以下に、添付の図面を参照して、本発明に係る印刷装置の一実施形態であるインクジェットプリンタの構造および制御方法について説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態のインクジェットプリンタ10は、プリンタ本体部1(図1〜図4参照)と、プリンタ本体部1にそれぞれ着脱可能に取り付けられるロール紙ホルダ(図示省略)と、給紙装置6(図5及び図6参照)とを備えて構成される。プリンタ本体部1が特許請求の範囲に記載の印刷部に相当し、給紙装置6が自動給紙装置に相当する。以下、インクジェットプリンタ10の各構成について説明を行う。
図1は、本実施形態のインクジェットプリンタ10のプリンタ本体部1を正面側から見た斜視図であり、図2は、プリンタ本体部1を背面側から見た斜視図である。本実施形態のプリンタ本体部1は、全体的な外観構造として、基部2の一端部に片持部4を介して画像記録部3が片持ち支持された構成となっている。そして、基部2と画像記録部3との間には、背面側から正面側に向かって用紙を搬送する用紙搬送路5が形成されている。
この用紙搬送路5は、正面側開口5aと、背面側開口5bと、側面側開口5cと連通している。用紙搬送路5内に挿入された用紙は、背面側開口5b側から正面側開口5a側に向かう方向(以下、「用紙搬送方向」と呼ぶ)に搬送される。本実施形態のプリンタ本体部1において、用紙は、正面側開口5a、背面側開口5b、および側面側開口5cの一つの開口から用紙搬送路5内に挿入可能に構成されている。
すなわち、本実施形態のプリンタ本体部1においては、用紙は、背面側からのみならず、正面側及び側面側からも用紙を用紙搬送路に挿入可能である。特に手差し印刷を行う場合には、プリンタ本体部1は、側面側開口5cを介して、用紙搬送方向に垂直な方向からの用紙搬送路5へ用紙を挿入することができる。さらに言い換えれば、プリンタ本体部1は、側面側開口5cを介して、用紙搬送路5となる基部2と画像記録部3の間の用紙搬送面に平行な方向から用紙搬送路5へ用紙を挿入可能に構成されている。
また、基部2、画像記録部3及び片持部4の各外壁は、前面側基部筐体2aと前面側片持部筐体4aと前面側画像記録部筐体3aとがコの字形状に一体に形成されて構成された正面側筐体11と、背面側基部筐体2bと背面側片持部筐体4bと背面側画像記録部筐体3bとがコの字形状に一体に形成されて構成された背面側筐体12とが互いにはめ合わされて構成されている。前側画像記録部筐体3a及び背面側画像記録部筐体3bの上面には、図1に示すように、それぞれ対応して設けられたコの字形状の切欠き11a及び切欠き12aからなる開口13が形成されている。
背面側画像記録部筐体3bの切欠き12a端部には、カバー14がヒンジ部14aを介して開閉可能に取り付けられている。このカバー14は、図2に示す閉状態のように、開口13を塞ぐように取り付けられている。カバー14には、ヒンジ部14aが形成された側とは反対側の端部にカバー開閉用突片14bが設けられている。このカバー開閉用突片14bは、ユーザがこのカバー開閉用突片14bに指を引っかけてカバー14を容易に開動作することが可能なように構成されている。図1に示すカバー14の開状態において、ユーザは画像記録部3の内部構成部品に対して、メンテナンスを行うことが可能であり、例えば、後述するキャリッジ25に着脱自在に設けられたインク供給タンクを開口13を介して交換することができるように構成されている。
背面側片持部筐体4bには、リリースレバー15が取り付けられている。このリリースレバー15は、下方に押し下げ可能に取り付けられており、リリースレバー15の操作に応じて、用紙搬送路5を形成する後述のプラテン21(図3参照)をプラテン21に取り付けられた各種部材とともに上下動させて、用紙搬送路5内部に用紙を挿入可能に構成されている。
背面側基部筐体2bで片持部4の下方に相当する部分には、電源ケーブル取付端子16と、データ送受信用端子17と、電力供給ケーブル取付端子18とがそれぞれ設けられている。電源ケーブル取付端子16には、外部電源に接続されプリンタ駆動用の電力を供給するケーブル(図示省略)が取り付けられる。データ送受信用端子17には、ホスト装置であるパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ48(図6参照)とデータの送受信を行うUSBケーブル等(図示省略)が取り付けられる。電力供給ケーブル取付端子18には、給紙装置6に電力を供給する電力供給用ケーブル(図示省略)が取り付けられる。
電力供給ケーブル取付端子18には、給紙装置6への電力供給用ケーブルが取り付けられているかどうかを確認するケーブル取付確認ピン(図示省略)が設けられている。プリンタ本体部1は、ケーブル取付確認ピンが電力供給ケーブル取付端子18が取り付けられた状態でショートすることにより、給紙装置6が取り付けられたと判断する。すなわち、電力供給ケーブル取付端子18は、給紙装置6が取り付けられたかどうかを判断する給紙装置着脱センサの役割も果たしている。
また、図2に示すように、背面側画像記録部筐体3bの背面側には、給紙装置6を取り付けるためのスリット19aが形成されている。また、背面側基部筐体2bの背面側には、ロール紙ホルダを取り付けるための溝19bが形成されている。
また、図1に示すように、前面側片持部筐体4aの前面側には、電源スイッチなどの操作スイッチを操作するための操作ボタン41と、インクジェットプリンタ10の状態を表示する状態表示部が設けられている。本実施形態における状態表示部は、発光ダイオード42で構成されている。
図3は、プリンタ本体部1の内部構造の要部を示す断面図である。また、図4は、用紙搬送路の下面を構成する部材が下方に押し下げられた状態を示す断面図である。
図3に示すように、背面側開口5bから正面側開口5aに至る用紙搬送路5の下面は、主にプラテン21によって構成されている。プラテン21は、基部2の上面を構成する板状部材であり、図4に示すように、プラテン21の上面はほぼ平らに構成されている。プラテン21と対向する用紙搬送路5の上面側には、上流側から順に用紙ガイド22、メイン用紙搬送ローラ23、キャリッジ25、オートカッタ29、およびTOF(Top Of Form)レバー33が配置されている。また、プラテン21の下方には、制御基板35が配置されている。以下、プラテン21を中心として各部材について説明していく。
図3に示すように、用紙ガイド22は、用紙搬送路5の搬送路上流側でプラテン21と対向して配置されている。用紙ガイド22の用紙搬送路5側表面は、凸曲面形状とされ、背面側開口5bから給紙される用紙が用紙搬送路5内に円滑に挿入されるように構成されている。背面側開口5bから挿入された用紙は、プラテン21と用紙ガイド22との間を搬送され、メイン用紙搬送ローラ23に送られる。
プラテン21の用紙搬送方向中央部近傍には、複数の凹部が形成されている。この凹部のそれぞれには、用紙送りローラ24が回転可能に配置されている。これらの用紙送りローラ24は、その上方に配置されたメイン用紙搬送ローラ23とそれぞれ対向しており、図示せぬモータによるメイン用紙搬送ローラ23の回転により従動する。用紙は、メイン用紙搬送ローラ23と用紙送りローラ24との間にニップされて、用紙搬送方向または用紙搬送方向とは逆方向に搬送される。
メイン用紙搬送ローラ23の近傍のプラテン21上には、BOF(Bottom Of Form)レバー27が配置されている。BOFレバー27は、用紙検出器の一部を構成するものであり、用紙がその上面に搬送されることによって、下方に押し下げられるように構成されている。このBOFレバー27の押し下げは、例えばBOFレバー27と一体に形成されたリンク機構および光センサ等から構成される図示しないBOF(Bottom Of Form)検出器94(図7参照)によって感知される。この図示せぬ光センサは、BOFレバー27の状態変化を検出し、制御基板35上に設けられた後述するプリンタ制御装置51に検出信号を出力する。これにより、用紙がBOFレバー27の下にあると判断される。また、BOF検出器94は、BOFレバー27がもとの状態に戻るタイミングも検知し、プリンタ制御装置51に検出信号を出力する。これにより、用紙がBOFレバー27上から移動して無くなったと判断する。
BOFレバー27の状態変化のタイミング又はBOFレバー27がもとの状態に戻るタイミングと、その時に用紙が搬送されている方向とから、用紙の先端または終端がBOFレバー27の位置にあることが検出できる。例えば、用紙が順方向に搬送されており、BOFレバー27の状態変化が生じた場合、プリンタ制御装置51は、その時点に、用紙先端がBOFレバー27の位置に到達したと判断する。また、例えば、用紙が順方向に搬送されており、BOFレバー27がもとの状態に戻った場合、プリンタ制御装置51は、その時点に、用紙終端がBOFレバー27の位置に到達したと判断する。BOF検出器94と後述するTOF(Top Of Form)検出器93(図7参照)とが、特許請求の範囲に記載した検出器に相当する。
図3に示すように、メイン用紙搬送ローラ23の下流側には、キャリッジ25がプラテン21に対向して配置されている。キャリッジ25は、用紙搬送路5に垂直な用紙幅方向に沿って長手方向が配置されたガイド軸26およびガイドプレート28によって保持されている。キャリッジ25は、このガイド軸26およびガイドプレート28に沿って用紙幅方向に移動可能に構成されている。
このキャリッジ25は、用紙にインクを吐出する複数の開口を有するインクヘッド(図示省略)がプラテン21側に向けて配置されている。キャリッジ25は、ガイド軸26に沿って摺動しながら、インクヘッドの複数の開口からインクを吐出することにより、プラテン21上に配置された用紙上への画像記録を行う。また、このキャリッジ25には、インクヘッドにインクを供給するインクタンク(不図示)が着脱自在に取り付けられている。
キャリッジ25の下流側には、オートカッタ29が配置されている。オートカッタ29は、画像記録部3側に摺動可能に固定されたカッタガイド部材29aと、カッタガイド部材29aとガイドプレート28間に配置され、カッタガイド部材29aに回転軸30を介して回転可能に軸支された円盤形状の回転カッタ刃31とから構成されている。回転カッタ刃31は、プラテン21上に配置された固定カッタ刃32と対向して配置されている。オートカッタ29は、回転カッタ刃31が固定カッタ刃32上に押し付けられながら、カッタガイド部材29aとともに用紙幅方向に移動することにより、固定カッタ刃32上に挿入されたロール紙等の切断を行う。
オートカッタ29の下流側であって正面側開口5a近傍には、サブ用紙搬送ローラ34が配置されている。サブ用紙搬送ローラ34は、その回転軸34aがプラテン21に回転可能に軸支されている。サブ用紙搬送ローラ34は、図示しない板状のサブ用紙搬送ローラガイドと対向しており、サブ用紙搬送ローラガイドとの間に用紙をニップしながら、用紙を用紙搬送方向または用紙搬送方向とは逆方向に搬送する。用紙は、サブ用紙搬送ローラ34によって用紙搬送方向に搬送されて、正面側開口5aより排出される。
図示省略したサブ用紙搬送ローラガイドには、TOFレバー33が設置されている。このTOFレバー33は、用紙先端検出器の一部を構成するものであり、TOFレバー33は、用紙がその下面上に搬送されることによって、上方に押し上げられるように構成されている。このTOFレバー33の押し上げは、例えばTOFレバー33と一体に形成されたリンク機構および光センサ等から構成されるTOF検出器93(図7参照)によって感知される。この図示省略した光センサは、TOFレバー33の状態変化を検出し、制御基板35上に設けられたプリンタ制御装置51に検出信号を出力する。これにより、用紙がTOFレバー33の上にあると判断される。また、TOF検出器は、TOFレバー33がもとの状態に戻るタイミングも検知し、プリンタ制御装置51に検出信号を出力する。これにより、用紙がTOFレバー33の下面から移動して無くなったと判断する。
TOFレバー33の状態変化のタイミング又はTOFレバー33がもとの状態に戻るタイミングと、その時に用紙が搬送されている方向とから、用紙の先端または終端がTOFレバー33の位置にあることが検出できる。例えば、用紙が順方向に搬送されており、TOFレバー33の状態変化が生じた場合、プリンタ制御装置51は、その時点に、用紙先端がTOFレバー33の位置に到達したと判断する。また、例えば、用紙が逆方向に搬送されており、BOFレバー27がもとの状態に戻った場合、プリンタ制御装置51は、その時点に、用紙先端がTOFレバー33の位置に到達したと判断する。
また、プラテン21の下方に配置された制御基板35には、インクジェットプリンタ10の各部材の動作を統括管理するプリンタ制御装置51が設けられている。プリンタ制御装置51は、後述するように(図7参照)、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)52や、ホストコンピュータ48からデータ送受信用端子17を介して受け取った制御コマンドや印刷データを一時的に保存するRAM(Random Access Memory)53や各種演算処理を行うためのルーチン等を記録したROM(Read Only Memory)54等から構成されている。TOF検出器93、BOF検出器94、給紙装置着脱センサ88、およびロール紙ホルダ着脱センサ87によって検知された信号も、このプリンタ制御装置51に送られ、用紙の位置や、給紙装置6およびロール紙ホルダの有無等を判断する。
また、図4に示すように、プラテン21は、リリースレバー15を押し下げて開状態にすることにより、プラテン21に取り付けられた各種部材とともに下方に変位する。プラテン21の下方への変位により、用紙搬送路5は上下に広がり、手差しによる用紙の挿入やロール紙の挿入が可能な状態となる。また、プラテン21は、リリースレバー15を元の状態に戻し閉状態にすることにより、図3に示す状態に戻り、手差しによる用紙の挿入やロール紙の挿入が禁止される。
以上説明したように、プリンタ本体部1のみを用いた場合には、手差しによる印刷を行うことが可能である。手差し印刷においては、ユーザは、用紙のサイズを気にかけることなく、正面側開口5a、背面側開口5b、または側面側開口5cの何れかの開口から用紙をプリンタ本体部1内の用紙搬送路5に挿入し、画像を記録することができる。
特に、プリンタ本体部1のみを用いる場合には、用紙搬送路5内に挿入されない部分の用紙の形状を気にすることなく画像記録を行うことが可能である。例えば、本、ノート等、ある一辺にて束ねられた複数の用紙からなる用紙束の用紙一枚のみを用紙搬送路5内部に配置して、その一枚のみに画像記録を行うことが可能である。したがって、ノートのある一ページまたは各ページに画像記録するといった特殊な画像記録を容易に行うことが可能である。
(給紙装置)
図5は、プリンタ本体部1に取り付けられる給紙装置を示す斜視図であり、また図6は、給紙装置がプリンタ本体部1に取り付けられた状態を示す断面図である。
本実施形態のプリンタ本体部1には、アタッチメントとして給紙装置6を着脱自在に取り付け可能に構成されている。以下に、給紙装置6およびその取り付けについて説明を行う。
給紙装置6は、所定のサイズを有する複数の単票紙を収納し、単票紙を一枚ずつプリンタ本体部1に送り込むための自動給紙装置である。給紙装置6は、主に下部ケース61と上面カバー70とから構成されている。以下に、各部材について説明を行う。
下部ケース61は、互いに対向配置された正面カバー62と背面カバー65とが、側面カバー63,64を介して一体に成形され、底面側に設けられた底面カバー66が側面カバー63,64および背面カバー65と一体に成形された樹脂製の箱形部材である。下部ケース61の上面側であって、正面カバー62と、側面カバー63,64と、背面カバー65との間には、開口60aが設けられており、この開口60aから上面カバー70が挿入され、開口60aの一部を塞ぐように下部ケース61に嵌合されている。ここで、開口60aの塞がれていない部分は、複数の単票紙Sが斜めに差し入れられる単票紙挿入口として構成されている。
背面カバー65の上端には、背面カバー65の上方に位置する部分の単票紙Sを支持する平板形状の用紙保持プレート68が取り付けられている。同じく、背面カバー65の上端には、開口60aから挿入される単票紙の用紙の最大サイズを制限する用紙サイズ規定部材69が設けられている。この用紙サイズ規定部材69は、背面カバー65の上端に沿って摺動可能に構成されており、用紙サイズ規定部材69の位置を適宜変化させることにより、用紙サイズを制限する。また、用紙サイズ規定部材69と側面カバー63との間の幅を挿入すべき用紙の幅とほぼ同一に設定することにより、用紙は、側面カバー63と用紙サイズ規定部材69によりガイドされて、幅方向に傾くことなく挿入されることが可能になる。
下部ケース61の底面カバー66上には、図6に示すように、その表面が底面カバー66に対して傾けて配置された傾斜片66aが配置されている。挿入された単票紙は、傾斜片66aまたは底面カバー66上に当接し、背面カバー65および用紙保持プレート68によって保持されて互いに積層された状態で収納されている。
また、下部ケース61の底面側であって、正面カバー62と側面カバー63,64と底面カバー66との間には、開口60bが設けられている。この開口60bは、単票紙挿入口としての開口60aから挿入された単票紙が排出される単票紙排出口を構成している。
また、図5に示すように、側面カバー63,64の正面側端部には、L字形状の係合突起67が設けられている。係合突起67は、図2に示すように、背面側画像記録部筐体3bに設けられたスリット19aに対応して設けられており、スリット19aに係合突起67が係合することにより、給紙装置6がプリンタ本体部1に取り付けられる。図6は、給紙装置6がプリンタ本体部1に取り付けられた状態を示している。
上面カバー70の内側(背面カバー65側)には、図6に示すように、上面カバー70と一体に成形された取付リブ71が立設しており、この取付リブ71には、給紙ローラユニット72が取り付けられている。給紙ローラユニット72は、電力供給ケーブル取付端子18に接続された図示しないケーブルおよび給紙モータ86(図6では図示省略、図7参照)を介して駆動制御される駆動軸73aと一体に形成されたギア73と、ギア73と噛合するギア74と、ギア74と噛合するギア75と、ギア75と噛合するギア76と、ギア76と噛合するギア77と、ギア77と噛合するギア78aを備えた給紙ローラ78と、を備えている。
給紙ローラユニット72は、駆動軸73aを正転または逆転駆動すると、単票紙に近づく方向または単票紙から離れる方向に回動し、単票紙上に給紙ローラ78が当接した状態または単票紙から給紙ローラ78が離間した位置で保持された状態となる。単票紙上に給紙ローラ78が当接した状態で、さらに駆動軸73aを回転させると、駆動軸73aと一体に形成されたギア73が回転し、さらにギア73の回転力がギア74,75,76,77を介してギア78aに伝達され、ギア78aに同軸に設けられた給紙ローラ78が回転する。
単票紙をプリンタ本体部1に給紙する場合には、給紙ローラユニット72の駆動軸73aを回転駆動することにより、給紙ローラユニット72を単票紙S側に回動させて、給紙ローラ78を単票紙Sの表面に当接させる。そして、さらに駆動軸73aを回動させることにより、給紙ローラ78を用紙の送り出し方向(図6においては時計回りの方向)に回転させて、積層された複数の単票紙Sの最も上方に位置する単票紙Sを開口60bから一定の速度で送りだし、プリンタ本体部1の背面側開口5bを介して、用紙搬送路5内に給紙する。プリンタ本体部1は、給紙された用紙に画像を記録し、正面側開口5aから排出する。そして、次の用紙を印刷する必要があれば、さらに給紙装置6から用紙を用紙搬送路5内に送り出し、画像の記録を行う。
また、給紙装置6は、図6に示すように、プリンタ本体部1に取り付けられた状態で、底面カバー66が用紙搬送路5の延長面近傍に位置している。より詳しくは、インクジェットプリンタ10を通常に使用する場合、インクジェットプリンタ10は略水平な面上に載置される。この場合、用紙搬送路5は略水平となり、底面カバー66は、用紙搬送路5の延長面より地球の重力加速度方向(鉛直方向)の上側に位置している。給紙装置6が、プリンタ本体部1に取り付けられた状態で、背面側開口5bは、給紙装置6によって塞がれていないため、給紙装置6が取り付けられた状態での背面側開口5b側からの手差しによる用紙供給が可能な開口79が構成されている。そして、用紙搬送路5から給紙装置6側(排紙方向と逆方向)に搬送されてきた用紙は、重力によって用紙搬送路5の延長面またはそれより下側に導かれ、給紙装置6に入らず、開口79に入る。
次に、上記したような構成を有するインクジェットプリンタ10を駆動するための電気的構成について説明する。図7は、インクジェットプリンタ10の電気的構成を示す電気構成ブロック図である。上記したように、プリンタ制御装置51は、インクジェットプリンタ10の各部材の動作を統括管理するものである。プリンタ制御装置51は、演算処理を行うCPU52や、ホストコンピュータ48から受け取った制御コマンドや印刷データを一時的に保存するRAM53や各種演算処理を行うためのルーチン等を記録したROM54を有している。これらはデータバス81を介してそれぞれ互いに電気的に接続されている。
上記した各機構部を駆動する、キャリッジ駆動モータ82、用紙搬送モータ83、ヘッド(ヘッド駆動アクチュエータ)84、給紙モータ86の各機器は、それぞれ、キャリッジ駆動モータドライバ82d、用紙搬送モータドライバ83d、ヘッドドライバ84d、給紙モータドライバ86dを介してCPU52に接続されている。また、ロール紙ホルダ着脱センサ87、給紙装置着脱センサ88、リリースレバー検出器89、キャリッジ検出器91、H/P検出器92、TOF検出器93、BOF検出器94、カバー検出器96、インクタンク検出器97及びカッタ検出器98の各機器も入出力インタフェイス(図示省略)及びデータバス81を介してCPU52に接続されている。
上記した、操作スイッチ41Sや状態表示部(実施形態においては発光ダイオード42)はそれぞれインタフェイス41f,42f及びデータバス81を介してCPU52に接続されている。また、ホストコンピュータ48は、入出力インタフェイス48f及びデータバス81を介してCPU52に接続されている。
印刷データがインタフェイス48fを介してホストコンピュータ48から入力されるとRAM53内の受信バッファに格納され、CPU52はこのデータを解読し、印刷を実行する。例えば、印刷データが文字データであれば、CPU52は、データコードに対応した文字パターンをROM54から読みだし、各ドライバを介してヘッド84、キャリッジ駆動モータ82、用紙搬送モータ83などを駆動し、給紙頭出しや印刷を実行する。CPU52が、供給制御手段の一部を構成するとともに、頭出し制御手段の一部を構成する。
なお、本実施形態では、各機能をCPU52を用いてソフトウエアにより実現することにしたが、上記の各機能が演算装置を用いない単独の電子回路によって実現してもよい。
次に、上記したような構成のインクジェットプリンタ10が用紙セット命令を受け、給紙装置6からプリンタ本体部1へ単票紙Sを給紙し、さらに、単票紙Sを印刷開始位置に位置決め(頭出し)する過程を説明する。図8は、給紙頭出し過程を示すフローチャートであり、図9は、給紙頭出し過程における単票紙の位置関係を示す模式断面図である。
図9(a)は、単票紙Sが給紙装置6に積載されている状態を示しており、図3及び図6に示した要部のみを模式的表している。ホストコンピュータ48からインクジェットプリンタ10へ給紙指令が送られると、図8のステップS1で、給紙装置6からプリンタ本体部1へ単票紙Sが給紙される。より詳細には、上記したように、給紙ローラ78を単票紙Sの表面に当接させ、さらに給紙ローラ78を用紙の送り出し方向(図9においては反時計回りの方向)に回転させて、積層された複数の単票紙Sの最も上方に位置する単票紙Sを開口60bから一定の速度で送りだし、プリンタ本体部1の背面側開口5bを介して、用紙搬送路5内に給紙する。
次にステップS2では、BOF検出器94がON(用紙有り)になったか否か、即ち、単票紙Sの先端がBOFレバー27の位置に到達したか否かを判定する。BOF検出器94がOFF(用紙なし)のまま(ステップS2でNO)の場合には、ステップS1の給紙ローラ78による単票紙Sの搬送を継続する。
BOF検出器94がON(用紙有り)になった(ステップS2でYES)場合には、次にステップS3に進み、単票紙Sの先端がメイン用紙搬送ローラ23に達するまで、給紙ローラ78によって単票紙Sを搬送する(図9(b)参照)。BOF検出器94がONになってから単票紙Sの先端がメイン用紙搬送ローラ23に達するまでの移動距離は、例えば、BOF検出器94がONになってから用紙搬送モータ83の回転量(回転角度)を計測することによって計測する。また、用紙の移動距離は、例えば、用紙搬送モータ83がスッテップモータである場合には、用紙搬送モータ83に印加するステップパルス数を計測することによって計測する。
次にステップS4に進み、給紙ローラ78をOFFさせる。即ち、単票紙Sから給紙ローラ78を乖離させて、単票紙Sが給紙ローラ78から力を作用させられないようにする。より詳細には、給紙ローラユニット72の駆動軸73aを給紙時と反対方向に回転駆動することにより、給紙ローラユニット72を上面カバー70側に回動させて、給紙ローラ78を単票紙Sの表面から乖離させる。
次にステップS5に進み、メイン用紙搬送ローラ23で単票紙Sを用紙搬送方向の順方向(用紙排出方向)に搬送する。
次にステップS6に進み、BOF検出器94がOFFになったか否か、即ち、単票紙Sの終端がBOFレバー27の位置に到達したか否かを判定する(図9(c)参照)。BOF検出器94がONのまま(ステップS6でNO)の場合には、ステップS5のメイン用紙搬送ローラ23による単票紙Sの搬送を継続する。
BOF検出器94がOFFになった(ステップS6でYES)場合には、次にステップS7に進み、単票紙Sを用紙搬送方向の逆方向(用紙排出方向の反対方向)に搬送する。
ところで、インクジェットプリンタ10内の単票紙Sを搬送するためには、給紙ローラ78とメイン用紙搬送ローラ23とサブ用紙搬送ローラ34とのうち少なくともひとつが単票紙Sに接していなければならない。また、単票紙SがBOFレバー27とTOFレバー33の中間に位置し、BOFレバー27とTOFレバー33の両方と接触していない状態が起こると、TOF検出器93及びBOF検出器94がOFFとなる。すると、単票紙Sがプリンタ本体部1内に存在するにもかかわらず、プリンタ制御装置51は、TOF検出器93及びBOF検出器94がOFFという検出結果から、用紙なしと判断してしまう。これらの理由により、印刷装置で使用できる用紙の長さには下限があり、本実施形態におけるインクジェットプリンタ10で使用される単票紙Sは、少なくともBOFレバー27とTOFレバー33との距離より長いことが必要である。従って、インクジェットプリンタ10において使用可能な単票紙Sが順方向に搬送されて、BOF検出器94がOFFになったときには、単票紙Sの先端はTOFレバー33の位置を通過しており、TOF検出器93はONになっている。
次にステップS8に進み、TOF検出器93がOFFになったか否か、即ち、単票紙Sの先端がTOFレバー33の位置に到達したか否かを判定する(図9(d)参照)。ところで、上記したように、給紙装置6の底面カバー66は、用紙搬送路5の延長面より鉛直方向の上側に位置している。そのため、ステップS7で、単票紙Sを用紙搬送方向の逆方向に搬送し、図9(c)に示した位置から図9(d)に示した位置まで移動するとき、単票紙Sの終端は、給紙装置6の中に戻ることはなく、開口79の方に侵入する。
TOF検出器93がONのまま(ステップS8でNO)の場合には、ステップS7のメイン用紙搬送ローラ23による単票紙Sの逆方向搬送を継続する。TOF検出器93がOFFになった(ステップS8でYES)場合には、次にステップS9に進む。ステップS9で、単票紙Sの先端がTOFレバー33の位置から印刷開始位置に移動するように、TOF検出器93がOFFとなってからの用紙の移動距離を計測しながら、単票紙Sを用紙搬送方向の逆方向に搬送する。
次にステップS10に進み、所定の量、即ち単票紙Sの先端がTOFレバー33の位置から印刷開始位置に移動する距離だけ搬送したか否かを判定する。所定量の搬送が行われていない(ステップS10でNO)場合には、ステップS9のメイン用紙搬送ローラ23による単票紙Sの逆方向搬送を継続する。
上記したように、用紙の移動距離は、例えば、用紙搬送モータ83の回転数(回転角度)を計測することによって計測する。また、用紙の移動距離は、例えば、用紙搬送モータ83がスッテップモータである場合には、用紙搬送モータ83に印加するステップパルス数を計測することによって計測する。
なお、上記したようにTOF検出器93がOFFとなるタイミングは、用紙がTOFレバー33から外れるタイミングである。用紙が用紙逆方向搬送されている状態で用紙がTOFレバー33から外れたときは、用紙の先端(用紙が搬送されてゆく方向の用紙端)が、TOFレバー33から丁度外れた位置にある。TOF検出器93がOFFとなってから、TOFレバー33と、単票紙Sが印刷開始位置にある場合の単票紙Sの先端との距離だけ、単票紙Sを逆方向に搬送することによって、単票紙Sの先端を印刷開始位置に合わせることができる。従って、上記した所定の移動距離は、TOFレバー33から単票紙Sが印刷開始位置にあるときの単票紙Sの先端までの距離である。
所定量の搬送が行われた(ステップS10でYES)場合には、単票紙Sの先端がTOFレバー33の位置から印刷開始位置に移動しており(図9(e)参照)、頭出しが完了したと判断し、給紙頭出し作業を終了する。
この第1の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)一旦ONになったBOF検出器94がOFFになるまで、即ち、単票紙Sの終端がBOFレバー27の位置に到達するまで単票紙Sを搬送するため、単票紙Sの終端が確実に給紙装置6から外れるまで、単票紙Sを搬送することができる。
(2)単票紙Sの終端が確実に給紙装置6から外れるまで単票紙Sを搬送するために、プリンタ本体部1内の用紙搬送経路の上流側にあるBOF検出器94で、単票紙Sの終端を検出している。これによって、下流側で検出する場合に比べて、必要な搬送距離が短くなり、給紙頭出し時間が短縮できる。
(3)TOF検出器93がOFFとなってからの用紙の移動距離を計測しながら、単票紙Sを用紙搬送方向の逆方向に搬送し、所定の量、即ち単票紙Sの先端がTOFレバー33の位置から印刷開始位置に移動する距離だけ搬送するため、精度の良い頭出しができる。
(4)BOF検出器94がOFFになるまで搬送した単票紙Sを、TOF検出器93がOFFとなるのを検出することにより、単票紙Sの先端がTOFレバー33の位置に戻ったところを基準にして頭出しを行っている。そのため、単票紙Sの先端がBOF検出器94のところまで戻るまで逆方向に搬送することが不要で、搬送距離が短くなり、頭出し時間を短縮することができる。
(5)給紙装置6は、プリンタ本体部1に取り付けられた状態で、底面カバー66が用紙搬送路5の延長面近傍に位置している。給紙装置6が、プリンタ本体部1に取り付けられた状態で、背面側開口5bは、給紙装置6によって塞がれておらず、開口79が構成されているため、終端が給紙装置6から外れるまで搬送された単票紙Sが逆方向に搬送されたときに、給紙装置6に戻らないようにすることができる。
(6)インクジェットプリンタ10を通常に使用する場合、底面カバー66は、用紙搬送路5の延長面より地球の重力加速度方向の上側に位置している。そのため、用紙搬送路5から逆方向に搬送されてきた単票紙Sは、重力によって用紙搬送路5の延長面またはそれより下側に導かれて開口79に入り、給紙装置6には戻らないようにすることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る印刷装置の一実施形態であるインクジェットプリンタの第2の実施形態について説明する。本実施形態のインクジェットプリンタ10は、印刷装置としては第1の実施形態で説明したインクジェットプリンタ10と基本的に同一のものである。第1の実施形態とは異なる、給紙頭出し制御についてのみ説明する。
図10は、給紙頭出し過程を示すフローチャートであり、図11及び図12は、給紙頭出し過程における単票紙の位置関係を示す模式断面図である。
図11(a)及び図12(a)は、単票紙S又は第2単票紙2Sが給紙装置6に積載されている状態を示しており、図3及び図6に示した要部のみを模式的表している。第2単票紙2Sは、プリンタ本体部1に供給されて、その先端がTOFレバー33に達したときには、その終端が給紙装置6から外れているような、長さが短い用紙である。
ホストコンピュータ48からインクジェットプリンタ10へ印刷指令が送られると、給紙の前に、図10のステップS21で、給紙する用紙の搬送方向の長さがプリンタ制御装置51に入力される。用紙の長さは、例えば、ホストコンピュータ48から送られてくる印刷データに含まれる印刷用紙サイズのデータから得ることができる。
次にステップS22に進み、入力された用紙の長さが一定の長さ以上であるか否かを判定する。ここで、一定の長さは、その用紙の先端がTOFレバー33に達したときには、その終端が給紙装置6の底面カバー66から丁度外れるような長さである。
用紙が、第1の実施形態に記載した単票紙Sのような一定の長さより長い場合、ステップS22でYESとなり、ステップS31に進む。ステップS31で、給紙装置6からプリンタ本体部1へ単票紙Sが給紙される。
次にステップS32に進み、BOF検出器94がON(用紙有り)になったか否か、即ち、単票紙Sの先端がBOFレバー27の位置に到達したか否かを判定する。BOF検出器94がOFF(用紙なし)のまま(ステップS32でNO)の場合には、ステップS31の給紙ローラ78による単票紙Sの搬送を継続する。
BOF検出器94がON(用紙有り)になった(ステップS32でYES)場合には、次にステップS33に進み、単票紙Sの先端がメイン用紙搬送ローラ23に達するまで、給紙ローラ78によって単票紙Sを搬送する(図11(b)参照)。
次にステップS34に進み、給紙ローラ78をOFFさせる。即ち、単票紙Sから給紙ローラ78を乖離させて、単票紙Sが給紙ローラ78から力を作用させられないようにする。より詳細には、給紙ローラユニット72の軸73aを給紙時と反対方向に回転駆動することにより、給紙ローラユニット72を上面カバー70側に回動させて、給紙ローラ78を単票紙Sの表面から乖離させる。
次にステップS35に進み、メイン用紙搬送ローラ23で単票紙Sを用紙搬送方向の順方向(用紙排出方向)に搬送する。
次にステップS36に進み、BOF検出器94がONになってから、単票紙Sを所定量送ったか否かを判定する(図11(c)参照)。ここで、所定量とは所定の搬送長さ(距離)であって、単票紙Sの長さからBOFレバー27と給紙装置6の底面カバー66の端面との距離を減じた長さである。単票紙Sの先端がBOFレバー27の位置に達してBOF検出器94がONになったとき、単票紙Sの終端側は、単票紙Sの長さからBOFレバー27と給紙装置6の底面カバー66の端面との距離を減じた長さ即ち上記した所定量だけ、給紙装置6の中に残っている。従って、BOF検出器94がONになってから、単票紙Sを所定量搬送すると、単票紙Sの終端が給紙装置6から外れるようにすることができる。単票紙Sが所定量搬送されていない(ステップS36でNO)の場合には、ステップS35のメイン用紙搬送ローラ23による単票紙Sの搬送を継続する。
単票紙Sが所定量搬送された(ステップS36でYES)場合には、次にステップS37に進み、単票紙Sを用紙搬送方向の逆方向(用紙排出方向の反対方向)に搬送する。ところで、上記したように、給紙装置6の底面カバー66は、用紙搬送路5の延長面より地球の重力加速度方向の上側に位置している。そのため、ステップS37で、単票紙Sを用紙搬送方向の逆方向に搬送し、図11(c)に示した位置から図11(d)に示した位置まで移動するとき、単票紙Sの終端は、給紙装置6の中に戻ることはなく、開口79の方に侵入する。
次にステップS38に進み、単票紙Sを逆方向に所定量を搬送したか否かを判定する。ここで、所定量とは所定の搬送長さ(距離)であって、ステップS36における所定量である、単票紙Sの長さからBOFレバー27と給紙装置6の底面カバー66の端面との距離を減じた長さから、更に、BOFレバー27と単票紙Sが印刷開始位置にあるときの単票紙Sの先端の位置との距離を減じた長さである。即ち、単票紙Sの終端が給紙装置6から外れるように搬送することによって、単票紙Sの先端が印刷開始位置を越えて搬送された距離を戻して、頭出しする搬送距離である。単票紙Sが所定量逆方向に搬送されていない(ステップS38でNO)の場合には、ステップS37のメイン用紙搬送ローラ23による単票紙Sの逆方向搬送を継続する。
所定量の逆方向搬送が行われた(ステップS38でYES)場合には、単票紙Sの先端が印刷開始位置に移動しており(図11(d)参照)、頭出しが完了したと判断し、給紙頭出し作業を終了する。
用紙が、図12(a)に記載した第2単票紙2Sのように一定の長さより短い場合、ステップS22でNOとなり、ステップS41に進む。ステップS41で、給紙装置6からプリンタ本体部1へ第2単票紙2Sが給紙される。上記したように、第2単票紙2Sは、プリンタ本体部1に供給されて、その先端がTOFレバー33に達したときには、その終端が給紙装置6から外れているような、長さが短い用紙である(図12(c)参照)。
次にステップS42に進み、BOF検出器94がON(用紙有り)になったか否か、即ち、第2単票紙2Sの先端がBOFレバー27の位置に到達したか否かを判定する(図12(b)参照)。BOF検出器94がOFF(用紙なし)のまま(ステップS42でNO)の場合には、ステップS41の給紙ローラ78による第2単票紙2Sの搬送を継続する。
BOF検出器94がON(用紙有り)になった(ステップS42でYES)場合には、次にステップS43に進み、第2単票紙2Sの先端がメイン用紙搬送ローラ23に達するまで、給紙ローラ78によって第2単票紙2Sを搬送する。
次にステップS44に進み、給紙ローラ78をOFFさせる。即ち、第2単票紙2Sから給紙ローラ78を乖離させて、第2単票紙2Sが給紙ローラ78から力を作用させられないようにする。
次にステップS45に進み、メイン用紙搬送ローラ23で第2単票紙2Sを用紙搬送方向の順方向(用紙排出方向)に搬送する。
次にステップS46に進み、TOF検出器93がONになったか否か、即ち、第2単票紙2Sの先端がTOFレバー33の位置に到達したか否かを判定する(図12(c)参照)。TOF検出器93がOFFのまま(ステップS46でNO)の場合には、ステップS45のメイン用紙搬送ローラ23による第2単票紙2Sの搬送を継続する。
TOF検出器93がONになった(ステップS46でYES)場合には、次にステップS47に進む。上記したように、第2単票紙2Sは、その先端がTOFレバー33に達したときには、その終端が給紙装置6から外れているような、長さが短い用紙であり、ステップS46でYESとなったときには、第2単票紙2Sの終端が給紙装置6から外れている。
ステップS47で、第2単票紙2Sの先端がTOFレバー33の位置から印刷開始位置に移動するように、TOF検出器93がONとなってからの用紙の移動距離を計測しながら、第2単票紙2Sを用紙搬送方向の逆方向に搬送する。ところで、上記したように、給紙装置6の底面カバー66は、用紙搬送路5の延長面より地球の重力加速度方向の上側に位置している。そのため、ステップS47で、単票紙Sを用紙搬送方向の逆方向に搬送し、図12(c)に示した位置から図12(d)に示した位置まで移動するとき、単票紙Sの終端は、給紙装置6の中に戻ることはなく、開口79の方に侵入する。
次にステップS48に進み、所定の量、即ち第2単票紙2Sの先端がTOFレバー33の位置から印刷開始位置に移動する距離だけ逆搬送したか否かを判定する。所定量の逆搬送が行われていない(ステップS48でNO)場合には、ステップS47のメイン用紙搬送ローラ23による第2単票紙2Sの逆方向搬送を継続する。
所定量の搬送が行われた(ステップS48でYES)場合には、第2単票紙2Sの先端がTOFレバー33の位置から印刷開始位置に移動しており(図12(d)参照)、頭出しが完了したと判断し、給紙頭出し作業を終了する。
ところで、用紙が、図12(e)に記載した第3単票紙3Sのような短い用紙の場合には、図10に示したステップS41からステップS48までの各ステップを、さらに簡略にすることができる。図12(e)に示すように、第3単票紙3Sの長さは、第2単票紙2S(図12(d)参照)よりさらに短く、第3単票紙3Sが印刷開始位置にセットされたとき、その終端が給紙装置6から外れているような長さである。
第3単票紙3Sのような短い用紙の場合には、ステップS45からステップS48までの各ステップの代りに、ステップS35及びステップS36の各ステップを実施すればよい。但し、この場合の所定の搬送量は、メイン用紙搬送ローラ23と、単票紙Sが印刷開始位置にあるときの単票紙Sの先端の位置との距離である。
この第2の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)単票紙の搬送方向の長さをインプットし、単票紙の長さに対応して、単票紙の終端が給紙装置6から外れるまで搬送する方法を選択できるため、より効率の良い方法で単票紙の供給及び頭出しを実施することができる。
(2)単票紙の搬送方向の長さをインプットすることにより、BOF検出器94がONになってから、単票紙Sの長さからBOFレバー27と給紙装置6の底面カバー66の端面との距離を減じた長さだけ搬送することで、単票紙Sの終端が給紙装置6から外れるようにすることができる。このことによって、搬送する距離をBOFレバー27と給紙装置6の底面カバー66の端面との距離だけ短くすることができ、搬送時間を短縮でき、より効率的に給紙を行うことができる。
(3)単票紙の搬送方向の長さをインプットし、BOF検出器94がONになってから、単票紙Sの長さからBOFレバー27と給紙装置6の底面カバー66の端面との距離を減じた所定長さだけ搬送し、次に、その所定長さから、BOFレバー27から印刷開始位置にある単票紙Sの先端までの距離を減じた長さだけ逆方向に搬送している。従って、逆方向の搬送距離が短くなり、頭出しに要する時間を短縮することができる。
(4)単票紙の搬送方向の長さをインプットし、その先端がTOFレバー33に達したときには、その終端が給紙装置6から外れているような、短い用紙である第2単票紙2Sの場合には、TOF検出器93で先端を検出することによって、終端が給紙装置6から外れたことを検出している。そのため、終端がBOF検出器94で検出されるまで搬送することが不要となり、搬送距離を短くすることができ、搬送時間を短縮でき、より効率的に給紙を行うことができる。また、逆方向の搬送距離も短くなり、頭出しに要する時間を短縮することができる。
(5)単票紙の搬送方向の長さをインプットし、その先端が印刷開始位置にセットされたとき、その終端が給紙装置6から外れているような短い用紙である第3単票紙3Sの場合には、BOF検出器94がONになってから、BOFレバー27と印刷開始位置にある単票紙Sの先端との距離を搬送することによって、頭出しをすることができる。そのため、先端がTOF検出器93で検出されるまで搬送することも不要となり、搬送距離を短くすることができ、搬送時間を短縮でき、より効率的に給紙を行うことができる。また、逆方向の搬送距離も短くなり、頭出しに要する時間を短縮することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る印刷装置の一実施形態であるインクジェットプリンタの第3の実施形態について説明する。本実施形態のインクジェットプリンタ10は、印刷装置としては第1の実施形態で説明したインクジェットプリンタ10と基本的に同一のものである。第1の実施形態とは異なる、給紙頭出し制御についてのみ説明する。
図13は、給紙頭出し過程を示すフローチャートである。本実施形態の給紙頭出し過程における単票紙の位置関係は、基本的に第1の実施形態と同様であり、単票紙の位置関係については、図9を参照して説明する。ホストコンピュータ48からインクジェットプリンタ10へ給紙指令が送られると、図13のステップS51で、給紙装置6からプリンタ本体部1へ単票紙Sが給紙される。
次にステップS52に進み、BOF検出器94がON(用紙有り)になったか否か、即ち、単票紙Sの先端がBOFレバー27の位置に到達したか否かを判定する。BOF検出器94がOFF(用紙なし)のまま(ステップS52でNO)の場合には、ステップS51の給紙ローラ78による単票紙Sの搬送を継続する。
BOF検出器94がON(用紙有り)になった(ステップS52でYES)場合には、次にステップS53に進み、単票紙Sの先端がメイン用紙搬送ローラ23に達するまで、給紙ローラ78によって単票紙Sを搬送する(図9(b)参照)。
次にステップS54に進み、給紙ローラ78をOFFさせる。即ち、単票紙Sから給紙ローラ78を乖離させて、単票紙Sが給紙ローラ78から力を作用させられないようにする。
次にステップS55に進み、メイン用紙搬送ローラ23で単票紙Sを用紙搬送方向の順方向(用紙排出方向)に搬送する。
次にステップS56に進み、BOF検出器94がOFFになったか否か、即ち、単票紙Sの終端がBOFレバー27の位置に到達したか否かを判定する(図9(c)参照)。BOF検出器94がONのまま(ステップS56でNO)の場合には、ステップS55のメイン用紙搬送ローラ23による単票紙Sの搬送を継続する。
BOF検出器94がOFFになった(ステップS56でYES)場合には、次にステップS57に進み、単票紙Sを用紙搬送方向の逆方向(用紙排出方向の反対方向)に搬送する。ところで、上記したように、給紙装置6の底面カバー66は、用紙搬送路5の延長面より地球の重力加速度方向の上側に位置している。そのため、ステップS57で、単票紙Sを用紙搬送方向の逆方向に搬送し、図9(c)に示した位置から図9(d)に示した位置まで移動するとき、単票紙Sの終端は、給紙装置6の中に戻ることはなく、開口79の方に侵入する。
次にステップS58に進み、単票紙Sを逆方向に所定量を搬送したか否かを判定する。ここで、所定量とは所定の搬送長さ(距離)であって、BOF検出器94がONになってからOFFになるまでに搬送した距離から、BOFレバー27と、単票紙Sが印刷開始位置にあるときの単票紙Sの先端の位置との距離を減じた長さである。即ち、単票紙Sの終端が給紙装置6から外れるように搬送することによって、単票紙Sの先端が印刷開始位置を越えて搬送された距離を戻して、頭出しする搬送距離である。単票紙Sが所定量逆方向に搬送されていない(ステップS58でNO)の場合には、ステップS57のメイン用紙搬送ローラ23による単票紙Sの逆方向搬送を継続する。
所定量の逆方向搬送が行われた(ステップS58でYES)場合には、単票紙Sの先端が印刷開始位置に移動しており(図9(e)参照)、頭出しが完了したと判断し、給紙頭出し作業を終了する。
この第3の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)一旦ONになったBOF検出器94がOFFになるまで、即ち、単票紙Sの終端がBOFレバー27の位置に到達するまで単票紙Sを搬送するため、単票紙Sの終端が確実に給紙装置6から外れるまで、単票紙Sを搬送することができる。
(2)BOF検出器94で単票紙Sの先端および終端を検出し、先端および終端を検出する間の搬送量を計測しているため、給紙された単票紙Sの長さを実測した長さ情報を得ることができる。
(3)BOF検出器94で単票紙Sの先端および終端を検出し、先端および終端を検出する間の搬送量を計測して単票紙Sの長さを実測し、BOF検出器94がOFFとなってからの用紙の移動距離を計測しながら、単票紙Sを用紙搬送方向の逆方向に搬送し、単票紙Sの先端が印刷開始位置を越えて搬送された距離を戻して、頭出しを実施するため、精度の良い頭出しができる。
(4)BOF検出器94で単票紙Sの先端および終端を検出し、その位置を基準に給紙位置や頭出し位置まで単票紙Sを搬送するため、使用する検出器は1個にすることができる。
本発明の実施形態は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
(変形例1) 第2の実施形態におけるステップS31からステップS38の各ステップの代りに、第1の実施形態におけるステップS1からステップS10の各ステップを実施してもよい。また、第2の実施形態におけるステップS31からステップS38の各ステップの代りに、第3の実施形態におけるステップS51からステップS58の各ステップを実施してもよい。
(変形例2) 第2の実施形態において、使用する用紙の長さが一定に定まっている場合には、用紙長さを入力することは不要であり、定まっている用紙長さに対応して、適切な給紙頭出し方法を実施すればよい。
(変形例3) 第2の実施形態において、用紙の長さは、例えば、ホストコンピュータ48から送られてくる印刷データに含まれる印刷用紙サイズのデータから得ていたが、用紙サイズ別にそのサイズ専用の用紙カセットを設け、装着されたカセットを判別することによって、用紙の長さ情報を入力してもよい。また、給紙装置6に用紙を検出するセンサを設け、このセンサの検出結果から用紙の長さを取得してもよい。さらに、操作スイッチを選択操作して、用紙サイズを入力してもよい。
(変形例4) 第2の実施形態において、用紙長さが長くない場合、ステップS41からステップS48の各ステップを実施して、頭出しを行っていたが、代りに、ステップS31からステップS38の各ステップを実施して頭出しを行ってもよい。ステップS41からステップS48の各ステップを実施した場合、先端位置が検出されてから、印刷開始位置まで移動する方向が1方向であり、頭出しの位置精度が向上する。一方、ステップS31からステップS38の各ステップを実施した場合は、給紙頭出しに関る搬送距離が短縮でき、給紙頭出し時間を短縮でき、効率的に行うことができる。印刷する用紙に要求される特性に応じて、最も適当な給紙頭出し方法を選択することができる。
(変形例5) 前記各実施形態では、給紙される用紙が摩擦で次用紙を押し上げる場合も対処したが、頭出しのために逆搬送した用紙の終端が次用紙の先端に当接して押し上げ、次用紙の先端が給紙ローラ78から外れるまで押し上げられるような長さの用紙のときのみ、その終端が給紙装置6から外れるまで搬送させる構成とすることができる。このときの用紙長さの判定は、前記実施形態または変形例3に記載した方法を採用する。
(変形例6) 上記した実施形態においては、シート状の印刷媒体は用紙であったが、印刷媒体は用紙に限らず、印刷装置に装着できるものであればよい。
(変形例7) 上記した実施形態においては、用紙検出は検出レバーが直接用紙に接触するものであったが、フォトインタラプタの光路を用紙が直接遮る方式など、非接触方式のものでもよい。非接触方式の用紙検出器を使用することによって、用紙の厚さ方向の位置が安定していなくても正確な用紙有無検出ができる。
(変形例8) 上記した実施形態においては、印刷装置はインクジェット方式のヘッドを有するインクジェットプリンタであったが、印刷方式はドットインパクト方式など、他の印刷方式であってもよい。
上記した実施の形態および変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(技術的思想1)前記印刷装置の印刷ヘッドより前記印刷媒体の搬送方向の下流側に前記検出器を設け、前記供給制御手段は、前記検出器が前記印刷媒体の先端を検出する位置まで前記印刷媒体を搬送させることによって、前記自動給紙装置の給紙経路から外れる位置まで前記印刷媒体を搬送させ、前記頭出し制御手段は、前記検出器が前記印刷媒体の先端を検出した位置から、前記検出器と頭出し位置との距離だけ当該印刷媒体を排出方向と逆方向に搬送させて頭出しを行う、請求項3,4及び5のいずれか1項に記載の印刷装置。
この構成によれば、給紙経路から外れる位置まで前記印刷媒体を搬送するために、下流側に設けた検出器で印刷媒体の先端を検出するまで搬送するため、より長い印刷媒体に対して、印刷媒体の先端を検出するまで搬送することによって給紙経路から外れる位置まで前記印刷媒体を搬送する方法を適用することができる。また、給紙終了位置と頭出しの基準とする位置とが同一であり、給紙が完了した位置から頭出し動作を開始できるため、先端を検出するまで印刷媒体を搬送することは不要で、頭出しのための搬送距離をより短くすることができ、頭出しに要する時間を短縮することができる。
(技術的思想2)前記印刷装置の印刷ヘッドより前記印刷媒体の搬送方向の上流側に前記検出器を設け、前記供給制御手段は、前記検出器が前記印刷媒体の終端を検出する位置まで前記印刷媒体を搬送させることによって、前記自動給紙装置の給紙経路から外れる位置まで前記印刷媒体を搬送させ、前記頭出し制御手段は、前記検出器が前記印刷媒体の先端を検出した位置から、前記検出器と頭出し位置との距離だけ当該印刷媒体を排出方向または/及び逆方向に搬送させて頭出しを行う、請求項2,4及び5のいずれか1項に記載の印刷装置。
この構成によれば、上流側に設けた検出器で印刷媒体の終端を検出する過程で先端を検出することができるため、給紙された単票紙Sの長さを実測した長さ情報を得ることができる。
(技術的思想3) 印刷を実行する印刷部と、前記印刷部にシート状の印刷媒体を供給する自動給紙装置とを備え、前記印刷部には、前記印刷媒体が搬送される媒体搬送経路が形成されている印刷装置であって、前記媒体搬送経路の媒体入口は、前記自動給紙装置の給紙経路及び印刷媒体を供給可能な開口部に連通しており、前記印刷媒体が、前記給紙経路から前記印刷媒体の終端が外れるまで搬送された後、媒体搬送方向の逆方向に搬送されるとき、前記印刷媒体が前記自動給紙装置の前記給紙経路に侵入することを阻止する構成を備えた印刷装置。
この構成によれば、逆方向に搬送された供給印刷媒体の終端が、自動給紙装置の給紙経路に入ることを阻止されるため、供給印刷媒体が次媒体を押して移動させる可能性が小さくなり、印刷媒体を逆方向に搬送することに起因する重送の発生を抑制することができる。
(技術的思想4) 技術的思想3に記載の印刷装置であって、前記媒体搬送経路は、印刷媒体が略水平に搬送されるような形状に形成されており、前記開口部は、前記媒体搬送経路の略延長線上に設けられており、前記給紙経路と前記開口部とを隔てる隔壁部材は、前記媒体搬送経路の略延長線より重力加速度方向の上方に設けられている印刷装置。
この構成によれば、逆方向に搬送された供給印刷媒体の終端は、媒体搬送経路の略延長線上に設けられた開口部に入り、媒体搬送経路の略延長線より重力加速度方向の上方に設けられている隔壁部材の上方の給紙経路に入る可能性は極めて小さい。従って、逆方向に搬送された供給印刷媒体の終端が、自動給紙装置の給紙経路に入ることを阻止されるため、供給印刷媒体が次媒体を押して移動させる可能性が小さくなり、印刷媒体を逆方向に搬送することに起因する重送の発生を抑制することができる。
1…プリンタ本体部、5…用紙搬送路、5a…正面側開口、5b…背面側開口、5c…側面側開口、6…給紙装置、10…インクジェットプリンタ、19a…スリット、19b…溝、21…プラテン、22…用紙ガイド、23…メイン用紙搬送ローラ、24…ローラ、25…キャリッジ、27…BOFレバー、28…ガイドプレート、33…TOFレバー、34…サブ用紙搬送ローラ、34a…回転軸、35…制御基板、48…ホストコンピュータ、48f…インタフェイス、51…プリンタ制御装置、52…CPU、53…RAM、54…ROM、60a…開口、60b…開口、61…下部ケース、62…正面カバー、63…側面カバー、65…背面カバー、66…底面カバー、66a…傾斜片、67…係合突起、68…用紙保持プレート、69…用紙サイズ規定部材、70…上面カバー、72…給紙ローラユニット、78…給紙ローラ、79…開口、81…データバス、83…用紙搬送モータ、83d…用紙搬送モータドライバ、84…ヘッド、84d…ヘッドドライバ、86…給紙モータ、86d…給紙モータドライバ、93…検出器及び第2検出器としてのTOF検出器、94…検出器及び第1検出器としてのBOF検出器、S…単票紙、2S…第2単票紙、3S…第3単票紙。