JP2005247690A - 6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法 - Google Patents
6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【目的】1−メチル−3−トリフロオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステルの製造に用いることができる6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル、及びその製造方法を提供する。
【構成】3−オキソブタン酸エステルに、2位のメチレン基と反応し得る塩基を反応させた後、これに4位のメチル基と反応し得る塩基を反応させ、次いでトリフルオロ酢酸エステルを反応させることを特徴とする6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステルの製造方法。
【選択図】 なし
【構成】3−オキソブタン酸エステルに、2位のメチレン基と反応し得る塩基を反応させた後、これに4位のメチル基と反応し得る塩基を反応させ、次いでトリフルオロ酢酸エステルを反応させることを特徴とする6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステルの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農薬中間体として有用な6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法に関する。6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体は、1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステル化合物等のピラゾール環形成に有用な中間体化合物である。
【0002】
【従来の技術】
トリフルオロメチル基を3位に有するピラゾール化合物は、農薬として有用であり、特に、1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステル化合物は、殺菌剤や殺虫剤として有用であることが知られている(特開平6−32781号公報、WO01/20993号明細書)。
【0003】
特開平6−32781号公報には、3−トリフルオロメチル−5−メチルピラゾール化合物の5位のメチル基をリチオ化した後、二酸化炭素と反応させ、次いでエステル化することにより、メチル基をアルコキシカルボニルメチル基に変換する1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステルの製造方法が記載されている。しかしながら、ピラゾール化合物の有する置換基によっては、この方法では5位のメチル基を選択的にリチオ化することが困難なことがある。
【0004】
WO01/20993号明細書には、ピラゾール化合物の5位のメチル基を酸化した後、数工程を経てアルコキシカルボニルメチル基に変換する1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステルの製造方法が記載されている。しかしながら、この方法は製造工程が長いという問題を有している。また、同明細書には、1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステルの製造方法として、種々の3,5−ジオキソヘキサン酸エステルをヒドラジン化合物と反応させるルートが記載されている。しかしながら、その原料となる3,5−ジオキソヘキサン酸エステル類の具体的な製造例としては、参考例1として高価なメルドラム酸から3,5−ジオキソヘキサン酸イソプロピルエステルを使用した例が記載されているのみであり、6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びそれを用いた1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステルの製造方法は具体的には記載されていない。
【0005】
ところで、特開平6−49039号公報の実施例1には、6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステルの別名であるトリフルオロアセチルアセト酢酸エチルエステル(CAS番号155994−08−4)が記載されている。しかしながら、このトリフルオロアセチルアセト酢酸エチルエステルは、トリフルオロアセト酢酸エチルの誤記であることが明らかである。
従って、6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体は未だ知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、1−メチル−3−トリフロオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステルの製造に用いることができる6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体、並びにそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、3−オキソブタン酸エステルに塩基を反応させてジアニオンを生成させ、これとトリフルオロ酢酸エステルとを反応させることにより、6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体を製造できることを知り、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、3−オキソブタン酸エステルに、2位のメチレン基と反応し得る塩基を反応させた後、これに4位のメチル基と反応し得る塩基を反応させ、次いでトリフルオロ酢酸エステルを反応させることを特徴とする6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法及び6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において低級アルキル基とは、炭素数1〜4のアルキル基を意味する。
本発明に係る6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法では、反応は次式のように進行すると考えられる。
【0010】
【化1】
すなわち、原料である3−オキソブタン酸エステルの2位のメチレン基が塩基と反応してアニオンとなり、次に4位のメチル基が塩基と反応してジアニオンとなる。これにトリフルオロ酢酸エステルが反応して、6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体が生成するものと考えられる。
【0011】
原料の3−オキソブタン酸エステルとしては、任意のエステルを用いることができる。好ましくは、アルキルエステル、特に低級アルキルエステルを用いる。そのいくつかを例示すると、3−オキソブタン酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、又はイソブチルエステル等が挙げられる。このうちメチル又はエチルエステルが好ましい。
【0012】
3−オキソブタン酸エステルの2位のメチレン基と反応し得る塩基としては、金属ナトリウム、金属リチウム等のアルカリ金属;水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物;メチルリチウム、ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム等の有機リチウム;ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド;カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドなどが挙げられる。これらのうちアルカリ金属水素化物、有機リチウム、アルカリ金属アミドが好ましい。なかでも好ましいのは、水素化ナトリウムである。塩基は、3−オキソブタン酸エステルに対して等モル以上用いられ、好ましくは等モル〜1.5倍モルの範囲で用いられる。
3−オキソブタン酸エステルの4位のメチル基と反応し得る塩基としては、有機リチウム、アルカリ金属アミド等が挙げられる。これらのうち、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドが好ましい。この塩基も、3−オキソブタン酸エステルに対して等モル以上、好ましくは等モル〜3倍モル用いる。
【0013】
トリフルオロ酢酸エステルとしては、トリフルオロ酢酸アルキルエステルが挙げられる。なかでも、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、及びイソブチル等の低級アルキルエステルを用いるのが好ましい。特に好ましいのは、メチル又はエチルエステルである。
トリフルオロ酢酸エステルは、3−オキソブタン酸エステルに対して0.8〜2倍モル、特に1〜1.2倍モル用いるのが好ましい。
【0014】
反応は、まず、塩基に対して安定な溶媒に3−オキソブタン酸エステルを溶解した後に塩基を反応させアニオンを生成させた後、更に塩基を反応させてジアニオンを生成させ、これにトリフルオロ酢酸エステルを加えて反応させるのが好ましい。
このときの反応温度としては、副生物の生成抑制等の点でより低温の方がこのましく、通常、50℃以下、より好ましくは30℃以下、特に好ましくは10℃以下の範囲で行われる。但し、あまり低温すぎると設備コスト及び反応速度等の点で好ましくないため、通常、−100℃以上、好ましくは−70℃以上より好ましくは−50℃以上の温度で行われる。
3−オキソブタン酸エステルと塩基との2工程の反応は、通常、0.1〜10時間、好ましくは0.2〜1時間かけて行なわれる。生成するアニオンの安定性の点から、時間をあまりかけすぎるのは好ましくない。
また、生成したジアニオンとトリフルオロ酢酸エステルとの反応は、通常、1〜24時間、好ましくは1〜5時間かけて行われる。
【0015】
溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、メチルt−ブチルエーテル等のエーテルを用いるのが好ましい。なかでもTHFが好ましい。
また、上記エーテル系溶媒の他にヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒を併用した混合溶媒系中で反応を行うと反応温度が−20℃以上といった比較的高温でも収率よく目的物が得られるため、工業的には好ましい。この場合、脂肪族炭化水素系溶媒との混合比率としては、全溶媒量に対し少なくとも10vol%以上用いるのが好ましく、また、50vol%を超えない範囲用いるのが好ましい。
溶媒は、3−オキソブタン酸エステルに対して1〜100体積倍、特に5〜30体積倍用いることが好ましい。
【0016】
本発明により製造される6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体のエステル部分は、原則として3−オキソブタン酸エステルのエステル部分を引き継ぐが、3−オキソブタン酸エステルとトリフルオロ酢酸エステルのエステル部分が異なる場合には、トリフルオロ酢酸エステルのエステル部分に由来するエステル部分を有する6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体が生成することもある。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、いずれの実施例も、十分に乾燥した試薬及び溶媒を用い、窒素雰囲気下で反応を行った。
実施例1
60重量%水素化ナトリウム0.44g(11mmol)をヘキサン5mLで2回洗浄した後、THF25mLに懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル1.16g(10mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.59mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液6.6mL(10.5mmol)を−60℃で10分間かけて滴下し、15分間攪拌した。更に、トリフルオロ酢酸メチル0.37g(5mmol)を加え、−60℃で60分間攪拌した。1.59mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液6.6mL(10.5mmol)を−60℃で10分間かけて滴下し、15分間攪拌した。更に、トリフルオロ酢酸メチル0.37g(5mmol)を加え、−60℃で180分間攪拌した。反応液を室温とし、濃塩酸3.5mLを加えて10分間攪拌した後、水10mL及びジエチルエーテル30mLを加えた。有機層をとり、飽和食塩水15mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物4.64gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が1.70g含まれていた(収率80%)。
【0018】
実施例2
1Lの四つ口フラスコに、ヘキサン50mLで2回洗浄した60重量%水素化ナトリウム8.80g(220mmol)及びTHF500mLを仕込んだ。4℃で3−オキソブタン酸メチル23.29g(200mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液132mL(210mmol)を、−50℃で15分間かけて滴下し、同温度で15分間攪拌した。更に、トリフルオロ酢酸エチル29.50g(208mmol)を加え、−50℃で120分間攪拌した。反応液に15℃以下で濃塩酸46mLを徐々に滴下し10分間攪拌した後、水200mL及び酢酸エチル600mLを加えた。有機層をとり、水200mLで1回洗浄した。水層を合わせて、酢酸エチル300mLで2回抽出した。有機層を合わせた後、飽和食塩水300mLで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物を48.01g得た。内部標準法により定量したところ、得られた油状物には目的生成物がが36.20g(収率85%)含まれていた。該油状物を減圧蒸留で精製し、目的生成物を圧力1.05mmHgにおける沸点が52℃の留分として32.84g得た(単離収率68%)。
【0019】
上記で得られた生成物の同定データは以下の通り。
沸点:52℃/1.0mmHg
1H−NMR(CDCl3,δppm):13.3(1H,br),6.05(1H,s)、3.70(3H,s)、3.50(2H,s)
13C−NMR(CDCl3,δppm):189.1,174.1(q,2JC-F=37.2Hz),166.6,116.9(q,1JC-F=281.6Hz),97.2(q、3JC-F=2.4Hz),52.7,44.5
MS(3.0kV)m/z:212(M+、11)、181(9)、143(95)、139(100)、111(8)、101(29)、69(58)
IR(neat、KBr) 図1参照。
6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体は、上述のように4つの可変的な構造を有するものであるが、以上の結果から、主としてエノール体、特には6,6,6−トリフルオロ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキセン酸エステルとして存在し、加えて、少なくとも溶液中においては、6,6,6−トリフルオロ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキセン酸エステルであることが判明した。
【0020】
実施例3
50mLの三つ口フラスコに60重量%水素化ナトリウム0.44g(11mmol)をヘキサン5mLで2回洗浄した後、THF25mLに懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル1.16g(10mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.58mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液6.8mL(10.5mmol)を−10℃で10分間かけて滴下した後、トリフルオロ酢酸エチル1.42g(10mmol)を加え、−10℃で120分間攪拌した。反応液を0℃とし、氷浴中で濃塩酸2.3mLを加えて10分間攪拌した後、水10mL及び酢酸エチル30mLを加えた。有機層をとり、水層を酢酸エチル30mlで2回抽出し先に分液した有機層と合わせ、飽和食塩水15mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物2.73gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が1.48g含まれていた(収率70%)。
【0021】
実施例4
50mLの三つ口フラスコに60重量%水素化ナトリウム0.44g(11mmol)をヘキサン5mLで2回洗浄した後、THF12.5mLとヘキサン12.5mlの混合溶媒に懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル1.16g(10mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.58mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液6.8mL(10.5mmol)を−10℃で10分間かけて滴下した後、トリフルオロ酢酸エチル1.42g(10mmol)を加え、−10℃で120分間攪拌した。反応液を0℃とし、氷浴中で濃塩酸3.5mLを加えて10分間攪拌した後、水10mL及び酢酸エチル30mLを加えた。有機層をとり、水層を酢酸エチル30mlで2回抽出し先に分液した有機層と合わせ、飽和食塩水15mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物2.56gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が1.59g含まれていた(収率75%)。
【0022】
実施例5
500mLの四つ口フラスコに60重量%水素化ナトリウム4.40g(110mmol)をヘキサン50mLで2回洗浄した後、THF200mLとヘキサン50mlの混合溶媒に懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル11.61g(100mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.56mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液68mL(105mmol)を−10℃で15分間かけて滴下した後、トリフルオロ酢酸エチル14.21g(100mmol)を加え、−10℃で120分間攪拌した。反応液を0℃とし、氷浴中で濃塩酸23mLを加えて10分間攪拌した後、水100mL及び酢酸エチル300mLを加えた。有機層をとり、水層を酢酸エチル300mlで2回抽出し先に分液した有機層と合わせ、飽和食塩水150mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物27.95gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が17.84g含まれていた(収率84%)。
【0023】
実施例6
50mLの三つ口フラスコに60重量%水素化ナトリウム0.44g(11mmol)をヘキサン5mLで2回洗浄した後、THF20mLとシクロヘキサン5mlの混合溶媒に懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル1.16g(10mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.58mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液6.8mL(10.5mmol)を−10℃で10分間かけて滴下した後、トリフルオロ酢酸エチル1.42g(10mmol)を加え、−10℃で120分間攪拌した。反応液を0℃とし、氷浴中で濃塩酸3.5mLを加えて10分間攪拌した後、水10mL及び酢酸エチル30mLを加えた。有機層をとり、水層を酢酸エチル30mlで2回抽出し先に分液した有機層と合わせ、飽和食塩水15mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物2.46gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が1.67g含まれていた(収率79%)。
【0024】
実施例7
1000mLの四つ口フラスコに60重量%水素化ナトリウム8.80g(220mmol)をヘキサン100mLで2回洗浄した後、THF400mLとヘプタン100mlの混合溶媒に懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル23.22g(200mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.58mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液133mL(210mmol)を−10℃で30分間かけて滴下した後、トリフルオロ酢酸エチル28.42g(200mmol)を加え、−10℃で120分間攪拌した。反応液を0℃とし、氷浴中で濃塩酸46mLを加えて10分間攪拌した後、水200mL及び酢酸エチル600mLを加えた。有機層をとり、水層を酢酸エチル600mlで2回抽出し先に分液した有機層と合わせ、飽和食塩水300mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物46.47gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が33.09g含まれていた(収率78%)。該油状物を減圧蒸留で精製し、目的生成物を圧力0.9mmHgにおける沸点が44℃の留分として27.80g得た(単離収率68%)。
【発明の効果】 本発明によれば、医農薬中間体として有用な6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体を簡便且つ収率よく得るとことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で得られた本発明の化合物のIRチャート図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、農薬中間体として有用な6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法に関する。6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体は、1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステル化合物等のピラゾール環形成に有用な中間体化合物である。
【0002】
【従来の技術】
トリフルオロメチル基を3位に有するピラゾール化合物は、農薬として有用であり、特に、1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステル化合物は、殺菌剤や殺虫剤として有用であることが知られている(特開平6−32781号公報、WO01/20993号明細書)。
【0003】
特開平6−32781号公報には、3−トリフルオロメチル−5−メチルピラゾール化合物の5位のメチル基をリチオ化した後、二酸化炭素と反応させ、次いでエステル化することにより、メチル基をアルコキシカルボニルメチル基に変換する1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステルの製造方法が記載されている。しかしながら、ピラゾール化合物の有する置換基によっては、この方法では5位のメチル基を選択的にリチオ化することが困難なことがある。
【0004】
WO01/20993号明細書には、ピラゾール化合物の5位のメチル基を酸化した後、数工程を経てアルコキシカルボニルメチル基に変換する1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステルの製造方法が記載されている。しかしながら、この方法は製造工程が長いという問題を有している。また、同明細書には、1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステルの製造方法として、種々の3,5−ジオキソヘキサン酸エステルをヒドラジン化合物と反応させるルートが記載されている。しかしながら、その原料となる3,5−ジオキソヘキサン酸エステル類の具体的な製造例としては、参考例1として高価なメルドラム酸から3,5−ジオキソヘキサン酸イソプロピルエステルを使用した例が記載されているのみであり、6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びそれを用いた1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステルの製造方法は具体的には記載されていない。
【0005】
ところで、特開平6−49039号公報の実施例1には、6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステルの別名であるトリフルオロアセチルアセト酢酸エチルエステル(CAS番号155994−08−4)が記載されている。しかしながら、このトリフルオロアセチルアセト酢酸エチルエステルは、トリフルオロアセト酢酸エチルの誤記であることが明らかである。
従って、6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体は未だ知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、1−メチル−3−トリフロオロメチルピラゾール−5−イル酢酸エステルの製造に用いることができる6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体、並びにそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、3−オキソブタン酸エステルに塩基を反応させてジアニオンを生成させ、これとトリフルオロ酢酸エステルとを反応させることにより、6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体を製造できることを知り、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、3−オキソブタン酸エステルに、2位のメチレン基と反応し得る塩基を反応させた後、これに4位のメチル基と反応し得る塩基を反応させ、次いでトリフルオロ酢酸エステルを反応させることを特徴とする6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法及び6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において低級アルキル基とは、炭素数1〜4のアルキル基を意味する。
本発明に係る6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法では、反応は次式のように進行すると考えられる。
【0010】
【化1】
すなわち、原料である3−オキソブタン酸エステルの2位のメチレン基が塩基と反応してアニオンとなり、次に4位のメチル基が塩基と反応してジアニオンとなる。これにトリフルオロ酢酸エステルが反応して、6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体が生成するものと考えられる。
【0011】
原料の3−オキソブタン酸エステルとしては、任意のエステルを用いることができる。好ましくは、アルキルエステル、特に低級アルキルエステルを用いる。そのいくつかを例示すると、3−オキソブタン酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、又はイソブチルエステル等が挙げられる。このうちメチル又はエチルエステルが好ましい。
【0012】
3−オキソブタン酸エステルの2位のメチレン基と反応し得る塩基としては、金属ナトリウム、金属リチウム等のアルカリ金属;水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物;メチルリチウム、ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム等の有機リチウム;ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド;カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドなどが挙げられる。これらのうちアルカリ金属水素化物、有機リチウム、アルカリ金属アミドが好ましい。なかでも好ましいのは、水素化ナトリウムである。塩基は、3−オキソブタン酸エステルに対して等モル以上用いられ、好ましくは等モル〜1.5倍モルの範囲で用いられる。
3−オキソブタン酸エステルの4位のメチル基と反応し得る塩基としては、有機リチウム、アルカリ金属アミド等が挙げられる。これらのうち、ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドが好ましい。この塩基も、3−オキソブタン酸エステルに対して等モル以上、好ましくは等モル〜3倍モル用いる。
【0013】
トリフルオロ酢酸エステルとしては、トリフルオロ酢酸アルキルエステルが挙げられる。なかでも、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、及びイソブチル等の低級アルキルエステルを用いるのが好ましい。特に好ましいのは、メチル又はエチルエステルである。
トリフルオロ酢酸エステルは、3−オキソブタン酸エステルに対して0.8〜2倍モル、特に1〜1.2倍モル用いるのが好ましい。
【0014】
反応は、まず、塩基に対して安定な溶媒に3−オキソブタン酸エステルを溶解した後に塩基を反応させアニオンを生成させた後、更に塩基を反応させてジアニオンを生成させ、これにトリフルオロ酢酸エステルを加えて反応させるのが好ましい。
このときの反応温度としては、副生物の生成抑制等の点でより低温の方がこのましく、通常、50℃以下、より好ましくは30℃以下、特に好ましくは10℃以下の範囲で行われる。但し、あまり低温すぎると設備コスト及び反応速度等の点で好ましくないため、通常、−100℃以上、好ましくは−70℃以上より好ましくは−50℃以上の温度で行われる。
3−オキソブタン酸エステルと塩基との2工程の反応は、通常、0.1〜10時間、好ましくは0.2〜1時間かけて行なわれる。生成するアニオンの安定性の点から、時間をあまりかけすぎるのは好ましくない。
また、生成したジアニオンとトリフルオロ酢酸エステルとの反応は、通常、1〜24時間、好ましくは1〜5時間かけて行われる。
【0015】
溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、メチルt−ブチルエーテル等のエーテルを用いるのが好ましい。なかでもTHFが好ましい。
また、上記エーテル系溶媒の他にヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒を併用した混合溶媒系中で反応を行うと反応温度が−20℃以上といった比較的高温でも収率よく目的物が得られるため、工業的には好ましい。この場合、脂肪族炭化水素系溶媒との混合比率としては、全溶媒量に対し少なくとも10vol%以上用いるのが好ましく、また、50vol%を超えない範囲用いるのが好ましい。
溶媒は、3−オキソブタン酸エステルに対して1〜100体積倍、特に5〜30体積倍用いることが好ましい。
【0016】
本発明により製造される6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体のエステル部分は、原則として3−オキソブタン酸エステルのエステル部分を引き継ぐが、3−オキソブタン酸エステルとトリフルオロ酢酸エステルのエステル部分が異なる場合には、トリフルオロ酢酸エステルのエステル部分に由来するエステル部分を有する6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体が生成することもある。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、いずれの実施例も、十分に乾燥した試薬及び溶媒を用い、窒素雰囲気下で反応を行った。
実施例1
60重量%水素化ナトリウム0.44g(11mmol)をヘキサン5mLで2回洗浄した後、THF25mLに懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル1.16g(10mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.59mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液6.6mL(10.5mmol)を−60℃で10分間かけて滴下し、15分間攪拌した。更に、トリフルオロ酢酸メチル0.37g(5mmol)を加え、−60℃で60分間攪拌した。1.59mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液6.6mL(10.5mmol)を−60℃で10分間かけて滴下し、15分間攪拌した。更に、トリフルオロ酢酸メチル0.37g(5mmol)を加え、−60℃で180分間攪拌した。反応液を室温とし、濃塩酸3.5mLを加えて10分間攪拌した後、水10mL及びジエチルエーテル30mLを加えた。有機層をとり、飽和食塩水15mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物4.64gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が1.70g含まれていた(収率80%)。
【0018】
実施例2
1Lの四つ口フラスコに、ヘキサン50mLで2回洗浄した60重量%水素化ナトリウム8.80g(220mmol)及びTHF500mLを仕込んだ。4℃で3−オキソブタン酸メチル23.29g(200mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液132mL(210mmol)を、−50℃で15分間かけて滴下し、同温度で15分間攪拌した。更に、トリフルオロ酢酸エチル29.50g(208mmol)を加え、−50℃で120分間攪拌した。反応液に15℃以下で濃塩酸46mLを徐々に滴下し10分間攪拌した後、水200mL及び酢酸エチル600mLを加えた。有機層をとり、水200mLで1回洗浄した。水層を合わせて、酢酸エチル300mLで2回抽出した。有機層を合わせた後、飽和食塩水300mLで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物を48.01g得た。内部標準法により定量したところ、得られた油状物には目的生成物がが36.20g(収率85%)含まれていた。該油状物を減圧蒸留で精製し、目的生成物を圧力1.05mmHgにおける沸点が52℃の留分として32.84g得た(単離収率68%)。
【0019】
上記で得られた生成物の同定データは以下の通り。
沸点:52℃/1.0mmHg
1H−NMR(CDCl3,δppm):13.3(1H,br),6.05(1H,s)、3.70(3H,s)、3.50(2H,s)
13C−NMR(CDCl3,δppm):189.1,174.1(q,2JC-F=37.2Hz),166.6,116.9(q,1JC-F=281.6Hz),97.2(q、3JC-F=2.4Hz),52.7,44.5
MS(3.0kV)m/z:212(M+、11)、181(9)、143(95)、139(100)、111(8)、101(29)、69(58)
IR(neat、KBr) 図1参照。
6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体は、上述のように4つの可変的な構造を有するものであるが、以上の結果から、主としてエノール体、特には6,6,6−トリフルオロ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキセン酸エステルとして存在し、加えて、少なくとも溶液中においては、6,6,6−トリフルオロ−5−ヒドロキシ−3−オキソヘキセン酸エステルであることが判明した。
【0020】
実施例3
50mLの三つ口フラスコに60重量%水素化ナトリウム0.44g(11mmol)をヘキサン5mLで2回洗浄した後、THF25mLに懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル1.16g(10mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.58mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液6.8mL(10.5mmol)を−10℃で10分間かけて滴下した後、トリフルオロ酢酸エチル1.42g(10mmol)を加え、−10℃で120分間攪拌した。反応液を0℃とし、氷浴中で濃塩酸2.3mLを加えて10分間攪拌した後、水10mL及び酢酸エチル30mLを加えた。有機層をとり、水層を酢酸エチル30mlで2回抽出し先に分液した有機層と合わせ、飽和食塩水15mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物2.73gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が1.48g含まれていた(収率70%)。
【0021】
実施例4
50mLの三つ口フラスコに60重量%水素化ナトリウム0.44g(11mmol)をヘキサン5mLで2回洗浄した後、THF12.5mLとヘキサン12.5mlの混合溶媒に懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル1.16g(10mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.58mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液6.8mL(10.5mmol)を−10℃で10分間かけて滴下した後、トリフルオロ酢酸エチル1.42g(10mmol)を加え、−10℃で120分間攪拌した。反応液を0℃とし、氷浴中で濃塩酸3.5mLを加えて10分間攪拌した後、水10mL及び酢酸エチル30mLを加えた。有機層をとり、水層を酢酸エチル30mlで2回抽出し先に分液した有機層と合わせ、飽和食塩水15mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物2.56gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が1.59g含まれていた(収率75%)。
【0022】
実施例5
500mLの四つ口フラスコに60重量%水素化ナトリウム4.40g(110mmol)をヘキサン50mLで2回洗浄した後、THF200mLとヘキサン50mlの混合溶媒に懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル11.61g(100mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.56mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液68mL(105mmol)を−10℃で15分間かけて滴下した後、トリフルオロ酢酸エチル14.21g(100mmol)を加え、−10℃で120分間攪拌した。反応液を0℃とし、氷浴中で濃塩酸23mLを加えて10分間攪拌した後、水100mL及び酢酸エチル300mLを加えた。有機層をとり、水層を酢酸エチル300mlで2回抽出し先に分液した有機層と合わせ、飽和食塩水150mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物27.95gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が17.84g含まれていた(収率84%)。
【0023】
実施例6
50mLの三つ口フラスコに60重量%水素化ナトリウム0.44g(11mmol)をヘキサン5mLで2回洗浄した後、THF20mLとシクロヘキサン5mlの混合溶媒に懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル1.16g(10mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.58mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液6.8mL(10.5mmol)を−10℃で10分間かけて滴下した後、トリフルオロ酢酸エチル1.42g(10mmol)を加え、−10℃で120分間攪拌した。反応液を0℃とし、氷浴中で濃塩酸3.5mLを加えて10分間攪拌した後、水10mL及び酢酸エチル30mLを加えた。有機層をとり、水層を酢酸エチル30mlで2回抽出し先に分液した有機層と合わせ、飽和食塩水15mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物2.46gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が1.67g含まれていた(収率79%)。
【0024】
実施例7
1000mLの四つ口フラスコに60重量%水素化ナトリウム8.80g(220mmol)をヘキサン100mLで2回洗浄した後、THF400mLとヘプタン100mlの混合溶媒に懸濁し、4℃で3−オキソブタン酸メチル23.22g(200mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。次いで、これに1.58mM/mLn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液133mL(210mmol)を−10℃で30分間かけて滴下した後、トリフルオロ酢酸エチル28.42g(200mmol)を加え、−10℃で120分間攪拌した。反応液を0℃とし、氷浴中で濃塩酸46mLを加えて10分間攪拌した後、水200mL及び酢酸エチル600mLを加えた。有機層をとり、水層を酢酸エチル600mlで2回抽出し先に分液した有機層と合わせ、飽和食塩水300mLで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた有機層を減圧濃縮して油状物46.47gを得た。安息香酸エチルを内部標準物質として定量したところ、得られた油状物には目的生成物が33.09g含まれていた(収率78%)。該油状物を減圧蒸留で精製し、目的生成物を圧力0.9mmHgにおける沸点が44℃の留分として27.80g得た(単離収率68%)。
【発明の効果】 本発明によれば、医農薬中間体として有用な6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体を簡便且つ収率よく得るとことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で得られた本発明の化合物のIRチャート図である。
Claims (7)
- 3−オキソブタン酸エステルに、2位のメチレン基と反応し得る塩基を反応させた後、これに4位のメチル基と反応し得る塩基を反応させ、次いでトリフルオロ酢酸エステルを反応させることを特徴とする6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法。
- 3−オキソブタン酸エステルに、アルカリ金属、アルカリ金属水素化物及び金属アルコキシドよりなる群から選ばれた塩基を反応させた後、これに有機リチウム及びアルカリ金属アミドよりなる群から選ばれた塩基を反応させ、次いでトリフルオロ酢酸エステルを反応させることを特徴とする6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法。
- 3−オキソブタン酸エステルに、水素化ナトリウムを反応させた後、ブチルリチウムを反応させ、次いでトリフルオロ酢酸エステルを反応させることを特徴とする6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法。
- 3−オキソブタン酸エステルを、2倍モル以上の塩基と反応させた後、トリフルオロ酢酸エステルと反応させることを特徴とする6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法。
- 反応をエーテル系溶媒及び脂肪族炭化水素系溶媒からなる混合溶媒中で行い、脂肪族炭化水素系溶媒の使用量が全溶媒量に対して50vol%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体の製造方法。
- 6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸エステル及びその互変異性体。
- 6,6,6−トリフルオロ−3,5−ジオキソヘキサン酸メチル及びその互変異性体。
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