JP2005228972A - 成膜方法および成膜装置 - Google Patents

成膜方法および成膜装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005228972A
JP2005228972A JP2004037093A JP2004037093A JP2005228972A JP 2005228972 A JP2005228972 A JP 2005228972A JP 2004037093 A JP2004037093 A JP 2004037093A JP 2004037093 A JP2004037093 A JP 2004037093A JP 2005228972 A JP2005228972 A JP 2005228972A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shower head
raw material
temperature
oxidizing gas
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004037093A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4463583B2 (ja
Inventor
Kenji Matsumoto
賢治 松本
Katsuyuki Nasu
勝行 那須
Tomoyuki Sakota
智幸 迫田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Electron Ltd
Original Assignee
Tokyo Electron Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Electron Ltd filed Critical Tokyo Electron Ltd
Priority to JP2004037093A priority Critical patent/JP4463583B2/ja
Publication of JP2005228972A publication Critical patent/JP2005228972A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4463583B2 publication Critical patent/JP4463583B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Formation Of Insulating Films (AREA)

Abstract

【課題】 シャワーヘッドの目詰まりを防止して、成膜の均一性や再現性を向上させる。
【解決手段】 独立に設けられた原料ガス吐出孔43aおよび酸化ガス吐出孔43bから載置台5上のウェハWに原料ガスおよび酸化ガスを個別に供給するポストミックス型のシャワーヘッド40を用いて成膜する成膜装置において、酸化ガスの供給流量とシャワーヘッド40の下面温度との組み合わせ毎に当該酸化ガスを供給する酸化ガス吐出孔43bの孔詰まり度合い値Dを格納した判定テーブル85を備え、プロセスコントローラ80は、成膜レシピにて指定された酸化ガスの供給流量に基づいて、酸化ガス吐出孔43bの詰まりが発生しないシャワーヘッド40の下面温度を判定テーブル85から読み出して、シャワーヘッド40の温度制御を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、成膜技術に関し、特に、MOCVD法によって例えば強誘電性または高誘電性の金属酸化物膜を成膜する技術に関する。
半導体製造工程においては、被処理体である基板(ウェハ)上に種々の物質からなる薄膜の形成が行われ、この薄膜に要求される物性の多様化等に呼応して、薄膜形成に使用される物質や組み合わせの多様化、複雑化が進行している。たとえば、近年、プレーナスタック型FeRAMのメモリキャパシタ材としてPZT膜の使用が注目されており、高品質なPZT膜を再現性良く生成する技術の開発が進められている。この多元系金属酸化物薄膜であるPZT膜は、Pb(Zr1−xTi)Oのペロブスカイト構造を有する結晶膜であり、強誘電性をもつ。
有機金属化合物を原料とする化学気相成長法(MOCVD)によってPZTなどの多元系金属酸化物薄膜を成膜する場合、反応容器内に設置した基板を加熱し、そこに原料ガスと酸化ガスを供給する(たとえば特許文献1)。PZTの成膜温度は通常、500〜650℃であり、酸化ガスにはOを用いるが、デバイス構造によっては、許容される成膜温度が500℃以下である場合があり、そのような低温域で成膜を行う場合には、酸化ガスとして酸化力のすぐれたNO(二酸化窒素)を使用する(たとえば特許文献2)。なお、原料ガスとしては、特許文献1や特許文献2に記載の有機金属原料の他、例えばPb(dpm)、Zr(O−i−C(dpm)、またはZr(O−i−C)(dpm)、またはZr(dpm)、およびTi(O−i−C(dpm)の組み合わせからなる有機金属原料等を使用することができる。
この場合、基板に対して良質の薄膜を形成すべく、ポストミックス型のシャワーヘッドを使用することが望ましい。すなわち、シャワーヘッド内に、原料ガスと酸化ガスの供給流路および吐出孔を独立に形成し、反応容器内における基板の直上空間で原料ガスと酸化ガスを混合させることで成膜反応を行わせるようにする。このようにすることによって、原料ガスと酸化ガスとの反応がウェハ表面近傍で主におこなわれるようになることから、膜質(例えば結晶性)の向上が期待でき、また、シャワーヘッド内部における気相反応が抑制されることから、パーティクル発生の抑制を期待できる。
シャワーヘッドの表面は原料ガスが絶えず接触するため、表面への原料凝縮が発生することのないように、シャワーヘッドはヒータによって加熱されている。成膜のためにシャワーヘッドから原料ガスと酸化ガスとを吐出供給することによって、ウェハ以外にも、例えばシャワーヘッド表面(原料ガス吐出孔および酸化ガス吐出孔近傍も含む)にもわずかに膜が堆積する。この膜は、加熱されたシャワーヘッド表面において原料ガスと酸化ガスとが反応することによって生成・堆積した、酸化物や原料分解物等と考えられる。一般的なCVD装置においてはこのような表面堆積膜を除去するためのドライクリーニングを定期的に実施することによって、常に清浄なシャワーヘッド表面を維持することが可能であるが、PZT成膜プロセスにおいては、有効なドライクリーニングを実施することは非常に困難であり、堆積膜を完全除去することは難しい。そのため、PZT成膜プロセスを長期間実施していくうちに、シャワーヘッド表面には原料反応物の膜が徐々に堆積してゆくことになる。この堆積膜がシャワーヘッド表面に密着していて、永久に剥れることが無ければ問題は生じないが、実際にはシャワーヘッドの温度変動等によってシャワーヘッドおよび堆積膜が熱膨張、あるいは熱収縮を起こした際に、シャワーヘッド部材(例えばアルミニウム)と堆積膜との熱膨張係数の違いによって、シャワーヘッド部材と堆積膜との界面等にストレスがかかり、堆積膜の剥離・崩落が発生する。この、堆積膜の剥離・崩落したものがパーティクルとなってウェハ上に降りそそぐと、ウェハ上に作成した半導体装置の製品歩留まりが悪化するという問題が生じる。
CVD法によるPZTの成膜においては、前述したように、ドライクリーニングによる堆積物の除去を行うことが困難であるため、堆積膜の剥離・崩落が発生したり、酸化ガスの吐出孔の詰まりが発生したりしたシャワーヘッドは、そのたびに交換して洗浄しなければならず、装置の稼働率の低下やメンテナンスコストの増大を招くという問題もある。
このような問題を回避するため、シャワーヘッドの温度を確実に制御するには、シャワーヘッドの内部に熱媒体を通流させる流路を設け、その中に熱媒体を循環させ、シャワーヘッドとの熱の授受を行う方法が挙げられる。
しかし、ポストミックス型のシャワーヘッドは、原料ガスと酸化ガスの供給経路や吐出孔が独立に設けられているとともに、ガス噴き出しの均一性を向上させるために吐出孔のピッチは狭くなっており、このような複雑で狭小な供給経路や吐出孔を避けながら冷却媒体流路を形成することは加工上大きな困難を伴う。また、仮に形成できたとしても、冷却媒体流路が細くなり、流通可能な冷却媒体の流量が小さな値に制限されるために、充分な温度制御能力を実現できないことが懸念されるとともに、冷却媒体流路の閉塞による故障も発生しやすいという問題もある。
特開2000−260766号公報 特開2000−58526号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、シャワーヘッドの目詰まりを有効に防止することができる成膜方法および成膜装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、成膜の均一性や再現性を向上させることができる成膜方法および成膜装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、装置の稼働率の向上やメンテナンスコストの削減を実現することができる成膜方法および成膜装置を提供することを目的とする。
さらにまた、本発明は、シャワーヘッド表面からのパーティクル発生を防止することができる成膜方法および成膜装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、被処理基板を収容する処理室内に、有機金属原料および酸化ガスを、これらを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドを介して供給し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜方法であって、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制するように、前記シャワーヘッドの温度を制御することを特徴とする成膜方法を提供する。
本発明の第2の観点では、被処理基板を収容する処理室内に、有機金属原料および酸化ガスを、これらを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドを介して供給し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜方法であって、前記有機金属原料および酸化ガスの供給条件に応じて、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制するように、前記シャワーヘッドの温度を制御することを特徴とする成膜方法を提供する。
本発明の第3の観点では、被処理基板を収容する処理室内に、有機金属原料および酸化ガスを、これらを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドを介して供給し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜方法であって、前記シャワーヘッドの温度を検出し、その温度が前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制する温度になるように、加熱手段および/または冷却手段により前記シャワーヘッドを加熱または冷却して前記シャワーヘッドの温度を制御することを特徴とする成膜方法を提供する。
本発明の第4の観点では、被処理基板を収容する処理室内に、有機金属原料および酸化ガスを、これらを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドを介して供給し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜方法であって、前記有機金属原料および酸化ガスの供給条件に応じて、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制可能な前記シャワーヘッドの温度を把握しておき、前記シャワーヘッドの温度を検出して、その温度が前記反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制可能な温度になるように、加熱手段および/または冷却手段により前記シャワーヘッドを加熱または冷却して前記シャワーヘッドの温度を制御することを特徴とする成膜方法を提供する。
本発明の第5の観点では、被処理基板を収容する処理室内に、有機金属原料および酸化ガスを、これらを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドを介して供給し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜方法であって、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積量および/または有機金属原料の凝縮量とシャワーヘッドの温度との相関関係を記憶手段に入力し、前記相関関係に基づいてシャワーヘッドの温度を制御することを特徴とする成膜方法を提供する。
本発明の第6の観点では、被処理基板を収容する処理室と、前記処理室内に設けられ、有機金属原料および酸化ガスを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドとを具備し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜装置であって、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制するように、前記シャワーヘッドの温度を制御する温度制御機構をさらに具備したことを特徴とする成膜装置を提供する。
本発明の第7の観点では、被処理基板を収容する処理室と、前記処理室内に設けられ、有機金属原料および酸化ガスを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドとを具備し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜装置であって、前記有機金属原料および酸化ガスの供給条件に応じて、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制するように、前記シャワーヘッドの温度を制御する温度制御機構をさらに具備したことを特徴とする成膜装置を提供する。
本発明の第8の観点では、被処理基板を収容する処理室と、前記処理室内に設けられ、有機金属原料および酸化ガスを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドとを具備し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜装置であって、前記シャワーヘッドを加熱する加熱手段および/または冷却する冷却手段と、 前記シャワーヘッドの温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段により検出されたシャワーヘッドの温度が前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制する温度になるように、前記加熱手段および/または冷却手段を制御する温度制御機構とをさらに具備したことを特徴とする成膜装置を提供する。
本発明の第9の観点では、被処理基板を収容する処理室と、前記処理室内に設けられ、有機金属原料および酸化ガスを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドとを具備し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜装置であって、前記シャワーヘッドを加熱する加熱手段および/または冷却する冷却手段と、 前記シャワーヘッドの温度を検出する温度検出手段と、前記有機金属原料および酸化ガスの供給条件に応じた、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制可能な前記シャワーヘッドの温度の情報が記憶される記憶手段と、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記温度検出手段により検出されたシャワーヘッドの温度が、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制する温度になるように、前記加熱手段および/または冷却手段を制御する温度制御機構とをさらに具備したことを特徴とする成膜装置を提供する。
本発明の第10の観点では、被処理基板を収容する処理室と、前記処理室内に設けられ、有機金属原料および酸化ガスを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドとを具備し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜装置であって、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積量および/または有機金属原料の凝縮量とシャワーヘッドの温度との相関関係が入力される記憶手段と、前記相関関係に基づいてシャワーヘッドの温度を制御する制御機構とをさらに具備したことを特徴とする成膜装置を提供する。
本発明において、前記シャワーヘッドの加熱手段および/または冷却手段としては、シャワーヘッドに配置されたヒートパイプを採用することができる。シャワーヘッドの冷却手段としてヒートパイプを用いる場合には、前記ヒートパイプの少なくも吸熱端が前記シャワーヘッドの被処理基板に対向する面に近接して配置することができる。また、前記シャワーヘッドの温度を検出する温度検出手段として、前記シャワーヘッドの被処理基板に対向した面の温度を検出する温度センサを用いることができ、その温度センサは前記シャワーヘッドの被処理基板に対向する面に近接して配置されることが好ましい。
また、本発明に用いる有機金属原料としては、金属βジケネートまたは金属アルコキシドを用いることができる。また、有機金属原料として、Pb(dpm)、Zr(dpm)、Zr(O−i−C)(dpm)、Zr(O−i−C(dpm)、Ti(O−i−C(dpm)、Ba(dpm)、Sr(dpm)からなる群から選択された複数種を用いることができ、この場合には酸化ガスは、NO、NO、Oからなる群から選択されたものであることが好ましい。
本発明に用いる有機金属原料としては、HTB(ハフニウムテトラターシャリブトキサイド)またはZTB(ジルコニウムテトラターシャリブトキサイド)を用いることもでき、この場合には、前記酸化ガスは、NOまたはOであることが好ましい。
具体的例として、前記有機金属原料は、Pb含有原料としてのPb(dpm)、Zr含有原料としてのZr(dpm)またはZr(O−i−C(dpm)またはZr(O−i−C)(dpm)、Ti含有原料としてのTi(O−i−C(dpm)を含み、前記酸化ガスは、NO、NO、Oからなる群から選択されたものであり、これらによりPZT膜を形成することが例示される。
本発明によれば、シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および有機金属原料の凝縮を抑制するように、シャワーヘッドの温度を制御することで、シャワーヘッドに設けられた複数の独立なガス供給経路が堆積物等によって狭小化したり閉塞されたりして目詰まりすることを防止することができ、成膜の均一性と再現性を高く維持することが可能となるとともに、シャワーヘッドのメンテナンス頻度も減少し、成膜装置の稼働率の向上およびメンテナンスコストの削減を実現できる。また、前記有機金属原料および酸化ガスの供給条件に応じて、シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および有機金属原料の凝縮を抑制するように、シャワーヘッドの温度を制御することで、上記効果を一層高めることができる。
また、本発明によれば、必要に応じて、シャワーヘッドにヒートパイプを設けることにより、シャワーヘッド内に、加工コストの高い複雑な形状の熱媒体通路を形成することなく、シャワーヘッドの均熱化や効率的な冷却による温度制御が可能となり、シャワーヘッドの温度制御を低コストおよび高い信頼性にて効果的に行うことが可能となる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は本発明の一実施の形態である成膜方法を実施する成膜装置の構成の一例の断面図であり、図2は、その作用の一例を示すフローチャート、図3は、その作用の一例を示す線図、図4は、その判定テーブルの一例を示す概念図である。
この成膜装置は、図1に示すように、例えばアルミニウム等により構成される平断面が略矩形の筐体1を有しており、この筐体1の内部には、有底円筒状に形成された処理容器2が設けられている。処理容器2の底部には開口2aが設けられ、この開口2aの外側より、透明石英からなる透過窓2dが、Oリングからなる封止部材2cにより処理容器2が気密を保つことが出来るように設置されている。この透過窓2dの下部には、図示しないランプユニットが接続される。処理容器2の上部には後述するシャワーヘッド40を支持するリッド3が開閉可能に設けられている。
シャワーヘッド40の上面には、環状の複数のヒータ91およびこのヒータ91の間に設けられ、冷却水等の熱媒体が流通する水冷用流路92からなる温度制御機構90が配置されており、後述の熱電対10にて測定されるシャワーヘッド40の温度の測定結果を用いた、後述のプロセスコントローラ80によるフィードバック制御にてシャワーヘッド40を加熱または冷却することで、シャワーヘッド40の温度を所定の値に制御することが可能になっている。
処理容器2の内部には円筒状のシールドベース8が処理容器2の底部から立設されている。シールドベース8上部の開口には、環状のベースリング7が配置されており、ベースリング7の内周側には環状のアタッチメント6が支持され、アタッチメント6の内周側の段差部に支持されてウェハWを載置する載置台5が設けられている。シールドベース8の外側には、後述するバッフルプレート9が設けられている。
バッフルプレート9には、複数の排気口9aが形成されている。処理容器2の内周底部において、シールドベース8を取り囲む位置には、底部排気流路71が設けられており、バッフルプレート9の排気口9aを介して処理容器2の内部が底部排気流路71に連通することで、処理容器2の排気が均一に行われる構成となっている。
筐体1の側面には、処理空間Sに連通するウェハ出入り口15が設けられ、このウェハ出入り口15は、ゲートバルブ16を介して図示しないロードロック室に接続されている。
前述のリッド3は処理容器2上部の開口部分に設けられており、このリッド3の載置台5上に載置されたウェハWと対向する位置に、後述するシャワーヘッド40が設けられている。
載置台5、アタッチメント6、ベースリング7およびシールドベース8で囲繞された空間内には、円筒状のリフレクター4が処理容器2の底部から立設されており、このリフレクター4は、図示しないランプユニットから放射される熱線を反射して、載置台5の下面に導くことで、載置台5が効率良く加熱されるように作用する。また、加熱源としては上述のランプに限らず、載置台5に抵抗加熱体を埋設して当該載置台5を加熱するようにしてもよい。
このリフレクター4には例えば3箇所にスリット部が設けられ、このスリット部と対応した位置にウェハWを載置台5から持ち上げるためのリフトピン12を支持するアーム14がそれぞれ昇降可能に配置されている。リフトピン12は、このアーム14を介してリフレクター4の外側に設けられた円環状の保持部材13に支持されており、図示しないアクチュエータにて保持部材13を昇降させることで上下動する。このリフトピン12は、ランプユニットから照射される熱線を透過する材料、例えば石英やセラミック(Al,AlN,SiC)で構成されている。
リフトピン12は、ウェハWを受け渡しする際にはリフトピン12が載置台5から所定長さ突出するまで上昇され、リフトピン12上に支持されたウェハWを載置台5上に載置する際には、リフトピン12が載置台5に引き込まれる。
載置台5の真下の処理容器2の底部には、開口2aを取り囲むようにリフレクター4が設けられており、このリフレクター4の内周には、石英等の熱線透過材料よりなるガスシールド17がその全周を支持されることによって取り付けられている。ガスシールド17には、複数の孔17aが形成されている。
また、リフレクター4の内周に支持されたガスシールド17の下側の透過窓2dとの間の空間内には、パージガス供給機構からのパージガス(たとえばN、Arガス等の不活性ガス)が、処理容器2の底部に形成されたパージガス流路19、および、このパージガス流路19と連通する、リフレクター4の内側下部の8箇所に等配されたガス噴き出し口18を介して供給される。
このようにして供給されたパージガスを、ガスシールド17の複数の孔17aを通じて、載置台5の背面側に流入させることにより、後述するシャワーヘッド40からの処理ガスが載置台5の裏面側の空間に侵入して透過窓2dに薄膜の堆積等のダメージを与えることを防止している。
アルミニウム等で構成されたシャワーヘッド40は、その外縁がリッド3上部と嵌合するように形成された筒状のシャワーベース41と、このシャワーベース41の下面に密着した円盤状のガス拡散板42と、このガス拡散板42の下面に取り付けられたシャワープレート43とを有している。
シャワーベース41は、リッド3にねじ固定されている。このシャワーベース41とリッド3の接合部は、Oリングにより気密にシールされている。シャワーベース41とガス拡散板42の間は、Oリングにより気密にシールされており、シャワーベース41、ガス拡散板42、シャワープレート43はねじ止めされている。
シャワーベース41は、当該シャワーベース41の中央に設けられ、原料ガス配管51が接続される原料ガス導入路41aと、この原料ガス導入路41aを挟んで対称な位置に配置され、酸化ガス配管52の酸化ガス分岐配管52aおよび酸化ガス分岐配管52bが接続される複数の酸化ガス導入路41bを備えている。
原料ガス配管51および酸化ガス配管52は、ガス供給機構60に接続されている。ガス供給機構60は各原料の原料タンクおよび気化器を有しており、各原料タンクから供給された液体原料、たとえば、酢酸ブチル、オクタン、THF(テトラヒドロフラン)等の溶媒で溶解されたPb(dmp)、Zr(O−i−C)(dmp)、Ti(O−i−C(dmp)が気化器で気化されて原料ガスとなり、これら原料ガスが所定の比率(たとえばPZTを構成するPb,Zr,Ti,O等の元素が所定の化学量論比となるような比率)で混合されて原料ガス配管51に供給される。また、ガス供給機構60は酸化ガス源を有しており、この酸化ガス源からNO等が酸化ガス配管52へ供給される構成となっている。
ガス拡散板42の上面側には、原料ガス配管51が接続される原料ガス導入路41aに連通する原料ガス拡散空間42aが設けられ、この原料ガス拡散空間42aは、ガス拡散板42およびシャワープレート43を貫通して穿設され、シャワープレート43の下面に開口する原料ガス通路42dに連通している。
ガス拡散板42の下面側には酸化ガス拡散空間42bが設けられ、この酸化ガス拡散空間42bは、当該ガス拡散板42を貫通して形成された酸化ガス通路42eを経由してシャワーベース41の酸化ガス導入路41bに連通している。また、下側の酸化ガス拡散空間42bには、複数の円柱状突起42jが設けられ、その一部は、中心部に原料ガス通路42dが貫通して形成されたガス通路柱42fとなっている。このガス通路柱42f(およびそれ以外の円柱状突起42j)の高さは、酸化ガス拡散空間42bの深さとほぼ等しくなっており、ガス拡散板42の下側に密着するシャワープレート43の上面に密着している。なお、ガス通路柱42fの位置は、下側に密着するシャワープレート43の後述の原料ガス吐出孔43aの位置に原料ガス通路42dと一致するように配置されている。また、円柱状突起42jはすべてガス通路柱42fであってもよい。
このシャワープレート43には、複数の原料ガス吐出孔43aおよび複数の酸化ガス吐出孔43bが交互に隣り合うように配置形成されている。すなわち、複数の原料ガス吐出孔43aの各々は、上側のガス拡散板42の複数の原料ガス通路42dに連通するように当該原料ガス通路42dに重なり合う位置に配置され、複数の酸化ガス吐出孔43bは、上側のガス拡散板42の酸化ガス拡散空間42bにおける複数のガス通路柱42fの間隙に開口するように配置されている。
このシャワープレート43では、原料ガス配管51に接続される複数の原料ガス吐出孔43aが最外周に配置され、その内側に、酸化ガス吐出孔43bおよび原料ガス吐出孔43aが交互に均等に配列される。
すなわち、本実施の形態のシャワーヘッド40は、原料ガス配管51に接続される複数の原料ガス吐出孔43aと、酸化ガス分岐配管52aに接続される酸化ガス吐出孔43bがシャワープレート43の下面に独立に開口し、原料ガスおよび酸化ガスが処理容器2のウェハWの直上部の空間で混合される、いわゆるポストミックス型である。なお、ここでは上側の原料ガス拡散空間42aに原料ガスを導入し、下側の酸化ガス拡散空間42bに酸化ガスを導入した例を基に説明しているが、場合によっては上側の原料ガス拡散空間42aに酸化ガスを導入し、下側の酸化ガス拡散空間42bに原料ガスを導入してもよい。
また、積層されたシャワーベース41、ガス拡散板42、シャワープレート43には、熱電対10を装着するための熱電対挿入孔41i、熱電対挿入孔42g、熱電対挿入穴43cが厚さ方向に重なり合う位置に設けられ、シャワープレート43の下面や、シャワーヘッド40の内部の温度を測定して、プロセスコントローラ80に入力することが可能になっている。
本実施の形態の場合、温度制御機構90は、温度制御部93、外部出力インタフェース83を介してプロセスコントローラ80に接続されている。また、シャワープレート43の下面および/あるいはシャワーヘッド40の内部の温度を測定する熱電対10は、外部入力インタフェース82を介してプロセスコントローラ80に接続され、シャワープレート43の下面および/あるいはシャワーヘッド40の内部の温度情報がプロセスコントローラ80に入力される。プロセスコントローラ80は、入力されたこれらの温度情報等を基に、外部出力インタフェース83、温度制御部93を介して温度制御機構90へのヒーター電力供給量、冷却水流量・温度等の制御信号を指令し、シャワーヘッド40、シャワープレート43の下面の温度が制御される。
プロセスコントローラ80は、プロセスデータベース84に格納された図示しない処理レシピに基づいて、シャワーヘッド40の温度制御を含めた装置全体の制御を行う。プロセスコントローラ80には、図示しないディスプレイやキーボード等のユーザインタフェース81が接続され、外部からコマンド等を入力することで処理レシピの指定を行う操作や、稼働状態をディスプレイに表示させて監視する等の操作が可能になっている。プロセスコントローラ80には制御用のソフトウェアを組み込んで動作させることとしてもよい。
ところで、シャワーヘッドが、シャワーヘッド40のようなポストミックス型であって、使用する酸化ガスがNO等の強酸化剤である場合、シャワープレート43に開口する酸化ガスの供給経路である酸化ガス吐出孔43bは、シャワープレート43の下面温度が高かった場合や、酸化ガスの流量が大きい場合に、酸化ガス吐出孔43bの周囲に白色または褐色の堆積物が成長して孔詰まりを起こしやすくなり、成膜均一性や再現性の低下の一因となる。
図9の(a)および(b)は、それぞれこの酸化ガス吐出孔43bが孔詰まりする前の状態、および孔詰まりした後の状態を示す断面図である。酸化ガス吐出孔43bの径d0が、例えば0.7mmである場合、図9の(a)の状態から(b)のように次第に堆積物が成長してゆき、最終的には、まるで“フジつぼ”の如くシャワープレート43の表面から突き出るような形状になると同時に、孔詰まりによって、実質径dが0.1mmまで狭くなり、成膜均一性や再現性を悪化させる。この白色または褐色の堆積物をEDX分析したところ、構成物はPbとZrとTiの酸化物であり、その主成分は恐らくPbの不完全な酸化物であると推察された。原料吐出孔の周囲においてはこのような堆積物がみられないことから、シャワーヘッド表面温度あたりの温度帯(およそ150〜250℃)においては、NOの分圧が極めて高い領域(すなわち、シャワーヘッドの酸化ガス吐出孔周辺)においてのみ生ずる現象であると考えられる。この現象は、上述のようにNOガスの流量が大きいほど顕著に現れて孔の詰まり方が早くなる一方、NOガスの流量が大きいほどシャワーヘッドの酸化ガス吐出孔周辺におけるNO分圧が高くなることからも説明がつく。
そこで、本実施の形態では、プロセスデータベース84に、酸化ガス吐出孔43bの孔詰まりが起こりやすいか否かを判定するために、図4に例示されるような判定テーブル85を設けるとともに後述の手法によって、酸化ガス吐出孔43bの孔詰まりを防止する。
すなわち、この判定テーブル85には、種々の酸化ガス供給条件Y(たとえば酸化ガスの流量)と、その時の熱電対10で検出されるシャワープレート43の下面温度tの組み合わせの各々について、後述の酸化ガスの吐出孔の孔詰まり度合い値Dが格納されている。
この孔詰まり度合い値Dは、たとえば、図9(a)のように酸化ガス吐出孔43bの閉塞が起こりにくい、酸化ガスの標準的な供給量(NOを200mL/分)と、その時のシャワープレート43の下面温度(170℃)の場合を1としたときの、他の各条件での孔詰まり度合いを例えば、実質径dが0.1mmに狭くなるまでの装置使用期間あるいは成膜枚数あるいは処理ガス供給量等がどのくらいなのか、あるいは、発生した孔詰まりによって成膜均一性や再現性が悪化するまでの装置使用期間あるいは成膜枚数あるいは処理ガス供給量等がどのくらいなのかを比較するような方法で定量化して格納している。
この図4のテーブルにおいて、この孔詰まり度合い値Dが1以下のところは、酸化ガス吐出孔43bの閉塞や狭小化が起こりにくく問題なく使用できる範囲であり、孔詰まり度合い値Dが2以上のところは、酸化ガス吐出孔43bの閉塞や狭小化が発生して使用に耐えない範囲である。このことから、本実施の形態では、プロセスコントローラ80は、孔詰まり度合い値Dが1と2の中間の1.5以下であれば、使用に耐える範囲であると判断する。
図3は、この図4における孔詰まり度合い値Dの分布をプロットした線図であり、孔詰まり度合い値Dが1のものを「〇」で、2を「□」で、中間の1.5を「△」で示している。そして、本実施の形態では、孔詰まり度合い値Dが1.5のデータを連ねた曲線A以下の範囲を、酸化ガス吐出孔43bが閉塞せずに継続的に処理が可能な範囲と判断して、後述のようなプロセスの制御を行う。この判断は、判定テーブル85を直接に参照して孔詰まり度合い値Dが例えば1.5となるようなシャワープレート43の下面温度tを読み出すことで行ってもよいし、酸化ガスの供給条件をYとしたときに孔詰まり度合い値Dがたとえば1.5となるときのシャワープレート43の下面温度tを与える下記の(1)式に基づく判定論理86を用いて判定を行っても良い。この(1)式において、Dは孔詰まり度合い値、Aは定数であり、3.743×10−5である。
Figure 2005228972
すなわち、(1)式において、孔詰まり度合い値Dとして1.5を用い、酸化ガスの供給条件Yを与えることで、酸化ガス吐出孔43bが閉塞せずに継続的に処理が可能なシャワープレート43の使用可能限界下面温度t′を得るものである。
そして、プロセスコントローラ80は、ユーザインタフェース81を介して指示された処理レシピにて指示される酸化ガスの流量等の供給条件Yが与えられると、この供給条件Yでプロセスデータベース84をサーチして酸化ガス吐出孔43bの詰まりの発生しない範囲のシャワープレート43の下面温度tを決定して出力する動作を行う。あるいは、与えられた供給条件Yに基づいて、判定論理86にて(1)式を演算して対応するシャワープレート43の下面温度tを出力する動作を行う。つまり、プロセスコントローラ80が指令するシャワープレート43の下面温度tの範囲は、原料液化温度≦t≦t’ということになる。
なお、供給条件Yとしては、酸化ガスの流量のみならず、酸化ガスの分圧、または原料ガスの分圧と酸化ガスの分圧との比でもよい。
なお、前述の(1)式の導出方法、および(1)式の係数の算出方法については、その詳細な説明はここでは省略するが、基本的には、反応速度定数をあらわすアレーニウスの式、および、反応速度定数とガス濃度と成膜速度との関係式の二つの式を変形し、温度に対する堆積速度のデータを入力することによって得ることが出来る。また、ここで挙げた(1)式の定数Aや、6862.6という値については、使用する原料や酸化ガスの種類によって適宜変更して使用可能であることはもちろんのこと、PZT以外の成膜プロセスにも応用可能であることは言うまでもない。本実施の形態においては、シャワープレート43の下面から載置台5までの距離が25mm、原料ガス吐出孔43aおよび酸化ガス吐出孔43bの径が0.7mm、孔ピッチが12mmという条件の下で(1)式の定数を決定したが、使用する装置の状況にあわせて各定数を適宜変更することが望ましい。
次に、本実施の形態の成膜装置を用いた成膜方法の一例について図1〜図4を参照しながら説明する。
まず、作業者が外部からユーザインタフェース81にて、たとえばPZT成膜用のレシピを選択すると(ステップ201)、プロセスコントローラ80は、プロセスデータベース84から指定されたレシピに対応した、処理空間Sの圧力、原料ガスの供給流量、酸化ガスの供給流量、載置台5におけるウェハWの加熱温度、等の各種の成膜条件データを読み出す(ステップ202)。
そして、プロセスコントローラ80は、酸化ガスの供給流量等の供給条件Yに基づいて、判定テーブル85をサーチしてシャワーヘッド40(シャワープレート43)の下面温度を設定する(ステップ203)。
たとえば、供給条件Yとして、レシピで指定された酸化ガス(たとえばNO)の流量が200mL/分の場合、図4に例示した判定テーブル85では、シャワープレート43の下面温度tが190℃以上では、孔詰まり度合い値Dが1.5を超える(1.95〜6.35)ため好ましくなく、180℃では孔詰まり度合い値Dが1.41で、酸化ガス吐出孔43bの孔詰まりを生じにくい。したがって、この場合、シャワープレート43の使用可能限界下面温度t’を190℃であると判定する。ここで、その直前のシャワーヘッド40、シャワープレート43の設定温度が190℃未満であれば、設定温度を変更することなくシャワーヘッド40、シャワープレート43の温度制御を続行する。逆に、その直前のシャワーヘッド40、シャワープレート43の設定温度が190℃以上の場合には、プロセスコントローラ80は、シャワープレート43の下面温度tとして190℃未満の値、例えば180℃を設定する。
なお、指定されたレシピ内で、酸化ガスの供給流量(供給条件Y)と、シャワープレート43の下面温度tの双方が指定されている場合(ステップ204)、プロセスコントローラ80は、供給条件Yと下面温度tの二つの情報に基づいて判定テーブル85を参照して、孔詰まり度合い値Dが、1.5以下か否かを判定し(ステップ205)、1.5以下の場合は、そのまま、以下の成膜処理を開始し(ステップ211)、1.5を超える場合は、シャワープレート43において酸化ガスを吹き出す酸化ガス吐出孔43bの閉塞が起こる条件であることを操作者に警告する(ステップ206)。ここで、操作者は、(1)閉塞が起こるリスクを承知の上でそのまま処理を続行する(ステップ211)、(2)シャワープレート43の下面温度tの値を変更した上で処理を続行する(ステップ209、ステップ210)、(3)処理を中止する、等からなる選択肢からいずれかを選択することができるようになっている(ステップ207)。
なお、シャワープレート43の使用可能限界下面温度t’が220℃以上であると判定された場合についてであるが、前述したように、シャワーヘッド表面温度がおよそ220℃を超えると、シャワーヘッド表面上の堆積膜が剥離・崩落してパーティクルになるという別の問題が生じることから、シャワープレート43の下面温度tは220℃を超えない範囲で設定されることになる。一つ具体例を挙げると、シャワープレート43の使用可能限界下面温度t’が240℃であると判定された場合、シャワープレート43の下面温度tは220℃に設定される(ステップ208)。
上述のステップ211の成膜処理では、一例として、以下のように行われる。まず、処理容器2内は、底部排気流路71等の排気経路を経由して図示しない真空ポンプによって排気されることにより、たとえば、1〜4Torrの真空度に排気されている。
このとき、図示しないキャリア/パージガス供給源からパージガス流路19を経由して複数のガス噴き出し口18からガスシールド17の背面(下面)側にはAr等のパージガスが供給され、このパージガスは、ガスシールド17の孔17aを通過して載置台5の背面側に流入し、シールドベース8の隙間を経由して、底部排気流路71に流れこみ、ガスシールド17の下方に位置する透過窓2dへの薄膜の堆積等のダメージを防止するための定常的なパージガス流が形成されている。
この状態の処理容器2において、図示しないロボットハンド機構等により、ゲートバルブ16、ウェハ出入り口15を経由してウェハWを搬入し、図示しないアクチュエータにより、保持部材13およびアーム14により支持されたリフトピン12を載置台5上に突出するように上昇させて、ウェハWをリフトピン12に載置させた後、図示しないロボットハンド機構等を処理容器2から退避させ、ゲートバルブ16を閉じる。
次に、リフトピン12を降下させてウェハWを載置台5上に載置させるとともに、下方の図示しないランプユニットのランプを点灯させて熱線を透過窓2dを介して載置台5の下面(背面)側に照射し、載置台5に載置されたウェハWを、たとえば、450℃〜700℃の間で、たとえば、500℃の温度になるように加熱する。なお、上述のランプユニットのランプは、温度安定時間の短縮や、ランプ寿命の延長等を目的として、常時点灯させておいても構わない。
この時、載置台5およびウェハWからの輻射熱でシャワープレート43の下面は熱せられるので、プロセスコントローラ80は、シャワープレート43の下面温度tを熱電対10で検出し、この温度が、上述のステップ203で設定された値に維持されるように、温度制御機構90を制御して、シャワーヘッド40の加熱や冷却等の温度制御を行う。
そして、このように加熱されたウェハWに対して、シャワーヘッド40の下面のシャワープレート43の複数の原料ガス吐出孔43aからは、たとえば、Pb(dmp)、Zr(O−i−C)(dmp)、Ti(O−i−C(dmp)が所定の比率(たとえばPZTを構成するPb,Zr,Ti等の元素が所定の化学量論比となるような比率)で混合された原料ガスが吐出供給され、酸化ガス吐出孔43bからは、NO等が、それぞれ吐出供給され、これらの原料ガスや酸化ガスの各々の熱分解反応や相互間の化学反応にて、ウェハWの表面には、PZTからなる薄膜が形成される。
すなわち、ガス供給源から到来する気化された原料ガスは、キャリアガスとともに原料ガス配管51からガス拡散板42の原料ガス拡散空間42a、原料ガス通路42d、シャワープレート43の原料ガス吐出孔43aを経由して、ウェハWの上部空間に吐出供給される。
同様に、酸化ガス源から供給される酸化ガスは、酸化ガス配管52、酸化ガス分岐配管52aおよび52b、シャワーベース41の酸化ガス導入路41b、ガス拡散板42の酸化ガス通路42eを経由して酸化ガス拡散空間42bに至り、シャワープレート43の酸化ガス吐出孔43bを経由してウェハWの上部空間に吐出供給される。このようにして、原料ガスと酸化ガスは、それぞれシャワーヘッド40内で混合しないように処理容器2内に別々に供給される。そして、この原料ガスおよび酸化ガスの供給時間・流量や処理空間Sの圧力、載置台5の温度等の制御により、ウェハW上に形成される薄膜の膜厚・組成・結晶性が制御される。
本実施の形態の場合には、孔詰まり度合い値Dが1.5以下になるように、酸化ガスの流量等の供給条件Yに対応して、下面温度tを設定しているので、長時間にわたって稼働させても、NO等の酸化ガスが吹き出すシャワープレート43の酸化ガス吐出孔43bが、図9(b)のように堆積物にて閉塞されたり、狭小化することがなく、図9(a)の好ましい開口状態が維持されるので、ウェハWに形成されるPZT膜の成膜均一性や再現性が悪化することが防止され、複数のウェハWを連続して処理する場合等において、良好な成膜均一性や再現性を実現することが可能になる。さらに、シャワープレートのメンテナンス頻度を少なく出来るので、メンテナンスコストの削減や装置稼働率の向上が可能になる。
次に、本発明の第2の実施の形態として、プロセスコントローラ80および温度制御機構90にて、シャワーヘッド40の温度を220℃以下、酸化ガスとしてNO等の強酸化剤を用いて成膜を行う場合にあっては、シャワーヘッド40の温度を175℃以下に温度制御する場合について説明する。
前述したように、成膜のためにシャワーヘッドから原料ガスと酸化ガスとを吐出供給することによって、シャワーヘッド表面にもわずかに膜が堆積する。PZT成膜プロセスにおいては、ドライクリーニングの実施が難しく、堆積膜を完全除去できないことから、成膜を続けるにつれてシャワーヘッド表面には原料反応物の膜が徐々に堆積してゆくことになる。この堆積膜が剥離・崩落し、パーティクルとなってウェハ上に降りそそぐと、ウェハ上に作成した半導体装置の製品歩留まりが悪化するという問題が生じる。ここで、シャワーヘッド表面温度とウェハ上のパーティクル数との関係は、図10のように表すことができるので、シャワーヘッド表面温度がおよそ220℃以下であれば、シャワーヘッド表面上の堆積膜が剥離・崩落してパーティクルとなることを防止することが出来る。つまり、パーティクル発生防止の観点から、シャワーヘッド40の温度は220℃以下に制御する必要がある。
また、PZT成膜プロセスにおいて一般に使用される、前述の有機金属原料(例えば、特許文献1や特許文献2に記載の有機金属原料の他、例えばPb(dmp)、Zr(O−i−C(dmp)、またはZr(O−i−C)(dmp)、またはZr(dmp)、およびTi(O−i−C(dmp)の組み合わせからなる有機金属原料等)の多くは熱分解温度が明確ではなく、およそ100〜200℃あたりから分解が始まり、200〜300℃にかけてさかんに分解し、300〜400℃あたりで完全に分解するような性質を持っている。シャワーヘッド40の内部の温度が高いと、シャワーヘッド40内部の原料ガス流通経路の高温部で不均一な当該原料ガス(成膜原料)の熱分解が起こり、ウェハWに形成される薄膜の膜組成の制御性、均一性に悪影響を与えることが懸念される。さらに、このシャワーヘッド40内での原料ガスの熱分解によって生成された固形物(分解反応物)は、異物(パーティクル)となってウェハWに付着し、半導体装置の製品歩留まりの悪化の一因となる。このことからも、シャワーヘッド40の温度は必要以上に高くしないことが重要である。
一方、前述の有機金属原料が凝縮し始める温度がおよそ100〜150℃であることから、シャワーヘッド40の温度は150℃以上に制御する必要がある。従って、シャワーヘッド40の温度は、少なくとも150〜220℃の範囲において制御し、好ましくは160〜180℃、例えば170℃に制御する。
本実施の形態の場合、上述のようにシャワーヘッド40の温度を、150〜220℃の範囲にすることにより、シャワープレート43の表面上の堆積膜が剥離・崩落してパーティクルとなることを防止することができると共に、シャワーヘッド40の内部における原料ガスの流通経路で望ましくない熱分解が発生することが確実に回避され、ウェハWに反応生成物が異物(パーティクル)となって付着することが確実に防止され、ウェハWに形成されるPZT膜の品質や歩留まりを向上させることが可能になる。
また、酸化ガスとしてNO等の強酸化剤を用いて成膜をおこなう場合にあっては、シャワープレート43の下面温度tを175℃以下にすることにより、シャワープレート43に形成された酸化ガス吐出孔43bに堆積物が付着することに起因する閉塞や狭小化が防止され、ウェハWに対するPZT膜の成膜均一性や再現性を向上させることが可能になる。さらに、シャワープレートのメンテナンス頻度を少なく出来るので、メンテナンスコストの削減や装置稼働率の向上が可能になる。
図5を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、この図5において図1に例示した装置構成例と同一の要素には共通の符号を付して説明は割愛する。
上述の実施の形態においては、ヒータ91および水冷用流路92の設置場所はシャワーベース41の上部、すなわち大気側であり、この部分の温度制御は比較的容易である。しかし、PZT成膜などのMOCVD(有機金属化学気相成長)プロセスの多くにおいて、ウェハWの加熱温度は400〜650℃に達するため、載置台5およびウェハWからの熱輻射によってシャワープレート43の下面には過剰な熱入力が発生する。
その結果、シャワープレート43下面の温度は上昇し易くなることから、シャワーベース41上部(大気側)とシャワープレート43下面(ウェハに面した真空側)とで温度差が生じ易くなり、シャワーヘッド40の温度制御に影響を与える可能性がある。このような温度差は、シャワーヘッド40の厚みが大きい場合(たとえば50mm以上)や、シャワーヘッド40を構成するプレートの枚数が多い場合(たとえば、本実施の形態においては、シャワーベース41、ガス拡散板42、シャワープレート43の、計3枚)や、ガス拡散板42のガス拡散空間が大きいためにシャワープレート43からシャワーベース41への熱伝達がスムーズにいかない場合や、シャワーヘッド40がステンレススチールなどの熱伝導性が比較的良好とは言いがたい材質で構成されている場合等、に顕著となる可能性がある。
成膜前のシャワープレート下面はアルミニウムが露出しており、比較的熱吸収率が低いが、前述したように、成膜するにつれてシャワープレート下面には酸化物や原料分解物等の堆積膜が付着する。この堆積膜の表面は黒っぽく、熱吸収率が比較的高いため、成膜前のシャワープレート下面よりも多くの熱を吸収する性質がある。また、シャワープレート下面の温度が高くなると原料の分解・付着の傾向が加速するため、堆積膜の付着⇒シャワープレート下面の熱吸収率の増加⇒シャワープレート温度の上昇⇒堆積膜のさらなる付着、という好ましくない循環が生じる可能性もある。このような現象が生じると、成膜を重ねるにつれてシャワーヘッド上部とシャワープレート下面との温度差が益々拡大してゆく可能性が考えられる。
シャワーヘッド上部とシャワープレート下面との温度差が仮に25℃であるとした場合、シャワープレート43下面を170℃に保持するためには、シャワーヘッド40上部の温度を145℃にまで低くしなければならない。しかし、前述したように有機金属原料が凝縮し始める温度はおよそ100〜150℃であることから、シャワーヘッド40内部に温度が150℃以下の部分をつくるのは好ましいことではない。
上記のような問題を解決する手法としては、シャワーヘッド内部(あるいはシャワーヘッドの部材そのもの)に冷媒流路を設置し、その中に冷媒を循環させ、載置台等から受けた輻射熱を除去する手法が挙げられる。また、シャワーヘッド内部の冷媒流路は、載置台などからの輻射熱を受けるシャワープレート内部に設置することが理想であるが、シャワープレートの処理ガス(原料ガスおよび酸化ガス)の吐出孔の間隔(孔ピッチ)は、処理ガスの噴き出し均一性を向上させるために大変狭くなっており(本実施の形態では7mm)、その間に冷媒流路を掘ることは大変難しく、仮にうまく掘れたとしても冷媒流路が細いため、そこに流せる冷媒流量は小さい値となってしまい十分な冷却効果が得られないという問題や、冷媒流路が詰まり易いという問題が残る。
この第3の実施の形態は、シャワーヘッド40の温度制御を行う温度制御機構90の一部として、ヒートパイプ101を用いたものである。すなわち、複数のヒートパイプ101を、シャワーヘッド40を構成するシャワーベース41、ガス拡散板42を貫通させ、下端(吸熱端)部がシャワープレート43の下面近傍に位置するように配置したものである。
ヒートパイプとは、熱伝導性に優れた金属の密閉容器(パイプ)内に少量の液体(作動液)を真空封入し、内壁に毛細管構造(ウィック)を備えたものである。ヒートパイプの多くは作動液として脱イオン水を、パイプには銅を用いている。ヒートパイプ内部に封入された作動液の量は大変少ない(例えば1cc以下)ので、液体漏れの心配はほとんど無い。ここで、ヒートパイプの動作原理を以下に説明する。ヒートパイプの一部が加熱されると、加熱部で作動液が蒸発(蒸発潜熱の吸収)し、続いて低温部に蒸気が移動し、蒸気が低温部で凝縮(蒸発潜熱の放出)するとともに凝縮した液が毛細管現象で加熱部に環流するという一連の相変化が連続的に生じることによって熱が移動する。ヒートパイプ内部の蒸気流は音速に近いスピードで移動するため熱の移動速度は極めて速く、その結果、熱応答性が極めて速いという特徴を有している。また、ヒートパイプは非常に低い温度勾配で多量の熱輸送が可能であるとともに、銅棒に比べ約80倍という優れた熱伝導率を有するという特徴がある。また、ヒートパイプはその熱輸送能力を保ちながら、曲げ加工等、様々な形状へと加工出来るという特徴も有している。
なお、前述したように、ヒートパイプ101は銅の筒体で構成されていることから、シャワーヘッドに組み込む方法には注意が必要である。それは、半導体製造工程において、銅によるウェハの汚染(Cuのメタルコンタミネーション)が発生すると、ウェハ上の半導体製品の特性に重大な影響を与えるため、半導体製造装置においては、銅が処理空間Sに露出することが無いように注意を払う必要があるためである。
ヒートパイプ組み込みの例としては、たとえば、あらかじめドリル等でヒートパイプがおさまるだけの穴を掘った図示しないアルミニウム部材内部に、ヒートパイプ101の全体(もしくは一部)を挿入し、ロウ付けや電子ビーム溶接等で埋め込み封入する。大気側と真空側とを区分するためのOリングを使用することによって、ヒートパイプ101の露出部分は大気側のみとし、真空側に銅が露出しないようにする。このようにすることで、銅によるシャワーヘッド40や処理容器2等の汚染を防止することが可能である。後述の他のヒートパイプの例も同様である。
個々のヒートパイプ101は、ガス拡散板42やシャワープレート43における原料ガス吐出孔43aと酸化ガス吐出孔43bの間に、両者に干渉しないように配置されている。ヒートパイプ101の配置本数および配置間隔は、除去したい熱量がいくらか等によって適宜決定すればよい。近年、マイクロヒートパイプと呼ばれる、直径が1〜3mmの細いヒートパイプが市販されており、株式会社フジクラや古河電気工業株式会社などのメーカーから入手可能である。ヒートパイプ101にこのマイクロヒートパイプを使用すれば、原料ガス吐出孔43aおよび酸化ガス吐出孔43bの配置間隔や配列ピッチが狭小(たとえば7mm以下)の場合でも、十分に設置可能である。原料ガス吐出孔43aと酸化ガス吐出孔43bの間に配置されたヒートパイプ101だけでは熱輸送量が不足する場合には、熱輸送量の大きな太いヒートパイプをシャワーヘッド40の側壁部に適宜追加配置してもよい。
載置台などからの輻射熱を受けた状態で、シャワーヘッド40を170〜200℃に保持するためには、およそ2kWの熱を除去する能力が必要とされる。適当な性能のものを選択すれば、1本のヒートパイプで500W程度の熱輸送量を持つので、必要本数(例えば、4本以上)のヒートパイプを垂直方向に使用すれば、シャワーヘッド40の下部からシャワーヘッド40の上部に2kWの熱量を移動させることは容易である。
また、ヒートパイプ101の設置のためには、シャワーヘッド40のシャワーベース41およびガス拡散板42を厚さ方向に貫通する孔を穿設し、適宜Oリングを配置するだけであり、たとえば、原料ガス吐出孔43aや酸化ガス吐出孔43bの間隙を縫ってシャワープレート43内に微細な冷媒流路を形成する等の複雑で高コストの加工は全く不要である。従って、極めて低コストでヒートパイプ101をシャワーヘッド40に設置できる。また、ヒートパイプ101は、10万時間以上の平均寿命を持つので、信頼性は極めて高く、メンテナンスも不要である。
シャワーベース41から突き出たヒートパイプ101の上端(放熱端)部には、たとえば、ヒータ、放熱フィン、電動ファン、冷媒流路、ペルチェ素子等で構成される温度制御機構106が設けられており、この温度制御機構106における加熱・放熱量等を、プロセスコントローラ80が、外部出力インタフェース83および温度制御部93を介して制御することにより、シャワーヘッド40全体や、酸化ガス吐出孔43b等が形成されたシャワープレート43の温度制御を行う。なお、温度制御機構90には、第1の実施の形態で説明した、ヒータ91、水冷用流路92を適宜併用しても構わない。さらに、シャワーヘッド40内に熱電対10等の温度検出手段を設置しても構わないし、温度制御機構106に熱電対等の温度検出手段を設置しても構わないし、両者を併用しても構わない。後述の他のヒートパイプの例も同様である。
成膜プロセスやシャワーヘッドの構造によっては、垂直方向のヒートパイプ101をシャワーベース41よりも上に突出させずに設置し、シャワーヘッド全体の均熱性を向上させるだけで十分な効果が期待できる場合もあり、そのような場合にはヒートパイプのための温度制御機構106の代わりに、第1の実施の形態において説明した、シャワーベース41直上の温度制御機構90だけを設ければよい場合がある。これについても、後述の他のヒートパイプの例も同様である。
シャワーヘッド40の下面、すなわち、シャワープレート43の下端面は、対向する載置台5におけるウェハWの加熱による輻射熱によって温度が上昇しやすく、温度制御が比較的難しいが、本実施の形態のようにヒートパイプ101を配置して、シャワープレート43の下端面の熱をシャワーヘッド40の上部に放散させることで、原料ガス吐出孔43aや酸化ガス吐出孔43bが形成されたシャワープレート43の下面温度tを、載置台5およびウェハWからの輻射熱の影響を受けることなく、上述のような220℃以下、さらには175℃以下に確実に制御できる。
また、ヒートパイプ101によってシャワーヘッド40内部の温度勾配を極めて小さくすることができ、シャワーヘッド40全体の熱的均一性が向上することから、シャワーヘッド40の精密な温度制御を容易に行うことが可能となる。
この結果、シャワープレート43の下面温度tを220℃以下にすることで、ウェハWに対する異物(パーティクル)の付着低減によるPZT等の膜質や歩留まりの向上を実現できるとともに、使用する酸化剤の種類によっては、シャワープレート43の下面温度tを175℃以下にすることで、酸化ガス吐出孔43bの堆積物による閉塞や狭小化を防止でき、成膜均一性や再現性の向上を実現できる。
また、シャワープレート43の下面温度tを一定の値以下に保持可能となったことにより、シャワープレート43下面への堆積膜の付着量を少なく抑えることができるので、堆積膜の付着⇒シャワープレート下面の熱吸収率の増加⇒シャワープレート温度の上昇⇒堆積膜のさらなる付着、という好ましくない循環が生じることがない。つまり、成膜枚数を重ねてもシャワープレート43下面温度tを一定に保つことができるので、再現性の高い成膜をも実施することができる。
また、シャワーヘッド内部に冷媒流路を設置し、その中に冷媒を循環させ、載置台等から受けた輻射熱を除去する手法に比べると、高温チラーを必要としないことから装置をコンパクトにすることができ、メンテナンス頻度を減らして装置稼働率を向上することができるとともに、コストを低く抑えることができる。また、高温の冷媒を流す危険性やシャワーヘッド内部での冷媒漏れの際の危険性を回避することができる。具体的には、ヒートパイプ内部は負圧であり内部に封入されている液体は微量の水なので、万一ヒートパイプの気密が破れても危険性は少なく、冷媒を直接シャワーヘッド内部に流す方法に比べると安全性を向上させることができる。冷媒流路は入口と出口が必要であり、往々にして入口と出口との温度差が生ずるものであるが、ヒートパイプではただ1本の筒によって熱輸送がなされるので設置場所や設置方法の自由度が大きく、設置流路による温度差は無いに等しい。
ヒートパイプの耐熱温度は300℃程度のものがあるので、シャワーヘッド内部に冷媒を流す方式に比べてより広範囲なプロセス温度(たとえばウェハWが800℃)に対応することも可能である。ヒートパイプは比較的安価で品質が安定しており、信頼性も高いといった面からも、シャワーヘッド40等の部材のメンテナンスコストを低減させることができる。
本実施の形態においては、シャワープレート43の下面とウェハWとの距離は25mmに設定されている。成膜プロセス条件によっては、この距離を短く、例えば15mmにしなければならない場合もあるが、この距離が短いほど載置台5およびウェハWからの熱輻射の影響を受けやすくなるため、シャワープレート下面の温度が上昇しやすくなるという問題が生じるが、ヒートパイプを用いた本実施の形態のシャワーヘッドを使えば、このような問題をも回避することが可能である。
ヒートパイプの配置方法の変形例を図6に例示する。この図6では、シャワーヘッド40の内部にヒートパイプ102を折り曲げて配置した例を示している。前述したように、ヒートパイプ102は銅等の熱伝導性の良好な素材で構成されているため、加工性も良好であり、折り曲げ加工等も容易である。
図6の例では、ヒートパイプ102をL字型に形成し、その下端(吸熱端)側が原料ガス吐出孔43aや酸化ガス吐出孔43bに干渉しないように、シャワープレート43内に放射状もしくは格子状に埋め込まれ、上端(放熱端)側はシャワーヘッド40の側壁部を貫通して、シャワーヘッド40の上に突出している。そして、このシャワーヘッド40上に突出した上端部に温度制御機構106が装着されて温度制御機構90を構成している。この図6の場合も、上述の図5の場合と同様の効果を得ることができる。なお、場合によっては、L字型に形成したヒートパイプ102の下端(吸熱端)側を原料ガス拡散空間42aや酸化ガス拡散空間42bに干渉しないように、ガス拡散板42内に放射状もしくは格子状に埋め込むようにしてもよい。
図7および図8に、ヒートパイプを用いたシャワーヘッド40のさらに他の例を示す。図8は、図7のシャワープレート43を下側から見た水平断面図である。この図7の例では、シャワーヘッド40の下端のシャワープレート43内に複数のヒートパイプ103およびヒートパイプ104を、原料ガス吐出孔43aおよび酸化ガス吐出孔43bに干渉しないように、水平な姿勢で格子状に配列している。このヒートパイプ103およびヒートパイプ104には、前述のマイクロヒートパイプを用いることが望ましい。
さらに、シャワーヘッド40の側壁部を厚さ方向に貫通する位置には、ヒートパイプ103およびヒートパイプ104とは独立なヒートパイプ105を垂直に配置し、この垂直なヒートパイプ105の下端は、水平なヒートパイプ103およびヒートパイプ104の両端部に近接しており、両者間で熱伝達が行われるようになっている。
垂直なヒートパイプ105の上端部はシャワーヘッド40の上部に突出し、温度制御機構106が装着されている。
すなわち、この図7の例では、シャワープレート43の面内に水平に設置されたヒートパイプ103およびヒートパイプ104によって、シャワープレート43の面内の温度分布を均一化し、余剰の熱は、垂直なヒートパイプ105を経由してシャワーヘッド40の上部に放散される。
これにより、上述の図5および図6と同様の効果を奏するとともに、さらに、シャワープレート43の面内温度の均一化によるウェハWにおけるPZT等の膜質の面内分布の均一化を実現できる。
これにより、上述の図5および図6と同様の効果を奏するとともに、さらに、シャワープレート43の面内温度の均一化によるウェハWにおけるPZT等の膜質の面内分布の均一化を実現できる。
なお、ヒートパイプ103および/またはヒートパイプ104と、ヒートパイプ105との間の熱伝導性をより重視する場合には、溶接や曲げ加工等によってヒートパイプ103および/またはヒートパイプ104と、ヒートパイプ105とが直接繋がっているように構成してもよい。
また、場合によっては、ヒートパイプ103および/またはヒートパイプ104を、原料ガス拡散空間42aや酸化ガス拡散空間42bに干渉しないように、ガス拡散板42内に埋め込むこととしてもよいし、ヒートパイプ103および/またはヒートパイプ104を、ガス拡散板42内とシャワープレート43内の両方に埋め込むこととしてもよい。
また、上述の図5〜7に挙げた、ヒートパイプを使用したシャワーヘッド構造は、それぞれ単独で用いてもよいし、どれかを組み合わせて用いても構わない。
上述の、第3の実施の形態においては、シャワーヘッドの構造をポストミックス形式として説明したが、プレミックス形式のシャワーヘッドにおいても適用可能であることはもちろんである。
ヒートパイプを使用した本発明は、シャワーヘッドの厚みが大きい場合や、シャワーヘッドを構成するプレートの枚数が多い場合や、シャワーヘッド内部のガス拡散空間が大きい場合や、シャワーヘッドがステンレススチールなどの熱伝導性が比較的良好とは言いがたい材質で構成されている場合等、シャワーヘッドの上部と下部との温度差が顕著となりやすい例において、特に効果が大きくあらわれる。
本実施の形態においては、シャワープレート43で受けた、載置台等からの輻射熱を効果的に放散することを目的としてヒートパイプを利用する例について述べてきたが、冷やす方向のみではなく、場合によっては暖める方向でもヒートパイプの有効利用が可能である。たとえば、装置立上げ時などでシャワーヘッド40全体の温度を、速やかに室温から運転時温度まで上昇させたい場合に、温度制御機構106のヒータをONにして加熱すれば、その熱はヒートパイプを伝わって、瞬く間にシャワーヘッド40全体の温度を上昇させることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限らず本発明の思想の範囲内で種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、金属βジケネートに分類される有機金属化合物原料を用いてPZT薄膜の成膜処理を例にとって説明したが、これに限らず、有機金属原料を用いた膜の成膜でれば適用することができる。例えば、PZT膜と同様に金属βジケネートに分類される有機金属化合物を原料としてBST膜の成膜に適用することができる。このBST膜はPZT薄膜と同様Ba(Sr1−xTi)Oのペロブスカイト構造を有する結晶膜であり、強誘電性をもつ。この膜は、Ba含有原料としてのBa(dpm)、Sr含有原料としてのSr(dpm)、Ti含有原料としてのTi(O−i−C(dpm)を用いて成膜することができる。また、上記実施形態では、酸化ガスとしてNOを用いたが、このような金属βジケネートに分類される有機金属化合物原料を用いてPZT薄膜等の強誘電性膜を成膜する場合には、酸化ガスとして他にNO、Oを用いることもできる。
また、本発明は、SBT膜(SrとBiとTaとを含んだ酸化物)、BLT膜(BiとLaとTiとを含んだ酸化物)などの他の高・強誘電体膜や、RE−Ba−Cu−O系(REは希土類元素)、Bi−Sr−Ca−Cu−O系、Tl−Ba−Ca−Cu−O系などの高温超電導体膜や、Al、HfO、ZrOなどのゲート絶縁膜や、RuO、IrO、SrRuO系などの酸化物電極膜などの成膜に対しても有効である。特に、HfO、ZrOはゲート絶縁膜材料の中でも注目されており、それぞれ原料として金属アルコキシドに分類される有機金属化合物であるHTB(ハフニウムテトラターシャリブトキサイド)、ZTB(ジルコニウムテトラターシャリブトキサイド)を用いて成膜することができる。そして、この場合の酸化ガスとしては、NOまたはOが好適である。
本発明によれば、シャワーヘッドの目詰まりを防止することが可能となり、これにより、成膜の均一性や再現性を向上させることが可能となるとともに、装置の稼働率の向上やメンテナンスコストの削減を実現することが可能となるから、本発明は、処理容器内において、載置台に載置されて加熱された基板に対向して設けられたシャワーヘッドから処理ガスを供給して所望の処理を行うガス処理装置に広く適用することができる。
本発明の一実施の形態である成膜方法を実施する成膜装置の構成の一例を示す断面図。 本発明の一実施の形態である成膜方法を実施する成膜装置の作用の一例を示すフローチャート。 本発明の一実施の形態である成膜方法を実施する成膜装置の作用の一例を示す線図。 本発明の一実施の形態である成膜方法を実施する成膜装置にて用いられる判定テーブルの一例を示す概念図。 本発明の一実施の形態である成膜方法を実施する成膜装置のシャワーヘッドの変形例を示す断面図。 本発明の一実施の形態である成膜方法を実施する成膜装置のシャワーヘッドの変形例を示す断面図。 本発明の一実施の形態である成膜方法を実施する成膜装置のシャワーヘッドの変形例を示す断面図。 本発明の一実施の形態である成膜方法を実施する成膜装置のシャワーヘッドの変形例を示す断面図。 シャワーヘッドにおける酸化ガス吐出孔が孔詰まりする前と孔詰まりした後の状態の一例を示す断面図。 シャワーヘッド表面中央温度とシャワーヘッド起因パーティクル数との関係を示す線図。
符号の説明
1…筐体
2…処理容器
5…載置台
10…熱電対(温度検出機構)
40…シャワーヘッド
41…シャワーベース
41a…原料ガス導入路
41b…酸化ガス導入路
42…ガス拡散板
42a…原料ガス拡散空間
42b…酸化ガス拡散空間
42d…原料ガス通路
42e…酸化ガス通路
43…シャワープレート
43a…原料ガス吐出孔
43b…酸化ガス吐出孔
51…原料ガス配管
52…酸化ガス配管
52a…酸化ガス分岐配管
52b…酸化ガス分岐配管
60…ガス供給機構
80…プロセスコントローラ
81…ユーザインタフェース
82…外部入力インタフェース
83…外部出力インタフェース
84…プロセスデータベース
85…判定テーブル
86…判定論理
90…温度制御機構
91…ヒータ
92…水冷用流路
93…温度制御部
101…ヒートパイプ
102…ヒートパイプ
103…ヒートパイプ
104…ヒートパイプ
105…ヒートパイプ
106…温度制御機構
W…ウェハ

Claims (28)

  1. 被処理基板を収容する処理室内に、有機金属原料および酸化ガスを、これらを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドを介して供給し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜方法であって、
    前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制するように、前記シャワーヘッドの温度を制御することを特徴とする成膜方法。
  2. 被処理基板を収容する処理室内に、有機金属原料および酸化ガスを、これらを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドを介して供給し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜方法であって、
    前記有機金属原料および酸化ガスの供給条件に応じて、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制するように、前記シャワーヘッドの温度を制御することを特徴とする成膜方法。
  3. 被処理基板を収容する処理室内に、有機金属原料および酸化ガスを、これらを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドを介して供給し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜方法であって、
    前記シャワーヘッドの温度を検出し、その温度が前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制する温度になるように、加熱手段および/または冷却手段により前記シャワーヘッドを加熱または冷却して前記シャワーヘッドの温度を制御することを特徴とする成膜方法。
  4. 被処理基板を収容する処理室内に、有機金属原料および酸化ガスを、これらを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドを介して供給し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜方法であって、
    前記有機金属原料および酸化ガスの供給条件に応じて、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制可能な前記シャワーヘッドの温度を把握しておき、前記シャワーヘッドの温度を検出して、その温度が前記反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制可能な温度になるように、加熱手段および/または冷却手段により前記シャワーヘッドを加熱または冷却して前記シャワーヘッドの温度を制御することを特徴とする成膜方法。
  5. 被処理基板を収容する処理室内に、有機金属原料および酸化ガスを、これらを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドを介して供給し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜方法であって、
    前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積量および/または有機金属原料の凝縮量とシャワーヘッドの温度との相関関係を記憶手段に入力し、前記相関関係に基づいてシャワーヘッドの温度を制御することを特徴とする成膜方法。
  6. 前記シャワーヘッドの加熱手段および/または冷却手段はシャワーヘッドに配置されたヒートパイプであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の成膜方法。
  7. 前記シャワーヘッドの温度は、前記シャワーヘッドの被処理基板に対向した面に近接して配置された温度センサにより検出されることを特徴とする請求項3または請求項4または請求項6に記載の成膜方法。
  8. 前記有機金属原料は、金属βジケネートまたは金属アルコキシドであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の成膜方法。
  9. 前記有機金属原料は、Pb(dpm)、Zr(dpm)、Zr(O−i−C)(dpm)、Zr(O−i−C(dpm)、Ti(O−i−C(dpm)、Ba(dpm)、Sr(dpm)からなる群から選択された複数種であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の成膜方法。
  10. 前記酸化ガスは、NO、NO、Oからなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項9に記載の成膜方法。
  11. 前記有機金属原料は、HTB(ハフニウムテトラターシャリブトキサイド)またはZTB(ジルコニウムテトラターシャリブトキサイド)であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の成膜方法。
  12. 前記酸化ガスは、NOまたはOであることを特徴とする請求項11に記載の成膜方法。
  13. 前記有機金属原料は、Pb含有原料としてのPb(dpm)、Zr含有原料としてのZr(dpm)またはZr(O−i−C(dpm)またはZr(O−i−C)(dpm)、Ti含有原料としてのTi(O−i−C(dpm)を含み、前記酸化ガスは、NO、NO、Oからなる群から選択されたものであり、これらによりPZT膜を形成することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の成膜方法。
  14. 被処理基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に設けられ、有機金属原料および酸化ガスを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドと
    を具備し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜装置であって、
    前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制するように、前記シャワーヘッドの温度を制御する温度制御機構をさらに具備したことを特徴とする成膜装置。
  15. 被処理基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に設けられ、有機金属原料および酸化ガスを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドと
    を具備し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜装置であって、
    前記有機金属原料および酸化ガスの供給条件に応じて、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制するように、前記シャワーヘッドの温度を制御する温度制御機構をさらに具備したことを特徴とする成膜装置。
  16. 被処理基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に設けられ、有機金属原料および酸化ガスを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドと
    を具備し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜装置であって、
    前記シャワーヘッドを加熱する加熱手段および/または冷却する冷却手段と、
    前記シャワーヘッドの温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段により検出されたシャワーヘッドの温度が前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制する温度になるように、前記加熱手段および/または冷却手段を制御する温度制御機構と
    をさらに具備したことを特徴とする成膜装置。
  17. 被処理基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に設けられ、有機金属原料および酸化ガスを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドと
    を具備し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜装置であって、
    前記シャワーヘッドを加熱する加熱手段および/または冷却する冷却手段と、
    前記シャワーヘッドの温度を検出する温度検出手段と、
    前記有機金属原料および酸化ガスの供給条件に応じた、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制可能な前記シャワーヘッドの温度の情報が記憶される記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記温度検出手段により検出されたシャワーヘッドの温度が、前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積および前記有機金属原料の凝縮を抑制する温度になるように、前記加熱手段および/または冷却手段を制御する温度制御機構と
    をさらに具備したことを特徴とする成膜装置。
  18. 被処理基板を収容する処理室と、
    前記処理室内に設けられ、有機金属原料および酸化ガスを別個独立に吐出する複数のガス吐出孔を有するシャワーヘッドと
    を具備し、前記有機金属原料および酸化ガスを前記処理室内で混合することで、前記被処理基板に金属酸化物を形成する成膜装置であって、
    前記シャワーヘッドのガス吐出孔および前記被処理基板に対向する面における反応生成物の堆積量および/または有機金属原料の凝縮量とシャワーヘッドの温度との相関関係が入力される記憶手段と、
    前記相関関係に基づいてシャワーヘッドの温度を制御する制御機構と
    をさらに具備したことを特徴とする成膜装置。
  19. 前記シャワーヘッドの加熱手段および/または冷却手段はシャワーヘッドに配置されたヒートパイプであることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の成膜装置。
  20. 前記シャワーヘッドの冷却手段はヒートパイプであって、前記ヒートパイプの少なくも吸熱端が前記シャワーヘッドの被処理基板に対向する面に近接して配置することを特徴とする請求項16または請求項17に記載の成膜装置。
  21. 温度検出手段は、前記シャワーヘッドの被処理基板に対向する面の温度を検出する温度センサであることを特徴とする請求項16、請求項17、請求項19、請求項20のいずれか1項に記載の成膜装置。
  22. 前記センサは、前記シャワーヘッドの被処理基板に対向する面に近接して配置されることを特徴とする請求項21に記載の成膜装置。
  23. 前記有機金属原料は、金属βジケネートまたは金属アルコキシドであることを特徴とする請求項15から請求項22のいずれか1項に記載の成膜装置。
  24. 前記有機金属原料は、Pb(dpm)、Zr(dpm)、Zr(O−i−C)(dpm)、Zr(O−i−C(dpm)、Ti(O−i−C(dpm)、Ba(dpm)、Sr(dpm)からなる群から選択された複数種であることを特徴とする請求項15から請求項22のいずれか1項に記載の成膜装置。
  25. 前記酸化ガスは、NO、NO、Oからなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項24に記載の成膜装置。
  26. 前記有機金属原料は、HTB(ハフニウムテトラターシャリブトキサイド)またはZTB(ジルコニウムテトラターシャリブトキサイド)であることを特徴とする請求項15から請求項22のいずれか1項に記載の成膜装置。
  27. 前記酸化ガスは、NOまたはOであることを特徴とする請求項26に記載の成膜装置。
  28. 前記有機金属原料は、Pb含有原料としてのPb(dpm)、Zr含有原料としてのZr(dpm)またはZr(O−i−C(dpm)またはZr(O−i−C)(dpm)、Ti含有原料としてのTi(O−i−C(dpm)を含み、前記酸化ガスは、NO、NO、Oからなる群から選択されたものであり、これらによりPZT膜を形成することを特徴とする請求項15から請求項22のいずれか1項に記載の成膜装置。
JP2004037093A 2004-02-13 2004-02-13 成膜方法および成膜装置 Expired - Fee Related JP4463583B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004037093A JP4463583B2 (ja) 2004-02-13 2004-02-13 成膜方法および成膜装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004037093A JP4463583B2 (ja) 2004-02-13 2004-02-13 成膜方法および成膜装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005228972A true JP2005228972A (ja) 2005-08-25
JP4463583B2 JP4463583B2 (ja) 2010-05-19

Family

ID=35003431

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004037093A Expired - Fee Related JP4463583B2 (ja) 2004-02-13 2004-02-13 成膜方法および成膜装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4463583B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005119749A1 (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Tokyo Electron Limited ガス処理装置および成膜装置
JP2010135448A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Advanced Display Process Engineering Co Ltd センシングユニット及びこれを有する基板処理装置
JP2010212425A (ja) * 2009-03-10 2010-09-24 Tokyo Electron Ltd シャワーヘッド及びプラズマ処理装置
JP2011014720A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Mitsubishi Materials Corp プラズマ処理装置用電極板
WO2011070945A1 (ja) * 2009-12-11 2011-06-16 株式会社アルバック 薄膜製造装置、薄膜の製造方法、及び半導体装置の製造方法
WO2011114940A1 (ja) * 2010-03-16 2011-09-22 東京エレクトロン株式会社 成膜装置
KR101412034B1 (ko) 2008-06-18 2014-06-26 주식회사 원익아이피에스 가스분사조립체 및 이를 이용한 박막증착장치
KR20150062926A (ko) * 2013-11-29 2015-06-08 가부시키가이샤 히다치 고쿠사이 덴키 기판 처리 장치, 반도체 장치의 제조 방법 및 기록 매체
US20180366354A1 (en) * 2017-06-19 2018-12-20 Applied Materials, Inc. In-situ semiconductor processing chamber temperature apparatus
KR20190030096A (ko) * 2017-09-13 2019-03-21 이영남 냉각 방식의 샤워헤드를 구비하는 기판 처리 장치
JP2021507536A (ja) * 2017-12-21 2021-02-22 マイヤー・ブルガー(ジャーマニー)ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 伝熱管を用いて電極を電気的に切り離された形で均一に温度制御するシステム及びそのようなシステムを備えた処理室
CN110352479B (zh) * 2017-06-19 2024-05-10 应用材料公司 原位半导体处理腔室温度装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102383108B1 (ko) 2018-05-18 2022-04-04 삼성전자주식회사 웨이퍼 처리 장치 및 메모리 소자의 제조 방법

Cited By (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005119749A1 (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Tokyo Electron Limited ガス処理装置および成膜装置
KR101412034B1 (ko) 2008-06-18 2014-06-26 주식회사 원익아이피에스 가스분사조립체 및 이를 이용한 박막증착장치
JP2010135448A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Advanced Display Process Engineering Co Ltd センシングユニット及びこれを有する基板処理装置
JP2010212425A (ja) * 2009-03-10 2010-09-24 Tokyo Electron Ltd シャワーヘッド及びプラズマ処理装置
KR101493110B1 (ko) * 2009-03-10 2015-02-12 도쿄엘렉트론가부시키가이샤 샤워헤드 및 플라즈마 처리장치
JP2011014720A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Mitsubishi Materials Corp プラズマ処理装置用電極板
WO2011070945A1 (ja) * 2009-12-11 2011-06-16 株式会社アルバック 薄膜製造装置、薄膜の製造方法、及び半導体装置の製造方法
US9404180B2 (en) 2010-03-16 2016-08-02 Tokyo Electron Limited Deposition device
CN102725438A (zh) * 2010-03-16 2012-10-10 东京毅力科创株式会社 成膜装置
JP5778132B2 (ja) * 2010-03-16 2015-09-16 東京エレクトロン株式会社 成膜装置
WO2011114940A1 (ja) * 2010-03-16 2011-09-22 東京エレクトロン株式会社 成膜装置
KR20150062926A (ko) * 2013-11-29 2015-06-08 가부시키가이샤 히다치 고쿠사이 덴키 기판 처리 장치, 반도체 장치의 제조 방법 및 기록 매체
KR101579503B1 (ko) 2013-11-29 2015-12-22 가부시키가이샤 히다치 고쿠사이 덴키 기판 처리 장치, 반도체 장치의 제조 방법 및 기록 매체
WO2018236472A1 (en) * 2017-06-19 2018-12-27 Applied Materials, Inc. SEMI-CONDUCTOR CHAMBER TEMPERATURE APPARATUS IN SITU
KR102506497B1 (ko) * 2017-06-19 2023-03-06 어플라이드 머티어리얼스, 인코포레이티드 인-시튜 반도체 프로세싱 챔버 온도 장치
CN110352479B (zh) * 2017-06-19 2024-05-10 应用材料公司 原位半导体处理腔室温度装置
US20180366354A1 (en) * 2017-06-19 2018-12-20 Applied Materials, Inc. In-situ semiconductor processing chamber temperature apparatus
CN110352479A (zh) * 2017-06-19 2019-10-18 应用材料公司 原位半导体处理腔室温度装置
KR20200010180A (ko) * 2017-06-19 2020-01-30 어플라이드 머티어리얼스, 인코포레이티드 인-시튜 반도체 프로세싱 챔버 온도 장치
JP2020524393A (ja) * 2017-06-19 2020-08-13 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated インサイチュの半導体処理チャンバ温度装置
TWI815810B (zh) * 2017-06-19 2023-09-21 美商應用材料股份有限公司 噴頭組件、處理腔室及控制溫度之方法
JP7186719B2 (ja) 2017-06-19 2022-12-09 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド インサイチュの半導体処理チャンバ温度装置
KR101980971B1 (ko) * 2017-09-13 2019-05-21 이영남 냉각 방식의 샤워헤드를 구비하는 기판 처리 장치
KR20190030096A (ko) * 2017-09-13 2019-03-21 이영남 냉각 방식의 샤워헤드를 구비하는 기판 처리 장치
JP7274487B2 (ja) 2017-12-21 2023-05-16 マイヤー・ブルガー(ジャーマニー)ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 伝熱管を用いて電極を電気的に切り離された形で均一に温度制御するシステム及びそのようなシステムを備えた処理設備
JP2021507536A (ja) * 2017-12-21 2021-02-22 マイヤー・ブルガー(ジャーマニー)ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 伝熱管を用いて電極を電気的に切り離された形で均一に温度制御するシステム及びそのようなシステムを備えた処理室

Also Published As

Publication number Publication date
JP4463583B2 (ja) 2010-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101027845B1 (ko) 기판 처리 장치 및 기판 탑재대
US8021717B2 (en) Film formation method, cleaning method and film formation apparatus
JP4877748B2 (ja) 基板処理装置および処理ガス吐出機構
JP4451221B2 (ja) ガス処理装置および成膜装置
TWI396946B (zh) 薄膜沉積系統之清潔方法、薄膜沉積系統及其程式
JP4463583B2 (ja) 成膜方法および成膜装置
KR101203254B1 (ko) 루테늄막의 성막 방법 및 컴퓨터 판독 가능한 기억 매체
US20020015855A1 (en) System and method for depositing high dielectric constant materials and compatible conductive materials
JP2010153467A (ja) 基板処理装置および半導体装置の製造方法
JP2008214763A (ja) 成膜装置
JP4399206B2 (ja) 薄膜製造装置
TW201843341A (zh) 氣體供給裝置、氣體供給方法及成膜方法
JP2010267925A (ja) 半導体装置の製造方法及び基板処理装置
US8263181B2 (en) Ti-based film forming method and storage medium
JP2005333110A (ja) 薄膜形成装置、薄膜形成装置の洗浄方法及びプログラム
JP2009132991A (ja) 窒化アルミニウム又は酸化ベリリウムのセラミックカバーウェハ
JP2008066413A (ja) シャワーヘッド構造及びこれを用いた処理装置
KR20010039751A (ko) Mocvd 시스템
JP2021150472A (ja) 気化装置、基板処理装置、クリーニング方法および半導体装置の製造方法
JP2002222805A (ja) 基板処理装置
JP3111994B2 (ja) 金属酸化物誘電体材料の気相成長装置
JP2005054252A (ja) 薄膜製造装置及び製造方法
JP4782761B2 (ja) 成膜装置
KR20010107744A (ko) 에칭방법, 처리장치 및 에칭장치
JP2021048233A (ja) 原料貯留システム、基板処理装置、クリーニング方法およびプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090501

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090602

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090731

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100216

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100217

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4463583

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160226

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees