JP2005247685A - ホーリー光ファイバ用母材の製造方法 - Google Patents

ホーリー光ファイバ用母材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ゾル-ゲルの成形法によりホーリー光ファイバ用母材を製造する際に、乾燥または熱処理過程でゲルに亀裂が生じることを防ぐホーリー光ファイバ用母材の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のホーリー光ファイバ用母材の製造方法は、(a)石英ガラスの出発物質を用いてゾルを形成する過程100と、(b)前記(a)過程で生成されたゾルを複数の金型に注入し、ゲル化してそれぞれ一つのエアホールを備える複数のゲルチューブを形成する過程200と、(c)複数のゲルチューブをそれぞれの金型から取り出した後に乾燥させる過程300と、(d)前記(c)過程で乾燥された複数のゲルチューブを熱処理し、ゲルチューブに残っている水分及び不純物を除去する熱処理過程400と、(e)熱処理が完了した複数のゲルチューブを予め定められた配列でスタッキングする過程500と、(f)スタッキングされた複数のゲルチューブを焼結させてガラス化する過程600と、を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、エアホール(air hole)を有するホーリー光ファイバ(holey fiber)用母材の製造方法に関するものである。
一般に、シングルモード光ファイバは、コアとクラッドとの屈折率の差による光の反射を用いてデータを伝送する。ここで、コアは、ゲルマニウム(Germanium)またはリン(Phosphorus)を添加したガラスで構成される。一方、ホーリー光ファイバは、図1に示すように、融合された石英ガラス1のような単一固体相(solid phase)の実質的に透明な素材により形成される。また、このホーリー光ファイバの内部には、光ファイバの全体長さに沿ってその軸に並行に伸張される複数個のエアホール2が、規則的配列にて形成される。
ホーリー光ファイバでは、規則的な配列形態の空気層と石英ガラス層との誘電率(dielectric constant)の差を用いて、フォトニックバンドギャップ(photonic band-gap)を生じさせる。このフォトニックバンドギャップは、半導体における電子バンドギャップ(electronic band-gap)のように、特定波長や光波伝搬(propagation)方向に対して光阻止帯域(Photonic stop band)を供給する。すなわち、フォトニックバンドギャップの要求を満たす光だけがフォトニックバンドギャップを通過することができる。
ホーリー光ファイバ内の光の伝搬は、フォトニックバンドギャップ効果(Photonic Band-gap Effect)と有効屈折率効果(Effective Index Effect)によって遂行されるものであり、これに関しては、下記の非特許文献1及び2などの論文に詳細に開示されている。
上記のようなホーリー光ファイバは、技術的に多くの重要な特性を有している。例えば、ホーリー光ファイバは、広範囲な波長範囲にかけてシングルモードを支援し、広いモード領域を有することができる。したがって、ホーリー光ファイバは、高い光パワー(Optical Power)を伝送し、1.55μmの遠隔通信波長で大きな相分散を示すことができる。また、ホーリー光ファイバは、非線形性の増加/減少及び偏光調節のための素子として重要になってきている。したがって、多機能を有するフォトニック結晶光ファイバに関する特性が継続して報告されるとともに、近い将来に、ホーリー光ファイバが光通信及び光産業に幅広く適用されることが期待される。
一方、ホーリー光ファイバを製造するための従来のホーリー光ファイバ用母材の製造方法としては、ガラススタッキング(glass stacking)法、ガラス穿孔(glass drilling)法、ゾル-ゲル(sol-gel)の成形(molding)法などが代表的方法である。
ガラススタッキング法は、複数の高純度ガラスチューブを所望の形状にスタッキングし、バンドリング(bundling)し、伸張(elongation)する工程を数回繰り返し行うことにより、母材を製造する方法である。しかしながら、ガラススタッキング法は、ガラスの加工が難しく、また、作業者の手作業によってガラスチューブが組み立てられる。そのため、組立て過程で汚染が発生し易く、汚染部分の洗浄のような作業を繰り返し行う必要がある。その結果、ガラススタッキング法は、製造コストが高くなり、また、工程時間が非常に長くなるという短所があった。
ガラス穿孔法は、ガラス内に穿孔(drilling)作業でエアホールを形成する製造方法である。しかしながら、この方法は、エアホールの内面をきれいに処理することが困難であり、また、硬質ガラスを加工することによる加工コストが高いという短所があった。
ゾル-ゲルの成形法は、円筒状金型内の長さ方向に複数のエアホール形成用バーを配置し、次に液体の原料物質を金型に注入してゲル状態にした後に、エアホール形成用バーを除去して焼結させることによって、ホーリー光ファイバ用母材を製造する方法である。したがって、このゾル-ゲルの成形法は、製造工程が簡便であり、かつ生産コストが格段に低いという利点を有している。しかしながら、従来のゾル-ゲルの成形法では、ゲルを形成した後に、エアホール形成用バーを除去する過程で、ゲルに衝撃を与え易く、この衝撃により、ゲル内に亀裂が発生する可能性が高くなるという問題点があった。さらに、ゾル-ゲルの成形法では、母材の嵩が大きく、各エアホール間の距離があるため、熱処理の効率が低くなるという問題もあった。
T.A.Birks et al., Electronic Letters, Vol.31(22) p.1941(October 1995) J.C.Knight et al., Proceeding of OFC, PD 3-1(February, 1996)
したがって、本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、ゾル-ゲルの成形法によりホーリー光ファイバ用母材を製造する際に、乾燥または熱処理過程でゲルに亀裂が生じることを防止できるホーリー光ファイバ用母材の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために本発明に係るホーリー光ファイバ用母材の製造方法は、(a)石英ガラスの出発物質を用いてゾルを形成する過程と、(b)前記(a)過程で生成されたゾル状態の石英ガラスを複数の金型に注入し、ゲル化してそれぞれ一つのエアホールを備える複数のゲルチューブを形成する過程と、(c)前記複数のゲルチューブをそれぞれの金型から取り出した後に乾燥させる過程と、(d)前記(c)過程で乾燥された複数のゲルチューブを熱処理して、前記ゲルチューブに残っている水分及び不純物を除去する熱処理過程と、(e)前記熱処理が完了した複数のゲルチューブを予め定められた配列でスタッキングする過程と、(f)前記スタッキングされた複数のゲルチューブを焼結させてガラス化する過程と、を含む。
望ましくは、(a)のゾル形成過程は、石英ガラスの出発物質としてヒュームドシリカを用いた分散及び熟成過程によって遂行される。
或いは、(a)のゾル形成過程は、石英ガラスの出発物質としてケイ素アルコキシドを用いた加水分解反応によって遂行される。
上記のスタッキング過程は、上記の熱処理過程に先立って行うこととしても良い。従って、本発明に係るホーリー光ファイバ用母材の製造方法の他の側面は、(a)石英ガラスの出発物質を用いてゾルを形成する過程と、(b)前記(a)過程で生成されたゾル状態の石英ガラスを複数の金型に注入し、ゲル化してそれぞれ一つのエアホールを備える複数のゲルチューブを形成する過程と、(c)前記複数のゲルチューブをそれぞれの金型から取り出した後に乾燥させる過程と、(d)前記(c)過程で乾燥された複数のゲルチューブを予め定められた配列でスタッキングする過程と、(e)前記スタッキングされた複数のゲルチューブを熱処理して、前記ゲルチューブに残っている水分及び不純物を除去する熱処理過程と、(f)前記(e)過程で熱処理された複数のゲルチューブを焼結させてガラス化する過程と、を含む。
本発明のホーリー光ファイバ用母材の製造方法によれば、それぞれ一つのエアホールを備えるゲルチューブを複数個形成して乾燥させた後に、これらを予め定められたエアホールの配列を有するようにスタッキングし、その後に焼結するので、それぞれのゲルの乾燥及び熱処理の際に生じ得る亀裂を最小化し、さらには、熱処理の効率を高める効果が得られる。
以下、本発明の望ましい実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明において、関連した公知の機能や構成に関する具体的な説明が、本発明の要旨を不明にすると判断された場合に、その詳細な説明を省略する。
図2は、本発明の一実施形態によるホーリー光ファイバ用母材の製造過程を示すフローチャートである。図2に示すように、本発明によるホーリー光ファイバ用母材の製造方法は、ゾル形成過程100、ゲルチューブ形成過程200、乾燥過程300、熱処理過程400、ゲルチューブスタッキング過程500、及び焼結(sintering)過程600の手順により行われる。
ゾル形成過程100は、石英ガラス製造において出発物質として使用されるケイ素アルコキシド(Silicon Alkoxide)またはヒュームドシリカ(Fumed Silica)をゾル状態とする工程である。ここで、ケイ素アルコキシドを石英ガラスの出発物質として使用してゾルを形成する場合には、ゾル形成過程100は、ケイ素アルコキシドにアルコール(alcohol)や水などの溶媒を添加して、加水分解反応を生成させることにより行われる。一方、ヒュームドシリカを石英ガラスの出発物質として使用した場合には、ゾル形成過程100は、ヒュームドシリカに分散剤、可塑剤(plasticizer)などを添加する。また、この方法では、ヒュームドシリカを脱イオン水(deionized water)中に分散させた後に、所定時間放置して熟成させることにより、ゾルが形成される。
ゲルチューブ形成過程200は、ゾル形成過程100で生成されたゾルを複数の金型に注入し、ゲル化させて複数のゲルチューブを形成する工程である。このとき、従来のゾル-ゲル過程では、複数のエアホールを有するゲルチューブを形成する。これに対して、本発明では、一つのエアホールを有するゲルチューブを形成し、ホーリー光ファイバ用母材の予め定められたエアホールの個数だけのゲルチューブを形成する。このように、一つのゲルチューブに一つのエアホールを形成することにより、以後の乾燥及び熱処理工程でゲルに生じる亀裂を最小化することが可能となる。また、ゲル化工程を短縮するために、ゲル化剤を添加し、あるいは周囲の温度を80℃以内に上昇させることも可能である。ゲル化剤としては、ホルムアミド(formamide)、フッ化アンモニウム(ammonium fluoride)、乳酸エチル(ethyl lactate)、メチルラクテート(methyl lactate)などが使用される。
乾燥過程300では、ゲル化が完了したゲルチューブが、それぞれの金型から取り出され、恒温恒湿室(chamber)内で乾燥させられる。
熱処理過程400では、乾燥過程で乾燥された複数のゲルチューブを熱処理し、各ゲルチューブに残存する水分及び不純物が除去される。この熱処理過程400は、2段階の工程により遂行される。すなわち、最初に、オーブン(oven)熱処理を通じて、ゲル内に残留する水分及び分散剤、可塑剤などの添加剤を熱分解する。その後、低温熱処理を通じて、ゲル内に残っている水分、OH、有機物、金属不純物などを分解して除去する。
ゲルチューブスタッキング過程500では、熱処理過程400で熱処理の完了した複数のゲルチューブを、所望の配列のエアホールが得られるように配置する。このとき、ゲルチューブに形成されたエアホールのサイズ、ゲルチューブの配列、またエアホール間の間隔により、ホーリー光ファイバ用母材から製造されるホーリー光ファイバの光伝送特性を調節することができる。本実施形態においては、熱処理を行った後にゲルチューブをスタッキングする手順からなる方法について説明したが、ゲルチューブを乾燥させ、その次にスタッキング過程を経た後に、熱処理を行うこともできる。
焼結過程600は、スタッキングされた複数のゲルチューブを焼結させてガラス化する工程である。このとき、ゲルチューブは1350℃〜1600℃の温度で加熱し、それによりホーリー光ファイバ用母材が完成する。この熱処理の後に、ゲルチューブは、ある程度の強度を持つとともに、亀裂発生の可能性が低くなる。また、ゲルチューブは、焼結の際に個々のゲルをバンドリング(bundling)して焼結するために、それぞれのゲルにキャップを被せることや、穿孔を行うなどの加工が可能になる。また、それぞれのゲルを同時に焼結することにより、熱処理の効率を高めることができる。
焼結過程600の第1の実施形態では、不図示の真空垂直炉を焼結炉(sintering furnace)として使用する。そして、熱処理が完了したそれぞれのゲルチューブは、SiCキャップが被せられることで、円状の束(circular-sectioned bundle)の形態(図2参照)で、垂直炉(焼結炉)内に掛けられる。さらに、このSiCキャップからゲルチューブが下方に抜け落ちないように、垂直炉内にはゲルチューブの荷重を支える器具が導入される。また、ゲルチューブの汚染及び/又はSiCキャップからの離脱を防ぐために、ゲルチューブについて、その上下端の一部を除いて焼結が行われる。
焼結過程600の第2の実施形態では、熱処理が完了したそれぞれのゲルチューブにホール(opening)を形成する。その後、ゲルチューブは、そのホールにSiCピンが挿入され、円状の束の形態で上記の垂直炉(焼結炉)内に掛けられる。そして、ゲルチューブは、その上端部から下方に焼結が行われる。
以上、本発明を具体的な実施形態に則して詳細に説明したが、形式や細部についての種々の変更が、特許請求の範囲の記載により規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われることが可能であることは、当該技術分野における通常の知識を持つ者には明らかである。従って、本発明の範囲は、前述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
一般的なホーリー光ファイバ用母材の構造を示す図である。 本発明の一実施形態によるホーリー光ファイバ用母材の製造過程を示すフローチャートである。

Claims (9)

  1. ホーリー光ファイバ用母材の製造方法であって、
    (a)石英ガラスの出発物質を用いてゾルを形成する過程と、
    (b)前記(a)過程で生成されたゾル状態の石英ガラスを複数の金型に注入し、ゲル化してそれぞれ一つのエアホールを備える複数のゲルチューブを形成する過程と、
    (c)前記複数のゲルチューブをそれぞれの金型から取り出した後に乾燥させる過程と、
    (d)前記(c)過程で乾燥された複数のゲルチューブを熱処理して、前記ゲルチューブに残っている水分及び不純物を除去する熱処理過程と、
    (e)前記熱処理が完了した複数のゲルチューブを予め定められた配列でスタッキングする過程と、
    (f)前記スタッキングされた複数のゲルチューブを焼結させてガラス化する過程と、
    を含むことを特徴とするホーリー光ファイバ用母材の製造方法。
  2. 前記(a)過程は、前記石英ガラスの出発物質としてヒュームドシリカを用いた分散及び熟成過程によって遂行されること
    を特徴とする請求項1記載のホーリー光ファイバ用母材の製造方法。
  3. 前記分散及び熟成過程は、ヒュームドシリカに分散剤、可塑剤を添加し、脱イオン水中に分散させた後に、所定時間放置して熟成することによってゾルを形成すること
    を特徴とする請求項2記載のホーリー光ファイバ用母材の製造方法。
  4. 前記(a)過程は、前記石英ガラスの出発物質としてケイ素アルコキシドを用いた加水分解反応によって遂行されること
    を特徴とする請求項1記載のホーリー光ファイバ用母材の製造方法。
  5. 前記(a)過程は、前記ケイ素アルコキシドにアルコール、または水を含む溶媒を添加する過程を更に含むこと
    を特徴とする請求項4記載のホーリー光ファイバ用母材の製造方法。
  6. 前記(f)過程は、それぞれのゲルチューブを円状の束(bundle)の形態でSiCキャップを被せた後に、垂直形の焼結炉内に掛けて焼結すること
    を特徴とする請求項1記載のホーリー光ファイバ用母材の製造方法。
  7. 前記ゲルチューブは、
    前記SiCキャップの離脱及び汚染を防ぐために、前記ゲルチューブの上下端の一部を除いて焼結すること
    を特徴する請求項4記載のホーリー光ファイバ用母材の製造方法。
  8. 前記(f)過程は、それぞれのゲルチューブにホールを形成した後に、SiCピンを前記ホールに挿入し、前記ゲルチューブを円状の束形態で垂直形の焼結炉内に掛けて焼結すること
    を特徴とする請求項1記載のホーリー光ファイバ用母材の製造方法。
  9. ホーリー光ファイバ用母材の製造方法であって、
    (a)石英ガラスの出発物質を用いてゾルを形成する過程と、
    (b)前記(a)過程で生成されたゾル状態の石英ガラスを複数の金型に注入し、ゲル化してそれぞれ一つのエアホールを備える複数のゲルチューブを形成する過程と、
    (c)前記複数のゲルチューブをそれぞれの金型から取り出した後に乾燥させる過程と、
    (d)前記(c)過程で乾燥された複数のゲルチューブを予め定められた配列でスタッキングする過程と、
    (e)前記スタッキングされた複数のゲルチューブを熱処理して、前記ゲルチューブに残っている水分及び不純物を除去する熱処理過程と、
    (f)前記(e)過程で熱処理された複数のゲルチューブを焼結させてガラス化する過程と、
    を含むことを特徴とするホーリー光ファイバ用母材の製造方法。
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