JP2005238357A - 圧粉成形体の加工方法および圧粉成形体の加工物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた表面性状を有する加工面が得られるとともに、工具寿命の向上を実現する圧粉成形体の加工方法および圧粉成形体の加工物を提供する。
【解決手段】 圧粉成形体の加工方法は、すくい面51に直交する断面において刃先54の稜線の曲率半径rが1μm以下であり、かつ、すくい角αが−10°≦α≦0°の関係を満たす工具50を準備する工程と、その工具50を用いて圧粉成形体100を加工する工程とを備える。
【選択図】 図3

Description

この発明は、一般的には、圧粉成形体の加工方法および圧粉成形体の加工物に関し、より特定的には、絶縁被膜された金属磁性粒子を加圧成形して作製された圧粉成形体の加工方法および圧粉成形体の加工物に関する。
近年、電磁弁やモーターなどに用いられる磁性部品において、広域な周波数で優れた磁気的特性を示す圧粉磁心が電磁鋼板材に変わって利用されつつある。このような圧粉磁心およびその製造方法に関して、たとえば、特開2002−246219号公報に開示がされている(特許文献1)。特許文献1に開示された圧粉磁心は、リン酸被膜処理されたアトマイズ鉄粉に結合樹脂としてのポリフェニレンサルファイド(PPS樹脂)が混合され、得られた混合粉末が加圧成形されることによって作製されている。また、磁性部品のほかに、機械構造物や機械部品などが、金属粉末を加圧成形した圧粉成形体から作製される場合がある。
特開2002−246219号公報
このように作製された圧粉磁心には、旋削等の除去加工が施されて、モーターコアやソレノイド、電磁バルブなどの製品の最終形状に仕上げられる。しかし、圧粉磁心は、リン酸被膜処理されたアトマイズ鉄粉などの粒子が、粒子が有する凹凸の噛み合わせによって接合されたり、PPS樹脂などの有機物によって接合されたりして形成されている。このため、金属や合金または粒子間に金属結合が生じて成形された焼結体などとは異なり、圧粉磁心などの圧粉成形体は、複数の粒子が比較的小さい結合力で集合し構成された複合体であると言える。
このため、金属などを加工する通常の加工方法を用いて圧粉成形体を加工しようとすると、圧粉成形体を構成する粒子が加工面から脱落し、加工面の表面粗さが悪くなるという問題がある。また、特許文献1に開示された圧粉磁心が、鉄粉やリン酸被膜、PPS樹脂から構成されているように、圧粉成形体が2種以上の材料から構成されている場合がある。さらに、粒子が加圧成形されて得られる圧粉成形体の内部には、粒子間に延在する粒界が多数存在する。このため、個々の材料が持つ被削性の違いや、粒子と粒界との差によって、一定の加工精度が維持できないといった問題や、工具寿命が短くなるという問題が発生する。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、優れた表面性状を有する加工面が得られるとともに、工具寿命の向上を実現する圧粉成形体の加工方法および圧粉成形体の加工物を提供することである。
上述のように、圧粉成形体の加工には、金属等の加工とは異なり、圧粉成形体が複数の粒子が集合した複合体構造から形成されているという特別な事情が存在する。このため、発明者等は、圧粉成形体の加工時に生じる問題に対して、切削工具や切削条件に関する様々な切削評価を繰り返した。その結果、圧粉成形体の加工方法において、被削材の表面性状および工具寿命の向上に関して、著しく効果を発揮できる方法を見出した。この発明者等が見出した加工方法について以下に説明を行なう。
この発明に従った圧粉成形体の加工方法は、軟磁性材料を用いて作製された圧粉成形体の加工方法である。すくい面に直交する断面において刃先稜線の曲率半径が1μm以下であり、かつ、すくい角αが−10°≦α≦0°の関係を満たす工具を準備する工程と、その工具を用いて圧粉成形体を切削する工程とを備える。
このように構成された圧粉成形体の加工方法によれば、工具の刃先稜線の曲率半径を1μm以下にすることによって、刃先の切れ味を向上させ、圧粉成形体の加工部分と刃先との間に生じる加工抵抗を小さくすることができる。このため、加工時に圧粉成形体を構成する粒子が加工面から脱落することを防止し、さらに加工部分の発熱を抑えることができる。これにより、加工面にチッピングやむしれ等を生じさせることなく圧粉成形体を加工するとともに、工具の摩耗の進行を抑えることができる。
一方、工具のすくい角αを0°以下にすることによって、加工時に刃先が加工部分に食い付き、刃先が欠損することを防止できる。また、刃先角が小さくなりすぎるということがないため、刃先をシャープエッジに形成したにもかかわらず、刃先強度を一定水準に維持することができる。これにより、加工時に刃先にチッピングが生じたり、刃先が破損したりすることを防止できる。また、工具のすくい角を−10°以上にすることによって、加工抵抗が増大することを防止できる。これにより、刃先をシャープエッジに形成したことによる上述の効果とあいまって、圧粉成形体の加工面を良好に仕上げることができ、工具の摩耗の進行をさらに抑えることができる。
以上説明した理由から、本発明によれば、加工面の表面粗さを小さくして圧粉成形体を加工することができ、さらに、工具寿命を向上させることができる。
また好ましくは、圧粉成形体を切削する工程は、600m/min以上の切削速度で圧粉成形体を切削する工程を含む。このように構成された圧粉成形体の加工方法によれば、工具の逃げ面摩耗の進行を抑制することができ、ひいては加工面の表面粗さをより小さくして圧粉成形体を加工することができる。このように逃げ面摩耗の進行を抑制できる理由としては、圧粉成形体のような複合体を加工する場合、切削速度を大きく設定することによって加工抵抗を大幅に低減させることができるためと考えられる。
また好ましくは、工具の逃げ面の表面粗さRaが0.06μm以下である。なお、表面粗さRaとは、JIS B 0601で規定されている算術平均粗さのことであり、以下においても同様である。このように構成された圧粉成形体の加工方法によれば、工具の逃げ面と圧粉成形体の加工面との間の摩擦を低減させることができる。これにより、工具の逃げ面摩耗の進行を抑制することができ、ひいては加工面の表面粗さをより小さくして圧粉成形体を加工することができる。
また好ましくは、工具のすくい面の表面粗さRaが0.06μm以下である。このように構成された圧粉成形体の加工方法によれば、工具のすくい面に被削材が溶着することを防止し、クレータ摩耗の進行を抑えることができる。これにより、刃先が欠損することを防止し、工具寿命を長くすることができる。また、すくい面に被削材が溶着した場合、加工抵抗が増大するおそれが生じるが、その溶着を防止しているため、加工面にチッピングやむしれ等を生じさせることなく圧粉成形体を加工することができる。
また好ましくは、工具は、硬質相を含み、この硬質相の割合は、90体積%以上である。このように構成された圧粉成形体の加工方法によれば、工具刃先の耐欠損性および耐熱性を向上させ、工具の寿命をさらに向上させることができる。また、硬質相の割合を90体積%以上にすることによって、加工時に被削材と反応する結合相の割合を小さくし、工具の刃先硬度を上げることができる。硬度を高く、刃先をシャープにすることで、工具摩耗の進行を抑え、工具寿命をさらに向上させることができ、ひいては工具摩耗の抑制を通じて、さらに良好な加工面を得ることができる。
また好ましくは、工具は、立方晶窒化ホウ素(cBN)を含み、この立方晶窒化ホウ素の割合は、99体積%以上である。このように構成された圧粉成形体の加工方法によれば、熱や被削材の溶着に対して非常に安定なcBNを硬質相とし、このようなcBNの割合を99体積%以上に設定している。このため、上述の効果をより効果的に得ることができ、高速加工においてもその効果を奏することができる。
また、圧粉成形体は、互いに接合された複数の複合磁性粒子を含む。複合磁性粒子は、金属磁性粒子と、金属磁性粒子の表面を取り囲む絶縁被膜とを有する。このように構成された圧粉成形体は、異なる2種の材料から構成されているため、金属磁性粒子のみからなる圧粉成形体と比較して、その加工がさらに困難となる。そこで、このような圧粉成形体の加工に、本発明による加工方法をより有効に利用することができる。
また、圧粉成形体は、複数の複合磁性粒子間に介在する有機物をさらに含む。このように構成された圧粉成形体は、異なる3種の材料から構成されているため、金属磁性粒子のみ、または金属磁性粒子および絶縁被膜のみからなる圧粉成形体と比較して、その加工がさらに困難となる。そこで、このような圧粉成形体の加工に、本発明による加工方法をさらに有効に利用することができる。
この発明に従った圧粉成形体の加工物は、上述のいずれかに記載の加工方法を用いて加工された圧粉成形体の加工物である。この加工物は、加工面の表面粗さRzが5μm以下である。なお、表面粗さRzとは、JIS B 0601で規定されている十点平均粗さのことである。圧粉成形体の加工に本発明による加工方法を適用することによって、表面粗さRzが5μm以下の優れた表面性状を有する加工面を得ることができる。
以上説明したように、この発明に従えば、優れた表面性状を有する加工面が得られるとともに、工具寿命の向上を実現する圧粉成形体の加工方法および圧粉成形体の加工物を提供することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の実施の形態における加工方法によって加工される圧粉成形体の表面を示した模式図である。図1を参照して、圧粉成形体は、金属磁性粒子10と、金属磁性粒子10の表面を取り囲む絶縁被膜20とから構成された複数の複合磁性粒子30を備える。複数の複合磁性粒子30の間には、有機物40が介在している。複数の複合磁性粒子30の各々は、有機物40によって接合されていたり、複合磁性粒子30が有する凹凸の噛み合わせによって接合されている。
金属磁性粒子10は、たとえば、鉄(Fe)、鉄(Fe)−シリコン(Si)系合金、鉄(Fe)−窒素(N)系合金、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)系合金、鉄(Fe)−炭素(C)系合金、鉄(Fe)−ホウ素(B)系合金、鉄(Fe)−コバルト(Co)系合金、鉄(Fe)−リン(P)系合金、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)系合金および鉄(Fe)−アルミニウム(Al)−シリコン(Si)系合金などから形成することができる。金属磁性粒子10は、金属単体でも合金でもよい。
絶縁被膜20は、金属磁性粒子10をリン酸処理することによって形成されている。また好ましくは、絶縁被膜20は、酸化物を含有する。この酸化物を含有する絶縁被膜20としては、リンと鉄とを含むリン酸鉄の他、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムなどの酸化物絶縁体を使用することができる。絶縁被膜20は、図中に示すように1層に形成されていても良いし、多層に形成されていても良い。
絶縁被膜20は、金属磁性粒子10間の絶縁層として機能する。金属磁性粒子10を絶縁被膜20で覆うことによって、圧粉成形体の電気抵抗率ρを大きくすることができる。これにより、金属磁性粒子10間に渦電流が流れるのを抑制して、渦電流に起因する鉄損を低減させることができる。
有機物40としては、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドまたはポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂や、全芳香族ポリエステルまたは全芳香族ポリイミドなどの非熱可塑性樹脂や、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸カルシウム、オレイン酸リチウムおよびオレイン酸カルシウムなどの高級脂肪酸を用いることができる。また、これらを互いに混合して用いることもできる。
有機物40は、複数の複合磁性粒子30の間を強固に接合して、圧粉成形体の強度を向上させる。また、有機物40は、圧粉成形体を得るための加圧成形時に潤滑剤として機能し、複合磁性粒子30同士が擦れ合って絶縁被膜20が破壊されることを防止する。
続いて、この発明の実施の形態における圧粉成形体の加工方法について説明を行なう。本実施の形態では、旋盤を用いて図1中に示す圧粉成形体を旋削加工する。図1中に示す圧粉成形体を加工するために、まず、加工に用いる工具を準備する。
図2は、図1中に示す圧粉成形体の加工に用いる工具を示す斜視図である。図2を参照して、旋盤の刃物台に装着される工具ホルダー61に、圧粉成形体の加工に用いられる工具50が固定されている。工具50は、すくい面51と、すくい面51に連なる前逃げ面52aおよび横逃げ面52bとを有する。これら3つの面が連なる頂点には、加工時に圧粉成形体に接触し、圧粉成形体の表面を切削する刃先が位置している。
図3は、図2中に示す工具を用いて圧粉成形体を加工する際の加工部分を示す断面図である。図3を参照して、図中には、すくい面51に直交する断面であって、工具50の刃先54が圧粉成形体100の加工面100aを形成する断面が示されている。なお、図中に示す逃げ面52は、上記の断面に現れる逃げ面であって、図2中に示す前逃げ面52aおよび横逃げ面52bのいずれかである。
工具50のすくい角αは、−10°≦α≦0°の関係を満たす。なお、すくい角αは、加工面100aの基準線に対して直交する直角線101と、すくい面51とがなす角度であり、直角線101に対してすくい面51が加工時における工具50の進行方向に存在するときマイナスとなり、その逆方向に存在するときプラスとなる。
図4は、図3中の2点鎖線IVに囲まれた範囲を拡大して示す断面図である。図4を参照して、工具50の刃先54は、刃先54の稜線の曲率半径rが、1μm以下になるように形成されている。言い換えると、工具50の刃先54は、刃先54の稜線を規定し、すくい面51および逃げ面52に接する内接円62の半径rが、1μm以下になるように形成されている。
工具50の逃げ面52の表面粗さRaは、0.06μm以下であることが好ましい。また、工具50のすくい面51の表面粗さRaは、0.06μm以下であることが好ましい。すくい面51および逃げ面52の表面粗さRaは、対応のJIS規格に準じて、たとえば単位長さ(1mm)当たりの表面粗さを測定して求められる。この場合、被削材とすくい面51または逃げ面52との摩擦を低減させ、すくい面51に生じるクレータ摩耗や逃げ面52に生じる逃げ面摩耗の進行を抑えることができる。
工具50は、硬質相を含み、工具50に占める硬質相の割合は、90体積%以上であることが好ましい。この場合、工具50として、たとえば炭化タングステン(WC)の割合を90体積%以上とした超硬工具を用いたり、炭化チタン(TiC)の割合を90体積%以上としたサーメット工具を用いることができる。また、立方晶窒化ホウ素(cBN)の割合を90体積%以上としたcBN工具を用いても良いし、単結晶ダイヤモンドにより形成された工具を用いても良い。この場合、超硬工具に含まれるコバルト(Co)およびニッケル(Ni)などの結合剤や、サーメット工具に含まるニッケルおよびモリブデン(Mo)などの結合剤や、cBN工具に含まれるコバルトおよび窒化チタン(TiN)などの結合剤の割合が低減する。
また、工具50は、立方晶窒化ホウ素(cBN)を含み、工具50に占めるcBNの割合は、99体積%以上であることが好ましい。この場合、工具50を、たとえば結合剤を含まないcBN焼結体から形成すれば良い。結合剤を含まないcBN焼結体の代表例としては、六方晶窒化ホウ素(hBN)を原料とする硼窒化マグネシウムなどの触媒を用いてcBNを焼結させた焼結体がある。
これらの工具を工具50として用いることによって、刃先54の耐熱性や耐欠損性を向上させることができる。また、結合剤をほとんど含まないため、結合剤と被削材との反応を抑えることができる。これにより、刃先54の摩耗形態が悪化して、加工面100aの表面粗さが低下することを防止できる。
なお、本実施の形態では、工具50に対して硬質相の割合を規定したが、硬質相の割合を規定する対象となるのは、圧粉成形体の加工に直接的に関与する部分である。たとえば、ベース材に切れ刃がロウ付けされて工具が構成されている場合は、その切れ刃が硬質相を含み、その切れ刃に占める硬質相の割合が90体積%以上であれば良い。
次に、以上に説明した図2中に示す工具50を用いて圧粉成形体を切削する。この際、600m/min以上の切削速度で圧粉成形体を切削することが好ましい。この場合、加工抵抗を低減させることができるため、工具50の刃先54に機械的な負荷がかかりにくくなる。これにより、刃先54から逃げ面52にかけて帯状に延びる微小チッピングが工具50に生じることを回避できる。
この発明の実施の形態における圧粉成形体の加工方法は、すくい面51に直交する断面において刃先54の稜線の曲率半径rが1μm以下であり、かつ、すくい角αが−10°≦α≦0°の関係を満たす工具50を準備する工程と、その工具50を用いて圧粉成形体100を加工する工程とを備える。
なお、本実施の形態における圧粉成形体の加工方法を、チョークコイル、スイッチング電源素子および磁気ヘッドなどの電子部品、各種モータ部品、自動車用ソレノイド、各種磁気センサならびに各種電磁弁などの製品の作製に利用することができる。また、このような磁性部品に限定されず、たとえば、鉄系合金粉末によって形成された圧粉成形体を本実施の形態における加工方法を用いて加工し、機械構造部品を作製しても良い。また、旋盤を用いた旋削加工に限定されず、たとえば、圧粉成形体のフライス加工に本発明を適用しても良い。
このように構成された圧粉成形体の加工方法によれば、刃先54がシャープエッジに形成され、−10°≦α≦0°の範囲のマイナスのすくい角αを有する工具50を用いて圧粉成形体を加工することによって、刃先強度の著しい低下を抑えつつ、加工抵抗を大幅に低減させることができる。このため、加工時において複合磁性粒子30が加工面から脱落するということがない。また同時に、工具50に逃げ面摩耗等の摩耗が進行したり、刃先54にチッピングや破損が生じることを抑制できる。これにより、加工面に表面粗さの小さい優れた表面性状を実現するとともに、工具50の工具寿命を向上させることができる。
また、このような加工方法により得られた圧粉成形体の加工物をモーターコアやソレノイド、電磁バルブなどの製品とした場合、表面性状に優れているため、ばらつきが小さい安定した回転力や吸引力を得ることができる。また、破壊起点となる欠陥が少ないため、製品の強度を向上させることができる。さらに、むしれ等が発生する際に生じる加工歪みが少ないため、優れた磁気的特性を示す製品を実現することができる。
以下に説明する実施例によって、本発明における圧粉成形体の加工方法の評価を行なった。
(実施例1)
まず、加工対象となる圧粉成形体を準備するために、金属磁性粒子10としてのアトマイズ純鉄粉に絶縁被膜20としてのリン酸鉄化合物被膜を形成し、複合磁性粒子30を得た。その複合磁性粒子30に、有機物40としてのステアリン酸亜鉛およびポリエチレンをそれぞれ0.05質量%および0.1質量%の割合で添加し、得られた混合粉末を圧力1275MPa(=13ton/cm)の圧力で加圧成形することによって、密度7.4g/cmの圧粉成形体を形成した。その後、窒素雰囲気中において、圧粉成形体を400℃から500℃ほどの温度条件下で1時間、熱処理した。
このように作製された圧粉成形体に対して、99.9体積%の割合でcBNを含むcBN切れ刃をロウ付けした切削工具を用いて切削加工を行なった。この際、刃先稜線の曲率半径rおよびすくい角αが異なるサンプル1から32の切削工具を用いた。刃先稜線の曲率半径rの調整は、cBN切れ刃の刃先処理量を変化させることによって行ない、すくい角αの調整は、切れ刃をロウ付けする角度を変化させることによって行なった。
切削条件に関しては、切削速度を750m/min、送り0.05mm/rev、切り込み0.1mmとした。切削長1000mとなった時の、圧粉成形体の加工面の表面粗さ(Rz:十点平均粗さ)と、切削工具の逃げ面摩耗の長さとを測定した。逃げ面摩耗については、逃げ面摩耗が形成された領域の切れ刃からの距離を測り、境界摩耗を除いてその距離が最大となる値を決定して、その値を逃げ面摩耗の長さとした。これら測定結果を、用いた切削工具の刃先稜線の曲率半径rおよびすくい角αとともに表1に示す。
表1を参照して分かるように、刃先稜線の曲率半径rが1μmを超える場合、加工抵抗が大きくなるため、逃げ面摩耗の長さが比較的大きい値となった。また、すくい角αを0°を越えるプラスとしたサンプルでは、刃先強度が十分でなかったため、逃げ面にチッピングや微小チッピングが生じた。その結果、これらのサンプルでは、加工面の表面粗さRzが著しく低下した。また、すくい角αが−10°より小さいサンプルでは、逃げ面摩耗が進行することによって、加工面の表面粗さRzが低下した。これに対して、刃先稜線の曲率半径rを1μm以下にし、すくい角αを−10°以上0°以下にしたサンプル4から6および12から14の切削工具を用いた圧粉成形体では、逃げ面摩耗の進行を抑えるとともに、表面粗さRzの小さい加工面を得ることができた。
(実施例2)
実施例1で作製した圧粉成形体と同様の圧粉成形体に対して、99.9体積%の割合でcBNを含むcBN切れ刃をロウ付けした切削工具を用いて切削加工を行なった。本実施例では、刃先稜線の曲率半径rを0.3μmとし、すくい角αを−5°とした。
さらに、ダイヤモンド砥石を用いて、切削工具のすくい面および逃げ面を研磨処理することによって、それぞれの面の表面粗さの制御を行なった。切削条件に関しては、実施例1と同様とした。本実施例においても、切削長1000mとなった時の、圧粉成形体の加工面の表面粗さRzと、切削工具の逃げ面摩耗の長さとを測定した。これら測定結果を、用いた切削工具のすくい面および逃げ面の表面粗さ(Ra:算術平均粗さ)とともに表2に示す。
表2を参照して分かるように、逃げ面の表面粗さRaを0.06μm以下にすることによって、逃げ面摩耗の進行を抑制し、表面粗さの小さい加工面を得ることができた。また、すくい面の表面粗さRaを0.06μm以下にすることによっても、表面粗さの小さい加工面を得ることができた。結果、逃げ面およびすくい面の表面粗さRaをともに0.06μm以下にしたサンプル13および14の切削工具を用いた圧粉成形体で、表面粗さの最も小さい加工面を得ることができた。
(実施例3)
実施例1で作製した圧粉成形体と同様の圧粉成形体に対して、複数の切削工具を用いて切削加工を行なった。本実施例では、切削工具として、cBNを含むcBN切れ刃をロウ付けした切削工具と、超硬合金およびサーメットをそれぞれ所定の割合で含む切削工具とを用いた。刃先稜線の曲率半径rを0.3μmとし、すくい角αを−5°とした。この際、すくい角αの調整は、cBN切れ刃を設けた切削工具では、切れ刃をロウ付けする角度を変化させることによって行ない、超硬合金およびサーメットを含む切削工具では、ブレーカー角度を変化させることによって行なった。
さらに、ダイヤモンド砥石を用いて、切削工具のすくい面および逃げ面を研磨処理することによって、すくい面および逃げ面の表面粗さをともにRa≒0.01μmとした。切削条件に関しては、送り0.05mm/rev、切り込み0.1mmとし、切削速度を300m/min、550m/min、600m/min、750m/min、900m/min、1200m/minおよび1500m/minと変化させた。切削長750mとなった時の、圧粉成形体の加工面の表面粗さRzと、切削工具の逃げ面摩耗の長さとを測定した。これら測定結果を、用いた切削工具の種類および切削速度ともに表3および表4に示す。
表3および表4を参照して分かるように、切削工具に占める硬質相の割合を90体積%以上にすることによって、その割合が90体積%未満の場合と比較して、逃げ面摩耗の進行を抑えることができた。また、切削速度を600m/min以上として、さらに切削速度を上げるに従って、逃げ面摩耗の進行を抑え、加工面の表面粗さRzを徐々に小さくしていくことができた。
図5は、本実施例において、圧粉成形体の加工面を拡大して示すSEM写真である。硬質相であるcBNを99.5体積%の割合で含む切削工具を用い、切削速度を1200m/minとした表4中のサンプルにおいて、切削長をさらに1350mとした時の圧粉成形体の加工面を電子顕微鏡を用いて表面観察し、その様子を図5に示した。
図6は、本実施例において、圧粉成形体の加工面を拡大して示す比較のためのSEM写真である。比較のため、図5に示す場合に使用した工具のすくい角αを−25°とした切削工具を用い、切削速度を180m/minとして圧粉成形体を加工した。そして、切削長が1350mとなった時の圧粉成形体の加工面を電子顕微鏡を用いて表面観察し、その様子を図6に示した。
図5および図6を比較して、本発明に従った圧粉成形体の加工方法によれば、良好な表面性状を有する加工面が得られることを確認できた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明の実施の形態における加工方法によって加工される圧粉成形体の表面を示した模式図である。 図1中に示す圧粉成形体の加工に用いる工具を示す斜視図である。 図2中に示す工具を用いて圧粉成形体を加工する際の加工部分を示す断面図である。 図3中の2点鎖線IVに囲まれた範囲を拡大して示す断面図である。 本実施例において、圧粉成形体の加工面を拡大して示すSEM写真である。 本実施例において、圧粉成形体の加工面を拡大して示す比較のためのSEM写真である。
符号の説明
10 金属磁性粒子、20 絶縁被膜、30 複合磁性粒子、40 有機物、50 工具、51 すくい面、52 逃げ面、54 刃先、100 圧粉成形体、100a 加工面。

Claims (9)

  1. 軟磁性材料を用いて作製された圧粉成形体の加工方法であって、
    すくい面に直交する断面において刃先稜線の曲率半径が1μm以下であり、かつ、すくい角αが−10°≦α≦0°の関係を満たす工具を準備する工程と、
    前記工具を用いて前記圧粉成形体を切削する工程とを備える、圧粉成形体の加工方法。
  2. 前記圧粉成形体を切削する工程は、600m/min以上の切削速度で前記圧粉成形体を切削する工程を含む、請求項1に記載の圧粉成形体の加工方法。
  3. 前記工具の逃げ面の表面粗さRaが0.06μm以下である、請求項1または2に記載の圧粉成形体の加工方法。
  4. 前記工具のすくい面の表面粗さRaが0.06μm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧粉成形体の加工方法。
  5. 前記工具は、硬質相を含み、前記工具に占める前記硬質相の割合は、90体積%以上である、請求項1から4のいずれか1項に記載の圧粉成形体の加工方法。
  6. 前記工具は、立方晶窒化ホウ素を含み、前記工具に占める前記立方晶窒化ホウ素の割合は、99体積%以上である、請求項1から5のいずれか1項に記載の圧粉成形体の加工方法。
  7. 前記圧粉成形体は、金属磁性粒子と、前記金属磁性粒子の表面を取り囲む絶縁被膜とを有し、互いに接合された複数の複合磁性粒子を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の圧粉成形体の加工方法。
  8. 前記圧粉成形体は、前記複数の複合磁性粒子間に介在する有機物をさらに含む、請求項7に記載の圧粉成形体の加工方法。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の圧粉成形体の加工方法を用いて加工され、加工面の表面粗さRzが5μm以下である、圧粉成形体の加工物。
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