JP2005237375A - パターニング用基板および細胞培養基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 上記目的を達成するために、本発明は、基材と、前記基材上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、前記光触媒含有層上に形成され、細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有しかつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料を含有する細胞接着阻害層とを有することを特徴とするパターニング用基板を提供する。
【選択図】 図1
Description
まず、本発明のパターニング用基板用コーティング液について説明する。本発明のパターニング用基板用コーティング液は、細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料と、細胞と接着性を有する細胞接着材料とを含有するものである。
以下、上記のようなパターニング用基板用コーティング液に用いられる各材料について説明する。
まず、本発明のパターニング用基板用コーティング液に用いられる細胞接着阻害材料について説明する。本発明のパターニング用基板用コーティング液に用いられる細胞接着阻害材料は、細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性されるものであれば、その種類等は特に限定されるものではない。
YnSiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される有機基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si CH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si CH3(OCH3)2;
CF3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)C2H4CH2Si(OCH3)3。
次に、本発明のパターニング用基板用コーティング液に用いられる細胞接着材料について説明する。本発明に用いられる細胞接着材料は、少なくともエネルギー照射された後に、細胞と接着性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えばエネルギー照射される前から細胞と良好な接着性を有するものであってもよく、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって、細胞と良好な接着性を有するものとなるものであってもよい。ここで、細胞と接着性を有するとは、細胞と良好に接着することをいい、細胞との接着性が細胞の種類によって異なる場合等には、目的とする細胞と良好に接着することをいう。
また、上記生物学的相互作用により細胞と接着する材料として具体的には、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシン、ビトロネクチン、RGD(アルギニン−グリシン−アスパラギン酸)配列含有ペプチド、YIGSR(チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン)配列含有ペプチド、コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン等が挙げられる。
次に、本発明のパターニング用基板用コーティング液について説明する。本発明のパターニング用基板用コーティング液は、上記細胞接着阻害材料および細胞接着材料を含有するものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜バインダ等の成分を含有しているものであってもよい。バインダを含有させることにより、パターニング用基板用コーティング液を、例えば光触媒を含有する層等の上に塗布する際の塗工が容易なものとすることや、形成された層に強度や耐性を付与する等、様々な特性を付与することが可能となるからである。このようなバインダとしては、パターニング用基板用コーティング液が必要とされる目的に応じて適宜選択される。なお、本発明においては、このバインダとしての役割を、上記細胞接着材料または細胞接着阻害材料が果たすものとしてもよい。
次に、本発明のパターニング用基板について説明する。本発明のパターニング用基板は、基材と、上記基材上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成され、細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有しかつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料を含有する細胞接着阻害層とを有するものである。
以下、本発明のパターニング用基板の各構成について説明する。
まず、本発明のパターニング用基板に用いられる細胞接着阻害層について説明する。本発明の細胞接着阻害層は、細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料が含有されるものであれば、特に限定されるものではない。
またこのような細胞接着阻害層の膜厚としては、パターニング用基板の種類等によって適宜選択されるものであるが、通常0.001〜1μm程度、中でも0.005〜0.1μm程度が好ましい。
次に、本発明のパターニング用基板に用いられる光触媒含有層について説明する。本発明のパターニング用基板に用いられる光触媒含有層は、少なくとも光触媒を含有する層であれば、特に限定されるものではなく、光触媒のみからなる層であってもよく、またバインダ等、他の成分を含有する層等であってもよい。
このようなアナターゼ型酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
また、光触媒含有層には上記の光触媒、バインダの他に、上述した細胞接着阻害層の項で説明した界面活性剤等を含有させることもできる。
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、上記光触媒含有層を形成可能な層であれば、特に限定されるものではなく、例えば金属、ガラス、シリコン等の無機材料、およびプラスチックで代表される有機材料等を用いることができる。
本発明におけるプライマー層は、上記遮光部と上記光触媒含有層とが接触しないようにプライマー層が形成された構造であれば特に限定されるものではない。
次に、本発明のパターニング用基板について説明する。本発明のパターニング用基板は、基材上に、上記光触媒含有層が形成されており、その光触媒含有層上に細胞接着阻害層が形成されたものであれば、特に限定されるものではなく、例えば必要に応じて他の層が積層されたもの等であってもよい。
次に、本発明の細胞培養用パターニング基板について説明する。本発明の細胞培養用パターニング基板は、上述したパターニング用基板の上記細胞接着阻害層が、パターン状に細胞接着阻害材料が分解または変性された細胞接着部と、上記細胞接着部以外の領域である細胞接着阻害部とを有するものである。
なお、上記凹部の側壁にエネルギーが照射されないように、例えば筒状のマスク等を用い、上記凹部の底面のみ露光を行う方法を用いてもよい。
この際、光触媒含有層を加熱しながらエネルギー照射することにより、感度を上昇させることが可能となり、効率的に細胞接着阻害材料を分解または変性させることができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
次に、本発明の細胞培養基板について説明する。本発明の細胞培養基板は、上述した細胞培養用パターニング基板における細胞接着部上に、細胞が接着したものである。
本発明の細胞培養基板は、例えば図7に示すように、上記細胞接着阻害層3の細胞接着部5上にのみ細胞7が接着し、細胞接着阻害部6上には、細胞7が接着していないものである。
以下、本発明の細胞培養基板に用いられる細胞について説明する。ここで、細胞培養用パターニング基板については、上記「C.細胞培養用パターニング基板」で説明したものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明の細胞培養基板に用いられる細胞としては、上記細胞培養用パターニング基板の細胞接着部上に接着するものであり、細胞接着阻害部上には接着しないものであれば特に限定されるものではない。
(光触媒含有層の形成)
イソプロピルアルコール3g、オルガノシランTSL8114(GE東芝シリコーン)0.4g、および光触媒無機コーティング剤ST−K01(石原産業)1.5gを混合し、攪拌しながら20分間、100℃で加温した。
この溶液をスピンコーティング法により予めアルカリ処理を施したガラス基板に塗布し、その基板を150℃の温度で10分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノポリシロキサン中に強固に固定された膜厚0.2μmの光触媒含有層を基板上に形成した。
この基板にイソプロピルアルコール5g、オルガノシランTSL8114(GE東芝シリコーン)0.4g、およびフルオロアルキルシランTSL8233(GE東芝シリコーン)0.04gから成る溶液をスピンコーティングにより塗布し、その後基板を150℃で10分間乾燥することにより細胞接着阻害層を形成した。
この基板にフォトマスク越しに水銀ランプにより6J/cm2(波長254nm)の紫外線照射を行い、未露光部が細胞接着阻害性、露光部が細胞接着性にパターン化された細胞接着性である表面を有する細胞培養用パターニング基板を得た。
各種組織に由来する細胞の培養実験手順については、例えば“組織培養の技術 第三版 基礎編”、日本組織培養学会編,朝倉書店等にその詳細が述べられている。本出願においては、ラット肝実質細胞を用いて基板を評価した。
ラットより摘出した肝臓をシャーレに移してメスで5mm大に細分し、20mlのDMEM培地を加えてピペットで軽く懸濁した後、細胞濾過器で濾過した。得られた粗分散細胞浮遊液を500〜600rpmで90秒間遠心処理し、上清を吸引して除去した。残留した細胞に新たにDMEM培地を加えて再び遠心処理した。この操作を3回繰り返すことにより、ほぼ均一な肝実質細胞を得た。得られた肝実質細胞に、DMEM培地20mlを加えて懸濁し、肝実質細胞懸濁液を調製した。
次にWaymouth MB752/1培地(L-グルタミン含有、NaHCO3非含有)(ギブコ社製)14.12gに蒸留水900mlを添加した。これにNaHCO32.24g、アンホテリシンB液(ICN)10ml、およびペニシリンストレプトマイシン液(ギブコ社製)10ml加えて攪拌した。これをpH7.4に調整した後、全量を1000mlとし、0.22μmのメンブレンフィルターでろ過減菌したものをWaymouth MB752/1培地液とした。
先に作製した肝実質細胞懸濁液を、同じく作製したWaymouth MB752/1培地液に懸濁した上で、細胞接着部と細胞接着阻害部とを有する、上述した細胞培養用パターニング基板上に播種した。この基板を37℃、5%CO2付与したインキュベータ内に24時間静置し、基板全面に肝実質細胞を接着させた。この基板をPBSで2回洗浄することにより、非接着細胞や死細胞を除去した後、新しい培地液と交換した。
培地液を交換しながら48時間まで細胞の培養を続け光学顕微鏡で細胞を観察したところ、細胞が細胞培養用パターニング基板上の細胞接着部に沿いながら接着している事を確認した。
(細胞培養用パターニング基板の作製)
遮光部300μmスペース部80μmのストライプ状遮光層を基板の表面に設けた石英基板を用い、この遮光層付き基板の表面に実施例1と同様の操作で光触媒含有層ならびに細胞接着阻害層を形成した。次に、フォトマスクを使用する代わりに、基板の裏面側から実施例1と同じ条件で裏面全体に紫外線照射して細胞培養用パターニング基板を作製した。
実施例1と同様に細胞を接着させたところ、本基板においても細胞が細胞培養用パターニング基板上の細胞接着部に沿って接着していることを確認した。
市販の直径35mmのプラスチックディッシュ(コーニング社製)の底面の中央部に、直径14mmの穴をあけた。続いて、厚さ約0.1mmのガラス基板を用いて上記実施例1と同様に、細胞培養用パターニング基板を形成し、この細胞培養用パターニング基板を21mm角に切断した。その後、切断された細胞培養用パターニング基板のガラス基板を、上記プラスチックディッシュに、接着剤KE45T(信越シリコーン社製)を用いて貼りつけた。
(細胞の接着)
上記プラスチックディッシュを、70%エタノールで滅菌し、PBSで洗浄した後、DMEM培地で洗浄した。その後、実施例1と同様に、細胞を培養したところ、細胞がプラスチックディッシュ内の細胞接着部に沿いながら接着している事を確認した。
厚さ約0.1mmの遮光層付き石英基板を用いて実施例2と同様に、細胞接着阻害層を有する細胞培養用パターニング基板を形成し、この細胞培養用パターニング基板を21mm角に切断した。その後、実施例3と同様の手順により、切断された細胞培養用パターニング基板の石英基板を、上記プラスチックディッシュに貼りつけた。
(細胞の培養)
実施例3と同様の方法により、プラスチックディッシュ内で細胞を培養したところ、細胞がプラスチックディッシュ内の細胞接着部に沿いながら接着している事を確認した。
(パターニング用基板の形成)
実施例1と同様に、光触媒含有層を基板上に形成した。続いて、イソプロピルアルコール5g、オルガノシランTSL8114(GE東芝シリコーン)0.1g、およびPEG−シラン(Methoxypolyethylene glycol 5,000 trimethylsilyl ether、Fluka)0.15gからなる溶液を上記光触媒含有層上にスピンコーティング法により塗布した。その後、上記基板を150℃で10分間加熱することにより、細胞接着阻害層を形成して、パターニング用基板とした。
(パターニング用基板のパターニング、および細胞の接着)
実施例1と同様に、パターニング用基板のパターニングを行って、細胞培養用パターニング基板を形成した。その後、上記細胞培養用パターニング基板上に、実施例1と同様に細胞を接着させたところ、本実施例においても細胞が細胞培養用パターニング基板上の細胞接着部に沿って接着していることを確認した。
厚み約0.1mmのガラス基板を用いる以外は、実施例5と同様に細胞培養用パターニング基板を作製し、これを21mm角に切断した。次いで、実施例3と同様の手順により、切断された細胞培養用パターニング基板のガラス基板を、上記プラスチックディッシュに貼りつけた。
(細胞の培養)
実施例3と同様の方法により、プラスチックディッシュ内で細胞を培養したところ、細胞がプラスチックディッシュ内の細胞接着部に沿いながら接着している事を確認した。
2…光触媒含有層
3…細胞接着阻害層
Claims (6)
- 基材と、前記基材上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、前記光触媒含有層上に形成され、細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有しかつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料を含有する細胞接着阻害層とを有することを特徴とするパターニング用基板。
- 前記細胞接着阻害層が、少なくともエネルギー照射された後に、細胞と接着性を有する細胞接着材料を含有していることを特徴とする請求項1に記載のパターニング用基板。
- 前記基材または前記光触媒含有層上に遮光部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターニング用基板。
- 請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のパターニング用基板の前記細胞接着阻害層が、パターン状に前記細胞接着阻害材料が分解または変性された細胞接着部と、前記細胞接着部以外の領域である細胞接着阻害部とを有することを特徴とする細胞培養用パターニング基板。
- 請求項4に記載の細胞培養用パターニング基板の、前記細胞接着部上に、細胞が接着していることを特徴とする細胞培養基板。
- 細胞と接着することを阻害する細胞接着阻害性を有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解または変性される細胞接着阻害材料と、少なくともエネルギー照射された後に、細胞と接着性を有する細胞接着材料とを含有することを特徴とするパターニング用基板用コーティング液。
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