JP2005239844A - 水性塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温造膜性とタック性とを高い領域において両立することができる水性塗料組成物を提供する。
【解決手段】樹脂成分を含んだ水性塗料組成物であって、上記樹脂成分を示差走査熱量分析することによって得られる、温度関数で表される示差熱量曲線の1次微分曲線が、2つ以上のピーク点を有していることを特徴とする水性塗料組成物であり、樹脂成分は塗料を遠心分離して得られる上澄み液に含まれるものであってもよい。ここで、2つ以上のピーク点のうち、1つのピーク点の温度は−40〜5℃であり、かつ、もう1つのピーク点の温度は20〜100℃であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築物の外装および内装に用いられる水性塗料組成物およびそれを用いた塗膜形成方法に関する。
建築物の内外装に用いられる塗料は、環境問題の観点から、エマルション樹脂を利用した水性塗料が用いられている。一般に、このような塗料には、低温造膜性と仕上がり時のタック性(ベタつきのなさ)との両立が必要とされている。通常、低温造膜性とタック性とは塗料中に含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)によって大きく左右される、相反する性能である。
このようなエマルション塗料では、エマルション樹脂の製造に用いるモノマー混合液のTgによる調整だけでは上記の相反する性能を充分に確保することが困難なため、Tgを比較的高い設計にすることによってタック性を確保する一方、さらに造膜助剤として有機溶剤を含有させて低温造膜性を確保することにより、相反する性能を両立させる方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。
ところが、さらなる環境への配慮として、揮発性有機化合物(VOC)の含有量を1質量%以下とする超低VOC水性型塗料では、塗料中に含まれる有機溶剤がごく微量となるため、上記低温造膜性の確保が困難になるという問題があった。
関西ペイント株式会社技術研究所著、「やさしい技術解説シリーズ(3)水性塗料の技術動向」、第1版、日本塗料新聞社、1994年4月1日、p.52−56
本発明は、低温造膜性とタック性とを高い領域において両立することができる水性塗料組成物を提供することにある。
本発明は、樹脂成分を含んだ水性塗料組成物であって、上記樹脂成分を示差走査熱量分析することによって得られる、温度関数で表される示差熱量曲線の1次微分曲線が、2つ以上のピーク点を有していることを特徴とする水性塗料組成物であり、樹脂成分は塗料を遠心分離して得られる上澄み液に含まれるものであってもよい。ここで、2つ以上のピーク点のうち、1つのピーク点の温度は−40〜5℃であり、かつ、もう1つのピーク点の温度は20〜100℃であることが好ましい。また、25℃におけるチクソトロピックインデックス値が2〜6であることが好ましい。また、揮発性有機化合物の含有量は1質量%以下であることが好ましい。
また、本発明は、基材に対して、上記の水性塗料組成物を塗布して塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法である。
本発明の水性塗料組成物は、含まれる樹脂成分を示差走査熱量分析することによって得られる、温度関数で表される示差走査熱量曲線(DSC曲線)の1次微分曲線が2つ以上のピーク点を有するものであるので、低温造膜性とタック性とを高い領域において両立させることができる。これは、樹脂成分のうち高温側のピーク点を呈する樹脂成分を有することでタック性を確保し、低温側のピーク点を呈する樹脂成分を有することで造膜性を確保していることによる。すなわち、各々の樹脂成分に機能分担させることによって実現できたものであると考えられる。
従って、低温造膜性はVOC含有量に左右されず、この効果は、むしろ、VOC含有量が1質量%以下の超低VOC水性型塗料において顕著に発揮できる。
また、本発明の塗膜形成方法によって得られる塗膜は、上記水性塗料組成物を使用するのでタック性と低温造膜性とに優れた塗膜である。従って、冬季の塗布においても良好な造膜性を示すことができる。また、塗布した後、ベタつき感がなく良好な仕上がり塗膜を得ることができる。
本発明の水性塗料組成物は、その樹脂成分を示唆走査熱量分析することによって得られる、温度関数で表されるDSC曲線の1次微分曲線が2つ以上のピーク点を有するものであることを特徴とするものである。このピーク点の温度は上記樹脂成分がガラス転移と同様な相変化を起こす温度であり、低温造膜性とタック性とに密接に関連している変数であると考えられる。
上記樹脂成分は実質的に単一樹脂からなる場合は少ないため、得られるDSC曲線のベースラインが不明確であったり、曲線の勾配の変化がごく僅かであったりするため、上記ピーク点の温度をDSC曲線から直接求めることは困難である。そのため、得られたDSC曲線に対して温度による微分を行い、得られた1次微分曲線からピーク点の温度を求めることとする。
本発明の水性塗料組成物は、得られた上記1次微分曲線が2つ以上のピーク点を有するものであることが必要である。上記1次微分曲線のピーク点が1つであると、低温造膜性とタック性との両立ができない。好ましくは上記1次微分曲線が2つのピーク点を有することである。上記1次微分曲線のピーク点は3つ以上であっても構わないが、それに見合った効果は小さく、経済的でない。
上記1次微分曲線が微小なノイズピークを含んでいて、目的のピーク点の有無が判断しにくい場合には、スムージング処理等を行うことによって、無関係と判断したピークを消去して目的のピーク点のみを取り出すことができる。
さらに、目的のピーク点の温度は、上記1次微分曲線から作図によって求めることができる。
上記示唆走査熱量分析を行う測定装置としては特に限定されず、例えば、DSC220C(セイコーインストゥルメンツ社製)等、市販品を挙げることができる。また、上記DSC曲線を描画する方法、上記DSC曲線から1次微分曲線を得る方法、スムージング処理を行う方法および目的のピーク点の温度を求める方法としては特に限定されず、上記測定装置によって得られたデータから作図する方法を挙げることができる。上記各方法は、通常の数学的処理を行うことができる解析ソフトウェアを用いて行うことが好ましい。上記解析ソフトウェアとしては特に限定されず、例えば、EXSTAR6000(セイコーインストゥルメンツ社製解析ソフトウェア)等を挙げることができる。
なお、このようにして求められたピーク点の温度は、作図による誤差として上下3℃程度の誤差を含む場合がある。
上記2つ以上のピーク点のうち、1つのピーク点の温度は−40℃以上および5℃以下、好ましくは0℃以下であり、かつ、もう1つのピーク点の温度は20℃以上および100℃以下であることが好ましい。上記ピーク点の温度が上記範囲外である場合、低温造膜性とタック性との高い領域での両立が充分でなくなる恐れがある。
上記2つ以上のピーク点を有する樹脂成分を得る方法としては特に限定されず、具体的には、以下の2つの方法によって実現することができる。第1の方法は、ガラス転移温度(Tg)の異なる2つ以上のエマルション樹脂を組み合わせて使用する方法である。つまり、低Tg、例えば、−40℃以上および5℃以下の計算Tgであるモノマー混合液を乳化重合して得られるエマルション樹脂と、高Tg、例えば、20℃以上および100℃以下の計算Tgであるモノマー混合液を乳化重合して得られるエマルション樹脂とを別々に合成した後、混合することによって上記樹脂成分とする方法である。
また、第2の方法は、Tgの異なる2層以上の、いわゆるコア/シェル構造を有するエマルション樹脂を使用するものである。つまり、低Tg、例えば、−40℃以上および5℃以下の計算Tgであるモノマー混合液による乳化重合と、高Tg、例えば、20℃以上および100℃以下の計算Tgであるモノマー混合液による乳化重合とを含んだ多段階重合によって得られるエマルション樹脂を上記樹脂成分とする方法である。
なお、上記2つの乳化重合の順序は特に限定されないが、低温造膜性の観点から、低計算Tgのモノマー混合液を乳化重合するのがエマルション樹脂の外殻部を形成するように、高計算Tgのモノマー混合液を乳化重合するのがエマルション樹脂の中心部を形成するように合成するのが好ましい。また、このようにして得られたエマルション樹脂2種以上を混合してもよい。いずれの方法においても、計算Tgとは、モノマー各々のホモポリマーのTgをモノマーのTgとして計算したものである。
なお、第1の方法および第2の方法とも、各々計算Tgが示唆走査熱量分析することによって得られるピーク点の温度と必ずしも一致するわけではなく、この計算Tgをそのまま上記ピーク点の温度とみなして本発明の効果の有無を決定することはできない。従って、上記計算Tgはあくまでもエマルション樹脂を設計するための指針にすぎない。
上記モノマー混合物に含まれるモノマーとしては特に限定されず、具体的には、カルボン酸基含有モノマー、水酸基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボニル基含有モノマーおよび(メタ)アクリル酸エステル等、当業者によってよく知られているものを挙げることができる。
上記乳化重合としては特に限定されず、当業者によってよく知られた方法を挙げることができる。
また、過硫酸塩、過酸化物、レドックス開始剤およびアゾ系開始剤等、当業者によってよく知られた重合開始剤を挙げることができる。
なお、本発明の水性塗料組成物に含まれる樹脂成分としては、得られる塗膜の低温造膜性とタック性の観点から、上記第1のTgの異なる2つ以上のエマルション樹脂を組み合わせて使用する方法によって得られるものであることが好ましい。
上記第1および第2の方法で用いられる各エマルション樹脂の体積平均粒子径としては特に限定されず、例えば、10〜500nmである。上記体積平均粒子径は、光散乱法等、当業者によってよく知られている方法で決定することができる。
上記示唆走査熱量分析は、塗料化する前であれば、上記樹脂成分のみを対象として測定してもよいし、塗料化後であれば、樹脂成分を抽出して測定を行ってもよい。
上記塗料化後に樹脂成分を抽出して測定する場合、塗料を適切な濃度に希釈した後、遠心分離して上澄み液と沈降物とに分離した後、上記上澄み液を測定することが好ましい。この操作を行うことによって、塗料に含まれる比重の比較的大きい着色顔料や体質顔料等の成分と比重の比較的小さい樹脂成分とを分離することができる。上記遠心分離の操作については特に限定されず、当業者によってよく知られている方法を挙げることができ、上記操作条件としては、例えば、塗料固形分濃度が10〜20質量%の場合、分離のための回転数は、例えば、8000〜15000rpm、また、時間は、例えば、2〜5時間とそれぞれすることができる。このようにして得られる上澄み液には上記樹脂成分が含まれる。なお、上記上澄み液には上記樹脂成分以外に添加剤等その他の成分も含まれるが、樹脂成分と比較して微量であるため、無視することができる。
本発明の水性塗料組成物は、上記樹脂成分の他に、必要に応じて、硬化剤、着色顔料、体質顔料、顔料分散剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含むことができる。
上記硬化剤としては特に限定されず、イソシアネート化合物、アジピン酸ジヒドラジド等、上記樹脂成分の反応性官能基と架橋反応可能な、当業者によってよく知られているものを適宜選択することができる。
上記着色顔料としては特に限定されず、無機顔料、有機顔料等、また、上記体質顔料としては特に限定されず、炭酸カルシウム、タルク等、いずれも当業者によってよく知られているものを挙げることができる。
なお、本発明の水性塗料組成物の顔料体積濃度は、10〜50%であることが好ましい。10%未満であるとタック性が低下する恐れがあり、50%を越えると低温造膜性が低下する恐れがある。
また、本発明の水性塗料組成物は、仕上がり性の観点から、25℃におけるチクソトロピックインデックス値が2以上、6以下であるものが好ましい。上記チクソトロピック値は、回転粘度計を用いて測定する粘度の、(6rpmの時の粘度)/(60rpmの時の粘度)によって求められるものである。上記回転粘度計としては特に限定されず、例えば、いわゆるB型粘度計と呼ばれる単一円筒型回転粘度計等を挙げることができる。上記チクソトロピックインデックス値が2未満であるとダレが発生し、6を超えると塗布作業感が重くなる。好ましくは3以上、5以下である。
また、塗布作業性および塗膜外観の観点から、25℃における塗料粘度が60〜120KUになるように制御することが好ましい。上記塗料粘度の測定方法としては特に限定されず、例えば、ストーマ粘度計等、当業者によってよく知られたものを挙げることができる。
上記チクソトロピック値および塗料粘度は増粘剤の添加によって制御することができる。上記チクソトロピックインデックス値および塗料粘度の調整のために用いられる増粘剤としては、具体的には、ウレタン会合型増粘剤、アルカリ膨潤型増粘剤および水膨潤型増粘剤等を挙げることができる。
本発明の水性塗料組成物は、環境に対する配慮の観点から、VOC含有量が1質量%以下であることが好ましい。上記VOCは常圧において揮発性を有する有機化合物であり、VOC含有量が1質量%以下である場合は、本発明の効果がより発揮される。なお、エマルション塗料組成物中のVOCの有無および含有量は、水素炎イオン化検出器(FID検出器)付きガスクロマトグラフィによる分析等、当業者によってよく知られた方法を用いて得ることができる。
本発明の塗膜形成方法は、基材に対して、上述の水性塗料組成物を塗布することを特徴とするものである。上記基材としては特に限定されず、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等およびその表面処理物の金属基材、セメント類、石灰類、石膏類等のセメント系基材、ポリ塩化ビニル類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、アクリル類等のプラスチック系基材等、および、これらからなる建築物や構造物等を挙げることができる。
また、塗布する方法としては特に限定されず、例えば、刷毛塗り、ローラー塗布、ロールコーター、カーテンフローコート、スプレー塗布、ナイフエッジコート等により種々の基材に対して行うことができる。塗布後、常温で放置または加熱を行うことによって塗膜を得ることができる。なお、塗布量、塗布膜厚および乾燥時間は、塗料の種類や適用する基材に応じて任意に設定することができる。
なお、上記基材は、表面にシーラー、下塗りまたは中塗りが施されていてもよい。上記シーラーは、一般に下地調整材として用いられるものであり、特に基材がセメント系基材のように多孔質である場合、基材と上塗りや中塗りとの付着性向上、上塗りや中塗り塗料の吸い込み防止、脆弱な下地の補強、下地からのアルカリ成分の溶出抑制、シミや汚れのブリード防止を目的として施されるものである。
上記下塗りおよび中塗りは、一般に、下地隠蔽性や、下地の変形による上塗りの割れ防止のための応力緩和等を目的として用いられるものである。上記シーラー、下塗りおよび上塗りとしては特に限定されず、アクリル系、アルキド系、ポリエステル系、塩化ビニル系およびエポキシ系等、当業者によってよく知られているものを挙げることができる。形態は有機溶剤型、水性型いずれであってもよいが、環境への配慮から、水性型であることが好ましい。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下において「部」とあるのは「質量部」を意味する。
製造例1 エマルション樹脂1の製造
滴下漏斗、温度計、窒素導入管、環流冷却器および撹拌機を備えた5口セパラブルフラスコにイオン交換水34.5部、ペレックスSS−H(花王社製アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)0.3部を仕込み、窒素雰囲気のもとで80℃に昇温した。スチレン19部、アクリル酸2−エチルへキシル53部、メタクリル酸メチル21部、エチレングリコールジメタクリレート4部、ジアセトンアクリルアミド1部およびメタクリル酸2部からなる、計算Tgが−13.6℃のモノマー混合液にドデシルメルカプタン1部を加えた後、これを、ペレックスSS−H1.2部をイオン交換水50部に溶解させた乳化剤水溶液中に加え、ミキサーを用いて乳化させてプレエマルジョンを調製した。このようにして得られたプレエマルションと過硫酸アンモニウム0.3部をイオン交換水13部に溶解させた開始剤水溶液を別個の滴下漏斗から同時に滴下した。前者は120分間、後者は150分間にわたって均等に滴下を開始した。滴下終了後、同温度でさらに120分間反応を継続した。冷却後、用いたメタクリル酸の80モル%に相当するAMP水で中和した。中和物を200メッシュの金網で濾過し、固形分50%のエマルション樹脂1を得た。
製造例2 エマルション樹脂2の製造
モノマー混合液を、スチレン20部、アクリル酸2−エチルへキシル20部、メタクリル酸メチル53部、エチレングリコールジメタクリレート4部、ジアセトンアクリルアミド1部およびメタクリル酸2部からなる、計算Tgが49.3℃であるモノマー混合液を用いたこと以外は製造例1と同様にして、固形分50%のエマルション樹脂2を得た。
製造例3 エマルション樹脂3の製造
モノマー混合液を、スチレン20部、2−エチルへキシルアクリレート38部、メチルメタクリレート35部、エチレングリコールジメタクリレート4部、ジアセトンアクリルアミド1部およびメタクリル酸2部からなる、計算Tgが11.7℃であるモノマー混合液を用いたこと以外は製造例1と同様にして、固形分50%のエマルション樹脂3を得た。
製造例4 エマルション樹脂4の製造
製造例1と同様の装置に、脱イオン水34.5部、ペレックスSS−H(花王社製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)0.3部を仕込み80℃に昇温した。スチレン24部、アクリル酸2−エチルへキシル17部、メタクリル酸メチル36部、ジアセトンアクリルアミド1部およびメタクリル酸1.6部からなる、計算Tgが45.8℃である第1段目のモノマー混合液にペレックスSS−H1.2部をイオン交換水50部に溶解させた乳化剤水溶液中に加え、ミキサーを用いて乳化させてプレエマルジョンを調製した。このプレエマルジョンと、過硫酸アンモニウム0.3部をイオン交換水13部に溶解させた開始剤水溶液とを別個の滴下漏斗から同時に滴下した。前者の滴下が終わってから30分後にスチレン2部、アクリル酸2−エチルへキシル12部、メタクリル酸メチル6部、メタクリル酸0.4部からなる、計算Tgが−23℃である第2段目のモノマー混合液を30分にわたり滴下した。全ての滴下が終わった後、同温度でさらに120分間反応を継続した。冷却後、用いたメタクリル酸に対して80モル%に相当するAMP水で中和した。これを200メッシュの金網で濾過し、固形分50%のエマルション樹脂4を得た。
製造例5 エマルション樹脂5の製造
製造例4の第1段目のモノマー混合液を14.2部および第2段目のモノマー混合液を85.8部としたこと以外は製造例4と同様にして、固形分50%のエマルション樹脂5を得た。
製造例6 エマルション樹脂6の製造
製造例4の第1段目のモノマー混合液を89.8部および第2段目のモノマー混合液を10.2部としたこと以外は製造例4と同様にして、固形分50%のエマルション樹脂6を得た。
製造例7 顔料ペーストの製造
タイペークCR−50(石原産業社製二酸化チタン)200部、SP−600N(ダイセル社製ヒドロキシセルロース系増粘剤)1部、SNデフォーマ1070(サンノプコ社製消泡剤)1部、ディスパービック−190(ビックケミー社製顔料分散剤)15部およびイオン交換水53部を混合した後、ガラスビーズを用いディスパーにて分散し、顔料分散ペーストを得た。
実施例1
製造例1で得られたエマルション樹脂210部、製造例2で得られたエマルション樹脂80部、製造例7で得られた顔料ペースト150部、SNデフォーマ1070(サンノプコ社製消泡剤)を5部、アジピン酸ジヒドラジド5%水溶液14部およびイオン交換水41部を混合して水性塗料組成物を得た。この水性塗料組成物に含まれるVOC含有量をFID検出器付きHP−5890(ヒューレットパッカード社製ガスクロマトグラフィ)にて分析し、検出された揮発成分のピーク面積の合計を予め作成したトルエン標準サンプルの検量線式に代入して求めたところ、0.1質量%であった。
得られた水性塗料組成物を脱イオン水で4倍希釈(塗料固形分14質量%)した後、H−200NR(コクサン社製遠心分離器)にて12000rpm、4時間の条件で遠心分離し、樹脂成分を含んだ上澄み液を分取した。得られた上澄み液をDSC220C(セイコーインストゥルメンツ社製示差走査熱量計)にて−80℃から150℃まで、毎分10℃の昇温条件で測定し、EXSTAR6000(セイコーインストゥルメンツ社製解析ソフトウェア)にて温度関数で表されるDSC曲線およびその1次微分曲線を得た。得られた各曲線を図1に示した。この曲線から上記解析ソウトウェアを用いた作図によってピーク点の温度を求めたところ、−1.2℃と62.4℃とであった。
得られた水性塗料組成物を温度23℃、湿度50%の条件下でガラス板上に乾燥膜厚50μmとなるようにアプリケータを用いて塗布した後、同条件下で1時間放置し、さらに40℃の恒温室にて24時間放置してタック性評価板を得た。
また、温度5℃の条件下でガラス板上にタック性評価板と同様にして塗布した後、同条件下で24時間放置して低温造膜性評価板を得た。
実施例2
さらに、アデカノールUH−420(旭電化社製ウレタン会合型水性増粘剤)を6部加えたこと以外、実施例1と同様にして水性塗料組成物を得た。さらに、実施例1と同様にしてピーク点の温度を求めたところ、実施例1と同じく、−6.5℃と62.3℃とであった。この水性塗料組成物に含まれるVOC含有量を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィにて分析したところ、0.1質量%であった。
スレート板にニッペウルトラシーラーIII(日本ペイント社製水性シーラー)を塗布量100g/mでハケを用いて塗布して16時間放置した後、得られた水性塗料組成物を25℃においてストーマ粘度計で70KUとなるように水で希釈した。この希釈塗料をB型粘度計(形式BM)(東京計器社製)にて、回転数が60rpmの時の粘度と6rpmの時の粘度とを測定し、(回転数60rpmの時の粘度)/(回転数が6rpmの時の粘度)を計算してチクソトロピックインデックス値を求めたところ4.2であった。塗布量100g/mでローラーを用いてインターバルを2時間として2回塗り重ね塗布した。このときダレ性、フロー性とも良好であり、得られた塗膜は高外観であった。
比較例1
製造例1で得られたエマルション樹脂に代えて製造例3で得られたエマルション樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物を得た後、同様にしてピーク点の温度を求めたところ、17.3℃と61.7℃とであった。さらに、実施例1と同様にしてタック性評価板および低温造膜性評価板を得た。なお、この水性塗料組成物に含まれるVOC含有量を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィにて分析したところ、0.1質量%であった。
比較例2
製造例2で得られたエマルション樹脂に代えて製造例3で得られたエマルション樹脂を用いたこと以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物を得た後、同様にしてピーク点の温度を求めたところ、−6.2℃と17.3℃とであった。なお、この水性塗料組成物に含まれるVOC含有量を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィにて分析したところ、0.1質量%であった。
実施例3
製造例4で得られたエマルション樹脂290部、製造例7で得られた顔料ペースト150部、SNデフォーマ1070(サンノプコ社製消泡剤)を5部、アジピン酸ジヒドラジド5%水溶液14部、アデカノールUH−420を6部およびイオン交換水35部を混合して水性塗料組成物を得た。その後、同様にしてピーク点の温度を求めたところ、−7.8℃と52.9℃とであった。さらに、実施例1と同様にしてタック性評価板および低温造膜性評価板を得た。なお、この水性塗料組成物に含まれるVOC含有量を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィにて分析したところ、0.1質量%であった。
比較例3
製造例4で得られたエマルション樹脂に代えて製造例5で得られたエマルション樹脂を用いたこと以外は実施例2と同様にして、水性塗料組成物を得た後、同様にしてピーク点の温度を求めたところ、−9.5℃の1点しか確認できなかった。さらに、実施例1と同様にしてタック性評価板および低温造膜性評価板を得た。なお、この水性塗料組成物に含まれるVOC含有量を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィにて分析したところ、0.1質量%であった。
比較例4
製造例4で得られたエマルション樹脂に代えて製造例6で得られたエマルション樹脂を用いたこと以外は実施例2と同様にして、水性塗料組成物を得た後、同様にしてピーク点の温度を求めたところ、55℃の1点しか確認できなかった。さらに、実施例1と同様にしてタック性評価板および低温造膜性評価板を得た。なお、この水性塗料組成物に含まれるVOC含有量を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィにて分析したところ、0.1質量%であった。
実施例4
製造例4で得られたエマルション樹脂に代えて製造例5で得られたエマルション樹脂42部と製造例6で得られたエマルション樹脂14部を用いたこと以外は実施例2と同様にして、水性塗料組成物を得た後、同様にしてピーク点の温度を求めたところ、−8.0℃と53.4℃とであった。さらに、実施例1と同様にしてタック性評価板および低温造膜性評価板を得た。なお、この水性塗料組成物に含まれるVOC含有量を実施例1と同様にしてガスクロマトグラフィにて分析したところ、0.1質量%であった。
評価試験
作成した各評価板を以下の通り試験し、評価した。なお、評価結果は表1に示した。
(1)タック性
タック性評価板を作成した直後に7cm角のウエスを置き、さらにその上に600gのおもりを載せて40℃で24時間放置した後、おもりを取り外して、ウエスを剥がした。ウエスを剥がす時の引き剥がし感をタック性として、以下の評価基準に従って評価した。
○:抵抗を全く感じず、引き剥がせる
△:抵抗を感じるが引き剥がせる
×:抵抗を感じ、引き剥がすことが困難である
(2)低温造膜性
低温造膜性評価板の塗膜表面状態を目視にて、以下の評価基準に従って評価した。
○:塗膜の割れが全くない
×:塗膜の割れがある
Figure 2005239844
表1の結果から明らかなように、所定のピーク点の温度を有する樹脂成分を含んだ水性塗料組成物は、低温造膜性とタック性とを高い領域において両立できることがわかった(実施例1、3および4)。さらに、粘性を調整した水性塗料組成物は塗布作業性においても良好であった。しかしながら、所定の温度範囲外であるピーク点の温度を有する樹脂成分を含んでいたり、所定のピーク点が得られない水性塗料組成物は、低温造膜性とタック性とを両立させることができないことがわかった(比較例1〜4)。
本発明は、建築物の内装および外装に好適に用いることができる。
本発明の実施例1で得られた、左縦軸を示差走査熱量、右縦軸を示差走査熱量の温度微分値、横軸を温度として、解析ソフトウェアを用いて得られたDSC曲線およびその1次微分曲線、ならびに、ピーク点を示す図である。
符号の説明
A:実施例1で得られたDSC曲線
B:DSC曲線Aの1次微分曲線
C、C’:1次微分曲線Bから求められたピーク点
D、D’:ピーク点CおよびC’の温度を求めるためのソフトウェアによる作図線

Claims (6)

  1. 樹脂成分を含んだ水性塗料組成物であって、
    前記樹脂成分を示差走査熱量分析することによって得られる、温度関数で表される示差熱量曲線の1次微分曲線が、2つ以上のピーク点を有するものであることを特徴とする水性塗料組成物。
  2. 前記樹脂成分は、前記水性塗料組成物を遠心分離して得られる上澄み液に含まれるものである請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. 前記2つ以上のピーク点のうち、1つのピーク点の温度は−40〜5℃であり、かつ、もう1つのピーク点の温度は20〜100℃である請求項1または2に記載の水性塗料組成物。
  4. 25℃におけるチクソトロピックインデックス値が2〜6である請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の水性塗料組成物。
  5. 揮発性有機化合物の含有量は1質量%以下である請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の水性塗料組成物。
  6. 基材に対して、請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の水性塗料組成物を塗布して塗膜を形成することを特徴とする塗膜形成方法。
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