JP2005247818A - 置換アセチレンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】芳香族ハロゲン化物類と末端アセチレンをパラジウム触媒および塩基の存在カップリングさせ、置換アセチレンを合成する反応を、少ない触媒量で円滑に進行させる手段を見出し、また資源を効率的に再使用する手段を見出す。
【解決手段】上記カップリング反応を、イミドアニオンをアニオン成分とする疎水性イオン液体中で行う。この疎水性イオン液体としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等が好適である。また、反応終了後、反応混合液に、水及び、非水溶性有機溶媒を加えると、混ざり合わない3相が形成される。このうち、イオン液体相にはPd触媒が、水相にはハロゲン化水素と塩基からなる塩が、非水溶性有機溶媒相には、目的物の置換アセチレンが選択的に分配され、各々をごく容易に分離できる。イオン液体相は溶存するPd触媒と共に、そのまま次バッチのカップリング反応に再利用できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、一般式[1]で表される芳香族ハロゲン化物類
(式中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、R1〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、または炭素数2〜5の直鎖または分岐鎖のアルコキシカルボニル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)を表す。)
と、一般式[2]で表される末端アセチレン
(式中、Rはフェニル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、同一かもしくは異なる3つのアルキル基からなるトリアルキルシリル基を表す。)
を反応させて、一般式[3]で表される置換アセチレン
(式中、R、R1〜R5は、式[1]および式[2]に同じ。)
を製造する方法に関する。
一般式[3]で表される置換アセチレンは医薬、農薬および機能性材料のような各種化合物の製造原料または合成中間体として広く利用されており、極めて有用な化合物群である。
パラジウム触媒と場合によってはリン化合物や銅触媒をもちいて、芳香族ハロゲン化物類やハロゲン化ビニルなどの芳香族ハロゲン化物類と末端アセチレンとをカップリングさせて種々の置換アセチレンを製造する方法は公知であり、非特許文献1が発表されて以来種々の応用例が公知となっており、例えば非特許文献2や非特許文献3にその応用例がまとめられている。
一方、これらのアセチレンカップリング反応に使用された、高価なパラジウムを含む触媒の回収に関する手段は未だ十分に確立されたとはいえない。一般的には、均一系触媒反応において触媒を回収する方法としては、種々の方法が提案されている。例えば水溶性の触媒を用いて反応を水−有機相の二相系にて行い、反応後に生成物を含む有機相と触媒を含む水相に分離する方法が挙げられる(非特許文献4)。しかしこの場合には配位子として水溶性のものを使用する必要がある上、二相系で反応を行うため反応速度の大幅な低下が見られる場合が多い。さらに該アセチレンカップリング反応においては、反応中に発生するハロゲン化水素と使用した塩基とからなる塩が副生成物として生成するが、一般にこの塩は水溶性である場合が多い。従って水−有機相の二相系で反応を行うと、水相に触媒のみならずこの塩まで回収されてしまうことから、必然的に別途触媒と塩との分離が必要になるという問題がある。また、一般的には、パラジウムを用いた均一系触媒反応においては、分離回収しきれなかったパラジウムが微量、生成物へ溶脱する現象がしばしば見受けられるが、生成物の用途が医薬品や機能性材料である場合、微量といえどもパラジウムの溶脱は看過できない。生成物が蒸留法で精製できる場合にはパラジウムの除去は比較的容易であるが、蒸留法が使用できない場合には溶脱したパラジウムの除去が大きな問題となる。
これらの問題に対して、最近、カチオン部分とアニオン部分からなり室温または室温付近で液体の塩であるイオン性液体を、金属錯体が触媒するクロスカップリング反応の反応溶媒に用いる方法が注目されている。非特許文献5や非特許文献6にはイオン性液体に溶存している金属触媒や配位子を反応後回収再利用する例が例示されている。
しかしながら、イオン性液体をアセチレンカップリング反応に用いた例は極めて少ない。非特許文献7と非特許文献8においては、1−ブチル−3−メチル−イミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート([bmim][PF6])をイオン性液体として用いてアセチレンカップリング反応を行い、反応後触媒の回収再利用を数回成功させている。しかしながらこれらの文献においては、主として活性の高い芳香族ヨウ化物を用いている上、0.04〜0.05倍当量ものパラジウム触媒を使用しているために、ヨウ素系廃棄物と触媒のコストの点から工業的に利用できる方法とは言い難い。さらに最近、非特許文献9において、[bmim][PF6]は条件によっては加水分解を受けて分解し、有害なフッ化水素を遊離するという結果が開示されており、安全性の面からも工業的に利用するのは容易ではない。
一方、当出願人は種々のクロスカップリング用のパラジウム錯体として、特許文献1においてハロゲノ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)等を、特許文献2において3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-ビス(トリフェニル 1−ホスフィン)パラジウム(II)等を開示し、特許文献3や4において、これらを用いたクロスカップリング法による安息香酸、安息香酸エステルそして安息香酸アミド等の製造法を開示しているが、これらのパラジウム錯体を用いたアセチレンカップリングに関するものは未だ開示されていない。
Tetrahedron Letters、第16巻、4467頁〜4470頁、 1975年(米国) B. M. Trost、I. Fleming編‘Comprehensive Organic Synthesis'、第3巻、521頁〜549頁、1991年、Pergamon Press社発行(米国) F. Diederich、P. J. Stang編‘Metal-Catalyzed Cross-Coupling Reactions'、203頁〜229頁、1998年、Wiley-VCH社発行(ドイツ国) Angewandte Chemie International Edition in English、第32巻、1524頁〜1544頁、1993年(ドイツ国) P. Wasserscheid、T. Welton編、‘Ionic Liquids in Synthesis’、213頁〜269頁、2003年、Wiley-VCH社発行(ドイツ国) R. D. Rogers et al編、‘Green Industrial Application of Ionic Liquids’、29頁〜47頁、2000年、Kluwer Academic Publishers社発行(オランダ国) Organic Letters、第4巻、第10号、1691頁〜1694頁、2002年(米国) Monatshefte fur Chemie、第134巻、545頁〜549頁、2003年(ドイツ国) Green Chemistry、第5巻、361頁〜363頁、2003年(英国) 特開2000−169491号公報 特開2001−64289号公報 特開2000−191580号公報 特開2000−169435号公報
本発明は、一般式[1]で表される芳香族ハロゲン化物類と、一般式[2]で表される末端アセチレンを反応させて、一般式[3]で表される置換アセチレン類を製造するアセチレンカップリング反応において、安価な原料と安全な手段を用いて反応が円滑に実施でき、かつ高価なパラジウム触媒の生成物への溶脱を抑制し、かつまた使用したパラジウム触媒を回収し、再利用することのできる工業的方法を提供することをその課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた。その結果、一般式[4]で表されるイミドアニオン
(式中、QおよびQ’はSO2またはCOであり、R’およびR”は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖の、少なくとも一部がハロゲン化されたアルキル基を表す。)
を含有する疎水性イオン性液体を溶媒とすることにより、少ないパラジウム触媒量で、十分な反応速度をもって、しかも高選択率で、該アセチレンカップリング反応が進行することを見出した。
本発明者らはさらに、
(a)アセチレンカップリング反応が終了した後、生成物である、一般式[3]で表される置換アセチレンが、分液、デカンテーション、蒸留、または非水溶性有機溶媒による抽出によって、他の成分と容易に分離できること、
(b)上記(a)の操作の終了後の残液に水を加えて洗浄することにより、副生物である、ハロゲン化水素と使用する塩基とからなる塩を、水相側に容易に抽出、除去できること、
(c)上記(a)(b)の操作を行った後も、パラジウムを含む触媒は、なお十分な触媒活性を保持したまま、本発明に係るイオン性液体中に存在しており、これを再びアセチレンカップリング反応に使用しうることを見出した。
また、上記(a)(b)の操作の順序を変えて、
(d)反応生成液に、水を加えて洗浄することにより、副生物である、ハロゲン化水素と使用する塩基とからなる塩を、水相側に容易に抽出、除去できること、
(e)上記(d)の操作の終了後の残液から、生成物である、一般式[3]で表される置換アセチレンが、分液、デカンテーション、蒸留、または非水溶性有機溶媒による抽出によって、他の成分と容易に分離できることも見出した。
さらには、上記(a)(b)もしくは(d)(e)の操作の代わりに
(f)反応生成液に、水と非水溶性有機溶媒を加えると、イオン性液体相、水相、非水溶性有機溶媒相の、お互いに混ざり合わない3相が形成され、目的物である置換アセチレンは非水溶性有機溶媒に、塩は水相に、パラジウムを含む触媒はイオン液体相に選択的に分配され、これら3つを分液操作によって容易に分離できることも見出した。
前記文献の知見とは異なり、本発明においては、反応後の精製工程においても、イオン性液体の分解はなく、パラジウム触媒の損失を生じず、次の反応に再使用できるという重要な知見も得られ、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、パラジウムを含む触媒及び塩基の存在下に、一般式[1]で表される芳香族ハロゲン化物類
と、一般式[2]で表される末端アセチレン
を反応させて、一般式[3]で表される置換アセチレン
を製造する方法において、反応を、一般式[4]で表されるイミドアニオン
を含有する疎水性イオン性液体を溶媒として行うことを特徴とする、置換アセチレンの製造方法を提供する。
(式[1]、式[2]、式[3]、式[4]中の各文字の意味は前記と同じ。)
また本発明は、次の(i)〜(iv)の4工程を含む、一般式[3]で表される置換アセチレンを製造する方法を提供する。
(i)パラジウムを含む触媒及び塩基の存在下、一般式[4]で表されるイミドアニオンを含有する疎水性イオン性液体を溶媒として、一般式[1]で表される芳香族ハロゲン化物類と、一般式[2]で表される末端アセチレンを反応させて、一般式[3]で表される置換アセチレンを合成する工程。
(ii)工程(i)で得られた反応生成液から、それに含まれる置換アセチレンをデカンテーション、蒸留、または非水溶性有機溶媒による抽出によって分離する工程。
(iii)工程(ii)で置換アセチレンを分離した後の残液を水洗することによって、ハロゲン化水素と塩基からなる塩を水相に分離除去する工程。
(iv) 工程(iii)で、置換アセチレンおよび塩を分離した後の残液を、工程(i)へ再供給する工程。
また本発明は、前記4工程を含む発明において、工程(i)が終了した後、工程(iii)をまず先に行い、次いで工程(ii)を行い、最後に工程(iv)を行うことを特徴とする前記方法を提供する。
また、本発明は、次の(i)、(v)、(vi)の3工程を含む、一般式[3]で表される置換アセチレンを製造する方法を提供する。
(i)パラジウムを含む触媒及び塩基の存在下、一般式[4]で表されるイミドアニオンを含有する疎水性イオン性液体を溶媒として、一般式[1]で表される芳香族ハロゲン化物類と、一般式[2]で表される末端アセチレンを反応させて、一般式[3]で表される置換アセチレン類を合成する工程。
(v) 工程(i)で得られた反応生成液に、水および非水溶性有機溶媒を添加し、水と非水溶性有機溶媒とイオン性液体からなる3相系とし、水相に塩を、非水溶性有機溶媒相に置換アセチレンを、そしてイオン性液体相にパラジウムを含む触媒を分配させ、次いで、3相を分液する工程。
(vi) 工程(v)で得られたイオン性液体相を、工程(i)へ再供給する工程。
さらに本発明は、上述の各発明を実施するための、特に好ましい基質や条件を提供する。
次に、本願発明について、さらに詳細に説明する。本発明に関する工程は(i)〜(vi)までの6つであり、これらのうち、工程(i)のアセチレンカップリング反応は本願各発明に共通する工程である。工程(ii)〜工程(vi)は、工程(i)終了後の精製に関する工程である。
工程(i)のみでも本願発明を構成するが、反応終了後の精製工程(工程(ii)〜工程(vi))を組み合わせたものも本願発明を構成する。この場合には、それぞれの工程を次の(A)〜(C)の3通りの態様に組み合わせる。
(態様A)工程(i)が終了した後、工程(ii)、工程(iii)、工程(iv)を、この順序で行う。(態様B)工程(i)が終了した後、工程(iii)、工程(ii)、工程(iv)を、この順序で行う。(態様C)工程(i)が終了した後、工程(v)、工程(vi)を、この順序で行う。
上記の態様A〜Cの中には重複箇所があるため、以下の説明は、工程(i)〜(vi)について行う。
まず、工程(i)について説明する。本発明において反応原料として用いる一般式[1]で表される芳香族ハロゲン化物類は、末端アセチレンを用いるアセチレンカップリング反応に用いられるものであり、従来公知の各種のものが用いられる。この芳香族ハロゲン化物類は、通常、その沸点が−100〜300℃、好ましくは−30〜250℃、より好ましくは10〜250℃の範囲にあるものである。
本発明で用いる好ましい芳香族ハロゲン化物類には、置換基(X)として塩素、臭素又はヨウ素などのハロゲン、もしくはトリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基(アルキルスルホネート基としてはメタンスルホネート基が好ましい)、アリールスルホネート基(アリールスルホネート基としてはp−トルエンスルホネート基が好ましい)を含有する芳香族化合物が包含される。これらの芳香族ハロゲン化物類のうち、実用上、置換基(X)がハロゲンであるものが特に好ましい。なお、ハロゲンとしては臭素または塩素が特に好ましい。この場合、芳香環には、上述の置換基(X)の他、反応に不活性な置換基であるニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、炭素数1〜4のアルコキシ基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)を有することができる。芳香環に結合するハロゲン原子の数は1〜5であることができるが、好ましくは1つである。
本発明の製造方法に好適な芳香族ハロゲン化物類としては、例えば、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、2−クロロ-トリフルオロメチルベンゼン、3−クロロ-トリフルオロメチルベンゼン、4−クロロ-トリフルオロメチルベンゼン、2−ブロモ-トリフルオロメチルベンゼン、3−ブロモ-トリフルオロメチルベンゼン、4−ブロモ-トリフルオロメチルベンゼン、2−ヨード-トリフルオロメチルベンゼン、3−ヨード-トリフルオロメチルベンゼン、4−ヨード-トリフルオロメチルベンゼン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)クロロベンゼン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ブロモベンゼン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ヨードベンゼン、2−ヘキサフルオロイソプロピル−ブロモベンゼン、3−ヘキサフルオロイソプロピル−ブロモベンゼン、4−ヘキサフルオロイソプロピル−ブロモベンゼン、3,5−ビス(ヘキサフルオロイソプロピル)ブロモベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一般式[2]で表される末端アセチレン化合物は、芳香族ハロゲン化物類とのアセチレンカップリング反応に用いられるものであり、従来公知の各種のものが用いられる。この末端アセチレン化合物は、通常、その沸点が−100〜300℃、好ましくは−30〜250℃、より好ましくは10〜250℃の範囲にあるものである。
好ましい末端アセチレン化合物としては、一般式[2]で表される末端アセチレンの基Rが水素原子、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、または炭素数1〜4の、同一かもしくは異なる3つのアルキル基からなるトリアルキルシリル基が好ましい例として挙げられる。
本発明の製造方法に好適な末端アセチレン化合物としては、アセチレン、フェニルアセチレンの他、1−プロピン、1−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、プロパルギルアルコール、3−ブチン−2−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、(トリメチルシリル)アセチレン、(トリエチルシリル)アセチレン、(t−ブチルジメチルシリル)アセチレン、(トリイソプロピルシリル)アセチレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本末端アセチレン化合物の使用量は、特に制限を加える必要はないが、芳香族ハロゲン化物類に対して、通常、0.8 〜10倍当量であり、好ましくは1〜3倍当量である。
本発明において用いるアセチレンカップリング反応自体は公知の反応である。そしてこの反応をパラジウムを含む触媒および塩基の存在下で行うことも公知である。本アセチレンカップリング反応は、パラジウムを含む触媒の使用が必須であり、触媒が存在しない場合にはアセチレン化合物は全く生成しない。パラジウムを含む触媒としては公知の種々のものを用いることができるが、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムやビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-ビス(トリフェニル 1−ホスフィン)パラジウム、ブロモ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ヨード[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、クロロ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)のようなトリフェニルホスフィンパラジウム錯体、パラジウム/炭素などが好適に用いられる。
これらの中でも、式[10]で表されるハロゲノ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
(式中、X'はフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を表す)、
式[11]で表される3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-ビス(トリフェニル 1−ホスフィン)パラジウム(II)
は、触媒の活性が特に高く、少量のパラジウムで高い反応性が得られるのみならず、触媒の安定性も高く、取扱いやすいから特に好ましい。
これらのパラジウム触媒の使用量は、原料である芳香族ハロゲン化物類に対して通常、 0.0001〜0.05倍当量の範囲であり、好ましくは0.0004〜0.02倍当量である。勿論これ以上使用することも可能であるが、特に大量使用するメリットもない。この反応では上記金属触媒の他に、助触媒として、3価のリン化合物を用いても良い。それらとしては、一般式[12]
(式中、G1 、G2 およびG3 は、同一または相異なるアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはハロゲン原子を示す。)
で示される化合物(トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−o−トリルホスファイト、三塩化リンなど)が例示される。この他に、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンなども例示される。これらのリン化合物の使用量は、上記の金属触媒に対して0.5 〜50倍当量、好ましくは2〜20倍当量である。
さらにこれらの触媒に加え、銅触媒を用いることができ、かかる銅触媒としては、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、酸化銅、シアン化銅などが挙げられるが、ヨウ化銅が好ましく、これらの使用量は、原料である芳香族ハロゲン化物類に対して、 0.0001〜0.1倍当量の範囲である。勿論これ以上使用することも可能であるが、特に大量使用するメリットもない。
本発明において添加される塩基性物質としては、アルカリ金属の炭酸塩、カルボン酸塩、アルコキサイド、水酸化物などや有機塩基が挙げられるが、3級アミンまたは2級アミン(有機塩基)が好ましく用いられ、これらとしてはジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジメチルアニリンなどが例示される。塩基の使用量は、通常、原料である芳香族ハロゲン化物類に対して0.8〜5倍当量であり、好ましくは1〜3倍当量であり、より好ましくは1.2〜2倍当量である。
本発明において溶媒として使用される疎水性イオン性液体は、一般式[4]で表されるイミドアニオンをアニオン成分として含有する疎水性イオン性液体である。これらの中でも、式[5]で表される含フッ素スルホン酸イミドアニオン
(式中、RfおよびRf'は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のパーフルオロアルキル基を表す)
をアニオンとするものが好ましい。
一般式[4]で示されるアニオンとしては、ビス(トリフルオロメチルカルボニル)イミドアニオン、トリフルオロメチルカルボニル(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド[NTf2]アニオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドアニオン、ビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミドアニオン、ノナフルオロブチルスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、ペンタフルオロエチルスルホニル(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
疎水性イオン性液体のカチオン成分としては、式[6]で表されるイミダゾリウムカチオン、
(式中、T1〜T5は、水素原子または炭化水素基を示す。炭化水素基に含まれる炭素数は1〜8。この炭化水素基には、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪族炭化水素基には鎖状のアルキル基、アルケニル基が含まれる。芳香族炭化水素基には、アリール基およびアリールアルキル基が含まれる)
または式[7]で表されるピリジニウムカチオン
(式中、L1〜L6は、水素原子または炭化水素基を示す。炭化水素基に含まれる炭素数は1〜15。この炭化水素基には、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪族炭化水素基には鎖状のアルキル基、アルケニル基が含まれる。芳香族炭化水素基には、アリール基およびアリールアルキル基が含まれる)
が好ましい。これらの中でも、式[8]で表される1,3−ジアルキルイミダゾリウムカチオン
(式中、A1とA2は炭素数1〜15の鎖状もしくは環状のアルキル基を表し、Y1〜Y3は水素原子または炭化水素基を示す。ここで炭化水素基に含まれる炭素数は1〜15。この炭化水素基には、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪族炭化水素基には鎖状のアルキル基、アルケニル基が含まれる。芳香族炭化水素基には、アリール基およびアリールアルキル基が含まれる)
または、式[9]で表されるN-アルキルピリジニウムカチオン
(式中、Eは炭素数1〜15の鎖状もしくは環状のアルキル基を表し、Z1〜Z5は水素原子または炭化水素基を示す。ここで炭化水素基に含まれる炭素数は1〜15。この炭化水素基には、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪族炭化水素基には鎖状のアルキル基、アルケニル基が含まれる。芳香族炭化水素基には、アリール基およびアリールアルキル基が含まれる)
が、入手が容易で、高い性能を示すことから、特に好ましい。
本発明で好適に用いられるイオン性液体としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([bmim][NTf2])、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([emim][NTf2])、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([hmim][NTf2])、N−エチルピリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([epy][NTf2])、N−ブチルピリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([bpy][NTf2])等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、これらのイオン性液体を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
また工程(i)の反応は、水分のない条件で行うことが好ましいので、これらのイオン性液体は使用する前に、60〜100℃程度の温度で1時間以上減圧乾燥するのが好ましい。
イオン性液体の使用量は、少なくとも添加するパラジウム触媒と必要に応じて添加されるリン化合物や銅触媒を溶解させる量(触媒量)が必要となる。それ以上の使用に関しては特に制限はない。ただし必要以上に大量のイオン性液体を使用することは反応器の容量あたりの収量を低下させる。好ましい使用量としては、後の工程における回収の容易さも鑑み、原料である芳香族ハロゲン化物類1モルに対して通常0.001〜1モルであり、より好ましくは0.01〜0.9モル、特に好ましくは0.02〜0.8モルである。
本アセチレンカップリング反応は通常窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行われる。該反応においては、反応温度を高めることにより目的とする化合物の収率を向上させることができるが、あまり高温では副生物が増加するので、通常反応温度は15〜160 ℃であり、好ましくは30〜140 ℃である。反応時間については、特に制限はない。
また、溶媒として、上記イオン性液体とは別に適当な溶媒、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド、N−メチルピロリドン、メタノール、トルエン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどを反応溶媒として加えることもできるが、後工程の処理の容易さを鑑みた場合、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド、N−メチルピロリドン、メタノール、トルエンのような水溶性あるいは極性の溶媒を加えるのは好ましくない。ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、n-ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの非水溶性溶媒は後工程に影響を与えないが、これらの溶媒の使用は容量あたりの収量を低下させるので好ましくない。これらの反応溶媒の使用量は特に制限されない。さらに、本反応実施時に反応液は、イオン液体相と、それ以外の有機成分の相との、二相系になるので、反応を効率良く進行させるために攪拌するのが好ましい。
次に、工程(ii)について説明する。本工程は、前記アセチレンカップリング反応工程で得られた反応生成液から、生成物である置換アセチレンを分離回収する工程である。この工程は、工程(i)の直後に行われる(態様A)か、工程(i)が終了した後、一旦、後述の工程(iii)を行い、その後の残液に対して行われる(態様B)。
工程(ii)は、工程(i)によって得られた反応生成液もしくは、工程(iii)によって得られた残液に対して、分液、デカンテーション、蒸留、もしくは溶媒抽出を行うことによってなる。
「分液」および「デカンテーション」とは、二相になっている前記の液(一相はイオン性液体と触媒からなる相であり、他の一相は生成物のみか、あるいは場合によって使用される有機溶媒と生成物からなる相である)から、生成物が含まれる相を分取する方法をいう。
「蒸留法」とは、前記の液を直接蒸留し、置換アセチレン、ならびに工程(i)で有機溶媒を使用した場合は、この有機溶媒も併せて留出させる方法をいう。
「溶媒抽出」とは、前記の液に非水溶性有機溶媒を加えて、置換アセチレン化合物を抽出する方法をいう。この場合の非水溶性有機溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類などを好ましく用いることができる。
分液、デカンテーション、蒸留法、溶媒抽出の何れの方法をとった場合も、目的とする置換アセチレンが含まれる相からは、慣用の手法を用いて置換アセチレンを精製できる。
次に工程(iii)について説明する。本工程は、工程(ii)に引き続き行う(態様A)か、工程(i)に引き続き行われる(態様B)。工程(iii)は、工程(ii)を行った後の残液(置換アセチレンを除去した後の、イオン性液体を含む相)、もしくは、工程(i)によって得られた反応生成液に対して、水を加えて、攪拌を行い、前記液と共に存在していた、反応で副生したハロゲン化水素と使用する塩基とからなる塩を水相側に抽出、除去することによってなる。本工程は、慣用の有機化合物の水洗操作にならって行えばよく、十分量の塩を水相側に除去できた時点で終了すればよい。
次に工程(iv)について説明する。本工程は、工程(iii)に引き続き(態様A)、もしくは工程(ii)に引き続き(態様B)行われるもので、前工程の残液(イオン液体とパラジウム触媒によりなる相)を、工程(i)のために再び供給することによってなる。本発明の大きな特徴は、この工程(iv)で供給された液は、特に新たにパラジウムを添加しなくとも、パラジウム触媒の失活が起こりにくい為、そのまま高い反応性が次回の工程(i)でも得られる、という点にある。したがって、この工程(iv)を行うに際しては、新たにパラジウム触媒を添加しないことが経済的に望ましい。ただし反応速度の増大を求める場合には、前工程の残液の他に別途Pd触媒を添加して、続くアセチレンカップリングを行うことは妨げられない。
次に工程(v)について説明する。本工程は、態様Cにおいて、工程(i)に引き続き行われるもので、工程(i)の反応生成液に、水と非水溶性有機溶媒を加え、水と非水溶性有機溶媒とイオン性液体からなる3相系とし、水相に塩を、非水溶性有機溶媒相に置換アセチレンを、そしてイオン性液体相にパラジウムを含む触媒を分配させ、次いで、3相を分液することによりなる。用いるべき非水溶性有機溶媒は、工程(ii)と同様である。
本発明の系では、水相に塩が、非水溶性有機溶媒相に置換アセチレンが、イオン性液体相にパラジウムを含む触媒が、いずれも選択的に分配されるのが、大きな特徴である。このため、この3相の液を分取すれば、目的とする置換アセチレンが効率よく単離でき、しかも、パラジウム触媒はイオン液体と共に、活性を維持しつつ回収され、次の工程(vi)にそのまま使用することができる。
工程(vi)は、態様Cにおいて、工程(v)に引き続き行われるものであり、工程(iv)と同様に行えばよい。
上記工程(iii)もしくは工程(v)で回収されたイオン性液体は、回収後すぐに用いることもできるが、水洗浄操作で残存する水分が次バッチのカップリング反応の選択性に影響を与える可能性があるので、乾燥してから使用することが好ましい。乾燥方法としては、例えば、60〜100℃程度の温度で、1時間以上減圧下で行うという方法が好ましいものとして挙げられる。
パラジウムは本発明で用いられる疎水性のイオン性液体に対して強い親和性があるため、生成物である置換アセチレンへの溶脱はわずかである。イオン性液体を用いず、無溶媒や他の有機溶媒を溶媒にした場合の本アセチレンカップリング反応で得られる置換アセチレン中に残存するパラジウム含量に比べ、イオン性液体を用いた場合のパラジウム含量は著しく少ない(参考例1と実施例5)。従って、上記工程(ii)もしくは工程(v)で分離されたアセチレン化合物の精製に関しては、イオン性液体以外に有機溶媒を用いなかった場合にはイオン性液体との分離のみで、有機溶媒を使用した場合にはイオン性液体との分離後有機溶媒を留去するのみで、パラジウム含量の少ない置換アセチレンを得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されない。
[実施例1]
減圧下、80℃で1時間乾燥した[bmim][NTf2](14g、0.33当量)の中に酢酸パラジウム(56mg、0.0024当量)とトリフェニルホスフィン(156mg、0.005当量)、そしてヨウ化銅(I)(104mg、0.0053当量)を加え、減圧下、80℃で1時間加熱した。反応容器内に窒素を導入した後、トリエチルアミン(13g、1.25当量)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(9.6g、1.11当量)を加えた。次いで3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾブロミド(30g、1当量)を徐々に滴下した。反応温度を80℃で維持し、二相系の反応液を攪拌して反応させた。3.5時間後、反応混合物を室温まで冷却し、次いでアンモニウム塩を除去するために30mlの水で3回洗浄した。生成物は反応混合物から30mlのジエチルエーテルで3回抽出することにより回収した。有機相を合わせ、10gのシリカゲルを充填したカラムで濾過した後、溶媒を留去し、次いで減圧下で蒸留することにより目的とする4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールを得た。
反応混合物から生成物を抽出した後の残液(イオン性液体相)を減圧下、80℃で2時間乾燥し、再びトリエチルアミン(13g、1.25当量)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(9.6g、1.11当量)、そして3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾブロミド(30g、1当量)を加え、反応を2回繰り返し実施した。目的とする4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの収率は以下のとおりであった。
収率(%)
当初触媒 91
繰り返し1回目 84
繰り返し2回目 79
[実施例2]
減圧下、80℃で1時間乾燥した[bmim][NTf2](6.1g、0.16当量)の中に酢酸パラジウム(105mg、0.0051当量)とトリフェニルホスフィン(273mg、0.0099当量)、そしてヨウ化銅(I)(183mg、0.0106当量)を加え、減圧下、80℃で1時間加熱した。反応容器内に窒素を導入した後、トリエチルアミン(13.8g、1.50当量)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(9.2g、1.20当量)を加えた。次いで3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾブロミド(26.65g、1当量)を徐々に滴下した。反応温度を80℃で維持し、二相系の反応液を攪拌して反応させた。1.5時間後、反応混合物を室温まで冷却し、次いでアンモニウム塩を除去するために30mlの水で3回洗浄した。生成物は反応混合物から30mlのn−ヘプタンで3回抽出することにより回収した。有機相を合わせ、10gのシリカゲルを充填したカラムで濾過した後、溶媒を減圧下で留去することにより目的とする4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールを得た。
反応混合物から生成物を抽出した後の残液(イオン性液体相)を減圧下、80℃で2時間乾燥し、再びトリエチルアミン(13.8g、1.50当量)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(9.2g、1.20当量)、そして3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾブロミド(26.65g、1当量)を加え、反応を4回繰り返し実施した。目的とする4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの収率は以下のとおりであった。
収率(%)
当初触媒 99
繰り返し1回目 96
繰り返し2回目 97
繰り返し3回目 94
繰り返し4回目 91

[実施例3]
減圧下、80℃で1時間乾燥した[bmim][NTf2](4.1g、0.11当量)の中に酢酸パラジウム(103mg、0.0050当量)とトリフェニルホスフィン(274mg、0.0099当量)、そしてヨウ化銅(I)(181mg、0.0104当量)を加え、減圧下、80℃で1時間加熱した。反応容器内に窒素を導入した後、トリエチルアミン(18.3g、1.99当量)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(9.0g、1.17当量)、そして4−ブロモ-トリフルオロメチルベンゼン(20.5g、1当量)を加えた。反応温度を80℃で維持し、二相系の反応液を攪拌して反応させた。3時間後、反応混合物を室温まで冷却し、次いでアンモニウム塩を除去するために30mlの水で3回洗浄した。生成物は反応混合物から30mlのn−ヘプタンで3回抽出することにより回収した。有機相を合わせ、10gのシリカゲルを充填したカラムで濾過した後、溶媒を減圧下で留去することにより目的とする4−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールを得た。
反応混合物から生成物を抽出した後の残液(イオン性液体相)を減圧下、80℃で2時間乾燥し、再びトリエチルアミン(18.3g、1.99当量)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(9.0g、1.17当量)、そして4−ブロモ-トリフルオロメチルベンゼン(20.5g、1当量)を加え、反応を3回繰り返し実施した。目的とする4−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの収率は以下のとおりであった。
収率(%)
当初触媒 97
繰り返し1回目 87
繰り返し2回目 87
繰り返し3回目 86
[実施例4]
減圧下、80℃で1時間乾燥した[bmim][NTf2](4.1g、0.10当量)の中に酢酸パラジウム(105mg、0.0046当量)とトリフェニルホスフィン(273mg、0.0089当量)、そしてヨウ化銅(I)(184mg、0.0095当量)を加え、減圧下、80℃で1時間加熱した。反応容器内に窒素を導入した後、トリエチルアミン(15.0g、1.46当量)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(10.0g、1.17当量)、そしてヨードベンゼン(20.7g、1当量)を加えた。反応温度を80℃で維持し、二相系の反応液を攪拌して反応させた。8時間後、反応混合物を室温まで冷却し、次いでアンモニウム塩を除去するために30mlの水で3回洗浄した。生成物は反応混合物から30mlのジイソプロピルエーテルで3回抽出することにより回収した。有機相を合わせ、10gのシリカゲルを充填したカラムで濾過した後、溶媒を減圧下で留去することにより目的とする2−メチル−4−フェニル−3−ブチン−2−オールを得た。
反応混合物から生成物を抽出した後の残液(イオン性液体相)を減圧下、80℃で2時間乾燥し、再びトリエチルアミン(15.0g、1.46当量)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(10.0g、1.17当量)、そしてヨードベンゼン(20.7g、1当量)を加え、反応を2回繰り返し実施した。目的とする2−メチル−4−フェニル−3−ブチン−2−オールの収率は以下のとおりであった。
収率(%)
当初触媒 96
繰り返し1回目 93
繰り返し2回目 84
[実施例5]
減圧下、80℃で1時間乾燥した[epy][NTf2](14g、0.66当量)の中にブロモ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(400mg、0.0079当量)とヨウ化銅(I)(165mg、0.0159当量)を加え、減圧下、80℃で1時間加熱した。反応容器内に窒素を導入した後、トリエチルアミン(6.6g、1.20当量)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(9.1g、2.0当量)、そして3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾブロミド(16g、1当量)を加えた。反応温度を80℃で維持し、二相系の反応液を攪拌して反応させた。3時間後、反応混合物を室温まで冷却し、次いでアンモニウム塩を除去するために30mlの水で2回洗浄した。生成物は反応混合物から30mlのジエチルエーテルで3回抽出することにより回収した。有機相を合わせ、10gのシリカゲルを充填したカラムで濾過した後、溶媒を留去し、次いで減圧下で蒸留することにより目的とする4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールを得た。
反応混合物から生成物を抽出した後の残液(イオン性液体相)を減圧下、80℃で2時間乾燥し、再びトリエチルアミン(6.6g、1.20当量)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(9.1g、2.0当量)、そして3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾブロミド(16g、1当量)を加え、反応を2回繰り返し実施した。目的とする4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの収率は以下のとおりであった。
収率(%)
当初触媒 99
繰り返し1回目 77
繰り返し2回目 59
[実施例6]
減圧下、80℃で1時間乾燥した[emim][NTf2](17g、0.79当量)の中にブロモ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(412mg、0.0082当量)を加え、減圧下、80℃で1時間加熱した。反応容器内に
窒素を導入した後、トリエチルアミン(7g、1.27当量)とトリメチルシリルアセチレン(6g、1.11当量)を加えた。次いで3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾブロミド(16g、1当量)を徐々に滴下した。反応温度を80℃で維持し、二相系の反応液を攪拌して反応させた。4時間後、反応混合物を室温まで冷却し、次いで60mlの水と60mlのジエチルエーテルを同時に加えた。三相となった液を強く攪拌して十分に混合した後、静定して各相を分液した。有機相を10gのシリカゲルを充填したカラムで濾過した後、溶媒を留去し、次いで減圧下で蒸留することにより目的とする[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルエチニル]−トリメチルシランを得た。
反応混合物から生成物を抽出した後の残液(イオン性液体相)を減圧下、80℃で2時間乾燥し、再びトリエチルアミン(7g、1.27当量)とトリメチルシリルアセチレン(6g、1.11当量)、そして3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾブロミド(16g、1当量)を加え、反応を1回繰り返し実施した。目的とする[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルエチニル]−トリメチルシランの収率は以下のとおりであった。
収率(%)
当初触媒 68
繰り返し1回目 71
[実施例7]
ヨウ化銅(I)(83mg、0.0159当量)を加える以外は実施例3と同様に反応を行って、目的とする[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルエチニル]−トリメチルシランを得た。次いで実施例6と同様に反応を2回繰り返した。目的とする[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルエチニル]−トリメチルシランの収率は以下のとおりであった。
収率(%)
当初触媒 81
繰り返し1回目 78
繰り返し2回目 57
[実施例8]
減圧下、80℃で1時間乾燥した[bmim][NTf2](8.2g、0.023当量)の中に酢酸パラジウム(241mg、0.0013当量)とトリフェニルホスフィン(659mg、0.0025当量)、そしてヨウ化銅(I)(419mg、0.0026当量)を加え、減圧下、80℃で1時間加熱した。反応容器内に窒素を導入した後、トリエチルアミン(104g、1.21当量)と2−メチル−3−ブチン−2−オール(121g、1.68当量)を加えた。次いで3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾブロミド(250g、1当量)を1時間かけて滴下した。反応温度を80℃で維持し、二相系の反応液を攪拌して反応させた。1時間後、反応混合物を室温まで冷却し、次いでアンモニウム塩を除去するために100mlの水で3回洗浄した。生成物は反応混合物から100mlのジエチルエーテルで2回抽出することにより回収した。有機相を合わせ、10gのシリカゲルを充填したカラムで濾過した後、溶媒を減圧下で留去することにより目的とする4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールを97%の収率で得た。偏光ゼーマン原子吸光分析法による分析の結果、この中に含まれるパラジウムの量は20ppmであった。
[参考例1]
[bmim][NTf2]が有する、パラジウム触媒が生成物へと溶脱することを抑制する能力を確認するために、イオン性液体を使用せず、トリエチルアミンを1.75当量使用する以外は実施例8と同様に反応を行った。ここでトリエチルアミンは塩基と溶媒としての双方の役割を担う。反応の結果、目的とする4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールを95%の収率で得た。偏光ゼーマン原子吸光分析法による分析の結果、この中に含まれるパラジウムの量は294ppmであり、イオン性液体を使用する場合の約15倍であった。

Claims (13)

  1. パラジウムを含む触媒及び塩基の存在下に、一般式[1]で表される芳香族ハロゲン化物類
    と、一般式[2]で表される末端アセチレン
    を反応させて、一般式[3]で表される置換アセチレン
    を製造する方法において、反応を、一般式[4]で表されるイミドアニオン
    を含有する疎水性イオン性液体を溶媒として行うことを特徴とする、置換アセチレンの製造方法。
    (式[1]中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、R1〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、または炭素数2〜5の直鎖または分岐鎖のアルコキシカルボニル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)を表す。
    式[2]中、Rはフェニル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、同一かもしくは異なる3つのアルキル基からなるトリアルキルシリル基を表す。
    式[3]中、R、R1〜R5は、式[1]および式[2]に同じ。
    式[4]中、QおよびQ’はSO2またはCOであり、R’およびR”は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖の、少なくとも一部がハロゲン化されたアルキル基を表す。)
  2. 次の(i)〜(iv)の4工程を含む、一般式[3]で表される置換アセチレン
    を製造する方法。
    (i)パラジウムを含む触媒及び塩基の存在下、一般式[4]で表されるイミドアニオン
    を含有する疎水性イオン性液体を溶媒として、一般式[1]で表される芳香族ハロゲン化物類
    と、一般式[2]で表される末端アセチレン
    を反応させて、一般式[3]で表される置換アセチレン
    を合成する工程。
    (ii) 前記工程(i)で得られた反応生成液に対し、分液、デカンテーション、蒸留、または非水溶性有機溶媒による抽出操作を行い、反応生成液に含まれる置換アセチレンを分離する工程。
    (iii) 前記工程(ii)で置換アセチレンを分離した後の残液を水洗することによって、ハロゲン化水素と塩基からなる塩を水相に分離除去する工程。
    (iv) 工程(iii)で、置換アセチレンおよび塩を分離した後の残液を、工程(i)へ再供給する工程。
    (式[1]中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、R1〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、または炭素数2〜5の直鎖または分岐鎖のアルコキシカルボニル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)を表す。
    式[2]中、Rはフェニル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、同一かもしくは異なる3つのアルキル基からなるトリアルキルシリル基を表す。
    式[3]中、R、R1〜R5は、式[1]および式[2]に同じ。
    式[4]中、QおよびQ’はSO2またはCOであり、R’およびR”は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖の、少なくとも一部がハロゲン化されたアルキル基を表す。)
  3. 請求項2において、工程(i)が終了した後、工程(iii)をまず先に行い、次いで工程(ii)を行い、最後に工程(iv)を行うことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 次の(i)、(v)、(vi)の3工程を含む、一般式[3]で表される置換アセチレン
    を製造する方法。
    (i)パラジウムを含む触媒及び塩基の存在下、一般式[4]で表されるイミドアニオン
    を含有する疎水性イオン性液体を溶媒として、一般式[1]で表される芳香族ハロゲン化物類
    と、一般式[2]で表される末端アセチレン
    を反応させて、一般式[3]で表される置換アセチレン類
    を合成する工程。
    (v) 工程(i)で得られた反応生成液に、水および非水溶性有機溶媒を添加し、水と非水溶性有機溶媒とイオン性液体からなる3相系とし、水相にハロゲン化水素と塩基からなる塩を、非水溶性有機溶媒相に置換アセチレンを、そしてイオン性液体相にパラジウムを含む触媒を分配させ、次いで、3相を分液する工程。
    (vi) 工程(v)で得られたイオン性液体相を、工程(i)へ再供給する工程。
    (式[1]中、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)、トリフルオロメタンスルホネート基、炭素数1〜4のアルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、R1〜R5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)、ニトロ基、アセチル基、シアノ基、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、または炭素数2〜5の直鎖または分岐鎖のアルコキシカルボニル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)を表す。
    式[2]中、Rはフェニル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基(ここで水素原子の一部または全てはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い)、同一かもしくは異なる3つのアルキル基からなるトリアルキルシリル基を表す。
    式[3]中、R、R1〜R5は、式[1]および式[2]に同じ。
    式[4]中、QおよびQ’はSO2またはCOであり、R’およびR”は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖の、少なくとも一部がハロゲン化されたアルキル基を表す。)
  5. 請求項1乃至請求項4の何れかにおいて、疎水性イオン性液体中のイミドアニオンが、式[5]で表される含フッ素スルホン酸イミドアニオン
    (式中、RfおよびRf'は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のパーフルオロアルキル基を表す)
    であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の方法。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れかにおいて、疎水性イオン性液体のカチオン成分が、式[6]で表されるイミダゾリウムカチオン
    (式中、T1〜T5は、水素原子または炭化水素基を示す。炭化水素基に含まれる炭素数は1〜8である。この炭化水素基には、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪族炭化水素基には鎖状のアルキル基、アルケニル基が含まれる。芳香族炭化水素基には、アリール基およびアリールアルキル基が含まれる)
    または式[7]で表されるピリジニウムカチオン
    (式中、L1〜L6は、水素原子または炭化水素基を示す。炭化水素基に含まれる炭素数は1〜15。この炭化水素基には、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪族炭化水素基には鎖状のアルキル基、アルケニル基が含まれる。芳香族炭化水素基には、アリール基およびアリールアルキル基が含まれる)
    であることを特徴とする、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の方法。
  7. 請求項1乃至請求項5の何れかにおいて、疎水性イオン性液体のカチオン成分が、式[8]で表される1,3−ジアルキルイミダゾリウムカチオン
    (式中、A1とA2は炭素数1〜15の鎖状もしくは環状のアルキル基を表し、Y1〜Y3は水素原子または炭化水素基を示す。ここで炭化水素基に含まれる炭素数は1〜15。この炭化水素基には、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪族炭化水素基には鎖状のアルキル基、アルケニル基が含まれる。芳香族炭化水素基には、アリール基およびアリールアルキル基が含まれる)
    または、式[9]で表されるN-アルキルピリジニウムカチオン
    (式中、Eは炭素数1〜15の鎖状もしくは環状のアルキル基を表し、Z1〜Z5は水素原子または炭化水素基を示す。ここで炭化水素基に含まれる炭素数は1〜15。この炭化水素基には、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が含まれる。脂肪族炭化水素基には鎖状のアルキル基、アルケニル基が含まれる。芳香族炭化水素基には、アリール基およびアリールアルキル基が含まれる)
    であることを特徴とする、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の方法。
  8. 請求項1乃至請求項7に何れかにおいて、芳香族ハロゲン化物類中の置換基(X)が、臭素または塩素であることを特徴とする、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の方法。
  9. 疎水性イオン性液体の量が、芳香族ハロゲン化物類1モルあたり0.001モル〜1モルであることを特徴とする、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の方法。
  10. 疎水性イオン性液体が、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([bmim][NTf2])、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([emim][NTf2])、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([hmim][NTf2])、N−エチルピリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([epy][NTf2])、N−ブチルピリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド([bpy][NTf2])から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1乃至請求項9の何れかに記載の方法。
  11. 芳香族ハロゲン化物類が3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾブロミド、末端アセチレンが2−メチル−3−ブチン−2−オールである、請求項1乃至請求項10の何れかに記載の、4−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの製造方法。
  12. パラジウムを含む触媒として、式[10]で表されるハロゲノ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)
    (式中、X'はフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を表す)を使用することを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れかに記載の方法。
  13. パラジウムを含む触媒として、式[11]で表される3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾアト[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-ビス(トリフェニル1−ホスフィン)パラジウム(II)
    を使用することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の方法。
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