JP2005251253A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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幸一 正木
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Abstract

【課題】ノイズが低く、出力及びC/Nが高い電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】平均長軸長が30〜65nm、長軸長の変動係数が10〜25%、平均針状比が3.3〜5.5、抗磁力(Hc)が147〜205kA/m、及び飽和磁化(σs)が85〜130A・m/kgの強磁性金属粉末を含む磁性層の回転ヒステリシス積分(RH)が0.85〜1.1であることを特徴とする磁気記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は磁気記録用強磁性金属粉末及び磁気テープ等の磁気記録媒体に関連し、特に強磁性金属粉末及び結合剤を主体とする磁性塗料を支持体上に塗布して磁性層を形成した塗布型の磁気記録媒体に関連し、再生に磁気抵抗効果を利用したMRヘッドを使用したシステムで使用すると特に好適な塗布型磁気記録媒体に関連する。
磁気記録技術は、媒体の繰り返し使用が可能であること、信号の電子化が容易であり周辺機器との組合せによるシステムの構築が可能であること、信号の修正も簡単にできること等の他の記録方式にはない優れた特長を有することから、ビデオ、オーディオ、コンピューター用途等を始めとして様々な分野で幅広く利用されてきた。
そして、機器の小型化、記録再生信号の質の向上、記録の長時間化、記録容量の増大等の要求に対応するために、記録媒体に関しては、記録密度、信頼性、耐久性をより一層向上させることが常に望まれてきた。
例えば、音質及び画質の向上を実現するデジタル記録方式の実用化、ハイビジョンTVに対応した録画方式の開発に対応するために、従来のシステムよりも一層、短波長信号の記録再生ができかつヘッドと媒体の相対速度が大きくなっても信頼性、耐久性が優れた磁気記録媒体が要求されるようになっている。またコンピューター用途も増大するデーターを保存するために大容量のデジタル記録媒体が開発されることが望まれている。
磁気記録媒体の高記録密度を達成するため、使用する信号の短波長化が強力に進められている。信号を記録する領域の長さが使用されている磁性体の大きさと比較できる程度の大きさになると明瞭な磁化遷移状態を作り出すことができないので、実質的に記録不可能となる。このため使用する最短波長に対し充分小さな粒子サイズの磁性体を開発する必要があり、磁性体の微粒子化が長年にわたり指向されている。
強磁性金属粉末(いわゆるメタル粒子)の高Hc化に関連して、磁化反転機構に関連する回転ヒステリシス積分RHに着目した報文(非特許文献1)では、長軸長が71nm以上の磁性粒子を含む磁性層のRHの最小値は1.11である記載があるが、記録波長が短く、再生にMRヘッドを使用するシステムでは粒子体積が大きく、そのためノイズが高く好ましくない。
その他、微粒子かつ高Hcメタル磁性体に関する文献としては、特許文献1〜4があり、また、バリウムフェライト媒体での回転ヒステリシス積分に着目したものに特許文献5がある。
正木、三浦、「粉体および粉末冶金」(1996)、43、p.961〜965 特開平9−22522号公報 特開平9−106535号公報 特開2003−247002号公報 特開平2002−289415号公報 特開2002−260211号公報
本発明、ノイズが低く、出力及びC/Nが高い電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を提供することを課題とする。
本発明の課題は、平均長軸長が30〜65nm、長軸長の変動係数が10〜25%、平均針状比が3.3〜5.5、抗磁力(Hc)が147〜205kA/m、及び飽和磁化(σs)が85〜130A・m/kgの強磁性金属粉末を含む磁性層の回転ヒステリシス積分(RH)が0.85〜1.1であることを特徴とする磁気記録媒体により解決することができる。
本発明は、MRヘッドを用いたシステムで再生したときに特に高出力かつ高C/Nが得られる磁気記録媒体を提供することができる。
本発明は、磁性層の回転ヒステリシス積分(RH)の値を特定の範囲としたことを特徴とするもので、磁性層に用いる強磁性金属粉末の平均長軸長、その変動係数、平均針状比、抗磁力、及び飽和磁化を特定したものである。
回転ヒステリシス積分(RH)を上記のように従来より低い値にする手段としては、上記のような強磁性金属粉末を得ることにあるが、そのための有効な手段としては、以下が挙げられる。
(1)強磁性金属粉末の製造工程、特に還元反応前におけるゲータイトな、ヘマタイトなどの酸化体合成後の酸化体や酸化体への表面処理後における酸化体を湿式分級し、酸化体の微粒子を除去し酸化体の粒度分布を改良する。
上記湿式分級の手段としては、粒度分布の狭い(変動係数の小さい)酸化体を得ることができるのであれば、特に制限されるものではない。具体的な方法としては、合成乃至表面処理された酸化体を、等電点を考慮して酸化体懸濁液のpHを調整し、攪拌後静置し、上部の懸濁液を除き、残渣を濾別し、次いで水で洗浄すること等が挙げられる。
本発明に用いる強磁性金属粉末は、平均長軸長が30〜65nm(好ましくは、35〜60nm、更に好ましくは35〜55nm)、長軸長の変動係数が10〜25%(好ましくは、10〜22%、更に好ましくは10〜20%)、平均針状比が3.3〜5.5(好ましくは、3.5〜5.5、更に好ましくは3.5〜5.0)、抗磁力(Hc)が147〜205kA/m(好ましくは、155〜205kA/m、更に好ましくは160〜205kA/m)、及び飽和磁化(σs)が85〜130A・m/kg(好ましくは、85〜125A・m/kg、更に好ましくは85〜120A・m/kg)である。
磁性層の回転ヒステリシス積分(RH)は0.85〜1.1(好ましくは、0.85〜1.05、更に好ましくは0.90〜1.05)である。RHは、磁気トルク測定により求められるものである。
本発明の磁気記録媒体は、支持体上に上記特定の強磁性金属粉末を含む磁性層を設けてなるものであれば、特にその層構成に制限はない。
また、本発明は以下の態様が好ましい。
・支持体上に主として非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を設け、その上に少なくとも1層以上の磁性層を設けること。
・強磁性金属粉末がCoを含有し、Coの含有量が鉄100原子%に対して5〜45原子%であること。
・強磁性金属粉末の元素組成のうちのAl及び希土類元素成分(希土類としてYを含める)が、強磁性金属粉末原料に付与した焼結防止剤としてのAl化合物及び希土類化合物を由来とするものであること。
・強磁性金属粉末全体中に存在する水溶性アニオンの総和が質量基準で0〜50ppm、水溶性カチオンの総和が質量基準で0〜100ppmであること。
・上記強磁性金属粉末を含む磁性層の抗磁力が135〜240kA/mであり、飽和磁束密度×磁性層厚みが1.0〜100mT・μm、磁性層厚みが0.01〜0.2μm、かつ前記磁性層の表面粗さが3D−MIRAU法による中心面平均表面粗さで1.0〜3.0nmであることを特徴とする磁気記録媒体。
本発明の強磁性金属粉末の元素組成としては、Feを主成分とするものであれば、特に制限はなく、FeまたはそのCo、Ni等との合金が好ましい。Coはσsを大きくしかつ緻密で薄い酸化膜を形成することができるので特に好ましい。Coの含有量はFe100原子%に対し5〜45原子%が好ましく、より好ましくは10〜40原子%である。Coは一部を原料中にドープし次に必要量を表面に被着し原料に添加し、還元により合金化することが好ましい。
本発明で使用できる上記の強磁性金属粉末には、上記原子以外にAlを含むことが好ましく、強磁性金属粉末全体を基準としてAlを含めて20質量%以下の割合で、Si、S、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Sr、W、Au、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Mn、Zn、Sr、B、Ca、Mgなどの原子を含んでもかまわない。これらの元素は出発原料の形状制御の他に、粒子間の焼結防止と還元の促進及び還元した強磁性金属粉末の形状と粒子表面の凹凸制御に効果がある。特に強磁性金属粉末の元素組成のうちのAl及び希土類元素成分(希土類としてYを含める)が、強磁性金属粉末製造における未還元材料に焼結防止剤を付与する工程で焼結防止剤として用いるAl化合物及び希土類化合物由来であることが好ましい。この希土類元素としては、Y、Ndが好ましい。
本発明の強磁性金属粉末中に、Alは、Fe100原子%に対して好ましくは4〜20原子%、更に好ましくは5〜15原子%含むようにするとよく、同様に希土類元素の総和はFe100原子%に対して好ましくは5〜20原子%、更に好ましくは5〜15原子%含むようにするとよい。
本発明の強磁性金属粉末の製法は、上記構造及び特性が得られるのであれば特に制限されるべきものではないが、具体的には、次の方法が例示される。
粒度がよくそろった出発原料に上記等の焼結防止剤により焼結防止処理を行い、慎重に不純物を除去し、脱水時の熱処理条件を検討し、脱水時の窒素流量を多くし、生成する水蒸気を滞留させることなく系外へ除去する。脱水反応を完了した後、熱処理温度を高くし、ヘマタイトの結晶性を高める。次いで水素還元するときに金属酸化物(例えば、Fe)から金属(例えば、Fe)の核生成数を好ましくは1〜3個に制御する。
出発原料は、単分散ゲータイトあるいは単分散ヘマタイトを使用することが好ましい。 出発原料の平均長軸長は40〜90nm、平均針状比が4〜8、長軸長の変動係数25%以下が好ましい。平均長軸長が40nm未満の原料を使用した時、Hc、σsを目的の範囲とすることができない。90nmより大きな原料を使用すると微粒子強磁性金属粉末が得られない。平均針状比が8を超えると、脱水、還元の熱処理過程において、その形状を保持することが困難であり、平均針状比が4未満の時は強磁性金属粉末としたときの抗磁力が小さく高密度記録用の媒体には使用できない。
出発原料は、上述したように好ましくは焼結防止剤により焼結防止処理を施された後、最終的に金属に還元するためには純水素にて350〜650℃で還元する必要があるが、その還元前に同原料を窒素中、350〜750℃でアニール処理をすることが好ましい。 また同原料よりFe、FeO等に還元するときは純水素ではなく各種還元ガスを使用することができる。金属酸化物より金属の核を生成させる時、還元により発生する水を短時間に系外へ除去することあるいは還元により生成する水の量を制御することが好ましい。
よく知られているように強磁性金属粉末は通常、徐酸化処理により、化学的に安定にするためにその粒子表面に酸化被膜が形成せしめられる。また、その表面は少量の水酸化物を含んでもよい。また徐酸化の時に使用するガス中に炭酸ガスが含有されていると、強磁性金属粉末表面の塩基性点に吸着するので、このような炭酸ガスが含まれていてもよい。
強磁性金属粉末の粒子の平均長軸長及び平均針状比を上記とすると磁気記録媒体の表面粗さを小さくすることができる。強磁性金属粉末の粒子の平均長軸長が30nm未満のとき、目的の抗磁力が得られないだけでなく、磁気塗料を作成する時に分散が困難であり、かつ磁場配向しても配向の効果があらわれにくい。また安定化のために形成した酸化膜の影響で高密度記録に必要な高い飽和磁化を確保することが困難になる。強磁性金属粉末の粒子の平均長軸長が65nmを超えると平滑な表面が実現でき難い。
長軸長の変動係数(%)(100×長軸長の標準偏差/平均長軸長)が10〜25%と充分小さく、平均針状比が3.3〜5.5の時、微粒子であっても高HcかつHc分布が小さいので好適である。
本発明の強磁性金属微粉末の飽和磁化は85〜130A・m/kgである。強磁性粉末の抗磁力は147〜205kA/mである。
本発明の強磁性金属粉末は、水溶性イオン量が低いことが好ましい。
強磁性金属粉末の水溶性イオンの中で、アルカリ金属、アルカリ土類金属イオンは磁気記録媒体の磁性層内の脂肪酸と反応し、脂肪酸金属塩を形成するので、高温高湿で長期保管した時、磁性層の摩擦係数を増加させたり、磁気記録媒体の再生出力を低下させる原因となることがある。また脂肪酸アルカリ塩は、磁性層等の層内に存在する鉄イオン(ベンゾヒドロキサム酸と鉄錯体を形成するので定量できる)とも反応し脂肪酸鉄を形成する。 脂肪酸鉄は粘着性が顕著なので特に摩擦係数を増加させる原因となる場合がある。一方、水溶性アニオンは、硫酸イオン、燐酸イオン、フツ素イオン、塩素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン等である。これらアニオンが多いと、強磁性金属粉末に作用し、金属鉄をイオン化させやすくしたり、層内の脂肪酸エステルの分解、ウレタンバインダーの分解を促進する。また極性基含有バインダーの粒子表面への吸着を妨げるので分散性を劣化させる傾向がある。さらに金属ヘッド、金属ガイド、金属ガイドポール等を腐食させる傾向がある。
保存性、金属ヘッドの腐食防止が優れた単層および多層構造の磁気記録媒体を得るべく、水溶性イオンの種類と量に関し好ましい範囲を検討した結果、強磁性金属粉末全体中に存在する水溶性アニオンの総和が質量基準で0〜50ppm、水溶性カチオンの総和が質量基準で0〜100ppmの範囲が好ましいことが分かった。分散性改良のために酸性の官能基をもつ化合物を吸着させる場合は、水溶性アニオンの中で、硫酸イオン、燐酸イオン、硝酸イオンを減少させることが好ましい。硫酸イオンの好ましい範囲は0〜10ppm、より好ましくは0〜5ppm、燐酸イオンの好ましい範囲は0〜8ppm、より好ましくは0〜4ppm、硝酸イオンの好ましい範囲は0〜10ppm、より好ましくは0〜5ppmである。水溶性カチオンは、脂肪酸金属塩の形成を抑制するためにアルカリ金属、アルカリ土類金属イオンを減少させる事が有効である。特にアルカリ金属イオンを減少させる事が有効で、0〜30ppmが好ましく、より好ましくは0〜20ppmである。
本発明でいう水溶性イオンは、強磁性金属粉末5gに蒸留水50mlを添加し25℃で1時間撹拌した抽出液からイオンクロマトを使用し測定され、水溶性カチオンの総和とは、(Na、NH 、K、Mg2+、Ca2+)の総和を、アニオンの総和とは、(F、Cl、NO 、Br、NO 、PO 3−、SO 2−)の総和を各々意味する。アニオンとカチオンの電荷がバランスしないこともあるが、これは溶液のpH(水の解離状態)が異なるためである。
本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、本発明の強磁性金属粉末が少なくとも使用されるが、上記以外の強磁性金属粉末を併用することもできる。
また、強磁性金属粉末には後述する分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行うこともできる。具体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45−18372号公報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭48−39639号公報、米国特許3026215号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同3389014号などに記載されている。
強磁性金属粉末の含水率は0.1〜2質量%とするのが望ましい。後述する結合剤の種類によって強磁性金属粉末の含水率は最適化するのが望ましく、通常0.5〜1.5%程度ととするのが好ましい。
強磁性金属粉末のタップ密度は0.2〜0.8g/cmが望ましい。0.8g/cm以上であると磁性体を徐酸化するときに均一に徐酸化されないので強磁性金属粉末を安全にハンドリングすることが困難であったり、得られた磁気記録媒体の磁化が経時で急速に減少する。0.2cm/g以下では分散が不十分になりやすい。
本発明の磁気記録媒体における磁性層の結合剤樹脂は、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用できる。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1000〜200000、好ましくは10000〜100000、重合度が約50〜1000程度のものである。
このような結合剤樹脂としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエ−テル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。
また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマ−の混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等があげられる。
前記の結合剤樹脂に、より優れた強磁性粉末の分散効果と磁性層の耐久性を得るためには必要に応じ、COOM、SOM、OSOM、P=O(OM)、O−P=O(OM)、(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基)、OH、NR、N(Rは炭化水素基)、エポキシ基、SH、CNなどから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものをもちいることが好ましい。このような極性基の量は10−1〜10−8モル/gであり、好ましくは10−2〜10−6モル/gである。
本発明の磁気記録媒体に用いられる結合剤樹脂は、強磁性金属粉末に対し、5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で用いられる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜100質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜50質量%、ポリイソシアネートは2〜100質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いるのが好ましい。
また、磁性層の強磁性金属粉末の充填度は、使用した強磁性金属粉末のσs及び最大磁束密度(Bm)から計算でき(Bm/4πσs)となり、本発明においてはその値は、望ましくは1.8g/cm以上であり、更に望ましくは2.0g/cm以上、最も好ましくは2.2g/cm以上である。
本発明において、ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.05〜10kg/cm(4.9〜980kPa)、降伏点は0.05〜10kg/cm(4.9〜980kPa)が好ましい。
本発明にもちいるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、oートルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMRミリオネートMTL、武田薬品社製、タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL、等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せでもちいることができる。
本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、通常、潤滑剤、研磨剤、分散剤、帯電防止剤、分散剤、可塑剤、防黴剤等などを始めとする種々の機能を有する素材をその目的に応じて含有させることができる。
本発明の磁性層に使用する潤滑剤としては、ジアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシは炭素数1〜4個)、モノアルキルモノアルコキシポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個、アルコキシは炭素数1〜4個)、フェニルポリシロキサン、フロロアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)などのシリコンオイル;グラファイト等の導電性微粉末;二硫化モリブデン、二硫化タングステンなどの無機粉末;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン塩化ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン等のプラスチック微粉末;α−オレフィン重合物;常温で固体の飽和脂肪酸(炭素数10から22);常温で液状の不飽和脂肪族炭化水素(n−オレフィン二重結合が末端の炭素に結合した化合物、炭素数約20);炭素数12〜20個の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12個の一価のアルコールから成る脂肪酸エステル類、フルオロカーボン類等が使用できる。
上記の中でも飽和脂肪酸と脂肪酸エステルが好ましく、両者を併用することがより好ましい。脂肪酸エステルの原料となるアルコールとしてはエタノール、ブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、2−メチルブチルアルコール、2−ヘキシルデシルアルコール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、s−ブチルアルコール等の系モノアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ソルビタン誘導体等の多価アルコールが挙げられる。同じく脂肪酸としては酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、アラキン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、パルミトレイン酸等の脂肪族カルボン酸またはこれらの混合物が挙げられる。
脂肪酸エステルとしての具体例は、ブチルステアレート、s−ブチルステアレート、イソプロピルステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレート、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、ブチルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステート、ブチルステアレートとブチルパルミテートの混合物、ブトキシエチルステアレート、2−ブトキシ−1−プロピルステアレート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルをステアリン酸でアシル化したもの、ジエチレングリコールジパルミテート、ヘキサメチレンジオールをミリスチン酸でアシル化してジオールとしたもの、グリセリンのオレエート等の種々のエステル化合物を挙げることができる。
さらに、磁気記録媒体を高湿度下で使用するときしばしば生ずる脂肪酸エステルの加水分解を軽減するために、原料の脂肪酸及びアルコールの分岐/直鎖、シス/トランス等の異性構造、分岐位置を選択することがなされる。
これらの潤滑剤は結合剤100質量部に対して通常、0.2〜20質量部の範囲で添加される。
潤滑剤としては、更に以下の化合物を使用することもできる。即ち、シリコンオイル、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化ほう素、弗化黒鉛、フッ素アルコール、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステル、二硫化タングステン等である。
本発明の磁性層に用いられる研磨剤としては、一般に使用される材料でα、γアルミナ、溶融アルミナ、コランダム、人造コランダム、炭化珪素、酸化クロム(Cr)、ダイアモンド、人造ダイアモンド、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)、αFe等が使用される。これらの研磨剤はモース硬度が6以上である。具体的な例としては住友化学社製、AKP−10、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、AKP−1520、AKP−1500、HIT−50、HIT60A、HIT60G、HIT70、HIT80、HIT82、HIT−100、日本化学工業社製、G5、G7、S−1、酸化クロムK、上村工業社製UB40B、不二見研磨剤社製WA8000、WA10000、LANDS社製LS600F 0/−1/4、東名ダイヤ社製MD−200、MD−150、MD−100、MD−70、IRM 0−1/4F、IRM 0−1/4FF、GE社製0−1/10、0−1/4、DoPunt社製マイポレックス 1/10QG、同 1/8QG、戸田工業社製TF100、TF140、TF180などが挙げられる。平均粒子径が0.05〜1μmの大きさのものが効果があり、好ましくは0.05〜0.5μmである。
研磨剤を単独で使用するだけでなく、2種類以上の研磨剤を併用することも好適で、微粒子ダイヤモンドの場合は他の研磨剤と併用することで、磁性体に対する添加量を0.1%程度に減少することができる。これら研磨剤の合計量は磁性体100質量部に対して1〜20質量部、望ましくは1〜15質量部の範囲で添加される。1質量部より少ないと十分な耐久性が得られず、20質量部より多すぎると表面性、充填度が劣化する。これら研磨剤は、あらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもかまわない。
本発明の磁気記録媒体の磁性層中には、前記非磁性粉末の他に帯電防止剤として導電性粒子を含有することもできる。しかしながら最上層の飽和磁束密度を最大限に増加させるためにはできるだけ最上層への添加は少なくし、最上層以外の塗布層に添加するのが好ましい。帯電防止剤としては特に、カーボンブラックを添加することは、媒体全体の表面電気抵抗を下げる点で好ましい。本発明に使用できるカーボンブラックはゴム用ファ−ネス、ゴム用サ−マル、カラ−用ブラック、導電性カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。比表面積は5〜500m/g、DBP吸油量は10〜1500ml/100g、粒子径は5〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/cm、が好ましい。本発明に用いられるカーボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製、BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、700、VULCAN XC−72、旭カーボン社製、#80、#60、#55、#50、#35、三菱化学社製、#3030B、#3040B、#3050B、#3230B、#3350B、#9180B、#2700、#2650、#2600、#2400B、#2300、#950B、#900、#1000、#95、#30、#40、#10B、MA230、MA220、MA77、コロンビアンカーボン社製、CONDUCTEX SC、RAVEN 150、50、40、15、ライオンアグゾ社製ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックECDJ−500、ケッチェンブラックECDJ−600などが挙などが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、カーボンブラックを酸化処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。磁性層にカーボンブラックを使用する場合は磁性体に対する量は0.1〜30質量%でもちいることが好ましい。さらに後述する非磁性層には全非磁性粉末に対し3〜20質量%含有させることが好ましい。
一般的にカーボンブラックは帯電防止剤としてだけでなく、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。従って本発明に使用されるこれらのカーボンブラックは、その種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編を参考にすることができる。
本発明の強磁性金属粉末を含有する磁性層を含む磁気記録媒体は、特に限定されず、公知の層構成が可能であるが、支持体と磁性層の間に非磁性層を設けることが好ましい。非磁性層(下層ともいう)は、非磁性粉末を結合剤樹脂中に分散した層が好ましい。その非磁性層に使用される非磁性粉末には、種々のものが使用できる。例えば、α化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが単独または組合せで使用される。微細で粒度がそろっているものとして、α−酸化鉄、ゲータイト、酸化チタン、酸化亜鉛が好適である。これら非磁性粉末の粒子サイズは0.01〜1μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。使用する結合剤樹脂との相互作用を大きくし分散性を改良するために、使用する非磁性粉末が表面処理されていてもよい。表面処理により粒子表面に存在させる物としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナなどの無機物でも、カップリング剤により形成されるものでもよい。タップ密度は0.3〜2g/cm、含水率は0.1〜5質量%、pHは2〜11、比表面積は5〜100m/g、が好ましい。前記非磁性粉末の形状は針状、球状、サイコロ状、板状のいずれでも良い。
非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、HIT−80、戸田工業製α−酸化鉄DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPN−550BX、DPN−550RX、DBN−450BX、DBN−650RX、DAN−850RX、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、チタン工業製酸化チタンSTT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、テイカ製酸化チタンMT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−100F、MT−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製酸化鉄DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2 P25、宇部興産製100A、500A、及びそれを焼成したものが挙げられる。
上述のように支持体上に複数の塗布層を形成させることも高記録密度の磁気記録媒体を製造するうえで有効であり、下層を乾燥後、上層を塗布する逐次塗布方式、下層が湿潤状態の間に上層を塗布する同時塗布方式等が挙げられるが、同時塗布方式は超薄層の磁性層を作り出すことができるので特に優れている。その同時塗布方式、即ち、ウェット・オン・ウェット方式の具体的な方法としては、
(1)磁性塗料で一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置によりまず下層を塗布し、その層がまだ湿潤状態にあるうちに、例えば、特公平1−46186号公報、特開昭60−238179合公報及び特開平2−265672号公報に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層を塗布する方法、
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報及び特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを二つ内蔵した塗布ヘッドにより、下層の塗布液及び上層の塗布液をほぼ同時に塗布する方法、
(3)特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付きエクストルージョン塗布装置により、上層及び下層をほぼ同時に塗布する方法、
等が挙げられる。
ウェット・オン・ウェット方式で塗布する場合、磁性層用塗布液と非磁性層用塗布液の流動特性はできるだけ近い方が、塗布された磁性層と非磁性層の界面の乱れがなく厚さが均一な厚み変動の少ない磁性層を得ることができる。塗布液の流動特性は、塗布液中の粉末粒子と結合剤樹脂の組み合わせに強く依存するので、特に、非磁性層に使用する非磁性粉末の選択に留意する必要がある。
本磁気記録媒体の支持体は、通常、3〜100μm、テ−プ状で使用する時は望ましくは3〜20μm、フレキシブルディスクとして使用する場合は25〜80μmが好ましく、支持体上に設ける非磁性層は、通常、0.5〜3.0μm、好ましくは0.5〜2.5μmである。磁性層厚みは好ましくは0.01〜0.2μm、更に好ましくは0.05〜0.15μmである。また、前記磁性層及び前記非磁性層以外の他の層を目的に応じて形成することもできる。例えば、支持体と下層の間に密着性向上のための下塗り層を設けてもかまわない。この厚みは通常、0.01〜1μm、好ましくは0.05〜0.3μmである。また、磁性層を担持する面とは反対側の支持体面上にバック層を設けてもかまわない。この厚みは通常、0.1〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.8μmである。これらの下塗り層、バック層は公知のものが使用できる。円盤状磁気記録媒体の場合、両面もしくは片面に上記磁性層を含む構成を設けることができる。
本発明で使用される支持体には特に制限はなく、通常使用されているものを用いることができる。支持体を形成する素材の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等の各種合成樹脂のフィルム、およびアルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を挙げることができる。
本発明の目的を有効に達成するには、支持体の表面粗さは、中心線平均表面粗さRa(カットオフ値0.25mm)で0.03μm以下、望ましく0.02μm以下、さらに望ましく0.01μm以下である。また、これらの支持体は単に前記中心線平均表面粗さが小さいだけではなく、1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラ−の大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラ−の一例としては、Ca、Al、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機樹脂微粉末があげられる。本発明に用いられる支持体のウエブ走行方向のF−5値は好ましくは5〜50kg/mm(49〜490MPa)、ウエブ幅方向のF−5値は好ましくは3〜30kg/mm(29.4〜294MPa)であり、ウエブ長い手方向のF−5値がウエブ幅方向のF−5値より高いのが一般的であるが、特に幅方向の強度を高くする必要があるときはその限りでない。
また、支持体のウエブ走行方向および幅方向の100℃、30分での熱収縮率は好ましくは3%以下、さらに望ましくは1.5%以下、80℃、30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに望ましくは0.5%以下である。破断強度は両方向とも5〜100kg/mm(49〜980MPa)、弾性率は100〜2000kg/mm(980〜19600MPa)が望ましい。
本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノール、などのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン、等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用できる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。本発明で用いる有機溶媒は必要ならば各層でその種類、量を変えてもかまわない。下層に揮発性の高い溶媒をもちい表面性を向上させる、下層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性をあげる、磁性層に溶解性パラメ−タの高い溶媒を用い充填度を上げるなどがその例としてあげられるがこれらの例に限られたものではないことは無論である。
本発明の磁気記録媒体は、前記強磁性粉末と結合剤樹脂、及び必要ならば他の添加剤と共に有機溶媒を用いて混練分散し、磁性塗料を支持体上に塗布し、必要に応じて配向、乾燥して得られる。
本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する磁性体、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。
磁性塗料の混練分散に当たっては各種の混練機が使用される。例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、ゼグバリ(Szegvari)、アトライター、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機などを用いることができる。
混練工程では連続ニーダや加圧ニーダなど強い混練力をもつものを使用することが、磁気記録媒体の高いBrを得る上で好ましい。連続ニ−ダまたは加圧ニ−ダを用いる場合は磁性体と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結合剤の30%以上が好ましい)および磁性体100質量部に対し15〜500質量部の範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開昭64−79274号公報に記載されている。本発明では、特開昭62−212933に示されるような同時重層塗布方式を用いることによりより効率的に生産することが出来る。
本発明の磁気記録媒体の磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m以下、さらに好ましくは10mg/m以下であり、磁性層に含まれる残留溶媒が非磁性層に含まれる残留溶媒より少ないほうが好ましい。
磁性層が有する空隙率は下層、最上層とも好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは10容量%以下である。非磁性層の空隙率が磁性層の空隙率より大きいほうが好ましいが非磁性層の空隙率が5容量%以上であれば小さくてもかまわない。
本発明の磁気記録媒体が下層と磁性層を有する場合、目的に応じ下層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができるのは容易に推定されることである。例えば、磁性層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に下層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くするなどである。
このような方法により、支持体上に塗布された磁性層等は必要により層中の強磁性粉末を配向させる処理を施したのち、形成した磁性層を乾燥する。又必要により表面平滑化加工を施したり、所望の形状に裁断したりして、本発明の磁気記録媒体を製造する。
磁性層の0.5%伸びでの弾性率はウエブ塗布方向、幅方向とも望ましくは100〜2000kg/mm(980〜19600MPa)、破断強度は望ましくは10〜70kg/mm(98〜6860MPa)、磁気記録媒体の弾性率はウエブ塗布方向、幅方向とも望ましくは100〜1500kg/mm(980〜14700MPa)、残留のびは望ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は望ましくは1%以下、さらに望ましくは0.5%以下、もっとも望ましくは0.1%以下である。
本発明の磁気記録媒体は、ビデオ用途、オーディオ用途などのテープであってもデータ記録用途のフロッピーディスクや磁気ディスクであってもよいが、ドロップアウトの発生による信号の欠落が致命的となるデジタル記録用途の媒体に対しては特に有効である。更に、非磁性層と磁性層の重層構成で、磁性層の厚さを0.2μm以下とすることにより、電磁変換特性が高い、オーバーライト特性が優れた、高密度で大容量の磁気記録媒体を得ることができる。
本明細書において、強磁性金属粉末やカーボンブラックのように種々の粉体のサイズ(以下、「粉体サイズ」と言う)は、高分解能透過型電子顕微鏡写真及び画像解析装置より求められる。高分解能透過型電子顕微鏡写真の粉体の輪郭を画像解析装置でなぞり、粉体のサイズを求めることができる。即ち、粉体サイズは、(1)粉体の形状が針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粉体を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、(2)六方晶系フェライト磁性粉のように粉体の形状が板状乃至柱状(ただし、厚さ乃至高さが板面乃至底面の最大長径より小さい)場合は、その板面乃至底面の最大長径、即ち板径で表され、(3)粉体の形状が球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粉体を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、該粉体の平均粉体サイズは、上記粉体サイズの算術平均であり、約500個の一次粒子について上記の如く測定を実施して求めたものである。一次粒子とは、凝集のない独立した粉体をいう。
そして、粉体の形状が特定の場合、例えば、上記粉体サイズの定義(1)の場合は、平均粉体サイズを平均長軸長と言い、(長軸長/短軸長)の値の算術平均を平均針状比という。尚、短軸長とは長軸に直行する軸で最大のものをいう。同定義(2)の場合は平均粉体サイズを平均板径と言い、(板径/板厚)の算術平均を平均板状比という。ここで、板厚とは厚さ乃至高さである。同定義(3)の場合は平均粉体サイズを平均粒子径という。
各データーの変動係数は、(標準偏差/平均値)×100(%)である。
本発明の新規な特長を以下の実施例で具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
炭酸水素アンモニウム30molと、アンモニア水50molを含む混合アルカリ水溶液30L(リットル)を、気泡分散翼を備えた撹拌機付き反応器の中に投入し、300rpmで撹拌機を回転させながら、毎分40Lの流量で窒素ガスを通気しながら40℃に調整する。攪拌を継続しながら、Fe2+として20molを含む硫酸第一鉄水溶液16Lを反応機中に投入して温度を35℃に維持し30分間熟成した。その後Co2+として4.8molを含む硫酸コバルト水溶液4Lを添加し、さらに3.5時間熟成した後、反応液の温度を35℃に維持しつつ1L/分で空気を通気しながら全Fe2+の30%が酸化するまで反応を行った。
次いで、Al3+を2.4mol含む硫酸アルミニウム水溶液1Lを添加し、温度を40℃、1L/分で空気を通気しFe2+が100%酸化するまで反応を行った。反応終了時のpHは、8.2であった。
得られたゲータイト粒子含有スラリーを攪拌機つきタンクに移液し蒸留水100Lを追加した。希硫酸を使用して反応液のpHを6.5とし、400rpmで10分間攪拌した。10時間静置し、水面の上部より一部懸濁した水を75L抜き取った後、プレスフィルターを用いて濾別し、イオン交換水にてさらに洗浄してプレスケーキとした(湿式分級処理1)。
前記ケーキの一部を常法により乾燥、粉砕を行って得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末は、紡錘状かつ粒度が均整で樹枝状粒子がないものであった。平均長軸長が0.078μm、平均短軸長が0.011μm、平均針状比が7.1、BET比表面積値が197.4m/g、粒子全体としてCo含有量が全Feに対して24原子%、Al含有量が全Feに対して12原子%であった。
ここに得た紡錘状ゲータイト粒子粉末のプレスケーキを水中に懸濁させ,ポンプを使用してサンドグライダー処理し十分に分散させた後、スラリー濃度を1%とした。攪拌しながら、アンモニア水溶液を添加して水溶液のpHを8.8に調整し、次いで、硝酸イットリウム水溶液(全Feに対して10原子%)を添加して攪拌混合し、アンモニア水溶液を添加して懸濁液のpHを8.8に調整する。10分間400rpmで攪拌後、10時間静置し、水面の上部より一部懸濁した水を100L抜き取った後、プレスフィルターを用いて濾別し、イオン交換水にてさらに洗浄してプレスケーキとした(湿式分級処理2)。その後、フィルタープレスで濾過、水洗し、プレスケーキを得た。
得られたプレスケーキを、押出し成型機を用いて孔径3mmの成型板で押出し成型して造粒し、次いで120℃で乾燥した。
前記紡錘状ゲータイト粒子粉末の造粒物を空気中350℃で脱水し、その後、同雰囲気中600℃で加熱脱水して紡錘状ヘマタイト粒子粉末の造粒物を得た。
ここに得た紡錘状ヘマタイト粒子粉末の顆粒状造粒物をバッチ式固定層還元装置に入れ、層高を約5cmとした後、ガス空塔速度50cm/sで500℃の窒素ガスを通気しながら、470℃まで加熱昇温し、次いで、490℃の水素ガスに切り替えてガス空塔速度50cm/sで通気しながら、反応器内の温度が490℃となりかつ排気水素ガス露点が−20℃に達するまで加熱還元して鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の造粒物を得た。
その後、再び窒素ガスに切り替えて50℃まで冷却し、次いで空気を混合して酸素濃度を0.15vol%とし徐酸化を開始し,1.0vol%まで徐々に増加させた.このとき品温が80℃を超えないように表面酸化処理を行い、1.0vol%で70℃、1時間保持し、粒子表面に表面酸化層を形成して鉄を主成分とする金属磁性粒子の造粒物を得た。
ここに得た鉄を主成分とする強磁性金属粉末は、平均長軸長が0.041μm、平均針状比が4.3、BET比表面積値が68.5m/g、結晶子サイズD110が107Åの粒子からなり、紡錘状かつ粒度が均整で樹枝状粒子がないものであった。また、該粒子中のCo含有量は全Feに対して24原子%、Al含有量は全Feに対して12原子%、Y含有量は10原子%であった。
また、該鉄を主成分とする強磁性金属粉末の磁気特性は、抗磁力Hcが171.1kA/m、飽和磁化σsが115.1A・m/kg、角型比(σr/σs)が0.523、SFD(粉)が1.075であった.
実施例2,3
硝酸イットリウム表面処理後の湿式分級処理2を行わない以外は,実施例1と同じ条件で強磁性金属粉末を製造した(実施例2)。紡錘型ゲータイト反応終了後の湿式分級処理1を行わない以外は、実施例1と同じ条件で強磁性金属粉を製造した(実施例3)。得られた強磁性金属粉末の特性を表1に示す.
比較例1
ゲータイト反応を終了したものに反応後および表面処理後の湿式分級処理1及び2を付与することなく実施例1と同じ条件で強磁性金属粉末を製造した。得られた強磁性金属粉末の特性を表1に示す。
実施例4
炭酸水素アンモニウム20molと、アンモニア水60molを含む混合アルカリ水溶液30Lを、気泡分散翼を備えた撹拌機付き反応器に投入し、毎分300回転の速度で撹拌機を回転させながら、毎分40Lの流量で窒素ガスを通気しながら40℃に調整する。 次いでFe2+として20molを含む硫酸第一鉄水溶液16Lを反応器に投入して25分間熟成した後、Co2+として4.8molを含む硫酸コバルト水溶液4Lを添加し、さらに3時間熟成した後、反応液の温度を40℃に維持しつつ1.5L/分の流量で空気を通気しながら全Fe2+の30%が酸化するまで反応を行った。
次いで、Al3+を2.4mol含む硫酸アルミニウム水溶液1Lを添加し、反応液の温度を40℃に維持しつつ1.5L/分の流量で空気を通気しながら反応終了まで酸化反応を行った。反応終了時のpHは、8.4であった。
得られたゲータイト粒子含有スラリーを攪拌機つきタンクに移液し蒸留水100Lを追加した。希硫酸を使用して反応液のpHを6.5とし、400rpmで10分間攪拌した。10時間静置し、水面の上部より一部懸濁した水を75L抜き取った後、プレスフィルターを用いて濾別し、イオン交換水にてさらに洗浄してプレスケーキとした(湿式分級処理1)。
前記ケーキの一部を常法により乾燥、粉砕を行って得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末は、紡錘状かつ粒度が均整で樹枝状粒子がないものであった。平均長軸長が0.095μm、平均短軸長が0.012μm、平均針状比が7.9、BET比表面積値が187.6m/g、粒子全体としてCo含有量が全Feに対して24原子%、Al含有量が全Feに対して12原子%であった。
ここに得た紡錘状ゲータイト粒子粉末のプレスケーキを水中に懸濁させ、ポンプを使用してサンドグラインダー処理し十分に分散させた後、スラリー濃度を1%とした。攪拌しながら、アンモニア水溶液を添加して水溶液のpHを8.8に調整し、次いで、硝酸イットリウム水溶液(全Feに対して10原子%)を添加して攪拌混合し、アンモニア水溶液を添加して懸濁液のpHを8.8に調整する。10分間400rpmで攪拌後,10時間静置し、水面の上部より一部懸濁した水を100L抜き取った後、プレスフィルターを用いて濾別し、イオン交換水にてさらに洗浄してプレスケーキとした(湿式分級処理2)。
その後、フィルタープレスで濾過、水洗し、プレスケーキを得た。得られたプレスケーキを、押出し成型機を用いて孔径3mmの成型板で押出し成型して造粒し、次いで120℃で乾燥した。
前記紡錘状ゲータイト粒子粉末の造粒物を空気中350℃で脱水し、その後、同雰囲気中650℃で加熱脱水して紡錘状ヘマタイト粒子粉末の造粒物を得た。
ここに得た紡錘状ヘマタイト粒子粉末の顆粒状造粒物をバッチ式固定層還元装置に入れ、層高を約5cmとした後、ガス空塔速度50cm/sで500℃の窒素ガスを通気しながら、470℃まで加熱昇温し、次いで、490℃の水素ガスに切り替えてガス空塔速度50cm/sで通気しながら、反応器内の温度が490℃となりかつ排気水素ガス露点が−20℃に達するまで加熱還元して鉄を主成分とする強磁性金属粉末の造粒物を得た。
その後、再び窒素ガスに切り替えて50℃まで冷却し、次いで空気を混合して酸素濃度を0.15vol%として徐酸化を開始し、1.0vol%まで徐々に増加させた。このとき品温が80℃を超えないように表面酸化処理を行い、1.0vol%で70℃、1時間保持し、粒子表面に表面酸化層を形成して鉄を主成分とする強磁性金属粉末の造粒物を得た。
ここに得た鉄を主成分とする強磁性金属粉末は、平均長軸長が0.058μm、平均針状比が5.1、BET比表面積が60.5m/g、結晶子サイズD110が118Åの粒子からなり、紡錘状かつ粒度が均整で樹枝状粒子がないものであった。また、該粒子中のCo含有量は全Feに対して24原子%、Al含有量は全Feに対して12原子%、Y含有量は10原子%であった。磁気特性を表1に示す。
比較例2
実施例4でえたゲータイト反応を終了したものに反応後および表面処理後の湿式分級処理1及び2を付与することなく実施例4と同じ条件で強磁性金属粉を製造した.得られた強磁性金属粉末の特性を表1に示す。
実施例5
炭酸水素アンモニウム30molと、アンモニア水50molを含む混合アルカリ水溶液30Lを、気泡分散翼を備えた撹拌機付き反応器の中に投入し、300rpmで撹拌機を回転させながら、毎分40Lの流量で窒素ガスを通気しながら40℃に調整する。攪拌を継続しながら,Fe2+として10molを含む硫酸第一鉄水溶液16Lを反応機中に投入して温度を35℃に維持し30分間熟成した.その後Co2+として2.4molを含む硫酸コバルト水溶液4Lを添加し、さらに3.5時間熟成した後、反応液の温度を35℃に維持しつつ1L/分で空気を通気しながら全Fe2+の30%が酸化するまで反応を行った。
次いで、Al3+を1.2mol含む硫酸アルミニウム水溶液1Lを添加し、温度を40℃、1L/分で空気を通気しFe2+が100%酸化するまで反応を行った。反応終了時のpHは、8.2であった。
得られたゲータイト粒子含有スラリーを攪拌機つきタンクに移液し蒸留水100Lを追加した。希硫酸を使用して反応液のpHを6.5とし、400rpmで10分間攪拌した。10時間静置し、水面の上部より一部懸濁した水を75L抜き取った後、プレスフィルターを用いて濾別し、イオン交換水にてさらに洗浄してプレスケーキとした(湿式分級処理1)。
前記ケーキの一部を常法により乾燥、粉砕を行って得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末は、紡錘状かつ粒度が均整で樹枝状粒子がないものであった。平均長軸長が0.055μm、平均短軸長が0.011μm、平均針状比が5.0、BET比表面積値が225.6m/g、粒子全体としてCo含有量が全Feに対して24原子%、Al含有量が全Feに対して12原子%であった。
ここに得た紡錘状ゲータイト粒子粉末のプレスケーキを水中に懸濁させ,ポンプを使用してサンドグライダー処理し十分に分散させた後、スラリー濃度を1%とした。攪拌しながら、アンモニア水溶液を添加して水溶液のpHを8.8に調整し、次いで、硝酸イットリウム水溶液(全Feに対して10原子%)を添加して攪拌混合し、アンモニア水溶液を添加して懸濁液のpHを8.8に調整する。10分間400rpmで攪拌後、10時間静置し、水面の上部より一部懸濁した水を100L抜き取った後、プレスフィルターを用いて濾別し、イオン交換水にてさらに洗浄してプレスケーキとした(湿式分級処理2)。
その後、フィルタープレスで濾過、水洗し、プレスケーキを得た。得られたプレスケーキを、押出し成型機を用いて孔径3mmの成型板で押出し成型して造粒し、次いで120℃で乾燥した。
前記紡錘状ゲータイト粒子粉末の造粒物を空気中350℃で脱水し、その後、同雰囲気中600℃で加熱脱水して紡錘状ヘマタイト粒子粉末の造粒物を得た。
ここに得た紡錘状ヘマタイト粒子粉末の顆粒状造粒物をバッチ式固定層還元装置に入れ、層高を約3cmとした後、ガス空塔速度50cm/sで500℃の窒素ガスを通気しながら、470℃まで加熱昇温し、次いで、490℃の水素ガスに切り替えてガス空塔速度50cm/sで通気しながら、反応器内の温度が490℃となりかつ排気水素ガス露点が−25℃に達するまで加熱還元して鉄を主成分とする強磁性金属粉末の造粒物を得た。
その後、再び窒素ガスに切り替えて50℃まで冷却し、次いで空気を混合して酸素濃度を0.15vol%とし徐酸化を開始し、1.0vol%まで徐々に増加させた.このとき品温が80℃を超えないように表面酸化処理を行い、1.0vol%で70℃で1時間保持し、粒子表面に表面酸化層を形成して鉄を主成分とする強磁性金属粉末の造粒物を得た。
ここに得た鉄を主成分とする強磁性金属粉末は、平均長軸長が0.035μm、平均針状比が3.7、BET比表面積値が87.5m/g、結晶子サイズD110が100Åの粒子からなり、紡錘状かつ粒度が均整で樹枝状粒子がないものであった。また、該粒子中のCo含有量は全Feに対して24原子%、Al含有量は全Feに対して12原子%、Y含有量は10原子%であった。得られた強磁性金属粉末の特性を表1に示す。
以下に強磁性金属粉末特性の測定法を説明する。
1)本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末、紡錘状へマタイト粒子粉末及び鉄を主成分とする強磁性金属粉末のCo量、Al量、希土類元素量などの金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置を使用して測定した。
2)粒子粉末のBET比表面積は、カンターソーブ(カンタークロム社製)を使用して、窒素中250℃で30分加熱脱水処理後,BET1点法で測定した値で示した。
3)結晶子サイズD110は、「X線回折装置」(Rigaku製)(測定条件:ターゲットCu、管電圧40kV、管電流40mA)を使用して、X線回折法で測定される結晶粒子の大きさを、強磁性金属粒子の(110)結晶面のそれぞれに垂直な方向における結晶粒子の厚さを表したものであり、各結晶面についての回折ピーク曲線から、下記のシェラーの式を用いて計算した値で示したものである。
結晶子サイズD110=Kλ/βcosθ
但し、β=装置に起因する機械幅を補正した真の回折ピークの半値幅(ラジアン単位)。K=シェラー定数(=0.9)、λ=X線の波長(Cu Kα線、0.1542nm)、θ=回折角((110)面の回折ピークに対応)。
4)強磁性金属粉末の磁気特性は、「振動試料磁力計」(東英工業(株)製)を使用して、外部磁場796kA/mで測定した。
〔実施例11〜15、比較例11〜13〕
磁気記録媒体の製造
実施例1〜5、比較例1及び2並びに特開平9−22522号公報の製造例1−4で得られたメタル粉を使用した重層構成の磁気テープを作成するため以下の磁性層の組成物と下層用非磁性層の組成物を作成した。
(磁性層の組性物)
強磁性金属粉末(表1:使用磁性体の欄参照) 100部
結合剤樹脂
塩化ビニル共重合体 13部
(−SONa基を1×10−4eq/g含有、重合度:300)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI=0.9/2.6/1、−SONa基:1×10−4eq/g含有)
α−アルミナ(平均粒子径:0.13μm) 4部
カーボンブラック(平均粒子径:50nm) 1部
フェニルフォスフォン酸 3部
ブチルステアレート 3部
ステアリン酸 3部
メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 360部
(下層用非磁性層の組成物)
針状ヘマタイト 80部
(BET法による比表面積 62m/g、平均長軸長:0.08μm、針状比:7、pH:8.7、アルミ処理:Alとして1質量%)
カーボンブラック 20部
(平均粒子径:17nm、DBP吸油量:80ml/100g、BET法による表面積:240m/g、pH7.5)
結合剤樹脂
塩化ビニル共重合体 12部
(−SONa基を1×10−4eq/g含有、重合度:300)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI=0.9/2.6/1、−SONa基:1×10−4eq/g含有)
フェニルフォスフォン酸 3部
ブチルステアレート 3部
ステアリン酸 3部
メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 280部
上記の磁性塗料及び非磁性塗料のそれぞれについて、顔料、ポリ塩化ビニル、フェニルフォスフォン酸と処方量の50質量%の各溶剤をニーダで混練したのち、ポリウレタン樹脂と残りの成分を加えてサンドグラインダーで分散した。得られた分散液にイソシアネートを非磁性層の塗布液には15部、磁性層の塗布液には14部を加え、さらにそれぞれにシクロヘキサノン30部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層形成用および磁性層形成用の塗布液をそれぞれ調製した。
得られた非磁性層用の塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmとなるように塗布し、さらにその直後、非磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに、その上に磁性層の厚みが0.08μmとなるように厚さ7μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に湿式同時重層塗布を行い、両層がまだ湿潤状態にあるうちに配向装置を通過させ長手配向した。この時の配向磁石は希土類磁石(表面磁束500mT)を通過させた後、ソレノイド磁石(磁束密度500mT)中を通過させ、ソレノイド内で配向が戻らない程度まで乾燥しさらに磁性層を乾燥し巻き取った。その後、金属ロールより構成される7段のカレンダーでロール温度を90℃にしてカレンダー処理を施して、ウェッブ状の磁気記録媒体を得、それを8mm幅にスリットして8mmビデオテープのサンプルを作成した。
各サンプルの特性、性能を以下により測定乃至評価し、結果を表1に示した。
1)磁性層厚δは、磁気記録媒体を長手方向に渡ってダイヤモンドカッターで約0.1μmの厚味に切り出し、透過型電子顕微鏡を使用し倍率50000倍で観察し、その写真撮影を行った。写真のプリントサイズはA4〜A5でプリントした総合倍率を200000倍とした。その後、磁性層、非磁性層の強磁性粉末や非磁性粉末の形状差に注目して界面を目視判断して黒くふちどり、かつ磁性層表面も同様に黒くふちどった。その後、Zeiss社製画像処理装置IBAS2にてふちどりした線の長さを測定した。試料写真の長さが21cmの場合、測定を85〜300回行った。その際の測定値の平均値を磁性層厚δとする。
2)磁気特性[Hc、SQ(角型比)、Br(残留磁束密度)]は振動試料型磁力計(東英工業製)を使用し外部磁界796kA/mで配向方向に平行に測定した。
3)磁気トルク測定は、東英工業製の磁気トルクメーター(TRT−2−15−AUT)を使用し、室温で低磁界から796kA/mまで回転ヒステリシスロスを測定して、異方性磁界(Hk)及び回転ヒステリシス積分(RH)を算出した。
4)表面粗さは、WYKO社(USアリゾナ州)製の光干渉3次元粗さ計「TOPO−3D」を使用し250μm角の試料面積を測定した。測定値の算出にあたっては、傾斜補正、球面補正、円筒補正等の補正をJIS−B601に従って実施し、中心面平均粗さRaを表面粗さの値とした。
5)電磁変換特性の測定法は次の方法によった。
データー記録用8ミリデッキにMIGヘッド(ヘッドギャップ:0.2μm、トラック幅:17μm、飽和磁束密度:1.5T、アジマス角20°)と再生用MRヘッド(SALバイアス、MR素子はFe−Ni、トラック幅:6μm、ギャップ長:0.2μm、アジマス角20°)を搭載した。MIGヘッドを用いて、テープとヘッドの相対速度を10.2m/秒とし、1/2Tb(λ=0.5μm)の入出力特性から最適記録電流を決めこの電流で信号を記録し、MRヘッドで再生した。C/Nは再生キャリアのピークから消磁ノイズまでとし、スペクトルアナライザーの分解能バンド幅は100kHzとした。比較例11を使用したテープに対する特性で比較した。
Figure 2005251253
本発明による磁気記録媒体は、出力が高くC/Nが優れている。

Claims (1)

  1. 平均長軸長が30〜65nm、長軸長の変動係数が10〜25%、平均針状比が3.3〜5.5、抗磁力(Hc)が147〜205kA/m、及び飽和磁化(σs)が85〜130A・m/kgの強磁性金属粉末を含む磁性層の回転ヒステリシス積分(RH)が0.85〜1.1であることを特徴とする磁気記録媒体。
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