JP2005239482A - 自己治癒コンクリート - Google Patents

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伸一郎 野澤
Yasumasa Takakuwa
靖匡 高桑
Kaoru Kobayashi
薫 小林
Hiroyuki Arita
浩之 在田
Toshiji Kishi
利治 岸
Akira Hosoda
暁 細田
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Abstract

【課題】低水粉体比以外の領域のコンクリートにおいても、有機質系の材料を使用せずに、貫通ひび割れ等の大きなひび割れでも自ら修復させ、止水性を向上させることである。
【解決手段】コンクリートを、水、セメントと膨張材と無機質セメント結晶増殖材を含む粉体、細骨材、粗骨材等を含むように配合する。この際、セメントと膨張材と無機質セメント結晶増殖材とを含む粉体に対する水の重量比(水粉体比)が、60%以下となるように配合する。また、膨張材の重量が10〜80kg/m3となるように配合する。また、無機質セメント結晶増殖材の重量を0.1〜10kg/m3となるように配合する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ひび割れ、特に貫通ひび割れ等の大きなひび割れを自ら修復する自己治癒コンクリートに関する。
従来、一般のコンクリートは、コンクリートの硬化前および硬化後に応力の作用、乾燥収縮等による体積変化等によってひび割れが発生するため、その対策工として構造物製作時に止水工、防水工を施してきた。また、コンクリートのひび割れ発生後に対しては、充填注入工により対処してきた。しかし、止水工、防水工または充填材注入工等の対策は、工期が延長したり、工費が増大したりする原因となっていた。
そこで、上記のような対策工を不要とするために、コンクリート打設後の硬化した時点において、セメントや膨張材を含む粉体の未反応部分が残存するように構成したコンクリートが考えられた(例えば、特許文献1)。これは、硬化後にコンクリートのひび割れが発生しても、このひび割れに外部から水分が浸入して粉体の未反応部分が水分と水和反応して膨張することにより、発生したひび割れを自己治癒してコンクリートが止水性能を回復するというものである。
また、セメント等と硬化剤未添加のエポキシ樹脂と水とを練り合わせて作製するコンクリートも考えられている(例えば、特許文献2)。練り合わせによって生コンクリート中にエポキシ樹脂粒が複数生成し、このエポキシ樹脂粒が周囲に存在するセメント水和物と反応して、表層のみ硬化して内部は硬化しない状態となる。その後、コンクリートにひび割れが入ると、エポキシ樹脂粒の硬化している表層は破れてエポキシ樹脂粒内部から未硬化エポキシ樹脂が流出し、ひび割れを充填した未硬化エポキシ樹脂が周囲にあるセメント水和物と反応して硬化するというものである。
特開2003−267765号公報 特開平11−349366号公報
上記したコンクリートによれば、ひび割れを自ら修復することができ、ある程度の効果をあげることができる。しかしながら、特許文献1に記載のコンクリートでは、未反応部分を残存させるために、水粉体比を小さく設定しなければならず、スランプ管理が可能な水粉体比の大きいコンクリートに比べて、スランプフロー管理となる低水粉体比コンクリートは製造コストが高くなる。また、粉体の未反応部分と水分との水和反応による膨張には限界があり、貫通ひび割れ等の大きなひび割れには対応できなかった。
また、特許文献2に記載のコンクリートでも、ひび割れにより流出したエポキシ樹脂の表層のみが、周囲にあるセメント水和物と反応して硬化するため、微細なひび割れにしか対応できなかった。また、エポキシ樹脂は有機質系の材料であり、無機質系であるコンクリートとは異質であるため劣化して剥離したり、また炭化しやすいために耐火性に劣ったりするという問題がある。
本発明の課題は、低水粉体比以外の領域のコンクリートにおいても、有機質系の材料を使用せずに、貫通ひび割れ等の大きなひび割れでも自ら修復させ、止水性を向上させることである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の自己治癒コンクリートは、セメント等の粉体、水、骨材を含むように配合され、前記粉体を、膨張材と無機質セメント結晶増殖材を含むように構成することを特徴とする。
このように、粉体に膨張材と無機質セメント結晶増殖材を添加することにより、コンクリートに貫通ひび割れ等の大きなひび割れが発生しても、このひび割れに外部から水分が浸入し、膨張材と無機質セメント結晶増殖材が水分と水和反応して膨張および析出物の生成が行われる。これにより、発生したひび割れの空隙を埋める自己治癒機能を発揮してコンクリートが止水性能を回復することができる。このように、粉体比にかかわらず、有機質系の材料を用いずに、自己治癒機能を有するコンクリートを得ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自己治癒コンクリートであって、水の前記粉体に対する重量比を60%以下に設定することを特徴とする。
このように、水の前記粉体に対する重量比を60%以下に設定することにより、コンクリートの乾燥収縮が小さくなるため、収縮によるひび割れの抑制に有効であり、コンクリートの自己治癒性能を十分に発揮させることができる。なお、水の前記粉体に対する重量比(水粉体比)とは、いわゆる水セメント比(W/C)におけるセメントを粉体に置き換えたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の自己治癒コンクリートであって、前記膨張材の重量を10〜80kg/m3に設定することを特徴とする。
このように、前記膨張材の重量を10kg/m3以上に設定したことで、膨張材の作用により、コンクリートのひび割れ自己治癒性能が向上するとともにひび割れ抵抗性能も向上する。また、前記膨張材の重量を80kg/m3以下に設定したことで、膨張材の作用によるコンクリートの自己崩壊の可能性が低減する。すなわち、前記膨張材の重量を10〜80kg/m3に設定したことによって、コンクリートのひび割れ抵抗性能も向上し、さらに、コンクリートの自己崩壊の可能性も低減することができる。
なお、膨張材としては、粉体状のもので水分の供給によって膨張する性質の物質が挙げられる。例えば、セメントおよび水とともに練り混ぜた場合、水和反応によってエトリンガイドまたは水酸化カルシウム等を生成し、コンクリートを膨張させる作用のある混和材が挙げられる。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の自己治癒コンクリートであって、前記無機質セメント結晶増殖材の重量を0.1〜10kg/m3に設定したことを特徴とする。
このように、前記無機質セメント結晶増殖材の重量を0.1kg/m3以上に設定したことで、無機質セメント結晶増殖材の作用により、コンクリートのひび割れ自己治癒性能が向上する。また、前記無機質セメント結晶増殖材の重量を10kg/m3以下に設定したことで、十分な自己治癒性能を確保しつつコンクリートの製作コストを低減する。すなわち、前記無機質セメント結晶増殖材の重量を0.1〜10kg/m3に設定したことによって、コンクリートのひび割れ自己治癒性能が向上し、さらに、十分な自己治癒性能を確保しつつコンクリートの製作コストを低減することができる。
なお、無機質セメント結晶増殖材としては、コンクリート構造物の微小ひび割れ細孔内へと浸透していき結晶生成作用をなす物質が挙げられる。例えば、ポルトランドセメント組成物と、粒径30〜500μmの微細シリカ、水ガラス、および珪弗化マグネシウム又はマグネシア並びにシリカを含んだ珪弗化物の少なくとも1種からなる水溶性珪弗化物を含有したコンクリート劣化抑止結晶増殖剤が挙げられる(特許2521274号公報)。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の自己治癒コンクリートであって、セメントとして低熱ポルトランドセメントを使用することを特徴とする。
このように、低熱ポルトランドセメントを使用してコンクリートを製作することにより、水和発熱量が小さくなるため、コンクリートの温度上昇量が小さく、また、発熱速度が小さいため、温度応力によるひび割れの抑制に有効であり、コンクリートの自己治癒性能を十分に発揮させることができる。
請求項1に記載の発明によれば、セメント等の粉体、水、骨材を含むように配合されたコンクリートにおいて、粉体に膨張材と無機質セメント結晶増殖材を含むように構成することにより、コンクリートに貫通ひび割れ等の大きなひび割れが発生しても、このひび割れに外部から水分が浸入し、膨張材と無機質セメント結晶増殖材が水分と水和反応して膨張および析出物の生成が行われ、発生したひび割れが自己治癒してコンクリートが止水性能を回復することができる。
請求項2に記載の発明によれば、60%以下の水粉体比とし、コンクリートの乾燥収縮を小さくすることにより、収縮によるひび割れの有効に抑制され、コンクリートの自己治癒性能を十分に発揮させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、膨張材の重量を10〜80kg/m3に設定したことによって、コンクリートのひび割れ抵抗性能も向上し、さらに、コンクリートの自己崩壊の可能性も低減することができる。
請求項4に記載の発明によれば、無機質セメント結晶増殖材の重量を0.1〜10kg/m3に設定したことによって、コンクリートのひび割れ自己治癒性能が向上し、さらに、十分な自己治癒性能を確保しつうコンクリートの製作コストを低減することができる。
請求項5に記載の発明によれば、セメントとして低熱ポルトランドセメントを使用することにより、水和発熱量が小さいため、コンクリートの温度上昇量が小さく、また、発熱速度が小さいため、温度応力によるひび割れが有効に抑制され、コンクリートの自己治癒性能を十分に発揮させることができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本発明に係るコンクリートは、水、セメントと膨張材と無機質セメント結晶増殖材とからなる粉体、細骨材(骨材)、粗骨材(骨材)等を含むように配合される。
セメントとしては、普通ポルトランドセメント等、様々な種類が考えられるが、望ましくは低発熱型の低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント等が望ましい。
膨張材としては、粉体状のもので水分の供給によって膨張する性質の物質が挙げられる。例えば、セメントおよび水と混合した場合、水和反応によりエトリンガイドまたは水酸化カルシウム等の結晶を生成してコンクリートを膨張させる作用のある混和材が挙げられる。
無機質セメント結晶増殖材としては、コンクリート構造物の微小ひび割れ細孔内へと浸透していき結晶生成作用をなす物質が挙げられる。例えば、ポルトランドセメント組成物と、粒径30〜500μmの微細シリカ、水ガラス、および珪弗化マグネシウム又はマグネシア並びにシリカを含んだ珪弗化物の少なくとも1種からなる水溶性珪弗化物を含有したコンクリート劣化抑止結晶増殖剤が挙げられる(特許2521274号公報)。
以上のような構成材料によって、セメントと膨張材と無機質セメント結晶増殖材とからなる粉体に対する水の重量比(水粉体比)が、60%以下となるように配合する。さらに、膨張材の重量が10〜80kg/m3、無機質セメント結晶増殖材の重量が0.1〜10kg/m3となるように配合する。このように配合した後、攪拌機に投入して混練し、その後に型枠などに打設される。水粉体比を60%以下に設定しているので、従来のコンクリートと同程度の施工性や充填性などを確保することができる。
前記のように構成されたコンクリートを、例えば地下構造物に用いた場合、乾燥収縮等によって貫通ひび割れ等の大きなひび割れが発生したとしても、このひび割れから水分が入り込み、膨張材と無機質セメント結晶増殖材がこの水分と水和反応して膨張および析出物の生成が行われる。これにより、発生したひび割れの空隙を埋める自己治癒機能を発揮してコンクリートが止水性能を回復する。
ここで、本発明者らは、多くの実験研究を行った結果、上記したような、膨張材と無機質セメント結晶増殖材をセメントに混合しコンクリートを製造することにより、ひび割れに対する自己治癒機能を向上させることができることを見出した。
以下にその実験内容および結果について説明する。本発明に係る自己治癒コンクリートを用いて、供試体を作製して、一軸引張による貫通ひび割れを生じさせ、緊張力保持のもとひび割れ部の観察を行い自己修復機能について確認した。また、自己修復の過程において、ひび割れの閉塞が膨張コンクリートの追加膨張によるものなのか、新たな水和生成物(以下、新水和生成物と記す)の析出によるものなのかについても確認を行った。さらに、閉塞したひび割れ部に水圧を作用させ、その水密性状についての確認を行った。
<供試体の製作>
本実験に使用した材料を表1に、配合を表2に示す。供試体No.7は本発明に係る膨張材及び無機質セメント結晶増殖材を添加したコンクリートの実施例であり、供試体No.1〜No.6は特許文献1に記載の低水粉体比の膨張材を添加したコンクリートに相当する比較例であり、供試体No.8は無機質セメント結晶増殖材のみ添加し、供試体No.9はいずれも添加していないコンクリートの比較例である。
Figure 2005239482
Figure 2005239482
使用セメントは普通および低熱ポルトランドセメントの2種類とした。膨張材はエトリンガイト系膨張材およびエトリンガイト・石灰複合系膨張材(低添加型)を用いた。
コンクリートはセメントおよび骨材を2軸強制練りミキサに投入し15秒間空練りした後、水ならびに混和材等を投入して90秒間練り混ぜて調整した。
供試体寸法は膨張コンクリートを用いた実験として実績の多いJIS A 6202付属書2のB法に準じた。拘束棒は呼び名11mmのまくらぎ用PC鋼棒(ヤング係数1.94×102N/mm2)を用いており、全長にわたりねじ切り加工されている。
養生方法は、いずれの供試体も材齢1日までポリエスティルフィルムによって封緘状態で型枠中に存置し、外部からの水分浸入ならびに供試体からの水分散逸が生じない状態とした。脱型後は材齢7日のひび割れ導入時まで湿布養生し、ひび割れ導入後は標準水中養生とした。養生温度はすべて20℃で行った。切欠きは、台形の発泡スチロールを型枠側面にあらかじめ設置し、脱型時に撤去することで設けた。
<ひび割れ閉塞確認実験>
実験概要を図1に示す。表1に示す9供試体について材齢1日で脱型、湿潤状態での気中養生後、材齢7日にひび割れを導入した。拘束棒であるPC鋼棒に貼付した鋼材用ひずみゲージは、貼付位置の全周のねじを2cmにわたり切削し、供試体中央部の埋込み部と露出部にそれぞれ2枚貼付した。コンクリート用ひずみゲージは、ひび割れ近傍のコンクリートひずみを測定するために軸方向に1枚貼付した。ひずみゲージとコンクリート表面の間には防水コーティング剤を塗り、ひずみゲージ上面にはブチルゴムを被せて防水処置を施した。
供試体に貫通ひび割れを導入するために、鋼製外枠を反力として拘束棒片側をジャッキにて緊張した。この際、PC鋼棒を降伏させないよう注意を払い、ひび割れ幅が0.1mm〜0.3mm程度となるように42.2kNで緊張した。載荷後は緊張力を保持するために緩み防止用ボンドを塗布しダブルナットにて締め付けた。
ひび割れ導入後、切欠き部を除く2面について4点ずつひび割れ測定点を設けた。さらに、ひび割れ測定点近傍に付けた定点間の距離を測ることにより、ひび割れ閉塞が膨張コンクリートの追加膨張によるものなのか、新たな水和生成物析出によるものなのかについて判別できるようにした。
測定点はマイクロスコープ(倍率175)で材齢60日にわたり観察し、ひび割れ幅およびひび割れ閉塞状況について確認した。測定材齢はひび割れ閉塞状況について確認した。測定材齢はひび割れ導入日である7日、14日、28日および60日の4材齢とした。
<ひび割れ閉塞性状>
ひび割れ導入前である材齢7日までの埋込み部のPC鋼棒ひずみを図2に示す。エトリンガイト系膨張材を添加した6体については水粉体比にかかわらず膨張材置換量(E/(E+C))の大きいものほど、ひずみは大きくなった。材齢7日における埋込み部のPC鋼棒ひずみはひび割れ導入前のケミカルプレストレスインを示している。すべての供試体において、ひび割れ導入のための緊張力は同一とした。これにより、緊張前のケミカルプレストレスインの大きい供試体については膨張コンクリートのひび割れ抵抗性が高くなり、また、緊張時のひび割れ幅は小さくなるため、ひび割れ閉塞には有利な状況となる。
ひび割れ導入後の埋込み部と露出部のPC鋼棒ひずみを図3および図4に、ひび割れ近傍におけるコンクリート軸方向ひずみを図5にそれぞれ示す。図3より埋込み部のPC鋼棒ひずみは供試体No.1のひずみが7日から14日のあいだに大きく進展していることが分かる。これより、他の供試体に比べて供試体No.1はひび割れ導入後においても大きく追加膨張したと推察される。
図4より露出部のPC鋼棒ひずみは、追加膨張のみられた供試体No.1を除いてはひずみの低下は少なく、PC鋼棒のリラクセーションによる荷重抜けは見られるものの、材齢60日までほぼ同一の緊張力を保持していたものと推察される。
図5よりひび割れ近傍のコンクリートは膨張材を用いていない供試体No.8、9を除いてはいずれの供試体においても追加膨張を発現していると考えられる。これは埋込み部のPC鋼棒ひずみの傾向とは必ずしも一致していない。
追加膨張および新水和生成物析出によるひび割れ幅の材齢7日(ひび割れ導入日)と材齢60日における測定値を表3に示す。また、ひび割れ幅の経時変化のうち代表的なものを図6〜10にそれぞれ示す。実線は膨張コンクリートの追加膨張および新水和生成物析出によるひび割れ幅の経時変化である。点線はひび割れ測定点近傍に記した定点間距離から求めた膨張コンクリートの追加膨張のみによるひび割れ幅の経時変化である。ひび割れ導入時には均等に貫通ひび割れが生じるように載荷を試みたが、実際は荷重偏心による曲げが生じ、予想より大きなひび割れが生じた供試体もあるため、型枠面、打設面に分けてひび割れ幅を整理している。
Figure 2005239482
いずれの供試体においても膨張コンクリートの追加膨張によるひび割れ修復効果は材齢14日を経過するまでにほぼ終了している。新水和生成物析出によるひび割れ修復効果は材齢28日を経過するまで作用し続けるが、その後の閉塞効果は少ない。また、膨張コンクリートの追加膨張によるひび割れ修復効果と新水和生成物析出によるひび割れ修復効果を比較した場合、後者による効果の方が大きいことが分かった。
今回のひび割れ部の観察より、No.1、6および7については、ひび割れがほぼ閉塞していることが確認できた。特に供試体No.7のように膨張材と無機質セメント結晶増殖材の両方を添加したケースでは、0.3〜0.4mm程度のひび割れ幅であっても新水和生成物の析出が多く、最終的にはひび割れが閉塞する結果となった。
本実験では材齢7日のひび割れ導入後に水中養生を行っているが、材齢14日までの間にひび割れが閉塞したケースが多く見られた。今回のようにひび割れ発生後に外部から水分の供給がある場合は、比較的早い段階からひび割れ修復機能が働くことが分かった。
<加圧透水実験>
すべての供試体について、材齢60日の時点で緊張力を保持したまま加圧透水実験を行った。供試体には貫通ひび割れが生じているので、切欠き部のある面を側面としてセッティングを行い、実験中の漏水防止のため切欠き部をシーリングおよび発泡シリコーンゴムにより防水処置を施した。
実験は加圧ポンプ、鋼製圧力タンク、推量測定秤から構成され、加圧ポンプにより鋼製圧力タンクの水圧計が100kPaになるまで手動ジャッキにて加圧した。加圧後、120分のあいだ100kPaを保持しながら、供試体底面から透水した水量を電子秤によって5分ごとに測定した。
<透水量の経時変化>
加圧透水実験の単位時間あたりの透水量の経時変化および材齢60日における型枠面および打設面の各供試体の最終ひび割れ幅を図11に、累計透水量の経時変化を図12にそれぞれ示す。供試体No.8および9についてはひび割れ幅が大きいため、当初から所定の水圧を保持することが不可能であったために実験を中止している。
単位時間あたりの透水量の経時変化は実験開始から60分経過するまでは透水量にばらつきが見られたが、その後の60分は一定の値に収束する傾向が見られた。この定常状態における値を透水量と見なすと、いずれの供試体においても透水量は約50cm3/min以下の値となった。
マイクロスコープによる観察により、ひび割れがほぼ閉塞していることが確認されたNo.1、6および7については、透水がほとんど見られなかった。これより、目視によるひび割れ閉塞が確認できたものについては実際の加圧透水実験においても高い水密性を保持することを確認した。今回の実験の範囲内においては、膨張コンクリートの追加膨張および新水和生成物によって閉塞されたひび割れは、水密性についても効果を発揮した。
本実験で得られた知見は以下の通りである。
膨張コンクリートに一軸引張による貫通ひび割れを与え、緊張力を保持したままひび割れ部の観察を行った。その結果、水粉体比が45%程度のコンクリートにおいても、ひび割れ発生後に外部から水分の供給がある場合は、比較的早い段階からひび割れ修復機能が作用することが分かった。
膨張材と無機質セメント結晶増殖材の両方を添加したケースでは、0.3〜0.4mm程度のひび割れ幅であってもコンクリートの追加膨張と新水和生成物の析出によりひび割れが閉塞に至ることが確認できた。
マイクロスコープによりひび割れの閉塞が確認できた供試体については、コンクリートの透水実験をおこなった結果、水圧100kPaを120分にわたり載荷するという厳しい条件下においても高い水密性を示した。
なお、以上の実施の形態においては、本発明の自己治癒コンクリートを地下構造物に適用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、水密構造物などに用いることは効果的であることは勿論のこと、その他の構造物に用いても良い。
また、骨材、混和剤等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
本発明の自己治癒コンクリートの効果を立証するために行った実験概要の説明図である。 ひび割れ導入前の埋込みPC鋼棒ひずみの経時変化を示すグラフである。 ひび割れ導入後の埋込みPC鋼棒ひずみの経時変化を示すグラフである。 ひび割れ導入後の露出PC鋼棒ひずみの経時変化を示すグラフである。 ひび割れ導入後のコンクリート軸方向ひずみの経時変化を示すグラフである。 供試体No.1のひび割れ幅の経時変化を示すグラフである。 供試体No.3のひび割れ幅の経時変化を示すグラフである。 供試体No.6のひび割れ幅の経時変化を示すグラフである。 供試体No.7のひび割れ幅の経時変化を示すグラフである。 供試体No.9のひび割れ幅の経時変化を示すグラフである。 単位時間あたりの透水量の経時変化を示すグラフである。 累積透水量の経時変化を示すグラフである。

Claims (5)

  1. セメント等の粉体、水、骨材を含むように配合され、
    前記粉体を、膨張材と無機質セメント結晶増殖材を含むように構成することを特徴とする自己治癒コンクリート。
  2. 水の前記粉体に対する重量比を60%以下に設定することを特徴とする請求項1に記載の自己治癒コンクリート。
  3. 前記膨張材の重量を10〜80kg/m3に設定することを特徴とする請求項2に記載の自己治癒コンクリート。
  4. 前記無機質セメント結晶増殖材の重量を0.1〜10kg/m3に設定したことを特徴とする請求項2に記載の自己治癒コンクリート。
  5. セメントとして低熱ポルトランドセメントを使用することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の自己治癒コンクリート。
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