JP2005228903A - 電子部品の製造方法 - Google Patents

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佳功 上田
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Abstract

【課題】外部導体や部品素体にダメージを与えることなく、外部導体の表面に浮き出したガラス成分を除去し、めっき析出性が良好で性能不良や外観不良を生じることのないようにする。
【解決手段】 セラミック素体1の表面にガラス成分を含有した導電性ペーストを塗布し、焼付処理を行なって外部導体3a,3bを形成し、その後水素イオン指数pHが7.0以上の錯化剤を含有した溶液に前記外部導体が形成されたセラミック素体を所定時間浸漬し、しかる後、電解Niめっきを施して前記外部導体の表面にNi皮膜4a,4bを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は電子部品の製造方法に関し、より詳しくは、部品素体の表面に形成された外部導体にめっき処理を施して外部電極を形成する積層セラミック電子部品等の電子部品の製造方法に関する。
セラミック素体等の部品素体の両端部に外部電極が形成されたチップ型電子部品では、前記両端部に導電性ペーストを塗布した後、焼付処理を施して下地電極となる外部導体を形成し、その後めっき処理を施すことにより外部導体の表面にめっき皮膜を形成し、これにより外部電極を形成している。
しかしながら、前記導電性ペーストはバインダとしてホウケイ酸ガラス等のガラス成分を含有しているため、焼付処理時にガラス成分が外部導体の表面に浮いてしまうおそれがある。
また、めっき処理時に、めっき液が外部導体に形成された気孔内に浸入して閉じ込められ、その後の電子部品実装時における加熱によって急激に気化すると、外部電極に穴が穿いてしまう。このため、予め前記気孔にガラス成分を浸入させて外部電極を緻密化させることが行なわれている。
しかしながら、上述したようにガラス成分を気孔に浸入させて外部電極を緻密化させようとすると、導電性ペースト中のガラス成分の含有量は必然的に増加するととなり、したがってガラス成分が益々外部導体の表面に浮き上がり易くなる。
そして、外部導体の表面に浮いたガラス成分は、めっき析出性を阻害するため、めっき析出速度の低下、膜厚のバラツキ増加、はんだ耐熱性の低下等の不具合を招くおそれがある。
そこで、従来より、外部導体をバレル研磨することにより、外部導体表面のガラス成分を除去するようにしたセラミック電子部品の製造方法が提案されている(特許文献1)。
一方、弱酸性めっき液を使用してめっき処理した場合は、めっき液自身のガラス溶解能によって外部導体表面のガラス成分を或る程度は溶解除去することができるが、弱酸性めっき液に対して容易に浸食される部品素体も多く存在しており、そのような部品素体に対しては酸性めっき液を使用するのを回避するのが望ましく、弱アルカリ性のめっき液を使用した技術も提案されている(特許文献2)。
特開平7−192967号公報 特開平9−157884号公報
しかしながら、上記特許文献1では、外部導体の表面をバレル研磨してガラス成分を除去しているものの、バレル研磨時にガラス成分と共に外部導体も一緒に研磨されるおそれがある。このため研磨屑が、研磨処理中に部品素体の表面に固着し、この固着した研磨屑を核としてめっき皮膜が異常析出し、その結果外観不良や短絡の生じる原因になるという問題点があった。
また、外部導体の表面に多量のガラス成分が浮いている場合は、研磨量を多くしなければならず、本来研磨を必要としない外部導体をも削ってしまい、電極切れを招くおそれがあるという問題点があった。
一方、特許文献2のような弱アルカリ性のめっき浴を使用してめっき処理を行なった場合は、弱酸性のめっき液を使用した場合と異なり、ガラス成分の溶解除去能力も低く、めっき処理の際に、外部導体の表面に益々ガラス成分が浮き易くなってしまい、膜厚のバラツキやめっき析出速度の低下等、めっき析出性が悪化するという問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、外部導体や部品素体にダメージを与えることなく、外部導体の表面に浮き出したガラス成分を除去し、めっき析出性が良好で性能不良や外観不良を生じることのない電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を行なったところ、導電ペーストを塗布・焼付処理して外部導体が形成された部品素体を、水素イオン指数pH(以下、単に「pH」という)が7.0以上の錯化剤を含有した溶液に浸漬させることにより、外部導体表面のガラス成分のみを溶解除去することができるという知見を得た。
しかも、外部導体に研磨処理を行なう必要もなくなるので、部品素体への研磨屑の固着が回避され、部品素体へのめっき成長の発生も抑制することが可能となる。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る電子部品の製造方法は、部品素体の表面に、ガラス成分を含有した導電性ペーストを塗布し、焼付処理を行なって外部導体を形成する外部導体形成工程と、前記外部導体の形成された部品素体にめっき処理を施し、前記外部導体の表面にめっき皮膜を形成するめっき処理工程とを含む電子部品の製造方法において、水素イオン指数pHが7.0以上の錯化剤を含有した溶液に前記外部導体が形成された前記部品素体を浸漬する浸漬工程を、前記外部導体形成工程と前記めっき処理工程との間に介在させることを特徴としている。
また、本発明の電子部品の製造方法は、前記錯化剤が、カルボキシル基を含有していることを特徴とし、具体的にはポリカルボン酸、ポリオキシカルボン酸、ポリオキシラクトン、アミノポリカルボン酸の中から選択された少なくとも1種であることを特徴としている。
また、本発明の電子部品の製造方法は、前記浸漬工程が、前記溶液に超音波振動を付与することを特徴としている。
さらに、本発明の電子部品の製造方法は、前記浸漬工程が前記部品素体を容器に収容した後、該容器を前記溶液に浸漬させて前記容器を前記溶液中で回転、振動、又は揺動させることを特徴とし、さらに前記部品素体が収容された容器を前記溶液から取り出し、その後、めっき処理工程で前記容器をめっき浴に浸漬させると共に、前記容器を前記めっき浴中で回転、振動、又は揺動させて前記部品素体の外部導体表面にめっき皮膜を形成することを特徴としている。
上記電子部品の製造方法によれば、外部導体が形成された部品素体をpHが7.0以上の錯化剤を含有した溶液に浸漬する浸漬工程を、外部導体形成工程とめっき処理工程との間に介在させているので、錯化剤の錯形成能によりガラス成分中の金属イオンが遊離してガラス溶解量が増加し、しかも溶液はpHが7.0以上であるので耐浸食性を確保することができる。また研磨工程を特に必要としないので、外部導体を削ってしまったり、研磨屑が部品素体に固着することもない。そしてこれにより、めっき析出性が良好で性能不良や外観不良が生じることのない信頼性に優れた電子部品を高効率で製造することができる。
また、前記浸漬工程が、前記溶液に超音波振動を付与し、或いは部品素体を容器に収容した後、該容器を前記溶液に浸漬させて前記容器を前記溶液中で回転、振動、又は揺動させることにより、ガラス成分の溶解除去が促進され、浸漬時間を短縮化することができる。
そしてその後、前記容器を前記溶液から取り出し、めっき処理工程で前記部品素体が収容された前記容器をめっき浴に浸漬させ、前記容器を前記めっき浴中で回転、振動、又は揺動させて前記外部導体の表面にめっき皮膜を形成することにより、浸漬処理に使用した容器をそのままめっき浴に浸漬させてめっき処理を行なうことが可能となり、めっき析出性が良好で異常なめっき成長や電極切れのない信頼性の優れた電子部品を高効率で製造することが可能となる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は本発明の製造方法により製造された電子部品としての積層セラミックコンデンサの一実施の形態を模式的に示した断面図である。
該積層セラミックコンデンサは、BaTiO等の誘電体セラミック材料からなるセラミック素体(部品素体)1に内部電極2(2a〜2f)が埋設されると共に、該セラミック素体1の両端部には外部導体3a、3bが形成され、さらに該外部導体3a、3bの表面にはNi皮膜4a、4bが形成されている。そして、外部導体3a、3bとNi皮膜4a、4bとで外部電極5a、5bを形成している。
各内部電極2a〜2fは積層方向に並設されると共に、内部電極2a、2c、2eは外部電極3aと電気的に接続され、内部電極2b、2d、2fは外部電極3bと電気的に接続されている。そして、内部電極2a、2c、2eと内部電極2b、2d、2fとの対向面間で静電容量を形成している。
以下、上記積層セラミックコンデンサの製造方法を詳述する。
まず、BaCO、TiO、ZrO等の所定の誘電体セラミック材料を混合し、粉砕、乾燥、仮焼等の工程を経、ドクターブレード法等によりセラミックグリーンシート(以下、「セラミックシート」という)を作製する。
次いで、AgやCu等の導電性材料にガラス粒子やワニス等の有機成分が含有された内部電極用導電性ペーストを作製する。そして、該導電性ペーストを使用してセラミックシートの表面にスクリーン印刷を施し、導電パターンを形成し、この後、前記導電パターンの形成されたセラミックシートを積層し、導電パターンの形成されていないセラミックシートで挟持・圧着して積層体を形成する。その後、所定温度(例えば、900〜1300℃)で前記積層体に焼成処理を施し、バレル研磨を行って角部をR(アール)状に加工し、これによりセラミック素体1が作製される。
次に、Ag−Pd、Ag、Cu、Ni等の導電性材料及びSiO、Bを主成分とするホウケイ酸系ガラス等のガラス成分(ガラスフリット)を有機ビヒクル中に分散させて外部電極用導電性ペーストを作製し、該導電性ペーストをディップ方式等によりセラミック素体1の両端部に塗布した後、温度600〜800℃で焼付処理を行なう。これによりワニス等の有機成分が燃焼して消失し、外部導体3a、3bが前記両端部に形成される。
次に、外部導体3a、3bが形成されたセラミック素体1を、pHが7.0以上の錯化剤を含有した溶液(以下、「錯化剤溶液」という)に所定時間(例えば、24時間)浸漬し、外部導体3a、3bの表面に浮き出ているガラス成分を除去する。
すなわち、弱酸性溶液はガラス成分の溶解除去は可能であるがセラミック素体1を浸食してしまうおそれがある。一方、pHが7.0以上の中性溶液又はアルカリ性溶液は、セラミック素体1の浸食を防ぐことは可能であるが、弱酸性溶液に比べてガラス溶解能が低く、外部導体3a、3bの表面に浮き出ているガラス成分を十分に溶解除去することはできない。
しかるに、本発明者の実験結果により、pHが7.0以上の中性溶液又はアルカリ性溶液に錯化剤(すなわち、ガラス成分中の金属イオンと錯体を形成し得る錯化剤)を含有させた場合は、錯化剤の錯形成能によりガラス成分中の金属イオン(例えば、Si4+、B3+)が遊離し、ガラス成分を溶解除去することができることが判明した。
そこで、本実施の形態では、前記セラミック素体1を、pHが7.0以上の錯化剤を含有した溶液(以下、「錯化剤溶液」という)に所定時間(例えば、12〜36時間)浸漬することによって外部導体3a、3bの表面に浮き出ているガラス成分を除去している。
尚、錯化剤溶液のpHは、上述したように7.0以上である必要があるが、好ましくは、10以上が望ましく、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウムや水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア水等のpH調整剤を使用して錯化剤溶液のpHを調整することができる。
また、錯化剤としては、ポリカルボン酸、ポリオキシカルボン酸、ポリオキシラクトン、アミノポリカルボン酸等のカルボキシル基を含有したカルボン酸類を使用することができる。
さらに、錯化剤溶液中の錯化剤濃度は、十分なガラス溶解能を確保する観点からは、10mol/m以上が望ましく、また、錯化剤溶液の液温は50℃以上が望ましい。
そしてこの後、外部導体3a、3bの形成されたセラミック素体1を被めっき物とし、電解バレルめっき法によりNiめっきを施してNi皮膜4a、4bを形成する。
すなわち、まず、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル及びホウ酸を含有したNiめっき浴でめっき槽を満たす。
次に、被めっき物、鋼球製導電性媒体及び樹脂等で形成された非導電性導体をバレル容器に収容し、この後、Ni製の陽極と、陰極と、前記バレル容器とをめっき槽に浸漬し、該バレル容器を回転、揺動、振動等させて被めっき物を陰極に接触させつつ、所定の電流密度で陽極、陰極間に所定時間電流を通電し、電解めっきを施して外部電極3a、3bの表面にNi皮膜4a、4bを形成し、これにより積層セラミックコンデンサが製造される。
尚、Ni皮膜4a、4bの表面には、更にSn等を含んだはんだめっきを形成してもよい。
このように本実施の形態は、セラミック素体1に外部導体3a、3bを形成した後、めっき処理を行なう前にセラミック素体1を錯化剤溶液に浸漬し、外部導体3a、3bの表面に浮き出ているガラス成分を溶解除去しているので、Niめっきを行なってもめっき析出性を阻害することもなく、したがってめっき析出速度が変動して膜厚にバラツキが生じることもなく、はんだ耐熱性に悪影響を及ぼすのを回避することができ、これによりめっき析出性が良好で性能不良や外観不良が生じることのない信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを容易に製造することができる。
また、本実施の形態では、研磨処理を行なうことなく外部導体3a、3bの表面に浮き出ているガラス成分を溶解除去しているので、研磨屑がセラミック部分に固着することもなく、したがって研磨屑を核にしてめっき成長することもなく、また、外部導体3a、3bが研磨されることもないので、電極切れが生じることもない。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、外部導体3a、3bが形成されたセラミック素体1を錯化剤溶液に所定時間浸漬しているが、浸漬中に錯化剤溶液に超音波振動を付与するのも好ましく、このように錯化剤溶液に超音波振動を付与することにより、ガラス成分の溶解除去を促進することが可能となり、浸漬時間の短縮化を図ることもできる。
また、前記セラミック素体1をバレル容器に収容した状態で錯化剤溶液に浸漬し、バレル容器を回転、振動、又は揺動させることによってもガラス成分の溶解除去を促進することが可能となり、しかもこの場合、錯化剤溶液に浸漬されたバレル容器をそのままめっき浴に浸漬させてめっき処理を施すことにより、製造作業を簡素化することができ、これによりめっき析出性が良好で異常なめっき成長や電極切れのない信頼性の優れた電子部品を高効率で製造することが可能となる。
また、上記実施の形態では、電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、両端面に外部電極が形成されたチップ型の電子部品に広く適用することができ、例えば、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、バリスタ、積層インダクタ等にも適用できるのはいうまでもない。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
Ba−Ti−O系の誘電体材料からなるセラミックシートにAgを主成分とする内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷し、該セラミックシートに短冊状の導体パターンを形成した。次いで、導体パターンの形成された複数枚のセラミックシートを静電容量の形成が可能となるように適宜積層した後、導体パターンの形成されていないセラミックシートで挟持し、圧着した後、所定寸法に切断して積層体を形成した。
次に、この積層体を温度500℃に加熱してセラミックシートに含有されるバインダ樹脂を燃焼消失させ、次いで、温度950℃で2時間焼成処理を施し、さらにバレル研磨を施して角部をR(アール)状に加工し、セラミック素体を得た。
次に、導電性材料としてAg、ガラス成分としてホウケイ酸ガラスを含有した外部導体用導電性ペーストを作製し、該外部導体用導電性ペーストを前記セラミック素体の両端部に塗布し、温度600〜800℃で焼付け処理を行い、外部導体を形成し、その後各種錯化剤溶液を使用して電解めっきを施した。
すなわち、まず、以下に示す方法で錯化剤溶液を作製した。
錯化剤としてエチレンジアミン四酢酸(以下、「EDTA」という)、グルタミン酸、クエン酸、及びグルコノラクトンを用意し、これら錯化剤を500mol/m含有した水酸化ナトリウム水溶液を錯化剤溶液として調製した。尚、この錯化剤溶液は。水酸化ナトリウム濃度を調整することにより、pHが10又は12となるようにした。
次いで、外部導体が形成されたセラミック素体を浴温25℃又は50℃に調整された各錯化剤溶液に24時間浸漬した。
そしてこの後、セラミック素体を錯化剤溶液から取り出し、電解Niめっきを施した。すなわち、セラミック素体を導電性媒体としての鋼球と共にバレル容器に収容し、該バレル容器を陰極及び陽極が浸漬されたNiめっき液に浸漬し、バレル容器を回転させつつ、陽極及び陰極間に電流を流し、これにより電解Niめっきを施し、外部導体の表面にNi皮膜が形成された実施例1〜8の積層セラミックコンデンサを作製した。
尚、実施例1、3〜8はpHが8.0に調製された第1のNiめっき液を使用して電解めっきを行い、実施例2はpHが4.2に調製された第2のNiめっき液を使用して電解めっきを行った。
ここで、第1のNiめっき液としては、250mol/mの硫酸ニッケル及び500mol/mのクエン酸(錯化剤)を含有したものを使用し、第2のNiめっき液としては、1500mol/mの硫酸ニッケル、500mol/mの塩化ニッケル、及び500mol/mのホウ酸を含有したものを使用した。
尚、めっき条件は、電流密度が10A/m、処理時間120分、浴温50℃であった。
また、比較例として、セラミック素体を錯化剤溶液に浸漬させずに、外部導体を形成した後、直接第1のNiめっき液(pH:8.0)又は第2のNiめっき液(pH:4.2)に浸漬し、外部導体の表面にNi皮膜を形成した積層セラミックコンデンサを作製した(比較例1、2)。
尚、比較例1、2では、バレル容器を回転させる代わりに該バレル容器を振動させつつ、陽極及び陰極間に電流を流し、これにより電解Niめっきを施した。
また、他の比較例として、セラミック素体を、錯化剤を含有していないpHが8〜12に調製されたアルカリ水溶液に24時間浸漬させ、その後、第1のNiめっき液(pH:8.0)を使用し、上記実施例1〜8と同様の方法・手順で、電解Niめっきを施し、外部導体の表面にNi皮膜が形成された積層セラミックコンデンサを作製した(比較例3〜5)。
さらに、その他の比較例として、外部導体の表面をガラス研磨して該ガラス導体上のガラス成分を完全に除去し、その後、第2のNiめっき液(pH:4.2)を使用し、上記実施例1〜8と同様の方法・手順で、電解Niめっきを施し、外部導体の表面にNi皮膜が形成された積層セラミックコンデンサを作製した(比較例6)。
次に、上記各実施例及び比較例の積層セラミックコンデンサについて、めっき析出性を評価し、めっき成長の有無及び電極切れの有無を調べた。
ここで、めっき析出性は、蛍光X線膜厚計で各実施例及び比較例の膜厚を測定し、目標とするめっき膜厚が得られたものをめっき析出性が「良」と判断し、目標とするめっき膜厚が得られなかったものをめっき析出性が「不良」と判断した。
また、めっき成長及び電極切れは走査型電子顕微鏡で各実施例及び比較例の外観を観察し、目視判断して評価した。
表1は各実施例及び比較例における前処理溶液(実施例1〜8では錯化剤溶液に相当)やNiめっき液のpH、及びめっき析出性の良否、めっき成長及び電極切れの有無を示している。
Figure 2005228903
この表1から明らかなように比較例1、2は、めっき成長や電極切れは生じなかったが、めっき析出性は「不良」であった。これは、比較例1、2ではセラミック素体を錯化剤溶液に浸漬させることなく、第1のNiめっき液又は第2のNiめっき液を使用して電解Niめっきを行なっているため、外部導体の表面にガラス成分が浮き出た状態で電解Niめっきが施されることとなり、めっき析出性が悪化したものと思われる。
また、比較例3〜5も、比較例1、2と同様、めっき成長や電極切れは生じなかったが、めっき析出性は「不良」であった。これは、比較例3〜5では電解Niめっきの前処理としてセラミック素体をアルカリ水溶液に浸漬しているのに過ぎず、前処理溶液が錯化剤を含有していないため、外部導体表面に浮き出ているガラス成分を十分に除去することができず、このため比較例1、2と同様、めっき析出性が悪化したものと思われる。
また、比較例6は、めっき析出性は良好であるが、めっき成長や電極切れが認められた。これは、比較例6では電解Niめっき処理の前処理として錯化剤溶液に浸漬させる代わりに、研磨処理を行なっているため、研磨屑が外部導体以外のセラミック部分に固着して外部導体以外の部分にもめっき成長が生じ、また、研磨処理により外部導体が過度に研磨されて電極切れが生じたものと思われる。
これに対して実施例1〜8では、電解Niめっき処理の前処理として、セラミック素体を、錯化剤を含有したpHが10又は12の錯化剤溶液に24時間浸漬し、これにより外部導体表面に浮き出ているガラス成分を溶解除去しているので、第1のNiめっき液及び第2のNiめっき液のいずれでめっき処理を行ってもめっき析出性は良好であり、めっき皮膜の異常成長や電極切れも生じないことが確認された。
セラミックシートとしてMn−Mo−Co−Cu系半導体セラミック材料を使用した以外は、〔実施例1〕と同様にしてセラミック素体を作製し、さらに、該セラミック素体の両端部に外部導体を形成した。
次いで、錯化剤としてのEDTAを500mol/m含有し、pHが10に調製された錯化剤溶液に前記セラミック素体を30分間浸漬すると共に、該錯化剤溶液に超音波振動を付与し、その後、前記第1のNiめっき液(pH:8.0)を使用し、〔実施例1〕と同様の方法・手順で電解Niめっき処理を施し、これにより積層サーミスタを作製した。
次いで、〔実施例1〕と同様、めっき析出性、めっき皮膜の異常成長、及び電極切れを調査したところ、いずれも良好であった。
このように錯化剤溶液に超音波振動を付与することにより、ガラス成分を短時間で溶解除去することが可能となり、生産性の向上を図ることができる。
〔実施例1〕と同様の方法・手順で、表面に外部導体の形成されたセラミック素体を作製した。
また、錯化剤としてのグルタミン酸を500mol/m含有しpHが8.0に調製された錯化剤溶液を用意した。
次いで、セラミック素体を媒体と共にバレル容器に収容し、該バレル容器に振動を付与しながら前記錯化剤溶液に30分間浸漬した。
そしてその後、第1のNiめっき液(pH:8.0)を使用し、〔実施例1〕と同様のめっき条件でバレル容器に振動を付与して電解Niめっき処理を施し、これにより積層セラミックコンデンサを作製した。
次いで、〔実施例1〕と同様、めっき析出性、めっき皮膜の異常成長、及び電極切れを調査したところ、いずれも良好であった。
このようにセラミック素体をバレル容器に収容して該バレル容器に振動を付与しながら錯化剤溶液に浸漬した場合も、〔実施例2〕と同様、短時間でガラス成分を除去することができ、しかもこの場合はバレル容器をそのままめっき浴に浸漬させ、バレル容器に振動を付与しながら電解めっきを行なうことができるので、より一層の生産性向上を図ることができる。
〔実施例1〕と同様の方法・手順で、表面に外部導体の形成されたセラミック素体を作製した。
また、錯化剤としてのEDTAを500mol/m含有しpHが10.0に調製された錯化剤溶液を用意した。
次いで、セラミック素体を媒体と共にバレル容器に収容し、該バレル容器を回転させながら前記錯化剤溶液に60分間浸漬した。
そしてその後、第1のNiめっき液(pH:8.0)を使用し、〔実施例1〕と同様の方法・手順で電解Niめっき処理を施し、これにより積層セラミックコンデンサを作製した。
次いで、〔実施例1〕と同様、めっき析出性、めっき皮膜の異常成長、及び電極切れを調査したところ、いずれも良好であった。
このようにセラミック素体をバレル容器に収容して該バレル容器を回転させながら錯化剤溶液に浸漬した場合も、〔実施例1〕と比べ、短時間でガラス成分を除去することができ、また、この場合もバレル容器を〔実施例3〕と略同様、そのままめっき浴に浸漬させ、バレル容器を回転させながら電解めっきを行なうことができるので、生産性向上を図ることができる。
本発明の製造方法で製造された電子部品としての積層セラミックコンデンサの一実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
1 セラミック素体(部品素体)
3a、3b 外部導体
4a、4b Ni皮膜(めっき皮膜)

Claims (6)

  1. 部品素体の表面に、ガラス成分を含有した導電性ペーストを塗布し、焼付処理を行なって外部導体を形成する外部導体形成工程と、前記外部導体の形成された部品素体にめっき処理を施し、前記外部導体の表面にめっき皮膜を形成するめっき処理工程とを含む電子部品の製造方法において、
    水素イオン指数pHが7.0以上の錯化剤を含有した溶液に前記外部導体が形成された前記部品素体を浸漬する浸漬工程を、前記外部導体形成工程と前記めっき処理工程との間に介在させることを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. 前記錯化剤は、カルボキシル基を含有していることを特徴とする請求項1記載の電子部品の製造方法。
  3. 前記錯化剤は、ポリカルボン酸、ポリオキシカルボン酸、ポリオキシラクトン、アミノポリカルボン酸の中から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項2記載の電子部品の製造方法。
  4. 前記浸漬工程は、前記溶液に超音波振動を付与することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記浸漬工程は、前記部品素体を容器に収容した後、該容器を前記溶液に浸漬させて前記容器を前記溶液中で回転、振動、又は揺動させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
  6. 前記部品素体が収容された前記容器を前記溶液から取り出し、その後、めっき処理工程で前記容器をめっき浴に浸漬させると共に、前記容器を前記めっき浴中で回転、振動、又は揺動させて前記部品素体の外部導体表面にめっき皮膜を形成することを特徴とする請求項5記載の電子部品の製造方法。
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