JP2005232277A - ポリウレタン水性分散系、その製造方法および用途 - Google Patents

ポリウレタン水性分散系、その製造方法および用途 Download PDF

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Abstract

【課題】 良好な分散状態と機械物性のバランスに優れ、しかも低臭気性、耐水性に優れたポリウレタン水性分散系、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のポリウレタン水性分散系は、ポリウレタン及び親水性基を有するポリマー(該ポリマーがポリウレタンの場合は、親水性基を有さないポリウレタンは使用しなくても良い。)からなり、ウレア基の含有量が0.3mmol/g以下であり、かつ、示差走査熱量分析法によって測定した融解熱量が30mJ/mg以下であるポリマー混合物を水に分散してなるとともに、有機溶剤の含有量が1000ppm以下であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリウレタン水性分散系及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、有機溶剤含有量が1000ppm以下であり、ポリウレタン及び親水性基を有するポリマーからなるポリマー混合物中に含まれるウレア基が0.3mmol/g以下であるポリウレタン水性分散系、及びその製造方法に関するものである。
水性分散系は塗料、接着剤、バインダーあるいはコーティング剤分野等に使用されている。これら水性分散系は、環境保全、省資源、安全性等の観点からますます重要性を増している。なかでも、ポリウレタン水性分散系は、その優れた耐久性、耐薬品性、耐磨耗性等の性能から、高機能水性分散系として使用されており、今後も成長するものと考えられる。
これらポリウレタン水性分散系の製造方法としては、有機溶剤中で鎖伸長を行ったポリウレタン溶液に水を加えて転相乳化し、有機溶剤を蒸留除去する溶液法が知られており、特許文献1では押出機を用いて水性分散系を得る方法が開示されている。これらの方法は、有機溶剤を使用するため、有機溶剤を除去する工程が煩雑で、経済性にも問題があり、また、得られるポリウレタン水性分散系から完全に有機溶剤を取り除くのは難しく、有機溶剤による環境汚染の問題、安全性の問題、臭気の問題等がある。特許文献1では、有機溶剤を使用してポリエステル水性分散系を得る方法が開示されているだけである。
また、水分散性を持つイソシアネート基末端プレポリマーを合成し、アミン等で中和後、水中へ分散させ、ジアミン等で鎖伸長するプレポリマーミキシング法が知られている(特許文献2参照)。このプレポリマーミキシング法では、ジアミンまたは水による鎖伸長反応に由来したウレア基の存在により、水性分散系を皮膜形成させて得られるフィルムの耐水性が低下するという問題がある。
有機溶剤を使用しない方法としては、二軸押出機を用いてポリエステル及びスルホン酸塩の基を含有するポリエステルを溶融混練し水を添加して水性分散系に転相する方法が知られている(特許文献3参照)。しかし、この方法をポリウレタンに適用しても良好な分散状態と本発明者らが目的とする物性を満足するような水性分散系は得られないという問題があった。
特開平10−139884号公報 特開2003−138021号公報 国際公開01/002490号パンフレット
本発明の課題は、良好な分散状態と機械物性のバランスに優れ、しかも低臭気性、耐水性に優れたポリウレタン水性分散系、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、機械的分散方法により、ポリウレタン、及び親水性基を有するポリマーからなる示差走査熱量分析法によって測定した融解熱量が30mJ/mg以下であるポリマー混合物を水に分散させたものが優れた性能を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ポリウレタン及び親水性基を有するポリマー(該ポリマーがポリウレタンの場合は、親水性基を有さないポリウレタンは使用しなくても良い。)からなる示差走査熱量分析法によって測定した融解熱量が30mJ/mg以下であるポリマー混合物を水に分散してなり、有機溶剤の含有量が1000ppm以下で、ポリマー混合物中に含まれるウレア基が0.3mmol/g以下であることを特徴とするポリウレタン水性分散系(disperse system)である。
また本発明は、ポリウレタンおよび親水性基を有するポリマー(該ポリマーがポリウレタンの場合は、親水性基を有さないポリウレタンは使用しなくても良い。)からなる示差走査熱量分析法によって測定した融解熱量が30mJ/mg以下であるポリマー混合物を、有機溶剤の非存在下に押出機中で水と溶融混合して水性分散系を得ることを特徴とするポリウレタン水性分散系の製造方法に関する。
さらに、前記水性分散系から分散媒を除去して得られる粒子であり、前記水性分散系または粒子を皮膜形成させて得られるフィルムに関する。
本発明のポリウレタン水性分散系は、良好な分散状態と機械物性のバランスに優れたものである。また、ポリウレタン水性分散系は、有機溶剤含有量が1000ppm以下であるため、低臭気性に優れ、作業環境、環境汚染などの観点からも良好なものである。また、ポリウレタン水性分散系は、ポリマー混合物中に含まれるウレア基の含有量(濃度)が0.3mmol/g以下であることから、該ポリウレタン水性分散系から得られるフィルムは、耐水性に優れている。従って、本発明のポリウレタン水性分散系は、塗料、接着剤、バインダーあるいはコーティング剤分野等、広範な分野に好適に使用することができる。
以下に、本発明のポリウレタン水性分散系及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明においてまず肝要なのは、ポリウレタン水性分散系のポリウレタン及び親水性基を有するポリマー(該ポリマーがポリウレタンの場合は、親水性基を有さないポリウレタンは使用しなくても良い)からなるポリマー混合物中に含まれるウレア基が0.3mmol/g以下であることである。例えば、ポリウレタンプレポリマーを有機溶媒を含む水に分散し、さらにジアミンなどで高分子量化した分散系では、ウレア基の生成により、当該分散系を皮膜化したときの耐水性が劣るため、その限界的量が0.3mmol/g以下であることを意味する。好ましくは0.15mmol/g以下、更に好ましくは0.08mmol/g以下である。
また、本発明において肝要なのは、水性分散系の有機溶剤含有量が1000ppm以下であることである。これは、有機溶媒に溶解したポリウレタン溶液を水に分散したものから溶媒を除去するというような方法では不可避的に残存する有機溶媒などが分散系の臭気や安定性に悪影響を与え、その限界量が1000ppm以下であることを意味する。好ましくは800ppm以下、更に好ましくは500ppm以下である。特に好ましくは分散系を製造するに際し全く有機溶剤を使用せずに、残存する有機溶媒が実質的に存在しないことである。
更に、本発明において肝要なのは、ポリウレタン及び親水性基を有するポリマーからなるポリマー混合物を水に分散することであり、特に、該ポリマー混合物として示差走査熱量測定法による融解熱量が30mJ/mg以下のものを用いることである。これは、ポリウレタンの水性分散系を製造する際、原料として単に熱可塑性のポリウレタンを用いても良好な分散系を得ることはできず、ポリウレタンを含む上記ポリマー混合物の示差走査熱量測定法による融解熱量が30mJ/mg以下のものを用いた時に初めて良好な水性分散系が得られることを意味する。好ましくは、25mJ/mg以下であり、さらに好ましくは20mJ/mg以下である。
本発明において、ポリマー混合物とは、ポリウレタン及び親水性基を有するポリマーからなるものであり、該ポリマーがポリウレタンの場合は、親水性基を有さないポリウレタンは使用しなくても良い。
ポリマー混合物中の親水性基の濃度は0.05mmol/g以上が好ましい。更に好ましくは0.07mmol/g以上であり、最も好ましくは0.09mmol/g以上である。ポリウレタン水性分散系から分散媒を除去して得られる粒子、又は該粒子を皮膜形成させて得られるフィルムの耐水性を考慮した場合、その上限値は2mmol/g程度である。好ましくは1.5mmol/g程度であり、さらに好ましくは、1mmol/g程度である。例えば、スルホン酸、またはその塩が親水性基である場合、ポリマー混合物1g当たり−SO3−基換算で0.05〜2mmol/gの濃度を含有することが好ましく、さらに好ましくは0.05〜1mmol/gである。これらの範囲にあれば、ポリウレタン水性分散系の分散安定性が良く、また該ポリウレタン水性分散系から得られる微粒子や皮膜、フィルムの耐水性、耐湿熱性等が優れる。
ポリウレタンとポリマーの総量に対するポリウレタンの割合は、50質量%以上が好ましく、更には60質量%以上が好ましく、最も好ましくは70質量%以上である。これらの範囲にあれば、ポリウレタン水性分散系の分散安定性が良く、また該ポリウレタン水性分散系から得られる微粒子や皮膜、フィルムの機械物性等が優れる。
本発明において親水性基を有するポリマーとは、熱可塑性の樹脂であり、疎水性の骨格と親水性基を有することが必要である。
なお、本発明において、親水性基とは、親水性基又は分散時に親水性基に変化可能な官能基を意味し、親水性基を有するとは、親水性基及び/又は分散時に親水性基に変化可能な官能基を有することを意味する。
疎水性の骨格としては、熱可塑性の樹脂であれば特に制限はないが、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸またはそのエステルを共重合、あるいはグラフトしたものなどが挙げられる。なかでもポリウレタンとの相溶性の観点から、ポリウレタン、ポリエステル、及びポリアミド等が好ましい。これらは単独、あるいは2種以上併用してもよい。
親水性基としては、水に対して親和性がある基、または水に分散時に水と接触するなどして親水性の基に変化する官能基である。具体的には、親水性基(水に対して親和性がある基)としては、スルホン酸、カルボン酸、燐酸、スルホベタイン基、水酸基、ポリオキシエチレン基などである。分散時に親水性基に変化可能な官能基としてはこれらの塩、加水分解性のケチミン基、オキサゾリジン基、特開平10−25406号公報に記載の潜在化カルボキシル化合物などが例示される。なかでも水酸基、ポリオキシエチレン基、カルボン酸、スルホン酸、またはそれらの塩が好ましい。これらの官能基のなかで、特に好ましいのはスルホン酸、及びその塩である。
本発明においてポリウレタンとしては、ウレア基の濃度が、0.60mmol/g以下である熱可塑性のものであれば使用可能であり、ウレア基濃度の好ましい範囲として0.30mmol/g以下、更に好ましくは0.15mmol/g以下である。
このようなポリウレタンの製造方法としては、公知の方法が採用でき、ポリイソシアネート、ポリオール及び鎖延長剤を触媒の存在下あるいは非存在下に反応せしめることで製造できる。そのような例としては、岩田敬治編「ポリウレタン樹脂ハンドブック」第1刷日刊工業新聞社(1987)には種々のポリウレタンの製造方法が開示されており、これらを参照すれば種々の態様を実施できるが、上記のようなウレア基濃度を持つポリウレタンを製造するに当たっては、ポリオール及び/又は鎖延長剤に使用するアミノ基の濃度を調整することが必要である。また、イソシアネート基と、イソシアネート基と反応する活性水素化合物のモル比(NCO/OH)が高いと、残存したイソシアネート基の一部が水分あるいは湿気と反応し、ウレア基を生成する。従って、ポリウレタンの製造に使用するアミノ基及び/又は、残存するイソシアネート基の濃度が、0.60mmol/g以下、好ましくは0.3mmol/g以下、さらに好ましくは0.15mmol/g以下とすることで、本発明の好ましいウレア基濃度を持つポリウレタンを得ることができる。また、このポリウレタンと親水性基を有するポリマーを前述の範囲で使用することにより、ポリマー混合物のウレア基濃度を0.3mmol/g以下とすることができる。
成分の一つであるポリイソシアネートは上記文献の第71〜98頁などに示されているが、本発明に利用する最も好ましい、具体例としては、トリレンジイソシアネート(異性体の各種混合物を含む)(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(異性体の各種混合物を含む)(以下、MDIと略する)、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、水素化キシレンジイソシアネート(水添XDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)が挙げられる。これらは、単独または2種以上を混合して用いることができる。
また、ポリオールとしては、上記文献の99〜117頁などに種々の活性水素化合物が開示されており、本発明に好適なポリオールとしては、主に酸成分単量体とアルコール成分単量体の重縮合体であるポリエステルポリオール、ε−ポリカプロラクトンなどの環状エステル化合物の開環重合により得られるポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールがあり、また、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの多価アルコールとジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどとの縮合反応より得られるポリカーボネートジオールなどが挙げられ、その具体的例が種々開示されている。これらの開示されたポリオールが単独または2種以上を併用することができる。
また、鎖延長剤としては、HENRI ULRICH著「CHEMISTRY AND TECHNOLOGY OF ISOCYANATES」(JOHN WILEY & SONS,Inc.,)の399〜406頁などに種々の鎖延長剤が開示されている。なかでも2価アルコールが好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール、NPG)、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,3−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンがより好ましい。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
親水性基を有するポリマーとして親水性基を有するポリウレタンを使用する場合は、前述したような親水性基を有するポリウレタンが用いられる。ポリウレタンに親水性基を導入する方法については特に制限はないが、使用するポリオール及び/又は鎖延長剤の一部または全部を親水性基を有するものとすることでポリウレタンに親水性基を導入する方法が挙げられる。該ポリオール及び/又は鎖延長剤としては、親水性基を有する活性水素化合物を用いて製造したポリエーテルポリオール等のポリオールが例示できる。該活性水素化合物としては、1つの親水性基を有し、かつ、2つ以上の活性水素基を有する化合物が好ましく用いられ、より具体的には、スルホン酸基あるいはカルボン酸基などの親水性基を有する活性水素化合物である。
例えば、カルボン酸基を有する活性水素化合物としては、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸(以下、DMPAと略する)、2,2−ジメチロールブタン酸(以下、DMBAと略する)、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのジヒドロキシルカルボン酸、例えば、リジン、アルギニンなどのジアミノカルボン酸、またこれらの金属塩類やアンモニウム塩類などが挙げられる。好ましくは、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸(DMBA)が用いられる。
また、スルホン酸基を有する活性水素化合物として、例えば、エポキシ基含有化合物と酸性亜硫酸塩との合成反応で得られるものが挙げられ、ジヒドロキシブタンスルホン酸、ジヒドロキシプロパンスルホン酸が好適に使用される。また、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノブタンスルホン酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、ジアミノブタンスルホン酸、ジアミノプロパンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、2,4−ジアミノ−5−トルエンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノブタンスルホン酸、またこれらスルホン酸の金属塩類やアンモニウム塩類などが挙げられる。
また、水酸基を持つ活性水素化合物としては、N−(2−アミノエチル)エタノールアミンを挙げることができる。
これら親水性基を有する活性水素化合物は、単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。
さらに、ポリウレタンに親水性基を導入する方法として、親水性基を有する単量体を用いて製造した親水性基を有するポリオールを用いることでポリウレタンに親水性基を導入する方法が例示できる。
該親水性基を有するポリオールとしては、例えば、親水性基を有する酸成分とポリオールを反応させたポリエステルポリオールが例示できる。ポリエステルポリオールに導入する方法において、親水性基を有する酸成分としてはスルホン酸含有酸成分単量体が好ましく用いられ、例えば、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5−(p−スルホフェノキシ)イソフタル酸、5−(スルホプロポキシ)イソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホプロピルマロン酸、スルホコハク酸、2−スルホ安息香酸、2,3−スルホ安息香酸、5−スルホサリチル酸及びこれらカルボン酸のメチルエステル類、またこれらスルホン酸の金属塩類やアンモニウム塩類などが用いられ、中でも5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩、または5−スルホイソフタル酸ジメチルのナトリウム塩が好適に使用される。これらと反応させるポリオールとしては、特に制限はないが、例えば、前述の鎖延長剤として例示したような2価アルコールが挙げられ、更にポリテトラメチレンエーテルグリコール、これから得られるポリエステルエーテルポリオールなども用いることができる。
さらに酸成分と親水性基を有するポリオールを反応させたポリエステルポリオールが例示できる。親水性基を有するポリオールとしては、スルホン酸含有アルコール成分単量体が好ましく用いられ、例えば、先にスルホン酸基を有する活性水素化合物として例示したエポキシ基含有化合物と酸性亜硫酸塩との合成反応で得られるものが挙げられ、ジヒドロキシブタンスルホン酸、ジヒドロキシプロパンスルホン酸、及び/又はこれらの塩が好適に使用される。
また、カルボン酸基、スルホン酸基等の親水性基を有するジオールにカプロラクトン等を開環重合させた親水性基を有するポリエステルポリオールが挙げられる。親水性基を有するジオールとしては、前述したジヒドロキシカルボン酸、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸(DMBA)、またジヒドロキシスルホン酸、例えばジヒドロキシブタンスルホン酸、ジヒドロキシプロパンスルホン酸、及び/又はこれらの塩が好適に使用される。
これらの活性水素化合物または単量体を用いてポリオールを製造する方法についても特に制限はなく上記文献岩田敬治編「ポリウレタン樹脂ハンドブック」第1刷日刊工業新聞社(1987)第99〜第117頁などに開示された種々の公知の方法が採用できる。そうして得られたポリオールとポリイソシアネートなどとを反応させることで親水性基を有するポリウレタンとすることができる。ポリイソシアネートに代えてポリカルボン酸を用いることで親水性基を有するポリエステルとすることができる。このような方法で親水性基を有するポリマーを製造することができる。
本発明においては、ポリウレタン及び親水性基を有するポリマーからなるポリマー混合物の示差走査熱量測定法による融解熱量を30mJ/mg以下とすることが必要である。ポリマー混合物の融解熱量を制御する方法としては、例えば、ポリウレタンの融解熱量の制御方法として、ポリイソシアネートと、ポリイソシアネートと反応しうる鎖延長剤の反応成分の和が、ポリウレタン全体に対する質量濃度を所望の融解熱量を示すポリウレタンとなるように調整する方法、同一組成であっても、より高温、例えば190℃以上の重合反応を行う方法、又はあらかじめポリイソシアネートとポリオールを反応させプレポリマーとしたのち、鎖延長剤と反応させる方法などが挙げられる。親水性基を有するポリマーとしては、結晶性成分を低減することで融解熱量を低減することができる。
本発明における融解熱量の測定は、以下の方法によって行われる。
ポリマー混合物の融解熱量は示差走査熱量計(例えば、セイコー電子工業株式会社製、商品名:SSC5200Hディスクステーション、及びDSC220C)を使用して測定した。ポリマー混合物を約8mgになるように、薄く切断してアルミ製パンにできるだけ密着して入るようなフィルム状の切片を切り出す。これをアルミ製パンに採取し、カバーを被せクリンプしたものをサンプルとする。同様にアルミナを採取したものをリファレンスとする。サンプル及びリファレンスをセル内の所定位置にセットした後、流量40Nml/minの窒素気流下で、サンプルを20℃/minの速度で−70℃まで冷却し、5分間保持し、その後、10℃/minの速度で300℃まで昇温してDSC曲線の測定を行い、この間に現れる吸熱ピークから融解熱量を求める。
融解熱量の算出は、JIS K7122(プラスチックの転移熱測定方法)に準拠して、例えばSSC5200Hディスクステーションにより行う。尚、ポリマー混合物の調製は、混合方法としては、例えばポリマーをあらかじめ200℃に調整したラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製、商品名:ラボプラストミル4C150−01)に総量が90gとなるように装入し、回転数100rpmにて5分間混練するか、180〜210℃の間で二軸押出機、単軸押出機、ニーダー等の溶融混練が可能な装置を用いる等して同等の混合条件で行う方法が挙げられ、取り出したポリマー混合物を温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿の状態で24時間保持することにより行う。
以下に、分散方法を示すことで本発明をさらに詳しく説明する。ポリウレタン水性分散系の製造方法については、水性分散系の有機溶剤の含有量が1000ppm以下となるようにポリウレタン及び親水性基を有するポリマーからなるポリマー混合物を水に分散することができれば特に制限はないが、有機溶媒を全く使用することなく分散系とするためには、熱可塑性ポリマーおよびポリウレタンが可塑化する温度以上に昇温できしかも機械的に充分に混合できるという点から、押出機が好ましい。特に、溶融混合と転相を行える二軸押出機が好ましく利用できる。更に、溶融混合、転相を連続的に行うという観点から、押出機のミキシングゾーンに水をポンプで圧入できる工夫をした装置が好ましく利用できる。
押出機の温度としては、ポリマーの溶融温度によってその好ましい範囲は異なるが、通常80℃〜300℃であり、90℃〜280℃であるのが好ましく、より好ましくは100℃〜260℃である。
ここで、分散に際しポリマーに対する水の割合としては、樹脂1質量部に対し、0.01〜60質量部、好ましくは、0.01〜50質量部、好ましくは、0.02〜20質量部である。なお、溶融混合に際しては、水の使用量としては0.02〜1質量部程度として水にポリマー混合物が分散したものを作った後、さらに水を追加して所望の濃度の水性分散系とするのが効率的である。
前述のように、示差走査熱量測定法による融解熱量が30mJ/mg以下であるポリマー混合物を用いることが極めて重要であり、このことにより良好な分散状態と機械物性のバランスに優れたポリウレタン水性分散系を得ることができる。
操作の詳細については公知であり、例えば前述の特許文献3に詳細が開示されている。
なお、親水性基としてアニオン性基を用いる場合は、水として塩基性水溶液を使用すると分散系の分散安定性の点で好ましい。塩基性水溶液としては、水中で塩基として作用する物質を溶解させた水を用いれば良く、塩基としては、例えば、前述の特許文献2に記載された物質を用いることができる。塩基性水溶液の塩基成分量としては、アニオン性基が塩を形成するように添加することが好ましく、アニオン性基1当量当り、0.3〜3当量、好ましくは0.4〜2.5当量、更に好ましくは0.4〜2当量である。
また本発明のポリウレタン水性分散系及びその製造方法においては、通常水性分散系に使用することのできる各種副資材、例えば分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤などを併用してもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリマーを含有するものであってもよい。
また、本発明のポリウレタン水性分散系から得られる粒子は、当該分散系から分散媒を除去することにより得られる。
この分散媒除去の方法としては、例えば、スプレードライヤーによる方法、分散粒子を凍結凝固により沈殿させた後、分散系を溶解し、ろ過あるいは遠心分離により分散媒を除去する方法などが挙げられる。
また、この粒子は、個数平均粒子径(Dn)が60〜700000nmの範囲であり、分散媒除去条件により所望の粒子径とすることができる。
また、本発明のポリウレタン水性分散系より得られるフィルムは、当該分散系および/または前記粒子を皮膜形成して得られる。
当該分散系を用いたフィルムを得るための塗布方法としては、例えば、各種基材への浸漬塗工、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、スプレーコーター等を用いた塗工、刷毛塗りなどが挙げられる。前記粒子を使用する場合は、例えば、熱プレスを用いた方法、パウダースラッシュ成形などが挙げられる。皮膜形成のための加熱条件としては、例えば、室温乾燥、あるいは50〜200℃の範囲で加熱することもできる。これらの温度範囲で5秒〜2時間保持することで皮膜形成が可能である。このようにして得られるフィルムは、本発明者らの所望する優れた耐水性を示す。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限られるものではない。尚、実施例及び比較例における「部」、「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
以下に本発明で用いた分析方法および物性測定方法を記す。
<−SO3−濃度(mmol/g)>
ポリウレタン及び親水性基を有するポリマーを0.2g精秤し、DMFにて50倍希釈した。これを偏光光学系エネルギー分散型蛍光X線分析装置(XEPOS:Spectro社製)を用いて測定を行った。あらかじめ作成しておいた検量線からS元素濃度を算出した。これを精秤したサンプル1g当たりに換算することで−SO3−濃度を算出した。
<分散性>得られたポリウレタン水性分散系を100メッシュ金網を通し、100メッシュ金網上に未分散樹脂などが認められなかったものを○、未分散物が残ったものを×とした。
<粒子径(nm)>ベックマン・コールター社製LS−230を使用して測定した。体積平均粒子径(Dw),個数平均粒子径(Dn)の比、Dw/Dnを粒子径分布の指標とした。
<融解熱量:ΔH(mJ/mg)>ポリウレタン及び親水性基を有するポリマーをあらかじめ200℃に調整したラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製、商品名:ラボプラストミル4C150−01)に総量が90gとなるように装入し、回転数100rpmにて5分間混練した。取り出したポリマー混合物を温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿の状態で24時間保持した。このポリマー混合物の融解熱量を示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、商品名:SSC5200Hディスクステーション、及びDSC220C)を使用して測定した。製造したポリマー混合物を約8mgになるように、薄く切断してアルミ製パンにできるだけ密着して入るようなフィルム状の切片を切り出した。これをアルミ製パンに採取し、カバーを被せクリンプしたものをサンプルとした。同様にアルミナを採取したものをリファレンスとした。サンプル及びリファレンスをセル内の所定位置にセットした後、流量40Nml/minの窒素気流下で、サンプルを20℃/minの速度で−70℃まで冷却し、5分間保持し、その後、10℃/minの速度で300℃まで昇温してDSC曲線の測定を行い、この間に現れる吸熱ピークから融解熱量を求めた。融解熱量の算出は、JIS K7122(プラスチックの転移熱測定方法)に準拠してSSC5200Hディスクステーションにより行った。
<有機溶剤含有量(ppm)>ヒューレットパッカード社製HP6890型GC,HP5973型MS検出器(以下、GC/MSと略する)を使用した。ポリウレタン水性分散系は水希釈して直接1μL注入している。使用カラムは、UADX−3D−30M−0.15Fである。50℃で5分保持し、10℃/minの昇温速度にて350℃まで昇温し、10分間保持した。インジェクション温度は250℃、スプリット比は1/20である。
<ウレア基濃度(mmol/g)>日本電子株式会社製JNM−AL400を使用した。ポリウレタン水性分散系を、80℃にて24時間乾燥し、フィルム化した。ガラス管に15mg秤量し、d6DMSO溶媒0.6mlを加えた。密栓後70℃にて3時間加熱し、溶解したものをNMR管に移して測定を行った。イソシアネート由来のピークを基準ピークとし、ウレア結合由来のピークのエリア比からウレア基濃度を算出した。
<フィルム臭気>あらかじめアセトンにて表面を脱脂したガラス板上にフィルム厚さ100μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、110℃で5分間、乾燥したときのフィルム臭気を官能評価した。フィルム臭気レベルは、○/臭気なし、△/わずかに臭気あり、×/臭気あり、とした。
<水浸漬評価>あらかじめアセトンにて表面を脱脂したガラス板上にフィルム厚さ100μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、110℃で1時間乾燥した。得られたフィルムを25℃にて1日間養生した後、25℃の水に浸漬し、外観変化を評価した。水浸漬評価結果としては,○/白化なし、△/わずかに白化、×/白化、とした。
《ポリエステルポリオールの合成》
スルホン酸基含有ポリエステルポリオール(SSPEs−1)の合成
充填塔、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置を装着したフラスコに5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(SSIPA)980部、1,6−ヘキサンジオール1970部、ネオペンチルグリコール600部、ジブチル錫オキサイド0.2部を仕込み、塔頂温度が70℃以下となるようにフラスコ内温度を190〜200℃で保持し、メタノールが留去しなくなるまで7時間エステル交換反応を行った。さらにアジピン酸1940部を仕込み、塔頂温度が105℃以下となるようにフラスコ内温度190〜200℃でエステル化反応を行った。酸価が10mgKOH/gとなったところで、オクチル酸錫を0.3部加え、フラスコ内温度200℃で酸価が1mgKOH/gとなるまで、反応を継続した。得られたポリエステルポリオールの水酸基価は98mgKOH/g、酸価は0.5mgKOH/gであった。
スルホン酸基含有ポリエステル(SSPEs−2)の合成
充填塔、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置のついたフラスコに620部のSSIPA、2410部のジエチレングリコール、ジブチル錫オキサイド0.2部を仕込み、塔頂温度が70℃以下となるようにフラスコ内温度を190〜200℃で保持し、メタノールが留去しなくなるまで7時間エステル交換反応を行った。さらにテレフタル酸2470部を仕込み、塔頂温度が105℃以下となるようにフラスコ内温度190〜200℃でエステル化反応を行った。酸価が10mgKOH/gとなったところで、オクチル酸錫を0.3部加えた。さらに内温250℃、真空度1mmHg(133Pa)で2時間反応させた。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定によるポリエステルの数平均分子量は17000であった。
《ポリウレタンの合成》
ポリウレタン−1の合成
3730部のSSPEs−1を100℃に温調した。60℃に温調した150部の1,4−BD(1,4−ブタンジオール)を撹拌混合し、これに1220部のMDIを添加し、ただちに撹拌混合を1分間行い、120℃で24時間反応させた。さらに23℃、相対湿度55%の恒温恒湿室中で1週間静置して得られた硬化物を切断、粉砕することで、ポリウレタン−1を得た。組成を表1に示す。
ポリウレタン−2の合成
水酸基価112mgKOH/gであるポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PTG−1000、保土谷化学工業(株)製)を3010部、350部の1,4−BD、1730部のMDIを用いたこと以外は、ポリウレタン−1と同様の方法で表1に示す組成のポリウレタン−2を得た。
ポリウレタン−3の合成
水酸基価56mgKOH/gであるポリエステルポリオール(商品名:U−2720、三井武田ケミカル(株)製)3290部、370部の1,4−BD、1440部のMDIを用いたこと以外は、ポリウレタン−1と同様の方法で表1に示す組成のポリウレタン−3を得た。
ポリウレタン−4の合成
水酸基価112mgKOH/gであるポリカプロラクトンジオール(商品名:プラクセル210、ダイセル化学工業(株)製)1430部と1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(商品名:BHEB、サンテクノケミカル(株)製)1430部の混合物を120℃にて温調した以外は、ポリウレタン−1と同様の方法で表1に示す組成のポリウレタン−4を得た。
Figure 2005232277
《ポリウレタン水性分散系の合成》
ポリウレタン−1を100部/時間の速度で同方向回転型二軸押出機(池貝鉄工製、PCM−30,L/D=41.5)に供給し、設定温度200℃、スクリュー回転数180rpmで溶融混練するとともに、同押出機の中間部に設けた供給口よりイオン交換水を80部/時間の速度で連続的に供給した。押出された樹脂等混合物を、同押出機口に設置した単軸押出機(池貝鉄工製、FS−40,L/D=25)を通過させることにより、90℃まで冷却し、吐出させた。乾燥前後の重量差から計算される固形分濃度は55%であった。この水性分散系を温水(70℃に加温したイオン交換水)中に加えると微細分散し、水性分散系が得られた。この固形分濃度が30%となるようにイオン交換水を加えて調整し、100メッシュの金網にてろ過した。未分散物は認められず、分散状態は良好であった。このポリウレタン水性分散系の体積平均粒子径(Dw)は70nm、個数平均粒子径(Dn)は60nm、粒子径分布の指標であるDw/Dnは1.2であった。これをあらかじめアセトンにて表面を脱脂したガラス板上にフィルム厚さ100μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、110℃で1時間乾燥した。110℃で5分経過したところで取り出し、フィルム臭気を官能評価したがまったく臭気は感じられなかった。得られたフィルムを25℃にて1日間養生した後、25℃の水に浸漬し、外観変化を確認した。1日後、5日後ともに外観変化はまったく見られず、耐水性に優れたフィルムであることが確認された。組成を表2に、評価結果を表3に示す。
ポリウレタン−2を70部/時間、ポリエステルを30部/時間でフィードし、供給口からの水を27部/時間とした以外は、実施例1と同様の方法でポリウレタン水性分散系−2を得、同様に評価した。組成を表2に、評価結果を表3に示す。
ポリウレタン―3を60部/時間、SSPEs−2を40部/時間でフィードし、供給口からの水を25部/時間とした以外は、実施例1と同様の方法でポリウレタン水性分散系−3を得、同様に評価した。組成を表2に、評価結果を表3に示す。
ポリウレタン―1を35部/時間、ポリウレタン―3を65部/時間でフィードし、供給口からの水を25部/時間とした以外は、実施例1と同様の方法でポリウレタン水性分散系−4を得、同様に評価した。組成を表2に、評価結果を表3に示す。
[比較例1]
ポリウレタン−4を70部/時間、SSPEs−2を30部/時間でフィードし、供給口からの水を25部/時間として実施例1と同様に水性化を行ったが、単軸押出機からの吐出物は温水中に加えても分散せず、樹脂の大部分が100メッシュ金網上に残り、ろ過できなかった。組成を表2に示す。
Figure 2005232277
[比較例2]
温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置のついたフラスコに、97部のMDI、127部のSSPEs−1、126部のU−5610W、350部のアセトニトリルを仕込み、70℃にて10時間反応させた。得られたウレタンプレポリマー溶液のNCO%が1.5%となったところで、30℃まで冷却した。このウレタンプレポリマー溶液150部を撹拌しながら、イオン交換水190部を加えた。さらに、2.0gの1,4−ブタンジアミンを溶解したアセトニトリル溶液を発熱に注意しながら、徐々に加え、50℃減圧下で残存アセトニトリルを留去することにより、固形分28%であり、体積平均粒子径100nm、個数平均粒子径70nm、Dw/Dn1.44のポリウレタン水性分散系−4を得た。その樹脂のSO3Na基濃度は0.25mmol/gであり、該分散系のGC/MSによる残存有機溶剤濃度は900ppmであった。これをあらかじめアセトンにて表面を脱脂したガラス板上に厚さ100μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、110℃で1時間乾燥した。110℃で5分経過したところで取り出し、フィルム臭気を官能評価したところ、含有している有機溶剤に由来すると思われるフィルム臭気が確認された。得られたフィルムを25℃にて1日間養生した後、25℃の水に浸漬し、外観変化を確認した。1日後にはわずかに白化がみられ、5日後には白化していた。評価結果を表3に示す。
[比較例3]
温度計、窒素導入管、冷却管、撹拌装置のついたフラスコに、水添キシリレンジイソシアネート(商品名:タケネート600、三井武田ケミカル(株)製)を175部、水酸基価56.1mgKOH/gのポリカーボネートジオール(商品名:プラクセルCD220、ダイセル化学工業(株)製)226部、24部のネオペンチルグリコール、30部のDMPA、195部のアセトンを仕込み、70℃にて10時間反応させた。このウレタンプレポリマー溶液のNCO%が4.3%となったところで、50℃まで冷却し、トリエチルアミン(TEA)19部を加えた。さらに30分間撹拌し、30℃まで冷却した。水800部を撹拌しながら、得られたウレタンプレポリマー溶液574部をゆっくりと加え、さらにエチレンジアミン13.9部を発熱に注意しながら徐々に加えた。50℃減圧下で残存アセトンを留去することにより、固形分34%であり、体積平均粒子径90nm、個数平均粒子径70nm、Dw/Dn1.29のポリウレタン水性分散系―5を得た。この樹脂のGC/MSによる残存有機溶剤濃度は5000ppmであった。これをあらかじめアセトンにて表面を脱脂したガラス板上に厚さ100μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、110℃で1時間乾燥した。110℃で5分経過したところで取り出し、フィルム臭気を官能評価したところ、含有している有機溶剤に由来すると思われるフィルム臭気が確認された。得られたフィルムを25℃にて1日間養生した後、25℃の水に浸漬し、外観変化を確認した。1日後にはすでにフィルムは白化していた。評価結果を表3に示す。
[比較例4]
実施例1に示すポリウレタン水性分散系−1に対し、有機溶剤としてアセトニトリルを2000ppmとなるように添加した。室温にて1日間養生し、ポリウレタン水性分散系−6を得た。これをあらかじめアセトンにて表面を脱脂したガラス板上に厚さ100μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、110℃で1時間乾燥した。110℃で5分経過したところで取り出し、フィルム臭気を官能評価したところ、含有している有機溶剤に由来すると思われるフィルム臭気が確認された。得られたフィルムを25℃にて1日間養生した後、25℃の水に浸漬し、外観変化を確認した。フィルムに白化現象は見られなかった。評価結果を表3に示す。
Figure 2005232277

Claims (6)

  1. ポリウレタン及び親水性基を有するポリマー(該ポリマーがポリウレタンの場合は、親水性基を有さないポリウレタンは使用しなくても良い。)からなる示差走査熱量分析法によって測定した融解熱量が30mJ/mg以下であるポリマー混合物を水に分散してなり、有機溶剤の含有量が1000ppm以下で、ポリマー混合物中に含まれるウレア基が0.3mmol/g以下であることを特徴とするポリウレタン水性分散系。
  2. 前記ポリマー混合物中の親水性基の濃度が0.05〜2mmol/gであり、当該ポリマー混合物中のポリウレタンの割合が50質量%以上である請求項1に記載のポリウレタン水性分散系。
  3. ポリウレタン及び親水性基を有するポリマー(該ポリマーがポリウレタンの場合は、親水性基を有さないポリウレタンは使用しなくても良い。)からなる示差走査熱量分析法によって測定した融解熱量が30mJ/mg以下であるポリマー混合物を、有機溶剤の非存在下に押出機中で水と溶融混合して水性分散系を得ることを特徴とするポリウレタン水性分散系の製造方法。
  4. 請求項3に記載の方法で製造してなる請求項1又は2に記載のポリウレタン水性分散系。
  5. 請求項1、2又は4に記載のポリウレタン水性分散系から分散媒を除去して得られる粒子。
  6. 請求項1、2又は4に記載のポリウレタン水性分散系、および/または請求項5に記載の粒子を皮膜形成させて得られるフィルム。
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