JP2005242654A - 被検出体における蛍光体の蛍光検出方法及び装置 - Google Patents

被検出体における蛍光体の蛍光検出方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 所定の蛍光体を有する被検出体に、所定の照射光を照射することで前記蛍光体にて発生する蛍光を検出する蛍光体の蛍光検出方法及び装置であって、外乱光等のノイズが入っても(例えば、前記被検出体に対して非接触でも)蛍光を精度よく検出できるとともに、回路構成が簡単、容易で、それだけ装置の小型化、低コストを実現できる蛍光検出方法及び装置を提供する。
【解決手段】 蛍光検出装置100は、被検出体Bに、間欠照射光Lの光量を間欠照射P開始時から次第に減少させる間欠照射Pを複数回行い、被検出体Bから取り込んだ光を電気信号に変換し、個々の信号波形のうち、2以上の信号波形のピークQ1,Q2を比較して、間欠照射P停止時側ピークQ2が間欠照射P開始側ピークQ1よりも大きいときに蛍光であると判定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、所定の蛍光体を有する被検出体(例えば、偽造防止用蛍光体からなるマークが付された任意の媒体等)に、前記蛍光体が励起し得る所定の照射光を照射することで前記蛍光体にて発生する蛍光を検出する蛍光体の蛍光検出方法及び装置に関する。
所定の蛍光体を有する被検出体に、前記蛍光体が励起し得る所定照射光量を有する所定の照射光を照射することで前記蛍光体にて発生する蛍光を検出する蛍光体の蛍光検出装置は、従来から各種のものが提案されている。なお、ここで用いられる蛍光体は、通常、所定の第1中心波長(例えば、第1中心波長が可視波長領域)の照射光の照射にて該第1中心波長とは異なる所定の第2中心波長(例えば、第2中心波長が赤外波長領域、或いは紫外線)の蛍光を示すものである。
従来のこの種の蛍光検出装置では、例えば、蛍光体に照射される光の中心波長と、該光照射にて発生する蛍光の発光中心波長が異なることを利用して、光学フィルタを用いて被検出体からの光のうち、蛍光成分のみを被検出体からの反射光から分離することによって蛍光体の有無の判定している。
しかしながら、前記のように、光学フィルタを用いて、被検出体からの光のうち蛍光成分のみを反射光から分離することによって蛍光体の有無を判定する場合には、反射光の光強度に対して蛍光の光強度は極めて弱いため、反射光と蛍光とを良好に分離することが難しい。また、例えば、照射光とは別に外乱光等のノイズが入ると、被検出体の反射光の成分にも蛍光体の蛍光と同様の蛍光成分が含まれることがあり、被検出体における蛍光体の蛍光検出精度が低下する。この場合、被検出体と検出部と接触させ、外乱光を遮断することで、外乱光の入射を防止している。しかし、これでは、被検出体に対し非接触で検出することができず、例えば、被検出体をガラス等の透光体越しに検出するような用途には向かない。
そこで、前記のような問題を解決するために、所定の蛍光体の蛍光の光量であって照射光の所定の照射時間での略一定の連続的な照射に伴う蛍光の光量が、略一定の連続照射開始時の蛍光の光量より次第に増加し、このとき、略一定の連続照射が所定の休止時間休止されると、略一定の連続照射開始時の蛍光の光量に略戻ることに着目し、被検出体に形成された蛍光体に対して、照射光の略一定の連続照射を断続的に、換言すれば、所定の休止時間をおいて複数回行い、該照射光が照射された被検出体からの光を取り込むとともに該取り込んだ光を電気信号に変換する一方、光照射の照射タイミングと同期させて略一定の連続照射停止直後の信号を検出し、前記の変換された電気信号について、光照射の照射タイミングと同期させて信号波形全体において略一定の連続照射開始直前に対応する最低値と略一定の連続照射停止直前に対応する最高値との差を分圧した比較値を求め、この比較値と前記の検出値とを比べて検出値が比較値を超えると、被検出体における蛍光体にて発生する蛍光であると判定する蛍光検出装置が提案されている(特許文献1参照)。
特開平8−22506号公報
しかしながら、前記特許文献1に記載するような蛍光検出装置では、照射光が照射された被検出体からの光が電気信号に変換された信号波形全体において、略一定の連続照射停止直後の信号を検出し、略一定の連続照射開始直前に対応する最低値と連続照射停止直前に対応する最高値との差を分圧した比較値と検出値とを比べて蛍光を判定するので、検出のための電気回路の特性や信号ノイズ等により、信号波形全体の波形形状がなまり易く、これにより、蛍光体にて発生する蛍光を精度よく検出することができない。また、このような蛍光検出装置では、回路構成が複雑になり易く、それだけ多くの電気部品、或いは、さらに、それだけ高価な電気部品が用いられることになり、ひいては蛍光検出装置の大型化を招くとともに、蛍光検出装置コストが高くつく。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、所定の蛍光体を有する被検出体に、前記蛍光体が励起し得る所定照射光量を有する所定の照射光を照射することで前記蛍光体にて発生する蛍光を検出する蛍光体の蛍光検出方法及び装置であって、外乱光等のノイズが入っても(例えば、前記被検出体に対して非接触でも)前記蛍光体にて発生する蛍光を精度よく検出できるとともに、回路構成が簡単、容易で、それだけ蛍光検出装置の小型化を実現できるとともに携帯利用が可能であり、さらに蛍光検出装置コストを低く抑えることができる蛍光体の蛍光検出方法及び装置を提供することを課題とする。
本発明者は前記課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、次のことを見出した。すなわち、所定の蛍光体を有する被検出体に、前記蛍光体が励起し得る所定照射光量を有する所定の照射光を照射することで前記蛍光体にて発生する蛍光を検出する蛍光体の蛍光検出方法及び装置においては、前記蛍光体の蛍光の光量であって前記照射光の所定の間欠照射時間での間欠照射に伴う蛍光の光量が、前記間欠照射の開始時の蛍光の光量より次第に増加し、この増加傾向の飽和状態において又はこの増加傾向から飽和状態になる前に、前記間欠照射が所定の休止時間休止されると、前記間欠照射開始時の蛍光の光量に略戻ることに着目し、前記被検出体に、前記照射光の前記間欠照射を所定の休止時間をおいて複数回行い、このとき、前記間欠照射時間において、前記照射光の前記間欠照射にて前記蛍光体の前記蛍光光量増加特性による蛍光の光量が少なくとも前記間欠照射開始時の蛍光の光量より増加する程度に、前記間欠照射光の光量を前記間欠照射開始時から次第に減少させると、前記間欠照射光が照射された前記被検出体からの光が電気信号に変換された電気信号について、前記間欠照射時間における個々の信号波形のうち、2以上の信号波形のピークを比較して、前記間欠照射光の前記間欠照射の停止時側ピークが前記間欠照射開始側ピークよりも大きいときに、前記蛍光体にて発生する蛍光を検出でき、こうすることで、微少な蛍光にも拘わらず、外乱光等のノイズが入っても(例えば、前記被検出体に対して非接触でも)前記蛍光体にて発生する蛍光を精度よく検出できるとともに、回路構成が簡単、容易で、それだけ蛍光検出装置の小型化を実現できるとともに携帯利用が可能であり、さらに蛍光検出装置コストを低く抑えることができることを見出した。なお、前記間欠照射光の光量を前記間欠照射開始時から次第に減少させるのは、前記間欠照射光が照射された前記被検出体からの蛍光でない光や電気的な回り込み等の誤検出の要因があっても、それらの要因が検出され難いようにするためであり、換言すれば、それらの要因による誤検出を抑制するためである。
本発明はかかる知見に基づくものであり、前記課題を解決するため、次の被検出体における蛍光体の蛍光検出方法及び装置を提供する。
(1)被検出体における蛍光体の蛍光検出方法
所定の蛍光体を有する被検出体に、前記蛍光体が励起し得る所定照射光量を有する所定の照射光を照射することで前記蛍光体にて発生する蛍光を検出する蛍光体の蛍光検出方法であって、前記蛍光体は、前記照射光の所定の間欠照射時間における間欠照射に伴う蛍光の光量が前記間欠照射の開始時の蛍光の光量より次第に増加する蛍光光量増加特性を示すものであり、前記被検出体に、前記照射光の前記間欠照射を所定の休止時間をおいて複数回行う光照射工程であって、前記被検出体に前記照射光を前記間欠照射するにあたり、前記間欠照射時間において、前記照射光の前記間欠照射にて前記蛍光体の前記蛍光光量増加特性による蛍光の光量が少なくとも前記間欠照射開始時の蛍光の光量より増加する程度に、前記間欠照射光の光量を前記間欠照射開始時から次第に減少させる光照射工程と、前記光照射工程にて前記間欠照射光が照射された前記被検出体からの光を取り込むとともに該取り込んだ光を電気信号に変換する光電変換工程と、前記光電変換工程にて変換された電気信号について、前記間欠照射時間における個々の信号波形のうち、2以上の信号波形のピークを比較して、前記間欠照射光の前記間欠照射の停止時側ピークが前記間欠照射開始側ピークよりも大きいときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定する蛍光体判定工程とを含むことを特徴とする被検出体における蛍光体の蛍光検出方法。
(2)被検出体における蛍光体の蛍光検出装置
所定の蛍光体を有する被検出体に、前記蛍光体が励起し得る所定照射光量を有する所定の照射光を照射することで前記蛍光体にて発生する蛍光を検出する蛍光体の蛍光検出装置であって、前記蛍光体は、前記照射光の所定の間欠照射時間における間欠照射に伴う蛍光の光量が前記間欠照射の開始時の蛍光の光量より次第に増加する蛍光光量増加特性を示すものであり、前記被検出体に、前記照射光の前記間欠照射を所定の休止時間をおいて複数回行う光照射部であって、前記被検出体に前記照射光を前記間欠照射するにあたり、前記間欠照射時間において、前記照射光の前記間欠照射にて前記蛍光体の前記蛍光光量増加特性による蛍光の光量が少なくとも前記間欠照射開始時の蛍光の光量より増加する程度に、前記間欠照射光の光量を前記間欠照射開始時から次第に減少させる光照射部と、前記光照射部にて前記間欠照射光が照射された前記被検出体からの光を取り込むとともに該取り込んだ光を電気信号に変換する光電変換部と、前記光電変換部にて変換された電気信号について、前記光照射部における光照射の照射タイミングと同期させ、前記間欠照射時間における個々の信号波形のうち、2以上の信号波形のピークを比較して、前記間欠照射光の前記間欠照射の停止時側ピークが前記間欠照射開始側ピークよりも大きいときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定する蛍光体判定部とを備えることを特徴とする被検出体における蛍光体の蛍光検出装置。
本発明に係る被検出体における蛍光体の蛍光検出方法及び装置によると、前記間欠照射光が照射された前記被検出体からの光が電気信号に変換された前記間欠照射時間における個々の信号波形のうち、2以上の信号波形のピークを比較して蛍光を判定するので、電気部品の特性やノイズ等によって、前記個々の信号波形がなまっても、該個々の信号波形を集めた間欠照射波形全体としての形状は維持され、これにより、蛍光体にて発生する蛍光を精度よく検出することができる。また、このような蛍光検出装置では、回路構成を簡単、容易にでき、それだけ少ない電気部品、或いは、さらに、それだけ安価な電気部品を用いることができ、ひいては蛍光検出装置の小型化、低コストを実現できる。
本発明方法において、前記蛍光体判定工程では、前記光電変換工程にて変換された電気信号について、前記間欠照射時間の前記間欠照射開始時近傍の信号波形における第1ピークと、前記間欠照射時間の前記間欠照射停止時近傍の信号波形における第2ピークとを比較して、前記第2ピークに対する所定の割合が前記第1ピークよりも大きいときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定してもよい。また、本発明装置において、前記蛍光体判定部では、前記光電変換部にて変換された電気信号について、前記光照射部における光照射の照射タイミングと同期させ、前記間欠照射時間の前記間欠照射開始時近傍の信号波形における第1ピークと、前記間欠照射時間の前記間欠照射停止時近傍の信号波形における第2ピークとを比較して、前記第2ピークに対する所定の割合が前記第1ピークよりも大きいときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定してもよい。
この方法及び装置では、前記間欠照射開始時近傍の信号波形における第1ピークよりも、前記間欠照射の停止時近傍の信号波形における第2ピークに対する所定の割合が大きいときに(換言すれば、前記第2ピークの値を、具体的には8割程度に低くしてもそれでも前記第1ピークよりも大きいときに)、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定するので、蛍光体にて発生する蛍光をさらに精度よく検出することができる。
前記第1ピークのための前記間欠照射時間の前記間欠照射開始時近傍の信号波形は、前記間欠照射開始から1波目の波形としてもよいが、例えば、構成する電気部品として安価なものを用いる場合には、前記間欠照射時間における個々の信号波形のうちの最初の数波形が崩れることがあることを考慮すると、所定の複数波目(例えば、2波目から4波目程度)の波形としてもよい。前記第2ピークのための前記間欠照射時間の前記間欠照射停止時近傍の信号波形は、前記間欠照射停止から1波目の波形、換言すれば、前記照射光の前記間欠照射時の照射回数が10回のときは、前記間欠照射開始から10波目の波形とすることができる。
前記第2ピークに対する前記所定割合としては、前記蛍光体の前記蛍光光量増加特性による前記照射光の前記間欠照射後の蛍光の光量の増加の程度にもよるが、それには限定されないが、例えば、8割〜9割程度を挙げることができる。
さらに厳しい蛍光の認識が要求される場合には、本発明方法において、前記蛍光体判定工程では、前記光電変換工程にて変換された電気信号について、前記間欠照射時間における個々の信号波形のうち、3以上の信号波形のピークを比較して、前記間欠照射の開始側信号波形のピークをa、前記間欠照射の停止時側信号波形のピークをb、前記aと前記bとの間の信号波形のピークをcとすると、a<c<bの関係を満たすときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定してもよい。また、本発明装置において、前記蛍光体判定部では、前記光電変換部にて変換された電気信号について、前記光照射部における光照射の照射タイミングと同期させ、前記間欠照射時間における個々の信号波形のうち、3以上の信号波形のピークを比較して、前記間欠照射の開始側信号波形のピークをa、前記間欠照射の停止時側信号波形のピークをb、前記aと前記bとの間の信号波形のピークをcとすると、a<c<bの関係を満たすときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定してもよい。こうすることで、蛍光の認識率をさらに向上させることができる。
本発明に係る蛍光検出方法及び装置において、前記蛍光体判定工程及び前記蛍光体判定部では、前記信号波形のピークの比較により複数回連続して蛍光であるとする判定がなされたときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定してもよい。こうすることで、エラー率を低下させることができ、これにより、さらに精度よく蛍光を判定することができる。前記の判定回数は、検出のための応答時間を考慮して適宜設定すればよく、数十回〜数百回程度を例示できる。
本発明に係る蛍光検出方法及び装置において用いることができる蛍光体としては、所定の第1中心波長(例えば、第1中心波長が可視波長領域)の照射光の照射にて該第1中心波長とは異なる所定の第2中心波長(例えば、第2中心波長が赤外波長領域、或いは紫外線)の蛍光を示すものを例示できる。この場合、前記第1中心波長が赤外波長領域、或いは紫外線で、前記第2中心波長が可視波長領域であってもよい。このような蛍光体としては、前記照射光の前記間欠照射時間での前記間欠照射に伴う蛍光の光量が前記間欠照射開始時の蛍光の光量より次第に増加する前記蛍光光量増加特性を示すものであれば、いずれの蛍光体でもよく、例えば、それには限定されないが、ネオジムイオン及びイッテルビウムイオンとで賦活され、ネオジムイオンを励起し得る波長500nm〜780nm程度の励起光で励起し、波長840nm〜1100nm程度の蛍光を示す蛍光体を挙げることができる。ここで、ネオジムイオン及びイッテルビウムイオンとで賦活された蛍光体としては、Ca10(PO462:Nd,Yb:Ca8La2(PO462:Nd,Yb:YAlOa3:Nd,Yb:Y3Al512:Nd,Yb等を例示できる。これらドープ型の蛍光体の場合は、Nd及びYbは1%〜10%程度の賦活のものを用いることができる。
本発明に係る蛍光検出方法及び装置において、前記間欠照射時間としては、前記蛍光体の前記間欠照射による蛍光の光量が増加する程度の時間であればよく、例えば、250μm〜400μm程度を挙げることができる。また、前記照射光の前記間欠照射時の間欠照射回数としては、5回〜20回程度を、前記間欠照射波形のデューティ比としては、50%程度を例示できる。但し、この間欠照射回数やデューティ比は、個々の信号波形を認識できる程度のものであればよく、特に制限されるものではない。また、この間欠照射回数やデューティ比を適宜決定することで、前記間欠照射光の光量を所望の光量に設定してもよい。なお、前記照射光の前記間欠照射について、前記休止時間をおいて行う回数としては、特に制限されることはなく、かかる間欠照射は検出動作がなされている間中繰り返し行うことができる。
前記休止時間としては、前記蛍光体の前記間欠照射開始時の蛍光の光量に略戻る程度の時間であればよく、それには限定されないが、前記間欠照射時間の1倍〜100倍程度を例示できる。
以上説明したように本発明によると、所定の蛍光体を有する被検出体に、前記蛍光体が励起し得る所定照射光量を有する所定の照射光を照射することで前記蛍光体にて発生する蛍光を検出する蛍光体の蛍光検出方法及び装置であって、外乱光等のノイズが入っても(例えば、前記被検出体に対して非接触でも)前記蛍光体にて発生する蛍光を精度よく検出できるとともに、回路構成が簡単、容易で、それだけ蛍光検出装置の小型化を実現できるとともに携帯利用が可能であり、さらに蛍光検出装置コストを低く抑えることができる蛍光体の蛍光検出方法及び装置を提供することができる。
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る蛍光体の蛍光検出方法を実施する蛍光検出装置の一例100を概略的に示すブロック図である。また、図2は図1に示す蛍光検出装置100の検出動作を説明するためのタイムチャートであり、図2(A)に蛍光体について、照射光の間欠照射に伴う蛍光の光量が間欠照射開始時の蛍光の光量より次第に増加し、休止時間経過後に間欠照射開始時の蛍光の光量に略戻る蛍光光量増加特性を概念的に示し、図2(B)に光照射部における発光ダイオードの駆動電流を示し、図2(C)及び図2(D)に被検出体に蛍光体が有る場合及び無い場合の光電変換部における増幅回路の出力を示し、また、図(E)に光照射部におけるタイミング発生器のクロック信号を示す。
この蛍光検出装置100は、図1に示すように、所定の蛍光体Aを有する被検出体B(例えば、偽造防止用蛍光体からなるマークが付された任意の媒体等)に、蛍光体Aが励起し得る所定照射光量を有する所定の照射光を照射することで蛍光体Aにて発生する蛍光を検出する蛍光体の蛍光検出装置であり、光照射部10と、光電変換部20と、蛍光体判定部30とからなっている。
図1に示す蛍光検出装置100に用いられ蛍光体Aは、本例では、中心波長が可視波長領域(例えば、500nm〜780nm程度)の照射光の照射にて中心波長が赤外波長領域(例えば、840nm〜1100nm程度)の蛍光を示すものである。さらに言えば、蛍光体Aは、第1中心波長が可視波長領域の照射光の所定の間欠照射時間での間欠照射に伴って発光する第2中心波長が赤外波長領域の蛍光の光量が間欠照射Pの開始時の蛍光の光量より次第に増加する蛍光光量増加特性を示すものであり(図2(A)参照)、具体的には、ネオジムイオン及びイッテルビウムイオンとで賦活され、ネオジムイオンを励起し得る波長500nm〜780nm程度の励起光で励起し、波長840nm〜1100nm程度の蛍光を示す蛍光体である。
光照射部10は、照射用発光素子11(ここでは照射用発光ダイオード)、ドライブ回路12及びタイミング発生器13を備えている。照射用発光ダイオード11は、中心波長が(本例では、592nm程度の)可視波長領域の光Lを被検出体Bに照射できるものである。この発光ダイオード11として、具体的には、四元素タイプと呼ばれるAlGaInPタイプのものが用いられる。このAlGaInPタイプの発光ダイオードを用いる場合には、通常よく使用されるGaAsPタイプのものより、同系色のときで発光波長が少し長くなるものの発光光度が高く、発光波長の幅が狭いため、かかる蛍光検知には有利である。ドライブ回路12は、発光ダイオード11に接続されており、発光ダイオード11の発光させるために駆動することができる。タイミング発生器13は、ドライブ回路12に接続されており、次のような所定タイミングでドライブ回路12の発光ダイオード11への駆動の指示を行うことができる。
すなわち、光照射部10では、図2(B)に示すように、タイミング発生器13にて、ドライブ回路12を介して発光ダイオード11から被検出体Bに、照射光Lの所定の間欠照射時間T1(例えば、0.21ms程度)での間欠照射Pを所定の休止時間T2(例えば、間欠照射時間T1の9倍程度=1.89ms(0.21ms×9)程度)をおいて複数回行う。この間欠照射Pは、休止時間T2をおいて、検出動作がなされている間中繰り返し行われる。この照射パターンは、例えば、バースト波のような照射パターンとしている。ここで、間欠照射時の間欠照射回数は10回とし、間欠照射Pのパルス波形のデューティ比は50%程度としている。このように波形を細かく分けることによって後述する光電変換部20の増幅回路22を簡単なACアンプで構成できる。これにより、光電変換部20を安価に作製することができる。このとき、ドライブ回路12は、間欠照射時間T1において、照射光Lの間欠照射Pにて蛍光体Aの前記蛍光光量増加特性による蛍光の光量が少なくとも間欠照射P開始時の蛍光の光量より増加する程度に(図2(A)も参照)、間欠照射光Lの光量を間欠照射P開始時から次第に減少させる。これにより、被検出体Bからの蛍光でない光や電気的な回り込み等の誤検出の要因があっても、それらの要因が検出されに難いようにすることができ、換言すれば、それらの要因による誤検出を抑制することができる。この発光ダイオード11の発光用回路は、ここではコンデンサと抵抗器を用い、コンデンサの放電を利用して発光ダイオード11への供給電流が次第に小さくなるように、換言すれば、発光ダイオード11の発光強度が次第に低下するように構成してある。こうすることで回路構成が簡単、容易になる。また、タイミング発生器13は、発光ダイオード11の光照射の照射タイミングを、後述する蛍光体判定部30の第1及び第2サンプル&ホールド回路31,32と同期させるために、該回路31、32に接続されている。
光電変換部20は、受光素子21(ここでは赤外線受光用フォトダイオード)及び増幅回路22を備えている。この光電変換部20では、受光素子11の感応速度や増幅回路22の帯域制限からくる波形の崩れの影響を受け難くできるように構成されている。
赤外線受光用フォトダイオード21は、赤外波長領域(例えば、840nm〜1100nm程度)の光を受光することができるものである。この赤外線受光用フォトダイオード21は、本例では、光学フィルタを有する可視光カット型のものを使用する。
増幅回路22は、フォトダイオード21に接続されており、フォトダイオード21で受光した光を増幅することができる。これにより、光照射部10にて間欠照射光Lが照射された被検出体Bからの光L’を取り込むとともに該取り込んだ光L’を電気信号に変換することができる。
蛍光体判定部30は、前記した第1及び第2サンプル&ホールド回路31,32の他、比較回路33、判断回路34、ブザー35及び表示用発光ダイオード36を備えている。
第1及び第2サンプル&ホールド回路31,32は、光電変換部20にて変換された電気信号について、光照射部10における照射用発光ダイオード11の光照射の照射タイミングでサンプル(標本化)したのち,その値を一定にホールド(保持)するものである。さらに説明すると、回路31では、間欠照射光Pの間欠照射P開始時近傍のパルス信号波形、例えば、間欠照射P開始から4波目のパルス波形の第1ピークQ1(図2(C)及び図2(D)参照)をホールドする。また、回路32では、間欠照射光Pの間欠照射P停止時近傍のパルス信号波形、例えば、間欠照射P停止から1波目のパルス波形、換言すれば、間欠照射時の照射回数が10回とすると、間欠照射P開始から10波目のパルス波形の第2ピークQ2(図2(C)及び図2(D)参照)をホールドする。ここで、単純に1波目のパルス波形のピークと10波目のパルス波形のピークでも良いが、受光素子21から出てくる信号が上下非対称の波形のため、安価な交流増幅器の場合には、直流分の影響で波形の最初の数パルスが崩れることがあるので、ここでは、4波目のパルス波形の観測値を取っている。
比較回路33は、間欠照射P開始時近傍のパルス信号波形における第1ピークQ1と、間欠照射P停止時近傍のパルス信号波形における第2ピークQ2とを比較するものであり、判断回路34は、第2ピークQ2に対する所定の割合(例えば、8割)が第1ピークQ1よりも大きいときに、被検出体Bにおける蛍光体Aにて発生する蛍光であると判定するものであり、さらに言えば、かかる信号波形のピークの比較により複数回(例えば、数十回程度)連続して蛍光であるとする判定がなされたときに、被検出体Bにおける蛍光体Aにて発生する蛍光であると判定するものである。なお、この比較回路33は、個々のパルス信号波形のうち、二つの信号波形を比較するので、こういった波形の比較タイミングはデジタル的に比較し易く、比較回路33の簡素化につながっている。そして、蛍光検出装置100では、この判定の結果、蛍光体Aにて発生する蛍光であると判定したときには、ブザー35がONされるとともに表示用発光ダイオード36が点灯される一方、蛍光体Aにて発生する蛍光でないと判定したときには、ブザー35がOFFされるとともに表示用発光ダイオード36が消灯されるように構成されている。この蛍光検出装置100では、蛍光体Aの有無を判定するにあたり、光学フィルタを用いて被検出体Bからの光L’のうち蛍光成分を分離するが、この光学フィルタの特性として、可視波長域をカットする急峻なフィルタ特性を得ることが困難であるために、蛍光体Aの動的な反応を併せて検出している。
以上説明した蛍光検出装置100では、先ず、被検出体Bに対し、例えば、光照射部10において、タイミング発生器13から得られた信号で、照射用発光ダイオード11から照射光Lの0.21msの間欠照射時間T1でのデューティ比50%の間欠照射Pが1.89msの休止時間T2をおいて繰り返し行われる。このとき間欠照射時間T1においては、照射光Lの間欠照射Pにて蛍光体Aの前記蛍光光量増加特性による蛍光の光量が少なくとも間欠照射P開始時の蛍光の光量より増加する程度に、間欠照射光Lの光量が間欠照射P開始から次第に減少する。
次いで、光電変換部20にて間欠照射光Lが照射された被検出体Bからの光L’が赤外線受光用フォトダイオード21に取り込まれ、該取り込まれた光L’が電気信号に変換される。ここで変換された電気信号について、比較したい位置の値をサンプル/ホールドし、蛍光体判定30にて光照射部10における光照射Lの照射タイミングと同期して、間欠照射P開始時近傍である4波目の信号波形における第1ピークQ1と、間欠照射Pの停止時近傍である10波目の信号波形における第2ピークQ2とを比較回路33により比較する。判定回路34では、第2ピークQ2の80%が第1ピークQ1よりも大きいときに、被検出体Bにおける蛍光体Aにて発生する蛍光であると判定し(図2(C)参照)、第2ピークQ2の8割が第1ピークQ1以下のときに、被検出体Bにおける蛍光体Aにて発生する蛍光ではないと判定する(図2(D)参照)。
このように図1に示す蛍光検出装置100によると、間欠照射光Lが照射された被検出体Bからの光L’が電気信号に変換された間欠照射時間T1における個々の信号波形のうち、間欠照射P開始時近傍の信号波形における第1ピークQ1と、間欠照射P停止時近傍の信号波形における第2ピークQ2の80%とを比べて蛍光を判定するので、電気部品の特性やノイズ等によって、前記個々の信号波形がなまっても、該個々の信号波形を集めた間欠波形全体としての形状は維持され、これにより、蛍光体Aにて発生する蛍光を精度よく検出することができる。さらに言えば、発光ダイオード11の電流が次第に小さくなるようにし、また比較する2点の閾値にも変化を付けてあるので、ノイズや被検出体Bからの蛍光でない光による誤作動を低減させることができる。
また、このような蛍光検出装置100では、回路構成を簡単、容易にでき、それだけ少ない電気部品、或いは、さらに、それだけ安価な電気部品を用いることができ、ひいては蛍光検出装置の小型化、低コストを実現できるとともに、乾電池駆動を行うこともでき、携帯利用が可能である。
また、信号波形のピークQ1,Q2の比較により複数回連続して蛍光であるとする判定がなされたときに、被検出体Bにおける蛍光体Aにて発生する蛍光であると判定するので、エラー率を低下させることができ、これにより、さらに精度よく蛍光を判定することができる。
なお、本例では、回路構成を極単純にするため、パルス列の第1ピークQ1と第2ピークQ2との2箇所のみの比較とするが、これを3箇所以上の比較としてもよい。例えば、間欠照射光Lの間欠照射P開始から2波目、5波目及び10波目を比較して、2波目のピーク<5波目のピーク<10波目のピークの関係が成り立つときのみ、被検出体Bにおける蛍光体Aにて発生する蛍光であると判定してもよい。こうすることで、エラー率が低下し、これにより、さらに検出精度が向上する。
本発明に係る蛍光体の蛍光検出方法を実施する蛍光検出装置の一例を概略的に示すブロック図である。 図1に示す蛍光検出装置の検出動作を説明するためのタイムチャートであり、図(A)に蛍光体について、照射光の間欠照射に伴う蛍光の光量が間欠照射開始時の蛍光の光量より次第に増加し、休止時間経過後に間欠照射開始時の蛍光の光量に略戻る蛍光光量増加特性を概念的に示し、図(B)に光照射部における発光ダイオードの駆動電流を示し、図(C)に被検出体に蛍光体が有る場合の光電変換部における増幅回路の出力を示し、図(D)に被検出体に蛍光体が無い場合の光電変換部における増幅回路の出力を示し、また、図(E)に光照射部におけるタイミング発生器のクロック信号を示す。
符号の説明
10…光照射部 20…光電変換部 30…蛍光体判定部 100…蛍光検出装置
A…蛍光体 B…被検出体 L…照射光 L’…被検出体からの光
T1…間欠照射時間 T2…休止時間 P…間欠照射
Q1…第1ピーク Q2…第2ピーク

Claims (6)

  1. 所定の蛍光体を有する被検出体に、前記蛍光体が励起し得る所定照射光量を有する所定の照射光を照射することで前記蛍光体にて発生する蛍光を検出する蛍光体の蛍光検出方法であって、
    前記蛍光体は、前記照射光の所定の間欠照射時間における間欠照射に伴う蛍光の光量が前記間欠照射の開始時の蛍光の光量より次第に増加する蛍光光量増加特性を示すものであり、
    前記被検出体に、前記照射光の前記間欠照射を所定の休止時間をおいて複数回行う光照射工程であって、前記被検出体に前記照射光を前記間欠照射するにあたり、前記間欠照射時間において、前記照射光の前記間欠照射にて前記蛍光体の前記蛍光光量増加特性による蛍光の光量が少なくとも前記間欠照射開始時の蛍光の光量より増加する程度に、前記間欠照射光の光量を前記間欠照射開始時から次第に減少させる光照射工程と、
    前記光照射工程にて前記間欠照射光が照射された前記被検出体からの光を取り込むとともに該取り込んだ光を電気信号に変換する光電変換工程と、
    前記光電変換工程にて変換された電気信号について、前記間欠照射時間における個々の信号波形のうち、2以上の信号波形のピークを比較して、前記間欠照射光の前記間欠照射の停止時側ピークが前記間欠照射開始側ピークよりも大きいときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定する蛍光体判定工程と
    を含むことを特徴とする被検出体における蛍光体の蛍光検出方法。
  2. 前記蛍光体判定工程では、前記光電変換工程にて変換された電気信号について、前記間欠照射時間の前記間欠照射開始時近傍の信号波形における第1ピークと、前記間欠照射時間の前記間欠照射停止時近傍の信号波形における第2ピークとを比較して、前記第2ピークに対する所定の割合が前記第1ピークよりも大きいときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定する請求項1記載の被検出体における蛍光体の蛍光検出方法。
  3. 前記蛍光体判定工程では、前記信号波形のピークの比較により複数回連続して蛍光であるとする判定がなされたときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定する請求項1又は2記載の被検出体における蛍光体の蛍光検出方法。
  4. 所定の蛍光体を有する被検出体に、前記蛍光体が励起し得る所定照射光量を有する所定の照射光を照射することで前記蛍光体にて発生する蛍光を検出する蛍光体の蛍光検出装置であって、
    前記蛍光体は、前記照射光の所定の間欠照射時間における間欠照射に伴う蛍光の光量が前記間欠照射の開始時の蛍光の光量より次第に増加する蛍光光量増加特性を示すものであり、
    前記被検出体に、前記照射光の前記間欠照射を所定の休止時間をおいて複数回行う光照射部であって、前記被検出体に前記照射光を前記間欠照射するにあたり、前記間欠照射時間において、前記照射光の前記間欠照射にて前記蛍光体の前記蛍光光量増加特性による蛍光の光量が少なくとも前記間欠照射開始時の蛍光の光量より増加する程度に、前記間欠照射光の光量を前記間欠照射開始時から次第に減少させる光照射部と、
    前記光照射部にて前記間欠照射光が照射された前記被検出体からの光を取り込むとともに該取り込んだ光を電気信号に変換する光電変換部と、
    前記光電変換部にて変換された電気信号について、前記光照射部における光照射の照射タイミングと同期させ、前記間欠照射時間における個々の信号波形のうち、2以上の信号波形のピークを比較して、前記間欠照射光の前記間欠照射の停止時側ピークが前記間欠照射開始側ピークよりも大きいときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定する蛍光体判定部と
    を備えることを特徴とする被検出体における蛍光体の蛍光検出装置。
  5. 前記蛍光体判定部では、前記光電変換部にて変換された電気信号について、前記光照射部における光照射の照射タイミングと同期させ、前記間欠照射時間の前記間欠照射開始時近傍の信号波形における第1ピークと、前記間欠照射時間の前記間欠照射停止時近傍の信号波形における第2ピークとを比較して、前記第2ピークに対する所定の割合が前記第1ピークよりも大きいときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定する請求項4記載の被検出体における蛍光体の蛍光検出装置。
  6. 前記蛍光体判定部では、前記信号波形のピークの比較により複数回連続して蛍光であるとする判定がなされたときに、前記被検出体における前記蛍光体にて発生する蛍光であると判定する請求項4又は5記載の被検出体における蛍光体の蛍光検出装置。
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