JP2005248104A - N−アルキルビススルホニルイミド基含有ビニルモノマー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 一般式(−(CF2 )q SO2 NRSO2 Rf 1、ここでq=1〜6の整数であり、Rは2位の炭素原子上に少なくとも1個の水素原子を有する、炭素数2〜10個の有機基であり、Rf 1は炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基である。)で表されるN−アルキルビススルホニルイミド基を含有するビニルモノマーを用いる。
【選択図】 なし
Description
で表されるパーフルオロスルホン酸ポリマーが用いられている。このポリマーは、下記一般式(10):
で表されるモノマーと、テトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体を加水分解、次いで酸処理することで得られる。
CF2 =CFCF2 OCF2 CF2 SO2 NHSO2 CF3 (11)
CF2 =CFOCF2 CF(CF3 )OCF2 CF2 SO2 NHSO2 CF3 (12)
CF2 =CFCF2 CF2 SO2 NHSO2 CF3 (13)
CF2 =CFOCF2 CF2 SO2 NHSO2 CF2 CF2 CF2 CF3 (15)
の水系乳化重合によりEWが970g/当量の、TFEとの共重合体が合成されている。
一方、ビススルホニルイミド基は酸型のままでは重合開始剤が強酸の作用により分解するので、モノマー濃度を高めた溶液重合を行なうことができなかった。 含フッ素溶媒を用いた溶液重合ができず、重合ができないためである。
したがって、イオン交換基密度が高く、且つスルホン酸基を含まないために熱安定性の高い、高純度のビススルホニルイミド基含有ポリマーを効率よく製造する方法についてはこれまで知られていなかった。
非特許文献4には、ビススルホニルイミド基含有アイオノマーをジメチルホルムアミド(DMF)溶液とし、キャスト製膜する方法が記載されている。しかし、DMF溶液の場合、沸点が高いので溶媒の完全除去が困難である。さらにDMFはビススルホニルイミドのような強酸によって一部分解し、分解物が燃料電池用触媒の触媒毒となるため、ガス拡散電極を製造するような用途には用いることができなかった。したがって、キャスト膜の製造やガス拡散電極の製造に適したビススルホニルイミド基含有ポリマーの溶液はこれまで知られていなかった。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 下記一般式(1):
−(CF2 )q SO2 NRSO2 Rf 1 (1)
(式中、q=1〜6の整数であり、Rは2位の炭素原子上に少なくとも1個の水素原子を有する、炭素数2〜10個の有機基であり、Rf 1は炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基であり、Rf 1中にはエーテル基、−SO2 NRa SO2 −、−SO2 X(Xはフッ素原子または−ORb )を含んでいてもよい。Ra およびRb はRと同じである。)
で表されるN−アルキルビススルホニルイミド基を含有するビニルモノマー。
[2] [1]において、Rが下記一般式(2):
−CR1 R2 CHR3 R4 (2)
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれフッ素原子、水素原子、炭素数1〜8個の炭化水素基、炭素数1〜8個のパーフルオロアルキル基から選ばれる基であり、R1 、R2 、R3 、R4 のうち少なくとも1個はフッ素原子またはパーフルオロアルキル基であり、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ連結して環状構造を形成していてもよい。)
で表される、[1]に記載のビニルモノマー。
で表されるビニルモノマー。
[4] 下記一般式(4):
CF2 =CFO(CF2 )r SO2 NRSO2 Rf 1 (4)
(式中、r=2〜6の整数であり、R、Rf 1は一般式(1)と同じである。)
で表されるビニルモノマー。
[5] 下記一般式(5):
−(CF2 )q SO2 NHSO2 Rf 2 (5)
(式中、qは一般式(1)と同じ、Rf 2は炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基であり、Rf 2中にはエーテル基、−SO2 NHSO2 −、−SO2 Y(Yはフッ素原子または−OH)を含んでいてもよい。)
で表されるビススルホニルイミド基を含有するビニルモノマーと、下記一般式(6):
CR1 R2 =CR3 R4 (6)
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は一般式(2)と同じ。)
で表されるフルオロオレフィンとの反応で製造されることを特徴とする、[2]に記載のビニルモノマーの製造方法。
(式中、pは一般式(3)と同じ、qは一般式(1)と同じ、Rf 2は一般式(5)と同じである。)
で表されるビススルホニルイミド基含有ビニルモノマーと一般式(6)で表されるフルオロオレフィンとの反応で製造されることを特徴とする、[3]に記載のビニルモノマーの製造方法。
[7] 少なくとも[1]〜[4]のいずれかに記載のビニルモノマー単位を含有する重合体。
[8] [1]〜[4]のいずれかに記載のビニルモノマーと、炭素数2〜3個のフルオロオレフィンとの共重合体。
[9] [1]〜[4]のいずれかに記載のビニルモノマーとテトラフルオロエチレンとの共重合体。
[10] [1]〜[4]のいずれかに記載のビニルモノマーを単独または他のモノマーと共に溶液重合することを特徴とする、[7]〜[9]のいずれかに記載の(共)重合体の製造方法。
[12] [7]〜[9]のいずれかに記載の(共)重合体をプロトン性化合物と接触させる操作により、ビススルホニルイミド基を含有するポリマーへ変換することを特徴とするビススルホニルイミド基含有ポリマーの製造方法。
[13] 下記一般式(8):
で表されるビススルホニルイミド基含有ポリマーであって、スルホン酸基を含まず、且つ当量重量で表されるイオン交換容量が600〜1500g/当量である、ビススルホニルイミド基含有ポリマー。
[15] プロトン性化合物を10wt%以上含む溶媒にビススルホニルイミド基含有ポリマーを溶解または懸濁した、ビススルホニルイミド基含有ポリマーの溶液または懸濁液。
[16] 含フッ素溶媒に[7]〜[9]のいずれかに記載の(共)重合体を溶解または懸濁した、N−アルキルビススルホニルイミド基含有ポリマーの溶液または懸濁液。
[17] [15]に記載のビススルホニルイミド基含有ポリマーの溶液または懸濁液を、触媒バインダーポリマー溶液として用いることを特徴とした、燃料電池用ガス拡散電極の製造方法。
[18] [16]に記載のN−アルキルビススルホニルイミド基含有ポリマーの溶液または懸濁液を、触媒バインダーポリマー溶液として用いることを特徴とした、燃料電池用ガス拡散電極の製造方法。
まず、本発明のN−アルキルビススルホニルイミド基含有ビニルモノマーにおいて、下記一般式(1):
−(CF2 )q SO2 NRSO2 Rf 1 (1)
におけるN−R結合は適度な安定性を有し、取り扱い容易であって例えば含フッ素溶媒中での溶液重合が可能である。それでいて、重合後のポリマーでは、極めて容易な処理を施すことによりN−R結合をN−H結合に変換することができるという特長を有する。
Rは、2位の炭素原子上に少なくとも1個の水素原子を有する、炭素数2〜10個の有機基であるが、より適度な安定性と脱離性のバランスを有する構造としては、好ましくは2位の炭素原子上に少なくとも1個の水素原子を有する、炭素数2〜10個の含フッ素アルキル基である。さらに好ましくは、Rは下記一般式(2):
−CR1 R2 CHR3 R4 (2)
で表される含フッ素アルキル基である。一般式(2)において、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれフッ素原子、水素原子、炭素数1〜8個の炭化水素基、炭素数1〜8個のパーフルオロアルキル基から選ばれる基であり、R1 、R2 、R3 、R4 のうち少なくとも1個はフッ素原子またはパーフルオロアルキル基であり、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ連結して環状構造を形成していてもよい。 なお、R1 、R2 、R3 、R4 にはエーテル基を含んでいてもよい。さらに一般式(2)において、R1 およびR2 の少なくとも一方はフッ素原子であることが好ましく、両方がフッ素原子であることがより好ましい。一方、2位の炭素原子上には、少なくとも2個の水素原子が結合しているが、2個以上の水素原子が結合していることがより好ましい。
−CHFCH3 、−CH2 CH2 F、−CF2 CH3 、−CH2 CHF2 、−CF2 CH2 F、−CHFCHF2 、−CF2 CHF2 、−CH(CH3 )CF3 、−CH2 CH2 CF3 、−CF2 CHFOCF3 、−CF(OCF3 )CHF2 、−CH(CF3 )CHF2 、−CF2 CH2 CF3 、−CF(CF3 )CH2 F、−CHFCHFCF3 、−C(CF3 )2 CH3 、−CH2 CH(CF3 )2
この中で好ましくは−CHFCH3 、−CF2 CH3 、−CF2 CH2 Fであり、最も好ましくは−CF2 CH3 である。
一般式(1)においてRf 1は炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基である。Rf 1 中にはエーテル基、−SO2 NRa SO2 −、−SO2 X(Xはフッ素原子または−ORb )を含んでいてもよく、Ra およびRb は上記Rと同じである。ここで、側鎖あたりの酸点を多くしたい場合はRf 1中に−SO2 NRa SO2 −や−SO2 Xのどちらでも含んでいてもよいが、熱安定性の高いポリマーとしたい場合には−SO2 X基は含まないほうが好ましい。−SO2 NRa SO2 −基を含む場合、その数は2個以下が好ましく、1個以下がさらに好ましい。またエーテル基を含む場合、その数は3個以下が好ましく、2個以下がより好ましく、1個以下がさらに好ましい。Rf 1の炭素数は、1〜6個が好ましく、1〜4個がより好ましく、1〜2個がより好ましく、1個、すなわちCF3 基が最も好ましい。
一般式(1)においてqは1〜6の整数であるが、2〜6の整数が好ましく、2〜4がより好ましい。
が挙げられる。pは0が好ましく、下記一般式(4):
CF2 =CFO(CF2 )r SO2 NRSO2 Rf 1 (4)
(式中、r=2〜6の整数であり、R、Rf 1 は一般式(1)と同じである。)の化合物が特に好ましい。
−(CF2 )q SO2 NHSO2 Rf 2 (5)
(式中、qは一般式(1)と同じ、Rf 2 は炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基であり、Rf 2中にはエーテル基、−SO2 NHSO2 −、−SO2 Y(Yはフッ素原子または−OH)を含んでいてもよい。)
で表されるビススルホニルイミド基を含有するビニルモノマーと、炭素数2〜10個のオレフィンとの反応である。ここでRf 2に−SO2 NHSO2 −基が含まれる場合は、このビススルホニルイミド基もオレフィンと反応させることになる。さらに、Rf 2に−SO3 H基を含む場合には、このスルホン酸基もオレフィンと反応し、−SO3 R基を生成することになる。このオレフィンは好ましくは下記一般式(6):
CR1 R2 =CR3 R4 (6)
で表されるフルオロオレフィンである。R1 、R2 、R3 、R4 は上記一般式(2)で説明した通りである。したがって、該フルオロオレフィンとしては、具体的にはCHF=CH2 、CF2 =CH2 、CF2 =CHF、CF2 =CF2 、CH2 =CHCF3 、CF2 =CFOCF3 が挙げられ、好ましくはCHF=CH2 、CF2 =CH2 、CF2 =CHFであり、最も好ましくはCF2 =CH2 である。
が挙げられる。pは0が好ましく、下記一般式(16):
CF2 =CFO(CF2 )r SO2 NHSO2 Rf 2 (16)
(式中、r=2〜6の整数であり、Rf 2は一般式(5)と同じである。)
の化合物が特に好ましい。
オレフィンとの反応時には、通常、溶媒や触媒等の余分な成分は不要なので、反応後も基本的には生成物のみが得られ、それを蒸留等の方法で精製するだけでよい。
次に、本発明のN−アルキルビススルホニルイミド基含有ビニルモノマー単位を含有する重合体について説明する。該重合体は、酸点の保護基であるN−アルキル基を1)50〜350℃で加熱処理する操作、2)プロトン性化合物と接触させる操作の少なくとも一方の操作を行なうことにより、ビススルホニルイミド基を含有するポリマーへ変換することができるという優れた特長を有している。
溶液重合は、モノマーの溶解度が高くなるようフッ素系溶媒中で行なうのが好ましい。具体的には、HFC43−10mee等のヒドロフルオロカーボン(HFC)類や、CFC113等のクロロフルオロカーボン(CFC)類、HCFC225ca/cb等のヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類、パーフルオロヘキサン等のパーフルオロカーボン(PFC)類、HFE7100等のヒドロフルオロエーテル(HFE)類等が用いられるが、モノマーの溶解性、環境影響のバランスから、HFC43−10mee等のHFC類が好ましい。重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤の他、パーフルオロ過酸化物等を用いることができる。
尚、アミン系プロトン性化合物を用いた処理の場合には、ビススルホニルイミド基を含有するポリマーのアミン塩が生成するが、その塩を酸処理することにより容易にビススルホニルイミド基を含有するポリマーに誘導することができる。
で表されるビススルホニルイミド基含有ポリマーであって、スルホン酸基を含まない、当量重量で表されるイオン交換容量(EW)が600〜1500g/当量である、ビススルホニルイミド基含有ポリマーは、本発明のN−アルキルビススルホニルイミド基含有ビニルモノマーを用いた溶液重合で初めて製造が可能になったものである。一般式(8)においても、EWは600〜1200g/molの範囲がより好ましく、600〜1000g/molの範囲が特に好ましい。
尚、本発明において溶液または懸濁液とは、目視において均一な溶液状の液体をいう。 ビススルホニルイミド基含有ポリマーの、プロトン性溶媒の溶液または懸濁液において、プロトン性溶媒は非プロトン性溶媒との混合物でもよいが、その場合には該溶媒中にプロトン性化合物を10wt%以上含むことが好ましい。
含フッ素溶媒としては、HFC43−10mee等のHFC類、CFC113等のCFC類、HCFC225ca/cb等のHCFC類、パーフルオロヘキサン等のPFC類、HFE7100等のHFE類等が用いられるが、不燃性のものが好ましく、ポリマーの溶解性、環境影響のバランスから、HFC43−10mee等のHFC類が好ましい。溶解または懸濁させるときの温度は0〜250℃、好ましくは0〜200℃である。必要により、耐圧容器内で処理する。この場合のポリマー濃度は、0.1〜30wt%が好ましく、1〜20wt%がさらに好ましい。
[実施例1]
ステンレス製200ml耐圧容器にCF2 =CFOCF2 CF2 SO2 NHSO2 CF3 を26g入れ、フッ化ビニリデンで0.8MPaに加圧した。55℃で攪拌しながら内圧を0.8MPaに保つように適宜フッ化ビニリデンを追加圧入した。5.5時間反応後、放圧したところ、29.08gの油状物が得られた。さらに減圧蒸留して28.41gの無色の液体を得た。沸点42℃/7.0×10-3Pa(収率95%)。生成物の構造は、19F−NMRと1 H−NMRから、N−アルキルモノマー:
CF2 =CFOCF2 CF2 SO2 N(CF2 CH3 )SO2 CF3
であることが確認された。
19F−NMR:(ppm,CFCl3 基準)−138.2(dd,1F),−123.2(dd,1F),−115.9(dd,1F),−108.0(s,2F),−84.4(s,2F),−72.7(s,3F),−60.3(s,2F)
1 H−NMR:(ppm,TMS基準)2.87(t,3H)
EI−MS(m/z):312,196,100,69
CI−MS(m/z):474[M+H]+
ステンレス製200ml耐圧容器に、実施例1で得られたN−アルキルモノマー15gを30gのHFC43−10meeに溶かした溶液(1.5gの活性アルミナB/superIを加えておき、使用前に濾過したもの)及び重合開始剤として(CF3 CF2 CF2 COO)2 の5%HFC43−10mee溶液19.38gを入れ、容器内を充分に窒素置換した後、TFEで置換して0.26MPaまで加圧した。25℃で攪拌しながら内圧を0.26MPaに保つように適宜TFEを追加圧入した。0.5時間反応後、放圧し、得られた懸濁液を遠心分離し、白色の膨潤した固形物を得た。この固形物をHFC43−10meeで3回洗浄し、乾燥して4.4gの白色の固体を得た。この固体のIRスペクトルからメチル基(3000cm-1)の吸収が観察され、この固体がN−アルキル体ポリマーであることが確認された。得られたポリマーを熱プレス機上で、200℃で10分間予熱した後に熱プレスし、厚さ100μmのフィルムを得た。このフィルムのIRスペクトルからビススルホニルイミド基の吸収(1050,1320cm-1)が観察され、固体19F−NMRからN−アルキル基(−60ppm付近)が消失していることが確認された。滴定によってこのフィルムのEWは1300g/molであり、室温でのプロトン伝導度は0.06S/cmであることが確認された。
ステンレス製200ml耐圧容器に、実施例1と同じ方法で得られたN−アルキルモノマー15gを30gのHFC43−10meeに溶かした溶液(1.0gの活性アルミナB/superIを加えておき、使用前に濾過したもの)及び重合開始剤として(CF3 CF2 CF2 COO)2 の5%HFC43−10mee溶液1.85gを入れ、容器内を充分に窒素置換した後、TFEで0.25MPaまで加圧した。25℃で攪拌しながら内圧を0.25−0.28MPaに保つように適宜TFEを追加圧入した。6.25時反応後、放圧し、得られた白色のゲルはHFC43−10meeとn−ヘキサンの混合液(20ml、50:50/体積比)に注いで、析出したゲルを遠心分離し、白色の膨潤したゲル状物を得た。このゲル状物をHFC43−10meeとn−ヘキサンの混合液(20ml、50:50/体積比)で3回洗浄し、乾燥して3.87gの白色ゴム状固体を得た。この固体のIRスペクトルからメチル基(3000cm-1)の吸収が観察され、この固体がN−アルキル体ポリマーであることが確認された。このポリマーについて、アルゴン中、昇温速度10度/分で熱質量分析(TGA)を測定したところ、80〜160℃にかけて、N−アルキル基の脱離による質量減少が観察された。
ガラス内筒を備えたステンレス製100ml耐圧容器に、上記フィルム0.5g、エタノールとHFC43−10meeの混合液(19.5g、60:40/重量比)を入れ、200℃で1.5時間加熱した。室温まで放冷後、容器を開けたところ、固体は完全に消失し、均一な溶液状であった。この溶液または懸濁液はキャスト製膜可能であった。
ステンレス製200ml耐圧容器に、実施例1と同じ方法で得られたN−アルキルモノマー28.4gを28.4gのHFC43−10meeに溶かした溶液(2.0gの活性アルミナB/superIを加えておき、使用前に濾過したもの)及び重合開始剤として(CF3 CF2 CF2 COO)2 の5%HFC43−10mee溶液3.71gを入れ、容器内を充分に窒素置換した後、TFEで0.25MPaに加圧した。25℃で攪拌しながら内圧を0.25MPaに保つように適宜TFEを追加圧入した。7時間反応後、放圧し、得られた乳白色の高粘性液はHFC43−10meeとn−ヘキサンの混合液(50ml、50:50/体積比)に注いで、析出したゲルを遠心分離し、白色の膨潤したゲル状物を得た。このゲル状物をHFC43−10meeとn−ヘキサンの混合液(20ml、50:50/体積比)で3回洗浄し、乾燥して6.19gの白色ゴム状固体を得た。この固体50mgにHFC43−10mee950mgを加え、室温で30分攪拌したところ、固体は完全に消失し、均一な溶液状であった。この溶液または懸濁液の19F−NMRを測定したところ、N−アルキル基の吸収(−60.6ppm)が確認された。
ガラス内筒を備えたステンレス製100ml耐圧容器に、上記フィルム0.5g、エタノールと水混合液(9.5g、50:50/重量比)を入れ、120℃で1時間加熱した。室温まで放冷後、容器を開けたところ、固体は完全に消失し、均一な溶液状であった。この溶液または懸濁液はキャスト製膜可能であった。
炭酸ナトリウム677mgを水3.75mlに溶解し、ビススルホニルイミドモノマーCF2 =CFOCF2 CF2 SO2 NHSO2 CF3 を5g滴下し、そのまま室温で1時間攪拌した。このモノマー溶液に、リン酸水素ニナトリウム12水6.68gを水92.5mlに溶解した溶液を加え、ステンレス製200ml耐圧容器に入れ、さらに重合開始剤としてペルオキソニ硫酸ナトリウム水溶液(1.0g/12.5ml水)と亜流酸水素ナトリウム水溶液(1.0g/12.5ml水)を入れ、容器内を充分に窒素置換した後、TFEで0.42MPaに加圧した。25℃で攪拌しながら内圧をTFEで0.42MPaに保つように適宜TFEを追加圧入した。2時間反応後、放圧し、得られた白色の懸濁液は濃塩酸とエタノールの混合液(300ml、50:50/体積比)に注いで、析出した白色の膨潤した固形物を濾過した。この固体は純水で水洗後、濃塩酸150ml中室温で5時間浸漬、濾過し、純水で水洗、乾燥して3.53gの白色固体を得た。
この固体は200℃でプレス製膜可能であり、得られた厚さ50μmのフィルムのIRスペクトルからビススルホニルイミド基の吸収(1050,1320cm-1)が観察された。また滴定によりEWは3240g/molであることが確認された。
炭酸ナトリウム677mgを水3.75mlに溶解し、ビススルホニルイミドモノマーCF2 =CFOCF2 CF2 SO2 NHSO2 CF3 を5g滴下し、そのまま室温で1時間攪拌した。このモノマー溶液に、リン酸水素ニナトリウム12水3.34gを水92.5mlに溶解した溶液を加え、ステンレス製200ml耐圧容器に入れ、さらに5mlのHFC43−10mee及び重合開始剤としてペルオキソニ硫酸ナトリウム水溶液(2.0g/12.5ml水)と亜流酸水素ナトリウム水溶液(2.0g/12.5ml水)を入れ、容器内を充分に窒素置換した後、TFEで0.40MPaに加圧した。25℃で攪拌しながら内圧をTFEで0.40MPaに保つように適宜TFEを追加圧入した。3.5時間反応後、放圧し、得られた白色の懸濁液は濃塩酸とエタノールの混合液(300ml、50:50/体積比)に注いで、析出した白色の膨潤した固形物を濾過した。この固体は純水で水洗後、濃塩酸150ml中室温で5時間浸漬、濾過し、純水で水洗、乾燥して0.35gの白色固体を得た。
この固体は200℃でプレス製膜可能であり、得られた厚さ40μmのフィルムのIRスペクトルからビススルホニルイミド基の吸収(1050,1320cm-1)が観察された。また滴定によりEWは5300g/molであることが確認された。
CF2 =CFOCF2 CF2 SO2 FとTFEの共重合体(スルホン酸型に変換したときのEW860g/mol)からなる、膜厚70μmの膜を、それぞれ乾燥したジイソプロピルエチルアミン50ml/ジグリム30ml/CF3 SO2 NH2 5gの混合溶液中に浸漬し、130℃で6時間反応させた。反応後の膜は、水洗後、ジメチルスルホキシド15g/KOH35g/水55gからなる液中で、90℃、1時間反応させた後、濃硫酸で洗浄し、充分水洗した後、乾燥した。
得られた膜のIRスペクトルを測定したところ、ほぼビススルホニルイミド基含有ポリマーであることを示していたが、1057cm-1と968cm-1に、スルホン酸由来のピークが観察された。また、固体19F−NMRから、ビススルホニルイミド基とスルホン酸基のモル比は90:10と求められた。
また、このフィルムについて、アルゴン中、昇温速度10度/分でTGAを測定したところ、310℃付近で小さな質量減少が観測された後、370℃付近で大きな質量減少を示した。
(熱分解試験)
実施例3で得られたフィルムを3cm×3cmに切り出し、内径5mm、長さ5cmのSUS製試料管に入れ、両端にそれぞれSUSおよびPTFEの配管を接続した。試料管全体を200℃のオーブンに入れ、SUS配管を通じて空気を20ml/分で流した。この際、配管の途中で80℃に加温した水のバブラーを通すことにより空気を加湿した。出口側のPTFE配管は、8mlの希NaOH水溶液(6×10-3N)に導入し、分解物を1時間ずつ、8時間にわたり捕集を続けた。
各1時間毎の捕集液について、イオンクロマトを測定したところフッ化物イオン濃度は、4時間目以降はほぼ一定していた。4時間目以降のフッ化物イオンの生成量は一時間あたりで、ポリマー質量に対して0.008質量%であった。
CF2 =CFOCF2 CF2 SO3 HとTFEの共重合体(EW740g/mol)からなる、膜厚50μmの膜を3cm×3cmに切り出し、実施例5と同様に熱分解試験を行なった。その結果、フッ化物イオンの生成量はほぼ一定しており、1 時間あたりのフッ化物イオンの生成量は、ポリマー質量に対して0.037質量%であった。
[実施例6]
実施例4で得られたN−アルキル型ポリマー固体0.5gにメタノール20mlを加え、2時間加熱還流した。溶媒を乾燥除去後、50℃で真空乾燥して乾燥ポリマーを得た。得られた固体のIRスペクトルを測定したところ、アルキル基の吸収が完全に消失し、ビススルホニルイミド基の吸収(1050,1320cm-1)が観察された。また、滴定によりこのポリマーのEWを測定したところ710g/当量であった。
次に、ガラス内筒を備えたステンレス製100ml耐圧容器に、上記フィルム0.4g、エタノールと水混合液(7.6g、50:50/重量比)を入れ、120℃で1時間加熱した。室温まで放冷後、容器を開けたところ、固体は完全に消失し、均一な溶液状であった。この溶液または懸濁液はキャスト製膜可能であった。
ガラス内筒を備えたステンレス製100mlの耐圧容器に、実施例4で得られたN−アルキル型ポリマー固体0.5g、エタノールと水混合液(50:50/重量比)9.5gを仕込み、180℃で2時間加熱攪拌した。室温まで放冷後、容器を開けたところ、固体は完全に消失し、均一な溶液状であった。この溶液または懸濁液をガラスシャーレ上に展開し、風乾して膜厚50μmのキャスト膜を作成した。得られた膜のIRスペクトルを測定したところ、ビススルホニルイミド膜であることが確認された。また、滴定によりこのフィルムのEWを測定したところ710g/当量であった。
(電池評価)
田中貴金属社製白金担持カーボン(TEC10E40E/白金担持量40wt%)1gに、実施例4で得られたポリマー溶液または懸濁液9.2gを加え、ホモジナイザーで激しく攪拌して触媒インクを作成した。このインクを、100μmの厚さのPTFEシート上に、電極面積が10cm2 となるように、スクリーン印刷により塗布した。この際、塗布量は、アノード用としては白金が0.15mg/cm2 、カソード用としては0.30mg/cm2 となるように塗布した。塗布後は風乾後、150℃で1時間、アニールしてガス拡散電極とした。
CF2 =CFOCF2 CF2 SO3 HとTFEの共重合体(EW740g/mol)からなる、膜厚50μmの膜を6cm×6cmに切り出し、その両側に上記2枚のガス拡散電極を向かい合わせてはさみ、160℃、圧力10MPaで5分間ホットプレスすることにより膜−電極接合体(MEA)を作製した。集電体として厚さ約400μmのカーボンクロスを用い、MEAと集電体とを積層し、燃料電池単セル評価装置(セルサイズ10cm2 )に組み込んだ。燃料に水素ガス、酸化剤に空気を用い、常圧、セル温度80℃で単セル特性試験を行った。水素ガスは90℃、空気は80℃で加湿を行い、セルへ供給した。その結果、0.5、1.0A/cm2 の電流密度でセルの出力電圧を確認し、発電されていることが確認された。
Claims (18)
- 下記一般式(1):
−(CF2 )q SO2 NRSO2 Rf 1 (1)
(式中、q=1〜6の整数であり、Rは2位の炭素原子上に少なくとも1個の水素原子を有する、炭素数2〜10個の有機基であり、Rf 1は炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基であり、Rf 1中にはエーテル基、−SO2 NRa SO2 −、−SO2 X(Xはフッ素原子または−ORb )を含んでいてもよい。Ra およびRb はRと同じである。)
で表されるN−アルキルビススルホニルイミド基を含有するビニルモノマー。 - 請求項1において、Rが下記一般式(2):
−CR1 R2 CHR3 R4 (2)
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれフッ素原子、水素原子、炭素数1〜8個の炭化水素基、炭素数1〜8個のパーフルオロアルキル基から選ばれる基であり、R1 、R2 、R3 、R4 のうち少なくとも1個はフッ素原子またはパーフルオロアルキル基であり、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ連結して環状構造を形成していてもよい。)
で表される、請求項1に記載のビニルモノマー。 - 下記一般式(4):
CF2 =CFO(CF2 )r SO2 NRSO2 Rf 1 (4)
(式中、r=2〜6の整数であり、R、Rf 1は一般式(1)と同じである。)
で表されるビニルモノマー。 - 下記一般式(5):
−(CF2 )q SO2 NHSO2 Rf 2 (5)
(式中、qは一般式(1)と同じ、Rf 2は炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基であり、Rf 2中にはエーテル基、−SO2 NHSO2 −、−SO2 Y(Yはフッ素原子または−OH)を含んでいてもよい。)
で表されるビススルホニルイミド基を含有するビニルモノマーと、下記一般式(6):
CR1 R2 =CR3 R4 (6)
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は一般式(2)と同じ。)
で表されるフルオロオレフィンとの反応で製造されることを特徴とする、請求項2に記載のビニルモノマーの製造方法。 - 少なくとも請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニルモノマー単位を含有する重合体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニルモノマーと、炭素数2〜3個のフルオロオレフィンとの共重合体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニルモノマーとテトラフルオロエチレンとの共重合体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニルモノマーを単独または他のモノマーと共に溶液重合することを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項記載の(共)重合体の製造方法。
- 請求項7〜9のいずれか1項記載の(共)重合体を50〜350℃で加熱処理する操作により、ビススルホニルイミド基を含有するポリマーへ変換することを特徴とするビススルホニルイミド基含有ポリマーの製造方法。
- 請求項7〜9のいずれか1項記載の(共)重合体をプロトン性化合物と接触させる操作により、ビススルホニルイミド基を含有するポリマーへ変換することを特徴とするビススルホニルイミド基含有ポリマーの製造方法。
- 請求項7〜9のいずれか1項記載の(共)重合体を、プロトン性化合物を含む溶媒中、50〜250℃で加熱することを特徴とする、ビススルホニルイミド基含有ポリマーの溶液または懸濁液の製造方法。
- プロトン性化合物を10wt%以上含む溶媒にビススルホニルイミド基含有ポリマーを溶解または懸濁した、ビススルホニルイミド基含有ポリマーの溶液または懸濁液。
- 含フッ素溶媒に請求項7〜9のいずれか1項記載の(共)重合体を溶解または懸濁した、N−アルキルビススルホニルイミド基含有ポリマーの溶液または懸濁液。
- 請求項15に記載のビススルホニルイミド基含有ポリマーの溶液または懸濁液を、触媒バインダーポリマー溶液として用いることを特徴とした、燃料電池用ガス拡散電極の製造方法。
- 請求項16に記載のN−アルキルビススルホニルイミド基含有ポリマーの溶液または懸濁液を、触媒バインダーポリマー溶液として用いることを特徴とした、燃料電池用ガス拡散電極の製造方法。
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