JP2005234355A - 電子写真感光体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に使用される電子写真感光体に関する。
画像形成装置においては、該装置に用いられる光源の波長領域に感度を有する種々の感光体が使用されている。その1つはセレン等の無機材料を感光層に用いた無機感光体であり、他は有機材料を感光層に用いた有機感光体である。有機感光体は、製造が容易であり、かつ電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂等の材料選択肢が多様で機能設計の自由度が高いことから、近年、広範な研究が進められている。
有機感光体には、電荷発生剤を含有した電荷発生層と電荷輸送剤を含有した電荷輸送層との積層構造からなる、いわゆる積層型感光体と、電荷発生剤と電荷輸送剤とを単一層に含有させた、いわゆる単層型感光体とがある。
電荷輸送剤には、正孔輸送剤と電子輸送剤があり、高い電荷移動度が要求される。一般に、電荷移動度が高い電荷輸送剤は、その多くが正孔輸送剤であるため、実用に供されている有機感光体は、正孔輸送剤を使用するものが多い。
例えば下記特許文献1〜4には、正孔輸送剤としてスチルベンアミン誘導体が開示されている。これらのスチルベンアミン誘導体を正孔輸送剤として用いることにより、残留電位が小さく、しかも長期間の使用による感度変化が小さく耐久性に優れた電子写真感光体を得ることができるとされている。しかしながら、これらの正孔輸送剤を含有する電子写真感光体では、紙粉が感光体に付着することによって、フィルミングが発生したり、感光体に付着した紙粉画像上に黒点となって現れるというような画像不良が生じやすいという問題がある。
一方、特許文献5にはフィルミングを防止するために、バインダ樹脂にシリル基を導入した電子写真感光体が開示されている。しかし、バインダ樹脂にシリル基を導入した場合は、効率的にシリル基を感光体の表面層に配向させるのは難しい。
また、添加剤としてシリル基を有した添加剤を用いた場合は、電気特性が悪化するという問題があり、電子輸送剤にシリル基を導入する場合は、シリル基の電子供与性が電子輸送剤の移動度を低下させ、感光体の感度を低下させるという問題が考えられる。
特開昭50−31773号公報
特開平1−25748号公報
特開2000−47405号公報
特開2000−66419号公報
特開2002−40678号公報
本発明の課題は、感光体としての電気特性に優れ、さらに紙粉によるフィルミングや黒点の発生を抑制し、高品質な画像を得ることができる電子写真感光体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、末端のアリール基にシリル基またはシリルエーテル基を有するスチルベンアミン誘導体を正孔輸送剤として使用することにより、フィルミングの発生を抑制し、高品質な画像を得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤、正孔輸送剤およびバインダ樹脂を含有した感光層が設けられた電子写真感光体であって、前記正孔輸送剤が下記一般式(1)で表される化合物(スチルベンアミン誘導体)であることを特徴とする。
[式中、Ar1〜Ar4は、同一または異なる基であって、置換若しくは非置換のアリール基を示し、Ar1〜Ar4のうちの少なくとも1つが、置換基としてシリル置換基またはシリルエーテル置換基を有するアリール基である。]
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、本発明における前記シリル置換基が下記一般式(a)または(b)で表される置換基であり、前記シリルエーテル置換基が下記一般式(c)、(d)、(e)または(f)で表される置換基である化合物が挙げられる。
[式(a)〜(f)中、Siに結合している3つのR1は、同一または異なる基であって、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、または置換若しくは非置換のアルコキシ基を示し、式(b),(d)〜(f)中、R2は置換または非置換のアルキレン基を示す。]
また、本発明の電子写真感光体における感光層は、少なくとも電荷発生剤、正孔輸送剤およびバインダ樹脂を同一層に含有する単層型感光層であるのがよい。
本発明によれば、正孔輸送剤として、末端のアリール基にシリル基またはシリルエーテル基を含む置換基が導入されたスチルベンアミン誘導体を用いることにより、フィルミングの発生を抑制し、高品質な画像を得ることができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤、正孔輸送剤およびバインダ樹脂を含有し、さらに必要に応じて電子輸送剤を含有した感光層を設けたものである。感光層には、単層型感光層と積層型感光層とがあるが、本発明には、いずれの感光層も適用可能である。
単層型感光層は、電荷発生剤、電荷輸送剤およびバインダ樹脂を同一の層に含有する光導電層単独で構成されるものである。この単層型感光層は、層構成が簡単で生産性に優れており、層を形成する際の皮膜欠陥を抑制でき、層間の界面が少なく光学的特性を向上できるという利点がある。
一方、積層型感光層は、導電性基体上に電荷輸送剤を含有する電荷輸送層と、電荷発生剤を含有する電荷発生層とを積層することで構成される。また、電荷発生剤とともに電荷輸送剤を含有させた光導電層を、電荷輸送層、電荷発生層と組み合わせてもよい。積層型感光層は、上記電荷発生層、電荷輸送層などの形成順序と、両層に含有させる電荷輸送剤の種類(正孔輸送剤または電子輸送剤)によって種々の組み合わせが考えられるが、本発明においては、電荷輸送層および光導電層の少なくとも1つに正孔輸送剤としての一般式(1)で表される化合物を含有させる。該積層型感光体は、電荷発生、電荷輸送といった機能を各層に分離しているので、構成材料の無駄が少なく、感度を向上させ易いという利点を有する。
電荷発生剤としては、例えば無金属フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、α-チタニルフタロシアニン、Y-チタニルフタロシアニン、V-ヒドロキシガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミニウム、アモルファスシリコンといった無機光導電材料などが挙げられる。これらの電荷発生剤は単独でまたは2種以上をブレンドして用いてもよい。
本発明では、特にフタロシアニン系顔料、とりわけ無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびクロロガリウムフタロシアニンから選ばれる少なくとも1種を電荷発生剤として用いるのが、LEDやレーザー等、650nm以上の赤色もしくは赤外光を露光光源としたときの、感光体の電気特性のうえで好ましい。
本発明において使用する正孔輸送剤は、前記一般式(1)で表される化合物(スチルベンアミン誘導体)である。式(1)中、Ar1〜Ar4で表されるアリール基としては、例えばフェニル、トリル、キシリル、ビフェニリル、o−テルフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリルなどの、アリール部分の炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
また、Ar1〜Ar4のうちの少なくとも1つは、シリル置換基またはシリルエーテル置換基を有するアリール基である。シリル置換基としては、例えば前記一般式(a)で表される置換若しくは非置換のシリル基、または前記一般式(b)で表される置換若しくは非置換のシリル基を有するアルキル基が挙げられる。シリルエーテル置換基としては、例えば前記一般式(c)で表される置換若しくは非置換のシリルエーテル基、前記一般式(d)で表される置換若しくは非置換のシリル基を有するアルコキシ基、前記一般式(e)で表される置換若しくは非置換のシリルエーテル基を有するアルキル基、または前記一般式(f)で表される置換若しくは非置換のシリルエーテル基を有するアルコキシ基が挙げられる。
式(a)〜(f)において、R1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等の直鎖または分岐した炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。該アルキル基は置換基を有していてもよく、具体的にはヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、モノアルキルアミノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、アルカノイルオキシアルキル基、アミノアルキル基などがあげられる。
前記ヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル、1−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシルなどの、アルキル部分の炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基があげられる。
前記アルコキシアルキル基としては、例えばメトキシメチル、メトキシエチル、メトキシブチル、エトキシヘキシル、エトキシメチル、ブトキシエチル、t−ブトキシヘキシル、ヘキシルオキシメチルなどの、アルキル部分およびアルコキシ部分の炭素数がいずれも1〜6であるアルコキシアルキル基があげられる。
前記モノアルキルアミノアルキル基としては、例えばメチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ヘキシルアミノメチル、エチルアミノエチル、ヘキシルアミノエチル、メチルアミノプロピル、ブチルアミノプロピル、メチルアミノブチル、エチルアミノブチル、ヘキシルアミノブチル、メチルアミノヘキシル、エチルアミノヘキシル、ブチルアミノヘキシル、ヘキシルアミノヘキシルなどの、アルキル部分の炭素数が1〜6であるアルキルアミノアルキル基があげられる。
前記ジアルキルアミノアルキル基としては、例えばジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、ジヘキシルアミノメチル、ジエチルアミノエチル、ジヘキシルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジブチルアミノプロピル、ジメチルアミノブチル、ジエチルアミノブチル、ジヘキシルアミノブチル、ジメチルアミノヘキシル、ジエチルアミノヘキシル、ジブチルアミノヘキシル、ジヘキシルアミノヘキシルなどの、アルキル部分の炭素数が1〜6であるジアルキルアミノアルキル基があげられる。
前記ハロゲン置換アルキル基としては、例えばモノクロルメチル、モノブロモメチル、モノヨードメチル、モノフルオロメチル、ジクロルメチル、ジブロモメチル、ジヨードメチル、ジフルオロメチル、トリクロルメチル、トリブロモメチル、トリヨードメチル、トリフルオロメチル、モノクロルエチル、モノブロモエチル、モノヨードエチル、モノフルオロエチル、ジブロモブチル、ジヨードブチル、ジフルオロブチル、クロルヘキシル、ブロモヘキシル、ヨードヘキシル、フルオロヘキシルなどの、1〜3個のハロゲン原子が置換された炭素数1〜6のアルキル基があげられる。
前記アルコキシカルボニルアルキル基としては、例えばメトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、メトキシカルボニルヘキシル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、プロポキシカルボニルメチル、イソプロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、ペンチルオキシカルボニルメチル、ヘキシルカルボニルメチル、ヘキシルカルボニルブチル、ヘキシルカルボニルヘキシルなどの、アルキル部分およびアルコキシ部分のいずれも炭素数が1〜6であるアルコキシカルボニルアルキル基があげられる。
前記カルボキシアルキル基としては、例えばカルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシブチル、カルボキシヘキシル、1−メチル−2−カルボキシエチルなどの、アルキル部分の炭素数が1〜6であるカルボキシアルキル基があげられる。
前記アルカノイルオキシアルキル基としては、アセトキシメチル、2−アセトキシエチル、プロピオニルオキシメチル、1−ヘキサノイルオキシ−2−メチルペンチルなどの、炭素数2〜6のアルカノイル部分と、炭素数1〜6のアルキル部分とを有するアルカノイルオキシ基があげられる。
前記アミノアルキル基としては、例えばアミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、アミノブチル、アミノヘキシルなどの、アルキル部分の炭素数が1〜6であるアミノアルキル基があげられる。
式(a)〜(f)において、R1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。アルコキシ基 は置換基を有していてもよく、その置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルカノイルオキシ基などの、前述のアルキル基と同様の置換基があげられる。
式(a)〜(f)において、アルキレン基であるR2の具体例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレンなどの炭素数1〜6のアルキレン基が挙げられる。
上記のうち、好ましくはAr1〜Ar4がフェニル基またはナフチル基であり、R1がメチル基などのアルキル基であり、R2がメチレン基またはエチレン基であるのがよい。また、シリル基は、3つのR1がアルキル基で置換された三置換シリル基であるのがよく、シリルエーテル基は、3つのR1がアルキル基で置換された三置換シリルエーテル基であるのがよい。
なお、Ar1〜Ar4は、シリル置換基またはシリルエーテル置換基で置換される部位以外の部位が水素原子であってもよく、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のハロゲン化アルキル基などの置換基で置換されていてもよい。
次に、一般式(1)で表される化合物の合成方法について、式(1)中のAr1およびAr4がトリメチルシリル基(−SiMe3)を有するフェニル基であり、Ar2およびAr3がフェニル基である下式(1-1)で表される化合物の合成方法を例に挙げて説明する。
まず、酢酸無水物100mLを氷浴で冷却し、発煙硝酸(95質量%)60mLをゆっくり加える。ついで、これを沸騰させたp−ビス(トリメチルシリル)ベンゼン(下式(g))50g(0.23モル)の酢酸無水物140mL溶液に約1.5時間かけて滴下する。滴下後、室温に冷却し、水1000mLに注ぐ。ついで、これをジエチルエーテルで抽出し、10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ジエチルエーテルを留去し、アルミナカラム(石油エーテル)により精製してp−トリメチルシリルニトロベンゼン(下式(h))36gを得る(収率:約80%)。
次に、得られたp−トリメチルシリルニトロベンゼン36g(0.18モル)に亜鉛末23.5g(0.36モル)を添加し、20%水酸化ナトリウム水溶液150mL、95%エタノール150mLを滴下し、2時間還流した後、室温に冷却し、希塩酸水1000mLに注ぐ。ついで、これをジエチルエーテルで抽出し、有機層を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/1)により精製してp−トリメチルシリルアニリン(下式(i))28.3gを得る(収率:約95%)。
次に、得られたp−トリメチルシリルアニリン28g(0.17モル)、無水炭酸カリウム60.6g(0.44モル)、銅粉末3.3g(0.05モル)およびヨードベンゼン89.8g(0.44モル)を混合し反応させて、トリフェニルアミン化合物(下式(j))40.5gを得る(収率:約75%)。ついで、このトリフェニルアミン化合物40g(0.13モル)、DMF300mLおよびオキシ塩化リン酸23g(0.15モル)を混合し反応させて、ホルミル化トリフェニルアミン(下式(k))33.7gを得る(収率:約75%)。
最後に、ホルミル化トリフェニルアミン30g(0.087モル)、リン酸エステル誘導体16.6g(0.044モル)および28%ナトリウムメトキシド19.3g(0.1モル)を混合し反応させて、下式(1-1)で表されるスチルベンアミン誘導体51gを得る(収率:約77%)。
また、一般式(1)で表される他の化合物の合成方法について、式(1)中のAr1およびAr4がトリメチルシリルエーテル基(−OSiMe3)を有するフェニル基であり、Ar2およびAr3がフェニル基である下式(1-3)で表される化合物の合成方法を例に挙げて説明する。
まず、p−メトキシアニリン(下式(l))27.1g(0.22モル)、無水炭酸カリウム78.8g(0.57モル)、銅粉末4.5g(0.07モル)およびヨードベンゼン116.7g(0.57モル)を混合し反応させて、メトキシトリフェニルアミン化合物(下式(m))45gを得る(収率:約75%)。ついで、窒素雰囲気下、上記で得られたメトキシトリフェニルアミン化合物44g(0.16モル)のトリエチルアミン100mL溶液にヨードトリメチルシラン45.5mL(0.32モル)をゆっくり滴下し、1時間撹拌した後、水500mLに注ぐ。これをジエチルエーテルで抽出し、10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ジエチルエーテルを留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)により精製してトリフェニルアミン化合物(下式(n))45gを得る(収率:約85%)。
次に、トリフェニルアミン化合物43.4g(0.13モル)、DMF300mLおよびオキシ塩化リン酸23g(0.15モル)を混合し反応させて、ホルミル化トリフェニルアミン(下式(o))35.2gを得る(収率:約75%)。ついで、このホルミル化トリフェニルアミン31.5g(0.087モル)、リン酸エステル誘導体16.6g(0.044モル)および28%ナトリウムメトキシド19.3g(0.1モル)を混合し反応させて、下式(1-3)で表されるスチルベンアミン誘導体53.1gを得る(収率:約77%)。
本発明では、上記した正孔輸送剤に加えて、さらに公知の正孔輸送剤を感光層に含有させてもよい。このような正孔輸送剤としては、例えばN,N,N’,N’‐テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N‘,N’‐テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N‘,N’‐テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’‐テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、2,5‐ジ(4−メチルアミノフェニル)‐1,3,4‐オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどのスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなどのピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物などの含窒素環式化合物や、縮合多環指揮化合物が挙げられる。
電子輸送剤としては、例えばジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、チオキサントン誘導体(2,4,8−トリニトロチオキサントン等)、フルオレノン誘導体(3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体等)、アントラセン誘導体、アクリジン誘導体、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸誘導体、無水マレイン酸誘導体、ジブロモ無水マレイン酸誘導体などの、電子受容性を有する化合物が挙げられる。
バインダ樹脂としては、例えばスチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリウレタン、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシ−アクリレート、ウレタン−アクリレートなどの光硬化性樹脂などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用できるほか、2種以上を併用することもできる。
感光層には、前記した成分のほかに、画像形成に悪影響を与えない範囲で、種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤などの劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤,増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナーなどが挙げられる。また、感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
導電性基体としては、導電性を有する各種の材料が使用可能であり、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮などの金属単体、上記金属が蒸着もしくはラミネートされたプラスチック材料、さらにヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガラスなどが挙げられる。導電性基体は、使用する画像形成装置の構造に合わせてドラム状、シート状などの形態で使用される。この導電性基体は充分な機械的強度を有しているのが好ましい。
単層型感光層は、電荷発生剤、電子輸送剤、バインダ樹脂、必要に応じて正孔輸送剤や他の添加剤を適当な溶剤と共に、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて混合して分散液を調製し、この分散液を導電性基体上にこれを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。乾燥後の感光層の厚さは5〜100μm、好ましくは10〜50μmであるのがよい。
分散液を調製するための溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n‐ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶剤は単独で使用するほか、2種以上を混合して用いてもよい。さらに、電荷発生剤および電荷輸送剤の分散性、感光体表面の平滑性を良くするために、界面活性剤、レベリング剤などを使用してもよい。
単層型感光層においては、バインダ樹脂100質量部に対して、電荷発生剤を0.1〜50質量部、特に0.5〜30質量部の割合で、正孔輸送剤を5〜500質量部、特に25〜200質量部の割合で含有させるのがよい。電子輸送剤を含有させる場合は、バインダ樹脂100質量部に対して5〜100質量部、特に10〜80質量部の割合でそれぞれ含有させるのがよい。
また、感光層として単層型感光層を備えた電子写真感光体は、構造が簡単で製造が容易である上、被膜欠陥の発生を抑制し、光学的特性を向上させることができる等の利点がある。また、単層型感光層を備えた感光体は、電荷輸送剤として電子輸送剤と正孔輸送剤とを併用することで、1つの感光体を正帯電型および負帯電型の両方に使用でき、感光体の応用範囲を広げることができる。
積層型感光層は、電荷発生剤および電荷輸送剤をそれぞれ適当なバインダ樹脂および溶剤と共に、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて混合して分散液を調製し、この分散液を導電性基体上にこれを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。乾燥後の各層の厚さは、電荷発生層で0.01〜5μm、好ましくは0.1〜3μmであり、電荷輸送層で2〜100μm、好ましくは5〜50μmであるのがよい。
積層型感光層のうち電荷発生層においては、バインダ樹脂100質量部に対して電荷発生剤を5〜1000質量部、特に30〜500質量部の割合で含有させるのがよい。また、電荷輸送層においては、バインダ樹脂100質量部に対して正孔輸送剤を10〜100質量部、特に30〜80質量部の割合で含有させるのがよい。また、正孔輸送剤と電子輸送剤を併用する場合は、その総量がバインダ樹脂100質量部に対して10〜500質量部、特に30〜200質量部の割合で含有させるのがよい。
単層型感光層または積層型感光層と、導電性基体との間や、積層型感光層を構成する電荷発生層と電荷輸送層との間には、感光体の特性を阻害しない範囲で中間層、バリア層などを形成してもよい。また、感光層の表面には保護層が形成されていてもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の電子写真感光体をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1〜10]
<電子写真感光体の作製>
溶媒であるテトラヒドロフラン800質量部に対して、バインダ樹脂100質量部、表1に示す正孔輸送剤65質量部、電荷発生剤2.5質量部、および電子輸送剤35質量部を添加した。この混合物をボールミル中で24時間分散、溶解させ、単層型感光層用の分散液を作製した。ついで、得られた分散液を導電性基材(アルミニウム素管)上にディップコート法にて塗布し、125℃で30分間で熱風乾燥して、膜厚20μmの単層型感光層を有する電子写真感光体を得た。各成分の詳細を以下に示す。
(電荷発生剤):下式(CGM)で表されるX型無金属フタロシアニン
(正孔輸送剤):前記式(1-1)〜式(1-9),式(1-11)で表される化合物(スチルベンアミン誘導体)
(電子輸送剤):下式(ETM)で表される化合物
(バインダ樹脂):繰り返し単位が下式(Resin)で表される重量平均分子量30,000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂
<電子写真感光体の作製>
溶媒であるテトラヒドロフラン800質量部に対して、バインダ樹脂100質量部、表1に示す正孔輸送剤65質量部、電荷発生剤2.5質量部、および電子輸送剤35質量部を添加した。この混合物をボールミル中で24時間分散、溶解させ、単層型感光層用の分散液を作製した。ついで、得られた分散液を導電性基材(アルミニウム素管)上にディップコート法にて塗布し、125℃で30分間で熱風乾燥して、膜厚20μmの単層型感光層を有する電子写真感光体を得た。各成分の詳細を以下に示す。
(電荷発生剤):下式(CGM)で表されるX型無金属フタロシアニン
(正孔輸送剤):前記式(1-1)〜式(1-9),式(1-11)で表される化合物(スチルベンアミン誘導体)
(電子輸送剤):下式(ETM)で表される化合物
(バインダ樹脂):繰り返し単位が下式(Resin)で表される重量平均分子量30,000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂
次に、上記で得られた電子写真感光体の特性を以下のようにして評価した。すなわち、上記で得られた電子写真感光体を京セラミタ(株)製プリンタDP−560にセットし、主帯電電位850V、現像バイアス電圧+400Vに設定し、普通紙(A4サイズ)を通して反転現像による画像形成サイクルを繰り返し行って、10万枚印字した時の感光体ドラム表面における紙粉付着個数(1mm2当たり)を測定し、さらにその時の画像品質についても評価した。結果を表1に示す。なお、表1中の画像品質欄における「○」は黒点が殆ど無いことを表し、「×」は黒点が顕著にあり、使用上問題があることを表す。
[比較例1,2]
正孔輸送剤として下式(HTM-1)または(HTM-2)で表される化合物を用いた他は、実施例1〜10と同様にして電子写真感光体を作製し、10万枚印字時の紙粉付着個数を測定し、その時の画像品質について評価した。結果を表1に示す。ただし、式中のMeはメチル基を示す。
正孔輸送剤として下式(HTM-1)または(HTM-2)で表される化合物を用いた他は、実施例1〜10と同様にして電子写真感光体を作製し、10万枚印字時の紙粉付着個数を測定し、その時の画像品質について評価した。結果を表1に示す。ただし、式中のMeはメチル基を示す。
表1から、正孔輸送剤として、式(1-1)〜式(1-9)および式(1-11)で表されるスチルベンアミン誘導体を用いた実施例1〜10の電子写真感光体では、比較例1,2と比べて、紙粉の付着個数が著しく少なく、高品質な画像が得られたことがわかる。
Claims (3)
- 前記感光層が、少なくとも電荷発生剤、正孔輸送剤およびバインダ樹脂を同一層に含有する単層型感光層である請求項1または2記載の電子写真感光体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004044983A JP2005234355A (ja) | 2004-02-20 | 2004-02-20 | 電子写真感光体 |
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JP2004044983A JP2005234355A (ja) | 2004-02-20 | 2004-02-20 | 電子写真感光体 |
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JP (1) | JP2005234355A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010052852A1 (ja) * | 2008-11-10 | 2010-05-14 | 出光興産株式会社 | 芳香族アミン誘導体及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 |
-
2004
- 2004-02-20 JP JP2004044983A patent/JP2005234355A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010052852A1 (ja) * | 2008-11-10 | 2010-05-14 | 出光興産株式会社 | 芳香族アミン誘導体及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 |
US8597800B2 (en) | 2008-11-10 | 2013-12-03 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Aromatic amine derivative and organic electroluminescent element comprising the same |
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