JP2005230877A - ワーク位置決め装置およびワーク位置決め方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 位置決め孔が水平面に対し傾斜した面に設けてある車体部品であっても、構造の複雑化および大型化を防止して位置決めを行えるようにする。
【解決手段】 位置決めピン1は、可動台5,可動脚7および可動板9の3つの移動体が互いに直交する方向に移動して3軸方向に移動可能であるとともに、可動板9に保持アーム11を介して取り付けたピン保持ブラケット11を、サーボモータ15によって回転させることで回転可能である。位置決めピン1は、さらに四角形状の軸部19aによって、ピン保持ブラケット13先端の揺動回転支持部21を介してサーボモータ15による回転方向と同方向に揺動可能である。揺動回転支持部21は、一対の挟持ブロックをスプリングによって軸部19aに対して弾性的に押圧して軸部を19a保持する中間保持状態と、挟持ブロックをエア圧によって軸部19aに押し付けて軸部19aを保持する固定保持状態とに変位する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ワークに形成した位置決め孔に位置決めピンを挿入して位置決めを行うワーク位置決め装置およびワーク位置決め方法に関する。
一般に、自動車の車体組立工程において、車体パネルなどの車体部品に対して溶接作業を行うときなどに、車体部品を位置決めする必要があり、このとき車体部品に形成した位置決め孔に位置決めピンを挿入して位置決めを行っている(例えば下記特許文献1参照)。
特公昭62−11949号公報
ところで、車体部品の位置決め孔に挿入する位置決めピンは、一般に、車体部品に対して車体前後方向,車幅方向および上下方向の直交3軸方向に移動可能となっている。
また、車体部品が水平面に対して傾斜した面に位置決め孔を有す場合には、位置決めピンは、上記直交3軸方向に加え、位置決めピンの先端を揺動させる角度軸を設ける必要がある。そして、この場合、角度軸によって位置決めピンを所定の角度に設定した状態で、位置決め孔に挿入するために、位置決め孔に向けて移動させるアクチュエータが別途必要となる。
このように、位置決め孔が水平面に対して傾斜した面に設けてある車体部品の場合には、直交3軸方向および角度軸方向のアクチュエータに加え、位置決め孔に向けて移動させる別のアクチュエータが必要となることから、位置決め装置として構造が複雑化し大型化する傾向にあり、改善が望まれている。
そこで、本発明は、位置決め孔が水平面に対して傾斜した面に設けてある車体部品であっても、位置決め装置として構造の複雑化および大型化を防止して位置決めを行えるようにすることを目的としている。
本発明は、ワークに形成した位置決め孔に挿入する位置決めピンを揺動回転支持部に支持させ、この揺動回転支持部は、前記位置決めピンの先端側が所定角度揺動回転可能となる中間保持状態と、前記位置決めピンを前記位置決め孔に挿入完了した時点で、前記位置決めピンの揺動回転動作を規制する固定保持状態とに変位することを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、中間保持状態にある位置決めピンの先端側を位置決め孔に挿入後、さらに位置決めピンを位置決め孔に完全に挿入した時点で固定保持状態とすることで、位置決め孔が水平面に対して傾斜した面に設けてある車体部品であっても、位置決めピンを位置決め孔に向けて移動させるアクチュエータを別途設けることなく、位置決め装置として構造の複雑化および大型化を防止して位置決めを行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係わる位置決め装置の全体構成を示す正面図である。この位置決め装置は、位置決めピン1を、例えば自動車の車体パネルなどのワークW(図6参照)に形成した位置決め孔Waに挿入してワークWの位置決めを行うもので、基台3上に、可動台5を図1中で紙面に直交する方向に移動可能に設け、可動台5上に、可動脚7を図1中で左右方向に移動可能に設け、さらに可動脚7の側面に、可動板9を図1中で上下方向に移動可能に設ける。
上記した可動台5,可動脚7,可動板9のそれぞれの移動は、図示していないが、例えばサーボモータなどのアクチュエータによって回転するボールねじ機構によってなされ、これにより位置決めピン1は、互いに直交する3軸方向に移動可能となる。
そして、上記した可動板9の可動脚7と反対側には、図2にも拡大して示すように、保持アーム11を設け、保持アーム11の先端にはピン保持ブラケット13を取り付ける。ピン保持ブラケット13は、サーボモータ15によって保持アーム11に対し、矢印Aで示す方向に回転可能である。
ピン保持ブラケット13は、先端上面に取付板13aを備え、図2のB矢視図である図3に示すように、取付板13a上に、左右一対の揺動支持脚16を立設している。
一方前記した位置決めピン1は、ピンハウジング17に固定してあり、ピン保持ハウジング17の両側部には、位置決めピン1の軸方向に直交する方向(図3中で左右方向)に延長される支持軸19を突出して設けてある。この支持軸19の先端側は、断面形状が正方形となる断面多角形状の軸部19aを備えている。この軸部19aを、前記した揺動支持脚16上部の揺動回転支持部21が、位置決めピン1の先端側が揺動回転可能となるよう支持する。
揺動回転支持部21は、図3の拡大したC−C断面図である図4に示すように、軸部19aの両側に位置する一対のハウジング23を備え、このハウジング23の図2,図4中で紙面裏側の側面の一部を揺動支持脚16に固定している。支持軸19は、支持脚16に対し回転可能に支持されている。
上記した一対のハウジング23は、互いに対向する側が開口していて、その開口部23aから、一対の挟持部材としての挟持ブロック25を互いに接近離反する方向に移動可能に収容している。すなわちこの一対の挟持ブロック25は、軸部19aの軸方向(図4中で紙面に直交する方向)と直交する方向両側から接近離反移動可能である。この挟持ブロック25の外周面とハウジング23の内周面との間には、シール材27を設けている。
上記した挟持ブロック25は、断面形状が正方形の軸部19aの形状に対応して整合し、その正方形の角部を収容する凹部25aを備えている。凹部25aは、軸部19aの互いに隣接する2つの辺にそれぞれ密着する2つの傾斜面25b,25cを備えている。
また、前記したハウジング23内の空間29には、エア供給ノズル31を接続し、エア供給ノズル31に接続したエア配管33には、電磁切替弁35を介してエア供給源37を接続する。エア供給源37からの流体としてのエアを前記した空間29に供給することで、挟持ブロック25を軸部19aに押し付け、これにより位置決めピン1の揺動回転動作を規制する固定保持状態とする。
また、前記した空間29内には、挟持ブロック25と反対側のハウジング23の端面から調整ねじ39をねじ込んでいる。そして、一対の挟持ブロック25が図4のように軸部19aを挟持した状態で、調整ねじ39の先端と挟持ブロック25との間に、隙間Sを設けている。
さらに、上記した調整ねじ39の外周に設けたスプリング41を、挟持ブロック25とハウジング23との間に介装し、このスプリング41により挟持ブロック25を軸部19aに向けて押し付けて図4に示す状態を保持する。この場合、前記したエア圧による固定保持状態を解除した状態で、上記したスプリング41によって図4に示す状態となり、このスプリング41のみによる軸部19aへの押圧状態を中間保持状態とする。
上記したスプリング41の軸部19aへの押付力は、前記したエア圧による押付力に比べて弱く、位置決め孔Waに挿入する際の位置決めピン1が、位置決め孔Waの縁部に接触するなどして他の部位に干渉したときに、軸部19aが一対の挟持ブロック25を互いに離反する方向に移動させ得る程度のものとしている。
図5は、上記した中間保持状態にて軸部19aが図4の位置から所定角度回転し、一対の挟持ブロック25が、互いに離反する方向に移動して調整ねじ39の先端に当接した状態を示している。上記した所定角度としては5度〜10度程度とする。このた所定角度は、調整ねじ39を調整することで変更することができる。調整ねじ39のハウジング23の外部には、調整ねじ39を適宜調整位置にて固定する固定用ナット43を設けている。
次に、図6〜図12を用いて作用を説明する。
ここでは、ワークWが水平面に対して傾斜した部分を有し、この傾斜部分に形成してある位置決め孔Waに位置決めピン1を挿入して位置決めを行う。まず、前記図1に示したように、可動台5,可動脚7および可動板9を、互いに直交する3軸方向、すなわち図1中で左右方向,紙面に直交する方向および上下方向にそれぞれ移動させるとともに、図2に示してあるサーボモータ15を駆動してピン保持ブラケット13を回転させて、図6に示すように、位置決めピン1をワークWの位置決め孔Waの下方に位置させる。この動作中には、エア供給源37からのエアをハウジング23内の空間29に供給して一対の挟持ブロック25を軸部19aに押し付け、位置決めピン1を固定保持状態とする。
図6の状態とした後、可動板9をさらに上昇させて図7に示すように、位置決めピン1の先端が位置決め孔Waの直下に位置するか、あるいは先端が僅かに入り込む状態とし、この図7の状態で空間29へのエアの供給を解除して位置決めピン1を中間保持状態とする。
上記図7の中間保持状態で、図8に示すように、可動板9をさらに上昇させることにより、位置決めピン1が位置決め孔Waの周縁に接触し、軸部19aが例えば前記図5に示したように挟持ブロック25をスプリング41の弾性力に抗して押圧移動させて回転する。すなわち、位置決めピン1は、位置決め孔Waに倣って揺動することになる。
位置決めピン1の上記した上昇動作によって軸部19aがこれ以上回転しなくなったら、図9に示すように、可動脚7を移動させて位置決めピン1を左右方向に移動させることにより、中間保持状態の位置決めピン1が位置決め孔Waの周縁に接触して、上記と同様にして位置決めピン1が位置決め孔Waに倣ってさらに揺動する。
その後、図10,図11と、上記した図8,図9の動作を繰り返し行うことで、位置決めピン1が徐々に位置決め孔Waに入り込んでいき、最終的に、図12に示すように、位置決めピン1を位置決め孔Waに完全に挿入する。この状態で、エア供給源37からのエアを空間29に供給して挟持ブロック25を軸部19aに押し付け、位置決めピン1を固定保持状態とする。これにより位置決め作業が完了する。
このように、上記した本発明の実施形態によれば、ワークWの水平面に対して傾斜した部分に形成した位置決め孔Waに位置決めを行う際に、互いに直交する3軸方向の移動および、ピン保持ブラケット13の回転移動の他には、位置決めピン1を位置決め孔Waに向けて移動させるためのアクチュエータが不要であり、位置決めピン1と一体となっている軸部19aを、一対の挟持ブロック25を備えた揺動回転支持部21により、中間保持状態と固定保持状態とに変位させればよい。
このため、位置決め孔Waが水平面に対して傾斜した面に設けてある車体部品であっても、位置決めピン1を位置決め孔Waに向けて移動させるためのアクチュエータを別途設けることなく、位置決め装置として構造の複雑化および大型化を防止して位置決めを行うことができる。
なお、一対の挟持ブロック25を軸部19aに押し付けるスプリング41は、設けなくてもよい。この場合には、位置決めピン1を位置決め孔Waに挿入する前の状態では、軸部19aが図5に示すように一対の挟持ブロック25を互いに離反する方向に移動させ、挟持ブロック25が調整ねじ39に接触した状態となる。
本発明によれば、前記位置決めピンに、その軸方向と直交する方向に延長されて、前記揺動回転支持部が支持する断面多角形状の軸部を設け、前記揺動回転支持部は、前記軸部に対してその軸方向と直交する方向両側から接近離反移動可能な一対の挟持部材を備え、この一対の挟持部材は、前記軸部の多角形状部に整合する形状を前記軸部に対向する面に備えて前記軸部を前記中間保持状態と前記固定保持状態とに保持するので、位置決めピンを中間保持状態にて所定角度揺動回転可能に保持できるとともに、固定保持状態にて確実に固定保持することができる。
前記一対の挟持部材をハウジング内に移動可能に収容し、前記挟持部材の前記軸部と反対側の前記ハウジングの端面に設けた調整ねじの先端と前記挟持部材との間に隙間を設けて前記中間保持状態を確保する一方、前記ハウジング内に供給する流体の圧力により、前記挟持部材を前記軸部に向けて押圧して前記固定保持状態とするので、調整ねじを調整することで、挟持部材との間の隙間の寸法を変更でき、これにより位置決めピンの揺動回転角度を容易に変更でき、また流体圧力を挟持部材に付与することで、軸部の固定保持状態を確実なものとすることができる。
前記挟持部材を前記軸部に押圧するスプリングを設け、このスプリングの弾性力によって前記中間保持状態とするので、位置決めピンは、中間保持状態で位置決め孔の縁部に接触するなどした場合に、スプリングの弾性力に抗して容易に揺動することになる。
本発明の一実施形態に係わる位置決め装置の全体構成を示す正面図である。 図1の要部の拡大した正面図である。 図2のB矢視図である。 図3の拡大したC−C断面図である。 図4に示す軸部が所定角度回転した状態を示す動作説明図である。 図1の位置決め装置による作用説明図で、位置決めピンをワークの位置決め孔の下方に位置させた状態を示す。 図1の位置決め装置による作用説明図で、図6の状態から位置決めピンをさらに上昇させた状態を示す。 図1の位置決め装置による作用説明図で、図7の状態から位置決めピンをさらに上昇させて位置決め孔の周縁に接触させた状態を示す。 図1の位置決め装置による作用説明図で、図8の状態から位置決めピンを左右方向に移動させて位置決め孔の周縁に接触させた状態を示す。 図1の位置決め装置による作用説明図で、図8の動作の繰り返しを示す。 図1の位置決め装置による作用説明図で、図9の動作の繰り返しを示す。 図1の位置決め装置による作用説明図で、位置決めピンを位置決め孔に完全に挿入した状態を示す。
符号の説明
W ワーク
Wa ワークの位置決め孔
S 調整ねじの先端と挟持ブロックとの隙間
1 位置決めピン
19a 軸部
21 揺動回転支持部
23 ハウジング
25 挟持ブロック(挟持部材)
39 調整ねじ
41 スプリング

Claims (5)

  1. ワークに形成した位置決め孔に挿入する位置決めピンを揺動回転支持部に支持させ、この揺動回転支持部は、前記位置決めピンの先端側が所定角度揺動回転可能となる中間保持状態と、前記位置決めピンを前記位置決め孔に挿入完了した時点で、前記位置決めピンの揺動回転動作を規制する固定保持状態とに変位することを特徴とするワーク位置決め装置。
  2. 前記位置決めピンに、その軸方向と直交する方向に延長されて、前記揺動回転支持部が支持する断面多角形状の軸部を設け、前記揺動回転支持部は、前記軸部に対してその軸方向と直交する方向両側から接近離反移動可能な一対の挟持部材を備え、この一対の挟持部材は、前記軸部の多角形状部に整合する形状を前記軸部に対向する面に備えて前記軸部を前記中間保持状態と前記固定保持状態とに保持することを特徴とする請求項1記載のワーク位置決め装置。
  3. 前記一対の挟持部材をハウジング内に移動可能に収容し、前記挟持部材の前記軸部と反対側の前記ハウジングの端面に設けた調整ねじの先端と前記挟持部材との間に隙間を設けて前記中間保持状態を確保する一方、前記ハウジング内に供給する流体の圧力により、前記挟持部材を前記軸部に向けて押圧して前記固定保持状態とすることを特徴とする請求項2記載のワーク位置決め装置。
  4. 前記挟持部材を前記軸部に押圧するスプリングを設け、このスプリングの弾性力によって前記中間保持状態とすることを特徴とする請求項3記載のワーク位置決め装置。
  5. 位置決めピンを、その先端側が揺動回転可能となるよう揺動回転支持部に支持させる中間保持状態で、ワークに形成した位置決め孔に挿入し、この中間保持状態から、前記位置決めピンを前記位置決め孔に挿入完了した時点で、前記揺動回転支持部を、前記位置決めピンの揺動回転動作を規制する固定保持状態に変位させることを特徴とするワーク位置決め方法。
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