JP2005236213A - リードピン付き配線基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガラスセラミックス等から成る絶縁基体を用いた配線基板にリードピンをろう付けした場合に、リードピンの接合信頼性を向上させること。
【解決手段】 リードピン付き配線基板3は、絶縁基体5の表面および内部の少なくとも一方に配線導体6が形成されるとともに、絶縁基体5の表面の配線導体6の露出した部位を含む領域に、一端に円板状のヘッド部1aを有するリードピン1のヘッド部1aが、Ti,ZrまたはHfの少なくとも1種を含有するAg−Cu合金から成るろう材2を介して接合されて成るリードピン付き配線基板であって、リードピン1は、へッド部1aの厚みが0.10mm以上で直径が0.40mm以上であり、へッド部1aのピン側の主面の中央部に底部の厚みが0.05〜0.24mmである凹部1bが形成されているとともに凹部1bの底面にピンの一端が繋がっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージや回路基板、電子回路モジュール等に使用される、入出力端子用のリードピンが立設された、いわゆるピングリッドアレイ(PGA)用のリードピン付き配線基板に関するものである。
従来から、IC,LSI等の半導体集積回路素子等の半導体素子を収容するための半導体素子収納用パッケージや、高周波回路や電力回路等を構成する回路基板あるいは電子回路モジュール等には、セラミックスから成る絶縁基体の表面および内部の少なくとも一方に配線導体を有する配線基板が使用されている。
また、この配線基板には、リードピン、ボール端子等の端子部材や放熱板、放熱フィン等の放熱部材、あるいは配線基板と蓋体とから成る容器の内部に半導体素子を気密に収容するために、金属製の蓋体を取着するためのシールリング等のシール部材といった金属部材が、配線基板の表面のメタライズ層から成る配線導体やメタライズ層に、あるいは配線基板の絶縁基体に、直接ろう材を介して接合される。
例えば、半導体素子収納用パッケージの場合であれば、一般にアルミナセラミックス等の電気絶縁材料から成り、その上面の略中央部に半導体素子を収容するための凹部およびこの凹部の周辺から外周端にかけて導出されたW,Mo等の高融点金属粉末から成る複数のメタライズ層から成る配線導体を有する絶縁基体としての配線基板と、半導体素子を外部電気回路に電気的に接続するために配線基板の下面に形成されたメタライズパッドと呼ばれるメタライズ層から成る配線導体に、Agろう等のろう材を介して接合された外部端子としてのリードピンとを有する形態(いわゆるピングリッドアレイ型)で構成され、また必要に応じて金属製の放熱部材等が取着されている。
そして、配線基板の凹部の底面に半導体素子をガラスや樹脂等から成る接着剤を介して接着固定し、半導体素子の各電極とメタライズ層から成る配線導体とをボンディングワイヤ等を介して電気的に接続するとともに、配線基板の上面に蓋体をガラスや樹脂等の封止材を介して接合し、配線基板と蓋体とから成る容器の内部に半導体素子を気密に封止することによって半導体装置が構成される。
このような半導体装置の端子部材としてのリードピンは、一般に、ろう材との接合面積を大きくしてメタライズパッドとの接合強度を上げるために、リードピンの一方の端部を塑性加工することにより、外部電気回路のソケットに挿入されるピン部と、配線基板のメタライズパッドと接合されるヘッド部とを有する、いわゆるネイルヘッド型となっている。
一方、近年の高度情報化時代を迎え、信号に使用される周波数帯域はますます高周波帯に移行しつつある。
このような高周波信号の伝送を行なう高周波用の配線基板においては、高周波信号を高速で伝送する上で、配線導体を形成する導体の抵抗が低いことが要求され、絶縁基体にもより低い誘電率が要求される。
例えば、誘電率が低く高周波用の絶縁基体として好適であるガラスセラミックスを絶縁基体に用い、Cu,Ag,Au等の低抵抗金属のメタライズ層を配線導体として形成した配線基板が多用されている。
しかしながら、このような高周波用の配線基板においては、低誘電率のガラスセラミックスはガラス成分を多量に含有することから、その磁器強度は従来のアルミナセラミックス等に比べて低く、また、低抵抗金属は融点が低いことから低温で焼成する必要があるため、メタライズ層から成る配線導体のガラスセラミックスへの接合強度も低いものとなっている。
このため、このような配線基板のメタライズパッドにろう材を介してリードピンを接合しピングリッドアレイ型のリードピン付き配線基板とした場合においては、外部電気回路に配線基板を装着するためにリードピンを外部電気回路のソケットに差し込んだり、あるいは外部電気回路に配線基板を装着後に故障や交換等のメンテナンス等が必要となりリードピンを引き抜いたりした際に、リードピンに垂直方向や斜め方向からの外力が働くと、絶縁基体であるガラスセラミックスとメタライズパッドとの界面に破壊応力が発生して、メタライズパッドに剥がれが生じたり、ガラスセラミックスそのものがその破壊応力に屈して破壊したりして、接合信頼性が低下するという問題点があった。
そこで、磁器強度の弱いガラスセラミックス等の絶縁基体とメタライズパッドとの界面における破壊を回避する手法として、活性金属としてTi,ZrまたはHfの少なくとも1種を含有するAg−Cu系ろう材を用いて、リードピン接合用のメタライズパッドを配線基板に形成せずに、配線基板の内部から下面に導出された配線導体としての貫通導体(ビア導体)が絶縁基体の表面に露出した部位を含む領域にリードピンを直接接合する手法が提案されている。
この手法では、メタライズパッドを介さずに、配線基板の配線導体の一部である貫通導体の絶縁基体の表面に露出した部位とリードピンとを、Ti,ZrまたはHfの少なくとも1種を含有するAg−Cu系ろう材で形成したパッド(以下,ろう材パッドという。)を介して直接接続することによって電気的接続を行なうことができる。また、貫通導体の露出部は通常は直径が約100μm以下と小さいことから、リードピンは実質的には絶縁基体とろう材パッドを介して接合されるため、メタライズパッドと絶縁基体との接合強度に依存することなくリードピンを接合することができ、絶縁基体とメタライズパッドとの間の界面における破壊を回避することができる。
特開平8−162563号公報 特開平8−298381号公報 特開平9−18144号公報
しかしながら、上記の手法においても、小型化、高密度化が進む昨今において設計上の制約としてメタライズパッド中心の間隔、すなわちメタライズパッドのピッチが1mm以下とファインピッチとなったリードピン付き配線基板においては、ろう材パッド径を最大でも0.9mm程度しか取ることができず、絶縁基体に対する濡れ性が低く接合面積を大きくする必要があるTi,ZrまたはHfの少なくとも1種を含有するAg−Cu系ろう材を用いたろう材パッドと絶縁基体との接合面積が約0.64mm程度と小さくなってしまう。そのため、リードピンに対して、その軸方向に対して斜め方向にリードピンを引っ張る方向への外力が、セラミックスの磁器強度以上の破壊応力を生じるような大きさで、セラミックスから成る絶縁基体とろう材パッドとの接合面の外周端に集中して作用した場合、絶縁基体自体がその破壊応力に屈して破壊しやすくなり、この部分を起点として絶縁基体の内部にクラック等が進行して接合信頼性の低下を引き起こすことが顕著に発生するという問題があった。
本発明は、以上の問題点を解決するために完成されたものであり、その目的は、リードピン付き配線基板において、リードピンに斜め方向の外力が加わっても実用上耐え得るレベルのリードピンと絶縁基体との接合強度を確保できる高信頼性のリードピン付き配線基板を提供することにある。
本発明者は、上記問題点について鋭意研究した結果、リードピンに斜め方向に外力が生じた場合のリードピンと絶縁基体との接合強度について、リードピンを適切な形状に設定することと、Ti、ZrまたはHfの少なくとも1種を含有するAg−Cu系ろう材によって形成されたろう材パッドとピンの位置関係を適切な範囲に設定することによって、リードピンと絶縁基体との接合強度が大きく改善され、高信頼性のリードピン付き配線基板を提供することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のリードピン付き配線基板は、絶縁基体の表面および内部の少なくとも一方に配線導体が形成されるとともに、前記絶縁基体の表面の前記配線導体の露出した部位を含む領域に、一端に円板状のヘッド部を有するリードピンの前記ヘッド部が、Ti,ZrまたはHfの少なくとも1種を含有するAg−Cu合金から成るろう材を介して接合されて成るリードピン付き配線基板であって、前記リードピンは、前記へッド部の厚みが0.1mm以上で直径が0.40mm以上であり、前記へッド部のピン側の主面の中央部に底部の厚みが0.05〜0.24mmである凹部が形成されているとともに該凹部の底面にピンの一端が繋がっていることを特徴とするものである。
本発明のリードピン付き配線基板は、好ましくは、前記ヘッド部がその側面よりも外側に全周にわたって広がっている前記ろう材を介して接合されており、前記ヘッド部の側面と前記ろう材の外周端との間の距離が全周にわたって0.12mm以上であることを特徴とするものである。
本発明のリードピン付き配線基板によれば、リードピンのへッド部は、その中央部に凹部が形成され、この凹部の底面にピンの一端が繋がっていることによって、ヘッド部の厚み(ヘッド部外周の厚み)0.1mm以上に対して凹部の厚みを0.05〜0.24mmと薄くしたことから、リードピンに斜め方向から外力が加わった際にヘッド部が回転運動しようとする際に、Ti,ZrまたはHfの少なくとも1種を含有するAg−Cu系ろう材パッドと絶縁基体との接合部の外周端部に加わる力のモーメントにおける回転軸の中心までの距離、すなわち凹部底面に繋がったピンの一端からヘッド部外周端までの距離を短くすることができ、その結果力のモーメントを小さくすることができる。さらに、ヘッド部の厚みは0.10mm以上と十分に厚いことから、ろう材のボリューム(体積)のバラツキによる接触角の変化の影響を受けにくくなり、特にヘッド部の上面へのろう材のはい上がりなどによる接触角の増大を防止することができるので、ろう材の周端部に発生する残留応力を低減することができる。
また、ヘッド部の直径を0.40mm以上としたことから、ろう材とヘッド部の接合面積を確保し、ろう材からヘッド部の剥離をなくすることができる。
また、本発明において好ましくは、ヘッド部がその側面よりも外側に全周にわたって広がっているろう材を介して接合されており、ヘッド部の側面とろう材の外周端との間の距離が全周にわたって0.12mm以上であることにより、ガラスセラミックスから成る絶縁基体へのTi,ZrまたはHfの少なくとも1種を含有するAg−Cu系ろう材パッドを介してのリードピンの接合状態を適度なものとしたことから、ろう材パッドと絶縁基体との接合部の外周端部における、絶縁基体に対するろう材の接触角が過剰に大きくなることを抑制することができる。
その結果、磁器強度が低い絶縁基体を用いたリードピン付き配線基板において、リードピンに斜め方向から外力が生じた際に、その外力の方向と反対側のろう材と絶縁基体との接合面の外周端への引張り応力を効果的に低減することができる。そのため、この外力の方向と反対側のろう材と絶縁基体との接合面の外周端を起点として、磁器強度の低い絶縁基体にクラック等の破壊が発生するのを大きく抑制することができ、より高い接合強度を有するリードピンの接合構造とすることができる。
本発明のリードピン付き配線基板について詳細に説明する。図1は本発明のリードピンの断面図であり、図2は、半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージに本発明のリードピンを適用した場合の実施の形態の一例を示す断面図である。これらの図において、1はリードピン、2は活性金属としてTi,ZrまたはHfの少なくとも1種を含有するAg−Cu系ろう材(以下、ろう材ともいう)、3はリードピン付き配線基板(以下、配線基板ともいう)、4は半導体素子である。配線基板3のガラスセラミックスから成る絶縁基体5は、上面の中央部に半導体素子4を搭載するための搭載部7を有している。
絶縁基体5は、ガラスセラミックスの焼結体から成る例えば四角形状の板状体であり、その表面および内部の少なくとも一方に配線導体6を有している。このような配線基板3は、例えば以下のようにして製作される。
ガラスセラミックスから成る絶縁基体5は、例えば、ガラス成分としてSiO−B系、SiO−B−Al系、SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す)、SiO−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは同じまたは異なっていて、Ca,Sr,Mg,BaまたはZnを示す)、SiO−B−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは上記と同じである)、SiO−B−M O系(但し、MはLi,NaまたはKを示す)、SiO−B−Al−M O系(但し、Mは上記と同じである)、PB系ガラス、Bi系ガラス等から成るガラス粉末と、例えば、Al,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えば、スピネル,ムライト,コージェライト)等のフィラー粉末とを、質量比で40:60〜99:1の割合で混合し、さらに適当な有機溶剤,溶媒を添加混合して泥漿状となすとともに、これをドクターブレード法やカレンダーロール法によりシート状に成形してセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得る。
次に、このセラミックグリーンシートに、導体材料の粉末をペースト化した導体ペーストをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等により印刷するか、あるいは所定パターン形状の金属箔を転写する等の方法を用いて、配線導体6を形成する。
導体ペーストの導体材料としては、ガラスセラミックス焼結体に対しては、Cu,Ag,Ag−Pt,Ag−Pd,Au等が用いられる。
なお、この配線導体6には、絶縁基体5の上面と下面とにそれぞれ配置された導体パターン同士を絶縁基体5の内部で接続するためのビア導体やスルーホール導体等といった貫通導体の部分も含まれる。この貫通導体は、例えば、パンチング加工等によりセラミックグリーンシートに形成した貫通孔に導体ペーストを充填することによって形成される。また、図2において、貫通導体は説明のために実際のスケールよりも強調して図示している。
次に、配線導体6を形成したセラミックグリーンシートを複数枚積層し、所定の温度(ガラスセラミックスの場合であれば約900℃)で焼成することによって、配線基板3が製作される。
そして、配線基板3の下面の、配線導体6としての貫通導体が絶縁基体5の表面に露出した部位を含む領域に、活性金属としてTi,ZrおよびHfのうち少なくとも1種を含有するAg−Cu系ろう材2をペースト化したものをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等により印刷し、ネイルヘッド型のリードピン1と配線基板3の配線導体6および絶縁基体5とを、Ag−Cu系ろう材2を介してろう付けする。
このAg−Cu系ろう材2は、BAg−8(JIS Z−3261:72質量%Ag−28質量%Cu)ろう材を始めとして、Agが60〜80質量%でCuが20〜40質量%の組成から成るAg−Cu系ろう材に、活性金属であるTi,ZrおよびHfのうち少なくとも1種を、金属または水素化物の状態で外添加で2〜10質量%添加したものが用いられる。
このろう材2を介してリードピン1を絶縁基体5に接合するには、例えば、ろう材2の粉末に有機溶剤、バインダおよび溶媒を合わせて5〜15質量%を外添加で混合して得たろう材ペーストを、配線導体6が露出した部位、例えば貫通導体の露出した端面を含む絶縁基体5の表面に、スクリーン印刷法等によりリードピン1を立設する部位に対応した所定パターンで印刷し、これにリードピン1のヘッド1aを載置して、これを真空中または中性雰囲気中もしくは還元雰囲気中でろう材2の溶融温度に合わせた所定温度(例えば約800℃)で加熱処理し、ろう材2を溶融させて、配線導体6および絶縁基体5とリードピン1をろう付け接合する。
このとき、ろう材2の融点およびろう付け後の接合部の外観や反応層および合金層の厚み等を考慮して、ろう材2における活性金属の含有量、ボリューム(体積)、ブレージング最高到達温度や、ろう材2の融点以上の温度の保持時間等を決める必要がある。
その一例として、72質量%Ag−28質量%CuのいわゆるBAg−8と呼ばれるろう材に活性金属としてTiHを3質量%添加したろう材2を用いて、絶縁基体5の表面にろう付け後に直径0.90mmのろう材パッドを形成する場合であれば、ピン径が0.20mm、ヘッド部1aの厚みが0.15mm、ヘッド部1aの凹部1bの底部の厚みが0.10mm、ヘッド部の直径が0.50mmのリードピン1を絶縁基体5の所定部位に当接した状態で、真空炉中で最高温度795℃乃至850℃で5分乃至1時間保持すれば、高い強度を有する良好な接合状態が得られる。
一方、ピン径が0.20mm、凹部1bを持たないヘッド部1aの厚みが0.30mm、ヘッド部1aの直径が0.50mmのリードピン1を用いた場合、接合強度が低くなり、かつガラスセラミックスの内部で破壊が発生しやすい状態となる。その原因としては、リードピン1に斜め方向から外力(図1に矢印で示す)が加わった際に、ヘッド部1aが回転運動(図1に矢印で示す)しようとする際に、ろう材2と絶縁基体5との接合部の外周端部に生じる力のモーメントが大きいことが挙げられる。回転軸の中心から作用点までの距離が短いと力のモーメントは小さくなり、逆にその距離が長いと力のモーメントは大きくなる。その距離を決定する要素として、リードピン1のヘッド厚みが挙げられる。
リードピン1のヘッド部1aの厚みが0.30mmと厚い場合、ろう材2と絶縁基体5との接合部の外周端部への力のモーメントが大きくなり、リードピン1に斜め方向から外力が加わった際に、絶縁基体5の破壊の起点となるろう材2と絶縁基体5との接合面の外周端への応力が増加することとなり、絶縁基体5にクラック等の破壊が発生しやすくなる。
なお、ヘッド部1aの厚みを0.10mm未満に小さくした場合、力のモーメントを小さくするという効果はあるが、ろう材2がヘッド部1aの上部を越えて這い上がりやすくなり、さらに這い上がろうとしたろう材2が、ヘッド部1aの側面の領域に過剰に供給されたり、ヘッド部1aを越えて供給されたりする場合がある。その結果、ろう材2の絶縁基体5との接合部の外周端における絶縁基体5表面に対するろう材2の接触角が大きくなる傾向にある。
このように絶縁基体5に対するろう材2の接触角が大きくなった場合、ろう材2と絶縁基体5との接合部の外周端部におけるろう材2のボリュームが大きくなり、これに伴ってリードピン1と絶縁基体5とをろう材2を介して接合する際にろう材2の外周端部に発生する残留応力が高いものとなる。その結果、リードピン1に斜め方向から外力が加わった際に、ろう材2と絶縁基体5との接合界面には、外力により発生した応力とろう材2の内部の残留応力とがあいまった大きな破壊応力が作用することとなり、絶縁基体5にクラック等の破壊が発生しやすくなる。
また、リードピン1のヘッド部1aの厚みが薄いと、ヘッド部1aの側面の表面積が小さくなるため、ろう材2のボリュームのばらつきによる接触角のばらつきが起きやすく、ろう材2を介してのリードピン1と絶縁基体5との接合強度も不安定となる傾向にある。
本発明は、リードピン1は、へッド部1aの厚みが0.1mm以上で直径が0.40mm以上であり、へッド部1aのピン側の主面の中央部に底部の厚みが0.05〜0.24mmである凹部1bが形成されていることにより、ヘッド1aの側面の表面積を小さくすることなく、ろう材2のボリュームのばらつきによる接触角のばらつきを低減するこができる。
なお、ヘッド部1aの凹部1bの底部の厚みが0.05mm未満の場合、ヘッド部1a自体の剛性が低下するため、リードピン1の加工時や取扱い時に曲がり等の変形が発生し、ヘッド1aのろう材2との接合面にろう材2が良好に接触しなかったり、ヘッド部1aそのものが破壊されることにより、接合強度のばらつきや低下が生じることがある。
また、ヘッド部1aの直径を0.40mm以上とすることで、ヘッド部1aとろう材2との接合面積を確保することができる。また、ヘッド部1aの側面からろう材2の外周端までの距離が全周にわたって0.12mm以上となるようにしたことから、リードピン1を立設するのに十分なろう材2の量が得られるとともに、ろう材2の外周端部に発生する残留応力を低くすることができる、力学的に最適な絶縁基体5に対するろう材2の接触角、例えば5〜30°の好ましい接触角を得ることができ、外力により発生した大きな破壊応力に対して高い接合強度を得ることができる。
なお、リードピン1のヘッド部1aの直径を0.40mmより小さくした場合、ヘッド部1aとろう材2との接合面積が小さくなり、外力によりリードピン1に発生した応力が接合部にさらに集中し、絶縁基体5にクラック等の破壊が発生しやすくなってしまう。
そして、絶縁基体5に対するろう材2の接触角が例えば45°と過剰に大きくなった場合、リードピン1と絶縁基体5とをろう材2を介して接合する際に、ろう材2の外周端部に発生する残留応力が高いものとなってしまう。その結果、リードピン1に斜め方向から外力が加わった際に、ろう材2と絶縁基体5との接合界面には、外力により発生した応力とろう材2の内部の残留応力とがあいまった大きな破壊応力が作用することとなり、絶縁基体5にクラック等の破壊が発生しやすくなってしまう。
なお、本発明のリードピン付き配線基板3に用いられるリードピン1の材質、ピン部の長さ、ヘッド部1aの厚み等は、外部電気回路のソケットの形状や接続方法等に応じて選択が可能である。例えば、半導体素子収納用パッケージに適用するリードピン1であれば、Fe−Ni−Co合金やCu合金製のものが使用され、ピン部の長さとしては1〜6mm程度の範囲のものが使用される。
以上のようにして、リードピン1と絶縁基体5とを接合することにより、斜め方向からリードピン1に外力が加わっても、絶縁基体5とリードピン1とのろう材2を介した接合部において高い接合強度を確保することができ、良好なろう付け状態でリードピン1が接合されたリードピン付き配線基板3を得ることが可能となる。
なお、本発明の配線基板3においては、絶縁基体5の表面に形成される配線導体6のリードピン1が接合されない部位の表面、および貫通導体の露出する表面のリードピン1が接合されない部位には、絶縁基体5とリードピン1との接合前あるいは接合後に、耐蝕性に優れ、かつAg−Cu系ろう材2との濡れ性が良好なNiやAu等の金属層が1〜20μmの厚みでめっき法等により被着されていてもよい。
Niめっき層は、例えばPを4〜12質量%程度含有する無電解Ni−Pめっき層から成る。このようなNiめっき層は、まず、配線導体6が形成された絶縁基体5を界面活性剤と塩酸水溶液とから成る温度が25〜50℃の酸性の洗浄液に1〜5分間浸漬して、配線導体6の露出した表面を清浄とし、次にこれを純水で洗浄した後、塩化パラジウム,水酸化カリウム,エチレンジアミンテトラアセティクアシッドから成る温度が25〜40℃のパラジウム活性液中に1〜5分間程度浸漬して、配線導体6の表面にパラジウム触媒を付着させ、次にこれを純水で洗浄した後、硫酸ニッケル,クエン酸ナトリウム,酢酸ナトリウム,次亜リン酸ナトリウム,塩化アンモニウムから成る温度が50〜90℃の無電解Niめっき液中に、2〜60分間浸漬することによって、配線導体6の露出した表面に被着される。
なお、Niめっき層は、その厚みが1μm未満では、絶縁基体5の表面に形成された配線導体6の表面、図2に示す例では半導体素子4の電極が接続される電極パッド8となる部位の表面を良好に被覆することができず、配線導体6の露出した表面に酸化や変色をきたす傾向にある。他方、20μmを超えると、Niめっき層の内部応力によりNiめっき層にクラックや剥がれが発生しやすい。従って、Niめっき層の厚みは1〜20μmの範囲が好ましい。
また、Niめっき層を上述のように無電解Ni−Pめっきにより形成する場合、Niめっき層中のPの含有量が4質量%未満であると、配線導体6の露出した表面にNiめっき層を被着させる際にNiめっきの析出速度が遅くなり、所定の厚みのNiめっき層を得るために長時間を要することとなるので生産性が極めて悪くなる。他方、12質量%を超えると、Niめっき層上に被着させるAuめっき層との反応性が悪くなり、Niめっき層をAuめっき層で良好に被覆することが困難となる傾向にある。従って、Niめっき層中のPの含有量は4〜12質量%の範囲が好ましい。
特に、絶縁基体5とリードピン1との接合後に無電解めっき法によりNi−Pめっきを施すときには、ろう材2の周りの絶縁基体5上にNiめっきが析出してしまい、隣接する配線導体6同士が短絡してしまう場合がある。これを防止するには、ろう材2ペースト中の樹脂バインダ量を少なくして、絶縁基体5の表面における炭素の残留を減らして絶縁基体5の表面にNiめっきが被着する要因を減らすか、めっきの前処理の段階で絶縁基体5の表面をエッチングすることにより、ろう付け時に溶融、気化してろう材2の周りの絶縁基体5の表面に付着したAgやCuといったろう材成分を除去するといった対策を施せばよい。
ここで、ろう材2のペースト中の樹脂バインダ量としては、以上のような理由および印刷性の観点から、8〜12質量%の割合で外添加するのがよい。さらに、無電解めっきによるめっき層の耐熱性および変色性の低下を改善するためには、めっき後に400℃以上で加熱処理することにより、めっき層を緻密化させることが効果的である。
そして、本発明のリードピン付き配線基板3は、搭載部7上にエポキシ樹脂やAgエポキシ樹脂等を用いて半導体素子4を搭載し、半導体素子4上の電極と、絶縁基体5の搭載部7の近傍に配線導体6の一部として形成された電極パッド8とを、Au,Cu,Al等の金属細線(ボンディングワイヤ)で電気的に接続した後、CuやAl等から成る金属製または酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック製の蓋体9を、エポキシ樹脂等の樹脂やAu−Sn合金,Au−Ge合金といったろう材等による接着、または溶接によって取着し封止することによって、半導体装置となる。
本発明のリードピン付き配線基板の実施例について以下に説明する。
まず、ガラスセラミックスから成る絶縁基体の表面に、Ag72質量%とCu28質量%とから成るAu−Cu系ろう材(BAg−8)に活性金属としてのTiHを3質量%およびバインダを10質量%の割合で外添加した活性金属ろう材ペーストを、リードピンと絶縁基体との接合用のろう材パッドとしてスクリーン印刷し、ろう付け後の直径が0.90mmとなるろう材パッドを形成した。
次に、このろう材パッドを介して、ピン部の直径が0.20mmで、ヘッド部の厚みが0.08mm〜0.30mm、ヘッド部の凹部の底部の厚みが0.03mm〜0.24mm、ヘッド部の直径が0.30〜0.50mmである14種類(表1の実施例1〜6、比較例1〜8)のFe−Ni−Co合金製のリードピンを、真空炉中で最高温度800℃を15分保持することにより接合した。
その後、このリードピンの接合強度(45°引っ張り強度)を、45°上方に10mm/分の速度で引っ張る引っ張り試験により評価した。
なお、リードピンについて、45°引っ張り強度(破壊強度)が15N以上であればリードピンは折り曲げに耐えうるが、45°引っ張り強度が15N未満しかない場合、リードピンに外力が加わった際にリードピンが折れ曲がる前にガラスセラミックスから成る絶縁基体が破壊してしまうため、ソケット挿入時にリードピンが取れてしまうといった不具合が発生することとなる。これより、接合強度の判断基準として、45°引っ張り強度が15N以上あれば実用上問題ないとした。その結果を表1に示す。
Figure 2005236213
表1より、ヘッド部の厚みが0.10mm以上で、ヘッド部の凹部の底部の厚みが0.05〜0.30mm、ヘッド部の直径が0.40mm以上の本発明のリードピン(実施例1〜6)は、リードピンの45°引っ張り強度が最小値でも15N以上であり、十分な接合強度であった。また、破壊の状態は、ガラスセラミックスの破壊の起点となるろう材と絶縁基体との接合面の外周端ではなく、ピン部で切断されたものであった。
一方、比較例2,4,5,7,8では、リードピンの45°引っ張り強度の最小値および平均値が15N未満であり、強度15N未満の試料は、いずれもろう材とガラスセラミックスとの接合面の外周端を起点とした磁器破壊が生じた。
また、リードピンのヘッド部の凹部の底部の厚みが0.03mmである比較例1,3,6においては、ろう材とガラスセラミックスとの接合面の外周端を起点とした磁器破壊の他に、ヘッド部の凹部の底部においてリードピンの破壊が確認され、引っ張り強度は15N未満であった。
次に、直径0.90mmのろう材パッドに対し、ヘッド部の直径を0.80mm、0.70mmと変化させ、ヘッド部の厚みを0.15mm、ヘッド部の凹部の底部の厚みを0.10mm、ヘッド部の直径を0.40mm,0.50mmとしたリードピンを用い、上記と同様の評価を行なった。その結果を表2に示す。
Figure 2005236213
表2より、ヘッド部の厚み0.15mm、ヘッド部の凹部の底部の厚み0.1mm、ヘッド部の直径0.4mmで、ヘッド部の側面からろう材パッドの外周端までの距離が全周にわたって0.14mmである実施例7のリードピンは、45°引っ張り強度が最小値でも15N以上であり、十分な接合強度であった。
一方、比較例9,10は、ヘッド部の側面からろう材パッドの外周端までの距離が0.09mm,0.08mmのリードピンで、ヘッド部の側面からろう材パッドの外周端までの距離が全周にわたって0.12mmより大きいものであり、リードピンの45°引っ張り強度の平均値が15N未満であり、いずれもろう材とガラスセラミックスとの接合面の外周端を起点とした磁器破壊が生じた。
以上より、本発明の構成のリードピン付き配線基板を用いることで、実用上問題ない接合強度を得ることができ、リードピンに斜め方向に外力が加わった際にも高い接合信頼性を有するリードピン付き配線基板を得ることができた。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことは何ら差し支えない。例えば、上記の実施の形態の例では、本発明のリードピン付き配線基板を半導体素子収納用パッケージに適用した例を示したが、混成集積回路基板等の他の用途に適用してもよい。
本発明のリードピン付き配線基板に用いられるリードピンの実施の形態の例を示す断面図である。 本発明のリードピン付き配線基板の実施の形態の例を示す断面図である。
符号の説明
1・・・リードピン
1a・・・ヘッド部
1b・・・ヘッド部の凹部
2・・・ろう材
3・・・リードピン付き配線基板
4・・・半導体素子
5・・・絶縁基体
6・・・配線導体
7・・・搭載部
8・・・電極パッド

Claims (2)

  1. 絶縁基体の表面および内部の少なくとも一方に配線導体が形成されるとともに、前記絶縁基体の表面の前記配線導体の露出した部位を含む領域に、一端に円板状のヘッド部を有するリードピンの前記ヘッド部が、Ti,ZrまたはHfの少なくとも1種を含有するAg−Cu合金から成るろう材を介して接合されて成るリードピン付き配線基板であって、前記リードピンは、前記へッド部の厚みが0.1mm以上で直径が0.40mm以上であり、前記へッド部のピン側の主面の中央部に底部の厚みが0.05〜0.24mmである凹部が形成されているとともに該凹部の底面にピンの一端が繋がっていることを特徴とするリードピン付き配線基板。
  2. 前記リードピンは、前記ヘッド部がその側面よりも外側に全周にわたって広がっている前記ろう材を介して接合されており、前記ヘッド部の側面と前記ろう材の外周端との間の距離が全周にわたって0.12mm以上であることを特徴とする請求項1記載のリードピン付き配線基板。
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