JP2005232446A - 制振材料および制振金属板 - Google Patents

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Akio Sugimoto
明男 杉本
Hironobu Nakanishi
裕信 中西
Shigetoshi Araki
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Abstract

【課題】 制振性能に優れた制振材料および制振金属板を提供する。
【解決手段】 (1) 2種類以上の高分子材料を含有し、海島構造を有する制振材料であって、前記海島構造の海部を構成する高分子材料の損失係数 tanδM に比べて前記海島構造の島部を構成する高分子材料の損失係数 tanδI が大きく、かつ、前記海部を構成する高分子材料の弾性率に対する前記島部を構成する高分子材料の弾性率の比が0.1 〜2であることを特徴とする制振材料、(2) 前記制振材料において海部を構成する高分子材料中に気泡が存在するもの、(3) 前記制振材料において島部を構成する高分子材料のせん断弾性係数μI が5×105 〜4×109 Paであるもの、(4) 前記制振材料において島部を構成する高分子材料の損失係数 tanδI が0.1 〜10であるもの、(5) 前記制振材料が金属板に貼り付けられた制振構造を備える制振金属板等。
【選択図】 図1

Description

本発明は、制振材料および制振金属板に関する技術分野に属するものである。
鋼板やアルミ板あるいは工業プラスチックに代表される構造材料は、高い弾性係数を有しており、構造物に必要な剛性、強度を確保するために広く用いられている。反面、このような材料は、振動減衰性能が低く、特に自動車、鉄道の車体や住宅の屋根など、静粛性を要求される構造では、構造材料そのものの振動減衰性能不足が原因となる騒音を防止するために、制振材料を構造体表面に貼るなど、振動減衰性能の付与対策が行われている。
このような対策が行われた制振構造には、大別して2つのタイプがある。1つ目は、構造材料の表面に制振材を貼り、その上に構造材料と同じ材料の板もしくはこれに近い剛性を有する板を積層したものであり、制振材料がその上に設けられた板で伸び変形が拘束され、せん断変形しやすくなることから、拘束型と呼ばれている。制振材料の上に設ける板のことを、拘束板という。2つ目は、構造材料の表面に構造材料に出来るだけ近い弾性係数をもつ制振材料を貼るもので、1つ目のタイプと比較して、制振材料の伸び変形を拘束しないことから、非拘束型と呼ばれている。
なお、1つ目の拘束型制振材のタイプには、2枚の鋼板、アルミ板、ガラス、硬質樹脂などの弾性板の間に制振材をサンドイッチした製品があり、特に弾性板が鋼板やアルミ板などの場合には、塑性加工が可能なことから、そのままプレス成形して構造体として使用することもできる。2枚の鋼板で制振材をサンドイッチしたものは、制振鋼板として広く認知されている。
構造材料の表面に制振材料を貼り付けるためには、制振材料そのものに十分な接着力を備えさせるか、制振材料の表面に別途接着材を塗るなどの方法が採用されている。特に、制振鋼板などに代表されるように、金属などの弾性板の表面にあらかじめ制振材料を接着した材料をプレス成形して使用したい場合には、接着材または制振材料と弾性板との界面剥離強度、接着材そのものの強度、制振材料そのものの強度を高めておく必要がある。
また、当然ながら本来の目的である制振性能については、これを出来るだけ大きくさせておく必要があることはいうまでもない。制振材料の持つ制振作用は、そのガラス転移点温度において最大となることが知られており、使用する環境の温度に応じて、制振材料のガラス転移温度をその使用環境温度になるように調整しておくことが重要である。
しかし、使用環境温度によって制振材料の種類を変えることは適切ではない。そこで、これまでに数種類のガラス転移温度を持つ高分子材料をブレンドして、広い温度範囲で制振性能が大きくなるように調整したブレンド樹脂がある。例えば特許第2613502号公報には、分子量で10000 以上、比重で0.06〜0.15の差のある2種類以上のポリエステル樹脂をブレンドして、ミクロ相分離構造を形成させることにより、広い温度範囲での制振性能の向上と接着性の向上、成形加工性の向上が得られ、更に、硬化剤を混合して熱硬化系のポリエステルにすることにより、より接着力が向上して耐熱性の向上が得られることが示されている。
また、制振鋼板に代表される拘束型に適する制振材料の粘弾性特性については、例えば、特開平4−160249号公報には、弾性板の弾性係数(ヤング率)をEとした場合、弾性板に挟まれる制振材料のせん断弾性係数(ここでは、複素せん断弾性係数G=G1 +jG2 で表されている。尚jは虚数単位)は、10-6E≦(G1 、G2 )≦10-4Eかつ0.5 ≦G2 /G1 ≦3.0 という範囲が、全体の制振性能を増大させる適正範囲であることが明記されている。
実際、鋼板を弾性板として使用する場合には、E=2×1011Paとして、2×105 Pa≦(G1 、G2 )≦2×107 Paが、アルミ板を使用する場合には、E=7×1010Paとして、7×104 Pa≦(G1 、G2 )≦7×106 Paが制振材料の弾性係数の適正範囲であることが示されている。
特許第2613502号公報 特開平4−160249号公報
そこで、接着強度が確保された市販接着剤〔下記(1) 〜(7) 〕について、そのせん断弾性係数G1 と損失係数 tanδ(=G2 /G1 )を、周波数10Hz〜10kHz 、温度20〜80℃の範囲で調べ、この結果〔下記(1) 〜(7) 〕に基づき、例えば上述の弾性板としてアルミを使用した場合のせん断弾性係数適正範囲(7×104 ≦(G1 、G2 )≦7×106 Pa、かつ、0.5 ≦G2 /G1 (= tanδ)≦3.0 )と比較した。この結果、ほとんどの接着材が上述した適正範囲を満たしていないことがわかった。
(1) 主剤:エポキシ、硬化剤:ポリアミド
A type G1 =4×108 〜2×109 Pa tanδ=0.04〜0.4
B type G1 =1×108 〜8×108 Pa tanδ=0.1 〜0.8
(2) 主剤:エポキシ、硬化剤:変性シリコーン
1 =2×107 〜3×108 Pa tanδ=0.1 〜0.3
(3) 主剤:エポキシ48%+炭酸カルシウム45%、
硬化剤:変性シリコーン55%+炭酸カルシウム40%
1 =1×107 〜2×108 Pa tanδ=0.1 〜0.3
(4) 主剤及び硬化剤:変性アクリレート
1 =1×108 〜8×108 Pa tanδ=0.1 〜0.3
(5) ポリウレタン1液性
A type G1 =1×106 〜1×107 Pa tanδ=0.3 〜0.6
B type G1 =9×105 〜1×107 Pa tanδ=0.3 〜0.5
(6) ポリオレフィン系
1 =1×107 〜2×108 Pa tanδ=0.3 〜0.5
(7) クロロプレンゴム系
1 =5×105 〜1×106 Pa tanδ=0.1 〜0.2
また、前記特許第2613502号公報や、特開2003−221496号公報などに開示されているように、例えばポリエステル樹脂など特定の樹脂について、その構造や分子量を調整して、広い温度範囲での制振性能の向上と接着性の向上、成形加工性の向上が得られ、更に、硬化剤を混合して熱硬化系にすることにより、より接着力が向上して耐熱性の向上が得られるとされているが、例示された樹脂を含め、使用する高分子材料の弾性率や、これと混合する別の高分子材料の弾性率について具体的な数値の記載がない。
また、例示された樹脂以外の系では、どのような材料をどのような比率で混ぜ合わせれば、効果的に制振特性を向上できるのか、また、混合された材料の弾性係数が拘束型に適した数値になっているかどうかを示す設計指針など、具体的な樹脂の選定方法は何ら開示されておらず、不明のままであった。
本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、制振性能に優れた制振材料および制振金属板を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意研究を行なった結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば上記目的を達成することができる。
このようにして完成され上記目的を達成することができた本発明は、制振材料および制振金属板に係わり、特許請求の範囲の請求項1〜7記載の制振材料(第1〜7発明に係る制振材料)、請求項8記載の制振金属板(第8発明に係る制振金属板)であり、それは次のような構成としたものである。
すなわち、請求項1記載の制振材料は、少なくとも1種類の高分子材料を含有し、海島構造を有する制振材料であって、前記海島構造の海部を構成する高分子材料の損失係数 tanδM に比べて前記海島構造の島部を構成する高分子材料の損失係数 tanδI が大きく、かつ、前記海部を構成する高分子材料の弾性率に対する前記島部を構成する高分子材料の弾性率の比が0.1 〜2であることを特徴とする制振材料である〔第1発明〕。
請求項2記載の制振材料は、前記海部を構成する高分子材料中に気泡が存在することを特徴とする請求項1記載の制振材料である〔第2発明〕。
請求項3記載の制振材料は、前記島部を構成する高分子材料のせん断弾性係数μI が5×105 〜4×109 Paであることを特徴とする請求項1又は2記載の制振材料である〔第3発明〕。請求項4記載の制振材料は、前記島部を構成する高分子材料の損失係数 tanδI が0.1 〜10であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制振材料である〔第4発明〕。
請求項5記載の制振材料は、前記海部を構成する高分子材料のせん断弾性係数μM が5×106 〜2×109 Paであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の制振材料である〔第5発明〕。
請求項6記載の制振材料は、前記含有される高分子材料が2種類以上である請求項1〜5のいずれかに記載の制振材料である〔第6発明〕。請求項7記載の制振材料は、前記含有される高分子材料が1種類であって、この高分子材料が共重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の制振材料である〔第7発明〕。
請求項8記載の制振金属板は、請求項1〜7のいずれかに記載の制振材料が金属板に貼り付けられた制振構造を備える制振金属板である〔第8発明〕。
本発明に係る制振材料は制振性能に優れており、これによれば構造材等の制振性を向上することができるようになる。本発明に係る制振金属板は制振性に優れており、これによれば構造材等の制振性を向上することができるようになる。
本発明者らは、振動減衰性能の高い制振樹脂に接着強度を付与するのではなく、接着強度が確保された制振性の低い接着材に、振動減衰性能の高い制振材料を混合し、接着材を海にたとえると、制振材料が島状に浮かんだ海島構造を形成させることにより、接着強度の確保と制振性能の向上を両立させるという新たな考えに基づき、種々の検討を鋭意行った。この結果、このような海島構造を有するブレンド系制振材料において海状樹脂(海部を構成する高分子材料)の弾性率と島状樹脂(島部を構成する高分子材料)の弾性率との弾性率の比(なお、弾性率の比はせん断弾性係数の比及び剛性率の比に等しい)が0.1 〜2.0 であれば、ブレンド系制振材料の損失係数 tanδALL を著しく向上できることを見いだした。更に、この弾性率比が0.1 〜0.6 であることが望ましく、更には0.1 〜0.4 であることが望ましく、この場合には更に高水準の損失係数 tanδALL を確保できることを見いだした。
なお、上記弾性率比(せん断弾性係数の比、剛性率比)は、縦弾性係数の比と等しく、例えば弾性率比=1の場合、縦弾性係数の比=1である。
海島構造は、互いに非相溶な2種類以上の高分子材料を撹拌または混合し、一方の高分子を海に例えると他方の高分子が島状に相分離した構造を意味する。例えば、水と油を混ぜて撹拌すると、水中に油粒子が浮かんだ海島構造となるが、水の粘性が低いので、水中に浮かんだ油粒子は合体を繰り返し、やがて水と油の2層に分離してしまう。しかし、粘性が大きい高分子同士は、島状高分子同士がすぐに合体しないので、硬化剤添加や混合する高分子を共重合して得られる共重合体(コンパティビライザと呼ぶ)の添加などの方法により、海島構造を固定することができる。
すなわち、本発明における海島構造とは、非相溶な高分子からなる多成分系高分子材料において、一方の成分からなる連続相(海部:マトリクス相)中に、他の一方の成分が孤立した粒子状(島部:分散相)になって分散した2相構造をいう。
また、本発明における海部とは、前記海島構造を構成する相のうち、走査型または透過型電子顕微鏡(SEM, TEM)等で観察したときに、その断面全体に対する面積比率が高い相からなる連続層を意味し、島部とは、前記観察したときに面積比率が低い成分からなる分散層を意味する。
この、前記海島構造における、平均分散粒子径としては、数μm〜数百μmである。
また、2種類以上の単量体を共重合させたブロック共重合体あるいはグラフト共重合体は、単独でもオングストロームオーダ(例えば数10Å程度)の大きさを持つ島部分が形成されることが知られており、ミクロ相分離と呼ばれている。この場合、高分子材料としては1種類の場合である。本発明では、ミクロ相分離も含めて海島構造と呼ぶことにする。
更に、気泡を海状樹脂に分散させることにより、ブレンド系制振材料のせん断弾性係数μALL を調節して前述の粘弾性特性の適正範囲に設定することができるだけでなく、気泡により島状樹脂(島状制振材料)のせん断ひずみエネルギが増大して、ブレンド系制振材料の損失係数 tanδALL (制振性能)が増大することも見いだした。なお、本発明における制振材料には、高分子の他、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の高分子組成物に用いられる構成成分、例えば、各種フィラー、顔料、カップリング剤、レベリング剤及び粘度調整剤などと適宜有してもよい。
このような知見等に基づいて本発明は完成されたものであり、前述のような構成の制振材料、及び、制振材料が貼りつけられた金属板としている。
即ち、このようにして完成された本発明に係る制振材料は、少なくとも1種類の高分子材料を含有し、海島構造を有する制振材料であって、前記海島構造の海部を構成する高分子材料の損失係数 tanδM に比べて前記海島構造の島部を構成する高分子材料の損失係数 tanδI が大きく、かつ、前記海部を構成する高分子材料の弾性率に対する前記島部を構成する高分子材料の弾性率の比が0.1 〜2であることを特徴とする制振材料である〔第1発明〕。
この制振材料は、前記知見からわかるように、損失係数 tanδALL を著しく向上でき、このため制振性能に優れている。即ち、海島構造を有すると共に、該海島構造の海部を構成する高分子材料の損失係数 tanδM に比べて該海島構造の島部を構成する高分子材料の損失係数 tanδI が大きく、かつ、前記海部を構成する高分子材料の弾性率に対する前記島部を構成する高分子材料の弾性率の比が0.1 〜2であることにより、制振材料の損失係数 tanδALL を著しく向上でき、このため制振性能に優れている。
従って、本発明に係る制振材料は制振性能に優れており、これによれば構造材の制振性を向上することができるようになる。
なお、前記の海部を構成する高分子材料の弾性率に対する島部を構成する高分子材料の弾性率の比が0〜0.1 未満の場合、制振材料の損失係数 tanδALL の向上(増大)の程度が小さく、制振性能の向上効果が不充分であり、一方、この弾性率の比が2超の場合、制振材料の損失係数 tanδALL 向上の程度が小さく、制振性能の向上効果が不充分である。
本発明に係る制振材料において、海部を構成する高分子材料中に気泡が存在する場合、前記知見からわかるように、この気泡により制振材料のブレンド系制振材料のせん断弾性係数μALL を調節して前述の粘弾性特性の適正範囲に設定することができるだけでなく、この気泡により島部を構成する高分子材料のせん断ひずみエネルギを増大させて、制振材料のブレンド系制振材料の損失係数 tanδALL を更に向上することができ、このため、より制振性能を向上することができる〔第2発明〕。なお、上記気泡は、海部を構成する材料と島部を構成する材料を混合して制振材料を作った時点で既に存在するものに限定されず、制振材料を作った後に生成させた(あるいは生成した)気泡でもよい。つまり、上記気泡の存在の時期は限定されず、制振材料の製作時点もしくはそれ以降に気泡が存在すればよい。
本発明に係る制振材料において、島部を構成する高分子材料のせん断弾性係数μI が5×105 〜4×109 Paである場合、より確実に制振材料の損失係数 tanδALL を向上することができ、より高水準の制振性能を有することができる〔第3発明〕。
前記島部を構成する高分子材料の損失係数 tanδI が0.1 〜10である場合、より一層制振材料の損失係数 tanδALL を向上することができ、より高水準の制振性能を有することができる〔第4発明〕。
前記海部を構成する高分子材料のせん断弾性係数μM が5×106 〜2×109 Paである場合には、より高水準の接着強度を確保することができる〔第5発明〕。
本発明に係る制振金属板は、上記第1〜7発明に係る制振材料のいずれかが金属板に貼り付けられた制振構造である制振金属板であることとしている。この制振金属板は制振性に優れており、これによれば構造材等の制振性を向上することができる。〔第8発明〕。なお、前記制振金属板を構成する金属板としては、一般的に構造材として用いられるものであれば特に限定されず、具体的に言えば、例えばアルミ合金、鋼板、チタン板などが挙げられる。
なお、本発明において、損失係数 tanδとは、材料の振動減衰性能の大きさを表わす指標の一つであり、材料に作用する力FとひずみDの位相差δの正接(tan )で定義される。あるいは、力FとひずみDを複素表示することにより得られる複素弾性係数μc の実部μR に対する虚部μI の比(μI/μR )としても定義することができる。 tanδALL は海島構造を有する制振材料の損失係数、 tanδM は前記制振材料の海部分の損失係数、 tanδI は前記制振材料の島部分の損失係数である。
また、せん断弾性係数は、例えば次のような測定方法で測定することができる。
対象となる制振材料(海部を構成する高分子材料単体、島部を構成する高分子材料単体)で短冊状サンプルを作成し、コの字型の治具の内側に、サンプル、平板型治具、サンプルの順番で重ねて配置し、コの字型治具とサンプル、サンプルと平板状治具との間を密着させ固定する。次に、両治具のどちらか一方を固定し、他方をサンプルにせん断変形が生じるように振動させ、その時の、力Fと変位Dの時間波形とその位相差δを計測することで、動的複素せん断弾性係数μc を以下の式により求めることができる。すなわち、μc =μ(1+jtanδ)の式
〔ただし、この式中、μ=(2×T/LW)×A/B・cos δであり、Tは短冊状サンプルの厚み、Lは短冊状サンプル長さ及びWは短冊状サンプルの幅を示し、Aは応力Fの振幅、Bは歪みDの振幅、j は虚数単位を示すものである。〕
により動的複素せん断弾性係数μc を求めることができる。
さらに、 tanδ(ηとも表記される)は、上記動的複素せん断弾性係数μc から求めることができ、動的複素せん断弾性係数μc の実部μR に対する虚部μI の比、tanδ=μI /μR として求められる。
本発明の実施例および比較例について、以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
〔例1〕
様々の接着強度の高い樹脂と損失係数の大きな樹脂のせん断弾性係数と損失係数〔複素せん断弾性係数μc =μ(1+jtanδ)と表わす〕を調査し、これら樹脂を混ぜ合わせて海島構造を形成したブレンド系制振材料を製作し、これらの制振材料の複素せん断弾性係数μc ALL =μALL (1+jtanδALL )を求めた。ここで、j は虚数単位である。
この中、損失係数 tanδALL を求めた結果の一例を図1〜2に示す。縦軸は島状樹脂(海島構造の島部を構成する高分子材料)の損失係数(tanδI )、横軸は海状樹脂(海島構造の海部を構成する高分子材料)のせん断弾性係数μM (図では剛性率と記載)に対する島状樹脂のせん断弾性係数μI の比μI /μM (弾性率比及び剛性率比と同じ)である。図中の曲線は、制振材料の損失係数 tanδALL の等高線であり、同一線上においては制振材料の損失係数 tanδALL の値が等しい。この各等高線に付した数字は、制振材料の損失係数 tanδALL の値を示すものである。例えば、0.5 という数字を付した等高線は、この線上においては制振材料の損失係数 tanδALL が0.5 であることを示している(以下、同様)。
図1は、損失係数 tanδが0.1 の海状樹脂に島状樹脂を体積含有率で50%混合した場合の結果である。図2は、損失係数 tanδが0.1 の海状樹脂に島状樹脂を体積含有率で30%混合した場合の結果である。なお、これらの島状樹脂の体積含有率は、海島構造を有する制振材料の占める全体積に対する島状樹脂の占める体積の割合(百分率)である。ここで、2種類以上の高分子(高分子鎖)から構成されるブロック共重合体では、Åオーダの島状ドメインを有するミクロ相分離が生じることが知られており、島状ドメインの全体積に占める割合も含めて広義の体積含有率と呼ぶこととする。
図1から、制振材料の損失係数 tanδALL が0.5 以上となるのは、海状樹脂に対する島状樹脂の剛性率比μI /μM が0.1 〜2.0 の範囲であることがわかる。更に、制振材料の損失係数 tanδALL が1.0 以上となるのは、海状樹脂に対する島状樹脂の剛性率比μI /μM が0.1 〜0.4 の範囲であることがわかる。
図2から、制振材料の損失係数 tanδALL が0.5 以上となるのは、海状樹脂に対する島状樹脂の剛性率比μI /μM が0.1 〜0.6 の範囲であることがわかる。
上記調査の結果(図1〜2の結果を含む)から、海状樹脂に対する島状樹脂の剛性率比μI /μM が0.1 〜2.0 の場合、制振材料の損失係数 tanδALL を著しく向上でき、更に、この剛性率比が0.1 〜0.6 であれば、より確実に制振材料の損失係数 tanδALL を向上できることが確認された。更には、この剛性率比が0.1 〜0.4 であれば、より確実に制振材料の損失係数 tanδALL を向上できることも確認された。
〔例2〕
前記例1の場合と同様の方法により海島構造を形成したブレンド系制振材料を製作し、同様の測定および調査を行った。ただし、一部のものについては、海状樹脂に気泡を生成させた。
この結果の一例を図3〜4に示す。縦軸、横軸は前記図1〜2の場合と同様のものを示すものである。図中の線は、前記図1〜2の場合と同様、制振材料の損失係数 tanδALL の等高線である。図3は、損失係数 tanδM が0.5 の海状樹脂に島状樹脂を体積含有率で30%混合した場合の結果である。図4は、損失係数 tanδM が0.5 の海状樹脂に島状樹脂を体積含有率で30%混合し、更に前記海状樹脂に気泡を体積含有率で30%生成させた場合の結果である。
図3〜4からわかるように、図3の場合には、島状樹脂の損失係数 tanδI を5.5 まで増加させても、制振材料の損失係数 tanδALL を1.0 まで増大させることはできないが、図4の場合には、海状樹脂に気泡を30%生成することにより、島状樹脂の損失係数 tanδI が3.5 程度の島状樹脂を体積含有率で30%混合すれば制振材料の損失係数 tanδALL を1.0 まで増大させることができる。
上記のような気泡は、海状樹脂と島状樹脂を混合する前に、気体を内部に含むカプセル状の粒子を海状樹脂に混合しておき、この海状樹脂と島状樹脂を混合して制振材料を製作することにより、生成するものでもよい。
また、加熱することにより気化して気泡を形成する発泡剤を、海状樹脂に予め混合させておき、制振材料を製作した後、この制振材料を制振構造として使用する前に、例えば制振材料を金属板に貼り付けた後で製品として使用する前、または、制振材料を金属板に貼り付けて、成形加工した後で製品として使用する前に、加熱して気泡を生成させる方法によるものでもよい。この方法によれば、加熱前の気泡が形成されていない状態で、海状樹脂の弾性係数を高く設定でき、成形加工時に海状樹脂内部の気泡周辺に発生する応力集中も防止できるので、結果的に接着強度を高めることができる。そして、製品として使用する前に加熱して気泡を生成させ、これにより制振材料の弾性係数を前述の適正範囲に設定できると共に損失係数 tanδALL を更に向上させることができる。即ち、製品としての使用前においては成形加工性および接着強度に優れ、製品として使用時においては制振性能に優れたものとすることができるという利点がある。
このように、海状樹脂中に気泡を形成させることにより、海状樹脂に用いる高分子材料の選択範囲を広げることができ、更に、接着強度の向上も図ることができる。
本発明に係る制振材料は制振性能に優れており、これによれば構造材の制振性を向上することができるので、構造材料の振動減衰性能不足に起因する騒音の低減等のために振動減衰性能の付与が要望される構造材料に好適に用いることができる。
制振材料(損失係数 tanδM :0.1 の海状樹脂に島状樹脂を体積含有率で50%混合したもの)の損失係数 tanδALL の測定結果を示す図であって、横軸は剛性率比μI /μM 、縦軸は島状樹脂の tanδI であり、図中の曲線は制振材料の損失係数 tanδALL の等高線を示すものである。 制振材料(損失係数 tanδM が0.1 の海状樹脂に島状樹脂を体積含有率で30%混合したもの)の損失係数 tanδALL の測定結果を示す図であって、横軸は剛性率比μI /μM 、縦軸は島状樹脂の tanδI であり、図中の曲線は制振材料の損失係数 tanδALL の等高線を示すものである。 制振材料(損失係数 tanδM が0.5 の海状樹脂に島状樹脂を体積含有率で30%混合したもの)の損失係数 tanδALL の測定結果を示す図であって、横軸は剛性率比μI /μM 、縦軸は島状樹脂の tanδI であり、図中の曲線は制振材料の損失係数 tanδALL の等高線を示すものである。 制振材料(損失係数 tanδM が0.5 の海状樹脂に島状樹脂を体積含有率で30%混合し、さらに海状樹脂に気泡を30%生成させたもの)の損失係数 tanδALL の測定結果を示す図であって、横軸は剛性率比μI /μM 、縦軸は島状樹脂の tanδI であり、図中の曲線は制振材料の損失係数 tanδALL の等高線を示すものである。

Claims (8)

  1. 少なくとも1種類の高分子材料を含有し、海島構造を有する制振材料であって、前記海島構造の海部を構成する高分子材料の損失係数 tanδM に比べて前記海島構造の島部を構成する高分子材料の損失係数 tanδI が大きく、かつ、前記海部を構成する高分子材料の弾性率に対する前記島部を構成する高分子材料の弾性率の比が0.1 〜2であることを特徴とする制振材料。
  2. 前記海部を構成する高分子材料中に気泡が存在することを特徴とする請求項1記載の制振材料。
  3. 前記島部を構成する高分子材料のせん断弾性係数μI が5×105 〜4×109 Paであることを特徴とする請求項1または2記載の制振材料。
  4. 前記島部を構成する高分子材料の損失係数 tanδI が0.1 〜10であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制振材料。
  5. 前記海部を構成する高分子材料のせん断弾性係数μM が5×106 〜2×109 Paであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の制振材料。
  6. 前記含有される高分子材料が2種類以上である請求項1〜5のいずれかに記載の制振材料。
  7. 前記含有される高分子材料が1種類であって、この高分子材料が共重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の制振材料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の制振材料が金属板に貼り付けられた制振構造を備える制振金属板。
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