JP2005233491A - 電気溶融炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉粒状の原料を溶融する電気炉において、原料を炉内に装入する際の原料の舞い上がりを解消する。
【解決手段】原料3を炉体側面から炉内に装入する原料装入筒12を溶融スラグ6の上面近くに開口させて設け、この原料装入筒12内に供給された原料3をプッシャ15で炉内に押し出すようにするとともに、プッシャ15の押出しストロークの停止位置を原料装入筒12の開口端12aから一定距離手前に定め、この一定距離の区間に原料3を保留するようにする。原料3を溶融スラグ6の上面に近い位置で水平に装入できるため、原料3の舞い上がりがない。また、原料装入筒12の炉内側に保留した原料3により、原料装入筒12への排ガスの流れ込みを阻止することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】原料3を炉体側面から炉内に装入する原料装入筒12を溶融スラグ6の上面近くに開口させて設け、この原料装入筒12内に供給された原料3をプッシャ15で炉内に押し出すようにするとともに、プッシャ15の押出しストロークの停止位置を原料装入筒12の開口端12aから一定距離手前に定め、この一定距離の区間に原料3を保留するようにする。原料3を溶融スラグ6の上面に近い位置で水平に装入できるため、原料3の舞い上がりがない。また、原料装入筒12の炉内側に保留した原料3により、原料装入筒12への排ガスの流れ込みを阻止することができる。
【選択図】 図1
Description
この発明は、都市ごみの焼却処分から生じる焼却灰や焼却飛灰などの粉粒状の原料を溶融する電気溶融炉に関し、詳しくは原料を炉内に装入する装置に関する。
上記した焼却灰などを埋め立て処分に代えて電気溶融炉で還元溶融し、溶融スラグを結晶化して建築資材などに再利用するとともに、メタルを有価物として分離する技術が開発されており、この技術については例えば特許文献1に記載されている。
特開平9−196573号公報
焼却灰などの粉粒原料を電気溶融炉で溶融する場合、従来は原料を炉頂部から落下させることにより炉内に装入している。しかし、金属溶練の場合と異なり、焼却灰や焼却飛灰は粒子が細かいため、炉頂部からの落下による装入は排ガスにより原料を舞い上がらせ、原料の一部は排ガスと一緒に炉外へ排出される。これを防ぐために原料溶融面から炉頂までを高くしているが必ずしも有効ではなく、また炉の規模が大きくなるため設備費が高くなる。
また、還元方式の炉の場合、還元剤を配合した原料で原料溶融面を覆い、溶融原料(溶融スラグ)の熱で還元作用を促進させている。その際、炉頂部のような高い位置から原料を投入すると、粒子の大きい原料が所有する位置エネルギにより、反応が徐々に進行している還元層を転倒させ、あるいは原料がスラグ層に入り込み良好な還元作用を阻害する。そのため、重金属の分離ができなくなり、甚だしいときには低沸点物質による突沸が生じて操業が妨げられる。低沸点物質の突沸の防止は、還元剤を使用しない通常の溶融の場合においても重要である。
この発明の課題は、粉粒状の原料を炉内に装入する際の原料の舞い上がりや還元作用の阻害などの不都合を解消することにある。
上記課題を解決するために、この発明は、粉粒状の原料を溶融する電気溶融炉において、前記原料を炉体側面から炉内に装入する原料装入筒を溶融原料の上面近くに開口させて設け、この原料装入筒内に切り出された前記原料をプッシャで炉内に押し出すようにするとともに、このプッシャの押し出しストロークの停止位置を前記原料装入筒の開口端から一定距離手前に定め、前記プッシャの押し出しストロークの停止位置と前記原料装入筒の開口端との間に前記原料を保留するようにするものである(請求項1)。
請求項1の発明によれば、溶融スラグの上面に近い位置で原料を横方向から装入できるため、原料の舞い上がりがなく、また位置エネルギも小さくなるので還元方式の溶融の場合にも還元層が転倒したり、原料がスラグ層に入り込んだりすることがない。その場合、原料装入筒が溶融原料の上面近くに開口するため、排ガスの一部が原料装入筒内に流れ込む可能性がある。そこで、請求項1の発明では、原料装入筒の開口端よりも一定距離手前の区間に原料を保留することにより原料装入筒の開口端を閉塞し、排ガスの流れ込みを阻止する。
請求項1の発明において、前記プッシャを前記押し出しストロークの停止位置から前記原料装入筒の開口端まで更に進出可能な2段ストロークに構成し、この進出ストロークにより前記原料装入筒に溶着した前記原料を前記プッシャで削ぎ落とすようにするとよい(請求項2)。開口端付近に原料を保留すると、この保留原料はスラグ面からの溶融輻射熱を受けて溶融し、長期間には原料装入筒に溶着してその開口を狭める恐れがある。そこで、請求項2の発明においては、プッシャを押し出しストロークの停止位置から原料装入筒の開口端まで更に進出させ、この進出ストロークにより原料装入筒に溶着した原料をプッシャにより削ぎ落とすようにする。
請求項2の発明において、前記プッシャの先端にカッタを装着すれば、溶着原料の削ぎ落としが良好になる(請求項3)。
この発明によれば、原料装入筒をスラグ面の近くで炉体側面から炉内に開口させることにより、原料を炉頂部から落下させることによる原料の舞い上がりや還元作用の阻害を抑えることができ、しかも原料装入筒の開口端に保留した原料により、原料装入筒内への排ガスの流れ込みを防止することができる。また、プッシャを2段ストローク構成とすることにより、原料装入筒に原料が溶着しても容易に削ぎ落とすことができる。
以下、図1〜図6に基づいて、都市ごみの焼却灰を還元溶融する直流抵抗式の溶融炉におけるこの発明の実施の形態を説明する。まず、図1は炉の全体構成を示す縦断面図で、直立した炉体1に原料装入装置2から装入された原料3は、主電極4と炉底電極5との間に通電される直流電流のジュール熱で溶融される。原料(焼却灰)3には還元剤(炭素粉等)が配合され、この原料3は溶融スラグ6の表層部で還元溶融され、灰中の金属酸化物は金属7となって溶融スラグ6から分離し下層に沈降する。溶融スラグ6は、スラグ層下部の取出口8から取り出され、図示しない鋳型に鋳込まれる。溶融金属7は、炉底部の取出口9から取り出される。炉体1の上面開口は炉蓋10により閉じられ、炉内からの排ガスは炉蓋10の排気口11から図示しない排ガス処理装置に排出される。
図1において、原料装入装置2は、溶融スラグ6の上面近くに開口する断面方形の原料装入筒12を備えている。原料装入筒12は、ホッパ13から切出し弁14によりに原料3を供給され、この原料3をプッシャ15により押し出して炉体側面から炉内に横方向に装入する。原料装入筒12は、原料をなるべく水平に装入するように、水平もしくは図示の通りやや斜めに設置される。
ここで、プッシャ15は、2つの油圧式あるいは空圧式のシリンダ16及び17によりそれぞれ異なるストロークで駆動される2段ストロークに構成されている。すなわち、プッシャ15は通常は図示待機位置Pからシリンダ16により矢印方向に駆動され、原料装入筒12の開口端12aから一定距離だけ手前に定められた停止位置Qまで移動して原料3を炉内に押し出す。また、原料3が原料装入筒12に溶着したときには、プッシャ15はシリンダ17により駆動され、開口端12aの前進位置Rまで更に進出して、溶着した原料3を削ぎ落とすようになっている。以下、図2〜図5に基づいて、プッシャ15の動作を説明する。なお、図2〜図5においては、電気溶融炉の要部の右半部のみを示す。
まず、図2の待機状態において、ホッパ13に貯蔵された原料3は、切出し弁14により定量が原料装入筒12内に供給される。そこで、シリンダ16のピストン16aを作動させ、シリンダ17のピストン17aを介してプッシャ15を矢印方向に停止位置Qまで前進させる。この押し出しストロークS1により、図3に示すように、開口端12aから一定距離手前の区間に保留されていた原料3が炉内に押し出される。この時、原料3は溶融スラグ6の上面に近い位置で横方向からほぼ水平に装入されるため、原料3の舞い上がりがなく、また位置エネルギも小さくなるので還元方式の溶融の場合にも還元層が転倒したり、原料がスラグ層に入り込んだりすることがない。
図3において、原料3の押し出しが終了したら、シリンダ17のピストン17aでシリンダ16のピストン16aを押し戻しながら、プッシャ15を矢印方向に後退させ、図1の待機位置Pで停止して1サイクルが完了する。以後、この繰り返しとなる。この装入サイクルにおいて、原料装入筒12の炉内側には押し出されずに保留される原料3が存在し、原料装入筒12を閉塞して煙道となることを防止している。従って、原料装入筒12が溶融スラグ6の上面近くに開口していても、排ガスが原料装入筒12内に流れ込む危険がない。
一方、炉内は高温なので、保留原料3はスラグ面からの溶融輻射熱を受けて溶融し、長時間経過すると、図4に示すように溶着することがある。この溶着原料3aは放置すると成長し、原料装入筒12の断面が狭められてシリンダ16の負荷を増大させ、最終的には原料3が装入できなくなる。そこで、プッシャ15を通常の押し出しストロークS1の停止位置Qから前進位置Rまで更に進出させ、この進出ストロークS2により溶着原料3aをプッシャ15で削ぎ落とすようにする。
すなわち、図4において、シリンダ17のピストン17aを作動させ、プッシャ15を矢印方向に前進位置Rまで進出させる。この進出ストロークS2により、図5に示すように、原料装入筒12に溶着した原料3aはプッシャ15で削ぎ落とされる。図6はプッシャ15を示すもので、図示の通りプッシャ15の先端には、硬質の例えばセラミックからなるカッタ21が装着されている。このようにカッタ21を装着することにより効率的な削ぎ落としが可能となり、また磨耗時にはカッタ21のみを交換すればよいのでプッシャ15が長寿命となる。
なお、図示実施の形態ではプッシャの2段ストローク構成として2個のシリンダを用いる例を示したが、1個のシリンダのストローク制御により2段ストローク構成としてもよく、また駆動機構としては油圧あるいは空圧シリンダの他、電動シリンダ、ラック・ピニオン機構、クランク機構など種々の前後進機構が採用可能である。また、電気溶融炉として直流電気抵抗式の焼却灰溶融炉の場合を示したが、粉粒状原料を溶融する電気炉あれば図示溶融炉に限定されるものではない。
1 炉体
2 原料装入装置
6 溶融スラグ
12 原料装入筒
15 プッシャ
18 待機位置
19 停止位置
20 進出位置
21 カッタ
2 原料装入装置
6 溶融スラグ
12 原料装入筒
15 プッシャ
18 待機位置
19 停止位置
20 進出位置
21 カッタ
Claims (3)
- 粉粒状の原料を溶融する電気溶融炉において、前記原料を炉体側面から炉内に装入する原料装入筒を溶融原料の上面近くに開口させて設け、この原料装入筒内に供給された前記原料をプッシャで炉内に押し出すようにするとともに、このプッシャの押し出しストロークの停止位置を前記原料装入筒の開口端から一定距離手前に定め、前記プッシャの押し出しストロークの停止位置と前記原料装入筒の開口端との間に前記原料を保留するようにしたことを特徴とする電気溶融炉。
- 前記プッシャを前記押し出しストロークの停止位置から前記原料装入筒の開口端まで更に進出可能な2段ストロークに構成し、この進出ストロークにより前記原料装入筒に溶着した前記原料を前記プッシャで削ぎ落とすようにしたことを特徴とする請求項1記載の電気溶融炉。
- 前記プッシャの先端にカッタを装着したことを特徴とする請求項2記載の電気溶融炉。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004042298A JP2005233491A (ja) | 2004-02-19 | 2004-02-19 | 電気溶融炉 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004042298A JP2005233491A (ja) | 2004-02-19 | 2004-02-19 | 電気溶融炉 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005233491A true JP2005233491A (ja) | 2005-09-02 |
Family
ID=35016638
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004042298A Pending JP2005233491A (ja) | 2004-02-19 | 2004-02-19 | 電気溶融炉 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005233491A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012055391A1 (de) * | 2010-10-25 | 2012-05-03 | Intracon Gmbh | Schrott-schubvorrichtung |
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WO2017051586A1 (ja) * | 2015-09-26 | 2017-03-30 | 株式会社広築 | アルミニウム切粉溶解装置及び溶解方法 |
JP2019172506A (ja) * | 2018-03-28 | 2019-10-10 | 日本電気硝子株式会社 | ガラスの製造方法及びガラスの製造装置 |
-
2004
- 2004-02-19 JP JP2004042298A patent/JP2005233491A/ja active Pending
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JP7099847B2 (ja) | 2018-03-28 | 2022-07-12 | 日本電気硝子株式会社 | ガラスの製造方法及びガラスの製造装置 |
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