JP2005248083A - コート粒子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】直径0.01μm〜10μmのテンプレート粒子11の周囲に、一分子層のナノシートが集合してなるナノシート層15が積層されたコート粒子1である。ナノシートは、Ti2-xMexO4(MeはNi、Co、Cu、Zn、及びFeから選ばれる1種以上、xは0.4又は0.8)からなる。また、直径0.01μm〜10μmの中空部の周囲に、一分子層のナノシートが集合してなるナノシート層が積層されたコート粒子である。
【選択図】図1
Description
上記のようなコート粒子は、紫外光を吸収できるため、例えば紫外線を遮蔽するコーティング剤としての利用が期待されている。
上記ナノシートは、Ti2-xMexO4(MeはNi、Co、Cu、Zn、及びFeから選ばれる1種以上、xは0.4又は0.8)からなることを特徴とするコート粒子にある(請求項1)。
上記ナノシートは、Ti2-xMexO4(MeはNi、Co、Cu、Zn、及びFeから選ばれる1種以上、xは0.4又は0.8)からなることを特徴とするコート粒子にある(請求項5)。
そのため、上記コート粒子は、上記ナノシートの組成中のMeに由来する吸収波長を有する。それ故、上記ナノシートは、300nm以下の波長域で高効率な吸収を示し、上記コート粒子も300nm以下の幅広い領域で紫外光を吸収することができる。
このように、本発明によれば、幅広い領域で紫外光を吸収できるコート粒子を提供することができる。
一方、上記第2の発明のコート粒子は、上記中空部を有している。そのため、上記コート粒子の軽量化を図ることができる。
上記第2の発明のような上記中空部を有するコート粒子は、例えば上記第1の発明のコート粒子における上記テンプレート粒子を除去することにより得ることができる。
上記ナノシートは、Ti2-xMexO4からなり、水等の分散媒中で負電荷を帯びることができる。
一方、上記テンプレートが分散媒中で負電荷を帯びる場合には、上記テンプレート粒子の周囲に上記ナノシートを集合させて上記ナノシート層を形成させることが困難になる。
この場合には、上記コート粒子の作製時において、例えばシリカ(SiO2)やポリメチルメタクリレート(PMMA)等の分散媒中で負電荷を帯びるテンプレート粒子を用いる場合においても、同様に負電荷を帯びるTi2-xMexO4よりなるナノシートを上記テンプレート粒子の周囲に集合させて、容易に上記コート粒子を作製することができる。
上記カチオン性の高分子電解質等としては、例えばポリエチレンイミン(PEI)やポリアリルアミン等のアミン系ポリマー等がある。
この場合には、水酸化ナトリウム水溶液中で加熱する方法や、フッ化水素酸水溶液でエッチングする方法などにより、上記テンプレート粒子を簡単に除去することができ、上記第2の発明における上記中空部を有する上記コート粒子を容易に作製できる。
また、この場合には、粒子径がそろっているため、例えばコロイド結晶を作製する際に粒子を規則的に配列させることができる。
この場合にも、上記第1の発明のコート粒子から上記テンプレート粒子を除去して、上記第2の発明のコート粒子を容易に得ることができる。ポリメチルメタクリレート又は/及びポリスチレンよりなるテンプレート粒子は、例えばテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒で容易に抽出除去でき、これにより、上記第1の発明における上記テンプレート粒子の代わりに上記第2の発明における上記中空部を容易に形成できるからである。
また、この場合には、粒子径がそろっているため、例えばコロイド結晶を作製する際に粒子を規則的に配列させることができる。
また、上述したごとく上記コート粒子の作製上の便宜から、上記ナノシート層と上記中空部との間には、カチオン性の高分子電解質からなる樹脂層が形成されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記コート粒子の作製時に、ナノシート間に隙間がほとんどなく、厚みの均一な上記ナノシート層を形成することができ、その結果、上記コート粒子の粒径の均一性が非常に高くなる。そのため、この場合には、例えば上記コート粒子を規則的に配列させてコロイド結晶を作製することができる。
ここで、上記ナノシートの幅は、例えばナノシートの最大幅と最小幅との平均で表すことができる。
この場合には、上記ナノシート層の積層数に応じて上記コート粒子の干渉効果を制御することができる。それ故、上記コート粒子を各種着色剤、塗料等として利用できるようになる。
上記テンプレート粒子が例えばシリカ(SiO2)やPMMA等からなり、分散媒中で負電荷を有する場合には、まず上記テンプレート粒子を、例えばポリエチレンイミン(PEI)等のカチオン性の高分子電解質からなる樹脂の溶液に浸漬し、テンプレート粒子の表面に上記樹脂層を形成させる。次いで、上記のTi2-xMexO4よりなるナノシートを分散させたゾルと、上記樹脂層を形成した上記テンプレート粒子とを混合し、正電荷を帯びた樹脂層の表面に負電荷を帯びたナノシートを集合させて上記ナノシート層を形成させる。
この場合には、上述のごとく上記テンプレート粒子の周囲に上記ナノシートを複数積層させることが容易になる。
また、上記樹脂層は、例えば加熱等により適宜除去することができる。
次に、本発明の実施例にかかるコート粒子につき、図1〜図3を用いて説明する。
図1及び図2に示すごとく、本例のコート粒子1においては、直径0.01μm〜10μmのテンプレート粒子11の周囲に、一分子層のナノシート151からなるナノシート層15が複数層積層されている。本例において、ナノシート151はTi1.6Ni0.4O4からなる。
また、ナノシート層15は、テンプレート粒子11の周囲に合計で10層積層されており、各ナノシート層15同士の間には、PEIよりなる樹脂層13が形成されている。
まず、炭酸セシウム(Cs2CO3)と二酸化チタン(TiO2)と酸化ニッケル(NiO)とをCs:Ti:Ni=0.75:1.6:0.4というモル比で混合し、大気中において温度800℃で20時間焼成した。その後、室温に急冷してCs0.75Ti1.6Ni0.4O4よりなる粉末を合成した。この粉末1gに対して0.1規定の塩酸水溶液1000mlを加えて酸処理を行った。この酸処理においては、一日ごとに新しい塩酸水溶液を取り替える操作を3回繰り返した。
次いで、このゾルを水で50倍に希釈し、pHを9に調整し、これをナノシートゾルとした。
また、濃度2wt%のポリエチレンイミン(PEI)水溶液(pH9)を準備した。
次いで、このテンプレート粒子1gを上記にて準備したPEI水溶液150mlに混合し、超音波浴で10分間分散させ、さらに15分間撹拌した。その後、回転数4000rpmで10分間の遠心分離を3回行い、表面にPEIからなる樹脂層を形成したテンプレート粒子を回収した。
図4より知られるごとく、本例のコート粒子においては、X線回折パターンで2θ=4.0近傍にピークを示した。このことから、本例のコート粒子は、ナノシート層が2.5nm間隔で層状に積層されていることがわかる。
図4及び図5の結果から、本例のコート粒子においては、テンプレート粒子の周囲に2.5nmという一定の間隔でナノシート層が形成されていることがわかる。
そのため、コート粒子1は、ナノシート151の組成中のNiに由来する吸収波長を有する。そして、ナノシート層15は、300nm以下の波長域で高効率な吸収を示し、コート粒子1も300nm以下の幅広い領域で紫外光を吸収できる。
このように、本例によれば、幅広い領域で紫外光を吸収できるコート粒子を提供することができる。
本例は、テンプレート粒子の周囲にTi1.6Co0.4O4からなるナノシート層を有するコート粒子を作製する例である。
まず、炭酸セシウム(Cs2CO3)と二酸化チタン(TiO2)と酸化コバルト(CoO)とをCs:Ti:Co=0.75:1.6:0.4というモル比で混合し、大気中において温度800℃で20時間焼成した。その後、室温に急冷してCs0.75Ti1.6Co0.4O4よりなる粉末を合成した。次いで、実施例1と同様にして、酸処理を行い、固相を水洗して風乾し、得られた粉末をテトラブチルアンモニウム水酸化物水溶液に加えて濃青色のCo置換型チタニアゾルを得た。このゾル中には、Ti1.6Co0.4O4よりなり、幅が約10nm〜200nmのナノシートが分散されている。
本例のコート粒子は、ナノシート層がTi1.6Co0.4O4からなるものであり、その他の構成は実施例1と同様のものである。
図6より知られるごとく、本例のコート粒子においては、X線回折パターンで2θ=4.0近傍にピークを示した。このことから、本例のコート粒子は、ナノシート層が2.5nm間隔で層状に積層されていることがわかる。
また、図7より知られるごとく、本例のコート粒子においては、紫外・可視光吸収スペクトルの測定において260nmに極大を有するピークを示し、このピークはナノシートによるものである。
図6及び図7の結果から、本例のコート粒子においては、テンプレート粒子の周囲に2.5nmという一定の間隔でナノシート層が形成されていることがわかる。
本例は、図8に示すごとく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)からなるテンプレート粒子21の周囲にTi1.6Cu0.4O4からなるナノシート層25を有するコート粒子2を作製する例である。また、本例では、図9に示すごとく、中空部31の周囲に、Ti1.6Cu0.4O4からなるナノシート層35が積層されたコート粒子3を作製する。
その後、実施例1と同様に、固相をろ過水洗して風乾し、得られた粉末をテトラブチルアンモニウム水酸化物水溶液に加えて、黄色のCu置換型チタニアゾルを得た。このゾル中には、Ti1.6Cu0.4O4よりなり、幅が約10nm〜200nmのナノシートが分散されている。
本例のコート粒子は、テンプレート粒子21がPMMAからなり、ナノシート層25がTi1.6Cu0.4O4からなるものであり、その他の構成は、実施例1と同様である。
具体的には、まず、上記のようにして得られたコート粒子2(0.1g)を0.1wt%のテトラヒドロフラン水溶液100ml中に分散させた。次いで、50rpmの回転数で24時間撹拌した。これにより、PMMAからなるテンプレート粒子21が抽出除去され、図9に示すごとく中空部31が形成される。これにより中空部31の周囲に、ナノシートが集合してなるナノシート層35が積層されたコート粒子3を得た。
図10より知られるごとく、本例のコート粒子においては、紫外・可視光吸収スペクトルの測定において270nmに極大を有するピークを示した。このピークはナノシートによるものである。
本例は、図11に示すごとく、テンプレート粒子91の周囲にTi1.8O4からなるナノシート層95を有するコート粒子9を作製する例である。
まず、炭酸セシウム(CsCO3)と二酸化チタン(TiO2)とをCs:Ti=0.7:1.8というモル比で混合し、大気中において温度800℃で20時間焼成した。その後、室温に急冷してCs0.7Ti1.8O4よりなる粉末を合成した。この粉末1gに対して0.1規定の塩酸水溶液1000mlを加えて酸処理を行った。酸処理は、一日ごとに新しい塩酸水溶液を取り替える操作を10回繰り返した。
次いで、上記のようにして得られたゾルを水で50倍に希釈し、pHを9に調整して、これをナノシートゾルとした。
また、濃度2wt%のPEI水溶液(pH9)を準備した。
本例のコート粒子9は、テンプレート粒子91がPMMAからなり、ナノシート層95がTi1.8O4からなるものである。
11 テンプレート粒子
13 樹脂層
15 ナノシート層
Claims (9)
- 直径0.01μm〜10μmのテンプレート粒子の周囲に、一分子層のナノシートよりなるナノシート層が一層又は複数層積層されたコート粒子であって、
上記ナノシートは、Ti2-xMexO4(MeはNi、Co、Cu、Zn、及びFeから選ばれる1種以上、xは0.4又は0.8)からなることを特徴とするコート粒子。 - 請求項1において、上記ナノシート層と上記テンプレート粒子との間には、カチオン性の高分子電解質からなる樹脂層が形成されていることを特徴とするコート粒子。
- 請求項1又は2において、上記テンプレート粒子は、シリカよりなることを特徴とするコート粒子。
- 請求項1又は2において、上記テンプレート粒子は、ポリメチルメタクリレート又はポリスチレンよりなることを特徴とするコート粒子。
- 直径0.01μm〜10μmの中空部の周囲に、一分子層のナノシートよりなるナノシート層が一層又は複数層積層されたコート粒子であって、
上記ナノシートは、Ti2-xMexO4(MeはNi、Co、Cu、Zn、及びFeから選ばれる1種以上、xは0.4又は0.8)からなることを特徴とするコート粒子。 - 請求項5において、上記ナノシート層と上記中空部との間には、カチオン性の高分子電解質からなる樹脂層が形成されていることを特徴とするコート粒子。
- 請求項1〜6のいずれか一項において、上記ナノシート層は、幅5nm〜500nmの上記ナノシートを組み合わせて構成してあることを特徴とするコート粒子。
- 請求項1〜7のいずれか一項において、上記ナノシート層は、複数層積層されていることを特徴とするコート粒子。
- 請求項8において、上記ナノシート層同士の間には、カチオン性の高分子電解質からなる樹脂層が形成されていることを特徴とするコート粒子。
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