JP2005250220A - 高分子フィルム、偏光子、それらの製造方法、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

高分子フィルム、偏光子、それらの製造方法、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリマーマトリクス中に金属微粒子が縞状に分散している高分子フィルムであって、耐久性が良好で、広波長帯域において高い二色性を有する偏光子を提供すること。
【解決手段】 ポリマーマトリクス中に金属微粒子が分散している高分子フィルムであって、前記金属微粒子が分散している部分(a)と、金属微粒子が分散していないか、または前記部分(a)に比べて金属微粒子の分散が少ない部分(b)とが、ポリマーマトリクス中において縞状構造を形成していることを特徴とする高分子フィルム。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高分子フィルムおよび当該フィルムを用いた偏光子、ならびにそれらの製造方法に関する。また本発明は当該偏光子を用いた偏光板、光学フィルムに関する。さらには当該偏光子、偏光板、光学フィルムを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に関する。
液晶表示装置等に代表される次世代の画像表示装置には、偏光子(偏光板)が用いられている。近年では、画像表示装置の大面積化、多様化に伴い、偏光子の需要も拡大しており、かつ品質向上・耐久性への要求は大きくなっている。前記画像表示装置はテレビ、パソコン等に用いられる他、各種の用途で用いられる。特に、携帯電話、PDAなどの屋外での過酷な環境下での使用を想定した液晶表示装置や、車載用ナビゲーション、液晶プロジェクタ用の液晶表示装置等には非常に高い耐久性が要求される。
従来、画像表示装置用の偏光子としては、主に延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素や二色性染料で染色した構造のものが用いられている。ヨウ素系偏光子は、非晶性であるヨウ素を混入した水溶液によりフィルムを染色したのち、延伸処理を施すことによって得られ、可視光に対する高い偏光性を有し、大型偏光子の作製が可能である。しかし、ヨウ素系偏光子は耐久性に乏しく、ヨウ素が高温で昇華したり、錯体構造が変化したりするために偏光性能を維持することが難しい。一方、二色性染料を用いた染料系偏光子は、ヨウ素系偏光子に比べて耐久性はよいものの、染料の二色比が十分でないことや耐候性などに劣ることなどから、一部の用途を除いては広く採用はされていない。
また高温での耐久性の要求される光通信、光記録再生装置、光導波路用ビームスプリッターなどの光デバイス分野で用いられる偏向器として、ガラス中に金属微粒子を分散した偏光器が知られている。現在、金属微粒子を使用し偏光機能を制御する素子としては、グリッド偏光器が一般的に知られている。たとえば、誘電体基板上に金属膜を形成し、基板と金属膜とを延伸することにより異方的な形状を有する金属部分をもつ構造を形成したワイヤグリッド型の偏光光学素子が提案されている(特許文献1参照)。しかし、前記金属膜は真空蒸着法等により形成するため、高い熱プロセスが必要であり、量産に適していない。
一方、金属微粒子の吸収光学効果を利用した偏光素子としては、誘電体基板上に形状其方性を有する金属微粒子を分散し、形状異方性に伴う光吸収異方性を利用した偏光素子が提案されている(特許文献2、特許文献3参照)。しかし、これらの偏光素子は、金属微粒子を分散させる層をゾルゲル法により形成しているため、柔軟性が十分ではない。
また、金属微粒子をポリイミド中に分散し、一軸延伸処理した偏光性フィルムが提案されている(特許文献4参照)。しかし、かかる偏光性フィルムは、二色性が十分ではない。
特開2001−74935号公報 特開平8−304625号公報 特開2002−55226号公報 特開平8−184701号公報
上記課題を解決するため、本出願人は特願2003−329436号、特願2003−186684号を出願した。当該出願に係わる発明によれば、透明性のポリマー等をマトリクスとし、その中に金属微粒子を分散し、延伸することにより簡易なプロセスで、透明性、耐久性の良好な偏光子を得ることができている。当該発明に記載の偏光子は、金属微粒子内部の電子振動によるプラズモン吸収を用いている。
金属微粒子の光学特性については、「Near Field Spectral Analysis of Metallic Beads(Topics Appl.Phys.81,97−122)において述べられている。すなわち、当該文献には、金属微粒子の吸収は、マトリクスの屈折率及び金属微粒子の粒径に依存するほかに、一定の距離内では、粒子内の双極子運動は粒子間の距離に依存した相互作用により偏光依存性を持つことが記載されている。したがって、複屈折性ポリマー中において粒子間の距離を制御することができれば、偏光の入射方向による吸収波長帯域の差は大きくなり、より高い二色比を持つ偏光子を得ることができる可能性がある。
複屈折性ポリマー中の金属微粒子の吸収異方性は、マトリクスの屈折率異方性に依存するものと考えられる。しかし、複屈折は材料固有の値であり、マトリクスとなるポリマーの複屈折を制御することには限界がある。
本発明は、ポリマーマトリクス中に金属微粒子が縞状に分散している高分子フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
また本発明は、耐久性が良好で、広波長帯域において高い二色性を有する偏光子を提供することを目的とする。
また本発明は、当該偏光子を用いた偏光板、光学フィルムを提供することを目的とする。
さらには当該偏光子、偏光板、光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す高分子フィルムおよび偏光子により前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリマーマトリクス中に金属微粒子が分散している高分子フィルムであって、
前記金属微粒子が分散している部分(a)と、金属微粒子が分散していないか、または前記部分(a)に比べて金属微粒子の分散が少ない部分(b)とが、ポリマーマトリクス中において縞状構造を形成していることを特徴とする高分子フィルム、に関する。
上記本発明の高分子フィルムではポリマーマトリクス中に、金属微粒子の分散部分(a)と非分散部分(b)により縞状構造が形成されている。このように本発明の高分子フィルムは金属微粒子の粒子間の距離を縞状構造により制御することができる。この規則的構造を複折性ポリマー中に利用することにより、金属微粒子間における相互作用を利用した吸収の異方性を得ることができ、偏光の入射方向による吸収波長帯域の差を大きくして高い二色比を有する偏光子を得ることができる。非分散部分(b)には金属微粒子が分散されていないものが好ましいが、前記部分(a)に比べて金属微粒子の分散状態が低く、前記部分(a)と縞状構造を形成できる程度であれば金属微粒子を含んでいてもよい。なお、縞状構造は顕微鏡により確認できる。
前記高分子フィルムにおいて、金属微粒子のアスペクト比(最大長/最小長)は2以下であることが好ましい。アスペクト比は2以下、さらには1.8以下であるのが好ましい。さらには金属微粒子は球状であるのが好ましい。また金属微粒子の平均粒径は100nm以下であることが好ましい。微小領域の平均粒径は100nm以下、さらには50nm以下であるのが好ましい。なお、微小領域の平均粒径、アスペクト比は詳しくは実施例の記載による。
前記高分子フィルムにおいて、縞状構造は平行縞状構造であることが好ましい。縞状構造は特に制限されず、一方向に縞状構造が形成される平行縞状構造や環状の縞状構造等があげられる。これらの縞状構造のなかでも、偏光を選択的に取り出す偏光子を形成する場合には平行縞状構造であるのが好ましい。
また本発明は、前記高分子フィルムを延伸することにより得られる偏光子、に関する。前記高分子フィルムに、延伸を施すことにより偏光子とすることができる。
前記高分子フィルムに延伸を施すことにより、金属微粒子の分布状態に異方性が生まれる。一方向において粒子間距離が狭く相互作用の影響が大きい状態を作り、他方向においては粒子間距離が広くなる。そのため、一方向のみに広帯域な吸収をもつ二色比の高い偏光子の作製が実現できる。
上記偏光子にみられる偏光特性は、マトリクス中に分散された金属微粒子が、微粒子近傍のマトリクス屈折率に応答した表面プラズモン吸収を起すことにより、粒子近傍のマトリクス屈折率は延伸による複屈折率発現と粒子の相互作用により異方性が存在するものと推定され、これにより一軸延伸により光学異方性が発現したものと思われる。偏光特性を持つ波長領域は、金属微粒子のプラズモン吸収波長と媒質の屈折率等の特性により決定されるため、材料の複屈折率、金属微粒子の種類、割合、分散状態を適宜に調整することにより、任意の光学特性を持つ偏光子の設計が可能となる。
延伸は一軸延伸、二軸延伸等のいずれでもよい。延伸の方向は特に限定されないが、縞状構造が平行縞状構造である場合には、少なくとも高分子フィルムの平行縞状構造の縦方向と平行な方向を含むことが好ましい。一軸延伸の場合には前記縞状構造の縦方向と平行な方向に行なうことが好ましい。
延伸後に、金属微粒子のプラズモン吸収は、金属微粒子により形成された縞状構造の縦方向と平行の偏光を入射した場合には吸収ピークは長波長側にシフトし、かつ吸収波長帯域は広帯域化する。一方、前記縦方向と垂直に偏光を入射した場合は、プラズモン共鳴波長をピークとする比較的急峻な吸収となり、吸収の異方性が現れ、二色性を示す。
前記偏光子においても、金属微粒子のアスペクト比は2以下であることが好ましい。アスペクト比は2以下、さらには1.8以下であるのが好ましい。さらには金属微粒子は球状であるのが好ましい。また金属微粒子の平均粒径は100nm以下であることが好ましい。微小領域の平均粒径は100nm以下、さらには50nm以下であるのが好ましい。
また本発明は、ポリマーマトリクス中に金属イオンが分散している高分子フィルムに、二光束干渉光を照射することにより、金属イオンから金属微粒子を生成し、
前記金属微粒子が分散している部分(a)と、金属微粒子が分散していないか、または前記部分(a)に比べて金属微粒子の分散が少ない部分(b)とによって、マトリクス中に縞状構造を形成することを特徴とする上記高分子フィルムの製造方法、に関する。
また本発明は、ポリマーマトリクス中に金属イオンが分散している高分子フィルムに、二光束干渉光を照射することにより、金属イオンから金属微粒子を生成し、
前記金属微粒子が分散している部分(a)と、金属微粒子が分散していないか、または前記部分(a)に比べて金属微粒子の分散状態が低い部分(b)とによって、マトリクス中に縞状構造を形成した後、
延伸することを特徴とする上記偏光子の製造方法、に関する。
上記本発明の高分子フィルムは、たとえば、金属イオンを混合したポリマーフィルム中に、二光束干渉光を照射することにより製造することができる。二光束干渉光の照射によって、フィルム中の金属イオンは二光束干渉光の強度分布に応じたエネルギーを吸収して選択的に還元される。すなわち、前記干渉光の強度が強い露光部分では金属イオンは還元されて金属微粒子として集中して析出され、金属微粒子の分散部分(a)を形成する。一方、前記干渉光の強度が弱い部分では、金属イオンは還元されず金属微粒子が析出しないか、または前記部分(a)よりも還元される割合が低く、析出も少ない。かかる部分が非分散部分(b)となる。この分散部分(a)と非分散部分(b)との金属微粒子の分散状態の違いによって上記の縞状構造を形成することができる。
上記本発明の高分子フィルムは延伸することにより、偏光子とすることができる。特願2003−329436号等では、金属微粒子が分散している高分子フィルムを延伸することにより、当該フィルム中の金属微粒子の分布を制御している。当該出願の方法では、延伸時の応力のみにより金属微粒子の分布を制御しているが、金属微粒子の分布を再現性よく制御することは難しい。上記本発明の方法によれば、干渉光の強度分布を制御することにより、当該強度分布に対応した前記縞状構造を再現性よく作製することができる。
また本発明は、前記偏光子の少なくとも片面に、透明保護層を設けたことを特徴とする偏光板、に関する。
また本発明は、前記偏光子、前記偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム、に関する。
さらには本発明は、前記偏光子、前記偏光板または前記光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置、に関する。
以下に本発明を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の高分子フィルム(M)の概念図であり、ポリマーマトリクス(P)中に金属微粒子(m)が分散している。また本発明の高分子フィルム(M)は金属微粒子(m)の分散部分(a)と非分散部分(b)を有する。分散部分(a)は同じ方向に繰り返し配列して、縞状構造を形成している。分散部分(a)の配列方向が縦方向である。
前記分散部分(a)における金属微粒子(m)の分布は特に制限はなく、ランダムであってもよいし、一定距離間隔に金属微粒子(m)が配置する規則的な分布であってもよい。さらに金属微粒子(m)の粒子同士が付着して数珠状になる部分があってもよい。数珠状部分は粒子間の距離が一方向において限りなく短くなることにより吸収異方性が大きくなる点で好ましいが、必ずしも必要ではない。
さらに、縞状構造はフィルム厚み方向において内部に連続的に形成されている。各分散部分(a)における金属微粒子(m)の粒径、分布頻度はそれぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。また、フィルム厚み方向においても金属微粒子(m)の粒径、分布頻度はそれぞれ同じであってもよいし異なっていてもよい。
前記分散部分(a)の幅(L1)は、延伸後に可視光域での吸光度を高めるために5〜1万nm程度、さらには10〜3000nmであるのが好ましい。非分散部分(b)の幅(L2)は同様に5〜1万nm程度、さらには10〜3000nmであるのが好ましい。
図2は、ポリマーマトリクス(P)中に金属イオン(i)が溶解、分散している高分子フィルム(I)に、二光束干渉光を照射することにより、金属イオン(i)から金属微粒子(m)を生成し、金属微粒子(m)の分散部分(a)と、非分散部分(b)によって、マトリクス(P)中に縞状構造を形成した高分子フィルム(M)を製造する概念図である。
なお、図1、2では、非分散部分(b)には金属微粒子(m)が示されていないが、非分散部分(b)には分散部分(a)と縞状構造を形成できる程度に金属微粒子(m)を含んでいてもよい。また、分散部分(a)に金属イオン(i)を有することを排除するものでもない。
本発明の高分子フィルム(M)において、マトリクスを形成するポリマーとしては、各種のものを特に制限なく使用できる。マトリクスを形成するポリマーは、通常、1種にて形成するが、2種以上により形成することもできる。たとえば、ポリビニルアルコールまたはその誘導体があげられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等があげられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものがあげられる。ポリビニルアルコールの重合度は、1000〜10000程度、ケン化度は80〜100モル%程度のものが一般に用いられる。
なお、前記ポリビニルアルコール系フィルム中には可塑剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、ポリオールおよびその縮合物等があげられ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等があげられる。可塑剤の使用量は、特に制限されないがポリビニルアルコール系フィルム中20重量%以下とするのが好適である。
また前記ポリマーとしては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂等があげられる。さらには、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、アリレート系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等があげられる。これらは1種または2種以上を組み合わせることができる。また、フェノール系、メラミン系、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型または紫外線硬化型の樹脂の硬化物を用いることもできる。
前記ポリマーにより形成されるフィルムは、延伸処理により複屈折が付与される。したがって、前記ポリマーは、複屈折を生じやすい異方性を有するものが好ましく、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、スルホン系ポリマー等が好適である。
前記ポリマーマトリクス中に分散されている金属微粒子は、可視光域に吸収を持つものであれば特に制限されない。金属としては、たとえば銀、銅、金、白金、アルミニウム、パラジウム、鉄、クロム、ニッケル、マンガン、スズ、コバルト、チタン、マグネシウム、リチウム等を例示できる。
本発明の高分子フィルム(M)の製造方法は特に制限されないが、たとえば、ポリマーマトリクス中に金属イオンが分散している高分子フィルム(I)に、二光束干渉光を照射することにより得られる。
高分子フィルム(I)は、前記ポリマーを含有する溶液に、金属イオンを分散含有させた混合溶液を調製し、その混合溶液を製膜することにより得られる。
ポリマー溶液に用いる溶媒としては、ポリマーが溶解するものであれば特に制限はない。たとえば、水;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類;トルエン等の芳香族類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘプタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、ブチルラクトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類等があげられる。なお、ポリマーとして、ポリビニルアルコール等の水溶性のものを用いる場合には、溶媒としては水が好適に用いられる。ポリマー溶液の濃度は、通常、0.05〜30重量%程度に調整するのが好ましい。
金属イオンの分散含有は、金属イオンになりうる金属化合物を配合することにより行なう。金属化合物は、還元・析出等により金属微粒子を形成することができるものを用いることができる。金属化合物としては、無機金属化合物、有機金属化合物、無機金属化合物と有機金属化合物の錯体、有機金属化合物と有機金属化合物の錯体があげられる。金属化合物としては、金属のハロゲン化物、金属の硝酸化合物、金属の酢酸化合物、金属のトリフルオロ酢酸化合物、金属のアセチルアセトン化合物、金属のトリフルオロアセチルアセトン化合物、金属のへキサフルオロアセチルアセトン化合物等があげられる。また、以上の化合物とアセチルアセトン、1,1,1−トリフルオロアセチルアセトン、1,1,1,5,5,5−へキサフルオロアセチルアセトンを混合することによって得られた錯体なども使用可能である。金属化合物は1種を用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属化合物の含有量は、マトリクス形成ポリマー100g(固形分)に対して1ミリモル以上であるのが好ましい。前記金属化合物の割合は、ポリマー100g(固形分)に対して5ミリモル以上、さらには7.5ミリモル以上、さらに10ミリモル以上であるのが好ましい。金属化合物の割合が1ミリモル未満では、二光束干渉光の照射により、金属イオンから還元、生成される金属微粒子が少なくなる。その結果、金属微粒子間の相互作用の効果を奏し難く、広い波長帯域で吸光特性を有する高分子フィルムが得られない。
一方、金属化合物の割合が高くなると、還元、生成される金属性粒子の凝集が起こり、当該金属微粒子の分布異方性制御が難しくなる。これらから、金属化合物の割合は、ポリマー100g(固形分)に対して1000ミリモル以下、さらには500ミリモル以下であるのが好ましい。
一方、金属イオンは、通常、分散溶液として前記ポリマー溶液に混合される。金属イオンの分散溶液の濃度は、通常、0.01〜25重量%程度に調整するのが好ましい。
ポリマー溶液と、金属イオンを分散させた溶液(金属化合物を含有する溶液)の混合割合は、得られる混合溶液中におけるポリマーと金属化合物との割合が前記範囲となるように適宜に調整される。
前記金属イオンは、ポリマー中において外部エネルギーに対して不安定であり、露光光に対する反応性は、マトリクス材料、金属化合物種、露光光光源、使用環境等により異なる。これらに対する反応挙動を制御するため、ポリマーマトリクス中に金属イオンが分散している高分子フィルム(I)中には、イオン安定化剤、界面活性剤、pH調整剤、分光増感剤などの添加物を添加することができる。かかる添加剤は、前記高分子フィルムの製膜に用いる混合溶液中に含有させることができる。その他、前記溶液中には、分散剤、色相調整剤、紫外線吸収剤、難燃剤、酸化防止剤、増粘剤・可塑剤等の各種の添加剤を含有させることができる。
イオン安定化剤は、金属イオンおよび還元処理後の金属微粒子をポリマーマトリクス中に安定に存在させる。ポリマー中の金属イオンは不安定な状態であり、特に銀イオンは不安定で酸化しやすい。また、均一な粒度分布をもつ構造を得るためには、フィルム製膜時に金属イオンの酸化・還元を防止し、ポリマー中に安定的にイオンを閉じ込め、露光時の反応のみにより金属微粒子を析出させることが重要である。イオン安定化剤としては、金属イオンと錯体を形成する錯形成剤が好ましい。例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、チオ硫酸イオン、アンモニア、シアナイドイオン、チオシアネートイオン、亜硫酸イオン、チオ尿素、脂肪族1級アミン(直鎖又は分岐したドデシルアミン、ヘキシルアミン、ノニルアミン、ペンタデシルアミンなど)、環状アミン(ピリジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピコリン、ピぺラジン、ピロール、ピベリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、イソチアゾール、キノリン、インキノリンなど)、アルカノールアミン(ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、インプロパノールアミン、トリ−イソプロパノールアミンなど)、ポリアミン(トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミンなど)、アミノ酸(アラニン、アルギニン、ヒスチジン、システイン、メチオニン、グルタミンなど)、チオール(チオグリコールなど)、チオセミカルバジド、チオウラシルが挙げられる。より具体的には、塩化ナトリウム、2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、イミダゾール等があげられる。
界面活性剤は、金属イオンの安定化、さらに析出した金属微粒子のパターン(縞状構造)の精度向上、パターンの安定化のために添加することができる。界面活性剤の種類としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両面活性剤のいずれでもよく、市販品として使用されているものを使用することが可能である。例えば、アルキル硫酸エステル塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレン、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、硬化ひまし油、ポリオキシエチレン、アルキルアミン、アルキルアルカノールアミドなどがあげられる。
pH調整剤は、前記混合溶液中の金属イオンの平衡状態を制御し、薄膜形成時のイオン安定性、干渉光露光時の金属微粒子の生成を安定化するために用いる。混合溶液は、pH6〜pH8程度が好ましく、さらに好ましくは6.5〜7.5である。pHを上記値内に調整するため、一般的に知られるpH調整剤を添加することができる。
分光増感剤は、干渉光に対する金属化合物の感光性を高めるために分光増感剤を添加することができる。一般的に知られている分光増感剤の例としては、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ベンゾフェノン系吸収剤等があげられる。これらの分光増感剤を金属化合物(金属イオン)の種類により適宜選択することにより、照射レーザの波長域における感光性を高めることが可能である。例えば、銀イオンの紫外域における吸収感度を高めるためには、ベンゾフェノン系吸収剤が有効である。
前記ポリマー溶液に、金属イオンを分散含有させた混合溶液は、製膜して高分子フィルム(I)を得る。フィルムの形成方法としては、キャスティング法、押し出し溶融法、ラミネート成形法、射出成形法、スピンコート法、ロール成形法、流延成形法などの各種の方法を採用できる。フィルム成形にあったっては、溶液の粘度、乾燥速度を調整して行なう。フィルム厚みは特に制限されないが、通常、5〜80μm程度である。
本発明の高分子フィルム(M)は、上記製膜したフィルム(I)に、二光束干渉光を照射することにより得られる。上記フィルム(I)は、ポリマーマトリクス中に金属イオンを含み、これに二光束干渉光を照射することにより、選択的に金属イオンから金属微粒子から生成する。これにより縞状構造を形成している本発明の高分子フィルム(M)を作製する。
二光束干渉光の光源としては、位相の揃ったレーザ光源が好ましく、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンレーザー、Nd:YAGレーザ、THG:YAGレーザなどの各種レーザがあげられる。干渉縞の間隔は、二光束光線の上記高分子フィルム(I)への入射角度および光路長により決定される。高分子フィルム(M)に形成されている縞状構造内部の金属微粒子の分布(縞状構造の間隔)は、金属微粒子の濃度、照射光の強度、照射時間などから任意に設計することができる。照射光の強度は50mW〜500mW程度、さらには、100mW〜300mW、照射時間は1秒間〜30分間程度、さらには5秒間〜10分間であるのが好ましい。
次いで、前記高分子フィルム(M)を延伸処理する。延伸方向は、少なくとも高分子フィルム(M)の縞状構造の縦方向と平行な方向を含む。延伸は一軸延伸により、ポリマーマトリクスを形成するポリマーに一軸性の複屈折を付与し、偏光子を得る。延伸により等方的に分散されていた粒子が、異方性の分布もしくは一方向への配列状態を持つようになり、吸収の異方性が発現する。
延伸方法は空気中での延伸、金属ロールへの接触等による乾式延伸でもよいし、ポリマーがポリビニルアルコールのような水溶性の場合には、水中での湿式延伸でもよい。なお、延伸手段はポリマーの種類に応じて、そのガラス転移温度の付近において伸長が可能である温度にて行なう。延伸倍率は特に制限されないが、通常、1.1〜10倍程度、さらには、2〜10倍とするのが好ましい。
偏光子の厚さは、特に制限されないが、通常、5〜80μm程度である。得られた偏光子は、常法に従って、その少なくとも片面に透明保護層を設けた偏光板とすることができる。透明保護層はポリマーによる塗布層として、またはフィルムのラミネート層等として設けることができる。透明保護層を形成する、透明ポリマーまたはフィルム材料としては、適宜な透明材料を用いうるが、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮断性などに優れるものが好ましく用いられる。前記透明保護層を形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、二酢酸セルロースや三酢酸セルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護層を形成するポリマーの例としてあげられる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
偏光特性や耐久性などの点より、特に好ましく用いることができる透明保護層は、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムである。透明保護層の厚さは、任意であるが一般には偏光板の薄型化などを目的に500μm以下、さらには1〜300μm、特に5〜300μmが好ましい。なお、偏光子の両側に透明保護層を設ける場合は、その表裏で異なるポリマー等からなる透明保護フィルムを用いるができる。
また、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
前記偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。前記接着剤は、架橋剤、各種添加剤を含有することができる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。
本発明の偏光板は、前記透明保護フィルムと偏光子を、前記接着剤を用いて貼り合わせることにより製造する。接着剤の塗布は、透明保護フィルム、偏光子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。貼り合わせ後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着層を形成する。偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行なうことができる。接着層の厚さは、特に制限されないが、通常0.1〜5μm程度である。
本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行なうことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行なうことができる。
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組合せにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたのものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
偏光板や光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の偏光板または光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に偏光板または光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組合せをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下に、実施例を記載して、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
実施例1
(高分子フィルム(I)の作成)
ポリビニルアルコール水溶液(重合度2400,完全ケン化,固形分10重量%,クラレ社製)100g、1モル/リットルの硝酸銀水溶液1ml、イミダゾール0.2gおよびベンゾフェノン系紫外線吸収剤(MS40,BASFジャパン株式会社製)1.8gを混合、撹拌して、透明色の水溶液(pH7.5)を得た。
次いで、この水溶液を、ガラス基板上にスピンコートにて塗布し、室温(23℃)で60分間乾燥することにより、厚さ約10μmの薄膜の高分子フィルム(I)を得た。
(高分子フィルム(M)の作成)
上記で得られた高分子フィルム(I)をガラス基板上に設置した状態で、THG:YAGレーザ:(波長355nm)を光源とする二光束干渉光学系にて干渉光を、1分間照射(照射強度170mW)し、高分子フィルム(M)を得た。この高分子フィルム(M)は黄色く呈色し、フィルム上部からの肉眼観察で干渉縞が確認された。また顕微鏡により観察を行ったところ、約1μm間隔の縞状の配列構造が確認された。図3に、顕微鏡写真を示す。顕微鏡写真による測定はキーエンス社製VK−8510により行なった。図3(a)は100倍、図3(b)がその一部拡大(200倍)である。図3(b)の矢印で挟んだ部分が、金属微粒子の分散部分である。金属微粒子の分散部分では、粒径10nm〜30nmの球形粒子が析出していた。
さらにFE−TEM(日立製作所製,H−800)にて断面TEM観察を行ったところ、フィルム内部にも粒径10nm〜30nmの球形粒子の析出部分、非析出部分の繰り返し構造が約1μmピッチで確認された。分光光度計U−4100(日立製作所製)にて吸収スペクトルを測定したところ、450nmに、金属微粒子(銀微粒子)のプラズモン吸収に伴うと考えられる吸収ピークを確認した。
(偏光子の作成)
上記で得られた高分子フィルム(M)を、ガラス基板から剥離し、室温にて金属微粒子の配列方向(縦縞の方向)と平行な方向に2倍に乾式一軸延伸を行い、厚さ7μmの偏光子を得た。
得られた偏光子について、偏光を入射し吸収スペクトルを測定したところ、金属微粒子の配列方向と平行方法に入射した場合には最も長波長側に吸収ピークを示し、前記配列方向と垂直方向に入射した場合には、最も短波長側に吸収ピークを示した。延伸後の金属微粒子の分布は延伸方向の粒子が縞状に分布をしていた。同様の実験を10回繰り返したところ、再現性よく同様の試料を得ることができた。
実施例2
(高分子フィルム(I)の作成)
ポリビニルアルコール水溶液(重合度2400,完全ケン化,固形分10重量%,クラレ社製)100g、テトラクロロ金(III)酸ナトリウム0.2gおよびイミダゾール0.1gを混合、撹拌して、透明色で黄色の水溶液(pH7.5)を得た。
次いで、この水溶液を、ガラス基板上にスピンコートにて塗布し、室温(23℃)で60分間乾燥することにより、厚さ約10μmの薄膜の高分子フィルム(I)を得た。この高分子フィルム(I)は薄い黄色を示した。
(高分子フィルム(M)の作成)
上記で得られた高分子フィルム(I)をガラス基板上に設置した状態で、THG:YAGレーザ:(波長355nm)を光源とする二光束干渉光学系にて干渉光を、1分間照射(照射強度170mW)し、高分子フィルム(M)を得た。この高分子フィルム(M)は赤く呈色し、フィルム上部からの肉眼観察で干渉縞が確認された。また顕微鏡により観察を行ったところ、約1μm間隔の縞状の配列構造が確認された。金属微粒子の分散部分では、粒径10nm〜30nmの球形粒子が析出していた。
さらにFE−TEM(日立製作所製,H−800)にて断面TEM観察を行ったところ、内部にも粒径10nm〜30nmの球形粒子の析出部分、非析出部分の繰り返し構造が約1μmピッチで確認された。分光光度計U−4100(日立製作所製)にて吸収スペクトルを測定したところ、570nmに、金属微粒子(金微粒子)のプラズモン吸収に伴うと考えられる吸収ピークを確認した。
(偏光子の作成)
上記で得られた高分子フィルム(M)を、ガラス基板から剥離し、室温にて金属微粒子の配列方向(縦縞の方向)と平行な方向に2倍に乾式一軸延伸を行い、厚さ7μmの偏光子を得た。
得られた偏光子について、偏光を入射し吸収スペクトルを測定したところ、金属微粒子の配列方向と平行方法に入射した場合には最も長波長側に吸収ピークを示し、前記配列方向と垂直方向に入射した場合には、最も短波長側に吸収ピークを示した。延伸後の金属微粒子の分布は延伸方向の粒子が縞状に分布をしていた。同様の実験を10回繰り返したところ、再現性よく同様の試料を得ることができた。
本発明の高分子フィルム(M)の概念図である。 高分子フィルム(I)から本発明の高分子フィルム(M)を製造する概念図である。 実施例1で得られた高分子フィルム(M)の顕微鏡写真である。
符号の説明
M 本発明の高分子フィルム
I 本発明の高分子フィルム(M)を得るために用いる高分子フィルム
P ポリマーマトリクス
i 金属イオン
m 金属微粒子
a 金属微粒子の分散部分
b 金属微粒子の非分散部分

Claims (11)

  1. ポリマーマトリクス中に金属微粒子が分散している高分子フィルムであって、
    前記金属微粒子が分散している部分(a)と、金属微粒子が分散していないか、または前記部分(a)に比べて金属微粒子の分散が少ない部分(b)とが、ポリマーマトリクス中において縞状構造を形成していることを特徴とする高分子フィルム。
  2. 金属微粒子のアスペクト比が2以下であることを特徴とする請求項1記載の高分子フィルム。
  3. 金属微粒子の平均粒径が100nm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の高分子フィルム。
  4. 縞状構造が平行縞状構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の高分子フィルムを延伸することにより得られる偏光子。
  6. 縞状構造が平行縞状構造であり、延伸の方向が、少なくとも高分子フィルムの平行縞状構造の縦方向と平行な方向を含むことを特徴とする請求項5記載の偏光子。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の高分子フィルムの製造方法であって、
    ポリマーマトリクス中に金属イオンが分散している高分子フィルムに、二光束干渉光を照射することにより、金属イオンから金属微粒子を生成し、
    前記金属微粒子が分散している部分(a)と、金属微粒子が分散していないか、または前記部分(a)に比べて金属微粒子の分散が少ない部分(b)とによって、マトリクス中に縞状構造を形成することを特徴とする高分子フィルムの製造方法。
  8. 請求項5または6記載の偏光子の製造方法であって、
    ポリマーマトリクス中に金属イオンが分散している高分子フィルムに、二光束干渉光を照射することにより、金属イオンから金属微粒子を生成し、
    前記金属微粒子が分散している部分(a)と、金属微粒子が分散していないか、または前記部分(a)に比べて金属微粒子の分散が少ない部分(b)とによって、マトリクス中に縞状構造を形成した後、
    延伸することを特徴とする偏光子の製造方法。
  9. 請求項5または6記載の偏光子の少なくとも片面に、透明保護層を設けたことを特徴とする偏光板。
  10. 請求項5または6記載の偏光子または請求項9記載の偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム。
  11. 請求項5または6記載の偏光子、請求項9記載の偏光板または請求項10記載の光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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