JP2005244048A - 荷電粒子ビーム描画装置および荷電粒子ビーム描画方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 異物の検出精度が高い、描画装置自体に基板表面評価装置を接続したタイプの荷電粒子ビーム描画装置を実現すること。
【解決手段】 荷電粒子ビーム描画装置は、描画室11と、略90度毎または略180度毎に回転可能な基板支持部42を備えた予備室41と、基板を収容する基板表面評価室49と、基板表面評価室49内で基板を一方向に移動させながら、基板の表面上をレーザービームで走査することにより、基板の表面を評価する基板表面評価部とを備えた基板表面評価装置19と、描画室11と予備室41との間、および、予備室41と評価室49との間で、基板を移動させる搬送ロボット15とを備えている。
【選択図】 図2
【解決手段】 荷電粒子ビーム描画装置は、描画室11と、略90度毎または略180度毎に回転可能な基板支持部42を備えた予備室41と、基板を収容する基板表面評価室49と、基板表面評価室49内で基板を一方向に移動させながら、基板の表面上をレーザービームで走査することにより、基板の表面を評価する基板表面評価部とを備えた基板表面評価装置19と、描画室11と予備室41との間、および、予備室41と評価室49との間で、基板を移動させる搬送ロボット15とを備えている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、電子ビームや収束イオンビームなどの荷電粒子ビームにより、基板上にLSIなどのパターンを描画したり、あるいは基板表面を加工する荷電粒子ビーム描画装置に関する。
近年LSIの集積度、精度向上要求はさらに高まっており、LSIの製造に用いられるマスク(あるいはレチクル)などの基板に描画されるパターンの線幅、寸法精度の仕様は非常に厳しいものとなって来ている。このため、最先端のマスク製造するには、最先端の性能を有する高価なマスク描画装置を必要とし、さらに集積度向上と微細化によりマスクの描画時間も増大するため、マスクの製造コストは増大の一途をたどっている。また、マスクの製造には、マスクの描画の後に現像、エッチング、検査、修正など多くの工程が必要であり、これらの工程のコストを考慮するとマスクの製造コストは莫大となっていくことが予想されている。
そこで、少しでもマスクの製造コストの増大を抑えるため、マスク製造の歩留まりを向上させる努力が懸命に行われている。
マスクの製造の歩留まりを低下させる最大の要因は、製造したマスクのパターンの欠陥であり、この欠陥の最大の原因はゴミや傷、汚れなどのマスク基板上の異物である。特に描画前のマスク基板に異物が存在する場合、その異物が露光する領域にあると、その異物が存在した部分は確実に欠陥として残る。そして、描画後、現像、エッチング等の工程の後、検査工程でようやくその欠陥が検出され、修正あるいは廃棄の処理が行われる。したがって、描画する前にいかに欠陥に結びつく異物を確実に検出し、そのマスクを排除するかが歩留まり向上の鍵となる。
そこで、描画する前のマスクブランクス(以下、基板という。)にいかにゴミなどの異物をつけないようにし、さらにいかに基板上の異物を検出するかに各メーカは苦心をしている。
まず、基板はマスクメーカにおいて膜の形成、感光剤(レジスト)の塗布が行われるが、その直後に専用の基板表面評価装置により厳密な異物検査が行われ、ゴミ、傷、汚れ、ピンホールなどが検査され、不良品の除去が行われる。
異物検査後の基板にパターンを描画する際には、基板を描画装置にセットし、描画室まで搬送する必要があるが、この段階で新たにゴミや汚れが付着する可能性が極めて高くなる。特に、マスクケースから描画装置のマスクキャリアに移載する場合にオペレータの操作によりゴミが付着したり、搬送途中での衝撃、振動、大気環境から真空環境に移行した時に舞い上がるゴミが付着するなどいろいろな異物付着の機会が存在する。
マスク製造工程では、描画装置にセットする前に、基板表面評価装置により、レーザービームを基板表面に照射し、異物からの散乱光を検出して基板表面の異物を検査することが行われている。しかし、従来の基板表面評価装置では、異物の形状による感度の変化を避けることが困難であり、球形の異物以外では検出精度が低くなり、異物の大きさを誤って評価してしまうという問題があった。
このような異物の大きさを誤るという問題を解決するために、複数のレーザー光を照射したり、散乱光ではなく光学像を評価する方式の基板表面評価装置もあるが、光学系の構造が複雑となり装置が複雑で高価なものになってしまうという問題があった。
また、このような装置の複雑化および高価格化の問題を解決するために、装置内部で基板を回転させて複数回異物検査するという方式の基板表面評価装置が提案されている(特許文献1)。しかし、基板表面の傾きを同一条件として検査することが難しく、このため基板表面評価装置の機構に非常に高い精度が要求され、結局高価なものになってしまうという問題もあった。
さらに、レーザー光を照射して異物からの散乱光により異物を検出する方式の基板表面評価装置では、基板上の異物からの散乱光だけではなく、基板のレジスト膜の変質部分(レジスト潜像)、たとえば電子ビーム照射部分のレジスト変性部分と非レジスト変性部分との境界からの散乱光も検出しまう。そのため、描画後の検査において、基板上のレジスト潜像を基板上の異物として判断してしまい、検出精度が低くなるという問題もあった。
これとは別に、描画装置に基板を搬入する前に、基板表面評価装置によってその基板の異物検査を行った場合では、その異物検査から実際の描画までの搬送の過程でのゴミの付着は検出することが難しく、描画後に描画装置から出した後に異物検査するか、さらに後の工程での欠陥検査で欠陥になったものを検出するしかなかった。
そこで、描画装置自体に基板表面評価装置を接続し、装置に基板を搬入した後、真空状態で描画を行う直前で基板の評価を行うといった荷電粒子ビーム描画装置も提案されている。この場合、描画装置内部での異物の発生要因は、大気での搬送途中での異物付着、真空・大気化を行うロードロックでの付着、真空内の搬送中の各真空室内での付着などがある。
描画前のみならず、描画を行った後にも基板表面の異物を検査しておかないと、歩留まりを向上させることは難しい。したがって、描画装置に接続された基板表面評価装置により、描画した基板を検査することが必須となる。
しかし、先に記述したようにレーザービームを照射し、散乱光を検出する方式の基板表面評価装置では、異物の形状による大きさの検出誤差、基板上に塗布されたレジスト膜などの電子線描画による変性に由来する散乱による異物との誤認識により正しく基板上の異物を評価することが難しかった。
特開平5−180778号公報
上述のごとく、描画装置自体に基板表面評価装置を接続したタイプの荷電粒子ビーム描画装置では、球形以外の形状を有する異物の検出精度が低かったり、基板上のレジスト潜像を基板上の異物として判断してしまい、検出精度が低くなるという問題があった。
本発明の目的は、異物の検出精度が高い、描画装置自体に基板表面評価装置を接続したタイプの荷電粒子ビーム描画装置・方法を提供することにある。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、本発明に係る荷電粒子ビーム描画装置は、荷電粒子ビームによって基板上にパターンを描画するための描画室と、前記基板を支持する支持手段、および、前記支持手段を略90度毎または略180度毎に回転させる回転手段を備え、前記基板を収容するための予備室と、前記予備室内または前記描画室から取り出された前記基板を収容するための評価室と、前記評価室内で前記基板を一方向に移動させながら、前記基板上をレーザービームで走査することにより、前記基板の表面を評価する評価手段と、前記描画室と前記予備室との間、および、前記予備室と前記評価室との間で、前記基板を移動させる移動手段とを具備してなることを特徴とする。
本発明に係る荷電粒子ビーム描画方法は、荷電粒子ビームによって描画室内の基板上にパターンを描画する工程と、前記描画室内から評価室内に移動された前記基板を前記評価室内で一方向に移動させながら、前記基板上をレーザービームで走査することにより、前記基板の表面を評価する第1の評価工程と、前記評価室内から予備室内に移動された前記基板を前記予備室内で略90度または略180度に回転させる工程と、前記予備室内から前記評価室内に移動された前記略90度または略180度に回転された前記基板を前記評価室内で前記一方向に移動させながら、前記基板上をレーザービームで走査することにより、前記基板の表面を評価する第2の評価工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、一度評価した基板を略90度または略180度回転させて再度基板を評価して得られた評価結果も用いることで、異物の形状による検出誤差、レジスト潜像を異物と認識してまう誤認識を防止でき、これにより、異物の検出精度を高められるようになる。
本発明の上記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記載および添付図面によって明らかになるであろう。
本発明によれば、異物の検出精度が高い、描画装置自体に基板表面評価装置を接続したタイプの荷電粒子ビーム描画装置・方法を実現できるようになる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る荷電粒子ビーム描画装置の概略構成図。図2は、図1に示した荷電粒子ビーム描画装置のレイアウト例を示した平面図。図3は、図2の荷電粒子ビーム描画装置の予備室41の構造を示す断面図である。
本実施形態の荷電粒子ビーム描画装置は、荷電粒子ビームによって基板上にパターンを描画するための描画室11と、基板を支持する支持部(基板支持部)42および基板支持部42を略90度毎または略180度毎に回転させる回転駆動部43を有し、基板を一時的に収容する予備室41と、予備室41内または描画室11内から取り出された基板を収容するための基板表面評価室(評価室)49と、基板表面評価室49内で基板を一方向に移動させながら、基板上をレーザービームで走査することにより、基板の表面を評価する基板表面評価部(評価手段)48を有する基板表面評価装置19と、描画室11と予備室41との間、および、予備室41と基板表面評価室49との間で、基板を移動させる搬送ロボット15とを備えている。
このような荷電粒子ビーム描画装置を用いれば、荷電粒子ビームによって描画室11内の基板上にパターンを描画し、次に、描画室11内の基板を基板表面評価室49内に移動させ、基板表面評価室49内で基板を一方向に移動させながら、基板の表面上をレーザービームで走査することにより、基板の表面を評価し(第1の評価工程)、次に、基板表面評価室49内の基板を予備室内41内に移動させ、予備室41内で基板を略90度または略180度に回転させ、次に、予備室41内の略90度または略180度に回転させた基板を基板表面評価室49内に移動させ、基板表面評価室49内で上記一方向に移動させながら、基板の表面上をレーザービームで走査することにより、基板の表面を再び評価する(第2の評価工程)という、本実施形態の荷電粒子ビーム描画方法を実施することができる。
このような本実施形態の荷電粒子ビーム描画方法によれば、一度評価した基板を略90度または略180度回転させて再度基板を評価して得られた評価結果も用いることで、後述するように、異物の形状による検出誤差、レジスト潜像を異物と認識してまう誤認識を防止でき、これにより、異物の検出精度を高められるようになる。
以下、本実施形態の詳細について説明する。
まず始めに、図1を用いて本実施形態の荷電粒子ビーム描画装置の構成、動作等についてさらに説明する。
荷電粒子ビーム描画装置は、電子ビームなどを基板上に照射し、基板に集積回路などのパターンの描画を行う描画装置である。以下ビームの描画によりパターンを形成することを描画とする。
この荷電粒子ビーム描画装置は、描画室11と、基板を搭載して移動可能なステージ13と、描画室11に接続され図示していない電子ビームなどを基板の表面に描画する電子光学系12と、描画室11とゲートバルブ18で接続され、搬送ロボット15などを用いて基板の搬送を行う搬送室14、搬送室14に接続された基板表面評価装置19と、それぞれを制御する制御系から構成されている。
電子光学系12は電子光学系制御部21で制御される。描画室11および搬送室14にはそれぞれ真空ポンプ16,17が設けられている。真空ポンプ16は真空制御部26により制御される。電子光学系制御部21および真空制御部26は全体制御部(CPU)20の命令(指示)に従う。
図2に示したレイアウト例の荷電粒子ビーム描画装置は、ステージ13を収納し、基板の描画を行うための描画室11、それに接続し、搬送ロボット15などを用いて基板の搬送を行う搬送室14、それに接続する基板表面評価室49、予備室41、ロードロック室33から主に構成されている。
予備室41は、図3に示すように、基板1が載置され、基板1を支持する基板支持部42と、基板支持部42を略90°または略180°毎に回転させる回転駆動部43と、容器44とを含む予備室41とを備えている。回転駆動部43は周知の回転駆動機構により構成されている。基板支持部42に基板1を戴置することにより、基板1の温度安定化、基板1の姿勢や位置を調整することが可能となっている。
図4は、図1に示す基板表面評価装置19、特に基板表面評価部48の構造を示す斜視図である。
まず、図4を用いて基板表面評価装置19の検出原理を説明する。異物検査される基板1は、一軸ステージ101上の基板台102の上に搭載される。基板1上にはレーザヘッド103から発せられたレーザービーム104がガルバノスキャナー105によって走査され、各種光学系106により基板1の表面上の走査ライン107上に照射される。
基板1の表面上の走査ライン107上に異物が存在すると、その異物からレイリーの散乱で定まる散乱光108が発生し、その散乱光108のみが受光部109により取り込まれ、ファイバ等により光電管110に導かれて、散乱光が電気信号に変換され異物が検出される。
このような検査を一軸ステージ101を一定ピッチで一方向に移動させることにより、基板1の全面を検査することができ、検出された信号強度で異物の大きさが推定でき、その時のガルバノスキャナー105のミラーの回転角と一軸ステージ101の座標により、異物の基板1上での位置が検出することができる。
なお、図4において、111はミラー、112はガルバノスキャナー105によって走査されたレーザービーム、113は各種光学系106を経て基板1上に照射されるレーザービーム、114はホールネジ、115はモーターを示している。
ここで、基板の異物検査を行う際のこの描画装置の一般的な処理を図1および図2を用いて説明する。
描画装置の全体制御部20では、これから描画を行う基板の描画パターンを選択し、その後異物分類のための粒径範囲とその粒径範囲に含まれる検出される異物の上限個数など判定条件を設定し、さらに基板を複数回回転させて検査させて異物の形状を判定するかなどの判定条件を基板表面評価制御部29に送り、基板の搬送を搬送制御部27に指示する。
搬送制御部27では搬送ロボット15などを用いて基板を基板表面評価室49のステージに搬送し、基板表面評価制御部29に異物検査の開始を指示する。
基板表面評価制御部29では、予め与えられた基板の表面の膜、レジスト情報など検査条件と、粒径範囲とその上限個数など判定条件を基に、基板表面の異物検査を行う。
その後この良否の判定結果を搬送制御部27あるいは全体制御部20に返答するとともに、基板表面評価制御部29あるいは全体制御部20内部に基板の異物検査の詳細な検査条件および判定条件、基板の良否の判断結果と異物の座標、粒径、異物の形状情報などを記録する。
さて、異物検査の結果が描画に不適(否)と判断された場合は、その異物検査条件や判定条件、良否の判断結果、描画パターン等の情報を基板表面評価制御部29あるいは全体制御部20に保存した後、全体制御部20は搬送制御部27に基板を搬出して、描画を行わないまま図示していないロードロック室33により基板を大気圧雰囲気に搬出するように指示する。これにより、後の工程で欠陥が発生する可能性をもつ基板を事前に排除することができ、特に描画すべきパターンが複雑で描画時間が膨大になる場合などには描画装置の稼働率の無駄を大幅に削減することができる。
また、異物検査結果が描画に適している(良)と判断された場合には、全体制御部20は搬送制御部27に基板を描画室11内のステージ13に搬送するように指示し、ゲートバルブ18を開いて、搬送室14と描画室11を接続し、搬送ロボット15などで基板をステージ13上にセットする。
実際の描画は、全体制御部(CPU)20により、まず描画室11内部で基板を搭載したステージ13を描画のための移動開始点に移動させる。そこで、全体制御部20は、磁気ディスク22などからパターンデータを実際に描画する図形に分割し、その描画位置を算出するパターン発生部23へ転送する。この準備が整った時点で全体制御部20はステージ制御部25にステージ動作を指令し基板を移動させる。この基板の位置をステージ13上のレーザーミラーなどにより検出し、その位置を位置検出部24から得ることにより、偏向制御部30ではパターン発生部23から転送される図形と位置データの基づき、電子光学系12内部の図示されていない電子ビームを偏向させて基板1上の所望の位置に電子ビームを照射して描画を行う。
なお、この描画装置では、基板の描画を行った後にも先に説明したのと同様な手順により基板表面評価装置19において描画した基板の異物検査を行うことが可能である。ただし、この場合、検査結果がOK(良)のときには正常終了として良否の判断結果、検査条件、描画パターン等の情報を保存して描画装置から搬出し、検査結果がNG(否)のときには描画した基板に異物の付着等の異常があり、後工程での処理が不可あるいは不要な異常終了としての記録を残して描画装置から排出する。この際、基板の検査が1回のみであると、基板上のレジスト膜など薄膜に電子ビームなどで作成された潜像を異物として認識してしまい、本来は異物の個数がOK(良)の場合でも、NG(否)と判断してしまい、描画を行った貴重な基板を不良品と判断してしまうことがある。
そこで、本実施形態の荷電粒子描画装置では以下のような処理を行うことにより異物の判定の正確さを向上させるようにしている。
本実施形態の荷電粒子描画装置の処理の流れを図2を用いて説明する。
まず、ロードロック室33の大気側のゲートバルブ34を開いて、基板を搬入する。その後、ゲートバルブ34を閉じて、ロードロック室33の内部を図示されていない真空ポンプなどで真空化する。
ロードロック室33の内部の真空化が終了したら、ゲートバルブ32を開けて、搬送ロボット15などを用いて基板を搬送室14に搬送し、その後、予備室41に搬入し基板の位置合せあるいは恒温化のための真空放置を行う。
真空放置が終了したら、再び搬送ロボット15などを用いて基板を基板表面評価室49に搬入する。その後、先に説明したものと同じ光学系を用いて基板の表面を異物検査を行う。
ここで、異物検査の結果、検出された異物の座標および個数、その粒径が描画装置の全体制御部20あるいは基板表面評価制御部に保存され、その基板1が描画可能であるか、不可であるかを判定し、描画可能なら次の処理に進め、不可なら、再び搬送ロボット15などでロードロック室33に搬出し、ロードロック室内を大気化する。大気化終了後、ゲートバルブ34を開けて搬出する。
この際、基板1の表面の異物の形状情報も得たい場合には、検査終了後再び搬送ロボット15などにより基板1を搬出し、再び予備室41の基板支持部42に設置し、回転駆動部43により基板支持部42を90°回転させて、さらに搬送ロボット15で基板表面評価装置19に搬入して2回目の異物検査を行う。この結果を回転角90°分の回転座標変換を行い異物の位置合わせこみを行い、検出された粒径情報を比較することにより異物の形状についての情報を得ることが可能となり描画装置のクリーンネス管理を詳細に行うことが可能となる。
また、2回目の検査の際にも基板表面評価装置19の基板台102(図4)は変化していないため、1回目の検査の場合と全く同じ光学的条件で検査することが可能なので、より精度の高い異物の形状比較が可能となるとともに、基板表面評価装置19のステージ構造、制御方法が複雑にならずに済む。
基板が描画可能な場合には、今度はゲートバルブ18を開けて、搬送ロボット15などにより、描画室11のステージ13上に設置して、ゲートバルブ18を閉じる。そこで基板に荷電粒子ビームを照射し描画を行う。
描画が終了したら、再びゲートバルブ18を開けて、基板を取り出し、再度基板表面評価室49に搬出し、基板1の表面の異物検査を行う。
この際、基板1の表面の異物の形状情報や描画後のレジスト潜像の影響も得たい場合には、検査終了後再び搬送ロボット15などにより基板1を搬出し、予備室41の基板支持部42に戴置し、回転駆動部43により基板支持部42を90°回転させて、さらに搬送ロボット15で基板表面評価装置19に搬入して2回目の異物検査を行う。この結果を回転角90°分の回転座標変換を行い異物の位置合わせこみを行い、検出された粒径情報を比較することにより、基板1上の異物の形状情報だけでなく、基板1のレジスト潜像による異物の誤認識を区別し、描画後の基板1の異物検査を正確に行うことが可能となる。
さらに、厳密に基板上のレジスト潜像の影響を除去するには、さらに2回目の検査終了後再び搬送ロボット15などにより基板1を搬出し、予備室41の基板支持部42に戴置し、回転駆動部43により基板支持部42を180°回転させて、さらに搬送ロボット15で基板表面評価装置19に搬入して2回目の異物検査を行う。この結果を回転角180°分の回転座標変換を行い異物の位置合わせこみを行い、2回目の検査で検出された粒径情報と比較することにより、基板1上のレジスト潜像による異物の誤認識を一層厳密に区別し、描画後の基板1の異物検査をより一層正確に行うことが可能となる。
この後、検査結果の良否に関らず、以降のアンロード処理が行われるが、1回目および2回目さらに3回目の詳細な検査結果は描画されたパターンの情報とともに保存されるので、後に荷電粒子ビーム描画装置の全体制御部20において後でレジスト潜像の判定を行うことが可能である。
なお、描画後の異物検査が必要ない場合には描画室11から直接基板をロードロック室33に搬出することも可能である。
このように、描画後にも基板の回転角を変化させて複数回異物検査することにより、描画前の異物検査で検出できなかった異物(描画室に搬送する途中あるいはセットした時に発生した異物など)を検出可能なことはもちろん描画によって基板表面上に生じたレジスト潜像などによる異物の誤認識を大幅に減少させることが可能となり、描画装置の搬送系や描画室のクリーンネス評価を非常に正確に行うことが可能である。
以上説明した描画装置では、使用する荷電粒子ビームを電子ビームを例として説明しているが、収束イオンビームを用いたものでも動作は同様であり、以下説明する実施形態は荷電粒子ビームの種類には全く制限されないものである。また、収束イオンビームを用いて試料面上の欠陥を修正する修正機などでも同様に本発明は有効であることを明記しておく。
次に、本実施形態の荷電粒子ビーム描画方法についてさらに説明する。本実施形態の荷電粒子ビーム描画方法が、従来の荷電粒子ビーム描画方法と大きく異なる点は、上述の説明から分かるように、基板上の異物の検査方法にある。したがって、以下の説明では、荷電粒子ビーム描画方法を構成する複数の工程のうち、基板上の異物を検査する工程を重点的に説明する。その他の工程は基本的には従来と同じである。
図5は、本実施形態の第1の荷電粒子ビーム描画方法を説明するための図である。第1の荷電粒子ビーム描画方法は、異物の形状による検出誤差を防止できる検査方法である。
図5(a)は、基板1上に形状や大きさが異なる異物61−63が存在し、この時点で走査ライン107上にある異物63にレーザービーム51を照射して、基板表面を検査している様子(第1の検査)を模式的に示している。基板1は、Siウエハ(Si基板)とその上に形成されたレジスト膜を備えている。異物63にレーザービーム51が照射されると、散乱光108aが発生する。
異物63の形状は球形ではなく、長円状である。図5(a)では、異物63の長手方向(長円の長手方向)からレーザービーム51を異物63に照射している。そのため、散乱光108aの強度は、異物63の長手方向に対して直角方向からレーザービーム51を異物63に照射して発生する散乱光の強度よりも小さい。したがって、従来の方法では、異物63は、異物ではないと判断されることがある。
図5(b)は、図5(a)の状態(初期状態=回転角0°)から基板1を90°回転させた状態で、走査ライン107上にある異物63にレーザービーム51を照射して、基板用面を検査している様子(第2の検査)を模式的に示している。この場合も、異物63にレーザービーム51を照射することで、散乱光108bが発生する。
ここで、図5(b)では、異物63の長手方向に対して垂直方向からレーザービーム51を異物63に照射しているので、散乱光108bの強度は、散乱光108aの強度に比べて大きいものとなる。したがって、第1の検査で異物63は異物ではないと判断されても、第2の検査では異物であると判断されるので、異物の形状による検出誤差を防止できるようになる。さらに、第1および第2の検査にて得られた散乱光108a,108bの強度の違いから、異物63の形状が長円状であると推定することも可能となる。
異物63に対して、その他の異物61,62はほぼ球形のため、第1および第2の検査にて検出される2つの散乱光の強度はほぼ等しくなる。したがって、第1および第2の検査により得られた2つの散乱光の強度を比較し、これらの2つの散乱光の強度が大きく異なった場合には、その異物形状が球形ではないと判断することができる。
基板1をさらに180°回転させて第3の検査を行い、第1−第3の検査にて検出された3つの散乱光の強度の大小を比較して、異物の形状を区別しても構わない。さらに、基板1をさらに270°回転させて第4の検査を行い、第1−第4の検査にて検出された4つの散乱光の強度の大小を比較して、異物の形状を区別しても構わない。検査の回数を増やすことで、異物の形状による検出誤差をより確実に防止することができるとともに、より正確に異物の形状を推定することが可能となる。
図6は、本実施形態の第2の荷電粒子ビーム描画方法を説明するための図である。
図6(a)および(b)は、基板回転前後の第1および第2の検査の結果(異物の大きさ・位置)を模式的に示す図である。図6(a)には初期状態の基板が示され、図6(b)には初期状態に対して90°回転された基板が示されている。図6(c)は2つの検査結果を座標変換して重ね合わせた状態を模式的に示した図である。
まず、初期状態の基板1で第1の検査が行われ、図6(a)に示すように、基板1上の4つの異物70−73が検出される。
次に、図6(b)に示すように、基板1を90°回転させた状態で第2の検査が行われ、基板1上の4つの異物74−77が検出される。ここでは、時計方向に90°基板1を回転させたとする。この場合、異物74,75,76,77はそれぞれ異物72,70,71,73と同じである。
次に、第2の検査の結果(異物の座標位置)に−90°に相当する回転座標変換を加えて、第2の検査の結果を第1の検査の結果と同じ回転角の検査結果に変換する。
次に、図6(c)に示すように、上記変換により得られた検査結果の基板1のエッジ部分の位置および主要な異物(ここでは座標変換後の異物74−77)の座標位置と、第1の検査の結果のそれらとに関して、最小二乗法などにより座標系の合わせこみを行い、上記変換により得られた検査結果と第1の検査の結果の異物とを重ね合わせる。このようにして、同一異物の対応が取れるようになる。重ね合わせの結果、第1および第2の検査で検出された同一異物の大きさ情報に大きな差、あるいはどちらかの検査の結果に異物が検出されなかった場合には、該異物の座標位置には球形とは大きく異なる形状の異物、あるいはレジスト潜像などが存在すると判定することができる。図6(c)には、球形とは大きく異なる形状の異物72,74がある様子が示されている。
このような判定をより正確に行うには以上説明したように基板を1回90°程度回転させるだけでなく、180度など複数回違う回転位置で検査し、それぞれの回で検査結果に座標変換を加えて異物の位置合わせを行い、その大きさを比較することが考えられる。
図7は、本実施形態の第3の荷電粒子ビーム描画方法を説明するための図である。第3の荷電粒子ビーム描画方法は、基板上のレジスト膜などの膜に電子ビームなどを照射してパターンを形成した部分に存在するレジスト潜像を検出できる方法である。
基板1のレジスト膜(不図示)の表面上の矩形部分81−83には電子線などが照射され、レジスト変性が生じている。レジスト変性が生じても、レジスト膜の表面上には形状等の変化は生じず、生じるのはあくまでも変性によるレジスト膜の屈折率変化などの違いである。そのため、通常の光学的観察ではレジスト変性を観察することは困難である。
さて、レジスト変性が生じた矩形部分が接近して等間隔に並んでいる場合には、変性部分と非変性部分との境界からの散乱光が回折現象などにより強められ、大きな散乱光となって検出される場合がある。図7(a)には、矩形部分82の変性部分と非変性部分との境界からの散乱光が回折現象などにより強められ大きな散乱光108cが示されている。したがって、散乱光108cの検出結果からだけでは、基板1上に異物が存在しなくても、異物が存在すると誤認識してしまうことになる。
しかし、本実施形態では、図7(b)に示すように、さらに、基板1を90°回転させた状態で検査する。この場合、走査ライン107が矩形部分81−83にそれぞれ直角にあたっており、変性部分の境界で散乱があったとしても、回折現象による強度の増幅現象は発生しにくくなる。すなわち、基板1を90°回転して検査した結果からは、レジスト変性を異物と誤認識することはほとんどない。
したがって、図7のようにレジスト潜像がある場合には、基板1を回転させて表面を計2回以上検査することにより、レジスト潜像からの散乱光と異物からの散乱光とを見分けることが可能となる。レジスト膜以外の膜の変性についても同様である。
図8は、本実施形態の第4の荷電粒子ビーム描画方法を説明するための図である。第4の荷電粒子ビーム描画方法も、基板上のレジスト膜などの膜に電子ビームなどを照射してパターンを形成した部分に存在するレジスト潜像を検出できる方法である。第3の荷電粒子ビーム描画方法は、基板を90°毎に回転させて検査を行う方法であるが、第4の荷電粒子ビーム描画方法は、基板を180°毎に回転させて検査を行う方法である。
図8に示ように、基板1上には、かぎ型のパターンを有するレジスト潜像91が存在している。
基板1上の走査ライン64をレーザービーム51でスキャンすると、上記かぎ型のパターンの内側の角部分で強度が大きい散乱光108dが生じる場合がある。この他の角部分でも散乱光が生じる場合があるが、ここでは図8に示した角部で説明する。
このようなパターンを有するレジスト潜像91が生じている場合には、基板85を90度回転させただけでは、その散乱光108dの強度でレジスト潜像91と異物とを区別することが難しい場合がある。
しかし、図8(b)に示すように、さらに、基板1を180度回転させた状態で検査して検出された強度が小さい散乱光108eと先に検出された強度が大きい散乱光108dとを比較することにより、異物とレジスト潜像とを区別することが可能となる。
図5に示したような異物の形状の差であるなら、180度回転させても同じ強度の散乱光が得られるので、基板1を90度回転させるだけで区別することが可能であるが、いろいろなパターンのレジスト潜像を区別する場合には、90度だけではなく、180度回転させないとレジスト潜像と異物を区別することができない。
このように異物の有無の判定をより正確に行うために、基板を1回90°程度回転させるだけでなく、180度など複数回違う回転位置で検査し、それぞれの回で検査結果に座標変換を加えて異物の位置合わせを行い、散乱光の強度の大きさを比較することにより、精度良く基板上の異物とレジスト潜像とを区別することが可能となる。
以上述べたように、回転角0°および90°回転の両方で有限の検出強度が得られた場合には異物の可能性が高く、どちらか一方で検出強度が異物からの散乱強度と判定する強度の下限より小さい場合には潜像の可能性が高く、さらに、略90回転させて(最初からは180°)最初と同じように有限の検出強度が得られた場合には異物の可能性がさらに高くなり、検出強度が異物からの散乱強度と判定する強度の下限より小さい場合には潜像の可能性がさらに高くなる。
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施できる。
1…基板、11…電子光学系、12…描画室、13…ステージ、14…搬送室、15…搬送ロボット、16,17…真空ポンプ、18…ゲートバルブ、19…基板表面評価装置、20…全体制御部、21…電子光学系制御部、22…磁気ディスク、23…パターン発生部、24…位置検出部、25…ステージ制御部、26…真空制御部、27…搬送制御部、29…基板表面評価制御部、30…偏向制御部、32…ゲートバルブ、33…ロードロック室、34…ゲートバルブ、41…予備室、42…基板支持部、43…回転駆動部、44…容器、48…基板表面評価部、49…基板表面評価室、51…レーザービーム、61…他の異物、61.62…異物、63…異物、64…走査ライン、70−77…異物、81−84…レジスト変性が生じた矩形部分、91…レジスト潜像、101…一軸ステージ、102…基板台、103…レーザヘッド、104…レーザービーム、105…ガルバノスキャナー、106…光学系、107…走査ライン、108,108a−108e…散乱光、111…ミラー、112,113…レーザービーム、114…ホールネジ、115…モーター。
Claims (7)
- 荷電粒子ビームによって基板上にパターンを描画するための描画室と、
前記基板を支持する支持手段、および、前記支持手段を略90度毎または略180度毎に回転させる回転手段を備え、前記基板を収容するための予備室と、
前記予備室内または前記描画室から取り出された前記基板を収容するための評価室と、
前記評価室内で前記基板を一方向に移動させながら、前記基板上をレーザービームで走査することにより、前記基板の表面を評価する評価手段と、
前記描画室と前記予備室との間、および、前記予備室と前記評価室との間で、前記基板を移動させる移動手段と
を具備してなることを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。 - 前記評価手段は、前記基板上に走査されたレーザービームによる散乱光を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記基板上に走査された前記レーザービームによる散乱光の第1の強度と、前記基板を略90度または略180度に回転させて得られた前記検出手段により検出された前記基板上に走査されたレーザービームによる散乱光の第2の強度との大小関係に基づいて、前記基板上のレジスト膜の変質部分を前記基板上の異物として検出せずに、前記基板上の異物の有無を判定する判定手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム描画装置。
- 前記判定手段は、前記レーザービームの前記第1および第2の強度の一方が異物からの散乱強度と判定する強度の下限より小さい場合、前記基板上のレジスト膜の変質部分を前記基板上の異物として検出せずに、前記基板上の異物の有無を判定することを特徴とする請求項2に記載の荷電粒子ビーム描画装置。
- 荷電粒子ビームによって描画室内の基板上にパターンを描画する工程と、
前記描画室内から評価室内に移動された前記基板を前記評価室内で一方向に移動させながら、前記基板上をレーザービームで走査することにより、前記基板の表面を評価する第1の評価工程と、
前記評価室内から予備室内に移動された前記基板を前記予備室内で略90度または略180度に回転させる工程と、
前記予備室内から前記評価室内に移動された前記略90度または略180度に回転された前記基板を前記評価室内で前記一方向に移動させながら、前記基板上をレーザービームで走査することにより、前記基板の表面を評価する第2の評価工程と
を有することを特徴とする荷電粒子ビーム描画方法。 - 前記第1の評価工程の評価結果および前記第2の評価工程の評価結果に基づいて、前記基板上の異物の形状を判定する工程をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子ビーム描画方法。
- 前記第1の評価工程の評価結果および前記第2の評価工程の評価結果に基づいて、前記基板上のレジスト膜の変質部分からの散乱光を異物と区別して、前記基板上の異物を検出する工程をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の荷電粒子ビーム描画方法。
- 前記第1の評価工程の評価結果および前記第2の評価工程の評価結果の一方において、前記基板上に走査されたレーザービームによる散乱光の強度が異物からの散乱強度と判定する強度の下限より小さい場合、前記基板上のレジスト膜の変質部分からの散乱光を異物と区別して、前記基板上の異物を検出することを特徴とする請求項6に記載の荷電粒子ビーム描画方法。
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