JP2005233276A - トラクションドライブ式無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンパクトで大きなトルクを効率よく伝達することのできるトラクションドライブ式無段変速機を提供する。
【解決手段】溝幅調整機構を持ったVプーリ4と、Vプーリ4の溝に挟まれてトラクション力を伝達する歯付きリング3と、歯付きリング3の歯とかみ合う出力歯車2と、出力歯車2の中心周りに歯付きリング3を回転させるアーム機構13とを有するトラクションドライブ式無段変速装置であって、トラクションドライブによるトルク伝達経路と並列にワンウエイクラッチOCを介した歯車Z1,Z2によるトルク伝達経路を持っている。
【選択図】 図1
【解決手段】溝幅調整機構を持ったVプーリ4と、Vプーリ4の溝に挟まれてトラクション力を伝達する歯付きリング3と、歯付きリング3の歯とかみ合う出力歯車2と、出力歯車2の中心周りに歯付きリング3を回転させるアーム機構13とを有するトラクションドライブ式無段変速装置であって、トラクションドライブによるトルク伝達経路と並列にワンウエイクラッチOCを介した歯車Z1,Z2によるトルク伝達経路を持っている。
【選択図】 図1
Description
この発明は自動車や各種産業機械における動力伝達に利用されるトラクションドライブ式無段変速機に関する。
無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)は昔から多くの考案がなされている。最近ではハーフトロイダル方式(図7)が注目を集めているが、実用化の方向は金属ベルト方式(図8)である。
町田,今西,「トラクションドライブ式無段変速機パワートロスユニットの開発 第2報−ハーフトロイダルCVTとフルトロイダルCVTの比較−」,NSK Technical Journal No. 670 (2000),日本精工株式会社
町田,今西,「トラクションドライブ式無段変速機パワートロスユニットの開発 第2報−ハーフトロイダルCVTとフルトロイダルCVTの比較−」,NSK Technical Journal No. 670 (2000),日本精工株式会社
トラクションドライブ装置の課題は、コンパクトで大きなトルクを効率よく伝達することである。コンパクトで大きな伝達トルクを得るには、大きな接触力を与えればよいが、接触応力が大きすぎると寿命が短くなる。接触応力を下げるために、接触面積が大きくなるように設計すると、接触部のスピン成分が増え、伝達効率が低下する。
これらの課題をある程度解決しているのが、上述のハーフトロイダル式と金属ベルト方式である。しかし、完全ではなく、それぞれが欠点を持っている。ハーフトロイダル式は、パワーローラが入出力ディスク面に押し付けられた状態で揺動し変速する。ここには大きな接触圧力が作用し、油膜が形成されない場合、焼付きが生じる。これを避けるためには表面粗さを上げなければならないが、大きな球面を高精度に加工するには高コストとならざるを得ない。また、回転方向には凸同士の接触となるため、接触位置によっては大きなスピン成分が生じ、伝達効率が低下する。さらに、構造上軸方向に長く、FF車に搭載するには無理がある。一方、金属ベルト方式は、多くのエレメントを積み重ねて曲がりやすくし、Vプーリに押し付けてトルクを伝達する。基本的にはプーリとベルトは金属接触するため摩耗が避けられない。
本発明の目的は、上述の問題点を解消した、コンパクトで大きなトルクを効率よく伝達することのできるトラクションドライブ式無段変速機を提供することにある。
本発明のトラクションドライブ式無段変速装置は、溝幅調整機構を持ったVプーリ4と、Vプーリ4の溝に挟まれてトラクション力を伝達する歯付きリング3と、歯付きリング3の歯とかみ合う出力歯車2と、出力歯車2の中心周りに歯付きリング3を回転させるアーム機構13とを有し、トラクションドライブによるトルク伝達経路と並列にワンウエイクラッチOCを介した歯車によるトルク伝達経路を持つことを特徴とするものである。
前記Vプーリ4を入力軸7に取り付け、前記出力歯車2を出力軸6に取り付け、前記歯車によるトルク伝達経路を、前記入力軸7に固定した第一の歯車Z1と、前記出力軸6に固定した第二の歯車Z2と、いずれかの歯車Z1またはZ2にワンウエイクラッチOCを内蔵させた構成にすることができる(請求項2)。
前記歯車によるトルク伝達経路の減速比が前記トラクションドライブによるトルク伝達経路の最大減速比よりも大きい(請求項3)。
自動車用のトラクションドライブ式無段変速装置の場合、自動車の発進時は前記歯車によるトルク伝達経路を利用し、発進後は前記トラクションドライブによるトルク伝達経路を利用することができる(請求項4)。
トラクションドライブの伝達トルクは、Vプーリ4との接触半径と接触力とトラクション係数の掛け算で求められる。よって、高減速時(発進時)の伝達トルクが最も小さい。このため、発進時には歯車によるトルク伝達経路を利用することにより、トラクションドライブ装置の伝達容量を大きくすることができる。また、自動車を発進させようとしている状態は、トラクションドライブ部は大きな接触力が作用しながら回転はしていない状態である。このような状態では接触部に油膜の生成がなく、フレッティングと呼ばれる摩耗が生じることがある。そこで、自動車が発進を完了するまでは歯車によるトルク伝達を利用することが、フレッティング防止に有効である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
図1は本発明によるトラクションドライブ式無段変速機の構想図であり、図2は本発明の実施の形態を示すトラクションドライブ式無段変速機の断面図である。図1および図2から理解できるように、このトラクションドライブ式無段変速機は軸方向に可動の一対のプーリ部材4a,4bからなるVプーリ4の溝にリング3を挟んだ構造である。この実施の形態ではリング3は外周に歯車の歯をもっているため、以下では歯付きリングと呼ぶこととする。図2に示すように、ケーシング10内に、互いに平行な入出力軸6と入出力軸7がそれぞれ軸受を介して回転自在に支持されている。この実施の形態では、これらの両軸6,7間でトルク伝達を行い、一方の軸(6または7)を入力軸とすると、他方の軸(7または6)が出力軸となる関係にある。
第一の入出力軸6には入出力歯車2が固定してある。入出力歯車2は歯付きリング3と噛み合っている。歯付きリング3の側面の断面形状はV型プーリ4の溝の断面形状と実質的に一致している。歯付きリング3は、入出力歯車2の歯と噛み合う歯と、平滑な円筒状ガイド面8を有し、前記ガイド面8にてガイドローラ1と接する。歯付きリング3のガイドには、図示するように歯付きリング3の外周面と接して転動するガイドローラ1を採用するほか、歯付きリング3との接触荷重は小さいため、歯着きリング3と滑り接触する滑り軸受(シュー)を採用してもよい。図1に示すように、この実施の形態では三つのガイドローラ1を設けてあり、図2にそのうちの二つ、つまり、入出力歯車2の両側に配置た一対の円板で構成されるガイドローラと図1において最上部のガイドローラの断面を示してある。入出力歯車2の両側に配置した一対の円板で構成されるガイドローラは入出力軸6に回転自在に固定されている。それ以外のすべてのガイドローラ1はそれぞれ回転自在にアーム13に支持されている。したがって、ガイドローラ1相互の位置関係は固定的である。これらのガイドローラ1のうち、図1の左端に現れているガイドローラ1は歯着きリング3の軸方向の振れ防止の役割も持たせる。アーム13は入出力軸6と同軸に、ケーシング10のスリーブ17に旋回自在に支持されている。
第二の入出力軸7はスプライン軸部12を有し、このスプライン軸部12に一対のプーリ部材4をスプライン嵌合させてある。プーリ部材4は入出力軸7の軸方向に移動可能である。各プーリ部材4は溝幅調節機構9を備えている。溝幅調節機構9は、入出力軸と同軸に支持された一対のフェイスカム21,22と、スラスト軸受15とを含む。一対のフェイスカムのうち、可動フェイスカム21は入出力軸の軸方向に移動可能で、かつ、スラスト軸受を介してプーリ部材4と接している。固定フェイスカム22はケーシング10に固定されている。
一対のフェイスカムは、相対回転により、接近または離反するように、斜面で接触している。この斜面間にボールを介在させることにより移動が滑らかとなる。図3に例示したフェイスカム21,22はらせん状の斜面にて接触しており、可動フェイスカム21が回転すると固定フェイスカム22と接近または離反する。したがって、可動フェイスカム21の回転に伴い、その回転方向によって、スラスト軸受15を介してプーリ部材4を相互に接近する向きに移動させ、または、プーリ部材4が相互に離反する向きに移動するのを許容する。
アーム13に歯車23を固定し、アーム13の旋回軸と同軸に支持させてある。また、可動フェイスカム21は外周に歯を有し、図2に符号20で示す噛み合い部にて歯車23と噛み合っている。したがって、可動フェイスカム21はアーム13の旋回と連動して回転する。ケーシング10内のスリーブ17上にあり、アーム13の旋回に連動して回転する歯車23が、噛み合い部20を介して回転力を左右にある可動フェイスカム21に伝える。この動作により、プーリ部材4の軸方向移動に連動して、ガイドローラ1群が中心O1周りに旋回し、歯付きリング3をプーリ部材4に接触させながら接触点を移動させるこ
とができる。
とができる。
一対の歯車23が連結部18によって互いに一体化しており、したがって、一対の歯車23は同期してのみ回転する。その結果、図2の左右の溝幅調節機構9における可動フェイスカム21が同じ方向に回転する。図2の右側の溝幅調節機構9と左側の溝幅調節機構9とではフェイスカム21,22の配置が逆になっているため、可動フェイスカム21が同じ方向に回転すると、それらは互いに逆方向に移動することになる。このようにして、一対のプーリ部材4が接近または離反する方向に移動し、溝幅が変化する。
歯付きリング3は三つ以上のガイドローラ1で外周から拘束されているため、中心軸がなくても回転が可能である(心なしローラ)。ガイドローラ1はアーム13で連結されており、アーム13を旋回させることによって中心O1回りに歯付きリング3の回転中心を
移動させることができる。したがって、歯付きリング3の外周に切られた歯は入出力歯車2と常に噛みあった状態にある。歯付きリング3とプーリ部材4間のすきまが生じないようにプーリ部材4とアーム13を制御すれば、歯付きリング3が中心O1回りに移動する
ことにより、プーリ部材4との接触点が変化し、一定の入出力歯車2の回転数に対し、プーリ部材4の速度を連続的に変えることができる。このようにして、いわゆるCVTが構成される。
移動させることができる。したがって、歯付きリング3の外周に切られた歯は入出力歯車2と常に噛みあった状態にある。歯付きリング3とプーリ部材4間のすきまが生じないようにプーリ部材4とアーム13を制御すれば、歯付きリング3が中心O1回りに移動する
ことにより、プーリ部材4との接触点が変化し、一定の入出力歯車2の回転数に対し、プーリ部材4の速度を連続的に変えることができる。このようにして、いわゆるCVTが構成される。
プーリ部材4を支持する入出力軸7を入力側とすると、歯付きリング3を押し込んだ状態が減速状態となる。伝達トルクが同じであれば、歯付きリング3を押し込んだときのプーリ部材4による挟みつけ力は大きくすべきで、逆に歯付きリング3とプーリ部材4との接触点大径側にあるときは小さくてもよい。挟み込み力によるプーリ部材4の曲げ応力を考えた場合、大径接触時の挟み込み力を軽減できる、プーリ部材4を入力とするこの方法が、出力とするよりもベターである。
図1に矢印で示す方向にプーリ部材4から回転力が入力されると、プーリ部材4から歯付きリング3に力Fが作用し、ほぼ同じ大きさの力が入出力歯車2から作用する。入出力歯車2からの反力が歯付きリング3をプーリ部材4間に押し込む方向に働くため、伝達トルクの増大に伴い自動的に接触力が大きくなる。
図4に示す実施の形態は、図1および図2に従って上に述べたトラクションドライブ式無段変速機のトラクションドライブ系に、歯車Z1,Z2とワンウエイクラッチOCを直列に接続した歯車伝達系を並列に付加したものである。ここで、ワンウエイクラッチOCは周知のように転がり軸受に似た構造で、内輪に対して外輪が一方向へは自由に回転するが、逆方向へは自由な回転を阻止して共回りするようにしたもので、種々のタイプが知られている。したがって、ワンウエイクラッチOCの具体的な構成としては、周知のもののなかから適宜選択して採用することができる。なお、ここでは歯車Z2にワンウエイクラッチOCを内蔵させた例を示したが、歯車Z1に内蔵させることもできる。
自動車の発進時のように高減速状態では、図6に示すように、Vプーリ4は歯付きリング3から離れているか、歯付きリング3を挟む力が小さくなっている。よって、トラクションドライブによるトルク伝達は行われない。一方、歯車Z2の内径に挿入したワンウエイクラッチOCは歯車Z1から歯車Z2へのトルクを伝達するが、逆向きにはフリーとなっている。よって、図6のような発進時には入力軸のトルクは歯車Z1→歯車Z2→ワンウエイクラッチOCの順に出力軸に伝えられる。
自動車が発進をした後は、減速比を小さくするように、図示していない手段によってVプーリ4の溝幅が狭められる。この状態を示すのが図5である。歯車Z1と歯車Z2の歯数で決まる減速比よりもトラクションドライブによる減速比が小さくなると、入力軸からのトルクはトラクションドライブによって伝達され、歯車Z2に組み込んだワンウエイクラッチOCは空転状態となる。
図1に示すトラクションドライブの伝達トルクは、Vプーリ4との接触半径と接触力とトラクション係数の掛け算で求められる。よって、高減速時(発進時)の伝達トルクが最も小さい。この発進時を歯車伝達に変えることはトラクションドライブ装置の伝達容量を大きくすることになる。自動車を発進させようとしている場合、トラクションドライブ部は大きな接触力が作用しながら回転はしていない状態である。この場合には、接触部に油膜の生成がなく、フレッティングと呼ばれる摩耗が生じる。自動車が発進を完了するまでは、歯車によるトルク伝達に切り替えることは、この摩耗防止に有効である。
1 ガイドローラ
1a 円板
2 出力歯車
3 歯付きリング
4 Vプーリ
4a,4b プーリ部材
5 接触部
6 出力軸
7 入力軸
8 ガイド面
9 溝幅調節機構
10 ケーシング
13 アーム
1a 円板
2 出力歯車
3 歯付きリング
4 Vプーリ
4a,4b プーリ部材
5 接触部
6 出力軸
7 入力軸
8 ガイド面
9 溝幅調節機構
10 ケーシング
13 アーム
Claims (4)
- 溝幅調整機構を持ったVプーリと、Vプーリの溝に挟まれてトラクション力を伝達する歯付きリングと、歯付きリングの歯とかみ合う出力歯車と、出力歯車の中心周りに歯付きリングを回転させるアーム機構とを有し、トラクションドライブによるトルク伝達経路と並列にワンウエイクラッチを介した歯車によるトルク伝達経路を持つことを特徴とするトラクションドライブ式無段変速装置。
- 前記Vプーリを入力軸に取り付け、前記出力歯車を出力軸に取り付け、前記歯車によるトルク伝達経路を、前記入力軸に固定した第一の歯車と、前記出力軸に固定した第二の歯車と、第一の歯車または第二の歯車に内蔵させたワンウエイクラッチとで構成したことを特徴とする請求項1のトラクションドライブ式無段変速装置。
- 前記歯車によるトルク伝達経路の減速比が前記トラクションドライブによるトルク伝達経路の最大減速比よりも大きいことを特徴とする請求項1または2のトラクションドライブ式無段変速装置。
- 自動車用のトラクションドライブ式無段変速装置であって、自動車の発進時は前記歯車によるトルク伝達経路を利用し、発進後は前記トラクションドライブによるトルク伝達経路を利用することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかのトラクションドライブ式無段変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004041673A JP2005233276A (ja) | 2004-02-18 | 2004-02-18 | トラクションドライブ式無段変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004041673A JP2005233276A (ja) | 2004-02-18 | 2004-02-18 | トラクションドライブ式無段変速機 |
Publications (1)
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JP2005233276A true JP2005233276A (ja) | 2005-09-02 |
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Family Applications (1)
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JP2004041673A Withdrawn JP2005233276A (ja) | 2004-02-18 | 2004-02-18 | トラクションドライブ式無段変速機 |
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JP (1) | JP2005233276A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011064887A1 (ja) | 2009-11-30 | 2011-06-03 | トヨタ車体 株式会社 | 表示装置及びそれを用いたメータ装置 |
-
2004
- 2004-02-18 JP JP2004041673A patent/JP2005233276A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011064887A1 (ja) | 2009-11-30 | 2011-06-03 | トヨタ車体 株式会社 | 表示装置及びそれを用いたメータ装置 |
US8783922B2 (en) | 2009-11-30 | 2014-07-22 | Toyota Shatai Kabushiki Kaisha | Display device and meter device using same |
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A621 | Written request for application examination |
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A761 | Written withdrawal of application |
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