JP2005246450A - レーザ加工方法及びレーザ加工装置並びに強度調節器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 加工対象物の表面の、相互に重なる少なくとも2つの領域にレーザビームを照射して、加工品質を劣化させることなく加工を行うことができるレーザ加工方法を提供する。
【解決手段】 加工対象物の表面に相互に重なりを有する第1と第2の領域が画定されている。第1の領域のうち、第2の領域と重ならない領域には、凹部が形成できる閾値以上の第1のパワー密度でレーザビームを照射し、第2の領域と重なる領域には、閾値以上で第1のパワー密度より低い第2のパワー密度でレーザビームを照射して、第1の領域に凹部を形成する。第2の領域のうち、第1の領域と重ならない領域には、閾値以上の第3のパワー密度でレーザビームを照射し、第1の領域と重なる領域には、閾値以上で第3のパワー密度より低い第4のパワー密度でレーザビームを照射して、第2の領域に凹部を形成する。
【選択図】 図3(A)
【解決手段】 加工対象物の表面に相互に重なりを有する第1と第2の領域が画定されている。第1の領域のうち、第2の領域と重ならない領域には、凹部が形成できる閾値以上の第1のパワー密度でレーザビームを照射し、第2の領域と重なる領域には、閾値以上で第1のパワー密度より低い第2のパワー密度でレーザビームを照射して、第1の領域に凹部を形成する。第2の領域のうち、第1の領域と重ならない領域には、閾値以上の第3のパワー密度でレーザビームを照射し、第1の領域と重なる領域には、閾値以上で第3のパワー密度より低い第4のパワー密度でレーザビームを照射して、第2の領域に凹部を形成する。
【選択図】 図3(A)
Description
本発明は、レーザ加工方法及びレーザ加工装置に関し、特にレーザビームの強度を調節して加工対象物に照射するレーザ加工方法及びレーザ加工装置に関する。本発明はまた、レーザビームの強度を調節する強度調節器に関する。
樹脂や金属等からなる加工対象物の表面に、レーザビームを照射して、溝を形成する加工が広く行われている。
図6(A)に、表面に複数の溝が形成された加工対象物の一例の平面図を示す。加工対象物の表面に、複数の横方向の溝と、複数の縦方向の溝とが、網目状のパタンを成して形成されている。破線で囲まれた領域100の内部においては、2本の溝が交差して、十字形の開口を持つ凹部が形成されている。
図6(B)及び図6(C)を参照して、図6(A)の領域100に示したような十字形の凹部を形成するために、従来行われてきた方法について説明する。
図6(B)に示すように、加工対象物の表面上に、XY座標が画定されており、長さ方向がX軸に平行な線状の被加工領域101aが画定されている。レーザビームの入射位置が、被加工領域101aの長さ方向の一端から他端まで移動するように、レーザビームを照射しながら、被加工領域101aに溝を形成する。被加工領域101aに照射するレーザビームの、加工対象物表面におけるパワー密度は、長さ方向(X方向)の位置に依らず一定の値Pである。
図6(C)に示すように、加工対象物の表面上に、被加工領域101aと交差するように、長さ方向がY軸に平行な線状の被加工領域101bが画定されている。被加工領域101a及び101bにより、加工対象物の表面上に十字形の領域が画定される。被加工領域101aに溝を形成した後、レーザビームの入射位置が、被加工領域101bの長さ方向の一端から他端まで移動するように、レーザビームを照射しながら、被加工領域101bに溝を形成する。被加工領域101bに照射するレーザビームのパワー密度は、長さ方向(Y方向)の位置に依らず一定の値Pである。
このように、被加工領域101a及び101bに、それぞれパワー密度Pでレーザ照射を行って溝を形成することにより、加工対象物の表面に十字形の凹部が形成される。このような加工方法は、例えば特許文献1に開示されている。
図6(B)及び図6(C)を参照して説明した十字形の凹部の加工方法では、十字形を画定する2つの被加工領域101aと101bとの重なりの領域に、等しいパワー密度Pで2回レーザが照射される。したがって、この重なりの領域に照射されるレーザビームのエネルギ密度が、十字形の凹部内の他の領域のそれの2倍になる。形成された十字形の凹部は、この重なりの領域で深くなるので、均一な深さにならない。
ところで、基板表面上に転写層が形成された加工対象物の表面にレーザビームを照射することにより、転写層を基板表面に接着させる加工がある。レーザ照射により接着された領域以外の転写層を剥離すると、基板表面上に、接着された転写層からなる凸部を残すことができる。このような加工対象物の表面に、接着された転写層からなる十字形の凸部を形成したい要望がある。
このような加工対象物の表面に画定された十字形の領域に対して、上記で十字形の凹部を形成したように、レーザ照射を行うことを考える。2本の線状領域が重なる領域(十字形の中心領域)に照射されるレーザビームのエネルギ密度が、十字形の中心以外の領域のそれの2倍になる。すると、十字形の中心領域と、それ以外の領域との間で、加工品質がばらつく。
本発明の一目的は、加工対象物の表面の、相互に重なる少なくとも2つの領域にレーザビームを照射して、加工品質を劣化させることなく加工を行うことができるレーザ加工方法を提供することである。
本発明の他の目的は、上記レーザ加工方法に適用可能な強度調節器及びレーザ加工装置を提供することである。
本発明の一観点によると、表面に相互に重なりを有する第1の領域と第2の領域とが画定された加工対象物の該第1の領域のうち、該第2の領域と重ならない領域には、該加工対象物に凹部を形成するための閾値以上の第1のパワー密度でレーザビームを照射し、該第2の領域と重なった領域には、該閾値以上で該第1のパワー密度より低い第2のパワー密度でレーザビームを照射して、該第1の領域に凹部を形成する工程と、前記第2の領域のうち、前記第1の領域と重ならない領域には、前記閾値以上の第3のパワー密度でレーザビームを照射し、前記第1の領域と重なった領域には、前記閾値以上で該第3のパワー密度より低い第4のパワー密度でレーザビームを照射して、前記第2の領域に凹部を形成する工程とを有するレーザ加工方法が提供される。
本発明の他の観点によると、表面に相互に重なりを有する第1の領域と第2の領域とが画定された加工対象物の該第1の領域のうち、該第2の領域と重ならない領域には、該加工対象物に凹部を形成するための閾値以上の第1のパワー密度でレーザビームを照射し、該第2の領域と重なった領域には、該閾値より低い第2のパワー密度でレーザビームを照射して、該第1の領域の該第2の領域と重ならない領域に凹部を形成する工程と、前記第2の領域のうち、前記第1の領域と重ならない領域には、前記閾値以上の第3のパワー密度でレーザビームを照射し、前記第1の領域と重なった領域には、前記閾値以上の第4のパワー密度でレーザビームを照射して、前記第2の領域に凹部を形成する工程とを有するレーザ加工方法が提供される。
本発明の他の観点によると、(a)基板表面上に形成された転写層の第1の領域に、該転写層を該基板表面に接着させることができる下限のパワー密度である第1の閾値以上のパワー密度でレーザビームを照射することによって、該転写層を該基板表面に接着させる工程と、(b)前記工程(a)の後に、前記第1の領域と部分的に重なる第2の領域にレーザビームを照射して、前記転写層を前記基板表面に接着する工程であって、前記第1の領域と重ならない領域には、前記第1の閾値以上のパワー密度でレーザビームを照射し、該第1の領域と重なった領域には、前記工程(a)で、該基板表面に接着された転写層が除去される下限のパワー密度である第2の閾値より低いパワー密度でレーザビームを照射する工程と
を有するレーザ加工方法が提供される。
を有するレーザ加工方法が提供される。
本発明の他の観点によると、外部から入射したレーザビームを、第1の偏光成分のみを有する第1のレーザビームと、該第1の偏光成分に直交する第2の偏光成分のみを有する第2のレーザビームとに分ける分岐器と、前記分岐器から出射した第1のレーザビームの前記第1の偏光成分の強度を変化させる第1の変調器と、前記分岐器から出射した第2のレーザビームの前記第2の偏光成分の強度を変化させる第2の変調器と、前記第1の変調器から出射した第1のレーザビームの前記第1の偏光成分と、前記第2の変調器から出射した第2のレーザビームの前記第2の偏光成分とを同一光軸上に重ね合わせる合成器とを有する強度調節器が提供される。
加工対象物の表面の、相互に重なる少なくとも2つの領域にレーザビームを照射するとき、領域同士が相互に重なった部分と、領域同士が相互に重ならない部分とで、照射するレーザのパワー密度を適宜異ならせる。これにより、領域同士が相互に重なった部分と、領域同士が相互に重ならない部分との間で、加工品質がばらつくことを抑制できる。
入射したレーザビームを、互いに直交する偏光成分に分け、各々の偏光成分について、強度調節を行う。これにより、入射したレーザビームが、単一の偏光成分を含むものでなくても、良好に強度調節が行える。
図1(A)は、本発明の実施例によるレーザ加工方法を行うためのレーザ加工装置の概略図を示す。レーザ光源1が、連続波レーザビームを出射する。レーザ光源1として、例えば、YAGレーザや半導体レーザ等を用いることができる。レーザ光源1から出射したレーザビームは、レーザビームの強度を調節する強度調節器2に入射する。制御装置7が、レーザビームの強度を所望のタイミングで所望の大きさにするように、強度調節器2を制御する。強度調節器2については、後に図2(A)及び図2(B)を参照して詳しく説明する。
強度調節器2を出射したレーザビームは、折り返しミラー3で反射され、レンズ4で収束されて、加工対象物5に入射する。加工対象物5は、例えば、樹脂層や金属層を含む。レーザ照射により、このような加工対象物5の表面を削って、加工対象物5の表面に溝や穴等の凹部を形成することができる。
XYステージ6が、加工対象物5を保持している。XYステージ6が、加工対象物5を、加工対象物5の表面に平行な面内で移動させることにより、被加工面上のレーザビームの入射位置が移動する。制御装置7が、XYステージ6を制御する。
図1(A)に示したレーザ加工装置は、樹脂層や金属層等の表面を削ることにより凹部を形成する以外の加工を行うこともできる。例えば、図1(B)に示すような加工対象物に、以下に説明するような加工を行うことができる。
図1(B)に示す加工対象物5は、例えばガラスからなる基板30と、基板30の表面上に形成された転写層31とを含んで構成されている。転写層31は、例えばポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を含んで構成され、加工閾値以上のパワー密度でのレーザ照射により加熱されることで、基板30の表面に接着される性質を有する。転写層31は、感光性樹脂を含んで構成されるものであってもよい。
例えば転写層31の一部31aを、レーザ照射により加熱すると、転写層31の一部31aが変質して基板30に接着される。転写層31のうちレーザが照射されなかった部分31bを剥離すると、基板30の表面上に変質した部分31aのみが凸部として残る。
転写層31の所望の領域をレーザ照射により変質させることで、基板30の表面上に、転写層31からなる所望のパタンの凸部を形成する(接着して残す)ことができる。図1(A)に示したレーザ加工装置は、このような加工に用いることもできる。
なお、レーザ照射により基板30に接着された転写層31に、さらに、ある閾値以上のパワー密度でレーザが照射されると、接着された転写層31が削られてしまい、基板30上の凸部として残らない。
次に、図2(A)及び2(B)を参照して、図1(A)のレーザ加工装置が有する強度調節器2について説明する。図2(A)及び図2(B)は、強度調節器2の構成例を示す概略図である。
図2(A)に示す強度調節器2は、1つの電気光学素子11と、1つの偏光ビームスプリッタ12と、1つのダンパ13とを含んで構成される。レーザ光源1が出射するレーザビームは、偏光ビームスプリッタ12に対してP波となる直線偏光である。
レーザ光源1から出射したレーザビームが、ポッケルス効果を示す電気光学素子11に入射する。電気光学素子11は、入射したレーザビームの偏光状態を変化させることにより、P成分とS成分の強度比を変化させることができる。電気光学素子11から出射するP成分とS成分の比率は、以下に説明するように、電気光学素子11に印加する電圧の大きさに応じて変えられる。
電気光学素子11への印加電圧が0Vのとき、偏光状態は変化せず、P波が出射される。所定電圧(例えば10V)が印加されたとき、S成分のみを有する直線偏光(S波)が出射される。印加電圧が0Vと上記所定電圧との中間であるとき、電気光学素子11から出射するレーザビームは、P成分とS成分とを共に含む。
印加電圧を0Vから上記所定電圧まで増加させることにより、電気光学素子11から出射されるP成分の比率を100%から0%まで(S成分の比率を0%から100%まで)変化させることができる。電気光学素子11に電圧が印加されるタイミングや、印加電圧の大きさは、制御装置7が送出する制御信号に基づいて制御される。なお、電気光学素子11にS波が入射した場合も、P波が入射した場合と同様に、印加電圧に応じて、出射するレーザビームのP成分とS成分の強度比を変化させることができる。
電気光学素子11を出射したレーザビームは、偏光ビームスプリッタ12に入射する。偏光ビームスプリッタ12に入射したレーザビームのうちP成分は、偏光ビームスプリッタ12を透過し、図1(A)に示す折り返しミラー3とレンズ4とに順次入射した後、加工対象物5へ照射される。一方、偏光ビームスプリッタ12に入射したレーザビームのうちS成分は、偏光ビームスプリッタ12で反射され、レーザビームを吸収して光路の終端となるダンパ13に入射する。
電気光学素子11への印加電圧を変えて、電気光学素子11から出射するレーザビームが含むP成分の強度を変化させることにより、偏光ビームスプリッタ12を透過して加工対象物5に照射されるレーザビームの強度が調節される。
印加電圧が0Vのとき、レーザ光源1から出射したレーザビームのすべてが偏光ビームスプリッタ12を透過するので、加工対象物5に照射されるレーザビームの強度は最大となる。P波がS成分のみを有するS波に変換される印加電圧のとき、レーザ光源1から出射したレーザビームのすべてが偏光ビームスプリッタ12で反射されるので、加工対象物5にレーザビームが照射されなくなる。
なお、図2(A)に示した強度調節器2は、レーザ光源1から出射されるレーザビームが、偏光ビームスプリッタ12に対するS波である場合も、P波である場合と同様に、使用することができる。
しかし、レーザ光源1から出射されるレーザビームが、S成分とP成分とをともに含む場合は、電気光学素子11から出射されるレーザビームを、P成分のみを有するP波、または、S成分のみを有するS波とすることができない。したがって、このような場合、図2(A)に示した構成の強度調節器2では、レーザ光源1から出射したレーザビームすべてを加工対象物5に照射することや、加工対象物5にレーザビームが照射されないようにすることができない。
図2(B)に示す強度調節器2は、以下に説明するように、レーザ光源1から出射するレーザビームが、S成分とP成分とを含んでいる場合でも、強度調節を良好に行える。
図2(B)に示す強度調節器2は、2つの電気光学素子11a及び11bと、2つの偏光ビームスプリッタ12a及び12bと、1つのダンパ13aと、2枚の折り返しミラー14a及び14bとを含んで構成されている。レーザ光源1から出射するレーザビームは、偏光ビームスプリッタ12a及び12bに対するP成分とS成分とを含む。P成分とS成分との強度比は、例えば1対1である。
レーザ光源1から出射したレーザビームのP成分とS成分とは、偏光ビームスプリッタ12aに入射する。偏光ビームスプリッタ12aは、入射したP成分を透過させて、直線偏光であるP波を出射させるとともに、入射したS成分を反射し、P波とは異なる光軸に沿って、P波と直交する偏光面を持つ直線偏光であるS波を出射させる。
偏光ビームスプリッタ12aを出射したP波は、電気光学素子11aに入射する。電気光学素子11aへの印加電圧の大きさを変えて、電気光学素子11aから出射するP成分とS成分の比率を変化させることができる。電気光学素子11aに電圧が印加されるタイミングや、印加電圧の大きさは、制御装置7が送出する制御信号に基づいて制御される。
電気光学素子11aから出射したレーザビームは、偏光ビームスプリッタ12bの表側の面に、入射角45度で入射する。偏光ビームスプリッタ12bに入射したレーザビームのうちP成分は、偏光ビームスプリッタ12bを透過し、図1(A)に示す折り返しミラー3とレンズ4とに順次入射した後、加工対象物5に照射される。一方、偏光ビームスプリッタ12bに入射したレーザビームのうちS成分は、偏光ビームスプリッタ12bで反射され、ダンパ13aに入射する。
偏光ビームスプリッタ12aを出射したS波は、折り返しミラー14aで反射されて、電気光学素子11bに入射する。電気光学素子11bへの印加電圧の大きさを変えて、電気光学素子11bから出射するS成分とP成分の比率を変化させることができる。電気光学素子11bに電圧が印加されるタイミングや、印加電圧の大きさは、制御装置7が送出する制御信号に基づいて制御される。
電気光学素子11bから出射したレーザビームは、折り返しミラー14bで反射され、偏光ビームスプリッタ12bの裏側の面に、入射角45度で入射する。偏光ビームスプリッタ12bに入射したレーザビームのうちS成分は、偏光ビームスプリッタ12bで反射され、図1(A)に示す折り返しミラー3とレンズ4とに順次入射した後、加工対象物5に照射される。一方、偏光ビームスプリッタ12bに入射したレーザビームのうちP成分は、偏光ビームスプリッタ12bを透過し、ダンパ13aに入射する。
電気光学素子11aから出射して偏光ビームスプリッタ12bを透過したP波と、電気光学素子11bから出射して偏光ビームスプリッタ12bで反射されたS波とが、同一光軸上に重畳されるように、光路が調整されている。
電気光学素子11a及び11bへの印加電圧を変えて、電気光学素子11aから出射するレーザビームが含むP成分の強度及び電気光学素子11bから出射するレーザビームが含むS成分の強度を変化させることにより、偏光ビームスプリッタ12bを透過して加工対象物5に照射されるレーザビームの強度を変えることができる。
電気光学素子11a及び11bへの印加電圧の大きさと加工対象物5に照射されるレーザビームの強度には、以下に示すような関係がある。
電気光学素子11a及び11bへの印加電圧が共に0Vのとき、レーザ光源1から出射し、電気光学素子11aへ入射したP成分のすべてが偏光ビームスプリッタ12bを透過して加工対象物5に照射され、かつ、レーザ光源1から出射し、電気光学素子11bへ入射したS成分のすべてが偏光ビームスプリッタ12bで反射されて加工対象物5に照射されるので、レーザ光源1から出射したレーザビームのすべてが加工対象物5に照射される。よって、このとき、加工対象物5に照射されるレーザビームの強度は最大値を取る。
電気光学素子11aへの印加電圧が、電気光学素子11aに入射したP波をS波に変換する第1の電圧であり、かつ、電気光学素子11bへの印加電圧が、電気光学素子11bに入射したS波をP波に変換する第2の電圧であるとき、レーザ光源1から出射し、電気光学素子11aへ入射したP波が、S波に変換され偏光ビームスプリッタ12bで反射されてダンパ13aに入射し、かつ、レーザ光源1から出射し、電気光学素子11bへ入射したS波が、P波に変換され偏光ビームスプリッタ12bを透過してダンパ13aに入射する。よって、レーザ光源1から出射したレーザビームは、すべてダンパ13aに入射し、加工対象物5に照射されない。
電気光学素子11aへの印加電圧を、0Vから第1の電圧までの間で変化させるとともに、電気光学素子11bへの印加電圧を、0Vから第2の電圧までの間で変化させることにより、加工対象物5に照射されるレーザビームの強度を、ゼロから上記の最大値まで変化させることができる。
このように、図2(B)に示した強度調節器2は、レーザ光源1から出射するレーザビームが、S成分とP成分とを含んでいる場合でも、良好な強度調節を行える。電気光学素子の応答速度は速いので、μsオーダでの強度調節を行うことができる。なお、強度調節器2に入射するレーザビームは、S成分とP成分とを任意の強度比で含んでいて構わない。
なお、偏光ビームスプリッタ12bから出射し、ダンパ13aに入射するレーザビームの光路上に加工対象物を配置し、加工対象物5に入射するレーザビームの光路上にダンパを配置しても構わない(つまり、偏光ビームスプリッタ12bから出射する2本のレーザビームのうち、どちらを加工に用いても構わない)。
次に、図3(A)を参照して、本発明の第1の実施例によるレーザ加工方法について説明する。本実施例によるレーザ加工方法は、例えば樹脂層や金属層からなる加工対象物の表面に、十字形の開口を有する凹部を形成するための方法である。
図3(A)に示すように、相互に直交する2つの直線状の被加工領域21a及び21bが画定されている。被加工領域21aの長さ方向をX軸方向とし、被加工領域21bの長さ方向をY軸方向とするXY直交座標系を定義する。加工対象物の表面におけるパワー密度が加工閾値P1以上になる条件でレーザビームを照射することにより、加工対象物に凹部を形成することができる。形成される凹部の深さは、入射するレーザビームのパワー密度に依存する。図3(A)に、加工対象物に照射するレーザビームの、加工対象物表面におけるパワー密度と入射位置との関係を併せて示す。
レーザビームのパワー密度を加工閾値P1以上のP11にして、被加工領域21aの一端(始点)から他端(終点)に向かって、レーザビームの入射位置を移動させる(レーザビームで被加工領域21aを走査する)。レーザビームの入射位置が被加工領域21aに交差する被加工領域21bの縁を横切る時に、パワー密度をP11から、加工閾値P1以上のパワー密度P12に低下させる。パワー密度がP12になる条件で、被加工領域21aと21bとの重なった領域を走査する。レーザビームの入射位置が被加工領域21bの縁を、被加工領域21bの内部から外部に横切る時に、パワー密度をP12からP11に上昇させる。レーザビームの入射位置が終点に達するとレーザビームの入射を終了させる。レーザビームの走査により、被加工領域21aに整合した凹部が形成される。被加工領域21aと21bとの重なった領域に形成される凹部は、他の領域に形成される凹部よりも浅い。
次に、レーザビームのパワー密度を加工閾値P1以上のP13にして、被加工領域21bの一端(始点)から他端(終点)に向かって、レーザビームの入射位置を移動させる。レーザビームの入射位置が被加工領域21bに交差する被加工領域21aの縁を横切る時に、パワー密度をP13から、加工閾値P1以上のパワー密度P14に低下させる。パワー密度がP14になる条件で、被加工領域21aと21bとの重なった領域を走査する。レーザビームの入射位置が被加工領域21aの縁を、被加工領域21aの内部から外部に横切る時に、パワー密度をP14からP13に上昇させる。レーザビームの入射位置が終点に達するとレーザビームの入射を終了させる。レーザビームの走査により、被加工領域21bに整合する凹部が形成される。このようにして、被加工領域21a及び21bで画定される十字形の領域に整合するように、十字形の開口を有する凹部が形成される。
被加工領域21aと21bとの重なった領域においては、1回目のレーザ照射で形成された凹部が、2回目のレーザ照射で、より深く加工される。1回目の照射時のパワー密度P11を2回目の照射時のパワー密度P13と等しくすると、被加工領域21aと被加工領域21bとの、相互に重なっていない領域に形成される凹部の深さを等しくすることができる。また、パワー密度P12とP14とを調節することにより、被加工領域21aと21bとの重なった領域に形成される凹部の深さを、他の領域の凹部の深さと等しくすることができる。
次に、図3(B)を参照して、第1の実施例の変形例によるレーザ加工方法について説明する。本変形例によるレーザ加工方法は、例えば樹脂層や金属層からなる加工対象物の表面に、T字形の開口を有する凹部を形成するための方法である。
図3(B)に示すように、2つの直線状の被加工領域21a及び21cが画定されている。被加工領域21cのうち長さ方向の一端近傍の領域が、被加工領域21aに、その端部以外の位置で重なり、被加工領域21cの長さ方向の一端の縁が、被加工領域21aの縁に一致している。
図3(A)を参照して説明したように、被加工領域21aに整合した凹部を形成する。次に、以下のように被加工領域21cの一端から他端までをレーザビームで走査して、被加工領域21cに整合した凹部を形成する。被加工領域21cの、被加工領域21aと重なりを有する側の端から走査を開始する。
被加工領域21aと重なった領域に、加工閾値P1以上のパワー密度P14で、レーザを照射する。レーザビームの入射位置が被加工領域21cに交差する被加工領域21aの縁を横切る時に、パワー密度をP14から、加工閾値P1以上のパワー密度P13に上昇させる。レーザビームの入射位置が終点に達するとレーザビームの入射を終了させる。このようにして、被加工領域21a及び21cで画定されるT字形(図では、T字を上下逆さまにした形状である)の領域に整合するように、T字形の開口を有する凹部が形成される。
なお、このT字形の凹部の形成方法は、図3(A)を参照して説明した十字形の凹部を形成する方法において、被加工領域21bに整合した凹部を形成するレーザビームの走査を、被加工領域21aと21bとが重なった領域から開始したものと考えることもできる。なお、被加工領域21cの、被加工領域21aと重ならない側の端から走査を開始しても構わない。また、被加工領域21cに凹部を形成してから、被加工領域21aに凹部を形成する順番で加工を行っても構わない。
次に、図4(A)を参照して、本発明の第2の実施例によるレーザ加工方法について説明する。この方法では、図3(A)を参照して説明した第1の実施例の方法と同様に、加工対象物に十字形の凹部を形成する。第1の実施例の方法と異なるのは、レーザビームの入射位置に応じたパワー密度の変化のさせ方のみであるので、主にそれについて説明する。図4(A)に示すように、図3(A)と同様に、相互に直交する2つの直線状の被加工領域21a及び21bが画定されている。
レーザビームのパワー密度を加工閾値P1以上のP15にして、被加工領域21aの一端(始点)から他端(終点)に向かって、レーザビームで被加工領域21aを走査する。レーザビームの入射位置が被加工領域21aに交差する被加工領域21bの縁を横切る時に、パワー密度をP15から、加工閾値P1未満のパワー密度P16に低下させる。パワー密度がP16になる条件で、被加工領域21aと21bとの重なった領域を走査する。レーザビームの入射位置が被加工領域21bの縁を、被加工領域21bの内部から外部に横切る時に、パワー密度をP16からP15に上昇させる。レーザビームの入射位置が終点に達するとレーザビームの入射を終了させる。レーザビームの走査により、被加工領域21aと21bとが重なった領域を除いて、被加工領域21aに整合した凹部が形成される。被加工領域21aと21bとの重なった領域には、凹部が形成されない。
なお、パワー密度P16は、加工閾値P1より少し低い程度とすることが好ましい。電気光学素子の応答特性を反映し、強度調節器2が強度を変化させるのに要する時間は、強度の変化の幅が小さいほど短くなる。上述のようにパワー密度P16を設定した場合、P16をゼロに設定した場合(つまり、被加工領域21aと21bとの重なった領域にレーザビームを照射しない場合)と比べて、パワー密度をP15からP16まで低下させるのに必要な時間、及びパワー密度をP16からP15まで上昇させるのに必要な時間が短くなる。パワー密度をP15からP16まで低下させるのに必要な時間、及びパワー密度をP16からP15まで上昇させるのに必要な時間が短いほど、被加工領域21aに交差する被加工領域21bの縁の位置での、凹部の深さの変化を急峻にできる。
次に、レーザビームのパワー密度を加工閾値P1以上のP17にして、被加工領域21bの一端(始点)から他端(終点)に向かって、レーザビームの入射位置を移動させる。レーザビームの入射位置が被加工領域21bに交差する被加工領域21aの縁を横切る時に、パワー密度を加工閾値P1以上のパワー密度P18とする。パワー密度がP18になる条件で、被加工領域21aと21bとの重なった領域を走査する。レーザビームの入射位置が被加工領域21aの縁を、被加工領域21aの内部から外部に横切る時に、再びパワー密度をP17とする。レーザビームの入射位置が終点に達するとレーザビームの入射を終了させる。レーザビームの走査により、被加工領域21bに整合する凹部が形成される。このようにして、被加工領域21a及び21bで画定される十字形の領域に整合するように、十字形の開口を有する凹部が形成される。
被加工領域21aと21bとの重なった領域においては、1回目のレーザ照射では凹部が形成されないが、2回目のレーザ照射で凹部が形成される。1回目の照射時のパワー密度P15を2回目の照射時のパワー密度P17と等しくすると、被加工領域21aと被加工領域21bとの、相互に重なっていない領域に形成される凹部の深さを等しくすることができる。また、さらに、パワー密度P18を、パワー密度P15及びP17と等しくすると、被加工領域21aと21bとの重なった領域に形成される凹部の深さも、他の領域の凹部の深さと等しくすることができる。
次に、図4(B)を参照して、第2の実施例の変形例によるレーザ加工方法について説明する。この方法では、図3(B)を参照して説明した第1の実施例の変形例と同様に、加工対象物にT字形の凹部を形成する。第1の変形例の方法と異なるのは、レーザビームの入射位置に応じたパワー密度の変化のさせ方のみであるので、主にそれについて説明する。図4(B)に示すように、図3(B)と同様に、2つの直線状の被加工領域21a及び21cが画定されている。
図4(A)を参照して説明したように、被加工領域21aに整合した凹部を形成する。次に、被加工領域21cの、被加工領域21aと重なりを有する側の端からレーザビームの走査を開始する。
被加工領域21aと重なった領域に、加工閾値P1以上のパワー密度P18で、レーザを照射する。レーザビームの入射位置が被加工領域21cに交差する被加工領域21aの縁を横切る時に、パワー密度を加工閾値P1以上のパワー密度P17とする。レーザビームの入射位置が終点に達するとレーザビームの入射を終了させる。このようにして、被加工領域21a及び21cで画定されるT字形の領域に整合するように、T字形の開口を有する凹部が形成される。
なお、第2の実施例及び変形例において、被加工領域21aと21b(または21c)とが重なった領域に照射するレーザビームのパワー密度を、1度目の照射では加工閾値P1未満とし、2度目の照射では加工閾値P1以上としたが、1度目の照射で加工閾値P1以上とし、2度目の照射で加工閾値P1未満としてもかまわない。
上記の第1及び第2の実施例及び変形例において、各被加工領域(被加工領域21a等)は直線状であったが、各被加工領域は、他の形状であってもよい。上記で説明したレーザ加工方法を応用すれば、加工対象物表面に画定された互いに重なりを持つ2つの領域により画定される領域に、レーザを照射して凹部を形成するとき、2つの領域が互いに重なった部分と、2つの領域が互いに重ならない部分とに対し、パワー密度を適宜異ならせてレーザ照射を行うことにより、凹部の深さの均一化を図ることができる。
ところで、図1(B)を参照して説明した加工対象物に対して、基板の表面上に、接着された転写層からなる、十字形の凸部を形成したいという要望がある。
本明細書において、本発明の背景技術として、図6(B)及び図6(C)を参照し、加工対象物の表面に十字形の凹部を形成するために従来行われてきた方法を説明した。ここで、この方法(レーザ照射の方法)を、このような、転写層からなる十字形の凸部の形成に適用することを考える。
十字形を画定する2つの被加工領域の各々に、加工閾値(転写層が基板に接着される下限のパワー密度)以上のあるパワー密度Pで、レーザを照射する。このとき、十字形を画定する2つの被加工領域が重なった領域において、1度目のレーザ照射により転写層が基板へ接着される。しかし、2度目のレーザ照射により、図1(B)を参照して説明したように、接着された転写層が削られてしまうであろう。良好な加工を行うためには、レーザビームの入射位置に応じて、パワー密度を調節する必要がある。
次に、図5(A)を参照して、本発明の第3の実施例によるレーザ加工方法について説明する。本実施例によるレーザ加工方法は、図1(B)を参照して説明したような加工対象物に対し、基板の表面上に、転写層からなる十字形の凸部を形成するための方法である。
図5(A)に示すように、相互に直交する2つの直線状の被加工領域22a及び22bが画定されている。被加工領域22aの長さ方向をX軸方向とし、被加工領域22bの長さ方向をY軸方向とするXY直交座標系を定義する。図5(A)に、加工対象物に照射するレーザビームの、加工対象物表面におけるパワー密度と入射位置との関係を併せて示す。
加工対象物の表面(転写層の表面)におけるパワー密度が加工閾値P2以上になる条件でレーザビームを照射することにより、転写層が変質して基板表面に接着される。しかし、加工対象物の表面(転写層の表面)におけるパワー密度が閾値P2a以上になる条件で、接着された転写層にレーザビームが照射されると、接着された転写層が基板表面から除去されてしまう。
レーザビームのパワー密度を加工閾値P2以上のP21にして、被加工領域22aの一端(始点)から他端(終点)に向かって、レーザビームの入射位置を移動させる(レーザビームで被加工領域22aを走査する)。レーザビームの入射位置が終点に達するとレーザビームの入射を終了させる。この1度目のレーザビーム走査により、被加工領域22aに整合した凸部が形成される(被加工領域22aに整合して基板表面に転写層が接着される)。
次に、レーザビームのパワー密度を加工閾値P2以上のP23にして、被加工領域22bの一端(始点)から他端(終点)に向かって、レーザビームの入射位置を移動させる。レーザビームの入射位置が被加工領域22bに交差する被加工領域22aの縁を横切る時に、パワー密度をP23から、閾値P2a未満のパワー密度P24に低下させる。パワー密度がP24になる条件で、被加工領域22aと22bとの重なった領域を走査する。レーザビームの入射位置が被加工領域22aの縁を、被加工領域22aの内部から外部に横切る時に、パワー密度をP24からP23に上昇させる。レーザビームの入射位置が終点に達するとレーザビームの入射を終了させる。この2度目のレーザビーム走査により、被加工領域22aと22bとが重なった領域を除いて、被加工領域22bに整合した凸部が形成される(被加工領域22aと22bとが重なった領域を除いて、被加工領域22bに整合して基板表面に転写層が接着される)。
被加工領域22aと22bとの重なった領域では、1度目のレーザビーム走査により、転写層の接着が起こっている。2度目のレーザビーム走査において、この領域には、接着された転写層が除去される閾値P2a未満のパワー密度でレーザビームが照射される。このように2度目のレーザビーム走査を行うことにより、1度目のレーザ照射で接着された転写層が除去されないようにできる。基板表面から、接着されなかった転写層を剥離すると、加工領域22a及び22bで画定された十字形の領域に整合させて、転写層からなる凸部を形成することができる。
なお、被加工領域22aと22bとの重なった領域へのレーザ照射のパワー密度を、1度目は加工閾値P2より低くし、2度目は加工閾値P2以上とすると、以下に説明するように、良好な加工ができない。1度目のレーザ照射において、転写層は基板に接着されない。しかし、レーザ照射により、被加工領域22aと22bとの重なった領域内の転写層がある程度変質する。2度目のレーザ照射は、ある程度変質した転写層に対して行われる。ある程度変質した転写層に加工閾値P2以上のパワー密度でレーザ照射を行っても、転写層の接着が起こらない場合がある。
次に、図5(B)を参照して、第3の実施例の変形例によるレーザ加工方法について説明する。本変形例によるレーザ加工方法は、図1(B)を参照して説明したような加工対象物に対し、基板の表面上に、転写層からなるT字形の凸部を形成するための方法である。
図5(B)に示すように、2つの直線状の被加工領域22a及び22cが画定されている。被加工領域22cのうち長さ方向の一端近傍の領域が、被加工領域22aに、その端部以外の位置で重なり、被加工領域22cの長さ方向の一端の縁が、被加工領域22aの縁に一致している。
図5(A)を参照して説明したように、被加工領域22aに整合した凸部を形成する。次に、以下のように被加工領域22cの一端から他端までをレーザビームで走査して、(被加工領域22aと22cとが重なった領域を除いて、)被加工領域22cに整合した凸部を形成する。被加工領域22cの、被加工領域22aと重なりを有する側の端から走査を開始する。
被加工領域22aと重なった領域に、閾値P2a未満のパワー密度P24で、レーザを照射する。レーザビームの入射位置が被加工領域22cに交差する被加工領域22aの縁を横切る時に、パワー密度をP24から、加工閾値P2以上のパワー密度P23に上昇させる。レーザビームの入射位置が終点に達するとレーザビームの入射を終了させる。このようにして、被加工領域22a及び22cで画定されるT字形の領域に整合するように、基板表面にT字形の凸部が形成される。基板表面から、接着されなかった転写層を剥離すると、加工領域22a及び22cで画定されたT字形の領域に整合させて、転写層からなる凸部を形成することができる。なお、被加工領域22cの、被加工領域22aと重ならない側の端から走査を開始しても構わない。
上記の第3の実施例及び変形例において、各被加工領域(被加工領域22a等)は直線状であったが、各被加工領域は、他の形状であってもよい。上記で説明したレーザ加工方法を応用すれば、図1(B)に示したような加工対象物の表面の互いに重なりを持つ2つの領域により画定される領域に、レーザを照射して、2つの領域により画定される領域に整合する形状を有する凸部を形成する(基板表面に接着された転写層を残す)ことができる。2つの領域が互いに重なった部分と、2つの領域が互いに重ならない部分とに対し、パワー密度を適宜異ならせてレーザ照射を行うことにより、1度目のレーザ照射で形成された凸部(接着された転写層)が、2度目のレーザ照射で除去されないようにできる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
1 レーザ光源
2 強度調節器
3 折り返しミラー
4 レンズ
5 加工対象物
6 XYステージ
7 制御装置
30 基板
31 転写層
11、11a、11b 電気光学素子
12、12a、12b 偏光ビームスプリッタ
13、13a ダンパ
14a、14b 折り返しミラー
2 強度調節器
3 折り返しミラー
4 レンズ
5 加工対象物
6 XYステージ
7 制御装置
30 基板
31 転写層
11、11a、11b 電気光学素子
12、12a、12b 偏光ビームスプリッタ
13、13a ダンパ
14a、14b 折り返しミラー
Claims (12)
- (a)表面に相互に重なりを有する第1の領域と第2の領域とが画定された加工対象物の該第1の領域のうち、該第2の領域と重ならない領域には、該加工対象物に凹部を形成するための閾値以上の第1のパワー密度でレーザビームを照射し、該第2の領域と重なった領域には、該閾値以上で該第1のパワー密度より低い第2のパワー密度でレーザビームを照射して、該第1の領域に凹部を形成する工程と、
(b)前記第2の領域のうち、前記第1の領域と重ならない領域には、前記閾値以上の第3のパワー密度でレーザビームを照射し、前記第1の領域と重なった領域には、前記閾値以上で該第3のパワー密度より低い第4のパワー密度でレーザビームを照射して、前記第2の領域に凹部を形成する工程と
を有するレーザ加工方法。 - 前記第1〜第4のパワー密度を、前記第1の領域のうち、前記第2の領域と重ならない領域に形成された凹部と、前記第2の領域のうち、前記第1の領域と重ならない領域に形成された凹部と、前記第1と第2の領域が重なった領域に形成された凹部とが、等しい深さになるように設定する請求項1記載のレーザ加工方法。
- 前記第1及び第3のパワー密度が相等しい請求項1記載のレーザ加工方法。
- 前記工程(a)が、レーザビームの入射点の軌跡が前記第2の領域の縁を横切るようにレーザビームを走査する工程を含み、前記第2の領域の縁を、該第2の領域の外側から内側に横切る時には、レーザビームのパワー密度を低下させ、該第2の領域の内側から外側に横切る時には、レーザビームのパワー密度を上昇させ、前記工程(b)が、レーザビームの入射点の軌跡が前記第1の領域の縁を横切るようにレーザビームを走査する工程を含み、前記第1の領域の縁を、該第1の領域の外側から内側に横切る時には、レーザビームのパワー密度を低下させ、該第1の領域の内側から外側に横切る時には、レーザビームのパワー密度を上昇させる請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ加工方法。
- (a)表面に相互に重なりを有する第1の領域と第2の領域とが画定された加工対象物の該第1の領域のうち、該第2の領域と重ならない領域には、該加工対象物に凹部を形成するための閾値以上の第1のパワー密度でレーザビームを照射し、該第2の領域と重なった領域には、該閾値より低い第2のパワー密度でレーザビームを照射して、該第1の領域の該第2の領域と重ならない領域に凹部を形成する工程と、
(b)前記第2の領域のうち、前記第1の領域と重ならない領域には、前記閾値以上の第3のパワー密度でレーザビームを照射し、前記第1の領域と重なった領域には、前記閾値以上の第4のパワー密度でレーザビームを照射して、前記第2の領域に凹部を形成する工程と
を有するレーザ加工方法。 - 前記第1、第3及び第4のパワー密度を、前記第1の領域のうち、前記第2の領域と重ならない領域に形成された凹部と、前記第2の領域のうち、前記第1の領域と重ならない領域に形成された凹部と、前記第1と第2の領域が重なった領域に形成された凹部とが、等しい深さになるように設定する請求項5記載のレーザ加工方法。
- 前記第1、第3及び第4のパワー密度が相等しい請求項5記載のレーザ加工方法。
- 前記工程(a)が、レーザビームの入射点の軌跡が前記第2の領域の縁を横切るようにレーザビームを走査する工程を含み、前記第2の領域の縁を、該第2の領域の外側から内側に横切る時には、レーザビームのパワー密度を低下させ、該第2の領域の内側から外側に横切る時には、レーザビームのパワー密度を上昇させる請求項5〜7のいずれかに記載のレーザ加工方法。
- (a)基板表面上に形成された転写層の第1の領域に、該転写層を該基板表面に接着させることができる下限のパワー密度である第1の閾値以上のパワー密度でレーザビームを照射することによって、該転写層を該基板表面に接着させる工程と、
(b)前記工程(a)の後に、前記第1の領域と部分的に重なる第2の領域にレーザビームを照射して、前記転写層を前記基板表面に接着する工程であって、前記第1の領域と重ならない領域には、前記第1の閾値以上のパワー密度でレーザビームを照射し、該第1の領域と重なった領域には、前記工程(a)で、該基板表面に接着された転写層が除去される下限のパワー密度である第2の閾値より低いパワー密度でレーザビームを照射する工程と
を有するレーザ加工方法。 - 前記工程(b)が、レーザビームの入射点の軌跡が前記第1の領域の縁を横切るようにレーザビームを走査する工程を含み、前記第1の領域の縁を、該第1の領域の外側から内側に横切る時には、レーザビームのパワー密度を低下させ、該第1の領域の内側から外側に横切る時には、レーザビームのパワー密度を上昇させる請求項9に記載のレーザ加工方法。
- 外部から入射したレーザビームを、第1の偏光成分のみを有する第1のレーザビームと、該第1の偏光成分に直交する第2の偏光成分のみを有する第2のレーザビームとに分ける分岐器と、
前記分岐器から出射した第1のレーザビームの前記第1の偏光成分の強度を変化させる第1の変調器と、
前記分岐器から出射した第2のレーザビームの前記第2の偏光成分の強度を変化させる第2の変調器と、
前記第1の変調器から出射した第1のレーザビームの前記第1の偏光成分と、前記第2の変調器から出射した第2のレーザビームの前記第2の偏光成分とを同一光軸上に重ね合わせる合成器と
を有する強度調節器。 - レーザビームを出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射したレーザビームの強度を変化させる強度調節器と、
前記強度調節器から出射したレーザビームが照射される加工対象物を保持する保持機構と、
を有し、前記強度調節器は、
入射したレーザビームを、第1の偏光成分のみを有する第1のレーザビームと該第1の偏光成分に直交する第2の偏光成分のみを有する第2のレーザビームとに分ける分岐器と、
前記分岐器から出射した第1のレーザビームの前記第1の偏光成分の強度を変化させる第1の変調器と、
前記分岐器から出射した第2のレーザビームの前記第2の偏光成分の強度を変化させる第2の変調器と、
前記第1の変調器から出射した第1のレーザビームの前記第1の偏光成分と前記第2の変調器から出射した第2のレーザビームの前記第2の偏光成分とを同一光軸上に重ね合わせる合成器と
を有するレーザ加工装置。
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- 2004-03-05 JP JP2004062726A patent/JP2005246450A/ja active Pending
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060829 |