JP2005233878A - 被覆核燃料用原料の投入方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料核に被覆を施すために原料である燃料核を反応管に投入する時に、流動ガスによって燃料核が投入用のホッパーからこぼれたり、ホッパー内で摩耗、破損したりすることがなく、原料を流動床に有効に到達することができるようにする。
【解決手段】 燃料核に被覆を施す反応管16内の流動床に流動ガスを上向きに吹き込みながら反応管の上蓋の原料投入部に取付けられたホッパーに球状燃料核を注入して流動床に原料を投入する際に、ホッパー42に原料投入部40の内径よりも小さい外径を有する原料導入管44が接続されており、この原料導入管44の下端44Lが反応管16の内部に入り込むようにして原料導入管44を原料投入部40に差し込んで流動ガスF1を原料導入管44と原料投入部40との隙間から逃しつつ原料Mをホッパー42から反応管16内に落下させる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、例えば、黒鉛を減速材とする高温ガス炉と称される原子炉に用いられるウラン燃料を製造する工程で反応管内の流動床に被覆燃料用の原料である燃料核を投入する方法の改良に関するものである。
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を熱容量が大きく高温で健全性を維持する黒鉛で構成しており、炉心を冷却するために、高温下でも化学反応が起こることがないヘリウムガスを冷却ガスとして用いているので、固有の安全性が高く、約900℃の高い出口温度のヘリウムガスを回収して、この高温熱を発電、水素製造、化学プラント等の広い分野で利用することができる。
高温ガス炉の燃料は、二酸化ウランをセラミック状に焼結した直径が約350−650ミクロンの燃料核の周囲に4層の被覆を施して形成されている。第一層は、密度が約1g/cmの低密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状の核分裂生成物(fission product=FP)のガス溜めとしての機能と燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能とを併せ持っている。第二層は、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能を有する。第三層は、密度が約3.2g/cmの炭化珪素(SiC)の被覆であり、これは、固体FPの保持機能を有すると共に、被覆の主要な補強部材としての機能を有する。最後に、第四層は、第二層と同様に、密度が約1.8g/cmの高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能と第三層の保護層としての機能を有する。
このようなウラン燃料の一般的な被覆粒子は、約500−1000ミクロンの直径を有する。この被覆粒子は、黒鉛マトリックス中に分散させ一定形状の燃料コンパクトの形態に成型加工され、このコンパクトの一定数量を黒鉛筒に入れ、上下を栓で密封して燃料棒とされる。この燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に差し込まれ、多数個の六角柱型黒鉛ブロックをハニカム配列に多段に重ねて炉心を構成している。
高温ガス炉の燃料は、一般的には、次のようにして製造される。まず、酸化ウランの粉末を硝酸に溶かして硝酸ウラニル原液とし、この硝酸ウラニル原液に純水、増粘剤を添加し攪拌して滴下原液を作る。増粘剤は、滴下された硝酸ウラニル原液の滴液が落下中にそれ自体の表面張力で真球状になるように作用する。このような増粘剤としては、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂、例えば、ポリビニールアルコール樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズ等を使用することができる。このように調製された滴下原液は、所定の温度に冷却されて粘度が調整された後、細径の滴下ノズルを振動させる等の方法を用いてアンモニア水中に滴下される。
滴液は、アンモニア水溶液表面に着水するまでの空間でアンモニアガスを吹きかけて表面をゲル化させることによって着水時の変形が防止される。硝酸ウラニルは、アンモニア水中でアンモニアと充分に反応させ、重ウラン酸アンモニウムの粒子となる。この粒子は、大気中で焙焼され三酸化ウラン粒子となり、更に還元焼結されて高密度のセラミック状二酸化ウランの燃料核となる。
この燃料核に被覆を施すために、燃料核は、流動床に装荷され、この流動床内で被覆ガスが供給されて熱分解される。第一層の低密度熱分解炭素は、約1400℃でアセチレン(C)を熱分解して被覆される。第二層及び第四層の高密度熱分解炭素は、約1400℃でプロピレン(C)を熱分解して被覆される。第三層のSiCは、約1600℃でメチルクロロシラン(CHSiCl)を熱分解して被覆される。一般的な燃料コンパクトは、被覆核燃料粒子を黒鉛粉末、粘結剤等から成る黒鉛マトリックス材と共に中空円筒形又は円筒形にプレス成型又はモールド成型した後、焼結して得られる。
被覆燃料を形成するために、反応管内の流動床に原料である粒子状の燃料核を投入するが、この投入工程が図6乃至図9に示されている。
ウラン燃料の燃料核粒子(原料)は、図6の反応管116の上蓋118を開いてその投入部(ホッパー差込口)140にホッパー142をセットし固定した後(図7参照)、ホッパー142内に燃料核原料Mを注入し(図8参照)、ホッパー142から反応管116内を落下して流動床125に移送して投入される(図9参照)。一方、この原料投入時に、流動ガスF1が供給管134から供給され、この流動ガスF1は、黒鉛ノズル122から流動床125に上向きに吹き上げられる。すべての原料が投入された後、ホッパー142が取り外され、上蓋118を閉じて反応管116が密封される。流動ガスF1は、供給管134から反応管116内に供給され続けて燃料核粒子の原料を流動状態にし、その後供給管134から順次上記の反応ガスを送り込んでその熱分解によって燃料核粒子の表面に第一層乃至第四層の被覆を施し、粒子状の被覆燃料物質を得る。
しかし、この方法で原料を投入する場合に、流動ガスF1がホッパー142内に入り込んで上昇するため、このためホッパー142内に微少な燃料核を注入する際にガスの強い吹き抜けによって燃料核粒子が舞い上がり、原料がホッパー142からこぼれる虞があった。
また、ホッパー142内を流動ガスF1が吹き抜けると、ホッパー142内で原料である粒子が相互に激しく接触し、粒子表面に摩耗、破損を引き起こし、更に微少な燃料核は、反応管116内を落下中に流動ガスの影響で反応管の内壁に付着したり、排ガス配管136へ押し込まれたりしてすべての原料を流動床125に到達させることができない欠点があった。
本発明が解決しようとする課題は、被覆燃料用の原料である燃料核の投入時に、流動ガスによって燃料核が投入用のホッパーからこぼれたり、ホッパー内で摩耗、破損したりすることがなく、原料を流動床に有効に到達することができるようにした被覆核燃料用原料の投入方法を提供することにある。
本発明の課題解決手段は、高温ガス炉用の核燃料を製造する際に反応管内に黒鉛ノズルから流動床に流動ガスを上向きに吹き込みながら反応管の上蓋の原料投入部に取付けられたホッパーに原料である球状燃料核を注入して流動床に原料を投入する方法において、ホッパーは、その出口に接続され原料投入部の内径よりも小さい外径の原料導入管を有し、この原料導入管の下端が反応管の内部に入り込むようにして原料導入管を原料投入部に差し込んで流動ガスを原料導入管と原料投入部との隙間から逃しつつ原料を反応管内に導入するようにしたことを特徴とする被覆核燃料用原料の投入方法を提供することにある。
本発明の課題解決手段おいて、ホッパーの内径は100乃至160mmであり、且つその傾斜壁の角度が80乃至120°とするのが好ましい。また、上蓋の原料投入部の内径が40乃至100mmである場合、原料導入管の外径は、10乃至30mmとすることができ、更に、原料導入管の反応管内に入り込んでいる長さが500乃至1500mmとするのが好ましい。
本発明によれば、ホッパーがその出口に接続され上蓋の原料投入部の内径よりも小さい外径の原料導入管を有し、原料導入管を原料投入部に差し込んで流動ガスを原料導入管と原料投入部との隙間から逃しつつ原料を反応管内に導入するようにするので、ホッパー内に流動ガスの吹き抜けが集中することがなく、ホッパー内の流動ガスの吹き抜けが緩和され、従って被覆核燃料用の原料である燃料核の投入時に、流動ガスによって燃料核が投入用のホッパーからこぼれたり、ホッパー内で摩耗、破損したりすることがなくなる。
また、ホッパーに接続された原料導入管の下端が反応管の内部に入り込むようにしているので、原料は原料導入管を通して反応管内を落下するため、流動ガスの影響を受けることなく、従って原料が反応管の内壁に付着したり、排気ダクトへ押し流されたりすることなく、原料を流動床に有効に到達させることができる。
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べると、図1乃至図4は、本発明に係わる被覆核燃料用原料の投入方法を実施する方法を示し、被覆燃料製造装置は、燃料核である原料を受け取って被覆反応を行う流動床装置12を備え、この流動床装置12は、外壁14で囲まれた黒鉛製の反応管16と、反応管16の上端開口を開閉自在に閉じる上蓋18と、外壁14の下端開口から延びこの下端開口を気密に閉じる銅ノズル20と、この銅ノズル20の上部に同心的に設けられた黒鉛ノズル22とを備え、黒鉛ノズル22の上端は、反応管16の下端を閉じる皿状の形態を有する。この黒鉛ノズル22の皿状の上端は、反応管16の下端開口を閉じて流動床として機能する。反応管16の内径は、200乃至300mmに設定される。
黒鉛ノズル22の下端にはガス配管28が設けられ、このガス配管28の下端にはサンプル回収バルブ30を介してサンプル回収容器32が設けられ、またこのガス配管28の途中から分岐して図示しないバルブを介して流動ガス及び反応ガスが供給されるガス供給管34が設けられている。反応管16の上端付近には反応によって生じた廃ガスを排出する廃ガス導出管36が設けられている。
アルゴンガスの如き流動ガスF1は、図示しないガス供給源からガス供給管34、ガス配管28、銅ノズル20、黒鉛ノズル22を介して反応管16内に供給され、反応管16内を上昇して排ガス導出管36から排出される。この流動ガスF1は、反応管16内の流動床に投入された燃料核粒子を流動状態にする。この流動ガスの流量は、100乃至300リットル/分の範囲とする。
上蓋18は、図5に示すように、鍔40Fを有する原料投入部40を有し、この原料投入部40は、後に述べるように、原料投入用のホッパー42を取付けて原料を反応管16内に導入する機能を有する。原料投入部40の投入口40Hの内径は、40乃至100mmに設定される。この原料投入口40Hは、通常では図示しない栓で閉じられている。
本発明の原料投入方法に用いられるホッパー42は、その出口に接続され上蓋18の原料投入部40の投入口40Hの内径よりも小さい外径の原料導入管44を有する。この原料導入管44は、原料投入部40の上記の投入口40Hに対して10乃至30mmに設定される。このホッパー42の筒状部分の内径は、100乃至160mmであり、またホッパー42の傾斜低壁は、80乃至120°の傾斜角度AGを有するのが好ましい。なお、この原料導入管44は、鍔44Fを有し、この鍔44Fは、後に述べるように、原料投入部40の鍔40Fに係合してホッパー42を原料投入部40に保持している。また、図5には詳細に示されていないが、鍔44Fは、内周に沿って設けられた複数のガス抜き孔(図5の点線参照)を有するか、原料投入部40の鍔40Fに隙間を介して乗るように鍔44Fの下面に周方向に間隔をあけて設けられたスペーサを有し、これらのガス抜き孔又は隙間は、流動ガスF1を逃がす機能を有する。
原料を投入する際には、ホッパー42は、原料導入管44の下端44Lが反応管16の内部に入り込み、且つホッパー42の本体と原料投入部40との間に間隔をあけるようにして原料導入管44を原料投入部40に差し込み、原料投入部40の鍔40Fに原料投入管44の鍔44Fを係合して保持し固定される。原料導入管44が反応管16内に入り込む長さは、500乃至1500mmとするのが好ましい。
次に、本発明の方法を図2乃至図4を参照して述べると、まず図1の流動床装置12の上蓋18の原料投入部40の栓を外し、ホッパー42の原料導入管44を原料投入部40の投入口40Hに差し込んでホッパー42の底と原料投入部40との間に間隔をあけるようにしてホッパー42を適宜の手段で固定する(図2参照)。なお、この間隔は、既に述べたように、原料投入部40の鍔40Fと原料導入管44の鍔44Fとの係合によって保持される。
次いで、粒子状の燃料核である原料Mを収納した容器46からホッパー42内に原料Mを注入すると(図3参照)、原料Mは、ホッパー42の底から原料導入管44を経て反応管16内を落下し、流動床に達する(図4参照)。使用される原料Mは、直径が0.35乃至0.65mmであり、真球度1.2以下であり、1バッチ当たりの投入量は5.5kg以下である。
この際、反応管16内を上昇する流動ガスF1の大部分は、原料導入管44と原料投入部40の投入口40Hとの隙間及び原料導入管44の鍔44Fのガス抜き孔又は鍔40Fと44Fとの隙間を通して外部に逃げるので、原料導入管44内を上昇する流動ガスF1の量は僅かである。
従って、流動ガスF1の吹き抜けがホッパー42に集中することがなく、ホッパー42内の流動ガスF1の吹き抜けが緩和され、原料Mである燃料核を容器46からホッパー42に注入する際に、流動ガスF1によって燃料核がホッパー42からこぼれたり、ホッパー42内で燃料核の相互の衝突によって摩耗したり、破損したりすることがない。
また、ホッパー42に接続された原料導入管44の下端44Lが反応管16の内部に入り込んでいるので、原料Mは、流動ガスF1の影響を受けることがない原料導入管44を通して反応管16内を落下し、従って原料Mが反応管16の内壁に付着したり、排気ダクト36へ押し流されたりすることがない。
図1の形態の流動床装置12において、黒鉛製の反応管16は、約200mmの内径を有し、上蓋18の原料投入部40は、内径が50mmの投入口40Hを有していた。ホッパー42は、160mmの内径と230mmの高さとを有し、ホッパー42の傾斜低壁の傾斜角度は、約100°であった。またこのホッパー42に接続された原料導入管44の外径は20mmでその全長は約800mmであり、この原料導入管44の反応管16に入り込んでいる長さは、600mmであった。原料Mは、平均直径が0.6mm、真球度が1.2以下の燃料核粒子であり、これを容器46内に3.9kg用意した。流動ガスF1としてアルゴンガスを用い、この流動ガスF1を150リットル/分の流量で流動床に供給した。
このようにして、流動床装置10にホッパー42をセットし、流動ガスF1を流しながら、容器46からホッパー42に原料Mをゆっくりと注入し、ホッパー42から原料導入管44を経て原料Mを流動床に落下させた。
この際、原料Mは、ホッパー42の外部へこぼれることがなく、また反応管16の内壁に付着することなく、すべての原料Mをホッパー42から流動床に数分で投入することができた。また、原料Mには粒子の破損が認められなかった。
本発明の被覆燃料用原料の投入方法は、原料である燃料核の投入時に、流動ガスによって燃料核が投入用のホッパーからこぼれたり、ホッパー内で摩耗、破損したりすることがなく、原料を流動床に有効に到達することができるので、高温ガス炉用原子燃料の被覆工程に有効に利用することができる。
本発明の方法が適用される流動床装置の概略断面図である。 図1の流動床装置において本発明の原料投入方法を実施するために反応管にホッパーを取付けた状態の概略断面図である。 図2の状態から原料をホッパーに注入している状態の概略断面図である。 図3の状態から反応管内に原料が落下した状態の概略断面図である。 図1の装置に用いられる原料投入部の拡大断面図である。 従来技術の流動床装置の概略断面図である。 図6の流動床装置において原料を投入するために反応管にホッパーを取付けた状態の概略断面図である。 図7の状態から原料をホッパーに注入している状態の概略断面図である。 図8の状態から反応管内に原料が落下した状態の概略断面図である。
符号の説明
12 流動床装置
14 外壁
16 反応管
18 上蓋
20 銅ノズル
22 黒鉛ノズル
28 ガス配管
32 サンプル回収容器
34 ガス供給管
36 排ガス導出管
40 原料投入部
40F 鍔
40H 投入口
42 ホッパー
44 原料導入管
44F 鍔
44L 下端
46 容器






































Claims (4)

  1. 高温ガス炉用の核燃料を製造する際に反応管内に黒鉛ノズルから流動床に流動ガスを上向きに吹き込みながら前記反応管の上蓋の原料投入部に取付けられたホッパーに球状燃料核である原料を注入して流動床に原料を投入する方法においいて、前記ホッパーは、その出口側に接続され前記原料投入部の内径よりも小さい外径の原料導入管を有し、前記原料導入管の下端が前記反応管の内部に入り込むようにしたことを特徴とする被覆核燃料用原料の投入方法。
  2. 請求項1に記載の被覆核燃料用原料の投入方法であって、前記ホッパーの内径は100乃至160mmであり、且つその傾斜壁の角度が80乃至120°としたことを特徴とする被覆核燃料用原料の投入方法。
  3. 請求項1又は2に記載の被覆核燃料用原料の投入方法であって、前記原料投入部の内径が40乃至100mmであり、前記原料導入管の外径が10乃至30mmであることを特徴とする被覆核燃料用原料の投入方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の被覆核燃料用原料の投入方法であって、前記原料導入管の前記反応管内に入り込んでいる長さが500乃至1500mmであることを特徴とする被覆核燃料用原料の投入方法。






























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