JP2005226815A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 無段変速機の挟圧力を制御する際に、センサの検出誤差を考慮して制御に反映させることによって、適切な挟圧力を設定することのできる制御装置を提供すること。
【解決手段】 回転部材が伝動部材を挟み付ける挟圧力に応じてトルク容量が変化するとともに、その挟圧力をセンサによって検出し、前記挟圧力を変化させることに伴う前記無段変速機の動作状態の変化に基づいて、所定の運転状態において設定するべき挟圧力を学習するように構成された無段変速機の制御装置において、前記センサの検出誤差を含んで前記挟圧力の学習をおこなうことにより学習値を得る学習手段(ステップS106)を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 回転部材が伝動部材を挟み付ける挟圧力に応じてトルク容量が変化するとともに、その挟圧力をセンサによって検出し、前記挟圧力を変化させることに伴う前記無段変速機の動作状態の変化に基づいて、所定の運転状態において設定するべき挟圧力を学習するように構成された無段変速機の制御装置において、前記センサの検出誤差を含んで前記挟圧力の学習をおこなうことにより学習値を得る学習手段(ステップS106)を備えている。
【選択図】 図1
Description
この発明は、挟圧力に応じてトルク容量の変化する無段変速機を対象とした制御装置に関するものである。
ベルト式無段変速機やトラクション式無段変速機は、ベルトとプーリとの間の摩擦力や、ディスクとローラとの間のトラクションオイルのせん断力を利用してトルクを伝達している。したがってこれらの無段変速機のトルク容量は、そのトルクの伝達が生じる箇所に作用する圧力に応じて設定される。
無段変速機における上記の圧力は挟圧力と称され、その挟圧力を高くすれば、トルク容量を増大させて滑りを回避できるが、その反面、高い圧力を生じさせるために動力を必要以上に消費したり、あるいは動力の伝達効率が低下するなどの不都合がある。そのため、一般的には、意図しない滑りが生じない範囲で、挟圧力を可及的に低く設定している。
例えば、無段変速機を搭載した車両では、エンジンの回転数を無段変速機によって制御して燃費の向上を図ることができるので、その利点を損なわないために、無段変速機での動力伝達効率を可及的に向上させるべく、挟圧力を、滑りが生じない範囲で可及的に低く設定するように制御されている。そのためには、滑りの生じ始める圧力(すなわち限界挟圧力)を検出する必要があり、従来では、種々の方法で滑りを検出し、また限界挟圧力を検出している。
その一例を挙げると、特許文献1には、円錐円板対と巻き掛け伝動節とを有する変速機であって、その円錐円板対が巻き掛け伝動節を挟み付ける圧着力(すなわち挟圧力)を変化させてスリップ限界(すなわち限界挟圧力)を検出し、そのスリップ限界(限界挟圧力)を超えないように圧着力(挟圧力)を調整する、すなわち検出されたスリップ限界(限界挟圧力)が反映されて圧着力(挟圧力)が設定されるように構成された変速機が記載されている。
特開2001−12593号公報
上記の特許文献1に記載された発明では、検出された限界挟圧力に基づいて挟圧力を制御することにより、滑りが生じない範囲で無段変速機の挟圧力を低下させることとしている。その挟圧力は、例えば円錐円板が巻き掛け伝動節を挟み付けるように無段変速機に加える油圧によって調整される。したがって限界挟圧力の検出は、油圧センサなどにより無段変速機に加えられる油圧を検出することによっておこなわれる。
しかしながら、油圧センサなどの測定器には、測定器に表示される値あるいは検出値として出力される値から実際の真の値を引いた値である器差が不可避的に存在する。そのため限界挟圧力の検出値もしくは学習値には、真の値と測定値との差である誤差が生じることになる。上記の特許文献1の発明では、このような限界挟圧力の検出(学習)時の学習値の誤差分については考慮されておらず、この検出(学習)時の学習値の誤差分が、限界挟圧力の反映時に、油圧センサ等の器差を考慮して設定されたセンサ値補償分以上となると、挟圧力を精度良く設定することができなくなる。その結果、挟圧力が必要以上に大きな値に設定されることによって、挟圧力を低下させることによる燃費向上効果を十分に得ることができなくなってしまったり、反対に、挟圧力が本来必要な値よりも小さく設定されることによって、滑りが発生してしまったりする可能性があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、無段変速機の挟圧力を制御する際に、センサの検出誤差を考慮して制御に反映させることによって、適切な挟圧力を設定することのできる制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、回転部材が伝動部材を挟み付ける挟圧力に応じてトルク容量が変化するとともに、その挟圧力をセンサによって検出し、前記挟圧力を変化させることに伴う前記無段変速機の動作状態の変化に基づいて、所定の運転状態において設定するべき挟圧力を学習するように構成された無段変速機の制御装置において、前記センサの検出誤差を含んで前記挟圧力の学習をおこなうことにより学習値を得る学習手段を備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置である。
また、請求項2の発明は、前記学習値の学習時における前記無段変速機の変速比もしくは変速比に関連する値と、設定するべき挟圧力を前記学習値を使用して補正する際の前記無段変速機の変速比もしくは変速比に関連する値との相互関係に基づいて、前記設定するべき挟圧力を制御する修正手段を更に備えていることを特徴とする制御装置である。
請求項1の発明によれば、設定するべき挟圧力を学習する場合、例えば挟圧力を設定する油圧を検出する油圧センサなどのセンサの検出誤差を考慮して学習がおこなわれる。そのため、設定するべき挟圧力を精度良く学習することができる。
また、請求項2の発明によれば、センサの検出誤差を考慮して設定するべき挟圧力の学習がおこなわれ、その学習値により設定するべき挟圧力が制御される場合に、設定するべき挟圧力の学習値の学習時における無段変速機の変速比もしくはそれに関連する値と、前記学習値により設定するべき挟圧力が補正され制御に反映される反映時における無段変速機の変速比もしくはそれに関連する値との相互関係に基づいて、設定するべき挟圧力が制御される。そのため、学習時と反映時とで無段変速機の動作状態が変化して変速比が異なっている場合でも、挟圧力を適切に設定することができる。
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする無段変速機を含む駆動機構について説明すると、この発明は、車両に搭載される無段変速機を対象とすることができ、その無段変速機は、ベルトを伝動部材としたベルト式の無段変速機や、パワーローラを伝動部材とするとともにオイル(トラクション油)のせん断力を利用してトルクを伝達するトロイダル型(トラクション式)無段変速機である。図3には、ベルト式無段変速機1を含む車両用駆動機構の一例を模式的に示しており、この無段変速機1は、前後進切換機構2およびトルクコンバータ3を介して、動力源4に連結されている。
その動力源4は、一般の車両に搭載されている動力源と同様のものであって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいは天然ガスエンジンなどの内燃機関や、電動機、あるいは内燃機関と電動機とを組み合わせた機構などを採用することができる。なお、以下の説明では、動力源4をエンジン4と記す。
エンジン4の出力軸に連結されたトルクコンバータ3は、従来一般の車両で採用しているトルクコンバータと同様の構造であって、エンジン4の出力軸が連結されたフロントカバー5にポンプインペラー6が一体化されており、そのポンプインペラー6に対向するタービンランナー7が、フロントカバー5の内面に隣接して配置されている。これらのポンプインペラー6とタービンランナー7とには、多数のブレード(図示せず)が設けられており、ポンプインペラー6が回転することによりフルードの螺旋流を生じさせ、その螺旋流をタービンランナー7に送ることによりタービンランナー7にトルクを与えて回転させるようになっている。
また、ポンプインペラー6とタービンランナー7との間でこれらの内周側の位置には、タービンランナー7から送り出されたフルードの流動方向を選択的に変化させてポンプインペラー6に流入させるステータ8が配置されている。このステータ8は、一方向クラッチ9を介して所定の固定部10に連結されている。
このトルクコンバータ3は、ロックアップクラッチ11を備えている。ロックアップクラッチ11は、ポンプインペラー6とタービンランナー7とステータ8とからなる実質的なトルクコンバータに対して並列に配置されたものであって、フロントカバー5の内面に対向した状態で前記タービンランナー7に保持されており、油圧によってフロントカバー5の内面に押し付けられることにより、入力部材であるフロントカバー5から出力部材であるタービンランナー7に直接、トルクを伝達するようになっている。なお、その油圧を制御することによりロックアップクラッチ11のトルク容量を制御できる。
前後進切換機構2は、エンジン4の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、入力されたトルクをそのまま出力し、また反転して出力するように構成されている。図3に示す例では、前後進切換機構2としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。
すなわち、サンギヤ12と同心円上にリングギヤ13が配置され、これらのサンギヤ12とリングギヤ13との間に、サンギヤ12に噛合したピニオンギヤ14とそのピニオンギヤ14およびリングギヤ13に噛合した他のピニオンギヤ15とが配置され、これらのピニオンギヤ14,15がキャリヤ16によって自転かつ公転自在に保持されている。そして、二つの回転要素(具体的にはサンギヤ12とキャリヤ16と)を一体的に連結する前進用クラッチ17が設けられ、またリングギヤ13を選択的に固定することにより、出力されるトルクの方向を反転する後進用ブレーキ18が設けられている。
無段変速機1は、従来知られているベルト式無段変速機と同じ構成であって、互いに平行に配置された入力部材としての駆動(プライマリー)プーリ19と出力部材としての従動(セカンダリー)プーリ20とのそれぞれが、固定シーブと、油圧式のアクチュエータ21,22によって軸線方向に前後動させられる可動シーブとによって構成されている。したがって各プーリ19,20の溝幅が、可動シーブを軸線方向に移動させることにより変化し、それに伴って各プーリ19,20に巻掛けた伝動部材としてのベルト23の巻掛け半径(プーリ19,20の有効径)が連続的に変化し、変速比が無段階に変化するようになっている。そして、上記の駆動プーリ19が前後進切換機構2における出力要素であるキャリヤ16に連結されている。これらの各プーリ19,20およびベルト23が無段変速部を構成している。
なお、従動プーリ20における油圧アクチュエータ22には、無段変速機1に入力されるトルクに応じた油圧(ライン圧もしくはその補正圧)が、図示しない油圧ポンプおよび油圧制御装置を介して供給されている。したがって、従動プーリ20における各シーブがベルト23を挟み付けることにより、ベルト23に張力が付与され、各プーリ19,20とベルト23との挟圧力(接触圧力)が確保されるようになっている。言い換えれば、挟圧力に応じたトルク容量が設定される。これに対して駆動プーリ19における油圧アクチュエータ21には、設定するべき変速比に応じた圧油が供給され、目標とする変速比に応じた溝幅(有効径)に設定するようになっている。
無段変速機1の出力部材である従動プーリ20がギヤ対24およびディファレンシャル25に連結され、さらにそのディファレンシャル25が左右の駆動輪26に連結されている。
上記の無段変速機1およびエンジン4を搭載した車両の動作状態(走行状態)を検出するために各種のセンサが設けられている。すなわち、エンジン4の出力軸回転速度(ロックアップクラッチ11の入力軸回転速度)Ne を検出して信号を出力するエンジン回転速度センサ27、タービンランナー7の回転速度を検出して信号を出力するタービン回転速度センサ28、駆動プーリ19の回転速度Ninを検出して信号を出力する入力軸回転速度センサ29、従動プーリ20の回転速度Nout を検出して信号を出力する出力軸回転速度センサ30、従動プーリ20側の油圧アクチュエータ22における油圧を検出する油圧センサ31などが設けられている。
上記の前進用クラッチ17および後進用ブレーキ18の係合・解放の制御、および前記ベルト23の挟圧力の制御、ならびにロックアップクラッチ11の係合・解放を含むトルク容量の制御、さらには変速比の制御をおこなうために、変速機用電子制御装置(CVT−ECU)32が設けられている。この電子制御装置32は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータに基づいて所定のプログラムに従って演算をおこない、前進や後進あるいはニュートラルなどの各種の状態、および要求される挟圧力の設定、ならびに変速比の設定などの制御を実行するように構成されている。また、エンジン4を制御するエンジン用電子制御装置(E−ECU)33が設けられ、これらの電子制御装置32,33の間で相互にデータを通信するようになっている。
無段変速機1によれば、入力回転数であるエンジン回転数を無段階に(言い換えれば、連続的に)制御できるので、これを搭載した車両の燃費を向上できる。例えば、アクセル開度などによって表される要求駆動量と車速とに基づいて目標駆動力が求められ、その目標駆動力を得るために必要な目標出力が目標駆動力と車速とに基づいて求められ、その目標出力を最適燃費で得るためのエンジン回転数が予め用意したマップに基づいて求められる。そして、そのエンジン回転数となるように変速比が制御される。
そのような燃費向上の利点を損なわないために、無段変速機1における動力の伝達効率が良好な状態に制御される。具体的には、無段変速機1のトルク容量すなわち挟圧力が、エンジントルクに基づいて決まる目標トルクを伝達でき、かつベルト23の滑りが生じない範囲で可及的に低い挟圧力になるよう制御される。例えば、加減速が比較的頻繁におこなわれたり、路面の凹凸もしくは起伏がある悪路を走行している場合などのいわゆる非定常走行状態では、挟圧力が、無段変速機1を制御する油圧系統における全体の元圧となるライン圧もしくはその補正圧程度の相対的に高い圧力に設定する。
これに対して平坦路をある程度以上の車速で定速走行しているなどの定常走行状態もしくはこれに準ずる準定常走行状態では、滑りを生じずに入力トルクを伝達できる最低の圧力すなわち限界挟圧力を検出するために、挟圧力が徐々に低下される。そしてその挟圧力が、検出された限界挟圧力に所定の安全率もしくは滑りに対する余裕伝達トルクを設定する圧力を加えた挟圧力に設定される。そして、この無段変速機1における挟圧力は、滑りを生じることなくトルクを伝達できる範囲で可及的に低い圧力であることが好ましい。
前述したように無段変速機1における挟圧力は、従動プーリ20における油圧アクチュエータ22に供給される油圧を制御することによって設定される。そして、その油圧制御は、従動プーリ20側の油圧アクチュエータ22に設けられた油圧センサ31によって検出される油圧の測定値を基におこなわれる。したがって限界挟圧力の検出(学習)制御や反映制御も油圧センサ31による油圧測定値を基におこなわれることになるが、油圧センサ31には不可避的な器差(検出誤差)が存在するため、限界挟圧力の学習値にも誤差分が生じる。そこで、この発明では、油圧センサ31などの検出誤差による学習値の誤差分を考慮して制御に反映させることによって、適切に挟圧力制御を実行することができるように構成されている。その制御の具体例を以下に説明する。
図1はその一例を示すフローチャートである。これらのフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。図1において、先ず、制御開始の前提条件が成立しているか否かが判断される(ステップS101)。ここで説明している具体例は、無段変速機1の挟圧力を低下させ、その際の滑りを検出するとともに、その検出結果に基づいて限界挟圧力を検出する例であり、したがって無段変速機1に作用するトルクが安定している必要がある。ステップS101はそのようなトルクの安定状態を判断するためのものであり、したがってその制御開始の前提条件は、例えば、車両が中高車速の所定範囲内で巡航していること、路面がほぼ平坦な良路であること、制御機器に異常が生じていないことなどである。
これらの条件のいずれかが成立していない場合には、このステップS101で否定的に判断され、ステップS108へ進み、限界挟圧力の検出をおこなわない通常の挟圧力制御が実行され、その後、このルーチンを一旦終了する。一方、制御開始条件がすべて成立していることによってステップS101で肯定的に判断された場合は、ステップS102へ進み、その時点の運転状態(走行状態)が、限界挟圧力の学習が終了していない運転領域(走行領域)すなわち未学習領域に属しているか否かが判断される。挟圧力は、車速や入力トルク(もしくはアクセル開度)あるいは変速比などの走行状態に応じて設定する必要があり、したがってここで述べている具体例では、車速や入力トルク(もしくはアクセル開度)などをパラメータとして走行状態を領域分けし、各領域毎に限界挟圧力を求めることとしている。
現時点の走行状態が未学習領域に属していることによってステップS102で肯定的に判断された場合は、ステップS103へ進み、限界挟圧力検出制御が実行される。この限界挟圧力の検出は、従来知られている適宜の方法でおこなうことができ、例えば、従動プーリ20側の挟圧力を徐々に低下させて、挟圧力と実際の摩擦係数μとから求められる伝達トルク容量と、実入力トルクTinとがつり合う挟圧力を求めることによって限界挟圧力を検出することができる。なお、ここでは限界挟圧力検出制御としているが、要は、限界挟圧力が検出された際の入力トルクから求められる理論挟圧力を補正するために挟圧力を学習する制御であればよい。
続いて、限界挟圧力の検出が完了しているか否かが判断される(ステップS104)。未だ限界挟圧力の検出が完了していないことによって、このステップS104で否定的に判断された場合は、特に他の制御をおこなうことなく、このルーチンを一旦終了する。これに対して、限界挟圧力の検出が完了していることによって、ステップS104で肯定的に判断された場合には、ステップS105へ進み、限界挟圧力検出(学習)時の学習値である学習値α0 と、そのときの変速比γ0 とが求められて保存される。ここで学習値α0 は、例えば、限界挟圧力検出(学習)時に従動プーリ20の油圧から求められる挟圧力と理論挟圧力との比として求めることができる。そして、これらの学習値α0 とその学習時の変速比γ0 とが求められると、その学習値α0 と変速比γ0 とが保存されて、その後、このルーチンを一旦終了する。
これに対して、前述のステップS102で、現時点の走行状態が未学習領域に属していないこと、すなわち現時点の走行状態が既学習領域に属していることによって否定的に判断された場合は、ステップS106へ進み、先に学習して保存された学習時の変速比γ0 と現時点の変速比γ1 とによって、反映時の学習値の誤差分が補正される。
図2は、上記の限界挟圧力の検出(学習)時と反映時とにおける、学習値あるいは学習値の誤差分などを説明するための模式図である。図2の(a)は、限界挟圧力の学習時の挟圧力の内訳の一例を示している。限界挟圧力の真値には油圧センサ31の器差(検出誤差)が含まれているため、限界挟圧力のセンサ値による学習値αs は、真値による学習値αr に対して小さくなっている。このような状態での限界挟圧力(センサ値)を挟圧力の設定に反映させると、次の、図2の(b)ないし(d)に示すように、限界挟圧力反映時の学習値の誤差分が生じることになる。
図2の(b)ないし(d)は、限界挟圧力反映時の挟圧力の内訳と学習値の誤差分との例を示している。図2の(b)は、限界挟圧力反映時の学習値の誤差分がセンサ値補償分よりも大きくなり、反映時の挟圧力が学習時の挟圧力より大きい場合の例である。このような場合では、設定される挟圧力が必要な挟圧力に対して不足している状態となり、無段変速機1での滑りが発生してしまう可能性がある。
また、図2の(c)は、図2の(b)の場合とは反対に、限界挟圧力反映時の学習値の誤差がセンサ値補償分よりも小さくなり、反映時の挟圧力が学習時の挟圧力より小さい場合の例である。このような場合では、設定される挟圧力が必要な挟圧力に対して過剰な状態となり、動力を必要以上に消費し燃費が低下してしまう可能性がある。
そして、図2の(d)は、限界挟圧力反映時の学習値の誤差とセンサ値補償分とが等しい場合の例である。すなわち、この場合が最適な挟圧力が設定されている状態である。このような状態で挟圧力が設定されるようにするために、この発明では、限界挟圧力の学習時の変速比と反映時の変速比とに基づいて反映時の学習値の誤差分を補正して挟圧力を設定するように制御される。
具体的には、限界挟圧力検出(学習)時の変速比γ0 と限界挟圧力反映時の変速比γ1 とに基づいて求められる補正値によって、反映時の学習値の誤差分が補正されて、その補正された反映時の学習値の誤差分と理論挟圧力と限界挟圧力の学習値とから限界挟圧力反映時の挟圧力が設定される。
限界挟圧力学習時の学習値α0 は、挟圧力を設定する油圧の油圧センサ検出値もしくはこれから演算した値である実挟圧力をP、限界挟圧力の学習時の理論挟圧力をPt0とすると、
α0 =P/Pt0 ・・・・・(1)
として求められる。また、限界挟圧力反映時の挟圧力Pr は、限界挟圧力反映時の理論挟圧力をPt1とすると、
Pr =Pt1×α0 ・・・・・(2)
として算出され、上記の(1),(2)式により、限界挟圧力反映時の挟圧力Pr は、
Pr =P×Pt1/Pt0 ・・・・・(3)
として算出される。このとき、実挟圧力Pには、油圧センサ31の検出誤差ΔPが含まれているため、
P=P±ΔP ・・・・・(4)
として表すことができ、上記の(3),(4)式により、限界挟圧力反映時の挟圧力Pr は、
Pr =Pr ±ΔP×Pt1/Pt0 ・・・・・(5)
として表すことができる。
α0 =P/Pt0 ・・・・・(1)
として求められる。また、限界挟圧力反映時の挟圧力Pr は、限界挟圧力反映時の理論挟圧力をPt1とすると、
Pr =Pt1×α0 ・・・・・(2)
として算出され、上記の(1),(2)式により、限界挟圧力反映時の挟圧力Pr は、
Pr =P×Pt1/Pt0 ・・・・・(3)
として算出される。このとき、実挟圧力Pには、油圧センサ31の検出誤差ΔPが含まれているため、
P=P±ΔP ・・・・・(4)
として表すことができ、上記の(3),(4)式により、限界挟圧力反映時の挟圧力Pr は、
Pr =Pr ±ΔP×Pt1/Pt0 ・・・・・(5)
として表すことができる。
ここで、限界挟圧力の学習時の理論挟圧力Pt0と、限界挟圧力の反映時の理論挟圧力Pt1は、それぞれ、
Pt0=Tin0 ×cosθ /(2×μ×Rin0 ×Aout ) ・・・・・(6)
Pt1=Tin1 ×cosθ /(2×μ×Rin1 ×Aout ) ・・・・・(7)
として算出される。Tin0 は限界挟圧力の学習時の入力トルク、Tin1 は限界挟圧力の反映時の入力トルク、θはプーリ19,20でのベルト23の侠角、μはプーリ19,20とベルト23との間の摩擦係数、Rin0 は限界挟圧力の学習時の駆動プーリ19におけるベルト23の巻き掛け半径、Rin1 は限界挟圧力の反映時の駆動プーリ19におけるベルト23の巻き掛け半径、Aout は従動プーリ20の可動シーブの受圧面積である。限界挟圧力の学習時と反映時とにおいては入力トルクTin0 ,Tin1 は等しく、またベルト23の侠角θ、受圧面積Aout は一定であり、摩擦係数μも一定と見なすことができるため、限界挟圧力の学習時と反映時とでは、巻き掛け半径Rin0 ,Rin1 との相違に応じて、もしくはその巻き掛け半径Rin0 ,Rin1 の値によって決まる変速比γ0 ,γ1 (γ=Rout /Rin;Rout は従動プーリ20におけるベルト23の巻き掛け半径)との相違に応じて挟圧力が変化する。
Pt0=Tin0 ×cosθ /(2×μ×Rin0 ×Aout ) ・・・・・(6)
Pt1=Tin1 ×cosθ /(2×μ×Rin1 ×Aout ) ・・・・・(7)
として算出される。Tin0 は限界挟圧力の学習時の入力トルク、Tin1 は限界挟圧力の反映時の入力トルク、θはプーリ19,20でのベルト23の侠角、μはプーリ19,20とベルト23との間の摩擦係数、Rin0 は限界挟圧力の学習時の駆動プーリ19におけるベルト23の巻き掛け半径、Rin1 は限界挟圧力の反映時の駆動プーリ19におけるベルト23の巻き掛け半径、Aout は従動プーリ20の可動シーブの受圧面積である。限界挟圧力の学習時と反映時とにおいては入力トルクTin0 ,Tin1 は等しく、またベルト23の侠角θ、受圧面積Aout は一定であり、摩擦係数μも一定と見なすことができるため、限界挟圧力の学習時と反映時とでは、巻き掛け半径Rin0 ,Rin1 との相違に応じて、もしくはその巻き掛け半径Rin0 ,Rin1 の値によって決まる変速比γ0 ,γ1 (γ=Rout /Rin;Rout は従動プーリ20におけるベルト23の巻き掛け半径)との相違に応じて挟圧力が変化する。
すなわち、前記の(5)式は、「(反映時の変速比γ1 /学習時の変速比γ0 )の関数」をf(γ1 /γ0 )とすると、
Pr =Pr ±ΔP×f(γ1 /γ0 ) ・・・・・(8)
として表すことができる。したがって、限界挟圧力反映時の挟圧力Pr は、「ΔP×f(γ1 /γ0 )」分、挟圧力が増大もしくは低下することになる。そのため、適切な挟圧力を設定するためには、その「ΔP×f(γ1 /γ0 )」分だけ差し引くかもしくは上乗せする必要があるが、その差し引き分もしくは上乗せ分は、f(γ1 /γ0 )の値応じて、すなわち限界挟圧力の学習時の変速比もしくはその変速比に関連する値と、反映時の変速比もしくはその変速比に関連する値との相互関係(関数)に応じて変化することになる。
Pr =Pr ±ΔP×f(γ1 /γ0 ) ・・・・・(8)
として表すことができる。したがって、限界挟圧力反映時の挟圧力Pr は、「ΔP×f(γ1 /γ0 )」分、挟圧力が増大もしくは低下することになる。そのため、適切な挟圧力を設定するためには、その「ΔP×f(γ1 /γ0 )」分だけ差し引くかもしくは上乗せする必要があるが、その差し引き分もしくは上乗せ分は、f(γ1 /γ0 )の値応じて、すなわち限界挟圧力の学習時の変速比もしくはその変速比に関連する値と、反映時の変速比もしくはその変速比に関連する値との相互関係(関数)に応じて変化することになる。
そこでこの発明では、挟圧力の学習がおこなわれる場合に、油圧センサ31の検出誤差を考慮して(含んで)学習値が求められ、その学習値が、限界挟圧力の学習時の変速比もしくはその変速比に関連する値と、反映時の変速比もしくはその変速比に関連する値との相互関係(関数)に基づいて補正されて挟圧力が設定されるのである。
ステップS106で反映時の学習値の誤差分が補正されると、続いて、限界挟圧力反映制御が実行される(ステップS107)。この限界挟圧力反映制御は、挟圧力を設定する油圧の指令値を、上記のステップS106で補正された反映時の学習値の誤差分に基づいて設定する制御である。このようにして限界挟圧力反映制御が実行されると、その後、このルーチンを一旦終了する。
以上に説明したように、図1に示す制御を実行するよう構成したこの発明の制御装置によれば、限界挟圧力を検出し学習する場合、挟圧力を設定する油圧を検出する油圧センサ31の検出誤差を考慮して学習がおこなわれて学習値が得られ、その学習値によって、限界挟圧力が設定される場合に、限界挟圧力の検出(学習)時における無段変速機1の変速比もしくはそれに関連する値と、限界挟圧力の反映時における無段変速機1の変速比もしくはそれに関連する値との相互関係(関数)に基づいて、挟圧力が制御される。そのため、限界挟圧力の検出(学習)時と反映時とで無段変速機1の変速比が異なっている場合でも、挟圧力を適切に設定することができ、設定される挟圧力が必要な挟圧力に対して不足している状態となって、無段変速機1での滑りが発生したり、あるいは、設定される挟圧力が必要な挟圧力に対して過剰な状態となって、動力を必要以上に消費し燃費が低下してしまう事態を回避することができる。
ここで、上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、上述したステップS106の機能的手段が、この発明の学習手段に相当し、ステップS107の機能的手段が、この発明の修正手段に相当する。
なお、この発明は上記の具体例に限定されないのであって、具体例では、ベルト式無段変速機を対象とする制御装置を例に採って説明したが、この発明は、トロイダル型無段変速機などの他の形式の無段変速機を対象とする制御装置にも適用することができる。また、この発明で対象とする車両の駆動装置は、図3に示す構成のものに限定されない。そして、上記の具体例では、無段変速機の挟圧力を検出するセンサとして、油圧センサを用いている例を示しているが、これに限定されるものではなく、要は挟圧力の設定に関する制御がおこなわれる際に、挟圧力に関連した無段変速機の動作状態を検出するセンサであればよい。
1…無段変速機、 4…エンジン(動力源)、 19…駆動プーリ、 20…従動プーリ、 22…油圧アクチュエータ、 23…ベルト、 31…油圧センサ、 32…変速機用電子制御装置(CVT−ECU)。
Claims (2)
- 回転部材が伝動部材を挟み付ける挟圧力に応じてトルク容量が変化するとともに、その挟圧力をセンサによって検出し、前記挟圧力を変化させることに伴う前記無段変速機の動作状態の変化に基づいて、所定の運転状態において設定するべき挟圧力を学習するように構成された無段変速機の制御装置において、
前記センサの検出誤差を含んで前記挟圧力の学習をおこなうことにより学習値を得る学習手段を備えていることを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 前記学習値の学習時における前記無段変速機の変速比もしくは変速比に関連する値と、設定するべき挟圧力を前記学習値を使用して補正する際の前記無段変速機の変速比もしくは変速比に関連する値との相互関係に基づいて、前記設定するべき挟圧力を制御する修正手段を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004038892A JP2005226815A (ja) | 2004-02-16 | 2004-02-16 | 無段変速機の制御装置 |
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JP2004038892A JP2005226815A (ja) | 2004-02-16 | 2004-02-16 | 無段変速機の制御装置 |
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JP2005226815A true JP2005226815A (ja) | 2005-08-25 |
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ID=35001684
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016065585A (ja) * | 2014-09-24 | 2016-04-28 | 日産自動車株式会社 | 無段変速機のライン圧制御装置 |
-
2004
- 2004-02-16 JP JP2004038892A patent/JP2005226815A/ja active Pending
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