JP2005233420A - 静油圧式変速車両および静油圧式変速機のコントローラ - Google Patents

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Abstract

【課題】 パーシャル運転でもエンジンの出力を有効に活用できる静油圧式変速車両及び静油圧式変速機の制御用コントローラを提供すること。
【解決手段】静油圧式変速車両は、燃料調整手段68の操作位置を検出する燃料調整位置検出手段681と、減速操作手段69の操作量を検出する減速操作位置検出手段691と、静油圧式変速機7の容量を制御するコントローラ9とを備え、コントローラ9は、燃料調整位置検出手段681及び減速操作位置検出手段691による検出値に基づいて、燃料調整手段68及び減速操作手段69の操作状態を判定する操作状態判定手段と、燃料調整手段68によるエンジン回転数を制限したときと、減速操作手段69によるエンジン回転数を制限したときとで異なる容量制御指令を生成する容量制御指令生成手段とを備えている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、静油圧式変速車両および静油圧式変速機のコントローラに関する。
従来、エンジンの出力を静油圧式変速機により変換して走行する静油圧式変速車両がある。静油圧式変速機は、エンジンで駆動される可変容量ポンプと、可変容量ポンプの圧油を受けて回転する可変容量油圧モータとを備えている。そして、可変容量ポンプまたは可変容量油圧モータの斜板角度を変化させることにより、静油圧式変速機の容量を変更し、静油圧式変速機が吸収できるエンジン出力を変更したり、作業車両の車速を変更することができる。
また、上述の静油圧式変速車両には建設機械も含まれ、建設機械の中には、例えばブルドーザなどのように、減速ペダルを有し、走行中減速ペダルを踏むことによりエンジン回転数を低下させて一時的に車速を減速させることができるものがある。
このような従来の車両のシステム構成を図7に示す。エンジン100の燃料噴射ポンプ101は、燃料噴射量を調節するための図示せぬガバナーレバーを有している。
このガバナーレバーは、プッシュプルケーブルおよびリンク機構を介して、燃料調整レバー102及び減速ペダル103と接続されている。
車両のオペレータは、燃料調整レバー102を操作することによりエンジン100の回転数を所望の回転数に設走することができる。また、減速ペダル103を踏みこむことにより、エンジン回転数を、燃料調整レバー102で設定された回転数からさらに下げることができ、車両を一時的に減速させることができる。なお、燃料調整レバー102を動かすことにより減速ペダル103は一緒に回動するが、減速ペダル103を踏みこんでも燃料調整レバー102の位置は変化しない機構となっている(例えば特許文献1参照)。
減速ペダル103にはポテンショメータ104が設けられて、減速ペダル103の位置(回動量)を示す信号がコントローラ105に伝達されるとともに、エンジン100にはエンジン回転センサ106が設けられ、エンジン回転数を示す信号もコントローラ105に伝達されるようになっている。
コントローラ105は、ポテンショメータ104及びエンジン回転センサ106からの信号に基づき、静油圧式変速機107の容量を制御している。
ここで、静油圧式変速機107の容量を制御するということは、より具体的には、静油圧式変速機107の可変容量ポンプや可変容量モータの斜板角度を制御することである。すなわち、静油圧式変速機107の容量を変化させるということは、エンジン発生トルクのうちの静油圧式変速機107により吸収され得るトルクを変化させるということであり、また、エンジン回転数に対する静油圧式変速機107の出力回転数の比(すなわち減速比)を変化させるということでもある。
図8は、図7に示した従来のシステムにおける静油圧式変速機の容量制御の一例を示す図である。
図8において、太い破線ETは、エンジン5の回転数とトルクとの関係を示すエンジントルクカーブである。また、太い実線HTは、燃料調整レバー102を最大位置とし、減速ペダル103を踏みこまない状態、すなわち、ガバナーレバーがプッシュプルケーブルにより最大位置まで移動し、エンジン100が最大の回転数で回転し得る状態(以下、この状態を、「ハイアイドル」状態という)における、静油圧式変速機107により吸収可能なトルクの特性を示す吸収トルクカーブである。
吸収トルクカーブHTは、より詳しくは、エンジン回転センサ106によって検出されるエンジン100の実際の回転数の変化(図8の横軸)に対して、静油圧式変速機107により吸収させるトルクをどのように変化させるかという特性を示すカーブである。
図8に示すように、ハイアイドル時においては、エンジントルクカーブETと吸収トルクカーブHTとは定格点P0よりやや低い回転数領域で交わるようにされている。すなわち、エンジン定格回転数NH近傍で、エンジン100により発生するトルクのすべてが静油圧式変速機107に吸収されるように設定されている。また、走行抵負荷が増大してエンジン回転数が低下すると、静油圧式変速機107に吸収されるトルクを速やかに減少きせて、エンジンストールを防止するようにされている。
このような特性により、車両はエンジン100の回転数を定格回転数NH近傍に保ったまま、エンジン100の発生トルクをフルに使って走行することができる。すなわち、前述のブルドーザの例で言えば、エンジン出力を有効に使って運土作業などを力強くかつ高速に行うことができる。
このような作業車両の一例であるブルドーザが土工作業として土を押す運土を行う場合には、オペレ一夕は燃料調整レバー102を操作してエンジン100の回転数をハイアイドルに設定する。エンジン100は図8に示すように、定格回転数NHで回転し、定格トルクT0を発生する定格点P0で運転される。
静油圧式変速機107は定格トルクT0を吸収できるように吸収可能トルクがエンジン発生トルクを上回る値のTK0となるようにコントローラ105が制御を行う。具体的には、可変容量ポンプの容量を最大容量Q0にする。
ブルドーザに対する土の負荷が大きくなりエンジン100の回転数がハイアイドル回転数NHより下がってくると、コントローラ105はエンジン回転センサ106の回転数信号が下がるので、それに対応して可変容量ポンプの容量を、図8の線Cのようにエンジン回転数が下がるのに応じて低下させる制御を行い、エンジン100のエンジンストールを防止している。
コントローラ105は、このようにエンジン回転数が定格回転数NHより下がると静油圧式変速機107の容量を低下させる制御を行っている。容量が低下すると負荷が減少し、エンジン回転数は上昇するので、結局静油圧式変速機107は、その吸収トルクがエンジン発生トルクを上回らない最大限の容量を維持することとなる。
オペレ一夕が土工板を操作するなどして負荷が軽くなるとエンジン回転数はさらに上昇するので、コントローラ105は、可変容量ポンプの容量を元の最大容量Q0に戻す。従って、ブルドーザは常にエンジン100の出力を有効に作業に使うことができる。
ブルドーザの速度を低下させる場合は減速ペダル103を踏む。すると減速ペダル103の踏み量に応じてガバナーレバーが移動してエンジン100の回転数は下がり、例えば図8の定格回転数NHからデクセル回転数NDまで下がる。
この場合、静油圧式変速機107の容量をそのままにしておくと車速が下がらないので、車速を下げるために、ポテンショメータ104からの信号により、コントローラ105は、可変容量ポンプの容量を所定の容量QDとして吸収可能トルクをTKDに下げる。
このことを、図8を用いて再度説明すると、上述の車両を一時的に減速させるために減速ペダル103を踏みこむと、踏みこみ量に応じてガバナーレバーが動いて燃料噴射量が制限されるので、エンジン回転数は低下し、エンジントルクカーブは見かけ上、ET1、ET2…のように変化する。
また、このときコントローラ105は、ポテンショメータ104により得られる減速ペダル103の踏みこみ量に基づき、図8に示す静油圧式変速機107の吸収トルクカーブをHT1、HT2…のように変化させる御御を行う。
図8に示すように、減速ペダル103踏み込み時の静油圧式変速機107の容量制御パターンは、減速ペダル103の踏み込み量が大きくなるにしたがって静油圧式変速機107による吸収トルクを減少させる特性とされている。したがって、減速ペダル103の踏み込み量に応じて車速を減少させることができる。
特開2002−235564号公報(第5〜6図、図1〜3)
ところで、前述のブルドーザに代表される建設機械などの車両においては、作業中の騒音の低下、燃料消費量の低減の要求が強くなり、燃料調整レバー102を操作してエンジン100の回転数を絞ってパーシャル運転をさせて作業を行うことが多くなっており、例えばエンジン100の回転数を図8のパーシャル回転数NPまで下げて作業している。エンジン100は、パーシャル回転数NPでは、パーシャルトルクTPを発生することができる。
しかし、燃料調整レバー102を操作すると減速ペダル103も動くため、コントローラ105は、ポテンショメータ104による検出値に基づき、静油圧式変速機107により吸収されるトルクを減少させるような容量制御(図8参照)を行うこととなる。つまり、コントローラ105は、パーシャル運転によるポテンショメータ104による検出値に基くエンジン100の目標回転数がNPまで下がるので、静油圧式変速機107の容量を低下させるよう吸収トルクカーブがHT2となる制御を行い、その結果、静油圧式変速機107の吸収可能トルクがTKPまで下がってしまうので、エンジン100の出力トルクTPのすべてを吸収することができなくなってしまう。
静油圧式変速機107による吸収トルクがエンジン発生トルクを下回るということは、エンジントルクにまだ余裕があるにも関わらず、走行装置には少ないトルクしか伝達されないことを意味する。すなわち、この状態のパーシャル運転においては、エンジン性能をフルに活用することができず、作業効率が低下してしまうこととなる。
本発明は上記の問題点に着目してなされたもので、パーシャル運転でもエンジンの出力を有効に活用できる静油圧式変速車両及び静油圧式変速機の制御用コントローラを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1発明に係る静油圧式変速車両は、
エンジン回転数を制限するための燃料調整手段と、エンジン回転数を低下させて車速を減ずるための減速操作手段とを備え、エンジンの出力を静油圧式変速機により変換して走行する静油圧式変速車両において、
前記燃料調整手段の操作位置を検出する燃料調整位置検出手段と、
前記減速操作手段の操作量を検出する減速操作位置検出手段と、
前記静油圧式変速機の容量を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記燃料調整位置検出手段及び前記減速操作位置検出手段による検出値に基づいて、前記燃料調整手段及び前記減速操作手段の操作状態を判定する操作状態判定手段と、
この操作状態判定手段により、前記燃料調整手段によるエンジン回転数を制限したときと、前記減速操作手段によるエンジン回転数を制限したときとで異なる容量制御指令を生成する容量制御指令生成手段とを備えていることを特徴とする。
第2発明に係る静油圧式変速車両は、第1発明において、
前記コントローラは、前記エンジンの発生トルクの全てが前記静油圧式変速機に吸収されるように、前記静油圧式変速機の容量の制御を行う第1容量制御パターン、及び、前記静油圧式変速機に吸収されるトルクが前記エンジンの発生トルク以下となるように前記静油圧式変速機の容量の制御を行う第2容量制御パターンとが記憶された容量制御パターン記憶手段を備え、
前記容量制御手段は、前記操作状態判定手段が燃料調整手段によりエンジン回転数が制限されたと判定すると、前記第1容量制御パターンに基づく容量制御を行い、前記操作状態判定手段が減速操作手段によりエンジン回転数が制限されたと判定すると、前記第2容量制御パターンに基づいて容量制御を行うことを特徴とする。
第3発明に係る静油圧式変速車両は、第1発明または第2発明において、
前記操作状態判定手段は、
前記燃料調整位置検出手段による検出値から得られる前記エンジンの目標回転数と、前記減速操作位置検出手段による検出値から得られる前記エンジンの目標回転数とを比較し、
両目標回転数が異なる場合、いずれか低い目標回転数の手段による操作であると判定することを特徴とする。
第4発明乃至第6発明に係る静油圧式変速機の容量制御用コントローラは、前述した静油圧式変速車両に係る各発明を、静油圧式変速機の容量制御用コントローラとして構成したものである。
本発明によれば、静油圧式変速機の容量制御パターンを、燃料調整手段によりエンジン回転数を制限したときと、前記減速換作手段によりエンジン回転数を制限したときとで異なるものとしために、燃料調整レバーを操作してエンジンをパーシャル運転させた状態でも、エンジン性能を有効に活用することができる。
また、前記燃料調整手段によりエンジン回転数を制限したときの静油圧式変速機の容量制御パターンを、エンジン発生トルクのすべてが前記静油圧式変速機により吸収されるようなものとしたので、燃料調整レバーを操作してエンジンをパーシャル運転させた状態で性能をフルに活用することができる。
以下、本発明に係る連続無段変速機搭載車両の実施形態について図面を参照して説明する。
〔1〕全体構成
図1には、本発明の実施形態に係るブルドーザ1が示されている。このブルドーザ1は、車両本体2と、土工板3と、履帯装置4とを備えて構成されている。
土工板3は、ブルドーザ1の前端部に配置され、盛土、整地作業を行う部分である。この土工板3は、フレーム31を介して車両本体2と接続されており、シリンダ32の伸縮によって上下する。
履帯装置4は、車両本体2の下方両側に配置され、走行装置として機能する部分であり、トラックフレーム41、駆動輪42、アイドラ43、及びクローラ44を備えている。
トラックフレーム41は、車両本体2にそって延びる鋼製体として構成され、車両本体2のメインフレームに突設されるピボットシャフトに対して揺動自在に軸支されている。
駆動輪42は、後述する駆動源としての油圧モータによって駆動する部分であり、スプロケット状に構成されており、クローラ44はこのスプロケット部分で噛合した状態で巻装されている。
アイドラ43は、クローラ44が巻装される他端の車輪であり、駆動輪42の駆動によりクローラ44が移動すると、このクローラ44の移動に伴って、アイドラ43も回転する。尚、図1では図示を略したが、トラックフレーム41の下部には、複数の下転輪が配置され、これら下転輪は、クローラ44が地面から受けた荷重を支持するとともに、駆動輪42の駆動時の案内ローラとしても機能する。
車両本体2は、図示を略したメインフレーム上に搭載され、走行方向前方側に配置されるエンジン5と、走行方向後方側に配置される操縦室6とを備えて構成される。エンジン5は、エンジンフード51内に収納されるエンジン本体を備え、車両本体2の下方に配置されるHST装置7を構成するHSTポンプを駆動するための動力源である。
操縦室6は、操縦者が乗車してブルドーザ1を操縦する部分であり、運転席61と、操作レバー62、63を備えて構成され、その上部は、キャノピ8によって覆われている。
この操縦室6は、図2に示されるように、運転席61の左側に走行レバー62が配置され、右側に土工板3を操作するための土工板操作レバー63が配置されている。走行レバー62のグリップ64の上部にはシフトアップスイッチ641とシフトダウンスイッチ642が設けられている。
走行レバー62は、ジョイスティック様のレバーとして構成され、この走行レバー62を操作すると、後述するコントローラ9に操作信号が出力され、コントローラ9は、これに基づいて制御信号を生成し、HST装置7の各部位を動作させて、ブルドーザ1を走行させる。具体的には、走行レバー62を前方に倒すと前進させ、後方に倒すと後進させ、左方向に倒すと左に操向させ、右方に倒すと右に操向させる操作信号を出力する。
運転席61の前方には計器やスイッチなどを配置したモニタパネル65が設けられている。モニタパネル65の中央寄りの左側には速度段表示部66が設けられ、右側はシフトモード切換スイッチ67が設けられている。
さらに、走行レバー62の左方には、燃料調整手段としての燃料調整レバー68が設けられ、この燃料調整レバー68を操作すると、エンジン5の回転数を調整することができる。
また、運転席61の右下には、減速操作手段としての減速ペダル69が設けられ、この減速ペダル69を踏むとエンジン5の回転数が低下する。尚、これら燃料調整レバー68及び減速ペダル69の操作に応じた制御については後述する。
〔2〕HST装置7の構造
次に、図3を参照しながら、HST装置7の構造を説明する。
静油圧式変速機としてのHST装置7は、HSTポンプ71と、履帯装置4の右左の走行装置に応じて設けられる2つの走行駆動部72と、4連のソレノイドバルブを含む切換操作部73と、作動油タンク74とを備えて構成され、このHST装置7は、コントローラ9によって制御される。
(2-1)HSTポンプ71の構成
HSTポンプ71は、2つの可変容量ポンプ711と、ポンプアクチュエータ712と、ポンプサーボバルブ713と、EPCバルブ714とを備えて構成され、それぞれの可変容量ポンプ711は、対応する走行駆動部72と閉回路を構成し、各走行駆動部72に圧油を供給している。
可変容量ポンプ711は、斜板の傾斜角度を連続的に変化させることにより、容量を変化させることが可能となっており、この可変容量ポンプ711の吐出量を増加することにより、ブルドーザ1の走行速度を増加させることができる。
ポンプアクチュエータ712は、可変容量ポンプ711の吐出量の制御を行う部分であり、具体的には、油圧により駆動するサーボピストンを可変容量ポンプ711の斜板端部に結合しておき、パイロットラインからポンプアクチュエータ712に圧油を供給することにより、斜板の傾斜角度を変化させることにより、吐出量を変化させる。
ポンプサーボバルブ713は、4ポート3ポジションのバルブとして構成され、ポンプアクチュエータ712への送油量の制御を行う部分であり、ポジションを切換えることにより、パイロットラインを経由して供給される作動油の量を調整し、ポンプアクチュエータ712に供給している。
EPCバルブ714は、ポンプサーボバルブ713に対して2つ設けられており、コントローラ9と電気的に接続されている。
EPCバルブ714は、コントローラ9から入力する容量制御指令電流の大きさに応じた信号圧力をポンプサーボバルブ713に出力し、ポンプサーボバルブ713のスプールを動かす。ポンプサーボバルブ713は、スプールの移動量と同じだけポンプアクチュエータ712を移動させ、これにより可変容量ポンプ711の斜板角度が変化する。
(2-2)走行駆動部72の構成
走行駆動部72は、左右それぞれの履帯装置4に応じて設けられている。各走行駆動部72は、クラッチ721、可変容量モータ722、第1アクチュエータ723、第2アクチュエータ724、シャトルバルブ725、リリーフバルブ726、及び変速切換バルブ727を備えている。
クラッチ721は、可変容量モータ722の回転軸と履帯装置4の駆動輪42の駆動軸421の間に介在配置されている。このクラッチ721は、可変容量モータ722の回転力を駆動軸421に伝達するために設けられ、付設されるアクチュエータ721Aによって、可変容量モータ722の回転軸と駆動軸421とを連結したり、連結を解除したりすることができる。
可変容量モータ722は、出力軸となる回転軸がクラッチ721と連結され、油圧供給源が配管ラインA0を介して前記の可変容量ポンプ711と接続され、この可変容量ポンプ711からの圧油によって駆動し、履帯装置4の駆動輪42の駆動源として機能する。この可変容量モータ722は、斜板の傾斜角度を3段階に変化させることにより、回転軸から出力される回転速度、トルク等を変化させることができるようになっている。
第1アクチュエータ723及び第2アクチュエータ724は、可変容量モータ722の出力制御を行う。第1アクチュエータ723の出力軸は、可変容量モータ722の斜板端部に結合される。第2アクチュエータ724の出力軸は、第1アクチュエータ723の出力軸の後退量を制限するために、第1アクチュエータ723の出力軸の突出部に当接している。
第1アクチュエータ723の出力軸が最も突出した状態で可変容量モータ722の斜板角度は最大となり、第1アクチュエータ723の出力軸が最も後退した状態で可変容量モータ722の斜板角度は最小角度となる。第2アクチュエータ724の出力軸が突出した状態では、第1アクチュエータ723の出力軸の後退量は制限され、この状態で可変容量モータ722の斜板角度は中間角度となる。
シャトルバルブ725は、可変容量ポンプ711及び可変容量モータ722の配管ラインA0の途中から分岐し、可変容量モータ722の上流側及び下流側を挟むように設けられた配管ラインA1の途中に設けられ、第1アクチュエータ723及び第2アクチュエータ724に圧油を供給するために設けられている。このシャトルバルブ725は、5ポート3ポジションのバルブであり、入力側の2ポートが可変容量モータ722の上流側及び下流側に接続され、出力側の3ポートのうち、2つのポートは変速切換バルブ727の入力側に接続され、1つのポートはリリーフバルブ726を介して、ドレン配管に接続されている。
また、シャトルバルブ725は、自己圧によってポジションを変化するように構成され、可変容量モータ722の上流側及び下流側の圧油のバランスとれている場合は、中央のポジションでどちらの入力もドレン配管から遮断される。一方、上流側及び下流側のバランスが変化すると、シャトルバルブ725は、上流側、下流側の圧力によってポジションを変化させ、圧力の高い方の流れを変速切換バルブ727に出力し、圧力の低い方の流れを、リリーフバルブ726を介してドレン配管に排出する。
変速切換バルブ727は、後述するコントローラ9の変速制御信号に応じて、ポジションを切り換える5ポート3ポジションのバルブである。変速切換バルブ727の入力側2ポートの一方は、前記のシャトルバルブ725の出力側と接続され、他方は、ドレン配管に接続され、出力側3ポートの1つは、第2アクチュエータ724のピストンを出力軸の進行方向に動かす入出力ポートと接続され、他の2つは、第1アクチュエータ723のピストンを進退方向それぞれに動かす入出力ポートと接続されている。
尚、第1アクチュエータ723の出力軸を後退方向に動かすポートと、第2アクチュエータ724の出力軸を後退方向に動かすポートとは連通している。
この変速切換バルブ727の内部には、流量調整バルブ728が設けられており、この流量調整バルブ728により第1アクチュエータ723、第2アクチュエータ724の動作時間、すなわち可変容量モータ722の斜板角度切換時間が調整される。
また、変速切換バルブ727は、MIN、MID、MAXの3ポジションが設定されており、コントローラ9からの変速制御信号が入力しない場合は、中央のMAXのポジションに設定されている。具体的には、各ポジションでは次のような圧油供給状態に設定される。
まず、MAXポジションは、入力した圧油を第1アクチュエータ723、第2アクチュエータ724の全てのポートに供給する設定である。このポジションでは各アクチュエータ723、724内のピストンの受圧面積の差によって各アクチュエータ723、724の出力軸はどちらも突出し、可変容量モータ722の斜板角度は最大角度となる。
MIDポジションは、第1アクチュエータ723の出力軸の進行方向のポートをドレン配管に接続し、その他のポートへは入力した圧油を供給する設定である。このポジションでは、第2アクチュエータ724の出力軸が突出し、第1アクチュエータ723の出力軸は中間位置までしか後退できず、可変容量モータ722の斜板角度は中間角度となる。
MINポジションは、第1アクチュエータ723の出力軸の進行方向のポートと第2アクチュエータ724の出力軸の進行方向のポートとをドレン配管に接続し、その他のポートへは入力した圧油を供給する設定である。このポジションでは、各アクチュエータ723、724の出力軸はどちらも後退し、可変容量モータ722の斜板角度は最小角度となる。
(2-3)切換操作部73の構成
切換操作部73は、固定容量ポンプ73Aと、4つのソレノイドバルブ731、732、733、734を備えて構成され、走行駆動部72を構成するバルブの切換を行う部分である。
固定容量ポンプ73Aは、図3における破線で示されるパイロットラインのパイロット圧を生成するポンプであり、作動油タンク74内の作動油を、パイロットラインに圧油として供給する。
ソレノイドバルブ731は、コントローラ9からの変速制御信号に基づいて、可変容量モータ722の斜板の中間角度への切換を行う部分であり、ソレノイドバルブ731に設けられたソレノイドが励磁されると、パイロット圧がパイロットラインP1を介して変速切換バルブ727に供給され、この変速切換バルブ727のポジションをMIDポジションに切換える。
ソレノイドバルブ732は、コントローラ9からの変速制御信号に基づいて、可変容量モータ722の斜板の最小角度への切換を行う部分であり、ソレノイドバルブ732に設けられたソレノイドが励磁されると、パイロット圧がパイロットラインP2を介して変速切換バルブ727に供給され、この変速切換バルブ727のポジションをMINポジションに切換る。
ソレノイドバルブ733は、図示を略したが、スローブレーキ用の機構にパイロット圧を供給する部分であり、ソレノイドバルブ734は、駐車ブレーキにパイロット圧を供給し、クラッチ721に付設されたアクチュエータ721Aをパイロット圧によって駆動させ、クラッチ721の連結を解除する。
〔3〕コントローラ9による制御構造
次に、図4を参照して、コントローラ9によるエンジン5及びHST装置7の駆動制御構造について説明する。
図4に示すように、エンジン5の燃料噴射ポンプ52は、燃料噴射量を調節するための図示せぬガバナーレバーを有している。このガバナーレバーは、プッシュプルケーブル及びリンク機構を介して燃料調整レバー68及び減速ペダル69と接続されている。
そして、燃料調整レバー68を操作すると、燃料噴射ポンプ52からの燃料噴射量が変化してエンジン5の回転数が上下し、減速ペダル69を操作しても燃料噴射ポンプ52からの燃料噴射量が変化してエンジン5の回転数が変化する。
また、運転席61に着座したオペレータが減速ペダル69を踏み込むと、エンジン5の回転数を燃料調整レバー68で設定された回転数からさらに下げることができ、車両を一時的に減速させることができるようになっている。尚、本例では、従来と同様に燃料調整レバー68を動かすことにより減速ペダル69も一緒に回動するが、減速ペダル69を踏み込んでも燃料調整レバー68の位置は変化しない構造が採用されている。
コントローラ9は、エンジン5のエンジン回転数に基づいて、HST装置7の駆動制御を行う制御手段として構成され、入力側には、エンジン回転センサ53、ポテンショメータ681、ポテンショメータ691、及びHST回路油圧センサ75が電気的に接続されている。
エンジン回転センサ53は、エンジン5の回転数を検出し、電気信号に変換してコントローラ9に出力する機能を有している。
ポテンショメータ681は、燃料調整レバー68の操作による燃料調整位置を検出する燃料調整位置検出手段として機能を有し、オペレータが燃料調整レバー68を操作すると、その操作量に応じた電気信号をコントローラ9に出力する。
ポテンショメータ691は、減速ペダル69の操作による減速操作位置を検出する減速操作位置検出手段として機能するものであり、オペレータが減速ペダル69を踏み込むと、この踏み込み量に応じた電気信号をコントローラ9に出力する。
HST回路油圧センサ75は、左右の走行駆動部72のそれぞれに設けられ、各走行駆動部72の油圧回路内の圧力を検出して、コントローラ9にフィードバックするセンサである。
また、コントローラ9の出力側には、HST装置7を構成するEPCバルブ714、ソレノイドバルブ731、732が電気的に接続され、これらのバルブに電気信号を出力することによりバルブの開閉制御を行う。これらのバルブの開閉制御を行うことにより、HST装置7を構成する可変容量ポンプ711及び可変容量モータ722の斜板角度を変更し、HST装置7の容量制御を実現することが可能となる。
コントローラ9は、入力側に接続されたポテンショメータ681、691、エンジン回転センサ53、HST回路油圧センサ75から出力された検出信号に基づいて、HST装置7を構成するEPCバルブ714、ソレノイドバルブ731、732に制御し例を出力する部分であり、操作状態判定手段91、駆動状態判定手段92、容量制御パターン記憶手段93、及び容量制御指令生成手段94を備えて構成される。
操作状態判定手段91は、ポテンショメータ681の検出値に基づいて、燃料調整レバー68の調整位置に応じた目標回転数を取得するとともに、ポテンショメータ691の検出値に基づいて、減速ペダル69の踏み込み量に応じた目標回転数とを比較し、いずれか低い方の目標回転数に係る操作状態であると判定する。つまり、燃料調整レバー68の操作で設定された目標回転数よりも、減速ペダル69の踏み込みによって設定された目標回転数の方が低い場合には、操作状態判定手段91は、減速ペダル69による減速操作が行われていると判定する。尚、前述したが、燃料調整レバー68を操作すると、これに伴い減速ペダル69も回動するようになっているため、燃料調整レバー68で設定された目標回転数よりも減速ペダル69による目標回転数が上回ることは、本実施形態では予定されていない。
駆動状態判定手段92は、エンジン5のエンジン回転センサ53及びHST回路油圧センサ75からの検出値に基づいて、エンジン5の駆動状態及びHST装置7の動作状態を監視する部分であり、外部負荷に伴うエンジン5の回転数の低下や、HST装置7の油圧の変化を監視して、その状態を後述する容量制御指令生成手段94に出力する。
容量制御パターン記憶手段93は、HST装置7を構成する可変容量ポンプ711及び/又は可変容量モータ722の容量制御パターンが複数記憶されたメモリ等の記憶装置として構成されている。
具体的には、この容量制御パターン記憶手段93には、図5に示されるように、燃料調整レバー68の操作量に応じて、HST装置7による吸収可能トルクを最大トルクTK0とする吸収トルクカーブHT1、HT2、HT3、HT4となるような第1容量制御パターンと、減速ペダル69の踏み込み量に応じて吸収可能トルクが変化する吸収トルクカーブHT1A、HT2A、HT3A…となるような第2容量制御パターンとが記憶されている。
容量制御指令生成手段94は、操作状態判定手段91で判定された結果と、駆動状態判定手段92で判定されたエンジン5及びHST装置7の駆動状態とに基づいて、容量制御パターン記憶手段93に記憶された容量制御パターンを選択し、HST装置7に対する容量制御指令を生成し、HST装置7を構成するEPCバルブ714に制御指令を出力し、また、必要に応じてソレノイドバルブ731、732に制御指令を出力する。EPCバルブ714は、容量制御指令生成手段94による容量制御指令に基づいて、ポンプアクチュエータ712を駆動させ、可変容量ポンプ711の斜板角度を変化させ、該可変容量ポンプ711の容量を変化させる。
〔4〕コントローラ9による作用
次に、前述したコントローラ9の作用について、図6に示されるフローチャートに基づいて説明する。
(1)操作状態判定手段91は、ブルドーザ1の駆動中、ポテンショメータ681を介して燃料調整レバー68による指令値SE1を検出する(処理S1)。また、操作状態判定手段91は、ポテンショメータ691を介して減速ペダル69による指令値SE2を検出する(処理S2)。
(2)操作状態判定手段91は、指令値SE1及び指令値SE2の大小関係を判定する(処理S3)。
(3)燃料調整レバー68を操作すると、これに伴い、減速ペダル69も同時に回動するようになっているため、通常の操作状態では、指令値SE1=指令値SE2として検出される。この場合、容量制御指令生成手段94は、容量制御パターン記憶手段93に記憶された第1容量制御パターンを選択し(処理S4)、これに基づいた容量制御指令を生成する(処理S5)。具体的には、図5に示されるように、容量制御指令生成手段94は、燃料調整レバー68を操作することで設定されたエンジン5の目標回転数によらず、HST装置7による吸収可能トルクが、最大トルクTK0となるような吸収トルクカーブHT1、HT2、HT3、HT4となるような第1容量制御パターンを選択する。そして、容量制御指令生成手段94は、選択された第1容量制御パターンの吸収トルクとなるように、HST装置7を構成する可変容量ポンプ711の斜板角度を変更させるEPCバルブ714に制御指令を生成し、出力する。このような制御指令が出力されるとHST装置7では、EPCバルブ714が動作して、可変容量ポンプ711の容量制御が実施される(処理S6)。
(4)なお、第1容量制御パターンでは、図5に示すように、燃料調整レバー68側のポテンショメータ681に基づく目標回転数NHを容量低下制御の開始点として定め、エンジン回転数が低くなるにつれて吸収トルクを低下させる制御を行い、エンジン5のエンジンストールを防止している。その結果、図5に示されるように、ハイアイドル時においては、エンジントルクカーブETと吸収トルクカーブHTとは、定格点P0よりやや低い回転数領域で交わるようにされている。すなわち、エンジン定格回転数NH近傍で、エンジン5により発生するトルクの全てがHST装置7に吸収されるように設定されている。また、走行抵抗が増大してエンジン回転数が低下すると、HST装置7に吸収されるトルクを速やかに減少させて、エンジンストールを防止するようにしている。このような特性で制御を行うことにより、ハイアイドル時においては、エンジンは常に定格回転数NH近傍で回転し、さらに、エンジン発生トルクの全てを、HST装置7を経由して走行装置に伝達することができるので、エンジン出力を有効に使って運土作業などを力強く高速に行うことができる。オペレータが土工板3を操作するなどして負荷が軽くなるとエンジン回転数は上昇するので、コントローラ9は可変容量ポンプの容量を最大容量Q0に戻す。
(5)オペレータがブルドーザ1を停止するために減速ペダル69を踏むと、その指令値SE2はポテンショメータ691で検出され、コントローラ9の操作状態判定手段91は、指令値SE1>指令値SE2と判定し、ポテンショメータ691からの目標回転数に係る指令値SE2が、ポテンショメータ681からの信号に基づく目標回転数に係る指令値SE1に比較して低くなると判定する。容量制御指令生成手段94は、この判定結果に基づいて、容量制御パターン記憶手段93から第2容量制御パターンを選択し(処理S7)、デクセル時の容量制御指令を生成し(処理S8)、前述と同様に、可変容量ポンプ711の制御を行う(処理S9)。
(6)すなわち、コントローラ9の容量制御指令生成手段94は、ポテンショメータ691により得られる減速ペダル69の踏み込み量に基づき、図5に示されるように、HST装置7の吸収トルクカーブを、HT1A、HT2A…のように変化させる制御を行う。減速ペダル69踏み込み時のHST装置7の容量制御パターンは、減速ペダル69の踏み込み量が大きくなるにしたがって、HST装置7による吸収トルクを減少させる特性とされている。したがって、減速ペダル69の踏み込み量に応じて、HST装置7からの出力が小さくなり、車速が減少する。
(7)燃料調整レバー68を操作してエンジン5への燃料噴射量が制限されると、エンジン回転数は低下し、図5に示すようにエンジントルクカーブは見かけ上、ET1、ET2、ET3、ET4…のように変化する。燃料調整レバー68の操作量はポテンショメータ681により検出され、容量制御指令生成手段94はこの検出値(すなわち、燃料調整レバー68により設定される目標回転数)に基づきHST装置7の吸収トルクカーブをHT1、HT2、HT3、HT4…のように変化させる。図5から明らかなように、吸収トルクカーブHT1、HT2、HT3、HT4は全て目標回転数NP1、NP2、NP3、NP4それぞれよりやや低い回転数の領域で、エンジントルクカーブETと交わるようにされている。すなわち、燃料調整レバー68の操作によりエンジン回転数が制限された場合においては、エンジン発生トルクのすべてがHST装置7に吸収される。したがって、パーシャル運転時においても、エンジン発生トルクのすべてを、HST装置7を経由して走行装置に伝達することができるので、エンジン出力を有効に使って、運土作業などを力強く行うことができる。
(8)コントローラ9は、燃料調整位置検出手段であるポテンショメータ681による目標回転数の指令値SE1と、減速操作位置検出手段であるポテンショメータ691による検出値から得られる減速ペダル69による目標回転数の指令値SE2とを比較し、2つの目標回転数が同一の場合には燃料調整レバー68のポテンショメータ681による検出値を優先し、異なる場合には、より低い目標回転数を設定した側の指令値に基づいてHST装置7の容量制御を行う。
(9)燃料調整レバー68が操作されて、パーシャル運転が行われ、吸収トルクカーブが図5のHT2となるような制御を行っている状態から、減速ペダル69を踏み込み、エンジン回転数をNP4まで低下させ、例えば図5に示す見掛け上のエンジントルクカーブがET4に示す状態になると、本実施形態においては、減速ペダル69を踏み込んでも燃料調整レバー68は動かないため、減速ペダル69により設定される目標回転数NP4の方が燃料調整レバー68により設定されている目標回転数NP2よりも低くなる。したがって、コントローラ9は、減速ペダル69の側のポテンショメータ691の指令値に基づき、HST装置7の容量をTK0から小さい容量のTKDAとなるように制御する。すなわち、吸収トルクカーブが図4のHT4Aとなるような制御を行う。この場合、コントローラ9によるHST装置7の容量低下の制御は、減速ペダル69の踏み込み量に応じて、図4の点Aから点Bまでの矢印に示すように、HST装置7の容量をTK0から小さい容量のTKDAまで連続的に変化させるように行う。
〔5〕実施形態の変形
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
前記実施形態と異なり、燃料調整レバー68を動かしても減速ペダル69の位置は変わらないような機構とする場合においては、燃料調整レバー68により設定される目標回転数と、減速ペダル69により設定される目標回転数とが一致する場合における燃料調整レバー68のポテンショメータ681の検出値を優先する制御は必ずしも必要ではなく、両者が異なる場合に、より低い回転数を設定した側のポテンシヨメータ検出値に基づく制御を行えばよい。
また、燃料調整レバー68及び減速ペダル69は、エンジン5の燃料噴射ポンプ52に機械的に連結しているものではなく、電気信号を介してコントローラにより燃料噴射ポンプを制御するものであっても良い。
さらに、前記実施形態では、パーシャル運転時で、減速ペダル69が潜み込まれていない状態では、HST装置7の吸収可能トルクをエンジンの発生トルクよりも大きいTK0に維持したままの制御を行う。つまり、燃料調整レバー68の操作によりエンジン回転数が制限された場合において、エンジン発生トルクのすべてを静油圧式変速機に吸収させるために、吸収トルクカーブHT1、HT2…がすべてエンジントルクカーブETと交わるような設定としたが、必ずしも、2つのカーブが交わるように設定する必要はない。例えばエンジン5の発生トルクよりもわずかに低いトルクを吸収できるようにして、エンジン5の発生する最大トルク近傍でマッチングするような容量になるように、HST装置7の吸収可能トルクを制御することで、エンジンの発生トルクを有効に括用するようにしても良い。すなわち、パーシャル運転時必要とされる駆動力を得ることができれば、HST装置7の吸収可能トルクはエンジン発生トルクを若干下回っても構わない。重要なことは、燃料調整レバー68の操作によるエンジン回転数低下と、減速ペダル69の操作によるエンジン回転数低下とを明確に区別し、それら2つの操作によりHST装置7の容量制御パターンを使い分けることである。
また、ブルドーザの例で説明したが、本発明は他の作業車両にも適用可能である。静油圧式変速機は、エンジン5で原動する図示しない可変容量ポンプと可変容量ポンプの圧油を受けて回転する図示しない可変容量油圧モータとを備え、可変容量油圧ポンプまたは可変容量油圧モータの斜板角度を変化させるもので説明したが、可変容量油圧ポンプおよび可変容量油圧モータの斜板角度を変化させるものでも良いし、可変容量油圧ポンプと固定容量油圧モータの組合せ、または固定客量油圧ポンプと可変容量油圧モータの組合せのもので、可変容量油圧ポンプまたは可変容量油圧モータの斜板角度を変化させるものでも良い。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
本発明は、ブルドーザに利用できる他、パワーショベルやホイルローダ等の他の建設機械にも利用することができる。また、本発明は、ブルドーザ等の建設機械に限らず他の車両にも適用することができる。
本発明の第1実施形態に係るブルドーザの外観図である。 前記実施形態におけるブルドーザの運転席回りを示す図である。 前記実施形態におけるブルドーザのHST装置の構造を示す模式図である。 前記実施形態におけるコントローラの構造を示す模式図である。 前記実施形態におけるHST装置の容量制御の一例を示す図である。 前記実施形態の作用を説明するためのフローチャートである。 従来の車両のシステム構造を表す模式図である。 従来のシステムにおける静油圧式変速機の容量制御の一例を示す図である。
符号の説明
1…ブルドーザ、5…エンジン、7…HST装置(静油圧式変速機)、9…コントローラ、52…燃料噴射ポンプ、53…エンジン回転センサ、68…燃料調整レバー(燃料調整手段)、69…減速ペダル(減速操作手段)、91…操作状態判定手段、93…容量制御パターン記憶手段、94…容量制御指令生成手段、681、691…ポテンショメータ(燃料調整位置検出手段、減速操作位置検出手段)

Claims (6)

  1. エンジン回転数を制限するための燃料調整手段(68)と、エンジン回転数を低下させて車速を減ずるための減速操作手段(69)とを備え、エンジン(5)の出力を静油圧式変速機(7)により変換して走行する静油圧式変速車両において、
    前記燃料調整手段(68)の操作位置を検出する燃料調整位置検出手段(681)と、
    前記減速操作手段(69)の操作量を検出する減速操作位置検出手段(691)と、
    前記静油圧式変速機(7)の容量を制御するコントローラ(9)とを備え、
    前記コントローラ(9)は、
    前記燃料調整位置検出手段(681)及び前記減速操作位置検出手段(691)による検出値に基づいて、前記燃料調整手段(68)及び前記減速操作手段(69)の操作状態を判定する操作状態判定手段(91)と、
    この操作状態判定手段により、前記燃料調整手段(68)によるエンジン回転数を制限したときと、前記減速操作手段(69)によるエンジン回転数を制限したときとで異なる容量制御指令を生成する容量制御指令生成手段(94)とを備えていることを特徴とする静油圧式変速車両。
  2. 請求項1に記載の静油圧式変速車両において、
    前記コントローラ(9)は、前記エンジン(5)の発生トルクの全てが前記静油圧式変速機(7)に吸収されるように、前記静油圧式変速機(7)の容量の制御を行う第1容量制御パターン、及び、前記静油圧式変速機(7)に吸収されるトルクが前記エンジン(5)の発生トルク以下となるように前記静油圧式変速機(7)の容量の制御を行う第2容量制御パターンとが記憶された容量制御パターン記憶手段を備え、
    前記容量制御手段は、前記操作状態判定手段が燃料調整手段(68)によりエンジン回転数が制限されたと判定すると、前記第1容量制御パターンに基づく容量制御を行い、前記操作状態判定手段が減速操作手段(69)によりエンジン回転数が制限されたと判定すると、前記第2容量制御パターンに基づいて容量制御を行うことを特徴とする静油圧式変速車両。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の静油圧式変速車両において、
    前記操作状態判定手段(91)は、
    前記燃料調整位置検出手段(681)による検出値から得られる前記エンジン(5)の目標回転数と、前記減速操作位置検出手段(691)による検出値から得られる前記エンジン(5)の目標回転数とを比較し、
    両目標回転数が異なる場合、いずれか低い目標回転数の手段による操作であると判定することを特徴とする静油圧式変速車両。
  4. エンジン回転数を制限するための燃料調整手段(68)と、エンジン回転数を低下させて車速を減ずるための減速操作手段(69)とを備え、エンジンの出力を静油圧式変速機(7)により変換して走行する静油圧式変速車両に用いられる、静油圧式変速機の容量制御用コントローラ(9)であって、
    前記燃料調整位置検出手段(681)及び前記減速操作位置検出手段(691)による検出値に基づいて、前記燃料調整手段(68)及び前記減速操作手段(69)の操作状態を判定する操作状態判定手段(91)と、
    この操作状態判定手段により、前記燃料調整手段(68)によるエンジン回転数を制限したときと、前記減速操作手段(69)によるエンジン回転数を制限したときとで異なる容量制御指令を生成する容量制御指令生成手段(94)とを備えていることを特徴とする静油圧式変速機の容量制御用コントローラ。
  5. 請求項4に記載の静油圧式変速機の容量制御用コントローラにおいて、
    前記エンジン(5)の発生トルクの全てが前記静油圧式変速機(7)に吸収されるように、前記静油圧式変速機(7)の容量の制御を行う第1容量制御パターン、及び、前記静油圧式変速機(7)に吸収されるトルクが前記エンジン(5)の発生トルク以下となるように前記静油圧式変速機(7)の容量の制御を行う第2容量制御パターンとが記憶された容量制御パターン記憶手段を備え、
    前記容量制御指令生成手段(94)は、前記操作状態判定手段(91)が燃料調整手段(68)によりエンジン回転数が制限されたと判定すると、前記第1容量制御パターンに基づく容量制御を行い、前記操作状態判定手段が減速操作手段(69)によりエンジン回転数が制限されたと判定すると、前記第2容量制御パターンに基づいて容量制御を行うことを特徴とする静油圧式変速機の容量制御用コントローラ。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の静油圧式変速機の容量制御用コントローラにおいて、
    前記操作状態判定手段(94)は、
    前記燃料調整位置検出手段(681)による検出値から得られる前記エンジン(5)の目標回転数と、前記減速操作位置検出手段(691)による検出値から得られる前記エンジン(5)の目標回転数とを比較し、
    両目標回転数が異なる場合、いずれか低い目標回転数の手段による操作であると判定することを特徴とする静油圧式変速機の容量制御用コントローラ。
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