JP2005232003A - 尿細管間質障害の治療または予防薬 - Google Patents
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Abstract
【課題】既存治療法では効果が十分ではなかった腎尿細管間質障害の治療または予防薬を提供すること。
【解決手段】ベラプロストナトリウムのような、特定の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分として含有する尿細管間質障害の治療または予防薬を提供した。
【選択図】 なし
【解決手段】ベラプロストナトリウムのような、特定の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分として含有する尿細管間質障害の治療または予防薬を提供した。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は腎尿細管間質障害の治療および予防剤、治療および予防方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
尿細管間質障害は本来形態学的概念で、腎糸球体を病変の場とする糸球体疾患に対して、間質を主たる病変の場とする障害、疾病をさしている。間質病変は多くの場合尿細管病変を伴うことから、尿細管間質障害と総称される。
【0003】
この尿細管間質障害をもたらす疾患の代表的なものとして、間質性腎炎があげられる。間質性腎炎は、尿細管組織の間質を中心とする局所には微生物の生息がない非化膿性、非肉芽腫性過程で特徴づけられる病態をいい、糸球体血管には一時的な炎症性変化がない。
【0004】
間質性腎炎は、急性尿細管間質性腎炎と慢性尿細管間質性腎炎に大別される。急性尿細管間質性腎炎は間質の浮腫性変化と細胞浸潤を主体とし、慢性尿細管間質性腎炎では間質の線維化と尿細管の萎縮が重要な所見となっている。
【0005】
代表的な急性尿細管間質性腎炎として、主に細菌感染性いわゆる急性腎盂腎炎と薬剤過敏性反応による尿細管間質性腎炎があげられる。前者の治療としては水の補給とともに原因菌を確定した後、抗菌剤の投与がおこなわれる。後者では、原因となりうる薬剤の投与を中止するとともに、利尿薬の投与をおこなうことで心不全の改善をはかる。薬物療法で是正不可能な場合は、血液透析などの各種血液浄化療法を施行し腎機能の改善を待つことが行われる。
【0006】
一方慢性尿細管間質性腎炎は、慢性に経過する腎障害で、腎病理所見上、間質の慢性炎症細胞の浸潤とともに、線維化、尿細管の萎縮などを認める症候群をさし、二次的な変化として、糸球体周囲の線維化や硝子化糸球体も認められ、慢性腎盂腎炎様の変化を呈するものが多い。この慢性間質性腎炎も種々の刺激に対する非特異的な反応形態と考えられ、尿路閉塞、慢性感染、薬剤特に鎮痛薬やリチウム、カドミウムや鉛などの重金属中毒など多くの病因で認められる。その他バルカン腎症や、原因のはっきりしない突発性間質性腎炎などがある。
【0007】
慢性尿細管間質性腎炎の治療法は、原因によって異なるが基礎疾患の除去が重要であり、たとえば閉塞性腎盂腎炎では尿流障害の除去が重要になる。しかしながらこうした処置にもかかわらず、腎機能が損なわれ慢性透析を余儀なくされることも多い。
【0008】
一方、糸球体が第一位の障害部位とされる糸球体腎炎や糖尿病性腎症においても、尿細管間質の障害がおき、その程度が糸球体よりもその後の腎機能の低下によりよく相関することが実証されつつある。この結果は、腎糸球体病変の悪化とともに血液中から漏出する物質が尿細管障害をもたらし、間質の線維化さらには腎死をもたらす可能性が指摘されている。
【0009】
このように、尿細管間質病変は多くの進行性腎障害に認められる共通の変化であり、その過程で尿細管上皮細胞、浸潤細胞、線維芽細胞の活性化が相互的に作用しながら、最終的に線維症へ進展していくと考えられる。
【0010】
このような尿細管間質病変の治療には、上述したようなそれぞれの疾患に特徴的な治療がなされるほか、一般に低タンパク高エネルギー食の食事療法や、多くの場合腎障害の増悪の要因となる高血圧症を是正するため、レニン・アンジオテンシン系の阻害薬などの降圧剤の投与が用いられる。しかしながらその効果は限定的で、腎機能の障害の進行によって、血液透析を余儀なくされる患者数は年々増加の一途をたどっている。透析に移行した腎不全患者においては、近年の血液透析療法の進歩により、延命率の改善が得られているが、週2から3回の通院を余儀なくされるほか、赤血球の産生・成熟障害や、長期の透析に伴なうアルミニウムやβ2ミクログロブリンなどの蓄積が原因となる合併症の出現などなお多くの課題を残している。また最近その患者数が急増している糖尿病性腎症から透析に至った患者では、5年生存率は5割に満たないとされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、既存治療法では効果が十分ではなかった腎尿細管間質障害の治療または予防薬を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、特定の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体が腎尿細管間質障害の治療及び予防に優れた効果を発揮することを見出し本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、一般式(I)
【0014】
【化2】
【0015】
[式中、R1 は、
(A)COOR2 ここでR2 は、
1)水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、
2)炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜14の分岐アルキル
3)−Z−R3
ここでZは原子価結合、またはCt H2tで表される直鎖または分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、R3 は炭素数3〜12のシクロアルキルまたはR4 の1〜3個で置換された炭素数3〜12の置換シクロアルキルであり、R4 は水素または炭素数1〜5のアルキル、
4)−(CH2 CH2 O)n CH3
ここで、nは1〜5の整数、
5)−Z−Ar1
ここでZは前記定義に同じ、Ar1 はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、α−フリル、β−フリル、α−チエニル、β−チエニルまたは置換フェニル(ここで置換基は少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル、フェノキシ、p−アセトアミドベンズアミド、−CH=N−NH−C(=O)−NH2 、
−NH−C(=O)−Ph、−NH−C(=O)−CH3 または−NH−C(=O)−NH2であるもの)、
6)−CtH2tCOOR4
ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
7)−Ct H2tN(R4)2
ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
8)−CH(R5)−C(=O)−R6
ここでR5は水素またはベンゾイル、R6はフェニル、p−ブロモフェニル、p−クロロフェニル、p−ビフェニル、p−ニトロフェニル、p−ベンズアミドフェニル、2−ナフチル、
9)−CP H2P−W−R7
ここで、Wは−CH=CH−、−CH=CR7 −または、−C≡C−であり、R7は水素または、炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐アルキルまたはアラルキルであり、pは1〜5の整数、または、
10)−CH(CH2 OR8 )2
ここでR8は炭素数1〜30のアルキルまたはアシル、
(B)−CH2OH
(C)−C(=O)N(R9)2
ここでR9は水素、炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜12の分岐アルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数4〜13のシクロアルキルアルキレン、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルまたは−SO2R10を表わし、R10は炭素数1〜10のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルを表わし、2つのR9は同一でも異なっていてもよいが、一方が
−SO2 R10を表わす場合は他のR9は−SO2R10ではないものとする、または、
(D)−CH2 OTHP(THPはテトラヒドロピラニル基)であり、
【0016】
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH=CH−CH2−
3)−CH2−CH=CH−
4)−CH2−O−CH2−
5)−CH=CH−
6)−O−CH2−または
7)−C≡C−であり、
ここで、mは1から3の整数を示し、
Yは、水素、炭素数1〜4のアルキル、塩素、臭素、フッ素、ホルミル、メトキシまたはニトロであり、
【0017】
Bは、
−X−C(R11)(R12)OR13
ここで、R11は水素、または炭素数1〜4のアルキルであり、R13は水素、炭素数1〜14のアシル、炭素数6〜15のアロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチルまたはt−ブチルであり、Xは、
1)−CH2−CH2−
2)−CH=CH−
3)−C≡C−であり、
R12は、
1)炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜14の分岐アルキルまたは、
2)−Z−Ar2
ここでZは前記定義に同じ、Ar2 はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニルを表わし、または、
3)−CtH2tOR14
ここでCtH2tは前記定義に同じ、R14は炭素数1〜6の直鎖アルキル、炭素数3〜6の分岐アルキル、フェニル、少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または、炭素数1〜4の直鎖アルキルの1〜4個で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシルを表わし、または、
4)−Z−R3
ここでZ、R3は前記定義に同じ、または、
5)−CtH2t−CH=C(R15)R16
ここでCtH2tは前記定義に同じ、R15、R16は水素、メチル、エチル、プロピル、またはブチルを表わし、または、
6)−CuH2u−C≡C−R17
ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表わし、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表わし、
【0018】
Eは、水素、または−OR18
ここでR18は炭素数1〜12のアシル、炭素数7〜15のアロイルまたはR2 (ここでR2 は前記定義に同じ)を表わし、一般式はd体、l体またはdl体を表わす。]
で表わされる4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分として含有する尿細管間質障害の治療または予防薬を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
上記の通り、本発明の尿細管間質障害の治療または予防薬は、上記一般式(I)で表される特定の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分として含有する。
【0020】
本発明の好ましい例として、上記一般式(I)において、
R1 は、COOR2 ここでR2 は、水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、であり、
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH2−CH=CH−
ここで、mは1から3の整数を示し、
Yは、水素であり、
【0021】
Bは、
−X−CHR3OH
ここで、Xは、
1)−CH=CH−
2)−C≡C−であり、
R3は、
1)−Z−Ar2
ここでZは原子価結合、またはCt H2tで表される直鎖または分岐ア ルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニルを表わし、または、
2)−Z−R4
ここでZは前記定義に同じ、R4は炭素数3〜12のシクロアルキル、または、
3)−CuH2u−C≡C−R5
ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表わし、R5は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表わし、
Eは、−OHを表し、
一般式はd体、l体またはdl体を表わす、4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体、さらにはベラプロストナトリウムがあげられる。
【0022】
プロスタグランジン(PG)は天然に存在する多彩な生理活性を示す一群の化合物であり、共通のプロスタン酸骨格を有する。天然に存在するPG類はその5員環の構造的な特徴によりPGA類、PGB類、PGC類、PGD類、PGE類、PGF類、PGG類、PGH類、PGI類、PGJ類に分類され、さらに不飽和や酸化の存在によって、1,2,3等のサブクラスに分類される。またこれらの合成類似体も多く知られている。このうちPGI誘導体のなかでも代表的なPGI2 はプロスタサイクリンともよばれ(Nature268巻688頁1976年参照)、強力な血小板凝集抑制作用及び末梢血管拡張作用を有する物質として知られている。このPGI2 の不安定さを大幅に改善した化合物として、PGI2 の特徴的構造であるエキソエノールエーテル部分の構造をインタ−m−フェニレン型に変換した骨格を有するPGI2誘導体が、特公平2−12226号公告、特公平2−57548号公告、特公平1−53672号公告に記載されている。
【0023】
しかしながらこれらのPGI誘導体が、間質性腎炎をはじめとする尿細管間質の障害に対して治療または予防効果を有することは知られていなかった。
【0024】
本発明の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体は公知の方法で製造することができる。例えば一般式(I)で表される化合物またはその塩は、特公平1−53672号公報に記載されている方法により製造することができる。
【0025】
本発明における4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体の投与量は、症状等に応じて適宜設定できるが、通常、成人に対して0.001〜1000mg/人を1日1〜3回程度である。
【0026】
添加剤としては例えば賦形剤、例えば澱粉類、ラクトース、スクロース、葡萄糖、マンニトール、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等:結合剤、例えば、澱粉類、デキストリン、アラビアゴム、トラガンド、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等:崩壊剤、例えば、澱粉類、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース等、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク等:着色剤、香料等があげられる。
【0027】
本発明の治療または予防薬は、経口的にも非経口的にも投与できる。経口投与の場合、本発明で用いる4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体は各種剤形により使用できるが、具体的には錠剤、糖衣錠、粉末、顆粒、トローチ剤、カプセル剤、丸剤、シロップ剤、スプレー剤などの従来用いられる剤形が挙げられる。また、殺菌溶液等の形で非経口的に投与しても良く、また他の溶質、例えば液を等張にするに十分な塩化ナトリウムまたはグルコース等を用いることもできる。本発明の腎尿細管間質障害の治療および予防薬は上記経口用の製剤の他、各種注射剤、座剤など非経口的にも幅広い投与法を応用できる。経口投与及び非経口投与のための製剤は、医薬分野において広く行われている常法により行うことができる。
【0028】
尿細管の障害の程度は基礎および臨床ともに、尿中に漏出するβ2ミクログロブリンやNAG(N-acetyl-β-glucosaminidase)等で評価される。このうちβ2ミクログロブリンは血清から糸球体基底膜を自由に通過するタンパク質であり、主として近位尿細管で再吸収される。このため尿細管障害によって再吸収能が低下した場合には、尿中の排泄が増加する。一方NAGは近位尿細管のリソゾームに由来する逸脱酵素であり、近位尿細管が障害を受けた際に尿中の排泄量が増加する。
【0029】
本薬の適応はヒトに限定されず、愛玩用として飼育されるほ乳類をはじめとする、各種の動物にも適応可能である。
【0030】
本剤の適用としては、尿細管間質障害性疾患であれば特に限定されない。一例として急性尿細管間質性腎炎ならびに慢性尿細管間質性腎炎などの間質性腎炎があげられる。代表的な急性尿細管間質性腎炎として、主に細菌感染性のいわゆる急性腎盂腎炎と薬剤過敏性反応による尿細管間質性腎炎がある。慢性間質性腎炎ではその成因に限定されず、尿路閉塞、慢性感染、薬剤特に鎮痛薬やリチウム、カドミウムや鉛などの重金属中毒など多くの病因による腎炎や、バルカン腎症や原因のはっきりしない突発性間質性腎炎などに用いることができる。
【0031】
他方糸球体が第一位の障害部位とされる糸球体腎炎の悪化に伴って生じる尿細管間質障害や、糖尿病性腎症における尿細管間質障害にも好ましく用いられる。
【0032】
このように、本剤は多くの進行性腎障害に共通に認められる尿細管間質障害に有効である。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
ラット糸球体腎炎モデルに伴う尿細管間質障害に対する、ベラプロストナトリウムの効果を検討した。8週齢の雄性WKYラット(日本チャールズリバー)にウサギ抗ラット糸球体基底膜抗血清を静注し、糸球体腎炎を誘発した。糸球体腎炎誘発後の14日目より49日目までベラプロストナトリウムを1日2回連日経口投与した。用量は300μg/kgとした。比較のためステロイドであるプレゾニゾロン2mg/kgを同じスケジュールで投与した。正常群は抗体を含まないウサギ血清を投与した後、対照群は抗血清によって腎炎を誘発した後、両群とも蒸留水を同様のスケジュールで経口投与した。薬剤投与開始後、尿細管の障害のマーカーとしてNAGを、比較のために糸球体の濾過機能障害を示すマーカーのひとつである尿中アルブミン排泄量を測定した。NAGの測定は市販のキットによった。NAGは、ベラプロストナトリウム投与群においてのみ21日目から49日にかけてずっとその排泄が著明に抑制されていた(図1)。尿中アルブミン排泄量は、腎炎誘発14日後には著明に上昇したが、ベラプロストナトリウム投与による改善効果は認められなかった(図2)。49日目の腎を光顕にて観察したところ、対照群では尿細管の障害と間質の線維化が認められたが、ベラプロストナトリウム処置群では、これらの変成の著明な改善が認められた。一方プレゾニゾロン投与群ではアルブミン、NAGともに明確な改善効果は認められなかった。
【0035】
なお、図1において、各時点におけるカラムは左から正常群、対照群、ベラプロストナトリウム投与群、プレゾニゾロン投与群を示す。横軸は腎炎誘発からの日数を示す。各薬剤は誘発14日目から投与を開始した。BPSはベラプロストナトリウムを示す。また、図2において、各時点におけるカラムの順はNAGの場合と同じである。
【0036】
以上の結果から、ベラプロストナトリウムは本条件下では、腎糸球体の機能を示すアルブミン排泄量の改善は認めなかったものの、尿細管間質障害を著明に改善することが明らかであった。
【0037】
実施例2
糖尿病を自然発症するGKラットを用いて、ベラプロストナトリウムの連続投与による腎尿細管間質障害の改善効果を検討した。ベラプロストナトリウムは1回あたり30μgを、8ヶ月齢から毎日2回連日経口投与した。対照群には蒸留水を同じスケジュールで投与した。尿細管障害の程度はβ2ミクログロブリンで評価し、測定は市販のキットを利用した。なおベラプロストナトリウムの投与は血糖値には影響しなかった。図3のように尿細管の障害マーカーのβ2ミクログロブリンはベラプロストナトリウムの投与群で顕著に抑制された。20ヶ月齢で腎を摘出し、組織を評価したところ、対照群では、尿細管の萎縮、間質の線維化が顕著に認められた。一方ベラプロストナトリウム投与群では、このような腎尿細管の変成は著明に抑制されていた。
【0038】
【発明の効果】
本発明の治療または予防薬は、既存治療法では効果が十分ではなかった腎尿細管間質障害に対し、優れた治療及び予防効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】抗基底膜抗体投与によるラット糸球体腎炎モデルにおいて、腎尿細管障害の程度を示すNAGと、腎炎誘発からの日数の関係を示す図である。
【図2】図1と同じラットモデルにおける尿中アルブミン排泄量と腎炎誘発からの日数の関係を示す図である。
【図3】GKラットにおける尿細管障害マーカーの尿中β2ミクログロブリン排泄量とラットの月例との関係を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は腎尿細管間質障害の治療および予防剤、治療および予防方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
尿細管間質障害は本来形態学的概念で、腎糸球体を病変の場とする糸球体疾患に対して、間質を主たる病変の場とする障害、疾病をさしている。間質病変は多くの場合尿細管病変を伴うことから、尿細管間質障害と総称される。
【0003】
この尿細管間質障害をもたらす疾患の代表的なものとして、間質性腎炎があげられる。間質性腎炎は、尿細管組織の間質を中心とする局所には微生物の生息がない非化膿性、非肉芽腫性過程で特徴づけられる病態をいい、糸球体血管には一時的な炎症性変化がない。
【0004】
間質性腎炎は、急性尿細管間質性腎炎と慢性尿細管間質性腎炎に大別される。急性尿細管間質性腎炎は間質の浮腫性変化と細胞浸潤を主体とし、慢性尿細管間質性腎炎では間質の線維化と尿細管の萎縮が重要な所見となっている。
【0005】
代表的な急性尿細管間質性腎炎として、主に細菌感染性いわゆる急性腎盂腎炎と薬剤過敏性反応による尿細管間質性腎炎があげられる。前者の治療としては水の補給とともに原因菌を確定した後、抗菌剤の投与がおこなわれる。後者では、原因となりうる薬剤の投与を中止するとともに、利尿薬の投与をおこなうことで心不全の改善をはかる。薬物療法で是正不可能な場合は、血液透析などの各種血液浄化療法を施行し腎機能の改善を待つことが行われる。
【0006】
一方慢性尿細管間質性腎炎は、慢性に経過する腎障害で、腎病理所見上、間質の慢性炎症細胞の浸潤とともに、線維化、尿細管の萎縮などを認める症候群をさし、二次的な変化として、糸球体周囲の線維化や硝子化糸球体も認められ、慢性腎盂腎炎様の変化を呈するものが多い。この慢性間質性腎炎も種々の刺激に対する非特異的な反応形態と考えられ、尿路閉塞、慢性感染、薬剤特に鎮痛薬やリチウム、カドミウムや鉛などの重金属中毒など多くの病因で認められる。その他バルカン腎症や、原因のはっきりしない突発性間質性腎炎などがある。
【0007】
慢性尿細管間質性腎炎の治療法は、原因によって異なるが基礎疾患の除去が重要であり、たとえば閉塞性腎盂腎炎では尿流障害の除去が重要になる。しかしながらこうした処置にもかかわらず、腎機能が損なわれ慢性透析を余儀なくされることも多い。
【0008】
一方、糸球体が第一位の障害部位とされる糸球体腎炎や糖尿病性腎症においても、尿細管間質の障害がおき、その程度が糸球体よりもその後の腎機能の低下によりよく相関することが実証されつつある。この結果は、腎糸球体病変の悪化とともに血液中から漏出する物質が尿細管障害をもたらし、間質の線維化さらには腎死をもたらす可能性が指摘されている。
【0009】
このように、尿細管間質病変は多くの進行性腎障害に認められる共通の変化であり、その過程で尿細管上皮細胞、浸潤細胞、線維芽細胞の活性化が相互的に作用しながら、最終的に線維症へ進展していくと考えられる。
【0010】
このような尿細管間質病変の治療には、上述したようなそれぞれの疾患に特徴的な治療がなされるほか、一般に低タンパク高エネルギー食の食事療法や、多くの場合腎障害の増悪の要因となる高血圧症を是正するため、レニン・アンジオテンシン系の阻害薬などの降圧剤の投与が用いられる。しかしながらその効果は限定的で、腎機能の障害の進行によって、血液透析を余儀なくされる患者数は年々増加の一途をたどっている。透析に移行した腎不全患者においては、近年の血液透析療法の進歩により、延命率の改善が得られているが、週2から3回の通院を余儀なくされるほか、赤血球の産生・成熟障害や、長期の透析に伴なうアルミニウムやβ2ミクログロブリンなどの蓄積が原因となる合併症の出現などなお多くの課題を残している。また最近その患者数が急増している糖尿病性腎症から透析に至った患者では、5年生存率は5割に満たないとされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、既存治療法では効果が十分ではなかった腎尿細管間質障害の治療または予防薬を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、特定の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体が腎尿細管間質障害の治療及び予防に優れた効果を発揮することを見出し本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、一般式(I)
【0014】
【化2】
【0015】
[式中、R1 は、
(A)COOR2 ここでR2 は、
1)水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、
2)炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜14の分岐アルキル
3)−Z−R3
ここでZは原子価結合、またはCt H2tで表される直鎖または分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、R3 は炭素数3〜12のシクロアルキルまたはR4 の1〜3個で置換された炭素数3〜12の置換シクロアルキルであり、R4 は水素または炭素数1〜5のアルキル、
4)−(CH2 CH2 O)n CH3
ここで、nは1〜5の整数、
5)−Z−Ar1
ここでZは前記定義に同じ、Ar1 はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、α−フリル、β−フリル、α−チエニル、β−チエニルまたは置換フェニル(ここで置換基は少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル、フェノキシ、p−アセトアミドベンズアミド、−CH=N−NH−C(=O)−NH2 、
−NH−C(=O)−Ph、−NH−C(=O)−CH3 または−NH−C(=O)−NH2であるもの)、
6)−CtH2tCOOR4
ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
7)−Ct H2tN(R4)2
ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
8)−CH(R5)−C(=O)−R6
ここでR5は水素またはベンゾイル、R6はフェニル、p−ブロモフェニル、p−クロロフェニル、p−ビフェニル、p−ニトロフェニル、p−ベンズアミドフェニル、2−ナフチル、
9)−CP H2P−W−R7
ここで、Wは−CH=CH−、−CH=CR7 −または、−C≡C−であり、R7は水素または、炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐アルキルまたはアラルキルであり、pは1〜5の整数、または、
10)−CH(CH2 OR8 )2
ここでR8は炭素数1〜30のアルキルまたはアシル、
(B)−CH2OH
(C)−C(=O)N(R9)2
ここでR9は水素、炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜12の分岐アルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数4〜13のシクロアルキルアルキレン、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルまたは−SO2R10を表わし、R10は炭素数1〜10のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルを表わし、2つのR9は同一でも異なっていてもよいが、一方が
−SO2 R10を表わす場合は他のR9は−SO2R10ではないものとする、または、
(D)−CH2 OTHP(THPはテトラヒドロピラニル基)であり、
【0016】
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH=CH−CH2−
3)−CH2−CH=CH−
4)−CH2−O−CH2−
5)−CH=CH−
6)−O−CH2−または
7)−C≡C−であり、
ここで、mは1から3の整数を示し、
Yは、水素、炭素数1〜4のアルキル、塩素、臭素、フッ素、ホルミル、メトキシまたはニトロであり、
【0017】
Bは、
−X−C(R11)(R12)OR13
ここで、R11は水素、または炭素数1〜4のアルキルであり、R13は水素、炭素数1〜14のアシル、炭素数6〜15のアロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチルまたはt−ブチルであり、Xは、
1)−CH2−CH2−
2)−CH=CH−
3)−C≡C−であり、
R12は、
1)炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜14の分岐アルキルまたは、
2)−Z−Ar2
ここでZは前記定義に同じ、Ar2 はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニルを表わし、または、
3)−CtH2tOR14
ここでCtH2tは前記定義に同じ、R14は炭素数1〜6の直鎖アルキル、炭素数3〜6の分岐アルキル、フェニル、少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または、炭素数1〜4の直鎖アルキルの1〜4個で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシルを表わし、または、
4)−Z−R3
ここでZ、R3は前記定義に同じ、または、
5)−CtH2t−CH=C(R15)R16
ここでCtH2tは前記定義に同じ、R15、R16は水素、メチル、エチル、プロピル、またはブチルを表わし、または、
6)−CuH2u−C≡C−R17
ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表わし、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表わし、
【0018】
Eは、水素、または−OR18
ここでR18は炭素数1〜12のアシル、炭素数7〜15のアロイルまたはR2 (ここでR2 は前記定義に同じ)を表わし、一般式はd体、l体またはdl体を表わす。]
で表わされる4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分として含有する尿細管間質障害の治療または予防薬を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
上記の通り、本発明の尿細管間質障害の治療または予防薬は、上記一般式(I)で表される特定の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分として含有する。
【0020】
本発明の好ましい例として、上記一般式(I)において、
R1 は、COOR2 ここでR2 は、水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、であり、
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH2−CH=CH−
ここで、mは1から3の整数を示し、
Yは、水素であり、
【0021】
Bは、
−X−CHR3OH
ここで、Xは、
1)−CH=CH−
2)−C≡C−であり、
R3は、
1)−Z−Ar2
ここでZは原子価結合、またはCt H2tで表される直鎖または分岐ア ルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニルを表わし、または、
2)−Z−R4
ここでZは前記定義に同じ、R4は炭素数3〜12のシクロアルキル、または、
3)−CuH2u−C≡C−R5
ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表わし、R5は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表わし、
Eは、−OHを表し、
一般式はd体、l体またはdl体を表わす、4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体、さらにはベラプロストナトリウムがあげられる。
【0022】
プロスタグランジン(PG)は天然に存在する多彩な生理活性を示す一群の化合物であり、共通のプロスタン酸骨格を有する。天然に存在するPG類はその5員環の構造的な特徴によりPGA類、PGB類、PGC類、PGD類、PGE類、PGF類、PGG類、PGH類、PGI類、PGJ類に分類され、さらに不飽和や酸化の存在によって、1,2,3等のサブクラスに分類される。またこれらの合成類似体も多く知られている。このうちPGI誘導体のなかでも代表的なPGI2 はプロスタサイクリンともよばれ(Nature268巻688頁1976年参照)、強力な血小板凝集抑制作用及び末梢血管拡張作用を有する物質として知られている。このPGI2 の不安定さを大幅に改善した化合物として、PGI2 の特徴的構造であるエキソエノールエーテル部分の構造をインタ−m−フェニレン型に変換した骨格を有するPGI2誘導体が、特公平2−12226号公告、特公平2−57548号公告、特公平1−53672号公告に記載されている。
【0023】
しかしながらこれらのPGI誘導体が、間質性腎炎をはじめとする尿細管間質の障害に対して治療または予防効果を有することは知られていなかった。
【0024】
本発明の4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体は公知の方法で製造することができる。例えば一般式(I)で表される化合物またはその塩は、特公平1−53672号公報に記載されている方法により製造することができる。
【0025】
本発明における4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体の投与量は、症状等に応じて適宜設定できるが、通常、成人に対して0.001〜1000mg/人を1日1〜3回程度である。
【0026】
添加剤としては例えば賦形剤、例えば澱粉類、ラクトース、スクロース、葡萄糖、マンニトール、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等:結合剤、例えば、澱粉類、デキストリン、アラビアゴム、トラガンド、メチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等:崩壊剤、例えば、澱粉類、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース等、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク等:着色剤、香料等があげられる。
【0027】
本発明の治療または予防薬は、経口的にも非経口的にも投与できる。経口投与の場合、本発明で用いる4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体は各種剤形により使用できるが、具体的には錠剤、糖衣錠、粉末、顆粒、トローチ剤、カプセル剤、丸剤、シロップ剤、スプレー剤などの従来用いられる剤形が挙げられる。また、殺菌溶液等の形で非経口的に投与しても良く、また他の溶質、例えば液を等張にするに十分な塩化ナトリウムまたはグルコース等を用いることもできる。本発明の腎尿細管間質障害の治療および予防薬は上記経口用の製剤の他、各種注射剤、座剤など非経口的にも幅広い投与法を応用できる。経口投与及び非経口投与のための製剤は、医薬分野において広く行われている常法により行うことができる。
【0028】
尿細管の障害の程度は基礎および臨床ともに、尿中に漏出するβ2ミクログロブリンやNAG(N-acetyl-β-glucosaminidase)等で評価される。このうちβ2ミクログロブリンは血清から糸球体基底膜を自由に通過するタンパク質であり、主として近位尿細管で再吸収される。このため尿細管障害によって再吸収能が低下した場合には、尿中の排泄が増加する。一方NAGは近位尿細管のリソゾームに由来する逸脱酵素であり、近位尿細管が障害を受けた際に尿中の排泄量が増加する。
【0029】
本薬の適応はヒトに限定されず、愛玩用として飼育されるほ乳類をはじめとする、各種の動物にも適応可能である。
【0030】
本剤の適用としては、尿細管間質障害性疾患であれば特に限定されない。一例として急性尿細管間質性腎炎ならびに慢性尿細管間質性腎炎などの間質性腎炎があげられる。代表的な急性尿細管間質性腎炎として、主に細菌感染性のいわゆる急性腎盂腎炎と薬剤過敏性反応による尿細管間質性腎炎がある。慢性間質性腎炎ではその成因に限定されず、尿路閉塞、慢性感染、薬剤特に鎮痛薬やリチウム、カドミウムや鉛などの重金属中毒など多くの病因による腎炎や、バルカン腎症や原因のはっきりしない突発性間質性腎炎などに用いることができる。
【0031】
他方糸球体が第一位の障害部位とされる糸球体腎炎の悪化に伴って生じる尿細管間質障害や、糖尿病性腎症における尿細管間質障害にも好ましく用いられる。
【0032】
このように、本剤は多くの進行性腎障害に共通に認められる尿細管間質障害に有効である。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
ラット糸球体腎炎モデルに伴う尿細管間質障害に対する、ベラプロストナトリウムの効果を検討した。8週齢の雄性WKYラット(日本チャールズリバー)にウサギ抗ラット糸球体基底膜抗血清を静注し、糸球体腎炎を誘発した。糸球体腎炎誘発後の14日目より49日目までベラプロストナトリウムを1日2回連日経口投与した。用量は300μg/kgとした。比較のためステロイドであるプレゾニゾロン2mg/kgを同じスケジュールで投与した。正常群は抗体を含まないウサギ血清を投与した後、対照群は抗血清によって腎炎を誘発した後、両群とも蒸留水を同様のスケジュールで経口投与した。薬剤投与開始後、尿細管の障害のマーカーとしてNAGを、比較のために糸球体の濾過機能障害を示すマーカーのひとつである尿中アルブミン排泄量を測定した。NAGの測定は市販のキットによった。NAGは、ベラプロストナトリウム投与群においてのみ21日目から49日にかけてずっとその排泄が著明に抑制されていた(図1)。尿中アルブミン排泄量は、腎炎誘発14日後には著明に上昇したが、ベラプロストナトリウム投与による改善効果は認められなかった(図2)。49日目の腎を光顕にて観察したところ、対照群では尿細管の障害と間質の線維化が認められたが、ベラプロストナトリウム処置群では、これらの変成の著明な改善が認められた。一方プレゾニゾロン投与群ではアルブミン、NAGともに明確な改善効果は認められなかった。
【0035】
なお、図1において、各時点におけるカラムは左から正常群、対照群、ベラプロストナトリウム投与群、プレゾニゾロン投与群を示す。横軸は腎炎誘発からの日数を示す。各薬剤は誘発14日目から投与を開始した。BPSはベラプロストナトリウムを示す。また、図2において、各時点におけるカラムの順はNAGの場合と同じである。
【0036】
以上の結果から、ベラプロストナトリウムは本条件下では、腎糸球体の機能を示すアルブミン排泄量の改善は認めなかったものの、尿細管間質障害を著明に改善することが明らかであった。
【0037】
実施例2
糖尿病を自然発症するGKラットを用いて、ベラプロストナトリウムの連続投与による腎尿細管間質障害の改善効果を検討した。ベラプロストナトリウムは1回あたり30μgを、8ヶ月齢から毎日2回連日経口投与した。対照群には蒸留水を同じスケジュールで投与した。尿細管障害の程度はβ2ミクログロブリンで評価し、測定は市販のキットを利用した。なおベラプロストナトリウムの投与は血糖値には影響しなかった。図3のように尿細管の障害マーカーのβ2ミクログロブリンはベラプロストナトリウムの投与群で顕著に抑制された。20ヶ月齢で腎を摘出し、組織を評価したところ、対照群では、尿細管の萎縮、間質の線維化が顕著に認められた。一方ベラプロストナトリウム投与群では、このような腎尿細管の変成は著明に抑制されていた。
【0038】
【発明の効果】
本発明の治療または予防薬は、既存治療法では効果が十分ではなかった腎尿細管間質障害に対し、優れた治療及び予防効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】抗基底膜抗体投与によるラット糸球体腎炎モデルにおいて、腎尿細管障害の程度を示すNAGと、腎炎誘発からの日数の関係を示す図である。
【図2】図1と同じラットモデルにおける尿中アルブミン排泄量と腎炎誘発からの日数の関係を示す図である。
【図3】GKラットにおける尿細管障害マーカーの尿中β2ミクログロブリン排泄量とラットの月例との関係を示す図である。
Claims (6)
- 一般式(I)
(A)COOR2 ここでR2 は、
1)水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、
2)炭素数1〜12の直鎖アルキルまたは炭素数3〜14の分岐アルキル
3)−Z−R3
ここでZは原子価結合、またはCt H2tで表される直鎖または分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、R3 は炭素数3〜12のシクロアルキルまたはR4 の1〜3個で置換された炭素数3〜12の置換シクロアルキルであり、R4 は水素または炭素数1〜5のアルキル、
4)−(CH2 CH2 O)n CH3
ここで、nは1〜5の整数、
5)−Z−Ar1
ここでZは前記定義に同じ、Ar1 はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、α−フリル、β−フリル、α−チエニル、β−チエニルまたは置換フェニル(ここで置換基は少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニル、フェノキシ、p−アセトアミドベンズアミド、−CH=N−NH−C(=O)−NH2 、
−NH−C(=O)−Ph、−NH−C(=O)−CH3 または−NH−C(=O)−NH2であるもの)、
6)−CtH2tCOOR4
ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
7)−Ct H2tN(R4)2
ここでCtH2t、R4は前記定義に同じ、
8)−CH(R5)−C(=O)−R6
ここでR5は水素またはベンゾイル、R6はフェニル、p−ブロモフェニル、p−クロロフェニル、p−ビフェニル、p−ニトロフェニル、p−ベンズアミドフェニル、2−ナフチル、
9)−CP H2P−W−R7
ここで、Wは−CH=CH−、−CH=CR7 −または、−C≡C−であり、R7は水素または、炭素数1〜30の直鎖もしくは分岐アルキルまたはアラルキルであり、pは1〜5の整数、または、
10)−CH(CH2 OR8 )2
ここでR8は炭素数1〜30のアルキルまたはアシル、
(B)−CH2OH
(C)−C(=O)N(R9)2
ここでR9は水素、炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜12の分岐アルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数4〜13のシクロアルキルアルキレン、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルまたは−SO2R10を表わし、R10は炭素数1〜10のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、フェニル、置換フェニル(ここで置換基は上記(A)5)の場合と同義)、炭素数7〜12のアラルキルを表わし、2つのR9は同一でも異なっていてもよいが、一方が
−SO2 R10を表わす場合は他のR9は−SO2R10ではないものとする、または、
(D)−CH2 OTHP(THPはテトラヒドロピラニル基)であり、
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH=CH−CH2−
3)−CH2−CH=CH−
4)−CH2−O−CH2−
5)−CH=CH−
6)−O−CH2−または
7)−C≡C−であり、
ここで、mは1から3の整数を示し、
Yは、水素、炭素数1〜4のアルキル、塩素、臭素、フッ素、ホルミル、メトキシまたはニトロであり、
Bは、
−X−C(R11)(R12)OR13
ここで、R11は水素、または炭素数1〜4のアルキルであり、R13は水素、炭素数1〜14のアシル、炭素数6〜15のアロイル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチルまたはt−ブチルであり、Xは、
1)−CH2−CH2−
2)−CH=CH−
3)−C≡C−であり、
R12は、
1)炭素数1〜12の直鎖アルキル、炭素数3〜14の分岐アルキルまたは、
2)−Z−Ar2
ここでZは前記定義に同じ、Ar2 はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニルを表わし、または、
3)−CtH2tOR14
ここでCtH2tは前記定義に同じ、R14は炭素数1〜6の直鎖アルキル、炭素数3〜6の分岐アルキル、フェニル、少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、または、炭素数1〜4の直鎖アルキルの1〜4個で置換されたシクロペンチルまたはシクロヘキシルを表わし、または、
4)−Z−R3
ここでZ、R3は前記定義に同じ、または、
5)−CtH2t−CH=C(R15)R16
ここでCtH2tは前記定義に同じ、R15、R16は水素、メチル、エチル、プロピル、またはブチルを表わし、または、
6)−CuH2u−C≡C−R17
ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表わし、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表わし、
Eは、水素、または−OR18
ここでR18は炭素数1〜12のアシル、炭素数7〜15のアロイルまたはR2 (ここでR2 は前記定義に同じ)を表わし、一般式はd体、l体またはdl体を表わす。]
で表わされる4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体または薬理学的に許容し得るその塩を有効成分として含有する尿細管間質障害の治療または予防薬。 - 上記一般式(I)において、
R1は、COOR2 、
ここでR2は、水素または薬理学的に受け入れられる陽イオン、であり、
Aは、
1)−(CH2)m−
2)−CH2−CH=CH−
ここで、mは1から3の整数を示す、であり、
Yは、水素であり、
Bは、 −X−C(R11)(R12)OR13
ここで、R11、R13は水素であり、Xは、
1)−CH=CH−
2)−C≡C−であり、
R12は、
1)−Z−Ar2
ここでZは原子価結合、またはCtH2tで表される直鎖または分岐アルキレンであり、tは1〜6の整数を示し、Ar2はフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、または少なくとも1個の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、トリフルオロメチル、炭素数1〜4のアルキル、ニトロ、シアノ、メトキシ、フェニルもしくはフェノキシ置換したフェニルを表わし、または、
2)−Z−R3
ここでZは前記定義に同じ、R3は炭素数3〜12のシクロアルキルを表し、または、
3)−CuH2u−C≡C−R17
ここでuは1〜7の整数であり、CuH2uは直鎖または分岐アルキレンを表わし、R17は炭素数1〜6の直鎖アルキルを表わし、
Eは−OHを表す請求項1記載の治療または予防薬。 - 4,8−インタ−m−フェニレンプロスタグランジンI2誘導体がベラプロスト又はその塩である請求項1記載の治療または予防薬。
- 尿細管間質障害の原因が間質性腎炎である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の治療または予防薬。
- 尿細管間質障害の原因が慢性尿細管間質性腎炎である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の治療または予防薬。
- 尿細管間質障害の原因が急性尿細管間質性腎炎である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の治療または予防薬。
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