JP2005229877A - 高栄養ゼリー状食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 製品100g当たりカロリーが100kcal以上、並びに蛋白質が5g以上であり、100℃を超える温度で加熱殺菌されてなる高栄養ゼリー状食品であって、豆乳及び/又はペースト状豆腐と増粘多糖類を配合する高栄養ゼリー状食品。
【選択図】 無し
Description
特に、飲み込むときにむせてしまい、誤嚥を起こす心配がある場合には、食事を十分に楽しむことができないばかりか、摂食できる食事量が少なくなり、蛋白質・エネルギーの低栄養状態になりやすい問題がある。
そのような場合の食事としては、やわらかくて飲み込みやすいゼリー状の食事、詳しくは、口腔内に入れた時に、滑らかで、変形しやすく、適度な流動性と粘度を有し、付着性と曳糸性がないゼリー状の食事であること、また、少量の食事でも十分なカロリーと栄養素を摂食できる高栄養食であることが望まれる。
さらに、クオリティオブライフ(以下QOLと略)、つまり、生活の質を向上させる観点からは、食べる喜びが味わえるような、美味しくてバラエティーに富んだ食事であることが望まれる。
しかしながら、このようにして製した高栄養ゼリー状食品は、べたつきのある食感を有することに加えて、肉、魚介類、野菜等のペースト状物の配合量を増やすほど、よりざらつきのある物性となる傾向があり、依然として十分に飲み込みやすい食事とはいえないものであった。
さらに、これに肉、魚介類及び野菜の少なくとも一種又は二種以上のペースト状物を配合しても、ざらついた食感となることがなく嚥下しやすい高栄養ゼリー状食品が得られることを見出し遂に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 製品100g当たりカロリーが100kcal以上、並びに蛋白質が5g以上であり、100℃を超える温度で加熱殺菌されてなる高栄養ゼリー状食品であって、豆乳及び/又はペースト状豆腐と増粘多糖類を配合する高栄養ゼリー状食品、
(2) 肉、魚介類及び野菜の少なくとも一種又は二種以上のペースト状物を配合する(1)記載の高栄養ゼリー状食品、
(3) 咀嚼・嚥下困難者用である(1)又は(2)記載の高栄養ゼリー状食品、
である。
さらに、本発明の高栄養ゼリー状食品は、肉、魚介類又は野菜の少なくとも一種又は二種以上のペースト状物を配合しても、ざらついた食感となることがなく嚥下しやすい物性となる。
まず、本発明において、高栄養食品とは、カロリー及び蛋白質がそれぞれ、100g当り100kcal以上及び5g以上である食品をいう。少量の食事で十分な栄養を摂取する点から、カロリーは100g当り120kcal以上が好ましく、130kcal以上がより好ましい。同様に、蛋白質は、100g当り6g以上が好ましく、8g以上がより好ましい。
高栄養ゼリー状食品は、高栄養となるほどべたついた食感が増す傾向があるが、本発明によると、このようなべたついた食感となりやすい高栄養ゼリー状食品であっても、嚥下しやすい物性となる。
これらのうち、耐熱性容器に充填密封後に加熱殺菌された高栄養ゼリー状食品は、アセプティック包装と呼ばれる方法で製されたものに比べて過度な熱がかかるため、嚥下しやすい物性とすることが難しい。しかしながら、本発明のゼリー状高栄養食品は、過度な熱がかかるにもかかわらず、嚥下しやすい物性となることを特徴とするので、このような耐熱性容器に充填密封後、100℃を超える温度で加熱殺菌された高栄養ゼリー状食品、特に長期常温保存を可能とするために、当該食品の中心部の品温を120℃で4分間相当加熱したもの又はこれと同等以上の効力を有する条件で加熱したいわゆるレトルト処理されたものにおいてより好適に実施できる。
一方、豆乳及び/又はペースト状豆腐を配合すると、高栄養であり100℃を越える温度で加熱殺菌されているにもかかわらず、口腔内でべたついたりすることがなく、なめらかで嚥下しやすい高栄養ゼリー状食品が得られる。特に、豆乳を配合すると、より嚥下しやすい高栄養ゼリー状食品が得られるので好ましい。
これら増粘多糖類の中でも、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タラガム及びタマリンドガムを配合することが好ましく、カラギナン、キサンタンガム及びローカストビーンガムを配合することがより好ましい。これにより、さらに嚥下しやすい物性の高栄養ゼリー状食品が得られる。
まず、風味の点から肉、魚介類及び野菜等の食材と調味料の種類を選択して配合を決定する。続いて、豆乳及び/又はペースト状豆腐と増粘多糖類の配合量、さらに、カロリー及び蛋白質が、製品100g当たりカロリーが100kcal以上、並びに蛋白質が5g以上となるように、不足分を補うための蛋白質原料、糖質原料及び脂質原料の配合量を決定する。 次に、好ましくは3×103〜3×104N/m2の固さを有するように、ゲル化材の配合量を決定する。さらに、その他原料の配合量を決定する。そして、前記配合に基づき、原料を用意する。
これら用意した原料のうち、最初に、肉、魚介類及び野菜等をニーダーに投入し加熱調理し、これに、その他の原料を投入して混合した後、コミトロールでペースト化処理する。
そして、ペースト化処理した高栄養ゼリー状食品原料を耐熱性容器に充填密封後、110〜125℃でレトルト処理し、高栄養ゼリー状食品を製する。
まず、鶏肉とタマネギの炒めもの風とするために、原料として、鶏肉、タマネギ、サラダ油、醤油及び食塩、さらに、豆乳、キサンタンガム及びローカストビーンガムを用意した。加えて、製品100g当たりカロリーが100kcal以上、並びに蛋白質が5g以上となるように、不足分を補うための原料として、分離大豆蛋白及びデキストリンを用意した。さらに、清水を用意した。
すなわち、原料として、鶏肉10部、タマネギ2部、サラダ油2部、醤油0.3部、食塩0.1部、豆乳[不二製油(株)社製の商品名「液状豆腐」]15部、キサンタンガム0.3部、ローカストビーンガム0.3部、分離大豆蛋白(蛋白質含量90%)2部、デキストリン2部及び清水66部を用意した。
次に、攪拌機付きニーダーで鶏肉及びタマネギをサラダ油の配合の一部でソテーし、これに残りのサラダ油と清水に混合分散した醤油、食塩、豆乳、キサンタンガム、ローカストビーンガム、分離大豆蛋白及びデキストリンを加えて攪拌混合した後、コミトロール(アーシャル社製、モデルナンバー1700、200ブレード)でペースト化処理した。
続いて、前記ペースト化処理した原料をカップ型の耐熱性合成樹脂製容器(70ml容量)に60gずつ充填し、イージーピール可能な耐熱性合成樹脂製の蓋材で密封後、熱水式レトルト中で120℃で20分間加熱殺菌した後、冷却して、高栄養ゼリー状食品を得た。
製した高栄養ゼリー状食品は、製品100g当たりカロリーが150kcal、並びに蛋白質が9gであり、その固さは、8×103N/m2であった。
まず、鮭と野菜のクリームスープ風とするために、原料として、タマネギ、サラダ油、鮭フレーク、ニンジン、セロリ、生クリーム、鮭エキス及び食塩、さらに、豆乳及びカラギナンを用意した。加えて、製品100g当たりカロリーが100kcal以上、並びに蛋白質が5g以上となるように、不足分を補うための原料として、分離大豆蛋白及びデキストリンを用意した。さらに、粉末寒天及び清水を用意した。
すなわち、原料として、タマネギ2部、サラダ油0.5部、鮭フレーク2部、ニンジン2部、セロリ1部、生クリーム4部、鮭エキス0.5部、食塩0.2部、豆乳[液状豆腐、不二製油社製]15部、分離大豆蛋白(蛋白質含量90%)2部、デキストリン2部、カラギナン0.5部、粉末寒天0.1部及び清水68.2部を用意した。
次に、攪拌機付きニーダーでタマネギをサラダ油の配合の一部でソテーし、これに残りのサラダ油及び鮭フレーク、ニンジン、セロリ、生クリーム、清水に混合分散した鮭エキス、食塩、豆乳、分離大豆蛋白、デキストリン、カラギナン及び粉末寒天を加えて攪拌混合した後、コミトロール(アーシャル社製、モデルナンバー1700、200ブレード)でペースト化処理した。
続いて、前記ペースト化処理した原料をカップ型の耐熱性合成樹脂製容器(70ml容量)に60gずつ充填し、イージーピール可能な耐熱性合成樹脂製の蓋材で密封後、熱水式レトルト中で120℃で20分間加熱殺菌した後、冷却して、高栄養ゼリー状食品を得た。
製した高栄養ゼリー状食品は、製品100g当たりカロリーが145kcal、並びに蛋白質が9gであり、その固さは、9×103N/m2であった。
実施例1において、豆乳に代えて、絹ごし豆腐を用いた他は、同じ配合と製法にて高栄養ゼリー状食品を得た。
製した高栄養ゼリー状食品に含まれる豆腐は、豆腐の粒子が肉眼で識別できない程度にペースト化されたペースト状豆腐が含まれるものであった。
また、製品100g当たりカロリーが150kcal、並びに蛋白質が10gであり、その固さは、8×103N/m2であった。
まず、実施例1において、豆乳を配合しない代わりに分離大豆蛋白、サラダ油及び清水の配合量を調節して、実施例1で製した高栄養ゼリー状食品と同じカロリーと蛋白質となるようにした他は、同じ原料を用意した。
すなわち、原料として、鶏肉10部、タマネギ2部、サラダ油12部、醤油0.3部、食塩0.1部、キサンタンガム0.3部、ローカストビーンガム0.3部、分離大豆蛋白(蛋白質含量90%)3.5部、デキストリン2部及び清水69.5部を用意した。
前記原料を用いた他は、実施例1と同じ製法にて、高栄養ゼリー状食品を得た。
製した高栄養ゼリー状食品は、製品100g当たりカロリーが150kcal、並びに蛋白質が9gであり、その固さは、8×103N/m2であった。
実施例1において、キサンタンガム0.3部及びローカストビーンガム0.3部に代えて、寒天0.4部、ゼラチン0.2部を配合した他は、同じ配合と製法にて高栄養ゼリー状食品を得た。
製した高栄養ゼリー状食品は、製品100g当たりカロリーが150kcal、並びに蛋白質が9gであり、その固さは、8×103N/m2であった。
実施例1乃至3、比較例1及び2で製した高栄養ゼリー状食品を摂食し、その嚥下のしやすさを評価した。結果を表1に示す。
嚥下したときの口腔内の付着性の評価
◎:べたつかない
○:ほとんどべたつかない
△:ややべたつく
×:べたつく
嚥下したときの口腔内のざらつきの評価
◎:ざらつかない
○:ほとんどざらつかない
△:ややざらつく
×:ざらつく
嚥下のしやすさの総合評価
◎:口腔内の付着性の評価とざらつきの評価の両方が◎のもの
○:口腔内の付着性の評価とざらつきの評価のいずれか一方が◎で他方が○のもの、又は、口腔内の付着性の評価とざらつきの評価の両方が○のもの
△:総合評価が◎、○、×以外のもの。
×:口腔内の付着性の評価とざらつきの評価のいずれかひとつが×のもの。
特に、豆乳を配合した実施例1及び2の高栄養ゼリー状食品は、ペースト状豆腐を配合した実施例3の高栄養ゼリー状食品に比べて、より嚥下しやすく好ましかった。
Claims (3)
- 製品100g当たりカロリーが100kcal以上、並びに蛋白質が5g以上であり、100℃を超える温度で加熱殺菌されてなる高栄養ゼリー状食品であって、豆乳及び/又はペースト状豆腐と増粘多糖類を配合することを特徴とする高栄養ゼリー状食品。
- 肉、魚介類及び野菜の少なくとも一種又は二種以上のペースト状物を配合する請求項1記載の高栄養ゼリー状食品。
- 咀嚼・嚥下困難者用である請求項1又は2記載の高栄養ゼリー状食品。
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