JP2005240131A - 絶縁被膜付き電磁鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】打抜き加工性などの被膜特性に優れることに加え、特に製品板の外観、耐粉吹き性、歪取り焼鈍板の耐キズ付き性も改善されたクロムフリーの絶縁被膜付き電磁鋼板を提供する。
【解決手段】Al化合物およびSi化合物、イオン化傾向がFeより高く、かつ水系媒体中で2価以上のイオンになりうるAl以外の1種または2種以上の易イオン性元素(Crを除く)、および樹脂を含有する絶縁被膜であって、該被膜中の樹脂含量が固形分比で5〜50mass%であり、かつ前記AlおよびSi化合物のAl23およびSiO2換算合計量100質量部に対し、前記易イオン性元素を元素換算の合計で0.1〜100質量部含有する絶縁被膜を表面に有する、外観および被膜特性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、外観および耐粉吹き性に優れ、歪取り焼鈍後の耐キズ性にも優れるクロムフリーの絶縁被膜付き電磁鋼板に関する。
電磁鋼板は多様な用途に使用されるため、その用途に応じて種々の絶縁被膜の開発が行われている。たとえばモータや変圧器等に使用される電磁鋼板の絶縁被膜は、層間抵抗だけでなく、加工成形時の利便さおよび保管、使用時の安定性など種々の特性が要求される。また電磁鋼板は、打抜き加工、せん断加工、曲げ加工などを施すと、残留歪みにより磁気特性が劣化する。この劣化した磁気特性を回復させるため、加工後の電磁鋼板に750〜850℃程度で歪取り焼鈍を行う場合が多い。この場合には、絶縁被膜は歪取り焼鈍に耐えるものでなければならない。
絶縁被膜は、(1)無機被膜、(2)樹脂含有無機被膜、(3)有機被膜の3種に大別される。このうち(3)は、歪取り焼鈍不可の特殊用途の絶縁被膜であるが、無機質を含む絶縁被膜(1)および(2)は、歪取り焼鈍に耐える汎用品である。このうちでも溶接性、耐熱性を重視した無機被膜(1)に対し、樹脂含有無機被膜(2)は溶接性と打抜き性との両立を図ることができ、特に無機被膜(1)に比べて打抜き性が格段に優れている。またこの(2)の絶縁被膜は、有機樹脂と無機質とを含む処理液を電磁鋼板の表面に塗布した後、常法により焼付けして、すなわち1コート1ベークで絶縁被膜を得ることができるため広く利用されている。(2)の具体例としては、たとえば2価金属を含む重クロム酸塩系水溶液中に、酢酸ビニル/ベオバ系樹脂エマルションとともに有機還元剤を含ませた処理液を使用する、溶接時の悪臭発生抑制を図った絶縁被膜の開示(たとえば特許文献1など参照)などがある。
しかしながら従来汎用の歪取り焼鈍可能な絶縁被膜は、いずれも無機質としてCr化合物を含むものであった。昨今、環境意識の高まりから、電磁鋼板の製造現場あるいはこれを使用する環境においても、Crを含まない絶縁被膜が望まれている。このため実質的にCrを含まないが、従来のCr含有絶縁被膜と同様に打抜き性の良好な絶縁被膜(クロムフリー絶縁被膜と通称される)が模索されており、シリカ、アルミナなどの無機酸化物を含む上記(2)のタイプのクロムフリー絶縁被膜がいくつか提案されている。この具体的例として、コロイダルシリカ(アルミナ含有シリカ)と、Tg30〜150℃の樹脂とを含む水系塗料を用いることにより、沸騰水蒸気暴露性、耐溶剤性が良好な絶縁被膜を低温焼付けにより製造できるとする開示がある(たとえば特許文献2など参照)。
特公昭60−36476号公報 特開平10−130858号公報
上記のようなコロイダルシリカおよび樹脂を被膜成分とする水系塗料を電磁鋼板に塗布・焼付けした場合には、6価クロムのような不動態効果が期待できないため、若干の鉄溶出が起こり、虹色の外観模様が発生することがある。この現象は水系塗料を塗装した際に生じる問題であるが、塗料が酸性の場合には、鉄溶出が促進されるため特に起きやすい。またコロイダルシリカおよび樹脂系の水系塗料は、歪取り焼鈍前の電磁鋼板(製品板)のスリット加工におけるテンションパッドにおいて粉塵が多量に発生したり、歪取り焼鈍板のハンドリング時にキズが入り被膜が剥離することがあるという課題もある。
本発明は、上記のような課題を解決し、打抜き加工性などの被膜特性に優れることに加え、特に製品板の外観、耐粉吹き性、歪取り焼鈍板の耐キズ付き性も改善されたクロムフリーの絶縁被膜付き電磁鋼板を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべくAlおよびSiを無機質の膜成分として含むクロムフリー絶縁被膜について鋭意検討したところ、該AlおよびSiの合計量に対し特定量の易イオン性元素、および特定割合の樹脂成分を含ませた水系塗料から形成される絶縁被膜は、外観に優れるという知見を得た。さらにこの被膜におけるAlを、従来一般にコロイダルシリカに含有させるAl量よりもはるかに多い量で含ませることにより、製品板の被膜特性が良好で、耐粉吹き性、打抜き加工性などにも優れ、歪取り焼鈍後に良好な耐擦りキズ性を有し、上記のような所望の被膜特性を有する絶縁被膜付きという知見を得て本発明を完成するに至った。
本発明は、Al化合物およびSi化合物、イオン化傾向がFeより高く、かつ水系媒体中で2価以上のイオンになりうるAl以外の1種または2種以上の易イオン性元素(Crを除く)、および樹脂を含有する絶縁被膜であって、該被膜中の樹脂含量が固形分比で5〜50mass%であり、かつ前記AlおよびSi化合物のAl23およびSiO2換算合計量100質量部に対し、前記易イオン性元素を元素換算の合計で0.1〜100質量部含有する絶縁被膜を表面に有する、外観および被膜特性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板を提供する。
上記易イオン性元素としては、具体的に、Mg、Zn、Zr、Ca、Sr、MnまたはBaなどが挙げられる。Feよりイオン化傾向が高い多価元素のうちには、Alも含まれる。本発明では、Alは、前記Al化合物として扱われるため、Al以外の易イオン性元素を本発明の易イオン性元素として勘算する。なお、以下これらを他元素と記すこともある。なお、Siは、Feよりイオン化傾向が高くない。また、Feよりイオン化傾向が高い多価元素のうちには、Crも含まれるが、Crは、前述したような環境的な問題から、本発明の易イオン性元素中には含まれない。
上記のような絶縁被膜付き電磁鋼板は、上記Al化合物およびSi化合物、上記易イオン性元素の有機酸塩の1種または2種以上および樹脂を含む水系塗料を電磁鋼板の表面に塗布焼付けして絶縁被膜を形成して得ることができ、この方法を本発明に係る絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法として提供する。
本発明において、上記Al化合物およびSi化合物中のAl化合物の比率が、Al23/(Al23+SiO2)換算で40〜95mass%であることが望ましい。
上記絶縁被膜付き電磁鋼板(歪取り焼鈍前の製品板)において、上記Al化合物は、水酸基を含むAlの有機酸化合物および/またはその脱水反応物であることが好ましい。
上記水酸基を含むAlの有機酸化合物としては、具体的に、塩基性酢酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性クエン酸アルミニウムおよび塩基性酒石酸アルミニウムからなる群より選ばれる1種または2種以上の組合わせが好適である。
また上記Si化合物は、平均粒子径10nm以下のコロイダルシリカが好ましい。
上記のような絶縁被膜付き電磁鋼板(製品板)は、歪取り焼鈍後の耐キズ付き性に優れる。したがって本発明では、Al、Si、上記易イオン性元素およびOで実質的に構成され、上記AlおよびSiのAl23およびSiO2換算合計量100質量部に対し、上記易イオン性元素を合計で0.1〜100質量部含有し、耐キズ付き性に優れた絶縁被膜を有する、歪取り焼鈍が施された絶縁被膜付き電磁鋼板(焼鈍板)も提供される。
歪取り焼鈍は、通常500℃以上で実施される。
上記構成により、電磁鋼板のクロムフリー絶縁被膜において、製品板の優れた外観および耐粉吹き性、歪取り焼鈍後の高い耐キズ性を達成することができる。
以下、本発明に係る絶縁被膜付き電磁鋼板を、その製造プロセス例に基づいて具体的に説明する。
本発明において、電磁鋼板(電気鉄板)は、比抵抗を変化させて所望の磁気特性を得るために調整されたどのような組成の鋼板でもよく、特に制限されない。また絶縁被膜が形成される電磁鋼板の表面は、未処理のままでもよく、あるいは前処理されていてもよい。前処理は任意であるが、アルカリなどによる脱脂処理、塩酸、硫酸、リン酸などによる酸洗処理が好ましく適用される。
上記電磁鋼板の表面に、無機質成分としてAl化合物およびSi化合物とともに後述の易イオン性元素を含む処理液を使用して、実質的にクロムを含まない絶縁被膜を形成する。処理液を水系塗料の形態で鋼板に塗布焼付するには、上記Al化合物は水溶性であるか、またはコロイドないし懸濁状態で分散できるものであることが好ましい。
本発明では、特に上記Al化合物として、水酸基を含むAlの有機酸化合物および/またはその脱水反応物を使用することが好ましい。水酸基を含むAlの有機酸化合物としては、具体的に塩基性酢酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性クエン酸アルミニウムおよび塩基性酒石酸アルミニウムからなる群より選ばれる1種または2種以上の組合わせが挙げられる。同等の効果が得られれば有機酸を他のものに置換することは可能である。
これらのうちでも、分子式Alx(OH)y(CH3COO)z(x、y、zはそれぞれ1以上)で表される塩基性酢酸アルミニウムが好ましく、特にAl2(OH)5(CH3COO)が好ましい。これは分子レベルでの溶解状態から数nm程度のコロイド状態で存在でき、微細な均質分散系塗料を形成することができるためである。またその熱分析では、およそ200〜230℃で大きな脱水反応のピークが観察されることから、脱水縮合による分子間のネットワークを形成して造膜することができる。さらなる加熱により、およそ500℃までに脱水、脱酢酸反応が起こってネットワークが更に強固なものとなり、500℃〜625℃を超え、歪取り焼鈍温度に達すれば無定形アルミナ、γ−アルミナあるいはδ−アルミナになり強い被膜が形成されると考えられる。
Si化合物としては、コロイダルシリカが好ましく適用される。
コロイダルシリカは、SiO2 を主成分とする無機コロイドでありアモルファス状であることが多い。粒子径は、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下であり、小さいほど良好な被膜ができるため、下限は特に限定されない。これは、コロイダルシリカの粒子が微細なほど表面積が大きく、Al化合物または樹脂との相互作用が高くなって被膜の強さが増すものと考えられる。ただし、粒子径が小さくなるに従いシリカ粒子同士およびAl化合物との間で凝集しやすくなるため、コロイダルシリカの濃度を低くしなければならなくなる。これらの点を考慮して実用に耐えうる粒子径に設定することができる。
平均粒子径はBET法(吸着法による比表面積から換算)により測定できる。また、電子顕微鏡写真から実測した平均値で代用することも可能である。なお、上記粒子径は、コロイダルシリカそのものの粒子径であって、表面処理剤(Al化合物など)の厚みは含まない。
本発明では、絶縁被膜中の酸化物換算によるAl化合物とSi化合物との比率は、コロイダルシリカ粒径などによっても異なり、一概には規定できないが、Al化合物とSi化合物とのAl23/(Al23+SiO2)換算比率が40〜95mass%となる量でそれぞれを含むことが望ましい。上記で計算されるAl化合物の比率が40mass%以上であることにより、造膜成分である塩基性酢酸アルミニウム量が充分となり強い被膜を形成することができ、また95mass%以下であれば、反応性の高い塩基性酢酸アルミニウムを含む塗液を安定に保持して、均一な被膜を得ることができる。絶縁被膜中の酸化物換算によるAl化合物とSi化合物との比率は、上記範囲のうちでも、好ましくは50〜85mass%である。この好ましい組成は、ムライト(3Al23・2SiO2組成)の計算上の比率72mass%に近い組成である。
Al化合物とSi化合物とを、上記量比で絶縁被膜中に含ませるに際しては、Al化合物とSi化合物との組み合わせとして、上述の分子式で示される塩基性酢酸アルミニウムと、コロイダルシリカとの混合物が好適に適用できる。塩基性酢酸アルミニウムをコロイダルシリカの表面改質に使用する場合には、コロイダルシリカ表面の(−)電荷を(+)電荷に反応させ、表面を覆う最低限の添加量が処方される。このときの塩基性酢酸アルミニウムの比率はコロイダルシリカ粒径によりその表面積が変わるため、コロイダルシリカ粒径により上記比率も異なる。たとえばコロイダルシリカの粒径が13nmの場合には、Al化合物の上記比率は9%程度、9nmの場合には13%程度、5nmの場合には21%程度である。
本発明では、通常のシリカ表面処理量よりはるかに多いAl化合物を含んでおり、表面処理というよりもむしろコロイダルシリカと塩基性酢酸アルミニウムの混合物というべきものである。すなわち塩基性酢酸アルミニウムは、コロイダルシリカの表面に吸着したもの以外にもフリーな状態のものが多く存在するという形態をとっているものと考えられる。このようなAl化合物とSi化合物とは、歪取り焼鈍温度で処理後は、無定形アルミナおよび/またはγ−アルミナおよび/またはδ−アルミナと、シリカとの混合物になっていると考えられる。なお、水酸化アルミニウムと硅砂との組合わせでは約1400℃で、アルミナゾルとコロイダルシリカとの組合わせでは約1200℃で、それぞれムライトが得られるのに比べ、本発明において粒子径の小さいコロイダルシリカを使用した場合には、部分的には低温でもムライトまたはムライトに近い組成のアルミノケイ酸塩にもなりうると推定される。
本発明では、絶縁被膜中に、無機質成分として、上記Al化合物およびSi化合物とともに、イオン化傾向がFeより高く、かつ水系媒体中で2価以上のイオンになりうる1種または2種以上の易イオン性元素を含ませる。イオン化傾向がFeより高い元素は、標準電極電位などで選択することができる。本発明では、易イオン性元素としては、水系塗料中に溶解して2価イオンとなりうるAl以外の他元素のうち、Cr以外の元素であれば特に制限されないが、具体的には、Mg、Zn、Zr、Ca、Sr、MnまたはBaなどの金属元素が挙げられる。
これら元素は、水系塗料中でイオン化するため、通常、塩の形態で使用され、好ましくは腐食の起点になりにくい有機酸塩が挙げられる。たとえば、酢酸Mg、酢酸Zn、酢酸Zr、酢酸Ca、酢酸Srまたは酢酸Baなどの酢酸塩、同様に、上記各元素のプロピオン酸塩、ギ酸塩などが挙げられる。これら有機酸塩は塩基性塩の形態であってもかまわない。なお、腐食の問題を避けることができれば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの無機塩を使用することもできる。
上記易イオン性元素は、2価以上の元素(金属)であるため、1価金属を含ませる場合のように被膜を脆弱化させない。またイオン化傾向がFeより高いことにより、塗液の焼付け時にFeの溶出の防止効果を発現する。また易イオン性元素を含むことにより、被膜の外観を改善することができるが、その効果を充分に発現するためAlおよびSiの酸化物換算に100質量部に対し、易イオン性元素を0.1質量部以上の量で含ませる。一方、あまり多量に含ませると、易イオン性元素が2価の場合には、3次元のネットワーク構造の形成が若干脆弱となり、ベタツキが起こり曇った外観が得られる傾向があり、また3価以上の場合には、3次元ネットワークは充分に形成され、ベタツキは発生しなくなるが、耐粉付き性が劣化する。このため本発明では、易イオン性元素を、上記Al化合物およびSi化合物の(Al23 +SiO2)換算合計量100質量部に対し、その元素換算合計量で0.1〜100質量部の量で含ませる。易イオン性元素のより好ましい含量は、0.5〜50重量部である。
絶縁被膜は、上記無機質成分とともに樹脂を含む。樹脂としては、特に指定しないが、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等の1種または2種以上の水性樹脂(エマルション、ディスパーション、水溶性)を用いることが好ましい。またガラス転移点(Tg)が30〜150℃の樹脂を用いることが好ましい。
上記樹脂は、絶縁被膜中に被膜固形分中の樹脂固形分量として5〜50mass%含む。このような量の樹脂を含むことにより、歪取り焼鈍前の被膜特性が向上する。これは、樹脂と複合化されることにより、Al化合物好ましくは塩基性酢酸アルミニウムの造膜を補助するためであると考えられる。また、樹脂の分解温度以上、たとえば300℃以上では、樹脂の分解と塩基性酢酸アルミニウムの脱水・脱酢酸がほぼ同時に進行するため、一次造膜だけでなく二次造膜をスムーズに進行させる働きがあるものと考えられる。なお、樹脂含量が50mass%を超えると、塩基性酢酸アルミニウムのネットワーク形成を阻害するため、歪取り焼鈍前後において却って被膜が脆弱になる。より好ましくは、樹脂量は5〜40mass%である。
絶縁被膜は、上記のようなAl化合物、Si化合物、易イオン性元素の無機質成分および樹脂を含む処理液を塗布して焼き付けることにより被膜を形成することができる。
処理液中にはAl化合物の安定化剤を含ませることができる。特に指定しないが、たとえば塩基性酢酸アルミニウムの安定化剤として、ギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸などの有機酸が好適である。本発明の被膜特性を損なわなければ、他の安定化剤を使用してもよい。また被膜の性能および均一性を一層向上させるために、処理液中には、必要に応じて界面活性剤、防錆剤等の添加剤を配合してもよい。この場合、十分な被膜特性を維持するために、その添加量は合計でも乾燥後の被膜に対して、通常10%程度以下とすることが好ましい。
電磁鋼板上に、無機質成分、樹脂などを含む上記処理液を塗布する方法は、一般工業的に用いられるロールコーター、フローコーター、スプレー、ナイフコーター等種々の方法が適用可能である。焼き付け方法についても通常実施されるような熱風式、赤外式、誘導加熱式等が適用可能である。
電磁鋼板表面への絶縁被膜の付着量(乾燥後重量)は特に指定しないが、片側の表面で0.05〜5g/m2であることが好ましい。付着量が0.05g/m2未満であると耐食性が不足し、一方、付着量が5g/m2超であると、密着性が低下し、高温乾燥時にふくれが発生するなど塗装性が低下する傾向がある。より好ましくは0.1〜3.0g/m2である。絶縁被膜は、通常は両面に形成するが、場合によっては片面のみに形成してもかまわない。
上記のような絶縁被膜を有する電磁鋼板(製品板)は、打抜き加工時などの被膜特性に優れるだけでなく、スリット加工におけるテンションパッドにおいて粉塵が多量に発生したりせず、耐粉吹性に優れている。
また本発明の製品板は、歪取り焼鈍の適用が可能であり、歪取り焼鈍を施しても焼鈍板のハンドリング時にキズが入りにくい。
歪取り焼鈍後の耐キズ性は、歪取り焼鈍条件、特に温度に影響され、高温である方が樹脂の分解が進むとともに塩基性酢酸アルミニウムの脱水・脱酢酸反応による造膜が進みやすく、良好な絶縁被膜が形成できる。このため、500℃以上の温度で歪取り焼鈍を行ない樹脂を分解させて塩基性酢酸アルミニウムを造膜させる必要がある。500℃以上で歪取り焼鈍を施すことにより、上記Al化合物、Si化合物および場合によっては樹脂、さらに他の添加剤を含む絶縁被膜は、主にAl、SiおよびOの元素、および残留Cなどの不純物で構成される絶縁被膜となる。
好ましい歪取り焼鈍雰囲気としては、N2 雰囲気、DXガス雰囲気などの酸化されにくい雰囲気が好ましく適用される。このとき、露点を高く(〜Dp60℃程度)設定することもできる。また、好ましい歪取り焼鈍温度としては700〜900℃、より好ましくは750〜850℃である。歪取り焼鈍温度の保持期間は長い方が好ましいが通常の2時間以上が特に好ましい。
歪取り焼鈍が施された態様の本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板は、優れた耐キズ性を発揮する。
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜49および比較例1〜23)
表1に記載のAl化合物(分子式Al2 (OH)5(CH3COO)の塩基性酢酸アルミニウム)、Si化合物(コロイダルシリカ)、および易イオン性元素の塩、樹脂を表1に示す量比で含む水系塗料を調製した。ここで用いたAl化合物のSi化合物に対するAl23/(Al23+SiO2)換算の比率は60mass%である。
板厚0.5mm、巾150mm、長さ300mmの電気鉄板(電磁鋼板)の表面に、上記水系塗料をロールコーターで塗布し、プロパンガス直火により、到達板温230℃で焼付けした後、放冷した。
上記で得られた絶縁被膜の外観および絶縁被膜付き電磁鋼板(製品板)の耐粉吹き性を評価した。結果を表1に示す。
<外観>
判定基準
◎:均一で良好な被膜外観である
○:若干虹模様が残るが、良好な外観である
△:虹模様が認められる
×:虹模様が多く外観が悪い
<製品板耐粉吹き性>
試験条件:被膜表面にフェルトを接触させて7kgの荷重を掛け、40mの距離を摩擦した。被膜表面へのフェルト接触面は10mm×10mmとした。
判定基準
◎:ほとんど粉の発生が認められない
○:若干の擦り跡および若干の粉吹きが認められる程度
△:擦り跡および粉吹きがはっきりわかる程度
×:地鉄が露出するほど剥離し粉塵が甚大
<歪取り焼鈍後の耐キズ性>
上記製品板に、750℃で2時間、歪取り焼鈍を施した。焼鈍板の被膜表面上でせん断端部を10往復させて引っ掻き、目視により被膜のキズの程度を判定した。判定結果を表1に示す。
判定基準
◎;ほとんどのキズが認められない
○;キズ跡が若干判別できる程度
△;地鉄が若干露出する程度
×;剥離し地鉄が露出
Figure 2005240131
Figure 2005240131
表1から明らかなように、本発明の構成規定を満たす実施例は、いずれも外観、製品板の耐粉吹き性、歪取り焼鈍前後の耐キズ性に優れている。

Claims (3)

  1. Al化合物およびSi化合物、イオン化傾向がFeより高く、かつ水系媒体中で2価以上のイオンになりうるAl以外の1種または2種以上の易イオン性元素(Crを除く)、および樹脂を含有する絶縁被膜であって、該被膜中の樹脂含量が固形分比で5〜50mass%であり、かつ前記AlおよびSi化合物のAl23 およびSiO2換算合計量100質量部に対し、前記易イオン性元素を元素換算の合計で0.1〜100質量部含有する絶縁被膜を表面に有する、外観および被膜特性に優れる絶縁被膜付き電磁鋼板。
  2. 前記易イオン性元素が、Mg、Zn、Zr、Ca、Sr、MnおよびBaからなる群より選ばれる請求項1に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板。
  3. 前記Al化合物およびSi化合物、前記易イオン性元素の有機酸塩の1種または2種以上および樹脂を含む水系塗料を電磁鋼板の表面に塗布焼付けして絶縁被膜を形成する請求項1または2に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
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