以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明のリング型焼結磁石における実施の形態1を示す斜視図(a)及びA−A断面図(b)であり、図2は、図1のリング型焼結磁石の未加工状態を示す断面図、図3は、図1のリング型焼結磁石をロータシャフトに接着して得られた永久磁石ロータを示す断面図である。
図1に示したように、リング型焼結磁石1は、リング状予備成形体1aを中心軸方向に積層し(段積みという)、焼結・時効処理、加工表面処理して得られるものであり、4段のリング状予備成形体1aのうち両端の段のリング状予備成形体1aの内径が他の段のリング状予備成形体1aの内径より小さくなっており、図2に示した未加工のリング型焼結磁石1の外径、両端面及び両端の段のリング状予備成形体1aの内径を仕上げ加工したものである。
仕上げ加工後の両端の段のリング状予備成形体1aの内径は、ロータシャフト11(図3参照)の外径よりも数μm〜数十μm大きく、その他の段は未加工であり、内径がロータシャフト11の外径よりも100〜400μm大きくなっている。このように、射出成形により接着層を形成する場合に比べて、100〜400μmと小さな隙間とすることができる。
各段のリング状予備成形体1aは同軸にあり、図3に示したように、ロータシャフト11の外径にリング型焼結磁石1の加工した両端の段の内径が嵌め合わされて、ロータシャフト11の中心軸とリング型焼結磁石1の中心軸が同軸となるように位置決めされている。
図4は、ロータシャフト11に接着固定されたリング型焼結磁石1を着磁した後、軸方向の磁束密度分布を測定した結果を示すものであり、軸方向において磁束密度が低下する磁気的な境界部があり、この磁気的な境界部を境にして4段に構成されているが、ラジアル配向が均一にできる短軸のリング状予備成形体1aを段積みして焼結しているので、リング状予備成形体1a間の境界部における磁束密度の低下は少なくできる。
上記のように、未加工の段の内径とロータシャフト11の外径との間には100〜400μmの寸法差があるので、ロータシャフト11の外径との間には100〜400μmの隙間がある。その隙間に接着剤が充填されており、ロータシャフト11に対するリング型焼結磁石1の接着固定に必要な接着層の厚みが精度よく確保されており(厚みが50〜200μmとなる)、確実にリング型焼結磁石1をロータシャフト11に接着することができる。接着層の厚みが50μm以下では、リング型焼結磁石1の線膨張係数とロータシャフト11の線膨張係数との差のために起こる温度変化時の寸法変化の差を吸収できず、リング型焼結磁石1が割れてしまう。また、接着層の厚みが200μm以上では、十分な接着強度が得られない。
この実施の形態1によれば、リング型焼結磁石1の両端の段の内径を仕上げ加工し、他の段の内径は未加工とし、リング型焼結磁石1の内径寸法とロータシャフト11の外形寸法との関係を上記のように構成することによって、リング型焼結磁石1とロータシャフト11とを同軸に位置合わせすることができ、ステータ内径との中心位置合わせも正確にすることできる。この結果、ステータとロータとの間のエアギャップが均一になり、コギングトルクが小さくなる等、モータ特性の優れたものが得られる。
また、接着層の厚みが精度よく均一に確保されるので、リング型焼結磁石1をロータシャフト11へ確実に接着することができる。
また、リング型焼結磁石1の内径加工を施す箇所が両端の段だけであるので、加工の取り代が少なく、加工コストを削減することができる。
また、リング型焼結磁石1の内径加工を施す箇所が両端の段だけであるので、短い軸長の工具で加工することができ、加工が容易になり、加工コストを削減することができる。
図5は、この発明の実施の形態1におけるリング型焼結磁石の製造装置の構成を示す平面図である。図6は、図5における搬送金型の構成を示す平面図(a)及びA−A断面図(b)である。
この実施の形態1におけるリング型焼結磁石の製造装置は、図5に示したように、搬送金型10を搬送するベルトコンベア2と、搬送金型10の円筒状キャビティ内に、磁性粉末を計量して供給し充填する給粉・充填ユニット3と、磁性粉末が充填された搬送金型10におけるキャビティ内の磁性粉末を加圧するための上パンチを加圧成形できる状態にセットするパンチセットユニット4と、上パンチがセットされ、加圧成形できる状態になった搬送金型10の磁性粉末を磁場加圧成形を行う磁場成形ユニット5と、磁場加圧成形されたリング状予備成形体を搬送金型10から抜き出すための脱型ユニット6と、抜き出されたリング状予備成形体に付着する余分な磁性粉末を取り除くための成形体脱粉ユニット7と、磁場加圧成形されたリング状予備成形体を積み重ねるための段積みユニット8と、搬送金型10に付着した磁性粉末を除去し、搬送金型10を搬送状態にセットする金型脱粉/金型セットユニット9とを備えている。
図6に示したように、搬送金型10は、ベルトコンベア2上を移動するパレット10aと、下金型部分を保持する第1のホルダー10bと、柱状のコア10dと、下パンチ10eと、中心にコア10dを配し、下パンチ10eとコア10dとで磁性粉末が供給されるキャビティ10hを形成するダイ10fと、第2のホルダー10jに保持された上パンチ10gとを備えている。
図1に示したリング型焼結磁石1を製造する場合には、搬送金型10は、キャビティー10hの内径が小さいものと大きいものを準備し、まず、キャビティー10hの内径が小さいものをベルトコンベア2で一つ搬送し、次に、キャビティー10hの内径が大きいものをベルトコンベア2で二つ搬送し、最後に、キャビティー10hの内径が小さいものをベルトコンベア2で一つ搬送する。
パレット10aと第1及び第2のホルダー10b,10j、第1のホルダー10bと下パンチ10e、及び下パンチ10eとダイ10fは、それぞれ位置決めピンによる位置決め機構で位置及び方向を規制している。
このように位置決め機構を設けることによって、パレット上での金型部品のセット(上パンチのコア、ダイへの挿入等)、搬送金型10を磁場成形ユニット5へ移送する際の位置決めが容易に行われる。
図7は、給粉・充填ユニット及びその動作を説明する断面図である。図7(a)は磁性粉末の計量工程、図7(b)、(c)は搬送金型10への給粉工程である。
給粉・充填ユニット3は、図5に示したように、磁性粉末を計量する計量機構3dと、計量され容器3cに採取された磁性粉末11を搬送金型10の位置まで搬送する搬送機構3eとを備えている。また、図7に示したように、給粉・充填ユニットは、容器3cを回転させて傾ける回転機構3fと、容器3c内の磁性粉末11をキャビティ10h内に導くための給粉治具3aと、給粉治具3aを振動させる振動子等からなる振動機構3bと、キャビティー10h内を攪拌する羽根状部材(図示せず)とを備えている。
搬送金型10が給粉・充填ユニットに搬送されると、図7(a)の磁性粉末の計量工程では、振動フィーダと重量計を用いて一定重量の磁性粉末11を計量しながら、容器3cに収納する。
図7(b)、(c)の給粉工程では、給粉治具3aを搬送治具10のダイ10f上にセットし、リング状治具3gでキャビティー10h内に、磁性粉末11を収納した容器3cをロート状の給粉治具3aの位置まで移動し、容器3cを回転させて傾け、容器3c内の磁性粉末11をキャビティー10hへ移す。さらに、容器3cにノッカーで衝撃を加え、容器3c内の磁性粉末11を残りなくキャビティー10hへ移す。さらに、ロート状の給粉治具3aに振動機構3bで振動を加えて給粉治具3a上の全ての磁性粉末11をキャビティー10h内に移し、上記羽根状部材を回転させてキャビティー10h内の磁性粉末11をかき混ぜながら羽根を上昇させて、キャビティー10h内に磁性粉末11を充填する。
上記羽根状部材を回転させてキャビティ内の磁性粉末11をかき混ぜながら羽根を上昇させてキャビティー10h内に磁性粉末11を充填することによって、キャビティー10h内の磁性粉末11中にある空洞あるいは粉末のブリッジが壊されて、キャビティー10h中に磁性粉末11が均一に充填される。
磁性粉末11には、Nd、Dy、Fe、Bを含むネオジ磁石合金の微粉末(平均粒径が約5μm)等を用いる。
図8は、パンチセットユニットの構成及び動作を説明する断面図である。同図に示したように、パンチセットユニットは、上パンチ10gをキャッチングするハンド4aと、ハンド4aを昇降させ、キャッチングした上パンチ10gを移動させる移動機構を備えている。
パンチセットユニットによって、上パンチ10gでキャビティー内の磁性粉末を加圧できる状態に搬送金型をセットすることができる。
キャビティーに磁性粉末が充填されると、図8(a)のように、パレット10aがパンチセットユニット4のステージに搬送され、規定位置で位置決めされ、図8(b)のように、ハンド4aが下降し、上パンチ10gをキャッチングし、図8(c)のように、ハンド4aは上パンチ10gを持ち上げて、図8(d)のように、下型の方へ移動し、下降して上パンチ10gをコア10dに挿入し、上パンチ10gを放し、上パンチ10gはキャビティに嵌り合う。コア10dの上端部の直径は、キャビティ内における直径より0.2mm小さく、3゜のテーパが付与されているので、パンチ挿入時にパレットとハンド4aの位置に、0.1mm未満のずれがあっても、コア10dにパンチ10gが挿入できないといった不良は発生しない。次に、ハンド4aは上パンチ10gを放した後、上昇し元の位置に移動する。
図9は、磁場成形ユニットの構成及び動作を説明する断面図、図10は、加圧子の構造を示す断面図、図11は、バックヨークの構成を示す平面図(a),(c)、A−A断面図(b)及びB−B断面図(d)である。
図5に示したように、磁石成形装置は、上パンチ10gがセットされた搬送金型10をベルトコンベア2上のパレット10から磁場成形ユニット5に移載し、磁場成形後にベルトコンベア2上のパレット10aに戻す移載機構5hを有する。図9に示したように、磁場成形ユニット5は、磁性粉末を配向させるための配向磁場を発生する電磁コイル5a(フレームに固定されている)と、上側電磁コイル5aと上パンチ10gを加圧する加圧子5cとを昇降させる圧縮成形機構5bと、上側電磁コイル5a及び圧縮成形機構5bを含む上側フレームを昇降させる上下駆動機構と、リング状弾性部材5jと、図示していないエアシリンダによって駆動されてダイ10fと接触するバックヨーク5dを備えている。
図10に示したように、加圧子5cは、上パンチを加圧するパンチ加圧部5eと、パンチ加圧部5e内部へくぼむように可動する可動ロッド5fと、可動ロッド5fの背面とパンチ加圧部5e内面との間にあり、可動ロッド5fをコア10dに押し付けるバネ5gを備えている。
また、図11に示したように、バックヨーク5dはダイ10fの外径に嵌り合う半円状の凹部を有する一つの強磁性体である。バックヨーク5dは、その厚みの中心がダイ10fの厚みの中心位置と一致するように設置され、ダイ10fの方向に移動して当接する。
搬送金型10がパンチセットユニット4からベルトコンベア2で磁場成形ユニット5へ搬送されると、図9(a)に示したように、金型部が、ホルダー10bとともに移載機構5h(図5参照)でパレット10aから磁場成形ユニット5の成形部に移載される。
次に、図9(b)に示したように、上下駆動機構が作動し、電磁コイル5a及び加圧子が下降し、上側及び下側フレーム同士がチャッキング機能によって固定されると共に、ダイ10fの両側からバックヨーク5dが移動し、ダイ10fの外周に密着する。また、加圧子5cがさらに下降し、上パンチ10gが加圧され、電磁コイル5aに電流が流されて配向磁場が発生し、図9(c)に示したように、配向磁場が掛けられた状態で上パンチ10gがキャビティ内の磁性粉末を圧縮成型するとともに、圧縮成型された成形体がラジアル配向される。圧縮成型圧力は10〜100MPa、好ましくは30〜40MPaとし、配向磁界は1T以上にする。
図12は、ラジアル配向における磁束の状態を示す断面図である。上側のコイル5aで発生した磁界は、磁束となって強磁性体である加圧子5cを通って、同じく強磁性体である可動ロッド5fに入り、下側のコイル5aで発生した磁界は、強磁性体であるホルダー10bを通ってコア10dに入る(図9参照)。下パンチ10e及び上パンチ10gは非磁性体である。
図12に示したように、破線矢印で示す磁束は、強磁性体である可動ロッド5f及びコア10dを通って、強磁性体であるダイ10fのキャビティ10hを直径方向に通り、キャビティ10h内にラジアル配向磁場が形成される。
ラジアル配向されたリング状予備成形体は金型部及びホルダーとともにパレット10a上に移載機構5hによって戻される。
図13は、脱型ユニットの構成を示す断面図(b)及びA−Aの矢印方向から見た平面図(a)である。同図に示したように、脱型ユニットは、リング状予備成形体13を加圧するエアシリンダ6a及び上パンチ突き当て部6dで構成される成形体加圧機構と、ダイ10fを上方に押し上げるテーブル6c及びエアシリンダ6b等からなるダイ押し上げ機構とを備えている。
図14は、脱型ユニットにおける動作を説明するための断面図である。図14(a)に示したように、ラジアル配向されたリング状予備成形体を含む搬送金型をのせたパレット10aは、ベルトコンベア2によって脱型ユニット6に搬送され規定の位置で停止する。エアシリンダ6aがパレット10aを持ち上げ、上パンチ10gが上パンチ突き当て部6dに当たり、リング状予備成形体13が加圧される。加圧力は0.1〜1MPaとする。
次に、図14(b)に示したように、エアシリンダ6bが作動し、テーブル6cがダイ10fを持ち上げ、リング状予備成形体13がダイ10fから抜き出される。
次に、図14(c)に示したように、エアシリンダ6aが下降し、パレット10aがベルトコンベア2上に乗る。ベルトコンベア2によって、パレット10aは、テーブル6cに支持されたダイ10fが下降したときにパレット10a上に置かれた第2のホルダー10jに載置される位置まで移動し、図14(d)に示したように、テーブル加圧シリンダ6bが作動し、テーブル6cが下降して第2のホルダー10j上にダイ10fが載置される。
リング状予備成形体13を搬送金型10から抜き出す過程において、搬送金型10から抜き出されたリング状予備成形体13の上部と搬送金型10内にあるリング状予備成形体13の下部との間の内部応力差があるため、リング状予備成形体13の抜き出された上部と搬送金型10内にある下部との境界にクラックが生じやすいが、この脱型ユニットにおいては、リング状予備成形体13が加圧された状態でダイ10fから成形体13を抜き出すので、リング状予備成形体13の上面と下面との間の内部応力差が小さくなり、クラックの発生が防止される。
図15及び図16は、成形体脱粉ユニットの構成及び動作を説明する断面図である。同図に示したように、成形体脱粉ユニットは、テーブル7a及びテーブル7aを昇降させるエアシリンダ7bからなる昇降機構と、窒素ガスを噴射するノズル7cと、磁性粉を吸入し集塵機に回収するための吸塵ダクト7dとを備えている。
成形体脱粉ユニットで、リング状予備成形体13の余分な磁性粉末を除去することによって、次工程の段積みにおいて、リング状予備成形体13間にギャップが生じてリング状予備成形体13が傾いたり、加圧によって破損したりするのを防止することができる。
図15(a)に示したように、ダイが抜き取られたリング状予備成形体13は、ベルトコンベア2で成形体脱粉ユニットに移送され規定の位置で停止し、エアシリンダ7bが作動しテーブル7aが上昇し、図15(b)に示したように、下コア10eはテーブル7aに支持されて上昇し、リング状予備成形体13はコア10dから抜き出される。なお、この時上パンチ10gも同時に抜き出され、第2のホルダー10j(図6参照)に載置される。
図16(a)に示したように、コア10dからリング状予備成形体13を抜き出す過程において、コア10dに付着した磁性粉末がリング状予備成形体13の上面で掻き取られ、内径部に付着する。リング状予備成形体13の上面が若干コア10dから突出した時に、ノズル7cから窒素ガスを噴出してリング状予備成形体13表面に付着する磁性粉末を吹き飛ばし、吸引ダクト7dで吸引する。その後、図16(b)に示したようにコア10dからリング状予備成形体13を抜き出す。
図17、図18及び図19は、段積みユニットの構成及び動作を説明するための断面図である。同図に示したように、段積みユニットは、リング状予備成形体13をチャッキングする機構としてのハンド8aと、リング状予備成形体13を積層するテーブル8bと、図示していないが、ハンド8aを位置決めし、昇降させ、移動させる機構と、テーブル8bを回転させるモータ等の回転機構とを備えている。
図17(a)に示したように、ハンド8aをコア10dから抜き出されたリング状予備成形体13の直上に移動させ、図17(b)に示したように、ハンド8aを下降させてリング状予備成形体13をハンド8aでチャッキングする。チャッキング力は0.1〜4Nとする。
次に、ハンド8aを上昇させ、図18(a)に示したように、ハンド8aをその中心がテーブル8bの回転中心の直上となるように移動させ、図18(b)に示したように、ハンド8aを下降させてリング状予備形体13をテーブル8bに載置する。この時、リング状予備成形体13の中心はテーブル8bの回転中心と一致する。この時、テーブル8a上に置かれたリング状予備形体13は、キャビティー10hの内径が小さい方の搬送金型から抜き出されたものである。
さらに、同様にして、図19(a)及び(b)に示したように、1段目のリング状予備成形体13の上に、キャビティー10hの内径が大きい方の搬送金型から抜き出されたリング状予備形体13を2段目及び3段目として積層し、最後に、キャビティー10hの内径が小さい方の搬送金型から抜き出されたリング状予備形体13を積層することによって、図1に示したリング型焼結磁石を得るための成形体が得られる。
ベルトコンベア2上を搬送する搬送金型10の個数、キャビティー10hの内径が大きい方のものと小さい方のものの順序を変えることにより、所望の段数及び内径が小さなリング状予備形体13が所望の段に配置された成形体が得られる。
リング状予備成形体13の高さにばらつきが生じ、高さが高くなると段積みの際に不要な圧力がリング状予備形体13に加わり、リング状予備成形体13が押しつぶされ、高さが低くなるとハンド8aが空中でリング状予備成形体13を放し、落下の衝撃で破壊するといったことが生じるが、この実施の形態では1回に成形されるリング状予備成形体13の重量は、図5に示した給粉・充填ユニット3の磁性粉末の計量工程で一定量に計量されているので、リング状予備成形体13の高さは一定になり、段積みの際にリング状予備成形体13に不要な力が加わったり、衝撃力が加わったりすることはない。
段積み工程が終了すると、搬送金型10b,10d,10eは移載機構12によってパレット上に戻され、次の工程を行う金型脱粉/金型セットユニットに搬送される。
金型脱粉/金型セットユニットは、搬送金型10に付着した磁性粉末を除去する除粉機構と、給粉・充填ユニットにおいて磁性粉末を供給でき、初期の状態に搬送金型の各部をセットするセット機構とを備えている。
除粉機構は、窒素ガスを搬送金型の各部に噴射することができるノズル(各部に移動させる機構を有する)と、窒素ガスによって吹き飛ばされた磁性粉末を吸引し、集塵するための吸引機構とを有する。
除粉機構及びセット機構によって、次サイクルの成型及び段積みまでの工程を円滑に行うことができる。
セット機構は、積層工程終了後には、図6に示した第2のホルダー10j上に載置されているダイ10fを、持ち上げて第1のホルダー10bに載置されている下パンチ10e上に移動させる機構である。
リング状予備成形体13が段積みされた成形体は、焼結・熱処理炉へ移され、所定の温度で焼結・熱処理をした後、必要に応じて仕上げ加工を施し、図1に示したリング型磁石1を得る。
以上に述べたように、この実施の形態1におけるリング型磁石の製造方法によれば、複数個の搬送金型10をベルトコンベア2を用いて、同時にベルトコンベア2の各所に設けられた各ユニットで短いリング状予備成形体を製作するプロセスを処理し、必要な個数のリング状予備成形体を段積みするので、タクトタイムが短くなり、リング型焼結磁石が生産性よく製造される。
実施の形態2.
図20は、この発明のリング型焼結磁石における実施の形態2を示す断面図であり、図21は、図20のリング型焼結磁石の未加工状態を示す断面図、図22は、図20のリング型焼結磁石をロータシャフトに接着して得られた永久磁石ロータを示す断面図であり、上記実施の形態1と同一符号は同一部分または相当部分を示している。
上記実施の形態1では、両端の段のリング状予備成形体1aの内径を他の段のリング状予備成形体1aの内径よりも小さくし、両端のリング状予備成形体1aのみの内径を仕上げ加工するようにしたが、この実施の形態2におけるリング型焼結磁石は、図20に示したように、4段のリング状予備成形体1aのうち一端の段のリング状予備成形体1aの内径が他の段のリング状予備成形体1aの内径より小さくなっており、図21に示した未加工のリング型焼結磁石1の外径、両端面及び一端のリング状予備成形体1aの内径を仕上げ加工したものである。
仕上げ加工後の一端の段のリング状予備成形体1aの内径は、ロータシャフト11(図22参照)の外径よりも数μm〜数十μm大きく、その他の段は未加工であり、内径がロータシャフト11の外径よりも100〜400μm大きくなっている。
各段のリング状予備成形体1aは同軸にあり、図22に示したように、ロータシャフト11の外径にリング型焼結磁石1の一端の段の加工した内径が嵌め合わされて、ロータシャフト11の中心軸とリング型焼結磁石1の中心軸が同軸となるように位置決めされている。
上記のように、未加工の段の内径とロータシャフト11の外径との間には100〜400μmの寸法差があるので、ロータシャフト11の外径との間には100〜400μmの隙間がある。その隙間に接着剤が充填されており、ロータシャフト11に対するリング型焼結磁石1の接着固定に必要な接着層の厚みが精度よく確保されており(厚みが50〜200μmとなる)、確実にリング型焼結磁石1をロータシャフト11に接着することができる。接着層の厚みが50μm以下では、リング型焼結磁石1の線膨張係数とロータシャフト11の線膨張係数との差のために起こる温度変化時の寸法変化の差を吸収できず、リング型焼結磁石1が割れてしまう。また、接着層の厚みが200μm以上では、十分な接着強度が得られない。
この実施の形態2によれば、リング型焼結磁石1の一端の段の内径を仕上げ加工し、他の段の内径は未加工とし、リング型焼結磁石1の内径寸法とロータシャフト11の外形寸法との関係を上記のように構成することによって、リング型焼結磁石1とロータシャフト11とを同軸に位置合わせすることができ、ステータ内径との中心位置合わせも正確に合わせることができる。この結果、ステータとロータとの間のエアギャップが均一になり、コギングトルクが小さくなる等、モータ特性の優れたものが得られる。
また、接着層の厚みが精度よく均一に確保されるので、リング型焼結磁石1をロータシャフト11へ確実に接着することができる。
また、リング型焼結磁石1の内径加工を施す箇所が一端の段だけであるので、加工の取り代が少なく、加工コストを削減することができる。
また、リング型焼結磁石1の内径加工を施す箇所が一端の段だけであるので、短い軸長の工具で加工することができ、加工が容易になり、加工コストを削減することができる。
この実施の形態2におけるリング型焼結磁石の製造方法について説明する。
搬送金型10として、キャビティー10hの内径が小さいもの一つと大きいもの三つを準備し、キャビティー10hの内径が小さい方のもの、キャビティー10hの内径が大きい方のものの順にベルトコンベア上を搬送する。
上記実施の形態1と同様に各ユニットの工程を経て、内径が小さなリング状予備成形体13、内径が大きなリング状予備成形体13が順次成形され、順次、成形されたリング状予備成形体13は、上記実施の形態1に示した段積みユニットのテーブル(図5、図17、図18及び図19参照)に置かれ、段積みされる。
次いで、段積みしたリング状予備成形体を焼結・熱処理炉へ移し、所定の温度で焼結・熱処理をした後、必要に応じて仕上げ加工を施し、図20に示したリング型焼結磁石を得る。
この実施の形態2におけるリング型磁石の製造方法によれば、複数個の搬送金型10をベルトコンベア2を用いて、同時にベルトコンベア2の各所に設けられた各ユニットで短いリング状予備成形体を製作するプロセスを処理し、必要な個数のリング状予備成形体を段積み(積層)するので、タクトタイムが短くなり、リング型焼結磁石が生産性よく製造される。
なお、上記実施の形態1及び2では、両端の段または一端の段の内径を他の段の内径より小さくしたが、いずれかの段の内径を他の段の内径より小さくすればよい。
実施の形態3.
図23は、この発明のリング型焼結磁石における実施の形態2を示す断面図であり、図24は、図23のリング型焼結磁石の未加工状態を示す断面図、図25は、図23のリング型焼結磁石をロータシャフトに接着して得られた永久磁石ロータを示す断面図であり、上記実施の形態1と同一符号は同一部分または相当部分を示している。
上記実施の形態1では、内径を小さくした両端のリング状予備成形体1aがリング型焼結磁石1の一部であったが、この実施の形態3におけるリング型焼結磁石は、図23に示したように、4段のリング状予備成形体1aの両端に、例えば、ステンレス鋼の粉末を成形し焼結した非磁性の焼結金属1bが焼結によって結合されており、焼結金属1bの内径がリング状予備成形体1aの内径より小さくなっており、図24に示した未加工のリング型焼結磁石1の外径、両端面及び両端端の焼結金属1bの内径を仕上げ加工したものである。
仕上げ加工後の両端の焼結金属1bの内径は、ロータシャフト11(図22参照)の外径よりも数μm〜数十μm大きく、4段のリング状予備成形体1aの内径は未加工であり、内径がロータシャフト11の外径よりも100〜400μm大きくなっている。
図25に示したように、ロータシャフト11の外径に焼結金属1bの加工した内径が嵌め合わされて、ロータシャフト11の中心軸とリング型焼結磁石1の中心軸が同軸となるように位置決めされている。
上記のように、未加工の段の内径とロータシャフト11の外径との間には100〜400μmの寸法差があるので、ロータシャフト11の外径との間には100〜400μmの隙間がある。その隙間に接着剤が充填されており、ロータシャフト11に対するリング型焼結磁石1の接着固定に必要な接着層の厚みが精度よく確保されており(厚みが50〜200μmとなる)、確実にリング型焼結磁石1をロータシャフト11に接着することができる。接着層の厚みが50μm以下では、リング型焼結磁石1の線膨張係数とロータシャフト11の線膨張係数との差のために起こる温度変化時の寸法変化の差を吸収できず、リング型焼結磁石1が割れてしまう。また、接着層の厚みが200μm以上では、十分な接着強度が得られない。
この実施の形態3によれば、リング型焼結磁石1の両端の焼結金属1bの内径を仕上げ加工し、他の段の内径は未加工とし、リング型焼結磁石1の内径寸法とロータシャフト11の外形寸法との関係を上記のように構成することによって、リング型焼結磁石1とロータシャフト1とを同軸に位置合わせすることができ、ステータ内径との中心位置合わせも正確に合わせることができる。この結果、ステータとロータとの間のエアギャップが均一になり、コギングトルクが小さくなる等、モータ特性の優れたものが得られる。
また、接着層の厚みが精度よく均一に確保されるので、リング型焼結磁石1をロータシャフト11へ確実に接着することができる。
また、リング型焼結磁石1の内径加工を施す箇所が一端の段だけであるので、加工の取り代が少なく、加工コストを削減することができる。
また、リング型焼結磁石1の内径加工を施す箇所が一端の段だけであるので、短い軸長の工具で加工することができ、加工が容易になり、加工コストを削減することができる。
また、加工する部分が燒結金属であるので切削等を利用することができ、仕上げ加工が容易になる。
この実施の形態3におけるリング型焼結磁石の製造においては、両端の焼結金属1b部分の成形体を成形する際に、平均粒径が10μm以下のステンレス鋼の粉末を用いる。
上記実施の形態1と同様に各ユニットの工程を経て、内径が小さなステンレス鋼の粉末からなる燒結金属1b、磁性粉末からなる内径が大きなリング状予備成形体13が順次成型され、順次、成型されたステンレス鋼の粉末からなる燒結金属1b、磁性粉末からなるリング状予備成形体13は、上記実施の形態1に示した段積みユニットのテーブル(図5、図17、図18及び図19参照)に置かれ、段積みされる。
次いで、段積みした成形体を焼結・熱処理炉へ移し、所定の温度で焼結・熱処理をした後、必要に応じて仕上げ加工を施し、図20に示したリング型焼結磁石を得る。
この実施の形態3におけるリング型磁石の製造方法によれば、複数個の搬送金型10をベルトコンベア2を用いて、同時にベルトコンベア2の各所に設けられた各ユニットで短いリング状予備成形体1b及び燒結金属用の成形体を製作するプロセスを処理し、必要な個数だけ段積みするので、タクトタイムが短くなり、リング型焼結磁石が生産性よく製造される。
なお、この実施の形態3において、図26の断面図に示したように、焼結金属1b部分を一端の段のみに設けるようにしても、両端の段に設けた場合と同様の効果が得られる。
また、焼結金属1b部分は、端部の段以外の段に設けてもよい。