このように、前記印刷装置においては、前記スキュー補正装置の一例であるウェブセンタリング装置3の下流に真空ブレーキ6が設けられていたので、ウェブセンタリング装置3で紙ウェブAのスキューを除去してもウェブセンタリング装置3と真空ブレーキ6との間で再びスキューが生じる虞があった。
また、真空ブレーキ6単独では紙ウェブに安定した張力を再現性良く付与することができないので、下流に機械的なウェブアキュムレータを設け、前記ウェブアキュムレータで紙ウェブに張力を付与することにより、紙ウェブAに一定の張力を付与するようにする必要があった。
そのため、前記ウェブアキュムレータを、種々の巾や坪量の紙ウェブに対応させようとすると給紙装置PZが大型化するという問題があった。
更に、紙ウェブAには、真空ブレーキ6単独で張力を付与する場合よりも更に強い張力が付与されるので、スキューが一旦生じるとウェブセンタリング装置3ではなかなか除去できず、また、真空ブレーキ6とウェブアキュムレータとで紙ウェブに強大な張力が付与されることがスキューの原因になることもあった。
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、連続用紙を一定方向に搬送しつつ、画像を形成するプリンタにおいて前記連続用紙を搬送する用紙搬送機構であって、前記連続用紙に過大な負担をかけることなく、所定の搬送経路を案内できる用紙搬送機構、および前記用紙搬送機構をそなえるプリンタを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、連続用紙を一定方向に搬送しつつ、画像を形成するプリンタにおいて前記連続用紙を搬送する用紙搬送機構であって、前記連続用紙を基準となる搬送速度で搬送するドライブローラ部と、前記プリンタにおいて連続用紙に画像を記録する記録手段の上流側に位置し、前記記録用紙に張力を付与するバックテンション手段と、前記ドライブローラ部および前記記録手段よりも上流側であって前記バックテンション手段よりも下流側に位置するとともに、前記記録用紙のスキューを補正するアライニング手段とを備えてなることを特徴とする用紙搬送機構に関する。
前記用紙搬送機構においては、アライニング手段は前記ドライブローラ部および前記プリンタの記録部よりも上流側であってバックテンション手段よりも下流側に配設されているから、前記用紙搬送機構を有するプリンタにおいては、たとえバックテンション手段において連続用紙にスキューが生じても、前記連続用紙は、アライニング手段で前記スキューが補正されて記録部に供給される。したがって、前記用紙搬送機構を備えたプリンタにおいては、位置精度の良好な印刷が可能である。
なお、「下流側」および「上流側」は、夫々前記連続用紙の搬送方向に対して下流側および上流側を意味する。
記録手段としては、後述する電子写真式記録手段が挙げられるが、ドライブローラ部で擦られても不鮮明にならない程度に強固な画像を形成できるものであれば、電子写真式記録手段には限定されない。
前記アライニング手段としては、後述するガイド板とアライニングローラとバックアップローラとを備えるアライニングローラ機構が挙げられるが、連続用紙のスキューを補正できるのであれば前記アライニングローラ機構には限定されない。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の用紙搬送機構において、前記バックテンション手段が、所定の周速で駆動回転される駆動ローラと、前記連続用紙の搬送時において前記駆動ローラとの間に所定のピンチ圧で前記連続用紙を挟持しつつ回転するピンチローラとを有するバックテンションローラ機構である用紙搬送機構に関する。
前記バックテンション機構においては、駆動ローラとピンチローラとで挟持することにより連続用紙にピンチ圧を付与している。したがって駆動ローラの駆動速度およびピンチ圧を適正な範囲に制御することにより、用紙に過大な張力が加わるのを防止できる。
また、前記ピンチ圧を増減させることにより、連続用紙に付与する張力を再現性良く制御できるから、連続用紙の巾や坪量に応じて適正な張力を付与することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の用紙搬送機構において、前記ピンチローラが前記バックテンションローラ機構を搬送される連続用紙の巾方向に沿って複数個設けられてなる用紙搬送機構に関する。
前記用紙搬送機構においては、ピンチ圧はピンチローラ毎に独立に制御できる。したがって、ピンチローラがバックテンションローラの側面に完全に均等なピンチ圧で当接していない場合においても、ピンチローラの片当りを効果的に防止できる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の用紙搬送機構において、前記駆動ローラおよびピンチローラが、前進時および後退時の何れにおいても前記連続用紙の搬送方向と同一の方向に回転するとともに、前進時には連続用紙の搬送速度よりも遅い周速で、後退時には前記搬送速度よりも速い周速で回転する用紙搬送機構に関する。
前記用紙搬送機構においては、駆動ローラおよびピンチローラの何れも連続用紙の搬送方向に回転するから、連続用紙との間の相対速度差は比較的小さい。したがって、連続用紙の表面が駆動ローラおよびピンチローラに強く擦られて傷むことが効果的に防止される。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の用紙搬送機構において前記ドライブローラ部が前記記録手段の下流側に設けられてなる用紙搬送機構に関する。
前記用紙搬送機構においては、ドライブローラ部とアライニング手段との距離を大きくとることができるから、アライニング手段においてスキュー補正機能を安定に発揮させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の用紙搬送機構において前記アライニング手段が前記バックテンション手段と一体に構成されてなる用紙搬送機構に関する。
前記用紙搬送機構においては、バックテンション手段の近傍にアライニング手段を配置することができるから、バックテンション手段でスキューが生じた場合には、このスキューが余り大きくならないうちにアライニング手段で補正できる。また、用紙搬送機構全体をコンパクトに構成できる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の用紙搬送機構において、前記アライニング手段が、連続用紙の搬送時に前記連続用紙を案内するガイド板と、前記連続用紙に当接しつつ回転するアライニングローラとを備え、前記アライニングローラが用紙搬送方向に沿って前記ガイド板に近接するように配設されてなる用紙搬送機構に関する。
前記用紙搬送機構においては、連続用紙がアライニング手段を通過すると、前記アライニングローラは、連続用紙に当接しつつ回転することにより、前記連続用紙に対してガイド板に向かう方向の力を及ぼす。したがって、前記連続用紙は、前記ガイド板に向かって移動して前記ガイド板に接触し、前記ガイド板に沿って搬送されるから、前記連続用紙にスキューが生じた場合においても、前記連続用紙の前記搬送経路はガイド板に対して並行に補正されてスキューが補正される。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載の用紙搬送機構において、前記ドライブローラ部と前記アライニング手段との間に、前記連続用紙を案内する少なくとも1個の案内ローラが設けられてなる用紙搬送機構に関する。
前記用紙搬送機構においては、前記アライニング手段とドライブローラ部との間の連続用紙の搬送抵抗が小さいから、前記ドライブローラ部において、搬送速度を設定する機能がより確実に発揮される。
請求項9に記載の発明は、連続用紙を一定方向に搬送しつつ、画像を形成するプリンタであって、連続用紙を一定方向に搬送する請求項1〜8の何れか1項に記載の用紙搬送機構と、前記用紙搬送機構で搬送される連続用紙に画像を記録する記録手段とを備えてなることを特徴とするプリンタに関する。
請求項1の用紙搬送機構のところで述べたように、アライニング手段が前記ドライブローラ部および前記プリンタの記録部よりも上流側であってバックテンション手段よりも下流側に配設されていることにより、前記プリンタにおいては、たとえバックテンション手段において連続用紙にスキューが生じても、前記連続用紙は、アライニング手段で前記スキューが補正されて記録部に供給されるから、位置精度の良好な印刷が可能である。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のプリンタにおいて、前記記録手段が、露光により潜像が形成される感光ドラムと、前記感光ドラムの潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成するトナー画像形成部と、前記トナー画像形成部で形成されたトナー画像を前記連続用紙に転写する転写部と、前記転写部よりも用紙搬送方向下流に位置し、前記転写部で連続用紙に転写されたトナー画像を非接触で定着させる非接触定着部とを備える電子写真式記録手段であり、前記用紙搬送機構が備えるアライニング手段およびバックテンション手段が、前記電子写真式記録手段における転写手段よりも用紙搬送方向上流側に位置し、ドライブローラ部は、前記電子写真式記録手段における非接触定着部よりも用紙搬送方向下流側に位置するとともに、前記アライニング手段は前記バックテンション手段の下流側に位置するプリンタに関する。
前記プリンタにおいては、前記連続用紙を搬送中にスキューが生じても、前記連続用紙は、生じたスキューが前記アライニング手段で補正されて転写手段に供給され、トナー画像が転写される。したがって、位置精度の高い印刷画像が得られる。
また、電子写真式記録手段によって連続用紙に画像を形成しているから、非接触で画像を形成できる上、多数の画像を高速で形成することが容易である。また、連続用紙は、前記転写部で転写された画像が前記非接触定着部で画像が定着された状態で前記ドライブローラ部に接触する。したがって、ドライブローラ部によって擦られることによる画像の劣化が生じることはは殆どない。
前記非接触定着部としては、後述するフラッシュ定着装置など、トナー画像が転写された記録用紙を非接触で加熱して定着を行うものが挙げられる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のプリンタにおいて、前記アライニング手段は、前記バックテンション手段と一定に形成されてなるプリンタに関する。
前記プリンタにおいては、請求項6のところで述べたように、バックテンション手段の近傍にアライニング手段を配置することができるから、たとえばバックテンション手段でスキューが生じた場合には、このスキューが余り大きくならないうちにアライニング手段で補正できるうえ、プリンタ全体をコンパクトに構成できる。
請求項12に記載の発明は、請求項9〜11の何れか1項に記載のプリンタにおいて、前記アライニング手段が、連続用紙の搬送時に前記連続用紙を案内するガイド板と、前記連続用紙に当接しつつ回転するアライニングローラとを備え、前記アライニングローラが、用紙搬送方向に沿って前記ガイド板に近接するように配設されてなるプリンタに関する。
前記プリンタにおいては、アライニングローラとガイドプレートとが請求項7のところで説明したように機能して、前記ガイドプレートに対して平行になるように連続用紙の搬送経路を補正する。
請求項13に記載の発明は、請求項9〜12の何れか1項に記載のプリンタにおいて、前記アライニング手段と前記バックテンション手段とは、連続用紙が略円筒状に屈曲した状態で搬送されるR部に設けられてなるプリンタに関する。
前記R部においては、連続用紙は略円筒状に屈曲された状態で搬送されるから、巾方向の座屈に強い。したがって、アライニング手段がガイド板とアライニングローラとを備える場合において、連続用紙がアライニングローラによってガイドローラに強く押圧されることによる連続用紙の側縁の変形を効果的に防止できる。
請求項14に記載の発明は、請求項9〜13の何れか1項に記載のプリンタにおいて、前記非接触定着装置がフラッシュ定着装置であるプリンタに関する。
前記プリンタにおいては、連続用紙に転写されたトナー画像はフラッシュ定着装置で急速加熱されて非接触で熱定着されるから、熱定着後のトナー画像がドライブローラ部等に付着してドライブローラ部を汚すことがない。
以上説明したように、本発明によれば、連続用紙を一定方向に搬送しつつ、画像を形成するプリンタにおいて前記連続用紙を搬送する用紙搬送機構であって、前記連続用紙に過大な負担をかけることなく、所定の搬送経路を案内できる用紙搬送機構、および前記用紙搬送機構を備えるプリンタが提供される。
以下、図面を参照して本発明の形態の一例を詳細に説明する。
図1に示すように、実施形態1に係る連帳プリンタ1000は、連続用紙Pを搬送方向aに沿って搬送しながら画像を記録する画像記録部2と、搬送方向aに沿って画像記録部2の下流側に位置するドライブローラ部3と、搬送方向aに対して画像記録部2よりも上流側に設けられた送出し部4とを有する。画像記録部2は、本発明のプリンタにおける記録手段に相当し、中でも電子写真式記録手段に相当する。
画像記録部2は、図1において矢印bで示すように時計回り方向に回転するとともに、表面にトナー画像が形成される感光ドラム20と、感光ドラム20の表面を帯電させる帯電コロトロン24と、回転方向bに沿って帯電コロトロン24よりも下流側に位置し、感光ドラム20を像様露光して潜像を形成するLED露光光学系26と、LED露光光学系26で感光ドラム20の表面に形成された潜像にトナーを付着させて現像する現像部28と、感光ドラム20に形成されたトナー画像を連続用紙Pに転写する転写部22とを備える。現像部は、本発明のプリンタにおけるトナー画像形成部に相当する。
感光ドラム20は、図1において矢印bで示すように時計回り方向に回転する。そして、帯電コロトロン24、LED露光光学系26、現像部28、および転写部22は、矢印bの示す方向に従って感光ドラム20を取り囲むように配置されている。
転写部22には、感光ドラム20に臨むように転写コロトロン22Aが設けられている。
転写部22の回転方向bに沿って下流側には、感光ドラム20の表面を除電させる除電コロトロン27、および除電コロトロン27で除電した感光ドラム20の表面からトナーを除去するクリーナ29が設けられている。
搬送方向aに沿って転写部22の下流側にはフラッシュ定着装置21が設けられている。フラッシュ定着装置21は、本発明のプリンタの備える非接触定着手段に相当する。転写部22とフラッシュ定着装置21との間、およびフラッシュ定着装置21とドライブローラ部3との間には、転写部22を通過した連続用紙Pをフラッシュ定着装置21に案内する案内ローラ群52およびフラッシュ定着装置21を通過した連続用紙Pをドライブローラ部3に案内する案内ローラ群54が設けられている。案内ローラ群52および案内ローラ群54は、何れも搬送方向aに沿って配設され、搬送方向aに対して直角な回転軸の回りに従動回転する一群の搬送ローラから構成されている。
送出し部4には、搬送方向aに沿って上流側から下流側に向かって送出しローラ群46、バックテンション部44、およびアライニング部42が設けられている。バックテンション部44およびアライニング部42は、連続用紙Pを略円筒状に湾曲した搬送経路に沿って案内する部分円筒状のRガイド部48に設けられている。Rガイド部48によって連帳プリンタ1000におけるR部が構成される。Rガイド部48の片側には、扇形のガイドプレート47が設けられている。バックテンション部44およびアライニング部42は、夫々本発明の用紙搬送機構におけるバックテンション手段およびアライニング手段に相当する。そして、ガイドプレート47は、前記アライニング手段の備えるガイド板に相当する。
バックテンション部44、アライニング部42、およびその近傍の構成の詳細を図2、図3、および図5に示す。なお、図2において(A)は、バックテンション部44、アライニング部42、およびその近傍の全体的な構成を示し、(B)は、(A)において円で囲んだ部分の拡大図である。
図2に示すように、アライニング部42は、Rガイド部48の外側に軸支されているアライニングローラ42Aと、Rガイド部48に設けられた開口部48Bにおいてアライニングローラ42Aに相接するようにRガイド部48の内側に軸支されているバックアップローラ42Bとを備えている。アライニングローラ42Aとバックアップローラ42Bとは、何れも連続用紙Pに当接しつつ従動回転するとともに、連続用紙Pの巾wに対して充分に巾の狭い従動ローラであり、搬送方向aに沿ってガイドプレート47に向かうようにガイドプレート47に対して斜めに設けられている。アライニングローラ42Aの端面とガイドプレート47との成す角度θは、適宜定めることができるが、通常は5〜45度の範囲に設定される。また、バックアップローラ42Bの端面のガイドプレート47に対する角度も、アライニングローラ42Aと同様に通常は5〜45度の範囲に設定することができる。
このように、アライニングローラ42Aおよびバックアップローラ42Bの何れも搬送方向aに沿ってガイドプレート47に向かうように斜めに設けられているから、連続用紙Pがアライニングローラ42Aとバックアップローラ42Bとの間を通過すると、アライニングローラ42Aおよびバックアップローラ42Bが従動回転し、アライニングローラ42Aおよびバックアップローラ42Bと連続用紙Pとの間の摩擦により、連続用紙Pにはガイドプレート47に向かう方向の力fが及ぼされる。これによって連続用紙Pはガイドプレート47に押圧されてスキューが補正され、連続用紙Pは正しい搬送経路で搬送される。
バックテンション部44は、図2の(B)および図5に示すように、Rガイド部48の内側に軸支されたバックテンション駆動ローラ44Aと、Rガイド部48の外側に設けられたバックテンションピンチローラ44Bとを有する。バックテンション駆動ローラ44Aは、搬送方向aに対して直角な方向に沿って複数配列された一群のローラからなり、駆動モータ(図示せず。)により、搬送方向aに対して直角な回転軸の回りに所定の回転速度で回転する。一方、バックテンションピンチローラ44Bは、搬送方向aに対して直角な方向に沿って複数配列された一群の従動ローラであって、Rガイド部48の搬送方向aに沿って開口部48Aよりも上流側の部分に搬送方向aに対して直角な方向に沿って開口する開口部48Bにおいて、バックテンション駆動ローラ44Aと相接するとともに、所定の押圧力でバックテンション駆動ローラ44Aに押圧されている。バックテンション駆動ローラ44Aおよびバックテンションピンチローラ44Bは、本発明の用紙搬送機構の備えるバックテンションローラ機構における駆動ローラおよびピンチローラに夫々対応する。
なお、図2に示すように、アライニング部42およびバックテンション部44は、何れもバックテンションユニット40に纏められている。そして、アライニングローラ42A、バックアップローラ42B、およびバックテンション駆動ローラ44Aは何れもバックテンションユニット40に軸支されている。
一方、バックテンションピンチローラ44Bは、図2の(B)および図3に示すように、L字型のリンク44Cの一端部に2個づつ軸支されている。リンク44Cは、軸44Dにおいてバックテンションユニット40に軸支されている。リンク44Cの他端には、コイルバネ44Eが設けられている。コイルバネ44Eの他端は、後述する偏心カム受け部材44Fに固定されている。なお、偏心カム受け部材44Fもまた、バックテンションユニット40に固定されている。したがって、リンク44Cは、コイルバネ44Eによって図3において時計回りの方向、即ちバックテンション駆動ローラ44Aに向かう方向に付勢される。
偏心カム受け部材44Fとリンク44Cとの間には、偏心カム44Gが設けられている。偏心カム44Gは、リンク44Cに当接しつつ偏心回転する円筒状の部材であって偏心して設けられた回転軸においてバックテンションユニット40に軸支されている。
リンク44C、偏心カム44G、およびコイルバネ44Eもまた、搬送方向aに対して直角な方向に沿って複数配列されている。
リンク44Cおよびコイルバネ44Eは、バックテンション駆動ローラ44Aに向かうピンチ圧をバックテンションピンチローラ44Bに付与するピンチ圧付与手段ということができ、偏心カム44Gは、前記ピンチ圧を増減させるピンチ圧制御手段ということができる。
バックテンション駆動ローラ44Aは、駆動モータ(図示せず。)により、連続用紙Pが搬送方向aに沿って搬送されるとき、言い換えれば前進時には、ドライブローラ部3における送り速度よりも遅い周速で搬送方向aと同方向に回転し、連続用紙Pが搬送方向aとは反対の方向に搬送されるとき、言い換えれば後退時には、ドライブローラ部3における送り速度よりも速い周速で搬送方向aとは反対の方向に回転する。
これにより、連続用紙Pに張力が付与される。
バックテンションピンチローラ44Bをバックテンション駆動ローラ44Aに押圧する押圧力、即ちピンチ圧は、リンク44Cの一端に加えられるコイルバネ44Eの荷重を切り替えることにより増減させている。前記コイルバネ44Eの荷重を切り替える動作について以下に説明する。
図4において実線で示すように、偏心カム44Gにおける回転中心から外周面までの距離の大きな部分がリンク44Cに当接しているときは、リンク44Cは、コイルバネ44Eの収縮力に抗して反時計回り方向、換言すればバックテンション駆動ローラ44Aから遠ざる方向に回動する。したがって、バックテンションピンチローラ44Bがバックテンション駆動ローラ44Aに及ぼすピンチ圧は低くなる。
一方、図4において二点鎖線で示すように、偏心カム44Gが回動し、回転中心から外周面までの距離の小さな部分がリンク44Cに当接しているときは、リンク44Cは、コイルバネ44Eの収縮力によって時計回り方向、換言すればバックテンション駆動ローラ44Aに向かう方向に回動するから、バックテンション駆動ローラ44Aにより強く押圧される。したがって、バックテンションピンチローラ44Bがバックテンション駆動ローラ44Aに及ぼすピンチ圧は高くなる。
連続用紙Pが前進するときは、ステッピングモータによって偏心カム44Gが図4において実線で示す位置に回転することにより、前記ピンチ圧は低い圧力に設定される、一方、連続用紙Pが後退するときは、偏心カム44Gが図4において二点鎖線で示す位置に回転することにより、前記ピンチ圧はより高い圧力に設定される。これにより、前記ピンチ圧は、連続用紙Pの後退時においては前進時よりも高い押圧力に変更される。
以上、コイルバネ44Eによってバックテンションピンチローラ44Bをバックテンション駆動ローラ44Aに押圧する例について説明したが、バックテンションユニット40においては、バックテンションピンチローラ44Bをバックテンション駆動ローラ44Aに向かって付勢するのに、コイルバネ44Eに替えて板バネや捻りコイルバネ、捻り棒バネなどの各種バネを用いることができる。
ドライブローラ部3は、ドライブローラ32と、連続用紙Pをドライブローラ32に押圧しつつドライブローラ32と同一の周速で回転するピンチローラ34とから構成されている。ドライブローラ32は、連続用紙Pの搬送速度を設定する機能を有し、連続用紙Pを高い精度の搬送速度で搬送できるように、表面が金属などの硬質の材料で形成されている。そして、駆動モータなどの適宜の駆動手段により、所定の回転速度で回転する。一方、ドライブローラ32と連続用紙Pとの間に滑りが生じないように、連続用紙Pは、ピンチローラ34によってドライブローラ32に押圧される。
以下、連帳プリンタ1000の作用について説明する。
画像記録部2においては、感光ドラム20は、帯電コロトロン24によって表面が帯電され、LED光学系26によって像様露光されて表面に潜像が形成される。そして、現像部28において前記潜像にトナーが付着されてトナー画像が形成される。
表面のトナー画像を連続用紙Pに転写後の感光ドラム20は、除電コロトロン27によって除電され、連続用紙Pに転写されないで表面に残存しているトナーは、クリーナ29によって除去される。
送出し部4に供給された連続用紙Pは、送出しローラ群46、バックテンション部44、およびアライニング部42をこの順で通過して転写部22に導入される。
転写部22に導入された連続用紙Pは、転写コロトロン22Aによって、前記トナー画像を形成するトナーとは反対の極性に帯電される。これにより、感光ドラム20表面のトナー画像は連続用紙Pに転写される。
転写部22においてトナー画像が転写された連続用紙Pは、案内ローラ群52によってフラッシュ定着装置21に案内され、フラッシュ定着装置21においてフラッシュ光を照射されることにより瞬間的に加熱される。これにより、トナーが溶融してトナー画像が連続用紙Pの表面に定着される。
フラッシュ定着装置21でトナー画像が定着された連続用紙Pは、案内ローラ群54によってドライブローラ部3に導入され、ドライブローラ部3から外部に導出される。
一方、表面のトナー画像を連続用紙Pに転写後の感光ドラム20は、除電コロトロン27によって除電され、連続用紙Pに転写されないで表面に残存しているトナーは、クリーナ29によって除去される。
ドライブローラ部3においては、連続用紙Pとドライブローラ32およびピンチローラ34との間でスリップが生じないように、ピンチローラ34は所定のピンチ圧でドライブローラ32に押圧されている。そして、ドライブローラ32とピンチローラ34とは同一の周速で互いに反対方向に回転する。したがって、連続用紙Pは、ドライブローラ32の周速と等しい搬送速度で搬送され、換言すれば、ドライブローラ32の周速を設定することにより、連続用紙Pの搬送速度が設定される。
一方、バックテンション部44においては、バックテンションピンチローラ44Bがバックテンション駆動ローラ44Aに向かって所定のピンチ圧で押圧されることにより、連続用紙Pは、バックテンションピンチローラ44Bとバックテンション駆動ローラ44Aとによって前記ピンチ圧で両面から挟まれた状態になる。そして、前述のようにバックテンション駆動ローラ44Aおよびバックテンションピンチローラ44Bは、ドライブローラ部3の上流側に位置するとともに、連続用紙Pの前進時にはドライブローラ32の周速よりも低い周速で、連続用紙Pの後退時にはドライブローラ32の周速よりも高い周速で何れの場合もドライブローラ32と同方向に回転するから、連続用紙Pは搬送方向とは反対の方向に引張られ、これによって連続用紙Pには前進時および後退時の何れの場合にも張力が付与される。
連続用紙Pにスキューが生じた場合のアライニング部42の作用について以下に説明する。
連続用紙Pに、搬送方向aに沿ってガイドプレート47に近接する方向のスキューが生じた場合について説明する。
連続用紙Pに前記方向のスキューが生じたところを図6に示す。アライニングローラ42Aからは、前述のように連続用紙Pにガイドプレート47に向かう方向の力fが及ぼされるから、連続用紙Pはガイドプレート47に向かって移動する。そして、図7に示すように、連続用紙Pの一方の側縁がガイドプレート47の下流側末端部に当接する。連続用紙Pは、図7に示す状態から、更に、前記力fによってガイドプレート47に押圧されるが、連続用紙Pは略円筒状に屈曲しているから、座屈変形に強い。したがって、連続用紙Pは側縁部において変形することなく、図8に示すようにガイドプレート47に対して並行になるように搬送経路が移動する。これによって前記スキューは補正される。
次に、連続用紙Pに、搬送方向aに沿ってガイドプレート47から遠ざかる方向のスキューが生じた場合について説明する。
連続用紙Pに前記方向のスキューが生じた例を図9に示す。ガイドプレート47に近接する方向のスキューが生じた場合と同様に、アライニングローラ42Aから連続用紙Pにガイドプレート47に向かう方向の力fが及ぼされるから、連続用紙Pはガイドプレート47に向かって移動する。そして、図10に示すように、連続用紙Pの一方の側縁がガイドプレート47の上流側末端部に当接する。連続用紙Pは、図10に示す状態から、更に、前記力fによってガイドプレート47に押圧されるが、連続用紙Pは略円筒状に屈曲しているから、座屈変形に強い。したがって、連続用紙Pは側縁部において変形することなく、図5に示すようにガイドプレート47に対して並行になるように搬送経路が移動する。これによって前記スキューは補正される。
なお、上記の実施形態ではアライニング部42とバックテンション部44とをバックテンションユニット40として一体に構成していたが、アライニング部42をバックテンション部44から離して転写部22の近傍に設けてもよい。
更に、連続用紙Pの両面に印刷を行うときは、図1に示す連帳プリンタ1000を2台直列に接続し、たとえば上流側の連帳プリンタ1000では連続用紙Pの表側に印刷を行い、下流側の連帳プリンタ1000では裏側に印刷を行うようにしてもよい。
実施形態1の連帳プリンタ1000においては、ドライブローラ部3が搬送方向aに沿って転写部22の下流側に設けられているとともに、アライニング部42はバックテンション部44の下流側に隣接して設けられている。
したがって、ドライブローラ部3とアライニング部42との距離を大きくとることができるから、アライニング部42においてスキュー補正機能を安定に発揮させることができ、連続用紙Pの巾方向における印字位置のずれをより効果的に防止できる。
また、特許文献1に記載の印刷装置とは異なり、アライニング部42はバックテンション部44よりも下流側に設けられているから、アライニング部42で連続用紙Pのスキューを除去した後に、連続用紙Pに再びスキューが生じることを効果的に防止できる。
加えて、バックテンション部44としてバックテンション駆動ローラ44Aとバックテンションピンチローラ44Bとで連続用紙Pを挟む形態のものを用いているから、特許文献1に記載したように張力付与手段として真空ブレーキを用いるものとは異なり、バックテンション駆動ローラ44Aとバックテンションピンチローラ44Bとの間のピンチ圧を制御することにより、連続用紙Pに加わる張力を安定に制御できる。また、ピンチ圧を一定に制御すれば、連続用紙Pに加わる張力も殆ど一定に制御できる。
加えて、前述のように、連続用紙Pの前進時には後退時よりもバックテンション部44のピンチ圧を弱くしているから、連続用紙Pに付与されるテンションそのものも、前進時においては後退時よりも弱くなる。ここで、連続用紙Pを前進方向に搬送する搬送距離は、後退方向に搬送する搬送距離よりもずっと長いから、ドライブローラ部3およびバックテンション部44を駆動する駆動系にかかる負担を低減できる。
また、バックテンション駆動ローラ44Aとバックテンションピンチローラ44Bとによって連続用紙Pが擦られる度合いが小さくなるから、連続用紙Pの表面にテカリが生じて画像品質が低下することが防止される。
更に、ドライブローラ部3やバックテンション部44、案内ローラ群52、案内ローラ群54を構成する夫々のローラ、Rガイド部48、およびガイドプレート47の並行度にはどうしても若干の誤差がある。また、前進時の方が後退時よりも搬送速度が速い。したがって、前進時に連続用紙Pに過大なテンションを加えるとスキューが生じる可能性がある。
しかし、連帳プリンタ1000においては、前進時のテンションを低く抑えることができるから、前記各ローラやRガイド部48、ガイドプレート47の並行度が完全に出ていなくても前進時にスキューが生じ難い。尚、後退時には用紙に強いテンションを掛けるが、後退時の搬送速度は遅いので、スキューが生じる可能性は小さい。
なお、連帳プリンタ1000においては画像記録部2として電子写真型記録装置を用いた例について説明したが、画像記録部2は、連続式インクジェット式記録装置、バブルジェット(登録商標)式記録装置、ピエゾ素子型インクジェット式記録装置、静電型インクジェット式記録装置、昇華型感熱記録装置、熱溶融型感熱記録装置、インパクト式記録装置などであってもよい。