JP2005251099A - 小型船舶の管理支援方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 小型船舶の入出港を管理し、事故発生時にも迅速な救助要請を行うことを可能とする。
【解決手段】 GPS携帯電話(12)のアクセス番号、メールアドレスおよび船舶(14)のIDが監視センタ(16)の監視サーバ(18)に登録される個別情報登録段階(S1)と、帰港予定時刻が登録される予定時刻登録段階(S2)と、帰港予定時刻までに帰港しない場合にその旨を連絡する帰港確認段階(S3)と、監視サーバが携帯通信端末にアクセスして測位データ(B)を取得し、所定機関(22)に該測位データを送信するとともに救助要請を行う救助要請段階(S4)と、からなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、小型船舶の管理支援方法に係り、特に航行システムや海上電話、船舶無線装置を装備していないレジャー用の小型船舶(プレジャーボート)等の位置を把握して、監視センタにより小型船舶の安全運行の支援等を行う方法に関する。
大型船舶や業務用の船舶においては、従来からNNSSやGPS等を用いた航法システムにより、電波信号を受信して本船の位置を検出するとともに、船舶無線装置等によって気象・海象情報、水路情報、航行警報等を入手して安全航行に勤めている。また万一事故が発生した場合にも、これらの装置によって迅速に本船の位置を特定して保安局等に救助要請を行えるようになっている。
近年のプレジャーボート等のブームにより小型船舶の操縦免許取得者が年々増加しているが、船舶の操縦が身近になるにつれて、操縦経験が浅く、機関の異常状態に関する知識や緊急時の対処法に精通していない艇長が多くなってきている。
しかしながら、小型船舶では費用やスペースの関係から、航行システムや船舶無線装備が設備されていないことが多く、事故が発生した場合にスムーズな救助要請、すなわち本船の位置を特定した適切な救助要請を行うことが困難であった。そのため十分な設備が備えられていない小型船舶に事故が発生した場合には、救助が間に合わず重大な事故につながる場合も少なくなかった。また仮にそのような設備を備えた船舶であっても、経験の浅い艇長等にとって、入手した気象・海象情報あるいは水路情報・航行警報等を資料として、航行する海域の将来の危険を予知することは非常に困難であった。
さらに、一般にボートパーク等においては小型船舶の入出港の管理は行われておらず、また、航海計画も提出されないのが一般的であるため、一旦出港したプレジャーボートが何らかのトラブルに見舞われて帰港できない場合であっても、ボートパーク等の管理者がその旨を保安局に通報することは稀であり、連絡が行われる場合であってもトラブル発生から長時間が経過した後に行われるのが実情であった。
このように小型船舶、特に設備の整わないプレジャーボートなどでは、事故発生に迅速に対処し、また、事故を未然に防止するための安全管理が十分にされているとはいえない状況にあった。かかる状況下において、安全情報収集不足等に起因する小型船舶の海難を未然に防止し、安全性を確保するために、利用者が必要とする安全情報・利便情報を船上においてリアルタイムに送受信する特許文献1の「船舶情報システム」なども発案されている。
この発明は、船舶に持ち込まれる小型で双方向通信が可能な通信端末と、前記船舶の運行管理を行う運行監視センタと、前記通信端末と定期的に交信を行い、前記通信端末と前記運行監視センタとの間で授受される情報の中継を行う複数の無線基地局と、を有し、前記運行監視センタは、複数の無線基地局が受信した前記通信端末からの交信電波に基づいて前記通信端末が持ち込まれた船舶の航行位置を得る位置計測手段を有することを特徴とする船舶情報システムを提供するものである。
特開2003−123199号公報
この発明はGPS受信機を用いずに、通信端末(携帯電話)の交信電波を用いて船舶の航行位置を計測して船舶を管理し、また、適宜情報の提供を行うことで航海の安全を図るものであるが、交信電波の到来角度を利用して航行位置を計測するためその精度はそれほど高いものでなかった。そのため船舶の位置の特定が十分になされず救助作業がスムーズに行われないことがあった。しかしながら近年では携帯電話などにもGPS機能が搭載されるようになったため人工衛星からの電波の利用も身近なものとなっており、携帯電話の交信電波を用いて船舶の航行位置を計測する必然性も少なくなっている。
またこの発明は、帰港予定時刻を管理するものではないので、通常運行中であるのか否かの判断をすることができず、艇長からの救助要請の連絡がない場合には、管理者が自主的に海上保安庁等の関係機関に救助要請を行うことはなかった。
本発明はかかる現況に鑑みなされたもので、航行システムや船舶無線装備が設備されていない小型船舶を監視センタで統轄的に管理することを可能とするとともに、監視センタから各小型船舶に対し必要な情報を提供して事故を未然に防止し、また万一事故が発生した場合にも、迅速に救助要請をすることができる小型船舶の管理支援方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため請求項1に記載の小型船舶の管理支援方法は、乗組員が携行する、通話機能、電子メール機能およびGPS機能を備えた携帯通信端末(12)のアクセス番号、メールアドレスおよび船舶(14)のIDが個別情報(A)として監視センタ(16)の監視サーバ(18)に登録される個別情報登録段階(S1)と、帰港予定時刻が個別情報と関連付けて監視サーバに登録される予定時刻登録段階(S2)と、帰港予定時刻までに帰港した旨の連絡がない場合には監視サーバが前記携帯通信端末に帰港予定時刻を過ぎた旨を連絡する帰港確認段階(S3)と、所定の時間内に返答がない場合に監視サーバが携帯通信端末にアクセスして携帯通信端末のGPS機能を用いて測定した測位データ(B)を取得し、船舶の航行軌跡から帰港航路にないと判断される場合には、所定機関(22)に該測位データを送信するとともに救助要請を行う救助要請段階(S4)と、からなることを特徴とする。
ここで所定機関への連絡は監視センタから港湾の管理者などを経由して行うことも勿論可能である。
請求項2に記載の小型船舶の管理支援方法は、前記予定時刻登録段階(S2)での帰港予定時刻の登録は、前記携帯通信端末(12)から送信され、監視サーバ(18)が受信した電子メールのテキストデータから帰港予定時刻を取得するとともに、電子メールのアドレスから船舶(14)を特定して行われる、ことを特徴とする。
請求項3に記載の小型船舶の管理支援方法は、前記監視サーバ(18)が携帯通信端末(12)に、帰港予定時刻が迫っている旨を帰港予定時刻の所定時間前に連絡する帰港喚起段階(S5)を更に含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の小型船舶の管理支援方法。
請求項4に記載の小型船舶の管理支援方法は、前記帰港確認段階(S3)又は帰港喚起段階(S5)での連絡は携帯通信端末(12)に電子メールを送信することにより行われる、ことを特徴とする。
請求項5に記載の小型船舶の管理支援方法は、帰港予定の変更する場合には、帰港予定時刻変更のために予め用意されたメールアドレスに変更する帰港予定時刻を記載した電子メールを送信し、監視サーバ(18)が受信した電子メールのテキストデータから変更する帰港予定時刻を取得するとともに、返信の電子メールのメールアドレスから船舶(14)を特定して監視サーバに登録する予定時刻変更段階(S6)を更に含む、ことを特徴とする。
請求項6に記載の小型船舶の管理支援方法は、乗組員が所有する通話機能、電子メール機能およびGPS機能を備えた携帯通信端末(12)のアクセス番号およびメールアドレスと船舶(14)のIDが個別情報(A)として監視センタ(16)の監視サーバ(18)に登録される個別情報登録段階(S1)と、監視サーバが携帯通信端末にアクセスして携帯通信端末のGPS機能を用いて測定した測位データ(B)を取得する航行監視段階(S7)と、監視センタが取得した船舶の位置から、その海域に関連する海域情報や気象情報等の安全情報(C)を携帯通信端末にメール送信する安全情報提供段階(S8)と、からなる、ことを特徴とする。
請求項7に記載の小型船舶の管理支援方法は、乗組員が所有する通話機能、電子メール機能およびGPS機能を備えた携帯通信端末(12)のアクセス番号およびメールアドレスと船舶(14)のIDが個別情報(A)として監視センタ(16)の監視サーバ(18)に登録される個別情報登録段階(S1)と、監視サーバが携帯通信端末にアクセスして携帯通信端末のGPS機能を用いて測定した測位データ(B)を取得する航行監視段階(S7)と、船舶の航行軌跡から船舶が所定海域に接近していると判断される場合または所定海域に侵入した場合に、監視サーバは警告のための電子メールまたは自動音声による連絡を行う警告段階(S9)と、からなる、ことを特徴とする。
請求項8に記載の小型船舶の管理支援方法は、前記携帯通信端末(12)は携帯電話であり、監視サーバ(16)は携帯電話に間欠的にアクセスして測位データ(B)を取得する、ことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、監視センタの監視サーバに乗組員(艇長)が携行するGPS機能を備えた携帯通信端末のアクセス番号と電子メールアドレスおよび船舶のIDを個別情報として予め登録した上で、船舶の出港時に帰港予定時刻を登録し、帰港時に帰港した旨の連絡を受けることにより、監視センタは船舶の入出港を管理することができるようになる。また帰港予定時刻に船舶の帰港が確認されない場合には、監視センタが携帯通信端末にアクセスして測位データを取得することで船舶の位置を特定し、所定機関に救助要請を迅速に行うことができる。
請求項2に記載の発明によれば、帰港予定時刻の登録を電子メールにより行うことでその登録を容易化することができる。すなわち、予め用意された帰港予定時刻登録用の電子メールアドレスに艇長が帰港予定時刻を内容とする電子メールを送信し、これを受信した監視サーバが送信者の電子メールアドレスから船舶を特定するとともに、電子メールのテキストデータから帰港予定時刻を取得してこれを自動的に登録することにより、手軽に帰港予定時刻の登録・管理をすることができるようになる。
なお帰港予定時刻の登録を電子メールにより行わない場合には、艇長は帰港予定時刻の登録用に用意されたホームページの画面上において入力を行うことで、その登録をするものとする。
請求項3に記載の発明によれば、帰港予定時刻の所定時間前に監視サーバが、帰港時刻が迫っている旨を船舶に連絡することで、艇長に帰港予定時刻の帰港を喚起することができる。
請求項4に記載の発明によれば、帰港の確認や帰港の喚起のための連絡に電子メールを用いることで、監視サーバが自動的にその確認・連絡を行うことができる。
請求項5に記載の発明によれば、帰港予定時刻を変更する場合にも、帰港予定時刻の登録と同様に電子メールを用いることで、艇長等は容易にその変更をすることができ、監視サーバも自動的にその変更を登録することができるようになる。これによりホームページ上で帰港時刻の変更を行う場合と比べて操作性を向上させることができる。
なお帰港予定時刻の変更を電子メールにより行わない場合には、艇長は帰港予定時刻の変更用に用意されたホームページの画面上において入力を行うことで、その登録をするものとする。
請求項6に記載の発明によれば、監視サーバが船舶の航行軌跡を監視し、船舶の航行する海域に関連する情報を提供することで、海上無線等の装置を備えていない船舶や操縦経験の浅い艇長にも分かり易い形で情報を提供してその安全航行を支援し、海難事故の発生を未然に防止することができるようになる。
請求項7に記載の発明によれば、監視センタが船舶の航行軌跡を監視し、その航行軌跡から船舶が所定海域に接近し又は進入した場合に、監視サーバが警告のための電子メールや音声による連絡を行うことで、事故の発生や拡大を防止することができる。
請求項8に記載の発明によれば、携帯通信端末としてGPS機能を備えた携帯電話を用いることで、手軽かつ非常に低コストに船舶の位置を把握して船舶の監視・航行支援を行うことが可能となる。なお測位データの取得は監視サーバが携帯電話にアクセスすることにより行うが、その際の通信料金を低減させるために、通信は間欠的に行うものとする。
以下、本発明の小型船舶の管理支援方法の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
本発明の小型船舶の管理支援方法は、費用やスペースの関係から通常海上無線や航行システム等の設備を備えていない小型船舶の航行を支援するとともに、その航行を監視センタが一元管理するものである。特に、これまでほとんど管理されることがなかった小型船舶の入出港を監視して、帰港予定時刻に船舶が帰港しない場合に船舶の位置を特定したスムーズな救助要請を行うことを可能とするものである。また、操縦経験の浅い艇長等にも分かりやすい形で安全確保のための情報を適宜提供して事故発生を未然に防止するものでもある。
図1は、本発明の小型船舶の管理支援方法を実施するための管理システムの全体像の一例を示すものである。このシステム10は、船舶14の航行を監視するための監視センタ16に設置された監視サーバ18と、情報通信網21を介して監視サーバ18に接続する各小型船舶の乗組員(通常は艇長)が携行する携帯通信端末(携帯電話12)とから構成されている。また監視サーバ18は海上保安庁のコンピュータ19及び気象庁のコンピュータ19と情報通信網21を介して接続されている。
監視サーバ18と携帯電話12とは 携帯電話通信独自のプロトコルでデータの授受が行われ、監視サーバ18と海上保安庁のコンピュータ19および気象庁のコンピュータ19との間では、インターネットプロトコル(TCP/IP)でのデータ授受が行われる。
艇長が携行する携帯電話12は、通話機能の他に、電子メールの送受信機能および所望のURLを入力することでそのホームページにアクセスできるホームページ閲覧機能を有しており、また、GPS機能をも備えている。GPS機能はGPS衛星からのGPS電波信号を利用して携帯電話12(船舶)の位置を検出するもので、検出した測位データは、携帯電話12の表示部に表示されるとともに、その通信機能によって送信できるようになっている。測位データは操作者が携帯電話12を手動操作することによって取得するだけでなく、携帯電話12にアクセスする者が携帯電話のGPS機能を遠隔操作することによって取得することもできる。
なお携帯電話は800MHz帯のもので海岸から10〜20km程度離れた海上でも利用できるため、航行海域が沿岸付近に限定されるプレジャーボート等の小型船舶では必要十分な範囲で通信を行うことができる。
図2に示したように、監視センタの監視サーバ18は、送受信装置23、入力装置25、制御装置27、データベース29および出力装置31とから構成されている。送受信装置23は情報通信網21(インターネットおよび携帯電話通信網)に接続し、また制御装置27との間で各種データの授受を行う。入力装置25は各種情報の入力を行うキーボードやマウス、記憶媒体の読込み手段を備えている。出力装置31は入力画面や出力画面、選択画面、処理データの表示などを行うディスプレイや印刷出力を行うプリンタなどである。
制御装置27は、送受信装置および入力装置からの入力に基づき各種の演算処理を実行する演算処理装置であり、入力処理を行う入力処理部、各船舶の個別データの検索や船舶が航行する海域に関する情報をデータベース29内から検索する検索処理部、船舶の航行軌跡を監視・予想するシミュレーション部、出力装置31に出力するための処理を行う出力制御部を備えている。
制御装置27につながるデータベース29には、インターネットを介して気象庁や海上保安庁のコンピュータ19から提供される情報である安全情報Cや海図データが送受信装置23または入力装置25から入力されて格納されており、また船舶14の個別情報A(メールアドレス、電話番号、船舶ID、帰港予定時刻、航行軌跡)が登録される。安全情報Cは制御装置27からの要求によりデータベース29から引出され、情報通信網21を通じて艇長の携帯電話12に送信できるようになっており、携帯電話12で受信された安全情報Cは、その表示部に表示されるようになっている。
なおここでの安全情報Cとは、気象・海象に関する情報、例えば、気象警報・注意報、台風情報、天気予報、風向・風速、視程、気圧、気温・水温、雲量の情報、波浪・うねり、海流・潮流・潮汐、霧等に関する情報や、漂流物・沈船等の障害物、港湾工事、漁具・魚網の敷設状況、巨大船の運行、その他の航行警報等に関する情報などであり、また観光・レジャーに関する情報等もこれに含めることができる。
次に上記管理システムを用いた本発明の小型船舶の管理支援方法の一例を図面を用いて説明する。図3は主に船舶の監視を行う監視センタと艇長が船舶に持ち込む携帯電話との間で行われる情報の授受を表したフロー図である。以下図1も参照して各実施例を説明する。
[個別情報登録段階(S1)]
この段階はGPS機能等を備えた携帯電話12の所有者である艇長が、安全情報等の情報の提供を受けるために、携帯電話のアクセス番号(電話番号)、メールアドレスおよび船舶14のID等を個別情報Aとして監視センタの監視サーバに登録する段階である。
小型船舶の操縦をしようとする艇長はまず、自己の保有する携帯電話12やインターネット接続されたコンピュータのブラウザにURLを入力し、監視センタ16の監視サーバ18にアクセスして個別情報の登録用に用意された登録用ホームページを参照し、その中に用意された個別情報登録用フォームに、少なくとも携帯電話12の電話番号・電子メールアドレス、氏名、船舶名などの船舶を特定するためのIDなど必須入力事項の他、より詳細な情報として住所、船舶名、操縦士免許番号などの任意入力事項を入力して個別情報Aの登録を行う。監視サーバ18は入力を処理し、携帯電話12のメールアドレスを基に、船舶14ごとに個別情報Aをデータベースに登録して管理する。このようにして監視サーバ18への個別情報Aの登録処理が完了する。
[予定時刻登録段階(S2)]
この段階は艇長が携帯電話のメール機能を用いて、帰港予定時刻を監視センタの監視サーバに登録する段階である。
艇長は監視サーバ18に帰港予定時刻の登録を行うために、出港時に帰港予定時刻登録用に用意されたメールアドレスに帰港予定時刻を題名とする電子メールを送信する。例えば題名を「1730」と記載した電子メールを送信することにより、午後5時30分を帰港予定時刻として登録する。電子メールを受信した監視サーバ18は、その送信先のメールアドレスから帰港予定時刻の登録のための電子メールであることを判断するとともに、送信者のメールアドレスをデータベースに登録された個別情報Aと照合することにより船舶14を特定する。そして電子メールの題名のテキストデータを抽出することにより、その船舶の帰港予定時刻を個別情報Aと関連付けてデータベースに登録する。また、艇長は電子メールの本文に船舶の搭乗人数や帰港する港の名称などの情報を記載することで、これらの情報もデータベースに登録することができる。これらの情報は事故発生時等に円滑な救助要請を行うために役立てることができる。
[帰港喚起段階(S5)]
この段階は、監視センタが出港した船舶に対し、予定時刻登録段階S2で登録した帰港予定時刻通りの帰港を促すために、帰港予定時刻の所定時間前に帰港予定時刻が迫っている旨を連絡する段階である。
監視サーバ18は、例えば帰港予定時刻の1時間前になった時点で、帰港予定時刻の1時間前となった旨の内容を記載した電子メールを艇長の携帯電話12に送信する。この電子メールによって艇長は帰港のための準備をするか、後述の予定時刻変更段階での帰港予定時刻の変更手続を行うことになる。
[帰港確認段階(S3)]
この段階は、帰港予定時刻が過ぎた段階で帰港した旨の連絡がない船舶について、監視センタが帰港予定時刻を過ぎた旨を連絡する段階である。
出港時に監視サーバ18に予め登録しておいた帰港予定時刻または後述の予定時刻変更段階で変更した帰港予定時刻を過ぎた段階で、帰港した旨の連絡がない場合には、監視サーバ18は艇長の携帯電話12に帰港予定時刻が過ぎた旨を内容とする電子メールを送信する。この電子メールには、既に帰港している場合にはその題名を「帰港済」と記載した返信の電子メールを、帰港予定時刻を変更する場合には上記予定時刻登録段階S2と同様に変更したい帰港予定時刻をその題名とした返信の電子メールを送信するように要請する内容が記載されている。返信の電子メールを受け取った監視サーバ18は、その送信先のメールアドレスから帰港済みの連絡のための電子メール又は帰港予定時刻変更のための電子メールであることを判断するとともに、送信者のメールアドレスをデータベースに登録された個別情報Aと照合することにより船舶14を特定する。そして電子メールの題名のテキストデータを抽出することにより、記載された情報をサーバのデータベースに登録する。すなわち船舶14が既に帰港している場合にはその旨をサーバのデータベースに登録して船舶の監視・管理を終了し、船舶の帰港予定時刻が変更される場合には、変更する帰港予定時刻を登録し、引き続きその船舶の監視・管理を継続することになる。
[予定時刻変更段階(S6)]
この段階は、予め登録しておいた帰港予定時刻を変更したい場合に艇長がその変更を行う段階である。
出港時に監視サーバ18に登録した帰港予定時刻に帰港することができないと判断した艇長は、帰港予定時刻変更のために予め用意されたメールアドレスに電子メールを自発的に送信し、または、帰港喚起段階S5や帰港確認段階S3で監視サーバ18から送信された電子メールに対する返信の電子メールとして、帰港予定時刻変更のための電子メールを送信する。帰港予定時刻の変更方法は上記予定時刻登録段階S2や帰港確認段階S3と同様に、変更しようとする帰港予定時刻を題名とする電子メールを送信して行う。監視サーバ18は受信した電子メールのメールアドレスから送信者を特定するとともに、電子メールの題名のテキストデータを抽出し、その船舶の帰港予定時刻の変更をデータベースに登録する。
[救助要請段階(S4)]
この段階は、前記帰港確認段階S3で監視サーバ18が送信した帰港予定時刻が過ぎた旨の電子メールに対して所定時間内に返信の電子メール等がない場合に、監視サーバが船舶の測位データを取得するとともに、帰港航路にないと判断される場合には海上保安庁等の所定機関に救助要請を行う段階である。
前記帰港確認段階S3で監視サーバ18が送信した電子メールに対し、所定の時間内、例えば15分以内に返信がない場合には、監視サーバ18は再び帰港確認のための電子メールを送信するとともに、携帯電話12にアクセスして携帯電話12のGPS機能を操作することによって現在携帯電話12がある場所の測位データBを取得する。ここで通信料金を低減するために、監視サーバ18は携帯電話12に間欠的にアクセスして取得した測位データBから船舶14の航行軌跡を求める。その航行軌跡からその船舶が帰港航路にあると判断される場合、すなわち、航行軌跡から港に向かっていると判断される場合には、監視サーバ18は引き続き航行軌跡の監視を行い、測位データBから帰港が確認された段階で船舶の監視・管理を終了する。一方、その航行軌跡から帰港航路にないと判断される場合、すなわち、船舶が港から離れている場合や海上で停止したままの状態である場合には、監視サーバ18はインターネットを通じて海上保安庁等の所定機関22に取得した測位データBを送信するとともに救助要請を行う。救助要請は定形文による電子メールを自動的に送信することによって行うこともできるが、緊急性を要する場合には電話等による連絡によっても行われる。また、救助要請に先立って携帯電話12の通話機能を用いて、監視センタ16の係員が連絡のない船舶の艇長に電話連絡を行い、船舶の状況を確認する段階を含めることも好ましい。
上述したように本実施例による小型船舶の管理支援方法によれば、帰港予定時刻を予め登録することでこれまで管理されていなかった船舶の入出港を管理することができ、その予定時刻に船舶が帰港しない場合には、船舶の位置を特定した上で所定機関に救助要請を行うことができる。これにより万一船舶に事故等が発生した場合にも迅速な救助が可能となる。
図4に本実施例の小型船舶の管理支援方法をフロー図で示した。本実施例は監視センタが船舶の航行を監視するとともに、その船舶が航行している海域に関連する安全情報を適宜提供するものである。
本実施例では、上述した実施例1と同様に、まず個別情報登録段階S1で個別情報Aの登録を行う。次に艇長は出港時に監視センタの監視サーバに帰港予定時刻を登録することにより、または安全情報の提供開始を依頼するために出港告知の連絡を行う。この連絡により、監視サーバ18は船舶14の監視を開始する。すなわち監視サーバ18は、艇長の携行するGPS機能を備えた携帯電話12に間欠的、例えば15分おきにアクセスして携帯電話12を遠隔操作することによって現在携帯電話12がある場所の測位データBを取得する。ここで間欠的にアクセスすることとしたのは通信料金の低減を図るためである。監視サーバ18は間欠的に取得した船舶14の測位データBから、船舶の航行をデータベース29に記録して監視するとともに、検索処理部によってデータベース29に格納した安全情報Cの中から船舶が航行している海域に関連する安全情報Cを検索してその情報を携帯電話12に電子メールで送信する(安全情報提供段階(S8))。これにより艇長は携帯電話12の表示部に表示された安全情報Cを参照して、航海の安全維持に努めることができるようになる。このように船舶が航行する海域の安全情報をリアルタイムに提供することによって、操縦経験が浅く海図等を読むことができない艇長等にも分かり易い形で情報を提供することができ、航海の安全確保に資することができる。
図5に本実施例の小型船舶の管理支援方法をフロー図で示した。本実施例は監視センタが船舶の航行を監視するとともに、船舶が所定海域に接近した場合等に警告のための連絡を行うものである。
本実施例ではまず上述した実施例2と同様に個別情報登録段階S1で個別情報Aの登録および出港告知の連絡が行われ、その後監視サーバ18は間欠的に携帯電話12にアクセスして携帯電話12の位置の測位データBを取得する。そしてデータベース29に予め登録しておいた所定海域、例えば危険海域に船舶14が接近しまたは侵入した場合に、監視サーバ18は、携帯電話12に電子メールまたは自動音声による警告の連絡を行う(警告段階(S9))。警告の内容は船舶が所定海域に接近または進入している旨を告知するものである。
警告の連絡を受けた艇長はその海域が危険海域等であることを知ることで、その海域から脱出するように勤めることが期待され、事故発生を未然に防止することができる。ここで監視サーバ18は航行軌跡から船舶が所定海域に接近するに従って携帯電話12にアクセスする頻度を高めて詳細な測位データBを取得するとともに、警告の連絡の頻度も高めることが望ましい。これによって艇長に繰り返して警告を発して効果的に事故発生の防止に貢献することができる。以上のように本実施例の小型船舶の管理支援方法によれば、危険海域等について知識のない艇長であっても安心して船舶の操縦をすることができるようになる。
なお本発明の小型船舶の管理支援方法は本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。例えば、本発明では通話機能、電子メール機能およびGPS機能を全て備えた携帯通信端末を用いることとしているが、これらの機能は必ずしも一つの装置に集積されている必要はなく、測定した測位データを監視サーバに送信する通信機能を備えた専用のGPS機器と、監視サーバとの間で相互に電子メールのやり取りを行うことができる携帯通信端末を用いることによっても本発明の効果を達成することが可能である。専用のGPS機器を用いる場合には携帯電話を用いたときのように通話料金がかかることがないため、常時管理センタと船舶間で通信を行うことにより船舶の航行を継続的に監視することができる。従って専用のGPS機器を用いれば、監視センタは予め設定した港湾の範囲からの入出により船舶の入出港を管理することができる。そして出港を確認した段階で、予め個別情報が登録された携帯通信端末に帰港予定時間の登録を求める電子メールを送信したり、上記安全情報提供段階S8の安全情報や警告段階S9の警告の連絡を行うこともできる。
また本発明では、帰港予定時刻の登録や帰港予定時刻の変更を電子メールにより行うこととしているが、これ以外にも艇長が帰港予定時刻の登録・変更用に用意されたホームページにアクセスし、その画面上において帰港予定時刻の入力を行い、そのデータを送信してその登録・変更を行うものとすることもできる。
上述したように本発明の小型船舶の管理支援方法によれば、監視センタが船舶の入出港を管理することができ、また、帰港が確認されない場合にも船舶の位置を特定した救助要請を所定機関に迅速に行うことができる。また、帰港予定時刻での船舶の帰港を促すとともにその変更も受け付けることで航海の都合を考慮している。さらに船舶の航行を監視して航行する海域に関連する情報を提供し、また、危険海域等に接近・進入した場合に警告を与えることで安全航行を支援して海難事故の発生防止に貢献することができる。
なお本発明は、特に航行システムや船舶無線装備が装備されていない小型船舶に対し、近年普及してきたGPS機能付きの携帯通信端末を用いることによってその航行を管理・支援することを主目的としたものであるが、航行システムや船舶無線装備が装備された船舶やより大型の船舶に対しても適用することができる。
本発明の小型船舶の管理支援方法を実施するための管理システムの全体像を示した図である。 監視センタの監視サーバの構成図である。 本発明の小型船舶の管理支援方法の第1の実施例を示したフロー図である。 本発明の小型船舶の管理支援方法の第2の実施例を示したフロー図である。 本発明の小型船舶の管理支援方法の第3の実施例を示したフロー図である。
符号の説明
10 管理システム
12 携帯通信端末(携帯電話)
14 船舶
16 監視センタ
18 監視サーバ
19 コンピュータ
21 情報通信網
22 所定機関
23 送受信装置
25 入力装置
27 制御装置
29 データベース
31 出力装置
S1 個別情報登録段階
S2 予定時刻登録段階
S3 帰港確認段階
S4 救助要請段階
S5 帰港喚起段階
S6 予定時刻変更段階
S7 航行監視段階
S8 安全情報提供段階
S9 警告段階
A 個別情報
B 測位データ
C 安全情報

Claims (8)

  1. 乗組員が携行する、通話機能、電子メール機能およびGPS機能を備えた携帯通信端末(12)のアクセス番号、メールアドレスおよび船舶(14)のIDが個別情報(A)として監視センタ(16)の監視サーバ(18)に登録される個別情報登録段階(S1)と、
    帰港予定時刻が個別情報と関連付けて監視サーバに登録される予定時刻登録段階(S2)と、
    帰港予定時刻までに帰港した旨の連絡がない場合には監視サーバが前記携帯通信端末に帰港予定時刻を過ぎた旨を連絡する帰港確認段階(S3)と、
    所定の時間内に返答がない場合に監視サーバが携帯通信端末にアクセスして携帯通信端末のGPS機能を用いて測定した測位データ(B)を取得し、船舶の航行軌跡から帰港航路にないと判断される場合には、所定機関(22)に該測位データを送信するとともに救助要請を行う救助要請段階(S4)と、からなることを特徴とする小型船舶の管理支援方法。
  2. 前記予定時刻登録段階(S2)での帰港予定時刻の登録は、前記携帯通信端末(12)から送信され、監視サーバ(18)が受信した電子メールのテキストデータから帰港予定時刻を取得するとともに、電子メールのアドレスから船舶(14)を特定して行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の小型船舶の管理支援方法。
  3. 前記監視サーバ(18)が携帯通信端末(12)に、帰港予定時刻が迫っている旨を帰港予定時刻の所定時間前に連絡する帰港喚起段階(S5)を更に含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の小型船舶の管理支援方法。
  4. 前記帰港確認段階(S3)又は帰港喚起段階(S5)での連絡は携帯通信端末(12)に電子メールを送信することにより行われる、ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の小型船舶の管理支援方法。
  5. 帰港予定の変更する場合には、帰港予定時刻変更のために予め用意されたメールアドレスに変更する帰港予定時刻を記載した電子メールを送信し、
    監視サーバ(18)が受信した電子メールのテキストデータから変更する帰港予定時刻を取得するとともに、返信の電子メールのメールアドレスから船舶(14)を特定して監視サーバに登録する予定時刻変更段階(S6)を更に含む、ことを特徴とする請求項1乃至4に記載の小型船舶の管理支援方法。
  6. 乗組員が所有する通話機能、電子メール機能およびGPS機能を備えた携帯通信端末(12)のアクセス番号およびメールアドレスと船舶(14)のIDが個別情報(A)として監視センタ(16)の監視サーバ(18)に登録される個別情報登録段階(S1)と、
    監視サーバが携帯通信端末にアクセスして携帯通信端末のGPS機能を用いて測定した測位データ(B)を取得する航行監視段階(S7)と、
    監視センタが取得した船舶の位置から、その海域に関連する海域情報や気象情報等の安全情報(C)を携帯通信端末にメール送信する安全情報提供段階(S8)と、からなる、ことを特徴とする小型船舶の管理支援方法。
  7. 乗組員が所有する通話機能、電子メール機能およびGPS機能を備えた携帯通信端末(12)のアクセス番号およびメールアドレスと船舶(14)のIDが個別情報(A)として監視センタ(16)の監視サーバ(18)に登録される個別情報登録段階(S1)と、
    監視サーバが携帯通信端末にアクセスして携帯通信端末のGPS機能を用いて測定した測位データ(B)を取得する航行監視段階(S7)と、
    船舶の航行軌跡から船舶が所定海域に接近していると判断される場合または所定海域に侵入した場合に、監視サーバは警告のための電子メールまたは自動音声による連絡を行う警告段階(S9)と、からなる、ことを特徴とする小型船舶の管理支援方法。
  8. 前記携帯通信端末(12)は携帯電話であり、監視サーバ(16)は携帯電話に間欠的にアクセスして測位データ(B)を取得する、ことを特徴とする請求項1乃至8に記載の小型船舶の管理支援方法。
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