い出し数(配当)は遊技状態によってそれぞれ定められているため、これらが常に一定であるとは限らない。
本実施形態では、ベル1役は7枚、スイカ役は15枚、チェリー役は2枚のメダルの払い出しが行われ、リプレイ役は再遊技が可能になる役としてあらかじめ設定されている。また、ベル2役はメダルの払い出しはベル1役と同数の7枚であるが、ベル2役が成立すると、これを契機として遊技状態が通常の遊技状態から再遊技当選高確率ゲーム(以下必要に応じて「RT」又は「RTゲーム」と省略して記載する。)と呼ばれる特別の遊技状態に切り替わる。RT期間中は、内部抽選においてハズレをなくす或いは少なくする一方で、リプレイ役に対応する賞(リプレイ賞)の当選確率を通常の遊技状態のその確率よりも高くなるように設定される。このため、RT期間中には、プレイヤーによるメダルの投入量が減少するので、通常の遊技状態よりもプレイヤーにとって有利な遊技状態となる。従って、ベル2役はベル1役よりも遊技価値が高い。なお、ベル2役の成立条件等の詳しい説明は後述する。
各種の役のうち、ベル1役、スイカ役、チェリー役およびリプレイ役等の2枚から15枚程度の配当や再遊技が付与される等の比較的低い遊技価値に対応する役を総称して小役と呼ぶ。一方、BAR役が入賞すると、遊技状態がレギュラーボーナス(以下、適宜「RB」と省略して記載する。)と呼ばれる特別の遊技状態に移行する。レギュラーボーナスでは、ジャックゲームを12回行うことができる。RB期間は、ジャックゲームを12回行うか、最大8回入賞すると終了となる。ジャックゲームは、1枚のメダルをベットして中央の入賞ラインL1のみを有効にして行われる。ジャックゲームの役としては、リプレイ役を採用する。この役を構成する図柄が入賞ラインL1に揃うとスロットマシン1は15枚のメダル払い出しを行う。つまり、通常の遊技状態ではリプレイ役が揃っても再遊技ができるだけであるが、レギュラーボーナス期間中に行われるジャックゲームにおいて、リプレイ役を構成する図柄が揃うと15枚のメダルの払い出しを受けることができる。また、後述するビッグボーナス中にはレギュラーボーナスの賞にリプレイ役を割り当てている。なお、RBの遊技状態では通常の遊技状態にはないジャックゲームが行われるので、通常の遊技状態と比較してRBの遊技状態はプレイヤーにとって有利な遊技状態であるといえる。
また、赤7役が成立すると、遊技状態が通常の遊技状態からビッグボーナス(以下、必要に応じてビッグボーナスを「BB」と省略して記載する。)と呼ばれる特別の遊技状態に移行する。ビッグボーナス期間中は、レギュラーボーナスが最大3回分行えるのに加えて、小役を高当選確率状態での遊技を最大30回成立させることが可能である。また、遊技の回数ではなく、獲得メダル枚数が所定数を超えるとビッグボーナス期間が終了する形態もある。ビッグボーナスは、レギュラーボーナスと比較してより有利な遊技状態である。
なお、以下の説明では、ビッグボーナス中のレギュラーボーナスと、単独で当選又は入賞したレギュラーボーナスとを区別するため、前者をBB中RBと称し、後者を単独RBと称する。また、遊技状態として、通常の遊技状態のことを「通常中」、ビッグボーナス期間中のことを「BB遊技中」、レギュラーボーナス期間中のことを「RB遊技中」、RT期間中のことを「RT遊技中」とそれぞれ称する。
上述した役には所定の賞群が対応しており、各役に一つの賞群を割り当ててもよいし、一又は複数の役を一つの賞群に割り当ててもよい。本実施形態では、赤7役に対応する賞群としてBB賞、ベル1役及びベル2役に対応する賞群としてベル賞(特定賞)、スイカ役に対応する賞群としてスイカ賞、チェリー役に対応する賞群としてチェリー賞、リプレイ役に対応する賞群としてリプレイ賞があらかじめ設定されている。また、ジャックゲームの役として割り当てられたリプレイ役に対応する賞群としてJAC賞があらかじめ設定されている。
<1−3:スロットマシンの電気的構成>
図5は、スロットマシン1における遊技処理動作の制御を司る制御装置と、スロットマシン1を構成するもののうち本発明に関係のある周辺装置を含む回路構成とを示すブロック図である。制御装置は、制御基板30を主たる構成要素とする。
制御基板30は、CPU31、クロック発生回路32、数列発生回路33、RAM34、ROM35、送出タイミング制御回路36、データ送出回路37、入力ポート38および出力ポート39を備える。
CPU31は、送出タイミング制御回路36を除く制御基板30の各構成要素とバス(図示せず)を介して接続されている。CPU31は、制御プログラムCPを実行して各構成要素を制御する。制御プログラムCPには、スロットマシン1全体をどのように動作させるかが記述されている。このため、CPU31は、スロットマシン1の制御中枢として機能する。クロック発生回路32は、水晶振動子を含む発振回路を備えており、固定周期の基準クロック信号CLKを生成し、これをCPU31と数列発生回路33とに供給する。
数列発生回路33は、高速のリングカウンタで構成されており、基準クロック信号CLKをカウントしてカウントデータCDを生成する。カウントデータCDの数値範囲は、後述する賞群抽選テーブルTBL1の記憶内容によるが、例えば、0〜16383である。カウントデータCDはCPU31に常時供給されており、CPU31は、プレイヤーがスタートレバー6を押し下げたタイミングを検知し、当該タイミングでカウントデータCDをサンプリングすることによって、サンプリングデータSDを生成する。
プレイヤーはカウントデータCDの値を知ることができないから、スタートレバー6がプレイヤーによって押し下げられるタイミングはランダムである。従って、サンプリングデータSDの値は乱数の中からある値をサンプリングしたものと等価である。なお、数列発生回路33は基準クロック信号CLKに同期して動作するので、カウントデータCDの周期は極めて短い。例えば、基準クロック信号CLKの周波数が30MHzであれば、カウントデータCDの値が「0」から「16383」まで変化するのに要する時間は、約0.5msecである。従って、プレイヤーが不正な手段によってカウントデータCDの値を知ることができたとしても、スタートレバー6を操作して所望の値を有するサンプリングデータSDをCPU31に生成させることは不可能である。
次に、RAM34は、CPU31の作業領域として機能し、演算処理の途中結果や必要に応じて生成されたデータや各種の制御に用いるフラグ等を記憶する。また、RAM34は、所定の賞群の当選結果又はその賞群に対応する役の入賞結果のいずれか一方に関連する遊技履歴を記憶する遊技履歴記憶手段として機能する。本実施形態ではこの所定の賞群としてベル賞が設定されている。遊技履歴記憶手段として機能するRAM34は、ベル賞に対応したベル1役に入賞するとこれを管理する入賞カウンタ値CV1を1加算して更新し、所定条件でこれをクリアする入賞カウンタCとして構成されている。詳しくは後述するが、この入賞カウンタCはベル賞に内部当選したときに、この賞群に対応するベル1役又はベル2役のいずれか一方を選択する際に用いられる。
ROM35には、制御プログラムCPの他、賞群抽選テーブル群TBL1、停止テーブル群TBL2、および入賞図柄組合せテーブルTBL3等が格納されている。入賞図柄組合せテーブルTBL3には、入賞した役の図柄の組合せと、そのメダル払出枚数とが対応づけられて記憶されている。
賞群抽選テーブル群TBL1は、複数の賞群抽選テーブルを含む。CPU31は、遊技状態に応じて選択した賞群抽選テーブルを用いて各ゲーム毎に内部抽選を行う。賞群抽選テーブルとして、通常ゲームに用いられるテーブル、BBゲームに用いられるテーブル、、RBゲームに用いられるテーブル、及びRTゲームに用いられるテーブルが用意されている。更に、通常ゲームに用いられるテーブルは、後述するBB当選フラグやRB当選フラグがクリアされているときに用いられるテーブルと、これらの当選フラグがセットされているときに用いられるテーブルとを含む。
一例として、図6に通常ゲーム用の賞群抽選テーブルTBL11の記憶内容を示す。この図に示すように、賞群抽選テーブルTBL11は、第1〜第7記憶領域ADR1〜ADR7に抽選区分データをそれぞれ記憶している。抽選区分データの値は、各賞群に対応する抽選区分の幅を示す。例えば、第1記憶領域ADR1に記憶される抽選区分データはハズレに対応しておりその値は「11437」である。また、第3記憶領域ADR3及び第4記憶領域ADR4に記憶される抽選区分データは、チェリー賞及びべル賞に対応しておりその値はそれぞれ「1200」及び「1300」である。
CPU31は、選択した賞群抽選テーブルの抽選区分の値と上記サンプリングデータSDの値とを所定処理の下で比較対照することにより当選した賞群又はハズレを各ゲームで特定し、内部抽選の結果として内部抽選データISDを生成する。内部抽選データISDは例えば8ビットのデータであって、第1ビットにBB賞、第2ビットにRB賞、第3ビットにベル賞、第4ビットにスイカ賞、第5ビットにチェリー賞、第6ビットにリプレイ賞、及び第7ビットにハズレをそれぞれ割り当てることができる。内部抽選によっていずれかの賞に当選すると、CPU31は該当するビットの値を「1」にし、該当しない場合にはビットの値を「0」にする。従って、内部抽選データISDを参照すれば、当選しているかハズレているか、また当選している賞群を知ることができる。
なお、以下の説明では、内部抽選データISDの第1ビットをBB当選フラグ、第2ビットをRB当選フラグと呼ぶ。そして、BB当選フラグ又はRB当選フラグを「1」にすることをセット、「0」にすることをクリアと呼ぶ。小役に対応する賞群についても同様である。小役に対応する賞群については、あるゲームにおいて内部抽選で当選しても当該ゲームで入賞しない限りメダルの払い出しはない。即ち、小役に対応する賞群の当選フラグは当該ゲームでクリアされる。しかし、RB賞とBB賞についてはあるゲームの内部抽選で当選すると、当該ゲームで入賞しなくてもBB当選フラグ又はRB当選フラグをクリアすることなく、以後のゲームで入賞するまでBB当選フラグ又はRB当選フラグを消去しない。このことを当選フラグの持ち越しという。上述したように内部抽選は各ゲーム毎に実行され、内部抽選データISDが生成され、この抽選結果はRB賞及びBB賞への当選を除いて当該ゲームにおいてのみ有効である。なお、以下の説明では、遊技状態としてBB当選フラグを持ち越している場合を「BB内部中」、RB当選フラグを持ち越している場合を「RB内部中」と呼ぶ。
次に、停止テーブル群TBL2は、複数の停止テーブルから構成されている。各停止テーブルには、中央の入賞ラインL1に表示される図柄番号PNと進みコマ数を示す進みコマ数データとが対応付けられて記憶されている。ここで、進みコマ数とは、プレイヤーが各左・中・右リールストップボタン7a、7b、7cを押し下げてから、各左・中・右リールR1、R2、R3が停止するまでに進む図柄の数のことをいう。
各左・中・右リールR1、R2、R3は高速で回転するため、プレイヤーが特定の図柄を狙ってストップボタンを操作したとしても、所望の図柄を停止させるには、熟練が必要となる。ストップボタン操作の習熟には、プレイヤーの個人差がある。特に、動体視力の低いプレイヤーは所望の図柄を停止させることが難しい。一方、スキルの高いプレイヤーは、所望の図柄が入賞ラインに表示されている時に、ストップボタンを操作することが可能である。
しかしながら、スキルの低いプレイヤーがゲームを楽しむためには、図柄をある程度揃い易くする必要がある一方、内部抽選の結果がハズレである場合には、役が成立しないようにリールの回転を制御する必要がある。停止テーブルは、このようなリール回転の制御に用いられ、各役に対応して用意されている。従って、内部抽選の結果、ある賞群に当選した場合には、その賞群に対応して設定された役に応じ、停止テーブル群TBL2の中から所定数の停止テーブル(停止テーブル群)が選択される。そして、各左・中・右リールR1、R2、R3の停止位置は、停止テーブルを参照して定める。停止テーブルの選択処理及び各リールの停止処理についての詳細は後述する。
図5に戻り、説明を続ける。同図に示す送出タイミング制御回路36とデータ送出回路37とは、内部抽選により決定された役の種類等を液晶表示制御回路61に送信する役割を果たすものである。液晶表示制御回路61は各種の画像データを記憶したROMを備えており、必要に応じて画像データを読み出して液晶表示装置62に供給する。液晶表示装置62は、画像データに基づいて各種の画像を表示する。例えば、BB賞やRB賞の当選結果に関する報知等は、CPU31がデータ送出回路37を介して液晶表示制御回路61に内部抽選データISDを送出し、液晶表示制御回路61が内部抽選データISDの指示する当選賞に対応した画像データをROMから読み出し、読み出した画像データを液晶表示装置62に供給することによって行われる。
また、入力ポート38は、後述する各種のセンサから供給される信号の入力インターフェースである。一方、出力ポート39は、各モータや各種装置に対して制御信号を供給するための出力インターフェースである。また、図示しないが、メダル払い出し装置を備える場合には出力ポート39から制御信号を出力してメダルの払い出しを行い、入力ポート38より払い出し枚数をカウントしてもよい。
入力ポート38に接続され、各種の入力信号を発生する主要な入力信号発生手段としては、以下のものがある。投入メダル検出センサ41は、メダル投入口5を介して投入されるメダルを検知して、1個のメダルに対して1個の出力パルスを生成する。従って、CPU31は、この出力パルスをカウントすることによって、投入されたメダル数を検知することができる。
BETボタンセンサ42はBETボタン15の操作を検出する。スタートレバーセンサ43はスタートレバー6の操作を検出する。左・中・右リールストップボタンセンサ44、45、46は左・中・右リールストップボタン7a、7b、7cの操作をそれぞれ検出する。左・中・右リール位置検出センサ47、48、49は、左・中・右リールR1、R2、R3の回転位置を検出し、検出信号47a、48b、49cを生成する。
右リール位置検出センサ49は、図2および図3に示すフォトカプラ492、増幅器、およびコンパレータを備える。フォトカプラ492は発光部と受光部とを含む。受光部が受光量に応じたレベルの受光信号を出力すると、増幅器が受光信号を増幅する。コンパレータは、増幅器の出力信号を予め定められた閾値と比較して検出信号49aを生成し、これを右リール位置検出センサ49の出力信号として出力する。右リールR3が回転すると、図2に示す遮光片491はフォトカプラ492を1回転1回通過する。従って、検出信号49aによって、右リールR3の回転位置を検知することができる。なお、左・中位置検出センサ47、48は、右リール位置検出センサ49と同様に構成されている。
出力ポート39に接続され、各種の出力信号の供給を受ける主要な手段としては、左・中・右リール駆動モータ51、52、53がある。左・中・右リール駆動モータ51、52、53は、左・中・右リールR1、R2、R3をそれぞれ回転駆動するモータであって、この例では、ステッピングモータによって構成されている。従って、CPU31は左・中・右リール駆動モータ51、52、53に供給する各駆動信号51、52a、53aのパルス数を調整することによって、左・中・右リールR1、R2、R3の停止位置を正確に定めることが可能である。
また、各モータ51、52、53は、420個のパルスによって1回転するように構成されている。上述したように各リールR1、R2、R3には、21個の図柄が形成されているので、20個のパルスをモータに供給することによって1個の図柄を進めることができる。また、CPU31は、各モータ51、52、53に供給するパルス数をカウントし、カウント結果を各位置データMD1、MD2、MD3として保持している。また、各位置データMD1、MD2、MD3の値は検出信号47a、48a、49aがアクティブとなるタイミングでリセットされるようになっている。
図7は、検出信号49a、図柄番号PN、駆動信号53a、および位置データMD3の関係を示すタイミングチャートである。この図に示すように、時刻t1において検出信号49aがローレベルからハイレベルに立ち上がると、位置データMD3の値はリセットされる。時刻t1は、図3に示す遮光片491がフォトカプラ492を通過するタイミングである。このとき、右リールR3の回転位置は、図4に示す図柄番号PN=1の図柄(BAR)が、表示窓4cの中段に表示される。換言すれば、当該図柄が表示窓4cの中段に表示されるように遮光片491とフォトカプラ492との取り付け位置が定められている。
そして、時刻t1から時刻t2までの期間に、20個のパルスが駆動信号53aとして右リール用駆動モータ53に供給されると、右リール用駆動モータ53は右リールR3を1/21回転させる。この結果、表示窓4cの中段には図4に示す図柄番号PN=2の図柄(チェリー)が表示されることになる。以下、同様に図柄が順次表示され、時刻t3に至ると、右リールR3が1回転して再び図柄番号PN=1の図柄(プラム)が表示される。このように、検出信号49a、図柄番号PN、駆動信号53a、および位置データMD3は密接に関係しているから、CPU31は、位置データMD3に基づいて、図柄の表示状態を検知することができる。
なお、左リールR1および中リールR2についても上述した右リールR3と同様に、CPU31は、位置データMD1、MD2に基づいて、図柄の表示状態を検知することができる。
<1−4:スロットマシンの全体動作>
次に、スロットマシン1の全体動作を説明する。図8及び図9はCPU31が制御プログラムCPに従ってスロットマシン1を1ゲームの開始から終了まで制御する動作を示すフローチャートである。1ゲームは、後述するプレイヤーによるベット操作により開始し、各賞群に対応した役の入賞の当否が確定することにより終了する。そして次のベット操作により次のゲームが開始する。
CPU31は、投入メダル検出センサ41およびBETボタンセンサ42からの検出信号に基づいて、プレイヤーがベット操作を行ったか否かを判定し(ステップS1)、ベット操作有りと判定した場合には処理をステップS2に進める。
ステップS2において、CPU31は、スタートレバーセンサ43の検出信号に基づいて、プレイヤーがスタートレバー6を操作したか否かを判定する。プレイヤーがスタートレバー6を操作すると、CPU31は、ベット操作を禁止する処理を行う(ステップS3)。ベット操作が禁止されると、禁止が解除されまでの期間、プレイヤーがメダルの投入やBETボタン15を操作しても受け付けが拒否される。
次に、CPU31は、遊技状態に応じた賞群抽選テーブルの設定を行う(ステップS4)。遊技状態としては、上述した通り、通常の遊技状態の「通常中」、ビックボーナス期間中の「BB遊技中」、レギュラーボーナス期間中の「RB遊技中」、RTゲーム期間中の「RT遊技中」、BB当選フラグを持ち越している場合の「BB内部中」、及びRB当選フラグを持ち越している場合の「RB内部中」がある。
具体的には、賞群抽選テーブル群TBL1の中から、通常ゲーム、RBゲーム、BBゲーム、及びRTゲームに応じた賞群抽選テーブルを選択する。この場合、CPU31はRAM34に記憶したBB当選フラグ等を参照して、当該ゲームの遊技状態を特定し、その結果に基づいて賞群抽選テーブルを選択する。
次に、CPU31は、内部抽選処理を実行する(ステップS5)。内部抽選処理は、スタートレバー6の操作タイミングに応じて生成したサンプリングデータSDに基づいて、ステップS4で設定した賞群抽選テーブルを参照して各賞群の当選又はハズレのいずれかを特定する。この処理をCPU31が実行することにより、CPU31は抽選手段として機能する。内部抽選処理が終了すると、CPU31は遊技状態が「RB中」であるか否かを判定する(ステップS6)。
遊技状態が「RB中でない」ときは、続くステップS7に処理を進め、図10に示したように、内部抽選の結果に応じて各当選フラグのセット処理を行う(ステップS701〜S717)。なお、図10の処理において、RTゲーム中にBB賞又はRB賞に当選した場合には、BB当選フラグ、単独RB当選フラグ、及びBB中RB当選フラグがセットされる(ステップS702、S705、S708)。そして、BB当選フラグ及び単独RB当選フラグがセットされた後に、RT遊技中フラグとRTゲーム回数がそれぞれクリアされる(ステップS703、S706)。
図8及び図9に戻り、当選フラグセット処理が終了すると、CPU31はリール停止テーブル群TBL2の選択処理を行う(ステップS8)。この選択処理の処理内容を図11に示す。この図に示したように、CPU31は、内部抽選データISDを参照して、リプレイ当選フラグ、スイカ当選フラグ、ベル当選フラグ、チェリー当選フラグ、BB当選フラグ、単独RB当選フラグ、及びBB中RB当選フラグがセットされているか否かをそれぞれ判定する(ステップS801〜807)。
そして、CPU31は、リプレイ当選フラグがセットされていればリプレイ用停止テーブル群を選択し(ステップS808)、スイカ当選フラグがセットされていればスイカ用停止テーブル群を選択し(ステップS809)、チェリー当選フラグがセットされていればチェリー用停止テーブル群を選択し(ステップS813)、BB当選フラグがセットされていればBB用停止テーブル群を選択し(ステップS814)、単独RB当選フラグがセットされていれば単独RB用停止テーブル群を選択し(ステップS815)、BB中RB当選フラグがセットされていればBB中RB用停止テーブル群を選択する(ステップS816)。
ステップS803において、ベル当選フラグがセットされている場合には、特定賞としてのベル賞に内部当選していることになる。このため、CPU31はベル賞に対応したベル1役又はベル2役のいずれかに応じた停止テーブル群を選択する処理を実行する(ステップS810〜S812)。ステップS803をCPU31が実行することにより、CPU31は特定賞の当選の成否を判定する判定手段として機能する。CPU31は、まず遊技状態がBB中であるか否かを判定し(ステップS810)、BB中であるときは、ベル1役に対応したベル1役用停止テーブル群を選択する(ステップS811)。一方、BB中でないときには、履歴参照テーブルTBL4より入賞カウンタ値CV1に対応した停止テーブル群を選択する(ステップS812)。CPU31がこの処理を実行することにより、CPU31は特定役の中から一つの役を選択する選択手段として機能する。即ち、まずCPU31はRAM34の記憶内容を参照し、入賞カウンタCから現在の入賞カウンタ値CV1を読み出す。そして、選択すべき停止テーブル群を入賞カウンタ値CV1に関連付けてそれぞれ定めている履歴参照テーブルTBL4を参照し、これに基づいて停止テーブル群を選択する。この履歴参照テーブルTBL4はROM35に格納されている(図5参照)。後述するように、入賞カウンタ値CV1はベル賞に対応した役(ベル1役)に入賞する度に1加算される(図20参照)。従って、ステップS812により、ベル1役の入賞回数に応じた停止テーブル群が選択されることになる。図12は履歴参照テーブルTBL4の一例を示したものである。この図に示したように、入賞カウンタ値CV1が0又は1のときに、ベル1役用停止テーブル群が指定されており、入賞カウンタ値CV1が2以上のときに、ベル2役用の停止テーブル群が指定されている。従って、過去2回に亘りベル1役に連続して入賞し、かつ現在のゲームでベル賞に当選した場合には、ベル賞に対応する役としてベル2役が選択されることになる。
一方、ステップS801〜S807に示された当選フラグのうち、いずれの当選フラグもセットされていない場合にはハズレ用停止テーブル群が選択される(ステップS817)。
図8及び図9に戻り、ステップS6にて現在の遊技状態が「RB中」であると判定した場合には、CPU31はステップS9に処理を進め、図13に示したようにJAC賞の当選を判定し(ステップS901)、JAC賞に当選している場合にはJAC当選フラグをセットする(ステップS902)。そして、図8及び図9に戻り、ステップS10に処理を進める。この処理は、図14に示したように、まずCPU31はJAC当選フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS1001)。そして、JAC当選フラグがセットされている場合には、JAC用停止テーブル群を選択し処理を終える(ステップS1002)。一方、JAC当選フラグがセットされていない場合には、ハズレ用停止テーブル群が選択される(ステップS1003)。
説明を図8及び図9に戻す。停止テーブル群の選択が終了すると、次にCPU31は、リールの回転を開始させ(ステップS11)、リール停止制御処理を実行する(ステップS12)。図15は、リール停止制御処理の内容を示すフローチャートである。まず、CPU31は、1回目のボタン停止操作があったか否かを判定する(ステップS1201)。
1回目のリールストップボタンの停止操作が検出されると、CPU31は今回、押下されたリールストップボタン7a〜7cの停止ボタン番号(ボタンの種別)を取得し(ステップS1202)、停止操作直後の図柄番号PNを取得する(ステップS1203)。具体的には、CPU31は各リールストップボタン7a、7b、7cが押し下げられたタイミングを各リールストップボタンセンサ44〜46からの停止指示信号44a〜46aに基づいて検知し、当該タイミングにおける図柄番号PNを取得する。この例では、リールストップボタン7aに停止ボタン番号「1」、リールストップボタン7bに停止ボタン番号「2」、リールストップボタン7cに停止ボタン番号「3」がそれぞれ割り当てられている。
次に、CPU31は、ステップS8及びS10(図8及び図9参照)において選択された停止テーブル群の中から、内部抽選データISD及び停止ボタン番号等に基づいて、使用可能な停止テーブル群を限定し(ステップS1204)、停止操作順別の停止テーブルの組合せを特定する(ステップS1205)。この後、CPU31は、第1停止に使用する停止テーブルを決定する(ステップS1206)。なお、ステップS1205において停止テーブルの組合せが複数ある場合には、CPU31は抽選等により第1停止に使用する停止テーブルを決定する。
次に、CPU31は、決定した停止テーブルから図柄番号に応じた進みコマ数を取得し(ステップS1207)、続いて、進みコマ数に基づいて停止操作のあったリールを停止させる(ステップS1208)。
続いて、CPU31は、2回目のボタン停止操作があったか否かを、停止指示信号44a〜46aに基づいて判定し(ステップS1209)、2回目のボタン停止操作があると、停止ボタン番号の取得(ステップS1210)、図柄番号の取得(ステップS1211)、停止テーブルの決定(ステップS1212)、進みコマ数の取得(ステップS1213)、及びリール停止(ステップS1214)を実行する。この後、CPU31は、3回目のボタン停止操作があったか否かを、停止指示信号44a〜46aに基づいて判定し(ステップS1215)、3回目のボタン停止操作があると、停止ボタン番号の取得(ステップS1216)、図柄番号の取得(ステップS1217)、停止テーブルの決定(ステップS1218)、進みコマ数の取得(ステップS1219)、及びリール停止(ステップS1220)を実行する。ステップS1210からS1214までの処理及びステップS1216からS1220までの処理は、ステップS1202、S1203、及びS1205〜S1208までの処理と同様であるので、詳細な説明を省略する。
図11及び図14の停止テーブル群の選択処理、並びに図15のリール停止制御処理をCPU31が実行することにより、当選した賞群に対応する役に応じた各リールR1〜R3の停止制御(いわゆる図柄の引き込み制御)、或いは、内部抽選でハズレの場合に役に対応する図柄を入賞ライン上に揃えないように各リールR1〜R3を停止させる制御(いわゆる蹴り飛ばし制御)が行われ、CPU31は停止制御手段として機能することになる。また、図11のステップS812にて、入賞カウンタ値CV1に応じてベル1役又はベル2役に対応した停止テーブル群が選択されるので、当選した賞群がベル賞の場合には、各リールの停止制御が選択された役に応じて異なるものになる。
説明を図8及び図9に戻す。次にCPU31は、RTゲームの終了の有無を判定するRTゲーム終了判定処理を行う(ステップS13)。図16はこの処理の内容を示したフローチャートである。この図に示したように、CPU31は、まずRT遊技中フラグを参照して、現在の遊技状態がRTゲーム中であるか否かを判定する(ステップS1301)。RTゲーム中でないときは、以後の処理をスキップして今回の処理を終える。一方、RTゲーム中であると判定したときは、後述するRTゲーム設定処理(図18参照)において設定したRTゲームの実行回数(RTゲーム回数)から1減算する(ステップS1302)。
続いて、CPU31は、残りのRTゲーム回数(残りRTゲーム回数)が0か否かを判定する(ステップS1303)。残りRTゲーム回数が0のときは、今回のゲームでRTゲームが終了することになるので、RT遊技中フラグをクリアする(ステップS1304)。一方、残りRTゲーム回数が0でないときは、残りRTゲーム回数を図示しない表示装置に表示する(ステップS1305)。
説明を図8及び図9に戻す。次に、CPU31は、リプレイ賞に対応した役に入賞したか否かを判定する(ステップS14)。リプレイ賞に対応した役に入賞すると、ベット操作を行うことなく、前ゲームで有効化された入賞ラインと同じ入賞ラインが自動的に有効化される。このため、リプレイ賞に対応した役に入賞している場合には、CPU31は、リプレイ当選フラグをクリアし(ステップS15)、処理をステップS2に戻す。
一方、リプレイ賞に対応した役に入賞していないと判定された場合には、CPU31は、現在の遊技状態がRBゲーム中であるか否かを判定する(ステップS16)。RBゲーム中でないときは、処理をステップS17に進め入賞判定処理を行う。CPU31は、図17に示すように、スイカ役の入賞、ベル1役の入賞(ベル1入賞)、ベル2役の入賞(ベル2入賞)、又はチェリー役の入賞の当否を入賞フラグに基づいて順次判定し(ステップS1701〜S1704)、入賞図柄組合せテーブルTBL3を参照して入賞役に応じた数のメダルの払い出しを行うよう各部の制御を行う(ステップS1705〜S1708)。
ステップS1703にてベル2役の入賞が判定されたときには、次回のゲームからRTゲームが開始されるように、メダル払出処理(ステップS1707)の後に、RTゲーム設定処理が行われる(ステップS1709)。CPU31がステップS1703及びステップS1709の処理を実行することにより、CPU31は遊技状態切替手段として機能する。図18に示すように、CPU31は、まずRTゲームの実行回数(RTゲーム回数)を抽選により決定する(ステップS1711)。続いて、RTゲーム中にベル2役の入賞が判定された場合に、現在のRTゲーム回数に所定回数上乗せする加算処理を行う(ステップS1712)。続いて、RTゲーム回数が0か否かを判定し(ステップS1713)、これが0でない場合には、RT遊技中フラグをセットする(ステップS1714)。一方、0の場合はステップS1714をスキップして処理を終える。
図17に戻り、CPU31は、単独RBに入賞しているか否か(ステップS1715)、又はBB中RBに入賞しているか否か(ステップS1716)を順次判定し、これらが肯定される場合には、それぞれの入賞態様に応じてメダル払い出し処理を行うとともに(ステップS1717、ステップS1718)、RBゲーム開始処理を行う(ステップS1719、S1720)。RBゲーム開始処理は、図示はしないがRB遊技中フラグをセットすると共に、JAC入賞回数を設定し(例えば8回)、JACゲームの回数を設定する(例えば12回)。
続いてCPU31は、ステップS1721において、BBゲーム中であるか否かを判定する。現在の遊技状態がBBゲーム中であるときは、処理をBBゲーム終了判定処理(ステップS1722)に進める。この処理では、図示はしないが、BBゲームにおいて、レギュラーボーナス(BB中RB)が最大3回行われたか、又は小役が高確率で当選する遊技状態での遊技を最大30回行われたか否かを判定し、所定ゲーム回数を超えているときはBB遊技中フラグをクリアする。別の例としては、獲得メダル枚数が所定枚数(例えば、450枚)を超えているか否かを判定し、所定枚数を超えているときはBB遊技中フラグをクリアする。一方、獲得メダル枚数が所定枚数に達しない場合は、BBゲーム中の獲得メダル枚数を図示しない表示手段に表示させる。
次に、CPU31はBB賞に対応した役に入賞したか否かを判定し(ステップS1723)、BB賞に対応した役に入賞している場合には、所定のメダルの払い出しを行い(ステップS1724)、BBゲームの開始処理を行う(ステップS1725)。BBゲームの開始処理では、図示はしないが、BB遊技中フラグをセットするとともに、メダルの獲得枚数のカウント値をクリアする。
説明を図8及び図9に戻す。ステップS16において遊技状態がRBゲーム中であると判定されたときは、処理をステップS18に進め、RBゲーム中における入賞判定処理を実行する。この入賞判定処理は、図19に示したように、JAC賞に対応した役の入賞の当否を判定し(ステップS1801)、JAC賞に対応した役に入賞している場合には、所定枚数のメダルの払い出し処理が行われる(ステップS1802)。一方、JAC賞に対応した役に入賞していない場合には、現在の遊技状態がRBゲーム中であるか否かを判定する(ステップS1803)。RBゲーム中である場合には、処理をステップS1804に進め、RBゲーム終了判定処理を行う。この処理は、図示はしないがRBゲームの進行の管理指標として設定したJAC賞に対応する役への入賞回数を管理する。そして、この回数が所定回数に達した場合にRB遊技中フラグをクリアして、RBゲームを終了する。その一方で、所定回数に満たない場合には残りのJACゲームの回数を表示させる処理である。次に、CPU31は遊技状態がBBゲーム中であるか否かを判定する(ステップS1805)。BBゲーム中であると判定されたときはBBゲーム終了判定処理を行う(ステップS1806)。この処理は、図18のステップS1722の処理と同一であるので説明を省略する。以上の入賞判定処理及び図8のステップS14の処理をCPU31が実行することにより、CPU31は入賞判定手段として機能する。
説明を図8及び図9に戻す。入賞判定処理(ステップS17又はステップS18)が行われた後に、CPU31は処理をステップS19に進め、上述した入賞カウンタCの更新処理を行う。この処理は、図20に示したように、まず、BB中又はRB中であるか否かを判定する(ステップ1900)。そして、ステップS1900にてBB中又はRB中でないと判定された場合には、次にベル1役の入賞(ベル1入賞)の当否を判定する(ステップS1901)。ベル1役に入賞したと判定された場合には、現在の入賞カウンタ値CV1に1加算し、入賞カウンタ値CV1を加算値に更新する(ステップS1902)。一方、BB中若しくはRB中である場合、又はベル1役に入賞しない場合には、入賞カウンタCは初期化、即ち入賞カウンタ値CV1が0にリセットされる(ステップS1903)。
図8及び図9に戻り、その後、CPU31は、1ゲームの終了処理を実行し(ステップS20)、BET操作の禁止を解除することにより(ステップS21)、1ゲームが終了する。
以上、スロットマシン1の1ゲームの動作を説明したが、この動作が繰り返されることにより、ベル賞の入賞回数に応じてベル賞と役との対応関係が変化する。例えば、内部抽選でハズレとなった後の次回のゲームを1ゲーム目とすると、1ゲーム目でベル賞に当選した場合には、入賞カウンタ値CV1は初期化されているので(図20ステップS1903参照)、役としてベル1役が選択され、このベル1役に応じた停止制御が行われることになる(図11ステップS812、図13、及び図15参照)。そして、1ゲーム目でベル1役に入賞したときは、入賞カウンタ値CV1が1になる(図20ステップS1902参照)。従って、次の2ゲーム目でもベル賞に当選した場合には、その役としてベル1役が選択され、停止制御がベル1役に応じたものとなる(図11ステップS812、図13、及び図15参照)。2ゲーム目でベル1役に入賞した場合には1ゲーム目と同様に入賞カウンタ値CV1が2に更新される。更に3ゲーム目にも連続してベル賞に当選した場合には、1、2ゲーム目とは異なるベル2役が選択され、これによりベル賞の当選による停止制御がベル2役に応じた停止制御に変更されることになる。
このように本実施形態では、ベル賞と役との対応関係がベル1役の過去の入賞回数によって変化することになる。このため、プレイヤーに対してベル1役の連続入賞という複数ゲーム間に亘る遊技履歴に興味を与えることができるので、いきおい単調となりがちであったスロットマシンのゲーム進行に変化を与え、新たなゲーム性を提供することができる。しかも、本実施形態においては、ベル2役の入賞がプレイヤーにとって遊技価値が通常よりも高く有利な高いRTゲームへ移行する契機となっているので、2連続でベル1役に入賞した状況に遭遇したプレイヤーに対して、次のゲームでの緊張感を高めるとともに、ベル2役に入賞させようとする意欲を増加させることができる。
また、過去の遊技履歴を記憶する手段として、入賞カウンタCを採用しているため、入賞態様に応じて入賞カウンタ値CV1を加算或いは初期化をするだけでよい。従って、例えば遊技履歴を逐次記憶してゆく場合と比較して、記憶容量を削減することができ、しかも処理を簡素化できる。
また、上述したように、ベル1役とベル2役に応じたメダルの払出し(配当)を同一としている。従って、スロットマシン1の出玉率の算出にあたり、ベル1役とベル2役の入賞率の差を考慮すれば足りるので、出玉設計の困難性を緩和できる。
<2.第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態について説明する。この実施形態は、履歴参照テーブルTBL4(図12)及び入賞カウンタ更新処理(図20)の内容が第1実施形態と異なる。以下の説明では、相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する部分の詳細な説明は省略する。
図21に示したように、本実施形態の履歴参照テーブルTBL4では、入賞カウンタ値CV1が0〜2までの場合には、ベル1役用の停止テーブル群が指定され、3以上の場合にはベル2役用の停止テーブル群が指定されるように構成されている。一方、図22に示したように、本実施形態の入賞カウンタ更新処理では、所定の賞群の当選及びその賞群に対応した役の入賞の両者を考慮して入賞カウンタCの更新処理が行われる。
即ち、CPU31は、まずBBゲーム中又はRBゲーム中であるか否かを判定し(ステップS2001)、これらのいずれかに該当するときは入賞カウンタCを初期化する。即ち入賞カウンタ値CV1を0にリセットする(ステップS2007)。一方、BBゲーム中及びRBゲーム中のいずれでもない場合には、CPU31は、図23に示した当選フラグ参照テーブルTBL5から、入賞カウンタ値CV1に応じてそれぞれ指定されている当選フラグの参照先(当選フラグ参照データ)を読み出し、この当選フラグ参照データで指定された当選フラグと今回の当選フラグと比較する(ステップS2002)。なお、当選フラグ参照テーブルTBL5の「なし」は、いずれの当選フラグと比較しても不一致となるように定められたデータである。また、この当選フラグ参照テーブルTBL5は、ROM35に格納されている。
次に、ステップS2002にて比較した結果、当選フラグが当選フラグ参照データと一致しているか否かを判定する(ステップS2003)。一致している場合には、ステップS2006に処理を進め、入賞カウンタ値CV1の現在の値に1加算し、入賞カウンタ値CV1を更新する。一方、ステップS2003にて当選フラグが一致していないと判定した場合には、CPU31は処理を続くステップS2004に進める。なお、上記当選フラグ参照テーブルTBL5の「なし」を読み出した場合には、ステップS2003においては常に否定(NO)されることになる。
ステップS2004では、図24に示した入賞参照テーブルTBL6から、入賞カウンタ値CV1に応じてそれぞれ指定されている入賞した役の参照先(入賞参照データ)を読み出し、この入賞参照データと今回の入賞とを比較する。この入賞参照テーブルTBL6はROM35に格納されている。また、入賞参照テーブルTBL6の「なし」はいずれの入賞とも不一致となるように設定されたデータである。また、テーブルTBL6のデータは賞群であっても良く、その場合はカウンタ値CV1に入賞した役に対応する賞群としてカウントしても良い。次に、ステップS2004にて比較した結果、今回の入賞と入賞参照データとが一致しているか否かを判定し(ステップS2005)、一致する場合は入賞カウンタ値CV1の現在の値に1加算し、入賞カウンタ値CV1を更新する(ステップS2006)。一方、不一致の場合は、入賞カウンタCを初期化する。即ち入賞カウンタ値CV1を0にリセットする(ステップS2007)。
本実施形態のスロットマシンによれば、当選フラグ参照テーブルTBL5又は入賞参照テーブルTBL6の内容を変更することにより、過去の遊技履歴として管理する賞の種類や、その当選と入賞の条件の両者を変化させることができるので、ベル1役からベル2役に切り替わるまでの過程を第1実施形態の場合よりも多様なものとすることができる。より具体的には、上記に例示した当選フラグ参照テーブルTBL5又は入賞参照テーブルTBL6の内容に従うと、「チェリー役の入賞 → ベル賞の当選又はベル1役の入賞 → スイカ賞の当選」の遊技履歴の後に続いて、現在のゲームでベル賞に当選した場合にはその停止制御がベル2役に応じたものに切り替わることになる。従って、複数ゲームに亘る遊技履歴のパターンを多様なものとしてプレーヤーの興味をより高めることができるので、スロットマシンのゲーム進行に一層の変化を与えることができる。
<3.変形例>
以上、現時点において、最も、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態及び第2実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う遊技機及びその制御方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。例えば、以下に述べる変形例は、本発明に包含されることは勿論である。
(1)上述した各実施形態では、ベル賞と役(図柄の組合せ)との対応関係を変化させているが、賞群としてはベル賞に限定されず、他の賞群でもよい。また、ベル賞にベル1役とベル2役を対応させているが、更にベル3役、ベル4役等の2つ以上の役を対応させてもよい。更に、各実施形態では、ベル2役の入賞をRTゲームを開始する契機としたものを例示したが、ベル2役によるRTゲームの契機としなくてもよく、ベル1役の入賞とベル2役の入賞に付与される遊技価値を完全に同一にしてもよい。このようにすれば、出玉設計の困難性を更に緩和するすることができる。
(2)また、ベル1役とベル2役の引き込み率(役に対応した図柄の組合せを所定の入賞ライン上に揃える難易度)が同一となるようにリールR1〜R3の図柄の配列を設定してもよい。このようにすれば、出玉率を算出するに当たり、ベル1役とベル2役の選択比率を考慮すれば足りるので、出玉設計の困難性を緩和することができる。また、ベル1役とベル2役に関し、これらの引き込み率と付与される遊技価値の両者を同一に設定してもよい。このようにすれば、出玉設計をより容易なものとすることができる。
(3)また、ベル1役又はベル2役の少なくとも一方の引き込み率を100%になるようにリールR1〜R3の図柄配列を設定してもよい。このようにすれば、いわゆる目押しの機会が減少するので疲労感を緩和でき、初心者でも容易にゲームを楽しむことができる。
(4)上述した各実施形態では、履歴参照テーブルTBL4に従って、ベル1役又はベル2役のいずれかを選択していたが、履歴参照テーブルTBL4に定めた条件によらず、所定確率の抽選を実行して、ベル1役又はベル2役のいずれかを選択してもよい。このような抽選処理をCPU31に実行させることにより、CPU31は特定役抽選手段として機能することになる。このようにすれば、プレイヤーに意外性を付与することができる。言い換えれば、ベル1役からベル2役への変化するまでの過程がワンパターンになることを防止できる。この場合、所定確率は意外性を付与することができる限度で設定すればよい。また、履歴参照テーブルTBL4等を使用せずに、入賞カウンタ値CV1に所定の閾値を設け、その閾値と現在の入賞カウンタ値CV1とを比較し、その大小でベル1役又はベル2役のいずれか一方を選択するようにしてもよい。このようにすれば、プログラムをシンプルにでき、またテーブルの格納に必要な記憶容量を削減できるのでハードウエアを有効に利用することができる。
(5)また、上述した第1実施形態では、ベル賞に対応した役(ベル1役)の入賞を入賞カウンタCで管理していたが、このカウンタCの代わりにベル賞の当選回数に応じて増減する当選カウンタを設けてもよい。また、第1実施形態において、ベル1役の入賞の後に、次回のゲームで他の賞群が当選しても入賞カウンタ値CV1をクリアしないよう処理してもよい。このようにすれば、ベル1役の連続入賞が途切れても入賞カウンタ値CV1が維持されることになる。この場合の具体的な処理は、例えば入賞カウンタ更新処理(図20)において、ステップS1901とステップS1903の間に、ベル賞以外(例えばスイカ賞)の当選の成否を判定するステップを設け、ベル賞以外の賞群に当選した場合には、ステップS1903をスキップするようにすればよい。
(6)また、上述した各実施形態では、BB中にRTゲーム開始の契機となるベル2役の停止制御を行うことは無いが、BB中も遊技履歴をカウンタで管理し、ベル2役の停止制御を行っても良い。この場合の具体的な形態は、BB中のRTゲーム用の賞群抽選テーブル(例えば、各実施形態におけるBB中の賞群抽選テーブルの各賞群およびまたはハズレの抽選区分データの大部分を再遊技賞の抽選区分データに置換したものを提示できる。)を設け、その具体的な処理として、図10のステップS708の処理に続いてS706と同様のRT遊技中フラグとRTゲーム回数をクリアするステップを設け、図11のステップS810とS811を削除し、S803のベル当選フラグがセットされている場合にはS812の履歴参照テーブルにより、入賞カウンタに対応した停止データ群を選択する処理に進むようにし、図20のS1900、または図21のS2001のBBまたはRB中の判定処理を削除するように各処理を構成すれば良い。このようにすれば、BB期間中の遊技価値媒体の獲得数に応じてBB期間が終了するスロットマシンにおいては、遊技価値媒体の新たな投入なしに次回の遊技を実行可能となるので、各実施形態に比べて長いBB期間を遊技することができる。
(7)上述した各実施形態は、スロットマシンに関するものであったが、本発明は、上述したスロットマシンを模倣したゲームプログラムまたはゲーム機として捉えることも可能である。この場合には、各リールR1〜R3の代りに、各リールR1〜R3の画像をディスプレイに表示し、それらの動作をゲームプログラムに従って制御すればよい。さらに、本発明は、機械式のリールR1〜R3の代わりに、液晶表示装置等のディスプレイにリールの画像を表示するビデオスロットに適用可能であることは勿論である。
(8)また、上述した各実施形態のスロットマシンとして、メダルの代わりにパチンコ玉を取り込むことが可能な挿入口を設け、例えば5個数のパチンコ玉でメダル1枚に相当するBETができるものであってもよい。このスロットマシンにおいては、遊技媒体として、メダルの代わりにパチンコ玉を使用すること以外のゲーム性については同じである。このスロットマシンでは、パチンコ機と同じ遊技媒体を利用するので、パチンコ機を設置している遊技島にパチンコ機から置き換えて設置することができる。