JP2005244091A - 圧電積層体、圧電アクチュエータ、印刷ヘッドおよび印刷機 - Google Patents

圧電積層体、圧電アクチュエータ、印刷ヘッドおよび印刷機 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電変位を繰り返してもデラミネーションが発生せず、しかも共材によるクラックが発生しない圧電積層体、圧電アクチュエータ、印刷ヘッドおよび印刷機を提供することである。
【解決手段】圧電性セラミックスを主成分とする圧電セラミック層(圧電体層)12,14と、これらの圧電セラミック層12,14の間に配置された共通電極(導体層)15とを備えた圧電積層体19の表面に、複数の個別電極16が格子状に形成されて構成され、共通電極15がセラミック粒子を含有し、圧電セラミック層の厚みT、共通電極15の厚みtおよび前記セラミック粒子の平均粒径dが、(t/3)≦d≦(T/2)の関係を満足するアクチュエータ11である。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電積層体、圧電アクチュエータ、印刷ヘッドおよび印刷機に関し、より詳しくは、例えば加速度センサ、ノッキングセンサ、AEセンサ等の圧電センサ、燃料噴射用インジェクタ、インクジェットプリンタ用印刷ヘッド、圧電共振子、発振器、超音波モータ、超音波振動子、フィルタ等に好適な圧電積層体、広がり振動、伸び振動、厚みたて振動を利用した圧電アクチュエータ、文字や画像の印刷に用いるインクジェット式プリンタに搭載される印刷ヘッドおよびこれを搭載した印刷機に関する。
近年、パーソナルコンピューターの普及やマルチメディアの発達に伴って、情報を記録媒体に出力する記録装置としてインクジェット方式のプリンタの利用が急速に拡大している。かかるインクジェット方式のプリンタには印刷ヘッドが搭載されている。この種の印刷ヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒーターを備え、ヒーターによりインクを加熱、沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、インク吐出孔からインク滴として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、インク吐出孔からインク滴として吐出させる圧電方式が一般的に知られている。
図3(a)は、圧電方式を利用したインクジェット記録装置に用いられる従来の印刷ヘッドの一例を示す概略断面図であり、図3(b)は、この印刷ヘッドの平面図である。図3(a)に示すように、この印刷ヘッドは、圧電アクチュエータ21が流路部材23の上に取り付けられた構造を有している(例えば、特許文献1参照)。
圧電アクチュエータ21は、共通電極(不図示)を表面に形成した振動板25上に圧電セラミック層24を設け、圧電セラミック層24の表面に複数の個別電極26を設けたものである。一般に、個別電極26は、図3(b)に示すように、圧電セラミック層24の表面に格子状(マトリックス状)に複数配列される。これにより、圧電アクチュエータ21には、個別電極26と、共通電極25と、これらの電極の間に位置する圧電セラミック層24とにより複数の変位素子27が形成されている。流路部材23には、隔壁23bによって仕切られた複数のインク流路23aが形成されており、このインク流路23aはインク吐出孔28を有している。圧電アクチュエータ21は、流路部材23上に、インク流路23aと個別電極26との位置を揃えて取り付けられている。
このような印刷ヘッドは、共通電極25と所定の個別電極26との間に電圧を印加して該個別電極26直下の圧電セラミック層24を変位させることにより、インク流路23a内のインクを加圧して流路部材23の底面に開口したインク吐出口28よりインク滴を吐出することができる。印刷ヘッドの変位素子27はそれぞれが独立して制御されるため、インクジェットプリンタの高速化および高精度化に寄与することが可能である。
ところが、上記のような圧電体層(圧電セラミック層24)と導体層(共通電極)を積層した圧電積層体(アクチュエータ21)は、圧電体層と導体層の熱膨張率の差により、両者間にデラミネーション(層間剥離)が生じることがある。このデラミネーションを防止するためには、導体層の原料である導電ペースト中に圧電体層の主成分と略同一組成のセラミック粒子を共材として添加することが一般に知られている。
例えば特許文献2には、CuOを主成分とする導電ペーストにセラミック層と略同一組成の共材を添加することで電極層とセラミック層の剥れを防止する方法が開示されている。また、特許文献3には、添加する共材の粒径を印刷の際の内部電極パターンの厚みの1/2以上とすることにより、誘電体層を薄層化した場合であってもデラミネーションやクラックを防止することができるとされている。
しかしながら、特許文献2に記載の積層圧電体は、焼成直後にはデラミネーションのない焼結体を得ることができるものの、圧電変位を繰り返すことによりデラミネーションが発生するという問題がある。この問題は、大きな変位量を得るために積層圧電体の全体厚みを100μm以下に薄くした場合に特に顕著となる。
また、特許文献3記載の積層圧電体は、共材の粒径を大きくすることにより焼成直後のデラミネーションの発生を抑制したものの、粒径の大きな共材によるクラックが発生しやすくなるという問題がある。この問題は、大きな変位量を得るために積層圧電体の全体厚みを100μm以下に薄くした場合に特に顕著となる。
特開平11−34321号公報図1 特開平10−172855号公報 特開2002−260950号公報
したがって、本発明の課題は、圧電変位を繰り返してもデラミネーションが発生せず、しかも共材によるクラックが発生しない圧電積層体、圧電アクチュエータ、印刷ヘッドおよび印刷機を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、圧電積層体において、圧電体層の厚みと、導体層の厚みと、導体層に含有させたセラミック粒子の平均粒径とが所定の関係を満足するときには、圧電変位を繰り返してもデラミネーションの発生が抑制され、しかも共材によるクラックが発生しないという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の圧電積層体、圧電アクチュエータ、印刷ヘッドおよび印刷機は、以下の構成からなる。
(1) 圧電性セラミックスを主成分とする複数の圧電体層と、これらの圧電体層の間に配置された少なくとも1層の導体層とを備えた圧電積層体であって、前記導体層がセラミック粒子を含有し、前記圧電体層の厚みT、前記導体層の厚みtおよび前記セラミック粒子の平均粒径dが、(t/3)≦d≦(T/2)の関係を満足することを特徴とする圧電積層体。
(2) 前記セラミック粒子が前記圧電性セラミックスと略同一の組成である(1)請求項1記載の圧電積層体。
(3) 前記圧電体層の厚みTが20μm以下である(1)または(2)記載の圧電積層体。
(4) 前記導体層の厚みtが3μm以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の圧電積層体。
(5) 全体厚みが100μm以下である(1)〜(4)のいずれかに記載の圧電積層体。
(6) 前記圧電性セラミックスがチタン酸ジルコン酸鉛系化合物(PZT)を主成分とし、前記導体層がAgを含有する(1)〜(5)のいずれかに記載の圧電積層体。
(7) 前記導体層は、Agを85質量%以上含有し、残部がPdからなる(6)記載の圧電積層体。
(8) 前記(1)〜(7)のいずれかに記載の圧電積層体を備え、該圧電積層体における少なくとも1層の圧電体層と、該圧電体層の両面に配置された導体層とにより変位素子が形成されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
(9) 前記変位素子が複数形成されている(8)記載の圧電アクチュエータ。
(10) 前記(1)〜(7)のいずれかに記載の圧電積層体を備え、前記圧電体層の間に配置された前記導体層を共通電極とし、該共通電極と、前記圧電積層体の表面に格子状に形成された複数の個別電極と、該個別電極と前記共通電極の間に位置する圧電体層とにより複数の変位素子が形成されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
(11) 前記(8)〜(10)のいずれかに記載の圧電アクチュエータを、インク吐出孔を有する複数のインク流路が配列された流路部材上に、前記インク流路と前記個別電極との位置を揃えて取り付けたことを特徴とする印刷ヘッド。
(12) 前記(11)に記載の印刷ヘッドと、インクを収容したインクタンクと、このインクタンクから前記印刷ヘッドにインクを供給するインク供給部と、紙送り装置とを備えたことを特徴とする印刷機。
前記(1)記載の圧電積層体によれば、圧電体層の厚みT、導体層の厚みt、および導体層に含有するセラミック粒子の平均粒径dが上記関係を満足するときには、この圧電積層体を加速度センサ、ノッキングセンサ、AEセンサ等の圧電センサ、燃料噴射用インジェクタ、圧電アクチュエータ、圧電共振子、発振器、超音波モータ、超音波振動子、フィルタ等に用いて圧電変位を繰り返してもデラミネーションの発生が抑制され、しかも共材によるクラックが発生しない。これにより、信頼性が高く、高品質な圧電積層体を提供することができる。
また、前記(2)記載のように、セラミック粒子が圧電性セラミックスと略同一組成であるときには、圧電体層と導体層の密着性を向上させることができ、またセラミック粒子と圧電体層の反応による組成変化が起こらず、変位特性が低下するのを防止できる。
前記(3)〜(5)に記載のように、圧電体層の厚みTが20μm以下、導体層の厚みtが3μm以下、積層体の全体厚みが100μm以下であることにより、圧電積層体を圧電アクチュエータ等に用いた場合に大きな変位量を得ることができる。また、本発明では、全体厚みが100μm以下という薄層であっても、デラミネーションおよびクラックの発生を抑制することができる。
前記(6)記載の圧電積層体は、圧電性セラミックスがPZTを主成分とし、導体層がAgを含有するので、安価に作製でき、かつ圧電アクチュエータ等に用いた場合に大きな変位を得ることができる。
前記(7)記載のように、導体層がAgを85質量%以上含有し、残部がPdからなる場合には、導体層のマイグレーションを防止する点で好ましい。
前記(8)〜(10)に記載の圧電アクチュエータは、上記圧電積層体を備えているので、繰り返し変位させてもデラミネーションが発生せず、かつクラックによる割れが発生しないという特長を有する。これにより、信頼性が高く、高品質な圧電アクチュエータを提供することができる。特に、前記(10)に記載の圧電アクチュエータは、複数の個別電極が格子状に形成されているので、変位素子を高密度に形成することができるとともに、安価に作製できる。
前記(11),(12)に記載のように、上記の圧電アクチュエータは、インクジェット方式の印刷ヘッド、およびこれを備えた印刷機に好適である。これにより、信頼性が高く、高品質な印刷ヘッドおよび印刷機を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータについて、図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は、本実施形態の圧電アクチュエータを模式的に示す概略断面図であり、図1(b)は該圧電アクチュエータを示す平面図である。
図1(a),(b)に示すように、本実施形態のアクチュエータ11は、圧電性セラミックスを主成分とする圧電セラミック層(圧電体層)12,14と、これらの圧電セラミック層12,14の間に配置された共通電極(導体層)15とを備えた圧電積層体19の表面に、複数の個別電極16が等間隔で2次元的に(格子状に)形成されて構成されている。この圧電アクチュエータ11には、共通電極15と、複数の個別電極16と、該個別電極16と共通電極15の間に位置する圧電セラミック層14とにより複数の変位素子17が形成されている。圧電セラミック層12は、振動板の役割を担っている。
各個別電極16は、それぞれ外部の電子制御回路に独立して接続され、電極間に電圧が印加されると、電圧が印加された共通電極15と個別電極16に挟持された部位の圧電セラミック層14が変位する。
共通電極15は、セラミック粒子を含有している。このセラミック粒子は、好ましくは圧電セラミック層14と略同一の組成であるのがよい。また、本発明では、圧電セラミック層14の厚みT、共通電極5の厚みt、セラミック粒子の平均粒径dの関係が(t/3)≦d≦(T/2)を満足することが重要である。このように圧電セラミック層14の厚みTと共通電極15の厚みtに対するセラミック粒子の粒径dを上記の範囲に制御することによって、クラックやデラミネーションの発生しない圧電積層体19を得ることができる。すなわち、(t/3)≦dを満足することで、共通電極15を介して配置された圧電セラミック層12と圧電セラミック層14とを共材によって部分的に連結させ、これらの密着強度を向上させることができる。また、d≦(T/2)を満足することで、圧電積層体19の変形を抑制することができる。一方、(t/3)>dの場合、共通電極15を介して配置された圧電セラミック層12と圧電セラミック層14とを共材によって連結させることができないため、圧電変位を繰り返すことでデラミネーションが発生する。また、d>(T/2)の場合、共材によって圧電積層体19が局所的に変形してしまい、クラックが発生する。また、圧電セラミック層12の厚みT’も上記と同様に、d≦(T’/2)の関係を満足するように制御するのがよい。
圧電セラミック層14の厚みTは、特に限定されるものではないが、大きな変位を得るためには、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは5〜10μmであるのがよい。共通電極15の厚みtは、同様の理由で、3μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1〜2μmであるのがよい。また、圧電積層体19の全体厚みは、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、さらに好ましくは50μm以下であるのがよい。これにより、大きな変位を得ることができる。また、十分な機械的強度を考慮すると、全体厚みの下限値は3μm、特に5μm、更には10μmであるのが好ましい。
圧電セラミック層12,14としては、圧電性を示すセラミックスを主成分とすることができ、具体的には、例えばBi層状化合物(層状ペロブスカイト型化合物)、タングステンブロンズ型化合物、Nb系ペロブスカイト型化合物(Nb酸ナトリウムなどのNb酸アルカリ化合物(NAC)、Nb酸バリウムなどのNb酸アルカリ土類化合物(NAEC))、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)、Pbを含有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛等のペロブスカイト型化合物を含有する物質を例示できる。
上記のうち、特に、少なくともPbを含むペロブスカイト型化合物であるのがよい。例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)、Pbを含有するジルコン酸チタン酸鉛(PZT)やチタン酸鉛等を含有する物質が好ましい。特に、Aサイト構成元素としてPbを含有し、かつBサイト構成元素としてZrおよびTiを含有する結晶であるのがよい。このような組成にすることで、高い圧電定数を有する圧電セラミック層が得られる。これら中でもチタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸鉛が、大きな変位を付加する上で好適である。ペロブスカイト型結晶の一例として、PbZrTiO3を好適に使用できる。
また、圧電性セラミックスには、他の酸化物を混合してもよく、さらに、特性に悪影響がない範囲であれば、副成分としてAサイトおよび/またはBサイトに他元素が置換していてもよい。例えば、副成分としてZn、Sb、NiおよびTeを添加したPb(Zn1/3Sb2/3)O3およびPb(Ni1/2Te1/2)O3の固溶体であってもよい。
また、圧電セラミック層12は、単層でも良いが、厚みを制御し、焼結後の組成バラツキや特性バラツキを抑制するため、積層体であるのが好ましい。
共通電極15は、導電性を有する材料を用いることができ、Au、Ag、Pd、Pt、Cu、Alやそれらの合金などを用いることができ、特にAgを含有しているのが好ましい。これにより、より高いd定数を有する安定な圧電積層体を安価に得ることができる。特に、共通電極15は、Agを85wt%以上含み、残部がPdからなるのがよい。これにより、圧電セラミック層14を薄層化した場合においてもマイグレーションを確実に防止することができる。
個別電極16の材質としては、導電性を有するものならばいずれでも使用でき、例えばAu、Ag、Pd、Pt、Cu、Alやこれらの合金などが用いられる。個別電極の厚みは、変位時の拘束を抑制するために薄くするのがよく、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.1〜0.8μmであるのがよい。
次に、圧電アクチュエータ11の製造方法について説明する。
まず、共通電極15を形成するための電極ペーストを準備する。これにセラミック粒子(粉末)を添加して混合する。セラミック粒子は圧電セラミック層14と同じ材料を用いることが、優れた圧電特性を維持する点で好ましい。
ついで、ロールコーター法、スリットコーター法などの一般的なテープ成形法により、圧電性セラミックスと有機組成物からなるテープの成形を行い、複数のグリーンシートを作製する。グリーンシートの一部には、その表面に共通電極15用の電極ペーストを印刷法等により形成する。また、必要に応じてグリーンシートの一部にビアホールを形成し、その内部にビア導体を挿入する。
ついで、各グリーンシートを積層して積層体を作製し、さらに該グリーンシートと実質的に同一組成の圧電セラミックスと有機組成物からなる拘束シートを、上記積層体の両面若しくは片面に配置し、加圧密着を行う。
加圧密着後の積層体を、焼成炉の内部に配置し、高濃度酸素雰囲気下で焼成温度が900℃以上、特に940〜1100℃で焼成する。これにより、積層体中のPbの蒸発によりPb不足になるのを防止することができる。その後、Auペーストを用いて焼成体表面に個別電極16用の電極ペーストを印刷し、焼成する。これにより、圧電アクチュエータ11を得ることができる。
次に、本発明の一実施形態にかかるインクジェット方式の印刷ヘッドについて説明する。図2(a)は、本実施形態の印刷ヘッドを模式的に示す概略断面図であり、図2(b)は、この印刷ヘッドを示す平面図である。図2(a),(b)に示すように、この印刷ヘッドは、圧電アクチュエータ11を、インク吐出孔13cを有する複数のインク流路13aが配列された流路部材13上に、インク流路13aと個別電極16との位置を揃えて取り付けたものである。各インク流路13aは、隔壁13bにより仕切られている。
流路部材13は圧延法等によって得られ、インク吐出孔13cおよびインク流路13aはエッチングにより所定の形状に加工されて設けられる。この流路部材13は、Fe−Cr系、Fe−Ni系、WC−TiC系の群から選ばれる少なくとも1種によって形成されていることが望ましく、特にインクに対する耐食性の優れた材質からなることが望ましく、Fe−Cr系がより好ましい。
圧電アクチュエータ11と流路部材13とは、例えば接着層を介して積層接着することができる。接着層としては、周知のものを使用することができるが、圧電アクチュエータ11や流路部材13への影響を及ぼさないために、熱硬化温度が100〜250℃のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂の群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂系の接着剤を用いるのがよい。このような接着層を用いて熱硬化温度にまで加熱することによって、圧電アクチュエータ11と流路部材13とを加熱接合することができ、これにより印刷ヘッドを得ることができる。そして、外部の駆動回路により共通電極15と所定の個別電極16との間に電圧が印加されると、電圧が印加された個別電極16直下の圧電セラミック層14が変位してインク流路13a内のインクが加圧され、インク吐出孔13cよりインク滴が吐出される。
このような構成を採用することにより、高速で高精度にインク滴を吐出させることができ、高速印刷に好適な印刷ヘッドを提供することができる。また、本発明の印刷ヘッドと、インクを収容したインクタンクと、このインクタンクから印刷ヘッドにインクを供給するインク供給部と、紙送り装置とを備えたプリンタ(印刷機)を構成することによって、高速・高精度印刷を実現できる。
以上、本発明の一実施形態について示したが、本発明は上述した実施形態のみに限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更や改良したものにも適用できることは言うまでもない。例えば、上記実施形態では、圧電積層体を圧電アクチュエータおよびインクジェット方式の印刷ヘッドに適用した場合について説明したが、本発明の圧電積層体は、例えば加速度センサ、ノッキングセンサ、AEセンサ等の圧電センサ、燃料噴射用インジェクタ、圧電共振子、発振器、超音波モータ、超音波振動子、フィルタ等にも適用できる。
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
原料粉末として高純度のPb23、ZrO2、TiO2、SrCO3、BaCO3、NiO、Sb23、ZnO、TeO2の各原料粉末を所定量秤量し調製した。この調製された粉末を、ボールミルにより湿式で20時間混合した後、この混合物を脱水、乾燥した。ついで、900℃で3時間仮焼し、得られた仮焼物を再びボールミルで湿式粉砕し、圧電性セラミックス粉末を得た。
次に、得られた圧電性セラミックス粉末に有機バインダー、水、分散剤および可塑剤を混合してスラリーを作製し、薄いグリーンシートを成形するために一般的に用いられるロールコーター法により、焼成後の厚さTが表1に示すサイズになるように予め収縮率を考慮したグリーンシートを作製した。得られたグリーンシートを、金型を用いて矩形状に打ち抜き、複数枚の矩形状シートを用意した。
次に、Ag−Pd合金からなる電極用ペーストに、上記クリーンシートに用いたものと同じ組成で、平均粒径dが表1に示すサイズの圧電性セラミックス粉末(セラミック粒子)を添加して混合し、スクリーン印刷にてグリーンシート表面に焼成後の厚さtが表1に示すサイズになるように予め収縮率を考慮した共通電極パターンを塗布した。電極用ペーストに混合した圧電性セラミックス粉末の粒径は、圧電性セラミックス粉末の仮焼物を湿式粉砕する際の粉砕時間を変えることで調節した。
次に、電極ペーストを塗布したグリーンシートおよび電極ペーストを塗布していないグリーンシートを積層し、熱を加えて圧着して積層アクチュエータ成形体を作製した。最後に、この成形体を1000℃で、2時間焼成して焼結体を得た後、この焼結体の表面にAuペーストを用いて、縦10個、横20個配列された変位素子が形成されるように個別電極パターンを印刷し、焼成することで表1に示す10種類の圧電アクチュエータを得た。
得られたアクチュエータの厚みは、焼結体断面を研磨後、CCDを利用したキーエンス社製マイクロスコープによって測定し、その際クラックの有無を観察した。
ついで、圧電アクチュエータを流路部材に接着し、図2に示すような印刷ヘッドを作製し、各変位素子に電圧をそれぞれ印加したときの変位をドップラー測定器によって計測した。
さらに、変位計測を行ったアクチュエータの断面を観察し、圧電セラミック層と共通電極のデラミネーションの有無を調べた。結果を表1に示す。
Figure 2005244091
表1から、試料No.2〜5およびNo.7〜10は、焼成後のクラックの発生は認められなかった。また、平均変位量が30nm以上と良好であり、デラミネーションの発生も認められなかった。
一方、d<(t/3)である試料No.1については、平均変位量は40nmと良好であったが、デラミネーションが発生した。また、d>(T/2)である試料No.6は、焼成後にクラックが発生していた。
(a)は本発明の圧電アクチュエータを示す断面図であり、(b)はその平面図である。 (a)は本発明の印刷ヘッドを示す断面図であり、(b)はその平面図である。 (a)は従来の印刷ヘッドを示す断面図であり、(b)はその平面図である。
符号の説明
11 圧電アクチュエータ
12,14 圧電セラミック層(圧電体層)
13 流路部材
13a インク流路
13b 隔壁
13c インク吐出孔
15 共通電極
16 個別電極
17 変位素子
19 圧電積層体

Claims (12)

  1. 圧電性セラミックスを主成分とする複数の圧電体層と、これらの圧電体層の間に配置された少なくとも1層の導体層とを備えた圧電積層体であって、前記導体層がセラミック粒子を含有し、前記圧電体層の厚みT、前記導体層の厚みtおよび前記セラミック粒子の平均粒径dが、(t/3)≦d≦(T/2)の関係を満足することを特徴とする圧電積層体。
  2. 前記セラミック粒子が前記圧電性セラミックスと略同一の組成である請求項1記載の圧電積層体。
  3. 前記圧電体層の厚みTが20μm以下である請求項1または2記載の圧電積層体。
  4. 前記導体層の厚みtが3μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の圧電積層体。
  5. 全体厚みが100μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の圧電積層体。
  6. 前記圧電性セラミックスがチタン酸ジルコン酸鉛系化合物(PZT)を主成分とし、前記導体層がAgを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の圧電積層体。
  7. 前記導体層は、Agを85質量%以上含有し、残部がPdからなる請求項6記載の圧電積層体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の圧電積層体を備え、該圧電積層体における少なくとも1層の圧電体層と、該圧電体層の両面に配置された導体層とにより変位素子が形成されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  9. 前記変位素子が複数形成されている請求項8記載の圧電アクチュエータ。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の圧電積層体を備え、前記圧電体層の間に配置された前記導体層を共通電極とし、該共通電極と、前記圧電積層体の表面に格子状に形成された複数の個別電極と、該個別電極と前記共通電極の間に位置する圧電体層とにより複数の変位素子が形成されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の圧電アクチュエータを、インク吐出孔を有する複数のインク流路が配列された流路部材上に、前記インク流路と前記個別電極との位置を揃えて取り付けたことを特徴とする印刷ヘッド。
  12. 請求項11に記載の印刷ヘッドと、インクを収容したインクタンクと、このインクタンクから前記印刷ヘッドにインクを供給するインク供給部と、紙送り装置とを備えたことを特徴とする印刷機。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007097280A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Kyocera Corp 圧電アクチュエータおよびその製造方法、並びにインクジェット記録ヘッド
JP2013089862A (ja) * 2011-10-20 2013-05-13 Ngk Insulators Ltd 膜型圧電/電歪素子およびその製造方法
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